JP5040218B2 - 表示素子 - Google Patents

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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Description

本発明は、像保存時の色ずれが低減されたエレクトロクロミック表示素子に関する。
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化に伴い、従来紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、電子情報を閲覧する機会が益々増大している。
この様な電子情報の閲覧手段として、従来の液晶ディスプレイやCRT、また近年では、有機ELディスプレイ等の発光型が主として用いられているが、特に、電子情報がドキュメント情報の場合、比較的長時間にわたってこの閲覧手段を注視する必要があり、これらの行為は必ずしも人間に優しい手段とは言い難く、一般に発光型のディスプレイの欠点として、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便、読む姿勢が制限され、静止画面に視線を合わせる必要が生じる、長時間読むと消費電力が嵩む等が知られている。
これらの欠点を補う表示手段として、外光を利用し、像保持の為に電力を消費しない(メモリー性)反射型ディスプレイが知られているが、下記の理由で十分な性能を有しているとは言い難い。
すなわち、反射型液晶等の偏光板を用いる方式は、反射率が約40%と低く白表示に難があり、また構成部材の作製に用いる製法の多くは簡便とは言い難い。また、ポリマー分散型液晶は高い電圧を必要とし、また有機物同士の屈折率差を利用しているため、得られる画像のコントラストが十分でない。また、ポリマーネットワーク型液晶は駆動電圧が高いことと、メモリー性を向上させるために複雑なTFT回路が必要である等の課題を抱えている。また、電気泳動法による表示素子は、10V以上の高い電圧が必要となり、電気泳動性粒子凝集による耐久性に懸念がある。
一方、エレクトロクロミック表示素子は、3V以下の低電圧で駆動が可能であるが、黒色またはカラー色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、グリーン、レッド等)の色品質が十分でなく、メモリー性を確保するため表示セルに蒸着膜等の複雑な膜構成が必要などの懸念点がある。
これらのエレクトロクロミック表示方式の課題を改良する方式として、例えば、少なくとも1方が透明である2枚の導電基板間に、多孔質層、酸化反応及び還元反応の少なくとも1方により可逆的に発色又は消色するエレクトロクロミック色素を含有する電解質を介在させてなるエレクトロクロミック素子を用いたエレクトロクロミック表示装置が開示されており、構造が簡単であり、明るくて見やすく、省消費電力化が可能であるとされている。(例えば特許文献1、2参照)。
本発明者は、より詳細に検討を進めた結果、上記特許文献1、2に開示されている方法では、着色時の還元体がその化学構造中にラジカルを有しているため、繰り返し駆動を行った場合にコントラストの変動が生じてしまう課題が新たに判明した。
国際公開第2004/068231号パンフレット 国際公開第2004/067673号パンフレット
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、従って本発明の目的は、繰り返し駆動時の表示安定性が向上したエレクトロクロミック表示素子を提供することにある。
上記課題は、以下の構成により解決することができた。
(1)対向電極間に下記一般式(1)
〔式中、R は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R 、R は各々水素原子または置換基を表す。Xは下記一般式:
であるか、または酸素原子もしくは硫黄原子を表し、R は水素原子、または置換基を表す。〕
で表されるエレクトロクロミック化合物を含み、該エレクトロクロミック化合物を酸化時に着色し、還元時に透明となるような該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該エレクトロクロミック化合物の着色駆動時に、非観察側電極に下記一般式(2):
〔式中、R 、R は各々水素原子、炭素原子数14までのアリール基、ヘテロアリール基、炭素原子数10までの分岐アルキル基、アルケニル基、或いはシクロアルキル基を表す。n1、m1は各々0或いは1〜10の整数を表す。X は、荷電を中和するイオンを表す。〕
で表される化合物を含む電解質層を設けることを特徴とする表示素子
(2)前記電解質層が、下記一般式(3)で表される化合物を透明導電性微粒子層に結着させた構成であることを特徴とする前記1に記載の表示素子;
〔式中、R は、−(CH −(ここにおいてmは0或いは1〜10の整数を表す。)、各々炭素原子数14までのアリーレン基、ヘテロアリーレン基、或いは各々炭素原子数10までの分岐アルキレン基、アルケニレン基、アラルキレン基或いはシクロアルキレン基であり、各々のアリーレン基、ヘテロアリーレン基、分岐アルキレン基、分岐アルケニレン基、或いはシクロアルキレン基は任意に−P(O)(OH) 基を−(CH −基を介して有していてもよい。また、任意に置換されていてもよい。ここにおいてnは0或いは1〜10の整数を表す。R は、R で表される基であり、ここにおいてR は、−(CH −(ここにおいてpは0或いは1〜10の整数を表す。)を表し、R は、−P(O)(OH) 基、或いは、各々炭素原子数14までのアリール基、ヘテロアリール基、各々炭素原子数10までの分岐アルキル基、或いはアルケニル基、或いはシクロアルキル基、又は水素原子を表す。X は、荷電を中和するイオンを表す。〕
(3)対向電極間に下記一般式(1):
〔式中、R は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R 、R は各々水素原子または置換基を表す。Xは下記一般式:
であるか、または酸素原子もしくは硫黄原子を表し、R は水素原子、または置換基を表す。〕
で表されるエレクトロクロミック化合物を含み、該エレクトロクロミック化合物を酸化時に着色し、還元時に透明となるような該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該エレクトロクロミック化合物の着色駆動時に、非観察側電極にSbをドープしたSnO 微粒子により形成された層と、ITO微粒子により形成された層とが積層された構成層を設けることを特徴とする表示素子;
(4)対向電極間に下記一般式(1):
〔式中、R は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R 、R は各々水素原子または置換基を表す。Xは下記一般式:
であるか、または酸素原子もしくは硫黄原子を表し、R は水素原子、または置換基を表す。〕
で表されるエレクトロクロミック化合物を含み、該エレクトロクロミック化合物を酸化時に着色し、還元時に透明となるような該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該エレクトロクロミック化合物の着色駆動時に、非観察側電極にSbをドープしたSnO 微粒子とITO微粒子が混在する構成層を設けることを特徴とする表示素子;
(5)対向電極間に下記一般式(1):
〔式中、R は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R 、R は各々水素原子または置換基を表す。Xは下記一般式:
であるか、または酸素原子もしくは硫黄原子を表し、R は水素原子、または置換基を表す。〕
で表されるエレクトロクロミック化合物を含み、該エレクトロクロミック化合物を酸化時に着色し、還元時に透明となるような該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該エレクトロクロミック化合物の着色駆動時に、非観察側電極にTiO 微粒子により形成された層と、ITO微粒子により形成された層とが積層された構成層を設けることを特徴とする表示素子;
(6)対向電極間に下記一般式(1):
〔式中、R は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R 、R は各々水素原子または置換基を表す。Xは下記一般式:
であるか、または酸素原子もしくは硫黄原子を表し、R は水素原子、または置換基を表す。〕
で表されるエレクトロクロミック化合物を含み、該エレクトロクロミック化合物を酸化時に着色し、還元時に透明となるような該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該エレクトロクロミック化合物の着色駆動時に、非観察側電極にTiO 微粒子と、ITO微粒子の混在する構成層を設けることを特徴とする表示素子;
(7)前記一般式(1)におけるXが、下記一般式:
であることを特徴とする前記1〜6の何れか1項に記載の表示素子;
(8)前記一般式(1)におけるR が、置換もしくは無置換の2−ヒドロキシフェニル基または4−ヒドロキシフェニル基であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の表示素子;
(9)前記一般式(1)で表される化合物がホスホノ基またはカルボキシル基を有することを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載の表示素子。
本発明の上記手段により、繰り返し駆動時の表示安定性が向上したエレクトロクロミック表示素子を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、
対向電極間に前記一般式(1)で表されるエレクトロクロミック化合物を含み、該エレクトロクロミック化合物を酸化時に着色し、還元時に透明となるような該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該エレクトロクロミック化合物の着色駆動時に、非観察側電極にメモリー性を有さない電子注入可能な構成を設けることを特徴とする表示素子により、繰り返し駆動時の表示安定性が向上したエレクトロクロミック表示素子を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
本発明の一般式(1)で表されるメモリー性を有するアノディクなエレクトロクロミック(以下、ECとも呼ぶ。)色素発色系における駆動動作安定性をあげるには、メモリー性を有さないカソディック反応種の添加が有効で、メモリー性を有さないため少量添加で反応のリサイクルが行われ、繰り返し駆動時の安定性を向上できることを見出した。メモリー性を有するカソディック反応種は、双方のメモリー性の一致が難しく、還元体の蓄積量とアノディックECの酸化体の蓄積量とのバランスがくずれ、特に繰り返し駆動に従ってバランスのくずれが増長されて表示安定性の劣化が顕著になることが分かった。
本発明に係る前記一般式(1)で表されるエレクトロクロミック化合物について説明する。
式中、Rは置換もしくは無置換のアリール基を表し、R、Rは各々水素原子または置換基を表す。Xは下記一般式:
であるか、または酸素原子もしくは硫黄原子を表し、Rは水素原子、または置換基を表す。
一般式(1)において、R1は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R2、R3は各々水素原子または置換基を表すが、R1、R2、R3で表される置換基の具体例としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基等)、アミド基(例えば、アセトアミド基、プロピオンアミド基、ブタンアミド基、ヘキサンアミド基、ベンズアミド基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フェニルスルフォニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メチルスルホンアミド基、オクチルスルホンアミド基、フェニルスルホンアミド基、ナフチルスルホンアミド基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホノ基(例えば、ホスホノエチル基、ホスホノプロピル基、ホスホノオキシエチル基)、オキザモイル基等を挙げることができる。また、これらの基はさらにこれらの基で置換されていてもよい。
1は、置換もしくは無置換のアリール基であり、好ましくは置換もしくは無置換のフェニル基、更に好ましくは置換もしくは無置換の2−ヒドロキシフェニル基または4−ヒドロキシフェニル基である。
2及びR3として好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基、複素環基であり、より好ましくは、R2及びR3のいずれか一方がフェニル基、他方がアルキル基、更に好ましくはR2及びR3の両方がフェニル基である。
Xとして好ましくは下記一般式:
である。Rとして好ましくは、水素原子、アルキル基、芳香族基、複素環基、アシル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、アシル基である。
以下に、一般式(1)で表されるエレクトロクロミック化合物の具体的化合物例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
本発明においては、前記一般式(1)で表されるエレクトロクロミック化合物を含み、非観察側電極にメモリー性を有さない電子注入可能な構成を設ける方法としては、ビオロゲン系化合物、アントラキノン系化合物、ピラゾリン系化合物、フェノチアジン系化合物、フルオラン系化合物、スチリルスピロピラン系化合物、フタロシアニン系化合物等の有機化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリベンジジン、ポリイソチアナフテン等の導電性高分子化合物類を電解質層に加えたり、電極上に被膜を形成させる方法や、前記有機化合物や導電性高分子化合物を後述する透明導電性無機微粒子の表面に固着する方法や、透明導電性無機微粒子を2種以上混合して層を形成する方法や前記無機微粒子の層を2層以上形成しそれらを積層する方法等により達成することができる。
本発明に好ましく用いられる一般式(2)で表されるビオロゲン系化合物について説明する。
式中、R1、R2は各々水素原子、炭素原子数14までのアリール基、ヘテロアリール基、炭素原子数10までの分岐アルキル基、アルケニル基、或いはシクロアルキル基を表す。n1、m1は各々0或いは1〜10の整数を表す。X1 -は、荷電を中和するイオンを表す。
各々のアリール基、ヘテロアリール基、炭素原子数10までの分岐アルキル基、アルケニル基、或いはシクロアルキル基は更に置換基を有してもよく、置換基としては、低級アルキル基、低級アルケニル基、フェニル置換−低級アルキル基、ジフェニル置換−低級アルキル基、フェニル基、フェノキシ基、低級アルカノイルオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、低級アルキルアミノ基、ジ(低級アルキル)アミノ基、フェニルアミノ基、低級アルカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、低級アルキルスルフォニルアミノ基、フェニルスルフォニルアミノ基、低級アルカノイル基、ベンゾイル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N−低級アルキルカルバモイル基、N,N−ジ−(低級アルキル)カルバモイル基、ウレイド基、N−低級アルキルウレイド基、低級アルキルスルフォニル基、フェニルスルフォニル基、ヒドロキシル基、低級アルコキシ基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、ジ(低級アルキル)アミノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、ホスホノ基、或いは低級アルコキシカルボニル基で置換された低級アルコキシ基、炭素原子数3〜7のアルコキシ基、そして2価のメチレンジオキシ基等があげられる。
一般式(2)で表される化合物は、後述する一般式(3)で表される化合物を包含する。ここでは、具体的化合物例として、一般式(3)で表される化合物以外の化合物例を以下に示す。
(2−1)1,1’−ジ−n−オクチル−4,4’−ビピリジニウム ジブロマイド
(2−2)1,1’−ジ−n−オクチル−4,4’−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロフォスフェート
(2−3)1,1’−ジ−n−オクチル−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−4)1,1’−ジ−n−オクチル−4,4’−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロフォスフェート
(2−5)1,1’−ジ−n−オクチル−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−6)1−メチル−1’−n−オクチル−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−7)1−メチル−1’−(4−メチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−8)1−n−オクチル−1’−(4−シアノフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−9)1−n−オクチル−1’−(4−フルオロフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−10)1,1’−ビス(3−プロピルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−12)1,1’−ビス(3−プロピルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロフォスフェート
(2−13)1,1’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−14)1,1’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロフォスフェート
(2−15)1,1’−ビス(ナフチル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−16)1,1’−ビス(4−シアノナフチル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−17)1,1’−ビス(4−メチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−18)1,1’−ビス(4−シアノフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−19)1,1’−ビス(4−フルオロフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−10)1,1’−ビス(4−フェノキシフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−21)1,1’−ビス(4−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−22)1,1’−ビス(2,6−ジメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−23)1,1’−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−24)1,1’−ビス(4−ベンゾフェノン)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−25)1−ベンジル−1’−(3−プロピルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−26)1−ベンジル−1’−(3−プロピルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロフォスフェート
(2−27)1−ベンジル−1’−エチル−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−28)1−ベンジル−1’−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−29)1−ベンジル−1’−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロフォスフェート
(2−30)1−ベンジル−1’−(4−フェノキシフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−31)1−ベンジル−1’−(4−フェノキシフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロフォスフェート
(2−32)1−ベンジル−1’−(4−フルオロフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−33)1−ベンジル−1’−(4−メチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−34)1−ベンジル−1’−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−35)1−ベンジル−1’−(ベンジル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−36)1−ベンジル−1’−(ナフチル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−37)1−ベンジル−1’−(フェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−38)1−ベンジル−1’−(4−シアノフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−39)1−ベンジル−1’−(4−ベンゾフェノン)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−40)1−ベンジル−1’−(4−シアノフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−41)1−ベンジル−1’−(2,6−ジメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−42)1−ベンジル−1’−(3,5−ジメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(2−43)1−ベンジル−1’−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム トリフルオロメタンスルフォンイミド
次に、本発明に好ましく用いられる一般式(3)で表されるビオロゲン系化合物について説明する。
一般式(3)で表されるビオロゲン系化合物は分子構造中にホスホノ基を有し、後述する透明導電性無機微粒子の表面に担持固定することが可能であり、非観察側電極にメモリー性を有しない電子注入可能な構成層を設けることができる。
一般式(3)中、R3は、−(CH2m−(ここにおいてmは0或いは1〜10の整数を表す。)、各々炭素原子数14までのアリーレン基、ヘテロアリーレン基、或いは各々炭素原子数10までの分岐アルキレン基、アルケニレン基、アラルキレン基、或いはシクロアルキレン基であり、各々のアリーレン基、ヘテロアリーレン基、分岐アルキレン基、分岐アルケニレン基、アラルキレン基、或いはシクロアルキレン基は任意に−P(O)(OH)2基を−(CH2n−基を介して有していてもよい。また、任意に置換されていてもよい。ここにおいてnは0或いは1〜10の整数を表す。
4は、R56で表される基であり、ここにおいてR5は、−(CH2p−(ここにおいてpは0或いは1〜10の整数を表す。)を表し、R6は、−P(O)(OH)2基、或いは、各々炭素原子数14までのアリール基、ヘテロアリール基、各々炭素原子数10までの分岐アルキル基、アルケニル基、或いはシクロアルキル基、又は水素原子を表す。
2 -は、荷電を中和するイオンを表す。
また、R1で表される、前記、炭素数14までのアリーレン基、ヘテロアリーレン基、各々炭素数10までの分岐のアルキレン基、分岐のアルケニレン基、アラルキレン基、或いはシクロアルキレン基は、任意に、置換基を有してもよく、これらの基は一つ或いは2以上置換されていてもよく、また複数置換されている場合、それぞれ異なっていてもまた同じ置換基でもよい。
これらの置換基としては、以下の基が挙げられる。
低級アルキル基、低級アルケニル基、フェニル置換−低級アルキル基、ジフェニル置換−低級アルキル基、フェニル基、フェノキシ基、低級アルカノイルオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、低級アルキルアミノ基、ジ(低級アルキル)アミノ基、フェニルアミノ基、低級アルカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、低級アルキルスルフォニルアミノ基、フェニルスルフォニルアミノ基、低級アルカノイル基、ベンゾイル基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N−低級アルキルカルバモイル基、N,N−ジ−(低級アルキル)カルバモイル基、ウレイド基、N−低級アルキルウレイド基、低級アルキルスルフォニル基、フェニルスルフォニル基、ヒドロキシル基、低級アルコキシ基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、ジ(低級アルキル)アミノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、或いは低級アルコキシカルボニル基で置換された低級アルコキシ基、炭素原子数3〜7のアルコキシ基、そして2価のメチレンジオキシ基等があげられる。
また、上記において挙げられたフェニル基、またベンゾイル基、フェニルアミノ基等に含まれるフェニル基は、全て、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、そして/またニトロ基等により置換されていてもよい。
また、R4で表されるアリール基、ヘテロアリール基、分岐のアルキル基、或いはアルケニル基、或いはシクロアルキル基等も無置換でもよいが、前記R1の置換基として定義された基により一つ或いは複数以置換されていてもよい。
前記一般式(3)において、好ましい化合物としては、R3が、−(CH2m−(ここにおいてmは、1、2、3を表す)、フェニル基(−(CH2n−基を介してp位が−P(O)(OH)2基で置換されており、nは1或いは2を表す)であり、R4(R56で表される)において、R5は−(CH2p−(ここにおいてpは0、1、2、3を表す)を表し、R6は、未置換のフェニル或いはナフチル、或いは、炭素原子数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、フェノキシ基、或いはベンゾイル基によってモノ−、ジ−或いはトリ−置換されたフェニル或いはナフチル基である。
また、X2 -は、Cl-、Br-、ClO4 -、PF6 -、BF4 -、C26NO42 -、或いはCF3SO3 -であり、特に好ましくは、Cl-、PF6 -である。
また、前記一般式(3)において、好ましい化合物として、R3が、−(CH2m−(ここにおいてmは、1、2、3を表す)、フェニル基(−(CH2n−基を介してp位が−P(O)(OH)2基で置換されており、nは1或いは2を表す)であり、R4(R56で表される)において、R5は−(CH2p−(ここにおいてpは0、1、2、3を表す)を表し、R6が、−P(O)(OH)2基であり、X-は、Cl-、Br-、ClO4 -、PF6 -、BF4 -、C26NO42 -、或いはCF3SO3 -であり、特に好ましくは、Cl-、PF6 -である。
以上のうち好ましい化合物の例を以下に挙げる。
(3−1)1−ホスホノプロピル−1’−メチル−4,4’−ビピリジニウム ジブロマイド
(3−2)1−ホスホノエチル−1’−(3−プロピルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロフォスフェート
(3−3)1−ホスホノエチル−1’−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−4)1−ホスホノエチル−1’−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロフォスフェート
(3−5)1−ホスホノエチル−1’−(ナフチル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−6)1−ホスホノエチル−1’−(4−シアノナフチル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−7)1−ホスホノエチル−1’−(4−メチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−8)1−ホスホノエチル−1’−(4−シアノフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−9)1−ホスホノエチル−1’−(4−フルオロフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−10)1−ホスホノエチル−1’−(4−フェノキシフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−11)1−ホスホノエチル−1’−(4−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−12)1−ホスホノエチル−1’−(2,6−ジメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−13)1−ホスホノエチル−1’−(3,5−ジメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−14)1−ホスホノエチル−1’−(4−ベンゾフェノン)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−15)1−ホスホノベンジル−1’−(3−プロピルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−16)1−ホスホノベンジル−1’−(3−プロピルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロフォスフェート
(3−17)1−ホスホノベンジル−1’−(ホスホノエチル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−18)1−ホスホノベンジル−1’−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−19)1−ホスホノベンジル−1’−(2,4−ジニトロフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロフォスフェート
(3−20)1−ホスホノベンジル−1’−(4−フェノキシフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−21)1−ホスホノベンジル−1’−(4−フェノキシフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ビス−ヘキサフルオロフォスフェート
(3−22)1−ホスホノベンジル−1’−(4−フルオロフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−23)1−ホスホノベンジル−1’−(4−メチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−24)1−ホスホノベンジル−1’−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−25)1−ホスホノベンジル−1’−(ベンジル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−26)1−ホスホノベンジル−1’−(ナフチル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−27)1−ホスホノベンジル−1’−(フェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−28)1−ホスホノベンジル−1’−(4−シアノフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−29)1−ホスホノベンジル−1’−(4−ベンゾフェノン)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−30)1−ホスホノベンジル−1’−(4−シアノフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−31)1−ホスホノベンジル−1’−(2,6−ジメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−32)1−ホスホノベンジル−1’−(3,5−ジメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム ジクロライド
(3−33)1−ホスホノベンジル−1’−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4’−ビピリジニウム トリフルオロメタンスルフォンイミド
これらの化合物の製造法は前記国際公開第2004/067673号パンフレットに記載されている。
〈透明導電性微粒子〉
本発明においては、前記一般式(3)で示されるビオロゲン系化合物を透明導電性微粒子の表面に担持することにより、メモリー性を有しない電子注入可能な構成とすることが好ましい。
透明導電性微粒子には金属酸化物を用いることが好ましく、これらを層として形成することが好ましい。
金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化すず、Snドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化すず(ATO)、フッ素ドープ酸化すず(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛等、またはこれらの混合物が挙げられる。
また、本発明においては、互いに仕事関数が異なる前記金属酸化物を混合、または金属酸化物層を積層することによりメモリー性を有さない電子注入可能な構成層を設けることができる。
透明導電性微粒子層としては、上記金属酸化物の複数個の微粒子を結着または接触させることにより形成される。金属酸化物微粒子の平均粒子径は5nm〜10μmが好ましく、より好ましくは20nm〜1μmである。また、金属酸化物微粒子の比表面積は、簡易BET法で1×10-3〜1×1022/gであることが好ましく、より好ましくは1×10-2〜10m2/gである。また、金属酸化物微粒子の形状は、不定形、針状、球形など任意の形状のものが用いられる。
透明導電性微粒子層の厚みは、1μm以上、5μm以下が好ましい。1μm以下では、十分な量のエレクトロクロミック色素の吸着が行えずコントラストの低下を招き、また5μmを超える場合は、解像度の低下を招き不利である。
金属酸化物微粒子の形成または結着法としては、公知のゾルゲル法や焼結法を採用することができ、例えば、1)Journal of the Ceramic Society of Japan,102,2,p200(1994)、2)窯業協会誌90,4,p157、3)J.of Non−Cryst.Solids,82,400(1986)等に記載の方法が挙げられる。また、気相法により作製した酸化チタンデンドリマー粒子を溶液上に分散して基体上に塗布し、120〜150℃程度の温度で乾燥して溶媒を除去して多孔質電極を得る方法を用いることもできる。
また、「透明導電膜の低抵抗・低温・大面積成膜技術」(2005年7月、株式会社技術協会刊 ISBN4−86104−078−7 C3058)に記載の化学溶液析出法等の低温プロセスを用いることにより、特に多孔質層が透明電極を介して画素回路の一部に接続されている場合は、画素回路へのダメージが少なく、画素回路が集積したディスプレイ表示において、画素間の表示バラつきを低減できる利点がある。
金属酸化物微粒子は結着させた状態が好ましく、連続加重式表面性測定機(例えば、スクラッチ試験器)で0.1g以上、好ましくは1g以上の耐性を有する状態が好ましい。
〈対向電極〉
本発明の対向電極としては、金属電極または透明電極を用いることができる。金属電極としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマス、及びそれらの合金等の公知の金属種を用いることができる。電極の作製方法は、蒸着法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、CVD法等の既存の方法を用いることができる。
透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化すず(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。電極をこのように形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
本発明の対向電極としては、フルカラーの色表示の色域を十分に大きくとるために、透明電極を用いるのが好ましく、特に、光透過率と抵抗の観点からITO電極またはFTOでコートしたITO電極が好ましい。
〈白色散乱層〉
本発明においては、白表示を可能とするために、対向電極間、または対向電極間の外側に白色散乱層を設けることができる。本発明に適用可能な白色散乱層は、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布乾燥して形成することができる。
本発明で適用可能な白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
本発明では、上記白色粒子の中でも、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛が好ましく用いられる。また、無機酸化物(Al23、AlO(OH)、SiO2等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えて、トリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンを用いることができる。
これらの白色粒子のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
本発明において、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子としては、水溶性高分子、水系溶媒に分散した高分子を挙げることができる。
水溶性高分子としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニールアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SO3M(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、ゼラチン及びゼラチン誘導体、または、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体を好ましく用いることができる。
水系溶媒に分散した高分子としては、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム等のラテックス類、ポリイソシアネート系、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系、ポリウレタン系、尿素系、フェノール系、ホルムアルデヒド系、エポキシ−ポリアミド系、メラミン系、アルキド系樹脂、ビニル系樹脂等を水系溶媒に分散した熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの高分子のうち、特開平10−76621号に記載の水系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
本発明でいう電解質溶媒に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、電解質溶媒1kgあたりの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、質量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
本発明において、水系高分子と白色顔料との水混和物は、公知の分散方法に従って白色顔料が水中分散された形態が好ましい。水系高分子/白色顔料の混合比は、容積比で1〜0.01が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.05の範囲である。
本発明において、水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布する媒体は、表示素子の対向電極間の構成要素上であればいずれの位置でもよいが、対向電極の少なくとも1方の電極面上に付与することが好ましい。媒体への付与の方法としては、例えば、塗布方式、液噴霧方式、気相を介する噴霧方式として、圧電素子の振動を利用して液滴を飛翔させる方式、例えば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドや、突沸を利用したサーマルヘッドを用いて液滴を飛翔させるバブルジェット(登録商標)方式のインクジェットヘッド、また空気圧や液圧により液を噴霧するスプレー方式等が挙げられる。
塗布方式としては、公知の塗布方式より適宜選択することができ、例えば、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーローラーコーター、カーテンコーター、ダブルローラーコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押し出しコーター等が挙げられる。
媒体上に付与した水系高分子と白色顔料との水混和物の乾燥は、水を蒸発できる方法であればいかなる方法であってもよい。例えば、熱源からの加熱、赤外光を用いた加熱法、電磁誘導による加熱法等が挙げられる。また、水蒸発は減圧下で行ってもよい。
本発明でいう多孔質とは、前記水系高分子と白色顔料との水混和物を電極上に塗布乾燥して多孔質の白色散乱物を形成した後、該散乱物上に、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質液を与えた後に対向電極で挟み込み、対向電極間に電位差を与え、銀の溶解析出反応を生じさせることが可能で、イオン種が電極間で移動可能な貫通状態のことを言う。
本発明の表示素子では、上記説明した水混和物を塗布乾燥中または乾燥後に、硬化剤により水系高分子の硬化反応を行うことが望ましい。
本発明で用いられる硬膜剤の例としては、例えば、米国特許第4,678,739号の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。水系高分子としてゼラチンを用いる場合は、硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合はホウ酸やメタホウ酸等の含ホウ素化合物の使用が好ましい。
これらの硬膜剤は、水系高分子1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また、膜強度を上げるため熱処理や、硬化反応時の湿度調整を行うことも可能である。
〈電解質材料〉
本発明の表示素子において、電解質が液体である場合には、以下の化合物を電解質中に含むことができる。カリウム化合物としてKCl、KI、KBr等、リチウム化合物としてLiBF4、LiClO4、LiPF6、LiCF3SO3等、テトラアルキルアンモニウム化合物として過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、ホウフッ化テトラエチルアンモニウム、ホウフッ化テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド等が挙げられる。また、特開2003−187881号公報の段落番号〔0062〕〜〔0081〕に記載の溶融塩電解質組成物も好ましく用いることができる。さらに、I-/I3 -、Br-/Br3 -、キノン/ハイドロキノン等の酸化還元対になる化合物を用いることができる。
また、支持電解質が固体である場合には、電子伝導性やイオン伝導性を示す以下の化合物を電解質中に含むことができる。
パーフルオロスルフォン酸を含むフッ化ビニル系高分子、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、トリフェニルアミン類、ポリビニルカルバゾール類、ポリメチルフェニルシラン類、Cu2S、Ag2S、Cu2Se、AgCrSe2等のカルコゲニド、CaF2、PbF2、SrF2、LaF3、TlSn25、CeF3等の含F化合物、Li2SO4、Li4SiO4、Li3PO4等のLi塩、ZrO2、CaO、Cd23、HfO2、Y23、Nb25、WO3、Bi23、AgBr、AgI、CuCl、CuBr、CuBr、CuI、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl4、LiAlF4、AgSBr、C55NHAg56、Rb4Cu167Cl13、Rb3Cu7Cl10、LiN、Li5I2、Li6NBr3等の化合物が挙げられる。
また、支持電解質としてゲル状電解質を用いることもできる。電解質が非水系の場合、特開平11−185836号公報の段落番号〔0057〕〜〔0059〕に記載のオイルゲル化剤を用いことができる。
〈電解質添加の溶媒〉
本発明の表示素子においては、本発明の目的効果を損なわない範囲で溶媒を用いることができる。具体的には、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、水等が挙げられる。これらの溶媒の内、凝固点が−20℃以下、且つ沸点が120℃以上の溶媒を少なくとも1種含むことが好ましい。
更に本発明で用いることのできる溶媒としては、J.A.Riddick,W.B.Bunger,T.K.Sakano,“Organic Solvents”,4th ed.,John Wiley&Sons(1986)、Y.Marcus,“Ion Solvation”,John Wiley&Sons(1985)、C.Reichardt,“Solvents and Solvent Effects in Chemistry”,2nd ed.,VCH(1988)、G.J.Janz,R.P.T.Tomkins,“Nonaqueous Electorlytes Handbook”,Vol.1,Academic Press(1972)に記載の化合物を挙げることができる
〈電解質添加の増粘剤〉
本発明の表示素子においては、電解質に増粘剤を使用することができ、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、疎水性透明バインダーとして、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。
これらの増粘剤は2種以上を併用して用いてもよい。また、特開昭64−13546号公報の71〜75頁に記載の化合物を挙げることができる。これらの中で好ましく用いられる化合物は、各種添加剤との相溶性と白色粒子の分散安定性向上の観点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキシプロピルセルロース類、ポリアルキレングリコール類である。
〈その他の添加剤〉
本発明の表示素子の構成層には、保護層、フィルター層、ハレーション防止層、クロスオーバー光カット層、バッキング層等の補助層を挙げることができ、これらの補助層中には、各種の添加剤、例えば、以下のリサーチディスクロージャーにおいて、化学増感剤、貴金属増感剤、感光色素、強色増感剤、カプラー、高沸点溶剤、カブリ防止剤、安定剤、現像抑制剤、漂白促進剤、定着促進剤、混色防止剤、ホルマリンスカベンジャー、色調剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料、フィルター光吸収染料、防ばい剤、ポリマーラテックス、重金属、帯電防止剤、マット剤等としてあげられている添加剤を、必要に応じて含有させることができる。
上述したこれらの添加剤は、より詳しくは、リサーチディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同184巻Item/18431(1979年8月)、同187巻Item/18716(1979年11月)及び同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されている。
これら三つのリサーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類と記載箇所を以下に掲載した。
添加剤 RD17643 RD18716 RD308119
頁 分類 頁 分類 頁 分類
化学増感剤 23 III 648右上 96 III
増感色素 23 IV 648〜649 996〜8 IV
減感色素 23 IV 998 IV
染料 25〜26 VIII 649〜650 1003 VIII
現像促進剤 29 XXI 648右上
カブリ抑制剤・安定剤
24 IV 649右上 1006〜7 VI
増白剤 24 V 998 V
硬膜剤 26 X 651左 1004〜5 X
界面活性剤 26〜7 XI 650右 1005〜6 XI
帯電防止剤 27 XII 650右 1006〜7 XIII
可塑剤 27 XII 650右 1006 XII
スベリ剤 27 XII
マット剤 28 XVI 650右 1008〜9 XVI
バインダー 26 XXII 1003〜4 IX
支持体 28 XVII 1009 XVII
〈基板〉
本発明で用いることのできる基板としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート類、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンジナフタレンジカルボキシラート、ポリエチレンナフタレート類、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアセタール類、ポリスチレン等の合成プラスチックフィルムも好ましく使用できる。また、シンジオタクチック構造ポリスチレン類も好ましい。これらは、例えば、特開昭62−117708号、特開平1−46912、同1−178505号の各公報に記載されている方法により得ることができる。更に、ステンレス等の金属製基盤や、バライタ紙、及びレジンコート紙等の紙支持体ならびに上記プラスチックフィルムに反射層を設けた支持体、特開昭62−253195号(29〜31頁)に支持体として記載されたものが挙げられる。RDNo.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄及び同No.307105の879頁に記載されたものも好ましく使用できる。
これらの支持体には、米国特許第4,141,735号のようにTg以下の熱処理を施すことで、巻き癖をつきにくくしたものを用いることができる。また、これらの支持体表面を支持体と他の構成層との接着の向上を目的に表面処理を行っても良い。本発明では、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理を表面処理として用いることができる。更に公知技術第5号(1991年3月22日アズテック有限会社発行)の44〜149頁に記載の支持体を用いることもできる。更にRDNo.308119の1009頁やプロダクト・ライセシング・インデックス、第92巻P108の「Supports」の項に記載されているものが挙げられる。その他に、ガラス基板や、ガラスを練りこんだエポキシ樹脂を用いることができる。
〈表示素子のその他の構成要素〉
本発明の表示素子には、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いることができる。
シール剤は外に漏れないように封入するためのものであり封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコーン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示素子として実用上十分な強度が得られる。
一対の基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物のみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚みに相当する。
〈スクリーン印刷〉
本発明においては、シール剤、柱状構造物、電極パターン等をスクリーン印刷法で形成することもできる。スクリーン印刷法は、所定のパターンが形成されたスクリーンを基板の電極面上に被せ、スクリーン上に印刷材料(柱状構造物形成のための組成物、例えば、光硬化性樹脂など)を載せる。そして、スキージを所定の圧力、角度、速度で移動させる。これによって、印刷材料がスクリーンのパターンを介して該基板上に転写される。次に、転写された材料を加熱硬化、乾燥させる。スクリーン印刷法で柱状構造物を形成する場合、樹脂材料は光硬化性樹脂に限られず、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂も使用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニールエーテル樹脂、ポリビニールケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニールピロリドン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリエーテル樹脂等が挙げられる。樹脂材料は樹脂を適当な溶剤に溶解するなどしてペースト状にして用いることが望ましい。
以上のようにして柱状構造物等を基板上に形成した後は、所望によりスペーサーを少なくとも一方の基板上に付与し、一対の基板を電極形成面を対向させて重ね合わせ、空セルを形成する。重ね合わせた一対の基板を両側から加圧しながら加熱することにより、貼り合わせて、表示セルが得られる。表示素子とするには、基板間に電解質組成物を真空注入法等によって注入すればよい。あるいは、基板を貼り合わせる際に、一方の基板に電解質組成物を滴下しておき、基板の貼り合わせと同時に液晶組成物を封入するようにしてもよい。
〈フルカラー表示素子の構成〉
本発明のエレクトロクロミック表示素子を用いてフルカラー表示を行う場合は、
1.イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー、ブラック等に異なる色調に発色−消色するエレクトロクロミック表示素子を積層する方法、
2.異なる色調に発色−消色するエレクトロクロミック色素を吸着させた多孔質部を平面上にパターン化する方法、
3.異なる色調に発色−消色するエレクトロクロミック色素を1対の対向電極間の多孔質層に複数種吸着させる方法、等が挙げられる。
3の場合は、エレクトロクロミック色素に閾値を持たせる必要があり、閾値を持たせる方法としては、発色または消色方向の電圧または電荷量、あるいは、発色または消色方向への電圧ヒステリシスを色素毎に変更する方法が挙げられる。
〈表示素子駆動方法〉
本発明の係るアクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路や、「エレクトロクロミックディスプレイ」(1991 産業図書株式会社刊)の77〜102ページに記載の方法を用いることができる。
〈商品適用〉
本発明の表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェイカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
〈表示素子1の作製〉
厚さ1.5mmで2cm×2cmのガラス基板上にピッチ5mm、電極幅4mmのITO膜を公知の方法に従って形成し、透明電極(電極1)を得た。5mMの過塩素酸リチウム、酸化チタン(平均一次粒径:0.34μm)を30質量%、ポリエチレングリコール(平均分子量50万)を4質量%含むγ−ブチロラクトン溶液に、0.2Mの例示化合物110を溶解させて電解液1を調製した。
次いで、ガラス製スペーサ(平均粒子径:20μm)を介して電極1のITO膜が内側を向くように2枚の電極1を重ね合わせ、その間隙に電解液1を挿入して、表示素子1を作製した。
(表示素子2の作製)
表示素子1の電解液1に、5mMの例示化合物2−1を添加して調製した電解液2を用いた以外は表示素子1と同様にして表示素子2を作製した。
(表示素子3の作製)
電極1のITO膜上に、テルピネオールに分散した酸化チタン(一次平均粒子径30nm)分散液を付与し、350℃で1時間焼成して、酸化チタン多孔質層(乾燥膜厚10μm)を形成した後、例示化合物3−1の10mMエタノール溶液に4時間浸漬して、その後エタノールを蒸発させて電極2を得た。表示素子1の一方の電極1を電極2に変更した以外は表示素子1と同様にして表示素子3を得た。
(表示素子4の作製)
電極1のITO膜上に、テルピネオールに分散したSbをドープしたSnO2(一次平均粒子径27nm)分散液を付与し、さらに350℃で1時間焼成して多孔質層(乾燥膜厚10μm)を形成した後、さらに、テルピネオールに分散したITO(一次平均粒子径30nm)分散液を付与し、350℃で1時間焼成して多孔質層(乾燥膜厚10μm)を形成し、多孔質膜が積層した電極3を得た。表示素子2の電極1の一方を電極3に変更した以外は表示素子2と同様にして表示素子4を得た。
(表示素子5の作製)
電極1のITO膜上に、テルピネオールに分散したSbをドープしたSnO2(一次平均粒子径27nm)と、ITO(一次平均粒子径30nm)との混合(質量比1:1)分散液を付与し、さらに350℃で1時間焼成して多孔質層(乾燥膜厚10μm)を形成し、電極4を得た。表示素子4の電極3を電極4に変更した以外は表示素子4と同様にして表示素子5を得た。
(表示素子6の作製)
表示素子4のSnO2分散液のSnO2粒子をTiO2(平均一次粒子径27nm)粒子に変更した以外は表示素子4と同様にして表示素子6を得た。
(表示素子7の作製)
表示素子5のSnO2を含む分散液のSnO2粒子をTiO2(平均一次粒子径27nm)粒子に変更した以外は表示素子5と同様にして表示素子7を得た。
(表示素子8の作製)
表示素子3の例示化合物110を等モルの例示化合物98に変更した以外は表示素子3と同様にして表示素子8を得た。
(表示素子9の作製)
表示素子3の例示化合物110を等モルの例示化合物16に変更した以外は表示素子3と同様にして表示素子9を得た。
(表示素子10の作製)
電極2の例示化合物3−1を例示化合物42に変更した以外は電極2と同様にして電極5を得た。表示素子9の電極1を電極5に変更し、電解液から例示化合物16を除いた以外は表示素子9と同様にして表示素子10を作製した。
(表示素子11の作製)
表示素子10の例示化合物42を、例示化合物113に変更した以外は表示素子10と同様にして表示素子11を作製した。
〔表示素子の評価:繰り返し駆動時のコントラスト変動の評価〕
上記作製した各表示素子について、コニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dのD65光源のエレクトロクロミック色素の着色状態の最大吸収波長における反射率がそれぞれ60%、6%となる様な駆動条件を印加電圧±1.5Vにて求め、この同駆動条件で連続して300回駆動させ、各駆動毎にコントラスト比を測定した。得られたコントラスト比の変動を、(最大コントラスト比−最小コントラスト比)/コントラスト比平均値の計算値で評価した。得られた結果を表1に示す。コントラスト比変動の値が0に近いほど、コントラスト比の変動が小さく優れていることを示す。
表1に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなる表示素子は、繰り返し駆動時のコントラスト比変動が低減され優れていることが分かる。

Claims (9)

  1. 対向電極間に下記一般式(1)
    〔式中、R は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R 、R は各々水素原子または置換基を表す。Xは下記一般式:
    であるか、または酸素原子もしくは硫黄原子を表し、R は水素原子、または置換基を表す。〕
    で表されるエレクトロクロミック化合物を含み、該エレクトロクロミック化合物を酸化時に着色し、還元時に透明となるような該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該エレクトロクロミック化合物の着色駆動時に、非観察側電極に下記一般式(2):
    〔式中、R 、R は各々水素原子、炭素原子数14までのアリール基、ヘテロアリール基、炭素原子数10までの分岐アルキル基、アルケニル基、或いはシクロアルキル基を表す。n1、m1は各々0或いは1〜10の整数を表す。X は、荷電を中和するイオンを表す。〕
    で表される化合物を含む電解質層を設けることを特徴とする表示素子。
  2. 前記電解質層が、下記一般式(3)で表される化合物を透明導電性微粒子層に結着させた構成であることを特徴とする請求項1に記載の表示素子。
    〔式中、Rは、−(CH−(ここにおいてmは0或いは1〜10の整数を表す。)、各々炭素原子数14までのアリーレン基、ヘテロアリーレン基、或いは各々炭素原子数10までの分岐アルキレン基、アルケニレン基、アラルキレン基或いはシクロアルキレン基であり、各々のアリーレン基、ヘテロアリーレン基、分岐アルキレン基、分岐アルケニレン基、或いはシクロアルキレン基は任意に−P(O)(OH)基を−(CH−基を介して有していてもよい。また、任意に置換されていてもよい。ここにおいてnは0或いは1〜10の整数を表す。
    は、Rで表される基であり、ここにおいてRは、−(CH−(ここにおいてpは0或いは1〜10の整数を表す。)を表し、Rは、−P(O)(OH)基、或いは、各々炭素原子数14までのアリール基、ヘテロアリール基、各々炭素原子数10までの分岐アルキル基、或いはアルケニル基、或いはシクロアルキル基、又は水素原子を表す。
    は、荷電を中和するイオンを表す。〕
  3. 対向電極間に下記一般式(1):
    〔式中、R は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R 、R は各々水素原子または置換基を表す。Xは下記一般式:
    であるか、または酸素原子もしくは硫黄原子を表し、R は水素原子、または置換基を表す。〕
    で表されるエレクトロクロミック化合物を含み、該エレクトロクロミック化合物を酸化時に着色し、還元時に透明となるような該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該エレクトロクロミック化合物の着色駆動時に、非観察側電極にSbをドープしたSnO微粒子により形成された層と、ITO微粒子により形成された層とが積層された構成層を設けることを特徴とする表示素子。
  4. 対向電極間に下記一般式(1):
    〔式中、R は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R 、R は各々水素原子または置換基を表す。Xは下記一般式:
    であるか、または酸素原子もしくは硫黄原子を表し、R は水素原子、または置換基を表す。〕
    で表されるエレクトロクロミック化合物を含み、該エレクトロクロミック化合物を酸化時に着色し、還元時に透明となるような該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該エレクトロクロミック化合物の着色駆動時に、非観察側電極にSbをドープしたSnO微粒子とITO微粒子が混在する構成層を設けることを特徴とする表示素子。
  5. 対向電極間に下記一般式(1):
    〔式中、R は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R 、R は各々水素原子または置換基を表す。Xは下記一般式:
    であるか、または酸素原子もしくは硫黄原子を表し、R は水素原子、または置換基を表す。〕
    で表されるエレクトロクロミック化合物を含み、該エレクトロクロミック化合物を酸化時に着色し、還元時に透明となるような該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該エレクトロクロミック化合物の着色駆動時に、非観察側電極にTiO微粒子により形成された層と、ITO微粒子により形成された層とが積層された構成層を設けることを特徴とする表示素子。
  6. 対向電極間に下記一般式(1):
    〔式中、R は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R 、R は各々水素原子または置換基を表す。Xは下記一般式:
    であるか、または酸素原子もしくは硫黄原子を表し、R は水素原子、または置換基を表す。〕
    で表されるエレクトロクロミック化合物を含み、該エレクトロクロミック化合物を酸化時に着色し、還元時に透明となるような該対向電極の駆動操作を行う表示素子であって、該エレクトロクロミック化合物の着色駆動時に、非観察側電極にTiO微粒子と、ITO微粒子の混在する構成層を設けることを特徴とする表示素子。
  7. 前記一般式(1)におけるXが、下記一般式:
    であることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の表示素子。
  8. 前記一般式(1)におけるRが、置換もしくは無置換の2−ヒドロキシフェニル基または4−ヒドロキシフェニル基であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の表示素子。
  9. 前記一般式(1)で表される化合物がホスホノ基またはカルボキシル基を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の表示素子。
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