JP5039645B2 - 建材ボードの上に形成される絵柄印刷塗膜およびその形成方法 - Google Patents

建材ボードの上に形成される絵柄印刷塗膜およびその形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、絵柄印刷塗膜、絵柄印刷塗膜の形成方法、および絵柄印刷塗膜の形成に用いられる粒状物水性定着剤に関し、特に、凹凸による触感を表現できる絵柄印刷塗膜、絵柄印刷塗膜の形成方法、および絵柄印刷塗膜の形成に用いられる粒状物水性定着剤に関する。
被印刷物上に絵柄を形成する手法の一つとして、孔版印刷が挙げられる。この孔版印刷は、スクリーン印刷に代表されるように、絵柄を形成した孔版を作成してインキ等の着色樹脂粒子を版穴から押し出し、孔版の下に配置した被印刷物上に印刷するものである。
例えばスクリーン印刷では、絵柄を形成した孔版は、ナイロン(商標)、テトロン(商標)、ステンレス等の織物を枠に張り、光工学的方法等で版膜(レジスト)を形成することで絵柄以外の織物の目を塞ぎ作成する。インキ等の着色樹脂粒子は、孔版の上からスキージと呼ばれるヘラ状のゴム板で加圧され、孔版の版膜のない部分の版穴を透過し、孔版の下の被印刷物上に絵柄が形成される。
このスクリーン印刷によれば、被印刷物上に印刷されたインキ層を厚くすることができるうえ、孔版が柔軟であるので被印刷物の形状にとらわれることがなく、曲面や立体的なものであっても印刷が可能である。
しかしながら、従来の孔版印刷では、孔版と被印刷物とを接触させる必要があったため、被印刷物の被印刷面に起伏があった場合には印刷がほとんど不可能であった。また、孔版と被印刷物とが接触しているため、高速印刷に対応したロータリー式の印刷装置では、孔版の回転速度と被印刷物の搬送速度とを、同じ速度になるように設定する必要があった。このため、被印刷物の印刷長さ等の印刷条件を変更する際には、孔版の交換や回転速度の変更をその都度行う必要があり、量産性を低下させていた。
このような不具合を解決すべく、様々な印刷方式が考案されており、例えば、孔版と被印刷物を離隔し、インキ等の着色樹脂粒子を帯電させ、版孔からブラシ等により帯電した着色樹脂粒子を押し出し、孔版と被印刷物との間に静電場を形成することで、着色樹脂粒子を被印刷物に付着させる印刷方式が知られている(特許文献1参照)。
この方式によれば、被印刷物の被印刷面に起伏があった場合でも、効率良く均一な画質を印刷することが可能である。また、孔版と被印刷物を離隔しているので、孔版の回転速度と被印刷物の搬送速度を同期させる必要がない。また、被印刷物の印刷長さ等の印刷条件を変更する際にも、孔版の交換等を行う必要がなく、孔版の回転速度と被印刷物の搬送速度の連動した変化により、高い量産性を維持したまま印刷条件の変更を実現できる。
しかしながら、特許文献1に開示されている印刷方式では、用いることができる着色樹脂粒子は、摩擦により帯電する粉体塗料等に限定されてしまう。さらには、形成される印刷面上の着色樹脂粒子層は薄く平滑で、凹凸を形成することは困難であり、印刷面に凹凸による触感を表現することは不可能であった。具体的には、例えば、被印刷物が砂岩調の壁用の建材である場合に砂岩調の色彩や模様を印刷はできるが、砂岩調の触感までは表現することができなかった。
特許文献2には、被印刷物上に形成された絵柄印刷塗膜であって、前記被印刷物の表面を被覆するシーラー層と、前記シーラー層を被覆する水性ベース塗膜と、前記水性ベース塗膜上に形成された粒状印刷絵柄と、前記水性ベース塗膜および前記粒状印刷絵柄を被覆する水性クリヤー塗膜と、を有し、前記粒状印刷絵柄は、孔版印刷システムにより粒状印刷剤を絵柄状に落下印刷して形成されたものであり、前記粒状印刷剤を構成する粒子は、その体積の少なくとも1/10が前記水性ベース塗膜中に埋没しており、前記埋没している部分の前記水性ベース塗膜中における顔料体積濃度は、臨界顔料体積濃度以下である絵柄印刷塗膜、が記載されている。しかしながらこの絵柄印刷塗膜の製造においては、粒子の埋没度が1/10を下回ることとなった場合において、粒子が脱離し易くなり、絵柄から粒子が脱離してしまい、所望の絵柄が得られなくなるという不具合があった。また水性ベース塗膜中の顔料体積濃度が臨界顔料体積濃度以上となった場合において、水性ベース塗膜が脆弱となり、粒子が脱離し易くなり、絵柄から粒子が脱離してしまい、所望の絵柄が得られなくなるという不具合があった。
特開2003−182024号公報 特開2006−198588号公報
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、被印刷物である建材ボードの被印刷面に起伏があった場合でも効率良く、鮮映で均一な画質が得られるうえ、凹凸による触感までをも表現することができる、付着安定性に優れた絵柄印刷塗膜および粒状物水性定着剤を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた。その結果、建材ボードの上に水性ベース塗膜および粒状物水性定着剤膜を形成し、次いで孔版印刷システムにより粒状印刷材を絵柄状に落下印刷して粒状印刷絵柄を形成した後、水性クリヤー塗膜で被覆することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
本発明は、
建材ボードの上に形成される絵柄印刷塗膜であって、
この絵柄印刷塗膜は、
この建材ボードの表面を被覆する水性ベース塗膜、
この水性ベース塗膜の少なくとも一部上に形成された粒状物水性定着剤膜、
この粒状物水性定着剤膜によって定着された粒状印刷絵柄、および
この水性ベース塗膜、粒状物水性定着剤膜および粒状印刷絵柄を被覆する水性クリヤー塗膜、
から構成される複層塗膜であり、
この粒状印刷絵柄は、孔版印刷システムにより粒状印刷材を絵柄状に落下印刷して形成された絵柄であり、
この粒状物水性定着剤膜は、粒状物水性定着剤を塗液塗布量20〜160g/mで塗装して得られる塗膜であり、この粒状物水性定着剤は、アクリルエマルション、アクリルシリコンエマルション、フッ素樹脂エマルション、ウレタンディスパーションからなる群から選択される塗膜形成水性樹脂;および粘性調整剤;を少なくとも含む定着剤であり、
この粒状物水性定着剤のチクソトロピーインデックスは1.5〜10であり、
この粒状物水性定着剤膜に含まれる塗膜形成性樹脂の硬度が、10℃における鉛筆硬度でFまたはFより低い、
絵柄印刷塗膜、を提供するものであり、これにより上記目的が達成される。
上記粒状印刷材は、砂、硅砂、カラーサンド、ビーズ、カラーチップ、鉱物チップ、ガラスチップ、木質チップ、顔料、および、カラービーズよりなる群から選ばれる少なくとも一種であるのが好ましい。
上記建材ボードおよび水性ベース塗膜の間にさらに、シーラー層が設けられているのが好ましい。
本発明はまた、建材ボードの上に形成される絵柄印刷塗膜の形成方法であって、下記工程:
建材ボードの上に水性ベース塗料組成物を塗装し、水性ベース塗膜を形成する工程、
得られた水性ベース塗膜の全面に粒状物水性定着剤を塗液塗布量20〜160g/mで塗装し、粒状物水性定着剤膜を形成する工程、
得られた粒状物水性定着剤膜の上に、粒状物水性定着剤膜がウェットの状態で、孔版印刷システムを用いて粒状印刷材を絵柄状に落下印刷させ、粒状印刷絵柄を定着させる工程、および
水性クリヤー塗料組成物を塗装し、この水性ベース塗膜、粒状物水性定着剤膜および粒状印刷絵柄を被覆する水性クリヤー塗膜を形成する工程:
を少なくとも包含し、
この粒状物水性定着剤は、アクリルエマルション、アクリルシリコンエマルション、フッ素樹脂エマルション、ウレタンディスパーションからなる群から選択される塗膜形成水性樹脂;および粘性調整剤;を少なくとも含む定着剤であり、
この粒状物水性定着剤のチクソトロピーインデックスは1.5〜10であり、
この粒状物水性定着剤膜に含まれる塗膜形成性樹脂の硬度が、10℃における鉛筆硬度でFまたはFより低い、
絵柄印刷塗膜の形成方法、も提供する。
本発明はまた、建材ボードの上に形成される絵柄印刷塗膜の形成方法であって、下記工程:
建材ボードの上に水性ベース塗料組成物を塗装し、水性ベース塗膜を形成する工程、
得られた水性ベース塗膜の一部に粒状物水性定着剤を塗液塗布量20〜160g/mで塗装し、粒状物水性定着剤膜を形成する工程、
得られた粒状物水性定着剤膜の上に、粒状物水性定着剤膜がウェットの状態で、孔版印刷システムを用いて粒状印刷材を絵柄状に落下印刷させ、粒状印刷絵柄を定着させる工程、および
水性クリヤー塗料組成物を塗装し、この水性ベース塗膜、粒状物水性定着剤膜および粒状印刷絵柄を被覆する水性クリヤー塗膜を形成する工程:
を少なくとも包含し、
この粒状物水性定着剤は、アクリルエマルション、アクリルシリコンエマルション、フッ素樹脂エマルション、ウレタンディスパーションからなる群から選択される塗膜形成水性樹脂;および粘性調整剤;を少なくとも含む定着剤であり、
この粒状物水性定着剤のチクソトロピーインデックスは1.5〜10であり、
この粒状物水性定着剤膜に含まれる塗膜形成性樹脂の硬度が、10℃における鉛筆硬度でFまたはFより低い、
絵柄印刷塗膜の形成方法、も提供する。
上記粒状印刷絵柄を定着させる工程の前または後であって、かつ水性クリヤー塗膜を形成する工程の前において、さらに、ウェット状態の粒状物水性定着剤膜上に粒状印刷材を落下させる工程、を包含するのがより好ましい。
上記水性クリヤー塗膜を形成する水性クリヤー塗料組成物は、上記粒状物水性定着剤を含むのがより好ましい。
上記粒状印刷絵柄を定着させる工程は、ウェットの状態の粒状物水性定着剤膜の上に、孔版印刷システムを用いて粒状印刷材を絵柄状に落下印刷させ、次いで余剰の粒状印刷材をエアーブローで除去することによって、粒状印刷絵柄を定着させる工程であるのがより好ましい。
本発明はさらに、粒状印刷材の定着に用いられる絵柄印刷塗膜用の粒状物水性定着剤であって、
この粒状物水性定着剤は、アクリルエマルション、アクリルシリコンエマルション、フッ素樹脂エマルション、ウレタンディスパーションからなる群から選択される塗膜形成水性樹脂;および粘性調整剤;を少なくとも含み、
この粒状物水性定着剤のチクソトロピーインデックスは1.5〜10であり、
この粒状物水性定着剤に含まれる塗膜形成性樹脂の硬度が、10℃における鉛筆硬度でFまたはFより低い、
粒状物水性定着剤、も提供する。
本発明はさらに、上記絵柄印刷塗膜の形成方法において、上記粒状印刷材として、砂、硅砂、カラーサンド、ビーズ、カラーチップ、鉱物チップ、ガラスチップ、木質チップ、顔料、および、カラービーズよりなる群から選ばれる材料を用いることを特徴とする、建材ボードに形成される絵柄印刷塗膜のデザイン設計方法、も提供する。
本発明によれば、鮮映で均一な画質が得られるうえ、従来の印刷方式では表現できなかった凹凸による触感までをも表現することができる絵柄印刷塗膜および粒状物水性定着剤を提供できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
絵柄印刷塗膜
本発明に係る絵柄印刷塗膜10の断面図を図1に示す。図1に示すように、本発明に係る絵柄印刷塗膜10は、被印刷物である建材ボード1に、水性ベース塗膜3、粒状物水性定着剤膜4、粒状印刷絵柄5、水性クリヤー塗膜6が順次、形成されたものである。必要に応じて、建材ボード1および水性ベース塗膜3の間にさらに、シーラー層2が設けられていてもよい。そして図1からも明らかであるように、塗膜の表面には凹凸が形成されており、凹凸による触感を表現することができるものとなっている。
建材ボード
本発明において用いられる被印刷物としての建材ボード1としては特に限定されず、例えば、窯業サイディング材およびスレート板等を用いることができる。
シーラー層
本発明において、必要に応じて建材ボード1と水性ベース塗膜3との間に設けられるシーラー層2は、シーラー塗料組成物をエアレススプレー等で建材ボードに塗装することにより形成することができる。シーラー層2を形成するのに用いられるシーラー塗料組成物としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、日本ペイント株式会社製アクリルエマルションシーラー「オーデタイト126シーラー」を用いることができる。
水性ベース塗膜
水性ベース塗膜3は、水性ベース塗料組成物を塗装することによって形成される。水性ベース塗膜を設けることによって、得られる建材ボードの意匠性を向上することができ、また粒状物水性定着剤膜の接着性などを改善することができる。水性ベース塗料組成物としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、日本ペイント株式会社から市販される中塗塗料および上塗り塗料など、例えば種々の色相のオーデパワー中塗塗料 スプレー用、およびオーデパワー中塗塗料 ロール用、そして種々の色相のオーデパワー上塗り塗料などを用いることができる。水性ベース塗膜の形成に使用する水性ベース塗料組成物は、建材ボード上に形成する絵柄印刷塗膜の意匠に応じて、2種類以上の水性ベース塗料組成物を用いてもよい。
粒状物水性定着剤膜
粒状物水性定着剤膜3は、粒状物水性定着剤を塗装することによって形成される。粒状物水性定着剤としては、アクリルエマルション、アクリルシリコンエマルション、有機無機複合エマルション、フッ素樹脂エマルションおよびウレタンディスパージョンからなる群から選択される少なくとも一種を含む塗膜形成性樹脂と、チクソトロピーインデックスを1.5以上10以下に調整する粘性制御剤と、を含有する水性ベース塗料組成物が用いられる。
塗膜形成性樹脂として用いることができるアクリルエマルションとしては、従来公知のものを用いることができ、例えば、アクリル系モノマーと必要に応じて他のエチレン性不飽和モノマーとを共重合させたものを用いることができる。具体的には、アクリル系モノマーとしては、アクリル酸又はメタクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、n−ブチルエステル、i−ブチルエステル、t−ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、ラウリルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、2−ヒドロキシエチルエステル、2−ヒドロキシプロピルエステルの他、プラクセルFM−1(メタクリル酸2−ヒドロキシエチルエステルのポリカプロラクタン付加物、ダイセル化学工業株式会社製)、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリロニトリル、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。他のエチレン性不飽和モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、イタコン酸、マレイン酸、酢酸ビニル、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
塗膜形成性樹脂として用いることができるアクリルシリコンエマルションについても、従来公知のものを用いることができる。具体的には、上記のアクリルエマルションにオルガノポリシロキサンをグラフト重合したものや、エチレン性不飽和基を有するアルコキシシランモノマーとエチレン性不飽和モノマーとを共重合させたものの他に、アルコキシシラン又はその加水分解縮合物の存在下でアルコキシシリル基と反応する官能基を有するアクリルモノマーとエチレン性不飽和モノマーとを共重合させて得られたものを挙げることができる。エチレン性不飽和基を有するアルコキシシランモノマーとしては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシブチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。なお、粒状印刷材を落下印刷する前に、例えば、グラビア印刷を行うこともできる。この際に水性ベース塗膜3が乾燥してしまう場合には、粒状印刷材を落下させる直前に透明タイプの水性ベース塗膜をさらに追加塗装してもよい。
塗膜形成性樹脂として用いることができるフッ素樹脂エマルションおよびウレタンディスパージョンはそれぞれ従来公知のものを用いることができる。フッ素含有樹脂のエマルションは、例えば、フッ素含有オレフィンと他の共重合性モノマーとを共重合することによって調製することができる。フッ素含有樹脂エマルションとしては、市販のものを用いることができ、具体的には旭硝子株式会社から市販のルミフロンFE4300、FE2310、FE4500、FE4200などが挙げられる。ウレタンディスパージョンは、ウレタン樹脂を水媒体に分散した分散体であり、フッ素含有樹脂と同様に市販品を使用することができ、具体的には楠本化成株式会社から市販のネオレッソ(NeoRez)R−9603、R967、R972、AX−311など、または第一工業製薬から市販のスーパーフレックス130などが挙げられる。
これらの塗膜形成性樹脂は、10℃における鉛筆硬度でFまたはFより低い。この硬度はF〜6Bであるのがより好ましい。塗膜形成性樹脂の鉛筆硬度がH以上である場合は、粒状物水性定着剤膜の粘着性が不足し、撒かれた粒状印刷材の定着性が不十分となる。一方、塗膜形成性樹脂の鉛筆硬度が6Bを下回る場合は、得られる絵柄印刷塗膜の塗膜強度が不十分となるおそれがある。なお粒状物水性定着剤に含まれる塗膜形成性樹脂の10℃における鉛筆硬度は、塗膜形成性樹脂を含むエマルションまたはディスパージョンを、100℃に昇温したガラス板上に塗装し、次いで100℃の高温で乾燥させることで得られる、良好な成膜状態である膜厚10μmの乾燥塗膜を形成し、次いで得られた塗膜の鉛筆硬度を10℃冷却下で測定することによって、測定することができる。
なお塗膜形成性樹脂の鉛筆硬度がH以上である場合であっても、粒状物水性定着剤に多量の有機溶媒を配合することによって、粒状物水性定着剤膜の粘着性が向上し、撒かれた粒状印刷材の定着性は向上する。しかしながらこの場合は、得られる絵柄印刷塗膜の耐温水性が低下することとなり好ましくない。
本発明の粒状物水性定着剤は、粘性制御剤を含む。用いることができる粘性制御剤として、具体的には、ヒドロキシエチルセルロース等の繊維素誘導体系、変性ポリアクリルスルホン酸塩等のポリアクリル酸系、ポリエーテルウレタン変性物等のポリエーテル系、有機ベントナイト系等が挙げられる。本発明の粒状物水性定着剤においては、上記塗膜形成性樹脂そして粘性制御剤を含むことによって、チクソトロピーインデックス(TI値)が1.5〜10の範囲に調整されていることを特徴とする。
本発明で用いられる粒状物水性定着剤に含まれる粘性制御剤の含有量は、粒状物水性定着剤の調製に用いる容器の容量および攪拌機の能力により変動を受けるものの、塗膜形成性樹脂の樹脂固形分100重量部に対して、粘性制御剤の樹脂固形分0.05〜10重量部の割合で含むのが好ましく、粘性制御剤の樹脂固形分0.15〜7重量部の割合で含むのがより好ましい。粘性制御剤が上記範囲で含まれることによって、チクソトロピーインデックス(TI値)を上記範囲に設定することができる。
ここで、チクソトロピーインデックス(TI値)とは、揺変性を示す指標であり、温度一定下で攪拌するとゾル状になり、これを放置すると再びゲル状に戻る性質を示すパラメータである。このようなチクソトロピーの状態は、顔料粒子の特性やビヒクルにもよるが、分散系でよく見られる。これは、外力によってゲルの内部構造が破壊されて流動性が増すが、静置すると粒子間の結合が再現するためである。一般に、ペーストのような分散系では回転速度に応じて粘度値が低下するが、異なる回転速度aとb(a>b)における粘度値の比を取ったものがチクソトロピーインデックスである。このチクソトロピーインデックスについては、JIS−K−5400.4.5.3の参考試験、回転粘度計による非ニュートン性の評価に準拠した方法により測定することができる。
本発明で用いられる粒状物水性定着剤のチクソトロピーインデックスは、1.5〜10であり、好ましくは1.5〜7である。チクソトロピーインデックスが1.5未満である場合には、凹凸状突起物をもつ建材ボードの立て面(建材ボードを水平に置いた場合に垂直部となる面)に粒状印刷材の付着が不十分な、いわゆる「肩スケ」を起こすこととなる。また、10を超える場合には、塗装ベース塗膜に凹凸が発生し、また塗料の貯蔵安定性が悪くなるという不具合がある。
粒状物水性定着剤の樹脂固形分は10〜50重量%であるのが好ましい。粒状物水性定着剤の樹脂固形分が10重量%未満である場合は、得られる粒状物水性定着剤膜の樹脂固形分が低いことにより粘着性が低下するおそれがあり好ましくない。また樹脂固形分が50重量%を超える場合は、粒状物水性定着剤の粘度が著しく上昇し、粒状物水性定着剤塗装後に、粒状印刷材を有効に定着することができる作業時間、つまり粒状物水性定着剤がウェット状態である時間、が短くなるおそれがあり好ましくない。
粒状印刷絵柄
粒状印刷絵柄5は、孔版印刷システムにより粒状印刷材を絵柄状に落下印刷して形成されたものである。即ち、粒状物水性定着剤の塗装によって形成されたウェット状態の粒状物水性定着剤膜4上に粒状印刷材を自然落下させて絵柄を形成したものである。ここでウェットな状態とは、粒状物水性定着剤膜が未乾燥または未硬化である状態を意味する。
粒状印刷絵柄5を形成するのに好適に用いられる孔版印刷システムの概略構成図を図2に示す。図2に示すように、この孔版印刷システムは、搬送装置12と、搬送装置12の上に設置され、円筒状の孔版21Aおよび孔版21Aの内側に接合されるドクターユニット22等を備える孔版印刷装置11と、搬送装置12の下流に配置された固着装置13と、飛散した粒状印刷材を回収する一対の第1の粒状印刷材回収装置33と、第2の粒状印刷材回収装置34と、第1、第2の粒状印刷材回収装置で回収した粒状印刷材を孔版印刷装置11に戻す粒状印刷材循環手段35とから構成されている。
図2における孔版印刷装置11の拡大断面図を図3に示す。図3に示すように、必要に応じたシーラー層、そして水性ベース塗膜および粒状物水性定着剤膜が順次形成された建材ボード31は、搬送装置12により搬送され、搬送中に孔版印刷装置11から粒状印刷材26が落下されることで粒状印刷絵柄5が形成される。固着装置13による硬化処理は、水性クリヤー塗膜6を形成する前であってもよく、形成後であってもよい。
粒状印刷材としては、砂、硅砂、カラーサンド、ビーズ、カラーチップ、鉱物チップ、ガラスチップ、木質チップ(例えば、シーナリーパウダー等)、顔料、カラービーズ等を用いることができる。これらの粒状印刷材としては、本発明における使用に対して粒度または比重が小さすぎるため空気の流れで舞い上がる粒状物以外の粒状物が好ましく用いられる。
粒状印刷材の平均粒子径は、円筒状の孔版21Aに設けられた版孔27の孔径の1/2以下の平均粒子径であることが好ましい。粒状印刷材の平均粒子径が版孔27の孔径の1/2を超えると、版孔に詰まり易くなり絵柄が不安定になるため好ましくない。粒状印刷材の平均粒子径は好ましくは40〜1000μmである。なお本明細書における粒状印刷材の平均粒子径は、マイクロスコープを用いて100個の粒径を測定し、この測定値の平均値を算出することによって測定したものである。
水性クリヤー塗膜
水性クリヤー塗膜6を形成するために用いられる水性クリヤー塗料組成物としては、アクリルエマルション、アクリルシリコンエマルション、フッ素樹脂エマルションおよびウレタンディスパージョンからなる群から選択される少なくとも一種を含む塗膜形成性樹脂を含有する水性クリヤー塗料組成物が好ましく用いられる。アクリルエマルション、アクリルシリコンエマルション、フッ素樹脂エマルションおよびウレタンディスパージョンとしては、粒状物水性定着剤膜4において例示した塗膜形成性樹脂が好ましく用いられる。
本発明においては、水性クリヤー塗膜を形成する水性クリヤー塗料組成物は、上記粒状物水性定着剤を含むのが好ましい。このように、水性クリヤー塗料組成物および粒状物水性定着剤において、同じ塗膜形成性樹脂を用いることによって、耐候性などの樹脂固有の性能がより有効に発揮されることとなるからである。
水性クリヤー塗料組成物に含まれる塗膜形成性樹脂の硬度は、10℃における鉛筆硬度でH以下であるのが好ましく、H〜5Bであるのがより好ましい。水性クリヤー塗料組成物に含まれる塗膜形成性樹脂の鉛筆硬度が上記範囲であることによって、粒状印刷材の良好な定着性、そして得られる絵柄印刷塗膜の物理的強度向上という利点を得ることができる。なお水性クリヤー塗料組成物に含まれる塗膜形成性樹脂の10℃における鉛筆硬度の測定方法は、粒状物水性定着剤における測定方法と同様である。
水性クリヤー塗膜6は、光輝材、染料、顔料、および、意匠性添加剤よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。これらは、水性クリヤー塗膜6が透明性を維持できる範囲内で配合することができ、いずれも従来公知のものを用いることができる。例えば、光輝材としては、カラーマイカ、樹脂フレークやガラスフレークの金属コート品等を用いることができる。また、顔料としては、一般に使用される塗料用顔料を用いることができるが、絵柄が見えるように、添加量は3体積%以下であることが好ましい。意匠性添加剤としては、樹脂ビーズ、樹脂カラービーズ、ガラスフレーク、シリカ粉等を用いることができる。
絵柄印刷塗膜の形成方法
本発明の絵柄印刷塗膜は、少なくとも下記工程を包含する方法によって形成することができる:
建材ボード1の上に水性ベース塗料組成物を塗装して、水性ベース塗膜3を形成する工程、
得られた水性ベース塗膜3の少なくとも一部上に粒状物水性定着剤を塗装し、粒状物水性定着剤膜4を形成する工程、
得られた粒状物水性定着剤膜4の上に、粒状物水性定着剤膜4がウェットの状態で、孔版印刷システムを用いて粒状印刷材を絵柄状に落下印刷させ、粒状印刷絵柄5を定着させる工程、および
水性クリヤー塗料組成物を塗装し、この水性ベース塗膜3、粒状物水性定着剤膜4および粒状印刷絵柄5を被覆する水性クリヤー塗膜6を形成する工程。
そしてこのような方法において、粒状物水性定着剤として上記した粒状物水性定着剤を用いることを特徴とする。
水性ベース塗膜3の形成において、水性ベース塗料組成物の塗装は通常の塗装方法を用いることができ、例えばエアースプレー、エアレススプレー、ホットエアレススプレー、ホットスプレーなどのスプレー塗装、ロールコーター塗装、ハケ塗り塗装、ヘラ塗り塗装、浸漬塗装、流し塗り塗装、カーテンフローコーター塗装などが挙げられる。また、水性ベース塗料組成物を硬化させる方法として、70〜120℃で2〜15分間加熱乾燥する方法などが挙げられる。
次いで、得られた水性ベース塗膜3の上に粒状物水性定着剤を塗装し、粒状物水性定着剤膜4を形成する。この粒状物水性定着剤を塗装する箇所は、粒状印刷絵柄5を定着させる予定の箇所である。例えば、漆喰調の絵柄印刷塗膜10を建材ボードに形成させる場合は、粒状物水性定着剤を水性ベース塗膜3の全面に塗装し、粒状物水性定着剤膜4を形成することができる。また、例えばレンガ壁調の絵柄印刷塗膜10を建材ボードに形成する場合においては、水性ベース塗膜3の上に、レンガ部となる部分(凹凸状突起物部分)に部分的に粒状物水性定着剤を塗装し、つまり水性ベース塗膜3の一部に粒状物水性定着剤を塗装し、粒状物水性定着剤膜4を形成することができる。
粒状物水性定着剤膜4の形成において、粒状物水性定着剤の塗装は、例えばロールコーター塗装、スプレー塗装、ハケ塗り塗装、ヘラ塗り塗装などによって塗装することができる。例えば、粒状物水性定着剤を水性ベース塗膜3の全面に塗装する場合は、スプレー塗装によって容易に塗装することができる。また、凹凸状突起物部分を有する建材ボード(例えばレンガ壁調)に絵柄印刷塗膜を形成する場合においては、ロールコーターを用いて、水性ベース塗膜3の上に、レンガ部となる部分(つまり凹凸状突起物部分)に、部分的に粒状物水性定着剤を容易に塗装(つまり水性ベース塗膜3の一部に粒状物水性定着剤を塗装)することができる。
粒状物水性定着剤膜4の形成において、粒状物水性定着剤の塗液塗布量は20〜160g/mであるのが好ましく、30〜140g/mであるのがより好ましい。粒状物水性定着剤の塗液塗布量が上記範囲であることによって、粒状印刷材の定着を確保することが可能となる。粒状物水性定着剤の塗液塗布量が20g/m未満である場合は、粒状印刷材の定着を確保することができないおそれがある。また粒状物水性定着剤の塗液塗布量が160g/mを超える場合は、粒状物水性定着剤を乾燥し硬化させる際に、発泡などが発生し塗膜外観が劣ることとなるおそれがある。
なお本明細書における「粒状物水性定着剤の塗液塗布量」とは、粒状物水性定着剤を塗装した直後の塗液量を意味する。この粒状物水性定着剤の塗液塗布量は、0〜50℃、湿度10〜100%の環境下において、被塗物に、粒状物水性定着剤を塗装し、0〜1分以内に塗装された塗液の重量を測定することによって求めることができる。
次いで、形成された粒状物水性定着剤膜4がウェットの状態で、粒状印刷材を絵柄状に落下印刷する。これによって、ウェット状態の粒状物水性定着剤膜4の上に、粒状印刷材が定着することとなる。粒状印刷材の落下印刷に好適に用いられる孔版印刷システムは上記の通りである。
なお、水性ベース塗膜の一部分に粒状物水性定着剤を塗装する場合は、粒状印刷材を絵柄状に落下印刷した後、粒状物水性定着剤を塗装していない部分に落下した粒状印刷材をエアーブローで除去してもよい。
粒状印刷材は上記のものを使用することができる。そして、ここで用いる粒状印刷材を種々選択することによって、得られる絵柄印刷塗膜において種々のデザインを設計することができる。例えば、粒状印刷材として、平均粒径40〜200μmの砂または硅砂を用いることによって、漆喰調の絵柄印刷塗膜を形成することができる。また、例えば粒状印刷材として平均粒径70〜500μmの砂または硅砂を用いることによって、砂岩調の手触り感を有する絵柄印刷塗膜を形成することができる。このような場合においては、必要に応じて2種またはそれ以上の色相の砂または硅砂を組み合わせて用いてもよい。
必要に応じて、上記の粒状印刷絵柄を定着させる工程の前または後であって、かつ水性クリヤー塗膜を形成する工程の前において、さらに、粒状印刷材を、ウェット状態の粒状物水性定着剤膜上に落下させてもよい。この場合は、粒状印刷材を少なくとも二回以上落下させることとなる。ウェット状態の粒状物水性定着剤膜上へ、粒状印刷材をさらに落下させるこの工程においては、上記の孔板印刷システムを用いて粒状印刷材を落下させてもよく、すなわちこの場合は孔板印刷システムを2度またはそれ以上用いて粒状印刷材を落下させることができる。
粒状印刷材をさらに落下させるこの工程においては、上記の孔板印刷システム以外の装置を用いることもできる。例えば、ふるいまたは粒状物散布装置といった当業者に用いられる装置などを用いて、粒状印刷材を全面に落下させることもできる。ここで用いることができる粒状物散布装置として、例えば、径が0.6mm〜4.0mmであり、深さが0.3mm〜3mmである円形孔部をその円周面部に複数有する回転ドラム手段と、この回転ドラム手段の円形孔部に、粒状印刷材を供給する粒状印刷材供給手段とを備えた粒状物散布装置が挙げられる。この粒状物散布装置においては、円形孔部に供給された粒状印刷材を、回転ドラム手段の回転に伴って、均一且つ安定して落下・散布することができるという利点がある。この粒状物散布装置はまた、26メッシュの篩を通過する細かな粒状印刷材を散布するのに適した装置である。なおこの粒状物散布装置の概略図を図4に示す。
なおここで落下させる粒状印刷材は、上記工程において落下させる粒状印刷材と同じものを使用してもよく、または色・形状・材質のうち少なくとも何れか1つが異なる粒状印刷材を使用してもよい。そしてこのように粒状印刷材を少なくとも二回以上落下させることによって、得られる建材ボードの質感をより複雑なものとし、またより高度に表現することができ、また建材ボードの意匠性をより複雑なものとし、そしてより向上させることができる。このように粒状印刷材を少なくとも二回以上落下させることによって、絵柄印刷塗膜において、より優れた質感を有する種々のデザインを設計することができる。
こうして粒状印刷絵柄5が定着された塗膜は、固着装置13において粒状物水性定着剤膜4を乾燥または硬化させた後に、水性クリヤー塗膜6を形成してもよく、また粒状物水性定着剤膜4がウェットの状態のまま、水性クリヤー塗膜6を形成してもよい。粒状物水性定着剤膜4を乾燥または硬化させる条件として、例えば70〜120℃で2〜15分間加熱乾燥する方法などが挙げられる。
水性クリヤー塗膜6の形成において、水性クリヤー塗料組成物の塗装は、例えばスプレー塗装、フローコーター塗装などによって塗装することができる。こうして形成された水性クリヤー塗膜6は、次いで70〜120℃で2〜5分間加熱乾燥することによって硬化塗膜となり、絵柄印刷塗膜が得られることとなる。
本発明の絵柄印刷塗膜の形成においては、粒状物水性定着剤のチクソトロピーインデックスが1.5〜10であり、かつ、粒状物水性定着剤膜に含まれる塗膜形成性樹脂の硬度が10℃における鉛筆硬度でFまたはFより低いことによって、肩スケ等の発生を伴わない、つまり凹凸状突起物をもつ建材ボードの立て面などにおいても粒状印刷材が良好に保持された絵柄印刷塗膜を得ることができることとなる。ここで、粒状物水性定着剤のチクソトロピーインデックスが1.5〜10であることによって、凹凸状突起構造を有する建材ボードなどの立て面に塗装された粒状物水性定着剤のタレが少なくなり、これにより、粒状物水性定着剤膜がウェットの状態において粒状印刷材を落下印刷することによる、粒状印刷材の良好な定着性が確保されることとなる。そしてこの粒状物水性定着剤膜に含まれる塗膜形成性樹脂の硬度が10℃における鉛筆硬度でFまたはFより低いことによって、粒状印刷材の粒状物水性定着剤膜への埋没度合いに拘束されることなく、粒状印刷材の良好な定着性が確保されることとなる。また、粒状物水性定着剤の臨界顔料濃度にも拘束されることなく、絵柄印刷塗膜における粒状印刷材の良好な付着性が確保されることとなる。なお、粒状物水性定着剤膜に含まれる塗膜形成性樹脂の硬度が低い、つまり粒状物水性定着剤膜が柔らかい、ことによって、得られる絵柄印刷塗膜の耐久性が劣ることとなるおそれがある。しかしながら、粒状物水性定着剤膜に含まれる塗膜形成性樹脂の硬度が低い場合であっても、その後に形成される水性クリヤー塗膜の硬度を適切な範囲とすることによって、耐久性により優れた絵柄印刷塗膜を得ることができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、重量基準による。
製造例1
イオン交換水44.5部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.3部をコルベンに仕込んだ。つぎにイオン交換水50部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.7部、スチレン20部、2−エチルヘキシルアクリレート27部、n−ブチルアクリレート20部、メチルメタクリレート33部、アクリル酸2部を混合した均一溶液を氷冷したのち、乳化剤として製品ホッパーに加えアジテーターで攪拌しながら4kgf/cmの駆動エアーをかけて高圧ホモジナイザー〔マイクロフルイダイザー M−110Y;みずほ工業(株)製〕で乳化した。この乳化物をセパラブルフラスコに投入し、攪拌しながらイオン交換水13部、過硫酸アンモニウム0.3部加えた。窒素置換の後65℃に加熱して4時間重合した。これにより、アクリルエマルションEm(1)を得た。得られたEm(1)を用いて、100℃に昇温したガラス板上に、ドクターブレードにより塗装し、100℃のオーブンで10分間加熱乾燥した後、10℃に冷却して測定した、厚さ10μmの乾燥塗膜の鉛筆硬度は5Bであった。
製造例2〜6
表1に示した配合の他は、上記製造例1と同様にして、Em(2)〜Em(6)を得た。得られたEmの鉛筆硬度は上記と同様に測定した。
Figure 0005039645
アクアロンHS―10:第一工業製薬(株)製、乳化重合用薬剤
KBM−503:シランカップリング剤(γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)
KR500:信越化学(株)製、シリコンオリゴマー
製造例7
粒状物水性定着剤(1)の製造
製造例1で製造したEm(1) 69部をステンレス製コルベンに秤とり、これを卓上ディスパーで撹拌した。撹拌を続けながら、水道水23.6部、25%アンモニア水0.3部、50%ブチセロ水(ブチルセロソルブ水溶液)6.1部、アデカネートB940(アデカ社製消泡剤)を0.3部、チヌビン292(長瀬産業(株)から市販の紫外線吸収剤)0.7部、SNシックナー640/水=1/1混合物 2部を順に加えて、粒状物水性定着剤(1)を得た。
製造例8〜18
粒状物水性定着剤(2)〜(12)の製造
表2〜3に示した配合の他は、上記製造例7と同様にして、粒状物水性定着剤(2)〜(12)を得た。
製造例7〜18により得られた粒状物水性定着剤(1)〜(12)のチクソトロピーインデックスは、下記により測定した。
チクソトロピーインデックスの測定
JIS−K−5400に準拠し、デジタル表示型回転粘度計(Brook Field社製、DV−1+型 B型粘度計)にて、25℃における回転数6rpmの粘度(A)と、回転数60rpmの粘度(B)とを測定し、(A)/(B)を算出して、チクソトロピーインデックス値とした。
Figure 0005039645
Figure 0005039645
上記表2、3中、
ルミフロンFE4300:旭硝子社製、フッ素エマルション
NeoRez R9603:DSM社製、ウレタンディスパージョン
アデカネートB940:ADEKA社製、消泡剤
チヌビン292:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、光安定剤
CS−12:2,2,−トリメチルー1,3−ペンタンヂオールモノイソブチレート溶剤
SNシックナー640:サンノプコ社製、増粘剤
を示す。
また、上記ルミフロンFE4300、NeoRez R9603の2種類の樹脂の鉛筆硬度は、製造例1の手順と同様にして測定した。
製造例19〜24
水性クリヤー塗料組成物(1)〜(6)の製造
表4に示した配合により、水性クリヤー塗料組成物(1)〜(6)を製造した。
Figure 0005039645
メタシャインMC515OPS:日本板硝子社製、光輝性顔料
実施例1〜18および比較例1〜4
基材として、16mm厚、レンガ柄エンボス スレート板を用い、基材上に以下の工程でシーラー層、水性ベース塗膜および粒状物水性定着剤膜の形成、粒状印刷材散布、および水性クリヤー塗膜の形成を行い、絵柄印刷塗膜を得た。
シーラー層形成:40℃に加熱した基材に、オーデタイト シーラー(日本ペイント社製、アクリルエマルション系塗料組成物) 30g/m(固形分)をスプレー塗装した。次いで80℃で3分間加熱乾燥した。
水性ベース塗膜形成:得られたシーラー層の上に、オーデパワー中塗グレー(日本ペイント社製) 35g/m(固形分)をスプレー塗装した。次いで100℃で5分間加熱乾燥した。
粒状物水性定着剤膜形成:製造例7〜18により得られた、表5〜7に記載の粒状物水性定着剤(1)〜(12)何れかを、15〜20秒/NK2カップ・室温に希釈し、スプレー塗装した。
粒状印刷材散布:粒状物水性定着剤を塗装した後、20秒以内に、粒状印刷材(着色珪砂 67クリーム)を200g/mの散布量で散布した。
水性クリヤー塗膜形成:製造例19〜24によって調製された水性クリヤー塗料組成物(1)〜(6)いずれかを、15〜20秒/NK2カップ・室温に希釈し、粒状印刷材の散布から1分後に、100g/m(塗液塗布量)をスプレー塗装した。その後、室温で3分間セッティングし、次いで100℃オーブンで10分間、加熱乾燥した。
得られた絵柄印刷塗膜を下記の評価方法で評価し、結果を表5〜7に示す。
粒状印刷材の定着性を、以下の基準により目視評価を行った。

粒状印刷材定着性(1)
○:平面部の粒状物水性定着剤がウェット状態で良好な粘着性があり、撒かれた粒状印刷材を定着できている。
×:平面部の粒状物水性定着剤の粘着性が不足し、撒かれた粒状印刷材の定着性が不十分である。

粒状印刷材定着性(2)
○:エンボスエッジや斜面部の粒状物水性定着剤のタレが少なく、撒かれた粒状印刷材を定着できている。
×:エンボスエッジや斜面部の粒状物水性定着剤のタレが著しく、薄膜となってエッジや斜面部の粒状印刷材定着が不十分である。
付着性
上記実施例および比較例で得られた絵柄印刷塗膜を、JIS−K−5600.5.6に準拠した方法(2mm間隔)により付着性試験を行った。評価は下記の基準により行った。
○:剥離はみられない
×:剥離が存在する
耐温水性
上記実施例および比較例で得られた絵柄印刷塗膜を、60℃の温水に24時間浸漬した。温水から取り出した後、20℃で24時間乾燥し、その後、絵柄印刷塗膜に変化が生じているか目視評価した。
○:外観に変化は見られない
△:僅かに白化が見られる
×:明らかな白化が確認される
促進耐候性
上記実施例および比較例で得られた絵柄印刷塗膜を、大日本プラスチック社製ダイプラ・メタルウェザーで促進試験(4時間照射および4時間湿潤のサイクル)を800時間行い、その後の塗膜外観を評価した。
○:色差△E2未満であり、大きな変色は確認されない
△:色差△E2以上4未満であり変色が確認されるものの、目視評価においては大きな違和感はみられない
×:色差△E4以上であり、著しい変色が確認される
Figure 0005039645
Figure 0005039645
Figure 0005039645
上記表5〜7に示されるとおり、本発明の粒状物水性定着剤を用いた実施例1〜16においては、粒状印刷材の定着性に優れること、付着性、耐温水性および促進耐候性に優れることが確認された。一方、粒状物水性定着剤のチクソトロピーインデックスが1.5未満である比較例1においては、斜面部などにおける粒状印刷材の定着が不十分であり、得られた粒状印刷絵柄においてはその斜面部の凹凸触感が不十分であった。また、粒状物水性定着剤膜に含まれる塗膜形成性樹脂の硬度がFより硬いHである比較例2においては、粒状印刷材の定着が不十分であった。なお塗膜形成性樹脂の硬度がFより硬いHであっても、有機溶剤を多量に配合することによって、粒状印刷材の定着性は向上するが、この場合は耐温水性が劣ることとなることが確認された。粒状物水性定着剤膜の形成において、粒状物水性定着剤の塗液塗布量が20g/m未満である比較例4においてもまた、粒状印刷材の定着が不十分であることが確認された。
実施例19〜21
以下の実施例19〜21は、粒状印刷材を二回以上落下させる態様の実施例である。なお粒状印刷材として下記A〜Dを予め調製した。
Figure 0005039645
*:ポッターズバロティーニ社製、低アルカリ硼珪酸ガラス(粒径425〜600mm)
実施例19
16mm厚さの石柄エンボスが付されたスレート板(目地なし)を40℃に加熱し、オーデタイト シーラー(日本ペイント社製、アクリルエマルション系塗料組成物) 30g/m(固形分)をスプレー塗装した。次いで加熱乾燥して、シーラー層を形成した。
スレート板を55℃に昇温した後、得られたシーラー層の上に、オーデパワー中塗クリーム色(日本ペイント社製) 35g/m(固形分)をスプレー塗装し、次いで加熱乾燥して水性ベース塗膜を形成した。
スレート板を65℃に昇温した後、製造例7で調製した粒状物水性定着剤(1)を、15〜20秒/NK2カップ・室温に希釈し、100g/m(塗液塗布量)となるようスプレー塗装した。スプレー塗装後すぐに、図4に示される粒状物散布装置を用いて、上記粒状印刷材Aを200g/mの散布量でスレート板の全面に散布した。次いで、図2の孔版印刷システムを用いて、上記粒状印刷材Bを100g/mの散布量でスレート板の絵柄部分(すなわちスレート板の一部面)に散布した。これらの粒状印刷材の散布は、粒状物水性定着剤(1)塗装後20秒以内に行った。
次いで、製造例19によって調製された水性クリヤー塗料組成物(1)を、15〜20秒/NK2カップ・室温に希釈し、粒状印刷材の散布から1分後に、100g/m(塗液塗布量)となるようスプレー塗装した。その後、室温で3分間セッティングし、次いで100℃オーブンで10分間、加熱乾燥した。これにより、石柄模様を有する絵柄印刷塗膜が得られた。
実施例20
16mm厚さの石柄エンボスが付されたスレート板(目地なし)を40℃に加熱し、オーデタイト シーラー(日本ペイント社製、アクリルエマルション系塗料組成物) 30g/m(固形分)をスプレー塗装した。次いで加熱乾燥して、シーラー層を形成した。
スレート板を55℃に昇温した後、得られたシーラー層の上に、オーデパワー中塗クリーム色(日本ペイント社製) 35g/m(固形分)をスプレー塗装し、次いで加熱乾燥して水性ベース塗膜を形成した。
スレート板を65℃に昇温した後、製造例7で調製した粒状物水性定着剤(1)を、15〜20秒/NK2カップ・室温に希釈し、100g/m(塗液塗布量)となるようスプレー塗装した。スプレー塗装後すぐに、図4に示される粒状物散布装置を用いて、上記粒状印刷材Aを200g/mの散布量でスレート板の全面に散布した。次いで、図2の孔版印刷システムを用いて、上記粒状印刷材Bを50g/mの散布量でスレート板の絵柄部分(すなわちスレート板の一部面)に散布し、次いでこの孔版印刷システムを用いて、上記粒状印刷材Cを50g/mの散布量でスレート板の絵柄部分(すなわちスレート板の一部面)に散布した。これらの粒状印刷材の散布は、粒状物水性定着剤(1)塗装後20秒以内に行った。
次いで、製造例19によって調製された水性クリヤー塗料組成物(1)を、15〜20秒/NK2カップ・室温に希釈し、粒状印刷材の散布から1分後に、100g/m(塗液塗布量)となるようスプレー塗装した。その後、室温で3分間セッティングし、次いで100℃オーブンで10分間、加熱乾燥した。これにより、石柄模様を有する絵柄印刷塗膜が得られた。
実施例21
16mm厚さのレンガ柄エンボスが付されたスレート板(目地あり)を40℃に加熱し、オーデタイト シーラー(日本ペイント社製、アクリルエマルション系塗料組成物) 30g/m(固形分)をスプレー塗装した。次いで加熱乾燥して、シーラー層を形成した。
スレート板を55℃に昇温した後、得られたシーラー層の上に、オーデパワー中塗グレー(日本ペイント社製) 35g/m(固形分)をスプレー塗装し、次いで加熱乾燥した。次いでスレート板を65℃に昇温した後、オーデパワー上塗りベージュ色(日本ペイント社製)を、ロール塗装で、20g/m(固形分)の量で塗装し、次いで加熱乾燥した。こうして、スレート板の凸部に上塗りベージュ塗料が塗装された、水性ベース塗膜を形成した。
スレート板を65℃に昇温した後、製造例7で調製した粒状物水性定着剤(1)を、ロール塗装で、40g/m(塗液塗布量)となるよう塗装した。こうして、スレート板の凸部に粒状物水性定着剤(1)が塗装された。次いで図4に示される粒状物散布装置を用いて、上記粒状印刷材Dを200g/mの散布量でスレート板の全面に散布した。次いで、図2の孔版印刷システムを用いて、上記粒状印刷材Bを20g/mの散布量でスレート板の絵柄部分(すなわちスレート板の一部面)に散布した。これらの粒状印刷材の散布は、粒状物水性定着剤(1)塗装後20秒以内に行った。その後、余剰の粒状印刷材をエアーブローで除去した。
次いで、製造例19によって調製された水性クリヤー塗料組成物(1)を、15〜20秒/NK2カップ・室温に希釈し、粒状印刷材の散布から1分後に、100g/m(塗液塗布量)となるようスプレー塗装した。その後、室温で3分間セッティングし、次いで100℃オーブンで10分間、加熱乾燥した。これにより、レンガ柄模様を有する絵柄印刷塗膜が得られた。
本発明によって、鮮映で均一な画質が得られるうえ、従来の印刷方式では表現できなかった凹凸による触感までをも表現することができる絵柄印刷塗膜および粒状物水性定着剤を提供できることが確認された。本発明の絵柄印刷塗膜は、このような凹凸感触が優れることに加えて、耐温水性および促進耐候性にも優れているため、建材ボードの絵柄印刷塗膜として非常に好適なものである。
本発明の絵柄印刷塗膜の断面図である。 孔版印刷装置の概略構成図である。 図2の孔版印刷装置付近の拡大断面図である。 粒状印刷材を全面に落下させることができる粒状物散布装置の概略構成図である。
符号の説明
1 建材ボード
2 シーラー層
3 水性ベース塗膜
4 粒状物水性定着剤膜
5 粒状印刷材
6 水性クリヤー塗膜
10 絵柄印刷塗膜
11 孔版印刷装置
12 搬送装置
13 固着装置
21A 孔版
22 ドクターユニット
23 粒状印刷材均し装置
24 版カバー
25 孔つまり対策用エアーノズル
26 粒状印刷材
27 版孔
28 ドクター
31 建材ボード
32 搬送コンベヤー
33 第1の粒状印刷材回収装置
34 第2の粒状印刷材回収装置
35 粒状印刷材循環手段
36 ヒーター
37 固着装置部コンベヤー

Claims (10)

  1. 建材ボードの上に形成される絵柄印刷塗膜であって、
    該絵柄印刷塗膜は、
    該建材ボードの表面を被覆する水性ベース塗膜、
    該水性ベース塗膜の少なくとも一部上に形成された粒状物水性定着剤膜、
    該粒状物水性定着剤膜によって定着された粒状印刷絵柄、および
    該水性ベース塗膜、粒状物水性定着剤膜および粒状印刷絵柄を被覆する水性クリヤー塗膜、
    から構成される複層塗膜であり、
    該粒状印刷絵柄は、孔版印刷システムにより粒状印刷材を絵柄状に落下印刷して形成された絵柄であり、
    該粒状物水性定着剤膜は、粒状物水性定着剤を塗液塗布量20〜160g/mで塗装して得られる塗膜であり、該粒状物水性定着剤は、アクリルエマルション、アクリルシリコンエマルション、フッ素樹脂エマルション、ウレタンディスパーションからなる群から選択される塗膜形成水性樹脂;および粘性調整剤;を少なくとも含む定着剤であり、
    該粒状物水性定着剤のチクソトロピーインデックスは1.5〜10であり、
    該粒状物水性定着剤膜に含まれる塗膜形成性樹脂の硬度が、10℃における鉛筆硬度でFまたはFより低い、
    絵柄印刷塗膜。
  2. 前記粒状印刷材は、砂、硅砂、カラーサンド、ビーズ、カラーチップ、鉱物チップ、ガラスチップ、木質チップ、顔料、および、カラービーズよりなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1記載の絵柄印刷塗膜。
  3. 前記建材ボードおよび水性ベース塗膜の間にさらに、シーラー層が設けられている、請求項1または2記載の絵柄印刷塗膜。
  4. 建材ボードの上に形成される絵柄印刷塗膜の形成方法であって、下記工程:
    建材ボードの上に水性ベース塗料組成物を塗装し、水性ベース塗膜を形成する工程、
    得られた水性ベース塗膜の全面に粒状物水性定着剤を塗液塗布量20〜160g/mで塗装し、粒状物水性定着剤膜を形成する工程、
    得られた粒状物水性定着剤膜の上に、粒状物水性定着剤膜がウェットの状態で、孔版印刷システムを用いて粒状印刷材を絵柄状に落下印刷させ、粒状印刷絵柄を定着させる工程、および
    水性クリヤー塗料組成物を塗装し、該水性ベース塗膜、粒状物水性定着剤膜および粒状印刷絵柄を被覆する水性クリヤー塗膜を形成する工程:
    を少なくとも包含し、
    該粒状物水性定着剤は、アクリルエマルション、アクリルシリコンエマルション、フッ素樹脂エマルション、ウレタンディスパーションからなる群から選択される塗膜形成水性樹脂;および粘性調整剤;を少なくとも含む定着剤であり、
    該粒状物水性定着剤のチクソトロピーインデックスは1.5〜10であり、
    該粒状物水性定着剤膜に含まれる塗膜形成性樹脂の硬度が、10℃における鉛筆硬度でFまたはFより低い、
    絵柄印刷塗膜の形成方法。
  5. 建材ボードの上に形成される絵柄印刷塗膜の形成方法であって、下記工程:
    建材ボードの上に水性ベース塗料組成物を塗装し、水性ベース塗膜を形成する工程、
    得られた水性ベース塗膜の一部に粒状物水性定着剤を塗液塗布量20〜160g/mで塗装し、粒状物水性定着剤膜を形成する工程、
    得られた粒状物水性定着剤膜の上に、粒状物水性定着剤膜がウェットの状態で、孔版印刷システムを用いて粒状印刷材を絵柄状に落下印刷させ、粒状印刷絵柄を定着させる工程、および
    水性クリヤー塗料組成物を塗装し、該水性ベース塗膜、粒状物水性定着剤膜および粒状印刷絵柄を被覆する水性クリヤー塗膜を形成する工程:
    を少なくとも包含し、
    該粒状物水性定着剤は、アクリルエマルション、アクリルシリコンエマルション、フッ素樹脂エマルション、ウレタンディスパーションからなる群から選択される塗膜形成水性樹脂;および粘性調整剤;を少なくとも含む定着剤であり、
    該粒状物水性定着剤のチクソトロピーインデックスは1.5〜10であり、
    該粒状物水性定着剤膜に含まれる塗膜形成性樹脂の硬度が、10℃における鉛筆硬度でFまたはFより低い、
    絵柄印刷塗膜の形成方法。
  6. 前記粒状印刷絵柄を定着させる工程の前または後であって、かつ水性クリヤー塗膜を形成する工程の前において、さらに、ウェット状態の粒状物水性定着剤膜上に粒状印刷材を落下させる工程、を包含する、請求項4または5記載の絵柄印刷塗膜の形成方法。
  7. 前記水性クリヤー塗膜を形成する水性クリヤー塗料組成物は、前記粒状物水性定着剤を含む、請求項4〜6いずれかに記載の絵柄印刷塗膜の形成方法。
  8. 前記粒状印刷絵柄を定着させる工程は、ウェットの状態の粒状物水性定着剤膜の上に、孔版印刷システムを用いて粒状印刷材を絵柄状に落下印刷させ、次いで余剰の粒状印刷材をエアーブローで除去することによって、粒状印刷絵柄を定着させる工程である、請求項4〜7いずれかに記載の絵柄印刷塗膜の形成方法。
  9. 粒状印刷材の定着に用いられる絵柄印刷塗膜用の粒状物水性定着剤であって、
    該粒状物水性定着剤は、アクリルエマルション、アクリルシリコンエマルション、フッ素樹脂エマルション、ウレタンディスパーションからなる群から選択される塗膜形成水性樹脂;および粘性調整剤;を少なくとも含み、
    該粒状物水性定着剤のチクソトロピーインデックスは1.5〜10であり、
    該粒状物水性定着剤に含まれる塗膜形成性樹脂の硬度が、10℃における鉛筆硬度でFまたはFより低い、
    粒状物水性定着剤。
  10. 請求項4〜8いずれかに記載の絵柄印刷塗膜の形成方法において、前記粒状印刷材として、砂、硅砂、カラーサンド、ビーズ、カラーチップ、鉱物チップ、ガラスチップ、木質チップ、顔料、および、カラービーズよりなる群から選ばれる材料を用いることを特徴とする、建材ボードに形成される絵柄印刷塗膜のデザイン設計方法。
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