JP5039409B2 - 非常油ポンプのポンプ駆動機構及び駆動ポンプ切換方法 - Google Patents
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Description
図示の例では、非常油ポンプ(EOP)を駆動するEOPモータ1と、非常用シールオイルポンプ(ESOP)を駆動するESOPモータ2とが非常用電源である蓄電池3に接続されている。EOPモータ1と蓄電池3との間、及びESOPモータ2と蓄電池3との間には、それぞれ始動電流制限抵抗4,5が設けられている。この始動電流制限抵抗4,5は、直流電動機であるEOPモータ1及びESOPモータ2への突入電流を抑えるとともに、蓄電池3の負担軽減を目的とするものである。すなわち、始動電流制限抵抗4,5は、EOPモータ1及びESOPモータ2の始動時において、直列に接続した複数の抵抗要素を介して起動した後、スイッチ操作により徐々にバイパスする抵抗要素の数を増やすものであり、最終的には全ての抵抗要素をバイパスして直流電動機に必要な電力が給電される。なお、図中の符号6,7は、EOPモータ1またはESOPモータ2の運転時にONとされる主遮断機である。
一方、始動電流制限抵抗についても、上述した直流電動機と同様に、納期の長さや、バイパス回路の入手先が限定されて少ないという問題を有している。なお、始動電流制限抵抗の場合、始動時の電流は抵抗要素の数に応じてステップ状の変化をすることになる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容易に入手可能な機器を使用して、非常油ポンプを滑らかに起動することができる非常油ポンプのポンプ駆動機構及び駆動ポンプ切換方法を提供することにある。
本発明は、停電時に非常電源を用いて回転機械に潤滑油を供給する非常油ポンプのポンプ駆動機構において、前記非常油ポンプの駆動源が前記非常電源から常用インバータまたは予備インバータを介して給電を受ける交流電動機とされ、前記交流電動機は、交流電動機の起動指令信号と、前記常用インバータの異常信号と、前記予備インバータの正常信号とが全て揃った場合に前記予備インバータを介して起動されることを特徴とするものである。
すなわち、非常油ポンプの駆動源が非常電源からインバータを介して給電を受ける交流電動機とされ、常用及び予備のインバータが設けられているので、非常油ポンプの交流電動機は、非常電源から常用または予備のインバータを介して交流電源の給電を受ける。そして、インバータを採用することにより、始動時の電流を滑らかに変化させることができる。
この場合、前記交流電動機として優先順位の異なる複数が存在し、各交流電動機に専用の常用インバータが設けられるとともに前記予備インバータを共用とする場合、前記交流電動機の優先順位下位側は、前記交流電動機の優先順位上位側において前記常用インバータの故障信号及び電動機起動指令がないことを必要条件にして前記予備インバータにより起動されることが好ましく、これにより、予備インバータは優先順位上位の交流電動機の優先的な始動に使用可能となる。
図4は、ガスタービン及びその排熱を用いた発電装置概要を示す構成図である。
図示の発電装置10は、ガスタービン11、高圧蒸気タービン12及び低圧蒸気タービン13を備えている。高圧蒸気タービン12及び低圧蒸気タービン13は、ガスタービン11を運転して得られる排気ガスの熱を用いて生成した蒸気により駆動される。この発電装置10は、ガスタービン11、高圧蒸気タービン12及び低圧蒸気タービン13が同軸に連結され、さらに、これらを駆動源とするため出力軸と連結された発電機14が運転されて発電するように構成されている。
潤滑装置20は、所望の潤滑油量を貯蔵可能な貯油槽21を備えている。この貯油槽21には、潤滑油を各回転機械へ供給する常用潤滑油ポンプ(MOP)22及び非常油ポンプ(EOP)23が設けられている。なお、図中の符号21aは網部材であり、常用潤滑油ポンプ22及び非常油ポンプ23が吸い込む潤滑油と、貯油槽21に回収した潤滑油との間に配設されて異物の流通を防止している。
常用電源40は買電等の交流電源であり、常用電動機22aには交流電動機が使用されている。
一方、非常電源50は蓄電池等の直流電源であり、後述するインバータを介して非常電動機23aに給電される。この非常電動機23aは、直流電源である非常電源50をインバータにより変換した交流電源の給電を受けて駆動される交流電動機である。
常用シールオイルポンプ62は常用電動機(SOPモータ)62aを駆動源として運転され、非常用シールオイルポンプ(ESOP)63は非常用シールオイル電動機(ESOPモータ)63aを駆動源として運転される。なお、図中の符号64は発電機14へ連結されたシールオイル供給管、65は非常用シールオイル供給管、66はシールオイル回収管である。
図示の電源切換装置30は、非常油ポンプ23を駆動する非常電動機(EOPモータ)23aと、非常用シールオイルポンプ(ESOP)63を駆動するESOPモータ63aとの二つの非常用電動機について、停電により潤滑油ポンプ22や常用シールオイルポンプ62を使用できなくなった場合に非常電源50の給電を受けて起動させるものである。ここで使用する非常電源50は、たとえば充電器51を備えた蓄電池が使用される。
なお、以下の説明においては、EOPモータ23aの出力がESOPモータ63aよりも大きく、かつ、非常時に運転する優先順位は、EOPモータ23aがESOPモータ63aより上位にあるものとする。
ESOPモータ63aは、ESOP常用インバータ33及び切換スイッチ34を介して非常電源50と接続されている。この場合、ESOP常用インバータ33は、小出力のESOPモータ63aに仕様を合わせた専用の常用インバータである。
切換スイッチ34は、ESOPモータ63aに給電する非常電源系統を選択して切り換えるものである。この場合の切換スイッチ34は、ESOPモータ63aに給電するインバータとして、ESOP常用インバータ33または予備インバータ35のいずれか一方を選択することができる。
最初のステップS1でスタートすると、ステップS11及びステップS21に進んで起動指令の有無を確認する。
ステップS11では、停電等の理由により常用電源40を使用できない状況となり、常用潤滑油ポンプ(MOP)22に代えて非常油ポンプ(EOP)23の起動指令が出されたか否かを判断する。この結果、EOP起動指令がない「NO」の場合には、EOP起動指令が出るまで同様の判断を継続して状況を監視する。なお、この実施形態では、出力の大きいEOPモータ23aを始動するEOP起動指令が、出力の小さいESOPモータ63aを始動するESOP起動指令よりも優先順位が上位にあるものとする。
一方、ステップS13において予備インバータ35が正常と判断された「YES」の場合には、次のステップS2に進むことにより、正常な予備インバータ35を用いて電流値を滑らかに上昇変化させながらEOPモータ23aを始動して非常油ポンプ23の起動が行われる。
この結果、ステップS21においては、停電等の理由により常用電源40を使用できない状況になると、常用シールオイルポンプ(SOP)62に代えて、非常用シールオイルポンプ(ESOP)63の起動指令が出されたか否かを判断する。この結果、ESOP起動指令がない「NO」の場合には、ESOP起動指令が出るまで同様の判断を継続して状況を監視する。なお、この実施形態では、EOPモータ23aを始動するEOP起動指令の優先順位が、ESOP駆動用のESOPモータ63aを始動するESOP起動指令より上位にある。
すなわち、EOP起動指令がなく、しかも、EOP常用インバータ31に故障がないことを判断する。
しかし、ステップS23の判断において、EOP起動指令やEOP常用インバータ31の故障の内少なくとも一方がある「NO」の場合には、予備インバータ35の優先使用権がEOPモータ23aにあるため、次のステップS5に進んでESOPモータ63aは起動失敗となる。
以下では、上述した故障率の低下について、図3及び図6に基づいて具体的に算出した故障率を示して説明する。
1)主遮断機6(λms);0.059×10−3
2)補助遮断機8の接点(λcs);0.21×10−3
3)補助遮断機8の動作用補助リレー(λcr);0.036×10−3
4)抵抗短絡用スイッチC1の接点(λcs1);0.21×10−3
5)抵抗短絡用スイッチC1の動作用補助リレー(λcr1);0.057×10−3
6)抵抗短絡用スイッチC2の接点(λcs2);0.21×10−3
7)抵抗短絡用スイッチC2の動作用補助リレー(λcr2);0.057×10−3
8)抵抗短絡用スイッチC3の接点(λcs3);0.21×10−3
9)抵抗短絡用スイッチC3の動作用補助リレー(λcr3);0.057×10−3
λt=λms+λcs+λcr+λcs1+λcr1+λcs2+λcr2+λcs3+λcr3
=(0.059+0.21×4+0.036+0.057×3)×10−3
=1.106×10−3
1)主遮断機36、37(λmsa,λmsb);0.059×10−3
2)インバータ31,35(λiia,λiib);1.786×10−6
3)切換スイッチ32の動作用補助リレー(λcr);0.036×10−3
4)切換スイッチ32の接点(λcs);0.21×10−3
従って、切換スイッチ32の故障率λcは、λc=λcr+λcs=0.246×10−3となる。
主遮断機36,37については、納期及び交換に必要となる期間Tmsa,Tmsbを合計90日(2160時間)に設定する。
同様に、インバータ31,35についても、納期及び交換に必要となる期間Tiia,Tiibを合計90日(2160時間)に設定する。
切換スイッチ32については、在庫として保有する予備品との交換に必要な期間Tcrを1日(24時間)に設定する。
λi=(λmsa+λiia)×Tiia×(λmsb+λiib)
+(λiia+λmsa)×Tmsb×(λiib+λmsb)
+λiia×Tiia×λc
+λc×Tc×λiia
=(0.059×10−3+1.786×10−6)2×2160
+(1.786×10−6+0.059×10−3)2×2160
+1.786×10−6×2160×0.059×10−3
+0.246×10−3×24×1.786×10−6
=16.92×10−6
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
23 非常油ポンプ(EOP)
23a 非常電動機(EOPモータ)
30 電源切換装置
31 EOP常用インバータ
32,34 切換スイッチ
33 ESOP常用インバータ
35 予備インバータ
50 非常電源
63 非常用シールオイルポンプ(ESOP)
63a 非常用シールオイル電動機(ESOPモータ)
Claims (4)
- 停電時に非常電源を用いて回転機械に潤滑油を供給する非常油ポンプのポンプ駆動機構において、
前記非常油ポンプの駆動源が前記非常電源から常用インバータまたは予備インバータを介して給電を受ける交流電動機とされ、
前記交流電動機は、交流電動機の起動指令信号と、前記常用インバータの異常信号と、前記予備インバータの正常信号とが全て揃った場合に前記予備インバータを介して起動されることを特徴とする非常油ポンプのポンプ駆動機構。 - 前記交流電動機として優先順位の異なる複数が存在し、各交流電動機に専用の常用インバータが設けられるとともに前記予備インバータを共用とする場合、前記交流電動機の優先順位下位側は、前記交流電動機の優先順位上位側において前記常用インバータの故障信号及び電動機起動指令がないことを必要条件にして前記予備インバータにより起動されることを特徴とする請求項1に記載の非常油ポンプのポンプ駆動機構。
- 停電時に非常電源を用いて回転機械に潤滑油を供給する非常油ポンプの駆動ポンプ切換方法において、
前記非常油ポンプの駆動源が前記非常電源から常用インバータまたは予備インバータを介して給電を受ける交流電動機とされ、
前記交流電動機は、交流電動機の起動指令信号と、前記常用インバータの異常信号と、前記予備インバータの正常信号とが全て揃った場合に前記予備インバータを介して起動されることを特徴とする非常油ポンプの駆動ポンプ切換方法。 - 前記交流電動機として優先順位の異なる複数が存在し、各交流電動機に専用の常用インバータが設けられるとともに前記予備インバータを共用とする場合、前記交流電動機の優先順位下位側は、前記交流電動機の優先順位上位側において前記常用インバータの故障信号及び電動機起動指令がないことを必要条件にして前記予備インバータにより起動されることを特徴とする請求項3に記載の非常油ポンプの駆動ポンプ切換方法。
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