JP5038994B2 - 観察装置および観察方法 - Google Patents

観察装置および観察方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5038994B2
JP5038994B2 JP2008211990A JP2008211990A JP5038994B2 JP 5038994 B2 JP5038994 B2 JP 5038994B2 JP 2008211990 A JP2008211990 A JP 2008211990A JP 2008211990 A JP2008211990 A JP 2008211990A JP 5038994 B2 JP5038994 B2 JP 5038994B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
path length
optical path
length difference
light
observation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008211990A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010048619A (ja
Inventor
豊彦 山内
秀直 岩井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hamamatsu Photonics KK
Original Assignee
Hamamatsu Photonics KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hamamatsu Photonics KK filed Critical Hamamatsu Photonics KK
Priority to JP2008211990A priority Critical patent/JP5038994B2/ja
Priority to DE112009002073.9T priority patent/DE112009002073B4/de
Priority to US13/059,860 priority patent/US9080861B2/en
Priority to PCT/JP2009/064520 priority patent/WO2010021343A1/ja
Publication of JP2010048619A publication Critical patent/JP2010048619A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5038994B2 publication Critical patent/JP5038994B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Description

本発明は、観察対象物を観察する方法および装置に関するものである。
干渉光学系を用いて対象物を観察または測定する装置として、特許文献1に開示されたものが知られている。この文献に開示された装置は、対象物からの反射光とミラーからの反射光とによる干渉縞の振幅ピークが両反射光の光路長差に依存することを利用して、干渉縞の振幅ピークに基づいて対象物を観察または測定する。
特開平9−218016号公報
しかしながら、特許文献1に開示された装置は、細胞等の対象物の詳細な情報を得ることができない。本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、細胞等の対象物の詳細な情報を得ることができる観察装置および観察方法を提供することを目的とする。
本発明に係る観察装置は、(1) 光を出力する光源と、(2) 該光源から出力された光を2分岐して第1分岐光および第2分岐光として出力し、第1分岐光がミラーにより反射されて生じる第1反射光を入力するとともに、第2分岐光が観察対象物の表面または内部で反射されて生じる第2反射光を入力して、これら第1反射光と第2反射光とを干渉させて当該干渉光を出力する干渉光学系と、(3) 干渉光学系から出力される干渉光を結像する結像光学系と、(4) 結像光学系により結像された干渉光像を撮像する撮像部と、(5) 光源から観察対象物の基準位置を経て撮像部に到るまでの光路長と、光源からミラーを経て撮像部に到るまでの光路長との、光路長差を調整する光路長差調整手段と、(6) 光路長差が各目標値に順次になるように光路長差調整手段による光路長差調整動作を制御する制御部と、を備える。
本発明に係る観察装置は、更に、位相シフト法により光路長差調整手段により光路長差が各目標値に順次に設定されて撮像部により撮像された干渉光像の複素振幅を求め、この求めた複素振幅の一定時間当りの変化量の絶対値と該複素振幅の絶対値とに基づいて、観察対象物の表面または内部で生じた第2反射光の位相成分の一定時間当りの変化量を求める解析部を備えることを特徴とする。
本発明に係る観察方法は、上記のような光源,干渉光学系,結像光学系,撮像部,光路長差調整手段および制御部を用い、位相シフト法により光路長差調整手段により光路長差が各目標値に順次に設定されて撮像部により撮像された干渉光像の複素振幅を求め、この求めた複素振幅の一定時間当りの変化量の絶対値と該複素振幅の絶対値とに基づいて、観察対象物の表面または内部で生じた第2反射光の位相成分の一定時間当りの変化量を求めることを特徴とする。
本発明に係る観察装置は、解析部により求められた第2反射光の位相成分の一定時間当りの変化量の空間的分布を画像表示する表示部を更に備えるのが好適である。本発明に係る観察方法は、第2反射光の位相成分の一定時間当りの変化量の空間的分布を表示部により画像表示するのが好適である。
本発明に係る観察装置は、解析部が観察対象物の複数のスライス面それぞれについて第2反射光の位相成分の一定時間当りの変化量を求めるのが好適である。本発明に係る観察方法は、観察対象物の複数のスライス面それぞれについて第2反射光の位相成分の一定時間当りの変化量を求めるのが好適である。
本発明に係る観察装置は、光路長差を検出する光路長差検出手段を更に備え、光路長差検出手段による検出結果に基づいて光路長差調整手段が光路長差を調整するのが好適である。本発明に係る観察方法は、光路長差を検出する光路長差検出手段を更に用い、光路長差検出手段による検出結果に基づいて光路長差調整手段により光路長差を調整するのが好適である。
本発明に係る観察装置または本発明に係る観察方法では、(a) 光路長差調整手段が、観察対象物およびミラーのうち一方の第1対象物を移動させる第1移動手段と、観察対象物およびミラーのうち他方の第2対象物を移動させる第2移動手段とを含み、第1移動手段または第2移動手段による移動動作により光路長差を調整し、(b) 第1移動手段が、第2移動手段の作動範囲より狭い作動範囲を有するとともに、第2移動手段の位置精度より高い位置精度を有し、(c) 第2移動手段が、干渉光学系と第2対象物との間の光学系を維持したまま第2対象物を移動させ、(d) 制御部が、光路長差の各目標値において第1移動手段による移動量が作動範囲内の所定範囲内となるように第2移動手段による移動動作を連続的または断続的に行わせ、第2移動手段による移動動作の際にも光路長差が各目標値になるように第1移動手段による移動動作をフィードバック制御するのが好適である。
本発明に係る観察装置または本発明に係る観察方法では、観察対象物が細胞を含むのが好適である。
本発明によれば、細胞等の対象物の詳細な情報を得ることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る観察装置1の構成図である。この図に示される観察装置1は、観察対象物9の表面または内部を観察するものであって、光源11,12、レンズ21〜25、アパーチャ31、光合波器41、光分波器42、ハーフミラー43、撮像部51、解析部52、表示部53、受光部61、変位検出部62、ピエゾアクチュエータ71、駆動部72、ミラー73、ステージ81、駆動部82および制御部90を備える。
光源11は、コヒーレント長が比較的短い光λを出力するものであり、例えば波長帯域600nm〜900nmの広帯域光を出力することができるタングステンランプである。光源11から出力される光λのコヒーレンス長は5μm以下であるのが好ましい。一方、光源12は、コヒーレント長が比較的長い光λを出力するものであり、例えば波長1.31μmのレーザ光を出力する半導体レーザ光源である。光合波器41は、光源11から出力されてレンズ21およびアパーチャ31を経て到達した光λを反射させるとともに、光源12から出力されて到達した光λを透過させて、これらの光を合波してレンズ22へ出力する。
ハーフミラー43は、光合波器41により合波されてレンズ22を経て到達した光λ,λを2分岐して第1分岐光および第2分岐光とし、第1分岐光をレンズ23へ出力し、第2分岐光をレンズ24へ出力する。また、ハーフミラー43は、第1分岐光がレンズ23を経てミラー73により反射されて生じる第1反射光を再びレンズ23を経て入力するとともに、第2分岐光がレンズ24を経て観察対象物9の表面または内部で反射されて生じる第2反射光を再びレンズ24を経て入力して、これら第1反射光と第2反射光とを干渉させて当該干渉光をレンズ25へ出力する。すなわち、ハーフミラー43は、干渉光学系を構成する要素である。
光分波器42は、ハーフミラー43から出力されてレンズ25を経た光を入力し、そのうち光λを反射させて撮像部51へ出力し、光λを透過させて受光部61へ出力する。レンズ23〜25は、ハーフミラー43から出力されて光分波器42により分波された干渉光λを撮像部51の撮像面上に結像する結像光学系を構成する要素である。撮像部51は、その結像された干渉光λの像を撮像するものであり、例えばCCDカメラである。受光部61は、ハーフミラー43から出力されて光分波器42により分波された光λの強度を検出するものであり、例えばフォトダイオードである。
ここで、ハーフミラー43からミラー73により反射されて再びハーフミラー43に到るまでの光路長と、ハーフミラー43から観察対象物9の基準位置により反射されて再びハーフミラー43に到るまでの光路長との光路長差をΔLとする。なお、観察対象物9の基準位置は、観察対象物9の最も高い位置(レンズ24に最も近い位置)であってもよいし、観察対象物9を載せる台であってもよし、これらの中間の位置であってもよし、また、その他の位置であってもよい。
前述したように、光源12から出力され受光部61に到達する光λのコヒーレント長は比較的長いので、図2(a)に示されるように、受光部51に到達する光λの強度は、比較的広い光路長差ΔLの範囲において周期的に変化する。これに対して、光源11から出力され撮像部51に到達する光λのコヒーレント長は比較的短いので、図2(b)に示されるように、撮像部61に到達する光λの強度は、比較的狭い光路長差ΔLの範囲において周期的に変化し、しかも、光路長差ΔLが値0に近いほど干渉の振幅が大きい。
このことを利用して、解析部52は、光路長差が複数の目標値それぞれに設定されたときに撮像部51により撮像された光λの干渉光像を取得する。この干渉光像は、ハーフミラー43からミラー73までの光路長と、ハーフミラー43から観察対象物9の或るスライス面までの光路長とが互いに略等しいときに、ミラー73で生じた第1反射光と該スライス面(および、該スライス面を中心とする光λのコヒーレンス長程度の範囲)で生じた第2反射光との干渉による像である。さらに、解析部52は、取得した干渉光像に基づいて所定の解析を行う。表示部53は、解析部52による解析の結果を画像表示する。解析部52による解析および表示部53による画像表示については後述する。
観察対象物9は、好適には例えば図3に示されるように、略平坦な基板91の主面に形成された薄膜92の上に置かれた半透明の細胞93である。薄膜92は、光λを高い反射率で反射させることで、後述するフィードバック制御の際の基準面として好適に用いられる。観察対象物9としての細胞93の断面としてスライス面Sが設定される。このスライス面Sは、レンズ24の光軸に垂直な面であり、また、その光軸方向に関して位置が可変である。
変位検出部62は、受光部61により検出された光λの強度の変化から、光路長差(または、或る基準値に対する相対的な光路長差の変化量)を求める。すなわち、光源12、受光部61および変位検出部62は、光路長差を検出する光路長差検出手段を構成する要素である。なお、ピエゾアクチュエータ71によりミラー73に微小振動を与えて、或る光路長差を中心にして変調を与えることで、より正確に光路長差を検出することができる。
ピエゾアクチュエータ71,駆動部72,ステージ81および駆動部82は、光路長差を調整する光路長差調整手段を構成する要素である。ピエゾアクチュエータ71は、駆動部72により駆動されて、ハーフミラー43とミラー73との間の光学系の光軸に平行な方向に、ミラー73を移動させる。このとき、レンズ23を移動させることなく、ハーフミラー43とミラー73との間の光学系を維持したままとする。レンズ23のフォーカス面は、焦点深度(例えば0.5μm)の精度でミラー73の反射面に一致している。
ステージ81は、駆動部82により駆動されて、ハーフミラー43と観察対象物9との間の光学系の光軸に平行な方向に観察対象物9を移動させる。このとき、レンズ24を移動させることなく、ハーフミラー43と観察対象物9との間の光学系を維持したままとする。すなわち、ハーフミラー43から測った観察対象物9側のフォーカス面までの距離を維持したままとする。
ピエゾアクチュエータ71(第1移動手段)の作動範囲は、ステージ81(第2移動手段)の作動範囲より狭い。また、ピエゾアクチュエータ71の位置精度は、ステージ81の位置精度より高い。なお、ステージ81を移動させるための駆動部82としては、例えば長距離移動型のピエゾアクチュエータや、ステッピングモータによる回転機構を用いることが可能である。
制御部90は、変位検出部62による光路長差検出結果に基づいて、光路長差が複数の目標値に順次になるように、駆動部72,82を介してピエゾアクチュエータ71およびステージ81による光路長差調整動作を制御する。特に、制御部90は、複数の目標値それぞれにおいて、ピエゾアクチュエータ71による移動量が作動範囲内の所定範囲内となるように、ステージ81による移動動作を連続的または断続的に行わせる。また、制御部90は、ステージ81による移動動作の際にも、変位検出部62による光路長差検出結果に基づいて、光路長差が各目標値になるようにピエゾアクチュエータ71による移動動作をフィードバック制御する。
図4は、ピエゾアクチュエータ71およびステージ81による光路長差調整動作について説明する図である。この図には、ハーフミラー43とミラー73との間の光学系が示され、ハーフミラー43と観察対象物9との間の光学系が示され、また、光路長差を調整するピエゾアクチュエータ71およびステージ81が示されている。ここで、ハーフミラー43とレンズ23との間の間隔をxとし、レンズ23とミラー73との間の間隔をxとする。また、ハーフミラー43とレンズ24との間の間隔をyとし、レンズ24と観察対象物9との間の間隔をyとする。なお、観察対象物9が図3に示される構成である場合には、yはレンズ24から観察対象物9の或るスライス面までの間隔とする。間隔xは、ピエゾアクチュエータ71による移動動作により調整される。間隔yは、ステージ81による移動動作により調整される。ピエゾアクチュエータ71またはステージ81により、間隔(x+x)又は間隔(y+y)を変更することで、光路長差ΔLを調整することができる。
仮に、ステージ81による移動動作により間隔yのみを調整する場合、ステージ81の作動範囲が比較的広いことから、広いダイナミックレンジで光路長差を調整することができる。しかし、この場合、ステージ81の位置精度が比較的低いことから、高精度で光路長差を調整することができず、したがって、高精度に観察対象物9の形状等を測定することができない。
一方、仮に、ピエゾアクチュエータ71による移動動作により間隔xのみを調整する場合、ピエゾアクチュエータ71の位置精度が比較的高いことから、高精度で光路長差を調整することができる。しかし、この場合、ピエゾアクチュエータ71の作動範囲が比較的狭いことから、広いダイナミックレンジで光路長差を調整することができず、したがって、広いダイナミックレンジで観察対象物9の形状等を測定することができない。
また、仮に、ピエゾアクチュエータ71の作動範囲内であっても広い範囲に亘って移動動作を行わせると、レンズ23の焦点距離と間隔xとの差が大きくなる場合があり、その場合には、結像光学系による干渉光の結像面と撮像部51の撮像面とが互いに大きくずれてしまい、撮像部51により撮像される干渉光像が不鮮明となって、観察対象物9の形状等の測定を高精度に行うことができない。
そこで、本実施形態では、高精度かつ広ダイナミックレンジで観察対象物の表面または内部を測定する為に、制御部90は、複数の目標値それぞれにおいて、ピエゾアクチュエータ71による移動量が作動範囲内の所定範囲内となるように、ステージ81による移動動作を連続的または断続的に行わせる。また、制御部90は、ステージ81による移動動作の際にも、変位検出部62による光路長差検出結果に基づいて、光路長差が各目標値になるようにピエゾアクチュエータ71による移動動作をフィードバック制御する、以下では、ピエゾアクチュエータ71およびステージ81それぞれの好適な2つの動作態様について説明する。
図5は、本実施形態に係る観察装置1の第1動作態様を説明するフローチャートである。また、図6は、この第1動作態様における間隔x,間隔yおよび光路長差{(y+y)−(x+x)}それぞれの時間的変化を示す図である。この第1動作態様では、制御部90は、駆動部82を介して、ステージ81による移動動作を連続的に行わせる。
初めに、ステップS11では、制御部90は、駆動部82を介してステージ81による移動動作を開始させる。光路長差を或る目標値から次の目標値に一定時間間隔Δtで移行させるとし、その移行の際の間隔yの変化量をΔyとしたときに、ステージ81の移動速度は「Δy/Δt」に設定される。これにより、レンズ24と観察対象物9との間の間隔yは、時間の経過とともに略リニアに変化していく。しかし、ステージ81の位置精度が比較的低いことから、間隔yの時間的変動は比較的大きい。
そこで、ステップS12では、制御部90は、光路長差が該目標値になるように、駆動部72を介してピエゾアクチュエータ71による移動動作をフィードバック制御する。このとき、ピエゾアクチュエータ71により間隔xが調整されて、光路長差{(y+y)−(x+x)}が高精度に設定される。
ステップS13では、制御部90は、光路長差が或る目標値に設定されてから一定時間Δtが経過したか否かを判断し、一定時間Δtが経過したら次のステップS14の処理に進む。ステップS14では、制御部90は、次の目標値が有るか否かを判断し、次の目標値が有れば次のステップS15の処理に進み、次の目標値が無ければステップS18の処理に進む。
ステップS15では、制御部90は、光路長差が次の目標値に移行される前に、その移行後の目標値においてピエゾアクチュエータ71による移動量xが所定範囲から外れるか否かを判断する。そして、制御部90は、その移動量xが所定範囲から外れると判断した場合にはステップS16を経てステップS17の処理に進み、また、その移動量xが所定範囲内にあると判断した場合には直ちにステップS17の処理に進む。ステップS16では、制御部90は、次の目標値に移行した後にピエゾアクチュエータ71による移動量xが所定範囲内に入るようにステージ81による移動動作の速さを調整する。
ステップS17では、制御部90は、光路長差を次の目標値に設定し、駆動部72を介してピエゾアクチュエータ71をΔxだけステップ的に移動させる。その後、ステップS12の処理に戻って、制御部90は、光路長差が新たな目標値になるように、駆動部72を介してピエゾアクチュエータ71による移動動作をフィードバック制御する。ステップS18では、制御部90は、駆動部82を介してステージ81による移動動作を終了させる。
このように第1動作態様では、制御部90は、ステージ81による移動動作を連続的に行わせ、光路長差が或る目標値から次の目標値に移行される際に、ピエゾアクチュエータ71による移動動作をステップ的に行わせ、また、光路長差が或る目標値に設定されている期間には、光路長差が該目標値になるようにピエゾアクチュエータ71による移動動作をフィードバック制御する。このように制御部90がピエゾアクチュエータ71およびステージ81それぞれの移動動作を制御することにより、ステージ81の移動動作の広いダイナミックレンジと、ピエゾアクチュエータ71の移動動作の高い位置精度とを、共に活かすことができて、高精度かつ広ダイナミックレンジで観察対象物9の表面形状等を測定することができる。
また、第1動作態様では、制御部90は、光路長差が或る目標値から次の目標値に移行される前に、その移行後の目標値においてピエゾアクチュエータ71による移動量が所定範囲から外れる場合に、該移動量が該所定範囲内に入るようにステージ81による移動動作の速さを調整する(ステップS15,S16)。このように制御部90がステージ81の移動速度を調整することにより、ステージ81の移動速度や目標値変更の時間間隔Δtの精度が不充分である場合であっても、ピエゾアクチュエータ71による移動量を所定範囲内に維持することができるので、観察対象物9の表面形状等の高精度測定を維持することができる。なお、光路長差の目標値の個数をNとしたときに、N・Δtの時間内にステージ81を速度「Δy/Δt」で等速移動させたときの移動距離が充分な精度(例えば誤差が±1μm以下)であれば、ステップS15,16は不要であり、ステップS14の後に直ちにステップS17の処理に進めばよい。
図7は、本実施形態に係る観察装置1の第2動作態様を説明するフローチャートである。また、図8は、この第2動作態様における間隔x,間隔yおよび光路長差{(y+y)−(x+x)}それぞれの時間的変化を示す図である。この第2動作態様では、制御部90は、駆動部82を介して、ステージ81による移動動作を断続的に行わせる。
ステップS21では、制御部90は、光路長差が目標値になるように、駆動部72を介してピエゾアクチュエータ71による移動動作をフィードバック制御する。このとき、ステージ81は移動していないが、ステージ81の位置精度が比較的低いことから、間隔yの時間的変動は比較的大きい。しかし、ピエゾアクチュエータ71により間隔xが調整されて、光路長差{(y+y)−(x+x)}が高精度に設定される。
ステップS22では、制御部90は、光路長差が或る目標値に設定されてから一定時間Δtが経過したか否かを判断し、一定時間Δtが経過したら次のステップS23の処理に進む。ステップS23では、制御部90は、次の目標値が有るか否かを判断し、次の目標値が有れば次のステップS24の処理に進み、次の目標値が無ければ終了する。
ステップS24では、制御部90は、光路長差が次の目標値に移行される前に、その移行後の目標値においてピエゾアクチュエータ71による移動量xが所定範囲から外れるか否かを判断する。そして、制御部90は、その移動量xが所定範囲から外れると判断した場合にはステップS25を経てステップS26の処理に進み、また、その移動量xが所定範囲内にあると判断した場合には直ちにステップS26の処理に進む。
ステップS25では、制御部90は、次の目標値に移行した後にピエゾアクチュエータ71による移動量xが所定範囲内に入るようにステージ81を移動させた後に停止させ、また、そのステージ81が移動している期間にも、そのときの光路長差が各目標値になるようにピエゾアクチュエータ71による移動動作を制御する。なお、このときのステージ81の移動に際しては、次の目標値においてピエゾアクチュエータ71による移動量xが所定範囲の上限を超える場合には、ピエゾアクチュエータ71による移動量xが所定範囲の下限の近くになるようにする。逆に、次の目標値においてピエゾアクチュエータ71による移動量xが所定範囲の下限を超える場合には、ピエゾアクチュエータ71による移動量xが所定範囲の上限の近くになるようにする。
ステップS26では、制御部90は、光路長差を次の目標値に設定し、駆動部72を介してピエゾアクチュエータ71をΔxだけステップ的に移動させる。その後、ステップS21の処理に戻って、制御部90は、光路長差が新たな目標値になるように、駆動部72を介してピエゾアクチュエータ71による移動動作をフィードバック制御する。
このように第2動作態様では、制御部90は、光路長差が各目標値になるようにピエゾアクチュエータ71による移動動作をフィードバック制御する。このように制御部90がピエゾアクチュエータ71およびステージ81それぞれの移動動作を制御することにより、ステージ81の移動動作の広いダイナミックレンジと、ピエゾアクチュエータ71の移動動作の高い位置精度とを、共に活かすことができて、高精度かつ広ダイナミックレンジで観察対象物9の表面形状等を測定することができる。なお、ステージ81の位置精度が悪い場合には、第1動作態様より第2動作態様の方が有効である。
次に、本実施形態に係る観察装置1および本実施形態に係る観察方法における観察対象物9の観察(特に解析部52による解析)について更に詳細に説明する。
観察対象物9の表面または内部で反射されて撮像部51の撮像面に到達する第2反射光E(x,y)は、強度成分R(x,y)および位相成分φ(x,y)を含んでいて、下記(1)式で表される。撮像部51により撮像される干渉像は、光λのコヒーレンス長の程度で第1反射光および第2反射光それぞれの光路長が一致するような該第2反射光が生じる観察対象物9のスライス面(および、該スライス面を中心とする光λのコヒーレンス長程度の範囲)の情報を反映したものである。なお、x,yは、該スライス面における直交2軸の座標値を表す。
第2反射光E(x,y)の強度成分R(x,y)は、該スライス面における光λの反射率、すなわち、反射体の有無の情報を表す。また、第2反射光E(x,y)の位相成分φ(x,y)は、該スライス面における反射体のz方向(光軸に平行な方向)の位置の情報を表す。例えば、観察対象物9の該スライス面に存在する反射体(例えば、細胞膜、核小体の膜、リソソームの膜、等)がz方向にΔzだけ移動した場合、撮像部51の撮像面に到達する第2反射光E(x,y)の位相成分φ(x,y)は 4πnΔz/λ だけ変化する。ここで、nは観察対象物9の屈折率である。すなわち、位相成分φ(x,y)の変化量は、スライス面における反射体のz方向の位置変化量を表す。
このような第2反射光E(x,y)の強度成分R(x,y)および位相成分φ(x,y)は位相シフト法により求められる。位相シフト法では、制御部90および駆動部72による制御によりピエゾアクチュエータ71が駆動されて光路長差ΔLがλ/4ずつシフトされ、順に撮像部51により4枚の干渉光像I(x,y),I(x,y),I(x,y),I(x,y)が撮像される。ここで、λは、光源11から出力される低コヒーレント光の中心波長である。これら4枚の干渉光像から、下記(2)式に従って、干渉光像の正弦成分A(x,y)および余弦成分B(x,y)が得られる。
そして、これら干渉光像の正弦成分A(x,y)および余弦成分B(x,y)から、下記(3)式に従って、第2反射光E(x,y)の強度成分R(x,y)および位相成分φ(x,y)が得られる。なお、正弦成分A(x,y)および余弦成分B(x,y)は、第2反射光E(x,y)の強度成分R(x,y)および位相成分φ(x,y)を用いて、下記(4)式のように表される。また、干渉光像の複素振幅C(x,y)は、下記(5)式または(6)式で表される。解析部52は、このような干渉光像の複素振幅C(x,y)を求める。
図9は、干渉光像の正弦成分A(x,y)を示す図である。図10は、干渉光像の余弦成分B(x,y)を示す図である。図11は、干渉光像の強度成分R(x,y)を示す図である。また、図12は、干渉光像の位相成分φ(x,y)を示す図である。これらは何れも、観察対象物9としてのHeLa細胞について位相シフト法により求められた4枚の干渉光像I(x,y),I(x,y),I(x,y),I(x,y)に基づくものである。図11に示される干渉光像の強度成分R(x,y)を見ると、HeLa細胞には、細胞膜付近および細胞内に様々な反射体が存在することが見て取れる。これらの反射体とHeLa細胞の器官との関係は図13に示されるとおりであると考えられる。
位相シフト法には様々な改良アルゴリズムが存在するが、何れのアルゴリズムが用いられてもよい。例えば、Schwider-Hariharan Algorithm として知られるアルゴリズムに従って、5枚の干渉光像に基づいて、下記(7)式に従って、干渉光像の正弦成分A(x,y)および余弦成分B(x,y) が求められてもよく、さらに、これらから、第2反射光E(x,y)の強度成分R(x,y)および位相成分φ(x,y) が求められてもよい。
本実施形態では任意の位相シフト法のアルゴリズムが用いられ得る。ただし、上記(2)式に従う位相シフト法の基本アルゴリズムと比べると、上記(7)式に従う位相シフト法の改良アルゴリズムは、位相シフト量の誤差に対してロバストである等の利点があり、本実施形態のように光λのコヒーレンス長が比較的短い場合に好適に用いられる。
図14は、複数組の正弦成分A(x,y)および余弦成分B(x,y) を時系列で取得する場合の位相シフト量の時間的変化の様子を示す図である。この図に示されるように、制御部90および駆動部72による制御によりピエゾアクチュエータ71が駆動されて光路長差ΔLが一定時間毎にλ/4ずつシフトされて、位相シフト量が0と3λ/4との間で増減が繰り返される。これにより、順次に干渉光学像I,I,I,I,I,I,I,I,I,I,…が得られる。そして、第1の干渉光学像Iから第4の干渉光学像Iまでが用いられて、1番目のA,B,Rおよびφが得られる。また、第4の干渉光学像Iから第7の干渉光学像Iまでが用いられて、2番目のA,B,Rおよびφが得られる。さらに、第7の干渉光学像Iから第10の干渉光学像Iまでが用いられて、3番目のA,B,Rおよびφが得られる。
このようにして、干渉光像の正弦成分Aおよび余弦成分Bならびに 第2反射光の強度成分Rおよび位相成分φが一定時間間隔で順次に得られる。以降では、これらは、正弦成分A(x,y,n)、余弦成分B(x,y,n)、強度成分R(x,y,n)および位相成分φ(x,y,n) と表記される場合がある。ここで、各成分の表記におけるnは、その成分がn番目に得られたものであることを示すものであり、時間変数に相当するものである。
前述したとおり、位相成分φ(x,y,n)は、ハーフミラー43からミラー73までの光路長と、ハーフミラー43から観察対象物9の或るスライス面までの光路長とが互いに略等しいときに、該スライス面における反射体のz方向(光軸に平行な方向)の位置の情報を表す。また、位相成分φ(x,y,n)の変化量は、該スライス面における反射体のz方向の位置変化量を表す。そこで、図15に示されるように、解析部52により、一定時間間隔で複数枚の位相成分φ(x,y,n)が得られると、これらが表示部53により時系列に画像表示(動画表示)されることで、観察対処物9のスライス面における反射体のz方向の位置変化の様子が観察され得る。
観察対処物9のスライス面における反射体のz方向の位置変化の様子の観察は、一定時間間隔で取得された複数枚の位相成分φ(x,y,n)に基づいて以下のような数理処理手法によることが可能である。各位置(x,y)について、通常は2πの幅の範囲でしか値を有しない位相成分φ(x,y,n)は、このままでは定量的な評価には不適当であるので、先ず、図16に示されるように、時系列に見たときに位相が不連続になっている箇所を繋ぎ合わせる処理(すなわち、位相アンラッピング)が行われる。
位相アンラッピング前の位相成分を小文字でφ(x,y,n)と表し、位相アンラッピング後の位相成分を大文字でΦ(x,y,n)と表すことにする。図16(a)は、位相アンラッピング前の位相成分φ(x,y,n)の時間変化の様子を示す。同図(b)は、位相アンラッピング後の位相成分Φ(x,y,n)の時間変化の様子を示す。以下では、一定時間間隔で順にN枚の位相アンラッピング後の位相成分Φ(x,y,1)〜Φ(x,y,N)が得られたとする。
解析部52により、N枚の位相アンラッピング後の位相成分Φ(x,y,1)〜Φ(x,y,N)に基づいて、下記(8)式〜(11)式の何れかの処理により、観察対処物9のスライス面における反射体のz方向の位置変化の様子が各位置(x,y)について解析される。
下記(8)式は、N枚の位相成分Φ(x,y,n)が取得される時間内において各位置(x,y)における反射体のz方向の位置変化の幅(最大値−最小値)を表すものである。
下記(9)式は、N枚の位相成分Φ(x,y,n)が取得される時間内において各位置(x,y)における反射体のz方向の位置変化の大きさの標準偏差を表すものである。
下記(10)式および(11)式それぞれは、所定時間(Δn・t)当りの各位置(x,y)における反射体のz方向の位置変化の大きさを表すものである。tは各位相成分Φ(x,y,n)の取得時間間隔を表す。
或いは、各位置(x,y)について、N枚の位相アンラッピング後の位相成分Φ(x,y,1)〜Φ(x,y,N)がフーリエ変換されて、反射体のz方向の位置変化の周波数解析が行われてもよい。
以上のようにして、観察対処物9のスライス面における反射体のz方向の位置変化の様子が各位置(x,y)について解析物52により得られると、その結果は表示部53により画像表示される。表示部53では、解析部52による解析結果がグレイスケールまたは擬似カラー等により画像表示されるのが好ましい。このように表示されることにより、観察対処物9のスライス面における反射体のz方向の位置変化の様子の観察が容易である。
これらの信号処理手法が優れている点は、観察対象物9である細胞の表面の膜からの反射光の信号と、細胞内の膜からの反射光の信号とを互いに区別することなく、その水平切断面(スライス面)に存在する運動性の高い膜(反射体)を抽出することができるという点である。膜の運動性は細胞の活性に強く係わっており、膜の運動性の高い細胞を抽出し、二次元的に表示できるということには、細胞診断における実用上多くの利点がある。
観察対処物9のスライス面における反射体のz方向の位置変化の様子の観察は、一定時間間隔で取得された複数枚の干渉光像の複素振幅C(x,y,n)に基づいて以下のような数理処理手法によることも可能である。n番目に得られた複素振幅C(x,y,n)は、下記(12)式または(13)式により表される。そして、解析部52により、N枚の複素振幅像C(x,y,1)〜C(x,y,N)に基づいて、下記(14)式の処理により、観察対処物9のスライス面における反射体のz方向の位置変化の様子が各位置(x,y)について解析される。
この(14)式の分子にある|C(x,y,n)−C(x,y,n-Δn)|なる因子は図17により説明される。図17は、複素平面において複素振幅C(x,y,n)を表す図である。同図の複素平面上において、複素振幅C(x,y,n)および複素振幅C(x,y,n-Δn)それぞれは、原点を始点とするベクトルの終点として示されている。|C(x,y,n)−C(x,y,n-Δn)|は、同図の複素平面上において複素振幅C(x,y,n)および複素振幅C(x,y,n-Δn)それぞれを表す点を互いに結ぶ線分の長さである。
ここで、n番目から(n−Δn)番目までの間で、各位置(x,y)について、強度成分R(x,y,n)の変化量は無視し得る程度に小さいとし、位相成分φ(x,y,n)の変化量は僅かであるとする。この場合、下記(15)式の近似式が成り立つ。すなわち、上記(14)式の分子にある|C(x,y,n)−C(x,y,n-Δn)|なる因子は、所定時間(Δn・t)当りの位相成分φ(x,y,n)の変化量に強度成分R(x,y,n)を乗じたものである。
一方、上記(14)式の分母は、強度成分R(x,y,n)の平均値を表す。したがって、上記(14)式の指標φdev(x,y)は、所定時間(Δn・t)当りの位相成分φ(x,y,n)の変化量の平均値を表す。すなわち、指標φdev(x,y)の値が大きい位置には運動性が高い反射体が存在することが示唆される。このようにして、解析部52により、複素振幅C(x,y,n)の一定時間当りの変化量の絶対値と該複素振幅C(x,y,n)の絶対値(すなわち、強度成分R(x,y,n))とに基づいて、観察対象物9のスライス面で生じた第2反射光の位相成分φ(x,y,n)の一定時間当りの変化量が求められ、ひいては、観察対処物9のスライス面における反射体のz方向の位置変化の様子が各位置(x,y)について得られる。
なお、干渉像に重畳するノイズが干渉成分に比して大きい場合、強度成分Rの変化量が無視できなくなる。ノイズの寄与は、複素平面状で実軸成分と虚軸成分ともにガウシアン型に現れるため、統計的な手法によってノイズによる寄与を補正することが可能である。(14)式に代えて下記(16)式を用いることで、干渉信号にランダムなノイズが重畳している場合のφdev(x,y)を与えることができる。
ここで、Rnoは、ノイズの大きさを示す座標によらない定数であり、下記(17)式によって与えられる。ただし、(x0,y0)は、画像内で有意な干渉信号が存在しないとみなせる地点の座標である。例えば(x0,y0)は、コヒーレンス長に比して基板から十分に遠いとみなせるスライス面における、細胞の存在しない位置として選ぶことができる。
(16)式の有効性を示すため、モンテカルロ法によるシミュレーションを行った。シミュレーションは、Rno=1となるようなガウシアン型のノイズを、R=4でありかつ偏角がφdevずつ変化していくようなC(n)に重畳させて行った。シミュレーションに用いたC(n)は下記(18)式によって与えられる。ここで、Noiseは実軸成分と虚軸成分がともに標準偏差1/20.5となるような、原点を中心とする複素ガウシアンノイズであり、Rno=1を満たす。
Δn=1の条件で計算すると、Noiseの項が存在しないときは、(14)式はφdevの真値を常に与える。一方、Noiseの項が存在する場合、(14)式は特にφdevの値の小さい領域においてφdevの真値から外れていくこととなるが、(16)式を用いることでNoiseの項の寄与を補正することが可能となる。Noiseの項が存在する場合において、(14)式、(16)式それぞれによって計算したφdevを図18に示す。
なお、干渉信号の強度成分Rが小さい場合すなわち見かけの干渉信号に寄与するノイズの割合が大きい場合、(16)式の分母が極めて小さいかゼロになってしまい、正確なφdevの定量ができなくなる。そのため、例えば下記(19)式に示すような条件を用いて、この条件を満たすほどに信号のRが小さい座標(x,y)のデータについては、後段の処理に使用しないようにするのが望ましい。
解析部52による解析の結果は表示部53により画像表示される。表示部53では、解析部52による解析結果がグレイスケールまたは擬似カラー等により画像表示されるのが好ましい。このように表示されることにより、観察対処物9のスライス面における反射体のz方向の位置変化の様子の観察が容易である。
図19〜図20それぞれは、表示部53における画像表示例を示す図である。図19および図20それぞれに示される画像は、上記(16)式に従って求められたものである。図19は、生きたHeLa細胞を観察対象物9として用いて、これのスライス面における反射体のz方向の位置変化の様子をグレイスケールで表した画像を示す図である。図20は、固定されたHeLa細胞を観察対象物9として用いて、これのスライス面における反射体のz方向の位置変化の様子をグレイスケールで表した画像を示す図である。ここで、Nを66とし、Δnを2とし、tを1.2秒とした。HeLa細胞は、パラホルムアルデヒド処理されることで細胞膜や内容物が固定された。図21は、図20に示された固定されたHeLa細胞の強度成分R(x,y,n)の画像を示す図である。
図19および図20それぞれにおいて、濃度が高いほど、その位置の反射体の運動性が高いことが示されている。図20に示されるように、固定されたHeLa細胞では、細胞膜も内容物も動きが止まるので、反射体のz方向の位置変化は認められなかった。これに対して、図19に示されるように、生きたHeLa細胞では、細胞膜も内容物も動いており、反射体のz方向の位置変化が認められた。
上記(16)式に従って反射体のz方向の位置変化を観察する手法の利点は、位相アンラッピング処理を用いる必要がないという点である。位相アンラッピングは、位相の不連続点を連続的にする数値処理であるが、処理にあたってアーチファクトを発生する可能性がある、上記の指標φdevを用いる手法では、位相アンラッピングを用いる必要がないので、アーチファクトの発生も抑えられる。
以上のように、本実施形態に係る観察装置1または本実施形態に係る観察方法によれば、細胞等の観察対象物9の詳細な情報が得られ得る。これにより、細胞内の活性のイメージングが可能となって、細胞研究,創薬および再生医療などへの応用が期待される。
また、解析部52により、上記と同様にして、観察対象物9の複数のスライス面それぞれについて、第2反射光の位相成分φ(x,y,n)の一定時間当りの変化量が求められ、ひいては、反射体のz方向の位置変化の様子が各位置(x,y)について得られるのが好適である。この場合、ピエゾアクチュエータ71だけでなくステージ81も用いられて、図6または図8に示されるように光路長差{(y+y)−(x+x)}がステップ的に調整された上で、その各ステップにおいて図14に示されるように位相シフト量が時間的に変化するようにして複数枚の複素振幅C(x,y,n)が獲得されるようにすればよい。このようにすることにより、観察対象物9のトモグラフィ観察が可能となる。
本実施形態に係る観察装置1の構成図である。 撮像部51または受光部51に到達する光の強度と光路長差との関係を示す図である。 観察対象物9の構成例を示す図である。 ピエゾアクチュエータ71およびステージ81による光路長差調整動作について説明する図である。 本実施形態に係る観察装置1の第1動作態様を説明するフローチャートである。 本実施形態に係る観察装置1の第1動作態様における間隔x,間隔yおよび光路長差{(y+y)−(x+x)}それぞれの時間的変化を示す図である。 本実施形態に係る観察装置1の第2動作態様を説明するフローチャートである。 本実施形態に係る観察装置1の第2動作態様における間隔x,間隔yおよび光路長差{(y+y)−(x+x)}それぞれの時間的変化を示す図である。 干渉光像の正弦成分A(x,y)を示す図である。 干渉光像の余弦成分B(x,y)を示す図である。 干渉光像の強度成分R(x,y)を示す図である。 干渉光像の位相成分φ(x,y)を示す図である。 HeLa細胞の器官と反射体との関係を示す図である。 複数組の正弦成分A(x,y)および余弦成分B(x,y) を時系列で取得する場合の位相シフト量の時間的変化の様子を示す図である。 複数枚の位相成分φ(x,y,n) の取得の様子を示す図である。 位相アンラッピングを説明する図である。 複素平面において複素振幅C(x,y,n)を表す図である。 (14)式および(16)式それぞれによるφdevの計算機シミュレーション結果を示す図である。 表示部53における画像表示例を示す図である。 表示部53における画像表示例を示す図である。 干渉光像の強度成分R(x,y)を示す図である。
符号の説明
1…観察装置、9…観察対象物、11,12…光源、21〜25…レンズ、31…アパーチャ、41…光合波器、42…光分波器、43…ハーフミラー、51…撮像部、52…解析部、53…表示部、61…受光部、62…変位検出部、71…ピエゾアクチュエータ、72…駆動部、73…ミラー、81…ステージ、82…駆動部、90…制御部。

Claims (11)

  1. 光を出力する光源と、
    該光源から出力された光を2分岐して第1分岐光および第2分岐光として出力し、前記第1分岐光がミラーにより反射されて生じる第1反射光を入力するとともに、前記第2分岐光が観察対象物の表面または内部で反射されて生じる第2反射光を入力して、これら第1反射光と第2反射光とを干渉させて当該干渉光を出力する干渉光学系と、
    前記干渉光学系から出力される干渉光を結像する結像光学系と、
    前記結像光学系により結像された干渉光像を撮像する撮像部と、
    前記光源から前記観察対象物の基準位置を経て前記撮像部に到るまでの光路長と、前記光源から前記ミラーを経て前記撮像部に到るまでの光路長との、光路長差を調整する光路長差調整手段と、
    前記光路長差が各目標値に順次になるように前記光路長差調整手段による光路長差調整動作を制御する制御部と、
    位相シフト法により前記光路長差調整手段により前記光路長差が各目標値に順次に設定されて前記撮像部により撮像された干渉光像の複素振幅を求め、この求めた複素振幅の一定時間当りの変化量の絶対値と該複素振幅の絶対値とに基づいて、前記観察対象物の表面または内部で生じた前記第2反射光の位相成分の一定時間当りの変化量を求める解析部と、
    を備えることを特徴とする観察装置。
  2. 前記解析部により求められた前記第2反射光の位相成分の一定時間当りの変化量の空間的分布を画像表示する表示部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の観察装置。
  3. 前記解析部が前記観察対象物の複数のスライス面それぞれについて前記第2反射光の位相成分の一定時間当りの変化量を求めることを特徴とする請求項1に記載の観察装置。
  4. 前記光路長差を検出する光路長差検出手段を更に備え、
    前記光路長差検出手段による検出結果に基づいて前記光路長差調整手段が前記光路長差を調整する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の観察装置。
  5. 前記光路長差調整手段が、前記観察対象物および前記ミラーのうち一方の第1対象物を移動させる第1移動手段と、前記観察対象物および前記ミラーのうち他方の第2対象物を移動させる第2移動手段とを含み、前記第1移動手段または前記第2移動手段による移動動作により前記光路長差を調整し、
    前記第1移動手段が、前記第2移動手段の作動範囲より狭い作動範囲を有するとともに、前記第2移動手段の位置精度より高い位置精度を有し、
    前記第2移動手段が、前記干渉光学系と前記第2対象物との間の光学系を維持したまま前記第2対象物を移動させ、
    前記制御部が、前記光路長差の各目標値において前記第1移動手段による移動量が前記作動範囲内の所定範囲内となるように前記第2移動手段による移動動作を連続的または断続的に行わせ、前記第2移動手段による移動動作の際にも前記光路長差が各目標値になるように前記第1移動手段による移動動作をフィードバック制御する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の観察装置。
  6. 光を出力する光源と、
    該光源から出力された光を2分岐して第1分岐光および第2分岐光として出力し、前記第1分岐光が観察対象物の表面または内部で反射されて生じる第1反射光を入力するとともに、前記第2分岐光がミラーにより反射されて生じる第2反射光を入力して、これら第1反射光と第2反射光とを干渉させて当該干渉光を出力する干渉光学系と、
    前記干渉光学系から出力される干渉光を結像する結像光学系と、
    前記結像光学系により結像された干渉光像を撮像する撮像部と、
    前記光源から前記観察対象物の基準位置を経て前記撮像部に到るまでの光路長と、前記光源から前記ミラーを経て前記撮像部に到るまでの光路長との、光路長差を調整する光路長差調整手段と、
    前記光路長差が各目標値に順次になるように前記光路長差調整手段による光路長差調整動作を制御する制御部と、
    を用い、
    位相シフト法により前記光路長差調整手段により前記光路長差が各目標値に順次に設定されて前記撮像部により撮像された干渉光像の複素振幅を求め、この求めた複素振幅の一定時間当りの変化量の絶対値と該複素振幅の絶対値とに基づいて、前記観察対象物の表面または内部で生じた前記第2反射光の位相成分の一定時間当りの変化量を求める、
    ことを特徴とする観察方法。
  7. 前記第2反射光の位相成分の一定時間当りの変化量の空間的分布を表示部により画像表示することを特徴とする請求項6に記載の観察方法。
  8. 前記観察対象物の複数のスライス面それぞれについて前記第2反射光の位相成分の一定時間当りの変化量を求めることを特徴とする請求項6に記載の観察方法。
  9. 前記光路長差を検出する光路長差検出手段を更に用い、
    前記光路長差検出手段による検出結果に基づいて前記光路長差調整手段により前記光路長差を調整する、
    ことを特徴とする請求項6に記載の観察方法。
  10. 前記光路長差調整手段が、前記観察対象物および前記ミラーのうち一方の第1対象物を移動させる第1移動手段と、前記観察対象物および前記ミラーのうち他方の第2対象物を移動させる第2移動手段とを含み、前記第1移動手段または前記第2移動手段による移動動作により前記光路長差を調整し、
    前記第1移動手段が、前記第2移動手段の作動範囲より狭い作動範囲を有するとともに、前記第2移動手段の位置精度より高い位置精度を有し、
    前記第2移動手段が、前記干渉光学系と前記第2対象物との間の光学系を維持したまま前記第2対象物を移動させ、
    前記制御部が、前記光路長差の各目標値において前記第1移動手段による移動量が前記作動範囲内の所定範囲内となるように前記第2移動手段による移動動作を連続的または断続的に行わせ、前記第2移動手段による移動動作の際にも前記光路長差が各目標値になるように前記第1移動手段による移動動作をフィードバック制御する、
    ことを特徴とする請求項6に記載の観察方法。
  11. 前記観察対象物が細胞を含むことを特徴とする請求項6に記載の観察方法。
JP2008211990A 2008-08-20 2008-08-20 観察装置および観察方法 Active JP5038994B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008211990A JP5038994B2 (ja) 2008-08-20 2008-08-20 観察装置および観察方法
DE112009002073.9T DE112009002073B4 (de) 2008-08-20 2009-08-19 Beobachtungsvorrichtung und Beobachtungsverfahren
US13/059,860 US9080861B2 (en) 2008-08-20 2009-08-19 Observation device, and observation method
PCT/JP2009/064520 WO2010021343A1 (ja) 2008-08-20 2009-08-19 観察装置および観察方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008211990A JP5038994B2 (ja) 2008-08-20 2008-08-20 観察装置および観察方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010048619A JP2010048619A (ja) 2010-03-04
JP5038994B2 true JP5038994B2 (ja) 2012-10-03

Family

ID=42065825

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008211990A Active JP5038994B2 (ja) 2008-08-20 2008-08-20 観察装置および観察方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5038994B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5249739B2 (ja) * 2008-12-10 2013-07-31 浜松ホトニクス株式会社 観察装置および観察方法
DE112013006966B3 (de) 2012-09-13 2017-06-22 Hamamatsu Photonics K.K. Verfahren und Vorrichtung zur Unterscheidung des Differenzierungsgrades von pluripotenten Stammzellen
JP6851301B2 (ja) * 2017-12-20 2021-03-31 浜松ホトニクス株式会社 観察対象物カバー、干渉観察用容器、干渉観察装置及び干渉観察方法
JP7267213B2 (ja) * 2020-01-14 2023-05-01 浜松ホトニクス株式会社 観察装置および観察方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3934490B2 (ja) * 2002-06-21 2007-06-20 フジノン株式会社 低コヒーレント干渉縞解析方法
JP4241361B2 (ja) * 2003-12-16 2009-03-18 株式会社エヌテック キャップ天面の検査方法
JP4633423B2 (ja) * 2004-09-15 2011-02-16 株式会社トプコン 光画像計測装置
JP2009008393A (ja) * 2007-06-26 2009-01-15 Kowa Co 光画像計測装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010048619A (ja) 2010-03-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6460364B2 (ja) 軸外し反射位相顕微鏡システムおよび軸外し位相顕微鏡のための方法
US7614744B2 (en) Optical image measuring apparatus
JP6638810B2 (ja) 欠陥検査装置及び方法
US8204300B2 (en) Image forming method and optical coherence tomograph apparatus using optical coherence tomography
US8879070B2 (en) Two beams formed by Wollaston prism in sample arm in an optical coherence tomography apparatus
JP4546209B2 (ja) 眼科装置
JP5685013B2 (ja) 光断層撮像装置及びその制御方法、プログラム
WO2016121250A1 (ja) 干渉観察装置および干渉観察方法
JP2011174920A (ja) 光干渉計測方法および光干渉計測装置
JP5038994B2 (ja) 観察装置および観察方法
JP3871309B2 (ja) 位相シフト縞解析方法およびこれを用いた装置
JP6166645B2 (ja) 光断層画像撮影装置
JP6576369B2 (ja) 干渉光学装置、干渉観察装置および干渉観察方法
EP2675341A1 (en) Apparatus and method for optical coherence tomography
JP5261071B2 (ja) 観察装置および観察方法
JP5249739B2 (ja) 観察装置および観察方法
WO2010021343A1 (ja) 観察装置および観察方法
WO2019098005A1 (ja) 光測定装置及び光測定方法
JP2006064610A (ja) 同軸型空間光干渉断層画像計測装置
JP2006119099A (ja) 周期可動物の変位測定装置
EP4439005A1 (en) A method for characterizing a scanning mirror in a scan control system, a scan control system, and an optical coherence tomography (oct) system comprising said scan control system
JP5894464B2 (ja) 計測装置
JP2024097725A (ja) Oct装置
JP2020034488A (ja) マイクロ断層可視化装置および方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110328

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120612

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120706

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150713

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5038994

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250