JP5038346B2 - 車両用シートベルト装置 - Google Patents
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Description
また、従来、例えば乗員によるベルト装着時にベルトの張力が所定張力に到達するまで巻き締めを行ない、この巻き締めの停止後、乗員の姿勢の変化に応じて所定量以上のベルトの引き出しが生じた場合に、再度巻き締めを行なうことに加え、車両の加速度に応じてベルトの張力を制御するシートベルト装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車両の乗員がシートベルト装置の動作に違和感を感じてしまうことを防止することが可能な車両用シートベルト装置を提供することを目的とする。
さらに、前記移動平均演算手段は、適宜のタイミングにおいて、前記ベルトの巻き取り位置の分散が所定値未満である場合には、前記位置演算手段から今回出力された前記ベルトの巻き取り位置を用いて前記平均値を演算し、前記ベルトの巻き取り位置の分散が前記所定値以上である場合には、前記位置演算手段から前回出力された前記ベルトの巻き取り位置を用いて前記平均値を演算する。
本発明の第2態様に係る車両用シートベルト装置によれば、車両の走行状態が異なる走行状態へと遷移する際の時間依存性を低減して、基準位置が不適正に変化してしまうことを、より一層、防止することができることに加えて、乗員により姿勢状態が徐々に修正されることに追従して、適度な拘束力を作用させることができる。
本実施の形態による車両用シートベルト装置1は、例えば図1に示すように、シート2に着座する乗員3を拘束可能な所謂三点式のシートベルト装置であり、センタピラー(図示略)に取付けられたリトラクタ4からウェビング5が略鉛直方向上方に引き出され、このウェビング5がセンタピラーの上部側に支持されたスルーアンカ6に挿通されるとともに、ウェビング5の先端がシート2の車室外側寄りのアウタアンカ7を介して車体フロアに固定されている。そして、ウェビング5のスルーアンカ6とアウタアンカ7との間にはタングプレート8が挿通されており、このタングプレート8は、シート2の車体内側寄りの車体フロアに固定されたバックル9に対して脱着可能となっている。
この車両用シートベルト装置1では、例えば緊急時や車両挙動の変化時などにおいて、ベルトリール14に回転力を付与するモータ10の駆動力などによってウェビング5の巻き取りが行なわれる。
なお、リトラクタ4は、例えば車両に所定値を超える減速度が作用した場合などに、ウェビング5の送り出しを機械的にロックする緊急ロック機構20を備えている。
そして、処理装置46には、例えば、バックル9に対するタングプレート8の装着固定の有無を検出するバックルスイッチ(バックルSW)61から出力される検出信号と、車両の外界に存在する物体を検知するレーダやカメラからなる外界センサ62から出力される検出信号と、車体の加速度および減速度を検出する加速度センサ63から出力される検出信号と、車体のヨーレートを検出するヨーレートセンサ64から出力される検出信号と、車両の速度を検出する速度センサ65から出力される検出信号と、処理装置46の基板(図示略)に配置されて温度を検出する温度センサ66から出力される検出信号と、モータ10に通電される電流を検出する電流センサ67から出力される検出信号と、一対のホール素子23A,23Bから出力されてセンサ回路45で所定処理が行われたパルス信号とが入力されている。
例えば、フィルタ部52は、周期的に取得した巻き取り位置の信号に対する移動平均、または、周期的に取得した巻き取り位置の信号に低域通過濾波処理(つまり、変化の大きい信号を除去する処理)を行なって得た値、あるいは、周期的に取得した巻き取り位置の信号に対して移動平均と低域通過濾波処理とを組み合わせて行なって得た値などを、基準位置として設定する。
例えば下記数式(3)に示すように、任意の自然数kにより、適宜のタイミングでの巻き取り位置X(k)は、分散σ(X)が所定閾分散σth未満である場合には、巻き取り位置演算部51から今回取得した巻き取り位置X(k)とされ、分散σ(X)が所定閾分散σth以上である場合には、巻き取り位置演算部51から前回取得した巻き取り位置X(k−1)とされてもよい。
また、下記数式(4)において、べき乗の処理は省略されてもよい。
この場合、フィルタ部52は、各区間毎に算出した移動平均による平均値を基準位置として基準位置記憶部53に記憶し、所定のタイミングで基準位置記憶部53から複数の基準位置を取得して、これら複数の基準位置に基づき、新たに、後述する制御目標設定部54での制御目標の設定に用いられる基準位置を設定する。
例えば図4に示す複数(例えば、4つ)の区間N(p−3),…,N(p)のそれぞれにおいて算出された移動平均による平均値Xave(p−3),…,XaveN(p)に対して、例えば下記数式(6)に示す平均値Xave(4)、あるいは、例えば下記数式(7)に示す最小値Xave(4)、あるいは、例えば下記数式(8)に示す加重平均値Xave(4)などを、基準位置として設定してもよい。
例えば、制御目標設定部54は、フィルタ部52により設定された基準位置よりも巻き取り側にずれた位置に対応する制御目標を設定する。
このため、例えば図5(A)、(B)および図6に示すように、ウェビング5の装着状態において車両の走行状態の一時的な急激な変化(例えば、信号待ちなど)あるいは乗員の姿勢状態の一時的な急激な変化(例えば、物取りなど)が生じたことに伴い、巻き取り位置演算部51により演算される巻き取り位置が変動する場合であっても、基準位置が過剰に変動してしまうことを防止することができる。また、路面状態などに応じて発生する車体振動に起因して基準位置が変動してしまうことを防止することができる。
しかも、モータ10への通電時の制御目標は、基準位置よりも巻き取り側にずれた位置に対応して設定されることから、走行状態の変化や乗員の姿勢状態の変化にかかわらずに、例えば通常走行時に加えてワインディング走行やスポーツ走行時においても、乗員に適度な拘束感を知覚させることができ、安心感および快適感を感じさせることができる。
つまり、車両の走行状態や乗員の姿勢状態の変化に対して、相対的に短い時間での変化については、各区間での移動平均の処理により対応し、相対的に長い時間での変化については、複数の区間の平均値に基づく演算処理により対応して、適切な基準位置を設定することができる。
また、ウェビング5の装着状態において乗員に適度な拘束力を作用させることができることから、基準位置を適切に安定化させることができ、モータ10への通電時にはウェビング5の弛みを迅速に除去して所望の拘束状態を速やかに発生させることができ、不必要に過大な張力によって過剰な拘束が行なわれることを防止することができる。
5 ウェビング(ベルト)
10 モータ
14 ベルトリール
24 回転センサ
46 処理装置(制御手段)
51 巻き取り位置演算部(位置演算手段)
52 フィルタ部(フィル手段、移動平均演算手段、ローパスフィルタ)
53 基準位置記憶部(記憶手段)
Claims (2)
- ベルトを巻回したベルトリールと、
前記ベルトリールの回転位置を検知して検知結果の信号を出力する位置検知手段と、
前記ベルトリールに駆動力を伝達することにより前記ベルトリールを回転駆動するモータと、
前記モータへの通電量を制御する制御手段とを備える車両用シートベルト装置であって、
前記制御手段は、
前記ベルトの装着状態において前記位置検知手段から出力される信号に基づき前記ベルトの巻き取り位置を演算して演算結果の信号を出力する位置演算手段と、
前記位置演算手段から出力される信号を周期的に取得して、該信号に基づき前記ベルトの装着状態における基準位置を周期的に算定するフィルタ手段とを備え、
前記フィルタ手段により算定された前記基準位置よりも巻き取り側の位置に応じて前記モータへの通電時における制御目標を設定しており、
前記フィルタ手段は、移動平均により平均値を演算する移動平均演算手段を備え、
前記移動平均演算手段は、適宜のタイミングにおいて、前記ベルトの巻き取り位置の分散が所定値未満である場合には、前記位置演算手段から今回出力された前記ベルトの巻き取り位置を用いて前記平均値を演算し、前記ベルトの巻き取り位置の分散が前記所定値以上である場合には、前記位置演算手段から前回出力された前記ベルトの巻き取り位置を用いて前記平均値を演算することを特徴とする車両用シートベルト装置。 - 前記制御手段は、複数の前記基準位置を記憶する記憶手段を備え、
前記フィルタ手段は、前記記憶手段に記憶された複数の前記基準位置に応じて、前記制御手段による前記制御目標の設定に用いられる前記基準位置を算定することを特徴とする請求項1に記載の車両用シートベルト装置。
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