JP5037199B2 - 電気泳動表示装置、制御装置、表示変更方法、およびプログラム - Google Patents
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Description
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、コントラストの低下を抑制可能な電気泳動表示装置等を提供することにある。
ここで、制御装置は、所定の電圧の各々の印加時間の加算値を、小さい電圧の各々の印加時間の加算値よりも大きくすることを特徴とすることができる。
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置1を示す概略構成図である。
同図に示す電気泳動表示装置1は、電界の作用により可逆的に視認状態を変化させることが可能な表示装置である。この電気泳動表示装置1は、電気泳動表示パネル10と、この電気泳動表示パネル10を制御する制御装置20とから概略構成されている。なお、このような電気泳動表示装置1は、例えば、時計、カレンダー、電子ペーパー、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどにおいて使用される電子棚札などに用いられる。
制御装置20は、ドライバ30と、制御部40とを主要部として備えている。
ドライバ30には、不図示の電源部から電圧が印加された状態となっており、また、ドライバ30には、複数のスイッチング部が設けられた状態となっている。なお、ドライバ30の詳細については後述する。
図2は、電気泳動表示パネル10およびドライバ30について説明する図である。なお、本図においては、図1で示した制御部40の図示を省略している。
対向基板12は、基板11と同様に電気泳動表示パネル10のベースとなる部材である。また、対向基板12は、電気泳動インク15を挟んで基板11の対向位置に配設される。さらに、対向基板12は、基板11に所定の隙間を介して貼着された状態となっている。また、対向基板12は、共通電極13等の部材を支持する機能を有している。
第2の電極の一例としての画素電極14は、基板11の内面且つ共通電極13の対向位置に、複数設けられている。また、画素電極14には、共通電極13と同様にドライバ30から所定の電圧が印加される構成となっている。
共通電極13および画素電極14には、例えばアルミニウムや銅などの一般的な導電材料を用いることができる。なお、表示面側に位置する共通電極13のように透明性が要求される場合、例えば、ITO(インジウムスズ酸化物)等の導電性酸化物などが用いられる。この導電性酸化物は、画素電極14に対して用いることももちろん可能である。
電気泳動インク15は、基板11と対向基板12との間に封入された状態となっている。また、この電気泳動インク15は、正に帯電した白粒子15aと、負に帯電した黒粒子15bと、これらの粒子を分散させる分散媒15cとから構成されている。
帯電粒子の一例としての黒粒子15bには、例えばチタンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料や、黒色に着色された樹脂粒子等を用いることができる。
また、これら粒子は、コントラスト表示可能な範囲で様々な色の粒子を任意に用いることも可能であり、白と赤、白と青、黄色と黒などのような組合せとすることもできる。また、本実施形態においては、白粒子15aと黒粒子15bの2種類の帯電粒子を用いているが、1種類の帯電粒子のみを用いる構成とすることもできる。
分散媒15cには、従来より電気泳動表示に用いられている種々の低誘電率有機溶媒などを用いることが可能であり、また、分散媒15cには、分散剤や電荷制御剤等の添加剤を添加して用いることもできる。
図3は、電気泳動表示パネル10の動作を説明するための図である。
本実施形態における共通電極13および画素電極14には、上述のとおり、ドライバ30から電圧が印加される。電圧の印加方法にはいくつかの手法が提案されているが、本実施形態においては、画素電極14のみならず共通電極13に対しても電圧を選択的に印加する所謂コモン振りを採用している。
リセット動作を行う場合、図3(a)に示すように、共通電極13に対して電圧Vs(=0[V])が印加され、全ての画素電極14に対して電圧V1(=50[V])が印加される。この結果、画素電極14から共通電極13に向かう電界が発生し、正に帯電した白粒子15aは共通電極13に向かって移動し、負に帯電した黒粒子15bは画素電極14に向かって移動する。このため、表示面側に位置する共通電極13側に白粒子15aが位置し、全体が白表示となる。なお、リセット動作が行われる際、上記電圧Vsおよび電圧V1は、約0.5秒印加される。また、本実施形態においては、正に帯電した白粒子15a、負に帯電した黒粒子15bを用いているが、このような帯電状態は一例であり、白粒子15aを負に帯電させることもできるし、黒粒子15bを正に帯電させることもできる。
図4(a)は、消去ステップにおける電気泳動表示パネル10の状態を示している。
この消去ステップにおいては、共通電極13に電圧Vs(=0[V])が印加され、白表示へと変更する領域(表示を消去する領域)に対応した画素電極14に電圧V1(=50[V])が印加される。また、白表示への変更を行う領域以外の領域(表示状態を維持する領域)に対応した画素電極14には電圧Vs(=0[V])が印加される。この結果、所定領域が白表示へと変更されるとともに、この所定領域以外の領域においては、表示状態が維持される。
図4(b)は、書き込みステップにおける電気泳動表示パネル10の状態を示している。
書き込みステップにおいては、共通電極13に電圧V1(=50[V])が印加され、黒表示へと変更する領域に対応した画素電極14に電圧Vs(=0[V])が印加される。また、黒表示への変更を行う領域以外の領域(表示状態を維持する領域)に対応した画素電極14に電圧V1(=50[V])が印加される。この結果、所定領域が黒表示へと変更されるとともに、この所定領域以外の領域においては、表示状態が維持される。
また、書き込みステップが行われる際、まず、負方向に立ちあがる印加時間T1,電圧値−V1(本実施形態では、−50[V])のパルス状電圧(第1の電圧)が、一定間隔毎に(時間T3毎に)、N1回印加される。そして、この電圧の印加が終了してから時間T3経過後、負方向に立ち上がる印加時間T1,電圧値−V2(本実施形態では、−35[V])のパルス状電圧(第2の電圧)が、一定間隔毎に(時間T3毎に)、N2回印加される。詳細は後述するが、本実施形態における電圧の印加形態により、休み無く電圧を印加する従来の印加形態に比べ、コントラストの低下を抑制することが可能となる。
(A1)まず、図6(a)の左方に示すように、電気泳動表示パネル10において所定の表示を行った。
(A2)A1にて所定の表示を行った後、電気泳動表示パネル10における所定の表示領域Aに対応した共通電極13および画素電極14(以下、これらの電極を「対応電極」と称する。)に対し電圧を印加し、1回目の消去ステップを実行した。この結果、黒表示となされていた表示領域Aは、白表示となる。
(A4)その後、上記A2、A3において印加した電圧を1つの電圧印加単位とし、この電圧印加単位を複数回繰り返していった。そして、1000回目における消去ステップが終了した後、表示領域Aにて任意の3点を選び、この3点においてXYZ表色系のY値(以下、この「XYZ表色系のY値」を単に「Y値」と称する。)を測定した。そして、測定した3つのY値の平均値を取得した。なお、1000回目の消去ステップが終了した際、表示領域Aは、白表示となっているため、本ステップでは、白表示におけるY値が取得されることになる。
(A6)その後、上記1単位をさらに繰り返していき、2000回目の消去ステップ終了後において上記A4の処理を行うとともに、2000回目の書き込みステップ終了後において上記A5の処理を実行し、白表示におけるY値、黒表示におけるY値を取得した。さらに、3000回目、4000回目においても同様に、白表示におけるY値、黒表示におけるY値を取得した。
(A9)なお、実施例1における消去ステップでは、図7(a1)に示すように、まず、印加時間T1=50[msec],V1=電圧値50[V]のパルス状電圧(第1の電圧)を、10[msec]おきに6回印加した。そして、この6回の電圧印加が終了してから10[msec]経過後、10[msec]おきに、印加時間T1=50[msec],V2=電圧値35[V]のパルス状電圧(第2の電圧)を4回印加した。なお、本実施例1における書き込みステップでは、消去ステップにおいて印加した電圧を正負逆転させたものを印加した。
(B1)比較例では、上記にて説明したA1〜A8と同様の処理を実行した。
(B2)但し、比較例では、図7(b1)に示すように、50[V]の電圧を連続的に500[msec]印加する構成とした。即ち、電圧を休み無く(電圧の印加を中断することなく)印加する構成とした。なお、本比較例における書き込みステップでは、消去ステップにおいて印加した電圧を正負逆転させたものを印加した。
・白粒子15a…酸化チタン(平均直径0.3〜0.5μm)
・黒粒子15b…カーボンブラックで着色されたアクリル樹脂粒子(平均直径5μm)
・分散媒15c…キシレン
・共通電極13と画素電極14との間隙…50μm
・Y値の測定方法
・以下の条件の下、JIS Z8722に準拠した方法にて測定した。
・測定機器…スガ試験機株式会社 MSC-IS-2B
・光源…12V50Wハロゲンランプ
・測色条件…D65光 10°視野
・測定領域…5φ
・標準白色面…付属の白色標準板
図8は、実施例1〜4および比較例におけるコントラスト値等を示したものである。図8(a)は、白表示および黒表示におけるY値を示し、図8(b)は、コントラスト値を示し、図8(c)は、コントラストの低下度合いを示している。また、図9は、図8(b)におけるコントラスト値をグラフとして示したものである。なお、図8(a)では、白表示におけるY値を「Y値(白)」と表示し、黒表示におけるY値を「Y値(黒)」と表示している。
これに対し、実施例1〜4においては、いずれも比較例における値を大幅に上まわることが確認できた。このため、本実施形態における電圧の印加形態は、従来の印加形態に比べ、コントラストの低下を抑制することができる。この結果、本実施形態における電圧の印加形態は、従来よりも表示品位の低下を抑制することが可能となる。
まず、実施例1におけるコントラスト値は、1000回目の電圧印加終了後において、比較例と同等の値となり、2000回、3000回、および4000回目の電圧印加終了後において、比較例におけるコントラスト値よりも大きくなった。また、実施例2におけるコントラスト値も、1000回目の電圧印加終了後において、比較例と同等の値となり、2000回、3000回、および4000回目の電圧印加終了後において、比較例におけるコントラスト値よりも大きくなった。
実施例1,2と実施例3,4においては、印加回数の点において、第1の電圧の印加割合と第2の電圧の印加割合とが異なっている。実施例1,2では、第1の電圧の印加割合が第2の電圧の印加割合よりも大きく、実施例3,4では、第1の電圧の印加割合が第2の電圧の印加割合よりも小さくなっている。
即ち、実施例1〜4、比較例の結果によれば、コントラスト値は、第1の電圧の印加割合と第2の電圧の印加割合の影響を受けることが分かる。そこで、コントラストを向上させるという観点からは、電圧の印加回数の点において、第1の電圧の印加割合を第2の電圧の印加割合よりも大きくすることが好ましい。換言すれば、第1の電圧の印加回数を第2の電圧の印加回数よりも多くすることが好ましい。
図10は、複数台の電気泳動表示装置1により構成した表示システムの概略を示した概略構成図である。
同図に示すように、本表示システムは、ネットワークに接続された複数(本実施形態においては3つ)の電気泳動表示装置1と、同じくネットワークに接続され電気泳動表示装置1の各々を個別に制御する制御端末70とから構成されている。
制御端末70は、上述のとおり、電気泳動表示装置1の各々を個別に制御する。また、制御端末70は、タイマー部(不図示)を備えている。
Claims (8)
- 第1の電極と、当該第1の電極の対向位置に配置される第2の電極とを備え、帯電粒子と当該帯電粒子を分散させる分散媒とを少なくとも含む電気泳動インクが当該第1の電極と当該第2の電極との間に配設される電気泳動表示パネルと、
前記電気泳動表示パネルの前記第1の電極と前記第2の電極とに対して電圧を印加する印加手段と、を備え、
前記印加手段は、
前記第1の電極側に位置する前記帯電粒子を前記第2の電極に向けて移動させ前記電気泳動表示パネルの表示を変更するに際し、当該帯電粒子を移動させる第1の電圧を複数回印加した後に当該第1の電圧と同極性の電圧であって当該第1の電圧よりも小さく且つ当該帯電粒子を移動させる第2の電圧を複数回印加し、
前記第2の電極側に位置する前記帯電粒子を前記第1の電極に向けて移動させ前記電気泳動表示パネルの表示を変更するに際し、前記第1の電圧とは極性が異なる第3の電圧であって当該帯電粒子を移動させる当該第3の電圧を複数回印加した後に当該第3の電圧と同極性の電圧であって当該第3の電圧よりも小さく且つ当該帯電粒子を移動させる第4の電圧を複数回印加することを特徴とする電気泳動表示装置。 - 前記印加手段は、前記第1の電圧の印加回数の方が前記第2の電圧の印加回数よりも多くなるように当該第1の電圧および当該第2の電圧の印加を行い、前記第3の電圧の印加回数の方が前記第4の電圧の印加回数よりも多くなるように当該第3の電圧および当該第4の電圧の印加を行うことを特徴とする請求項1記載の電気泳動表示装置。
- 前記印加手段は、前記第1の電圧および前記第2の電圧を一定間隔で印加し、前記第3の電圧および前記第4の電圧を一定間隔で印加することを特徴とする請求項1記載の電気泳動表示装置。
- 前記印加手段は、前記第1の電圧および前記第2の電圧における各々の印加時間を略一定とし、前記第3の電圧および前記第4の電圧における各々の印加時間を略一定とすることを特徴とする請求項1記載の電気泳動表示装置。
- 第1の電極と、当該第1の電極の対向位置に配置される第2の電極とを備え、帯電粒子と当該帯電粒子を分散させる分散媒とを少なくとも含む電気泳動インクが当該第1の電極と当該第2の電極との間に配設される電気泳動表示パネルの当該第1の電極および当該第2の電極に電圧を印加し当該電気泳動表示パネルの表示を制御する制御装置であって、
前記第1の電極側に位置する前記帯電粒子を前記第2の電極に向けて移動させ前記電気泳動表示パネルの表示を変更するに際し、当該帯電粒子を移動させる第1の電圧を複数回印加した後に当該第1の電圧と同極性の電圧であって当該第1の電圧よりも小さく且つ当該帯電粒子を移動させる第2の電圧を複数回印加し、当該第2の電極側に位置する当該帯電粒子を当該第1の電極に向けて移動させ当該電気泳動表示パネルの表示を変更するに際し、当該第1の電圧とは極性が異なる第3の電圧であって当該帯電粒子を移動させる当該第3の電圧を複数回印加した後に当該第3の電圧と同極性の電圧であって当該第3の電圧よりも小さく且つ当該帯電粒子を移動させる第4の電圧を複数回印加することを特徴とする制御装置。 - 前記第1の電圧の各々の印加時間の加算値の方が前記第2の電圧の各々の印加時間の加算値よりも大きくなるように、当該第1の電圧および当該第2の電圧の印加が行われ、前記第3の電圧の各々の印加時間の加算値の方が前記第4の電圧の各々の印加時間の加算値よりも大きくなるように、当該第3の電圧および当該第4の電圧の印加が行われることを特徴とする請求項5記載の制御装置。
- 第1の電極と、当該第1の電極の対向位置に配置される第2の電極とを備え、帯電粒子と当該帯電粒子を分散させる分散媒とを少なくとも含む電気泳動インクが当該第1の電極と当該第2の電極との間に配設される電気泳動表示パネルの当該第1の電極および当該第2の電極に電圧を印加し当該電気泳動表示パネルの表示を変更する表示変更方法であって、
前記第1の電極側に位置する前記帯電粒子を前記第2の電極に向けて移動させ前記電気泳動表示パネルの表示を変更するに際し、当該帯電粒子を移動させる第1の電圧を複数回印加した後に当該第1の電圧と同極性の電圧であって当該第1の電圧よりも小さく且つ当該帯電粒子を移動させる第2の電圧を複数回印加し、当該第2の電極側に位置する当該帯電粒子を当該第1の電極に向けて移動させ当該電気泳動表示パネルの表示を変更するに際し、当該第1の電圧とは極性が異なる第3の電圧であって当該帯電粒子を移動させる当該第3の電圧を複数回印加した後に当該第3の電圧と同極性の電圧であって当該第3の電圧よりも小さく且つ当該帯電粒子を移動させる第4の電圧を複数回印加することを特徴とする表示変更方法。 - 第1の電極と、当該第1の電極の対向位置に配置される第2の電極とを備え、帯電粒子と当該帯電粒子を分散させる分散媒とを少なくとも含む電気泳動インクが当該第1の電極と当該第2の電極との間に配設される電気泳動表示パネルを制御するコンピュータ装置に、
前記第1の電極側に位置する前記帯電粒子が前記第2の電極に向けて移動し前記電気泳動表示パネルの表示が変更されるに際し、当該帯電粒子を移動させる第1の電圧が前記第1の電極および前記第2の電極に複数回印加された後に当該第1の電圧と同極性の電圧であって当該第1の電圧よりも小さく且つ当該帯電粒子を移動させる第2の電圧が当該第1の電極および当該第2の電極に複数回印加される印加機能と、
前記第2の電極側に位置する前記帯電粒子が前記第1の電極に向けて移動し前記電気泳動表示パネルの表示が変更されるに際し、前記第1の電圧とは極性が異なる第3の電圧であって当該帯電粒子を移動させる当該第3の電圧が当該第1の電極および当該第2の電極に複数回印加された後に当該第3の電圧と同極性の電圧であって当該第3の電圧よりも小さく且つ当該帯電粒子を移動させる第4の電圧が当該第1の電極および当該第2の電極に複数回印加される印加機能と、
を実現させるためのプログラム。
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