JP5036381B2 - 繊維強化複合材料 - Google Patents

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Description

本発明は、強化繊維と該繊維に含浸した樹脂とかなら繊維強化複合材料に係り、特に、織物状強化繊維及び樹脂を含む織物状繊維樹脂部と、短強化繊維及び樹脂を含む短繊維樹脂部とを有した繊維強化複合材料に関する。
強化繊維とマトリクス樹脂(以下樹脂)からなる繊維強化複合材料は、金属材に比べて軽量であり、かつ、強化繊維を含むため樹脂材料に比べて機械的強度及び弾性率が高いことから、近年注目されている材料である。
例えば、繊維強化複合材料の一つであるシートモールディングコンパウンド(SMC)は、1インチ程度の長さの短強化繊維と該繊維に含浸した樹脂から構成された材料であり、短強化繊維に樹脂組成物を含浸させてシート状にし、該シート材を金型内で加圧圧縮することにより、成形されるものである。前記SMCは、上述した利点に加え、さらに織物状強化繊維を用いた場合に比べて成形性も良いことから複雑な形状の成形体を容易に得ることができ、生産性も高い。さらには、短強化繊維自体が例えば織物状強化繊維などの織布繊維に比べて安価に入手可能であり、製品コストを抑えることができる。この結果、SMCは、工業用品、自動車用部品、建築住宅用品等の分野にわたって幅広く利用されている。
しかし、前記SMCは、短強化繊維を用いているので、織物状強化繊維を用いた複合材料に比べて機械的強度は低い。よって、前記の如く成形体をより複雑な形状に成形するに従って、構造的に剛性が足りない箇所も現れる場合がある。また、成形体の適用箇所によっては、成形体の一部に局所的な荷重を受ける場合もある。このような場合には、成形体の損傷を防止すべく、成形体の剛性不足が発生する箇所、及び、負荷荷重が作用する箇所を部分的に補強する必要がある。
このような問題に鑑みて、例えば、図7に示すような繊維強化複合材料70が提案されている。繊維強化複合材料70は、短強化繊維72及び樹脂73を少なくとも含むSMCからなる短繊維樹脂部71と、織物状強化繊維76及び樹脂(図示せず)を少なくとも含む織物状繊維樹脂部75と、を少なくとも有している。そして、織物状繊維樹脂部75は、各織物状強化繊維76の幅方向端部が、織物状繊維樹脂部75の幅方向端部77として一致するように、各織物状強化繊維76が繊維強化複合材料70の厚さ方向Tに複数積層されている(例えば、特許文献1参照)。
このような繊維強化複合材料70は、短強化繊維と未硬化樹脂とを含む短繊維強化複合材料(SMC)を準備し、該複合材料の補強すべき箇所に織物状強化繊維と未硬化樹脂とを含む織物状繊維強化複合材料(プリプレグ)を配置した状態で、これら複合材料を金型内により加圧成形すると共に、前記未硬化樹脂を加熱して硬化させることにより製造することができる。このようにして得られた繊維強化複合材料70は、短繊維樹脂部71に比べ強度の高い織物状繊維樹脂部75を補強すべき箇所に適宜配置することができるので、全体として剛性の高い繊維強化複合材料を得ることができる。
特開2005−022206号公報
しかし、前記繊維強化複合材料70は、織物状繊維樹脂部75を設けることにより、全体的に剛性を高めることができるが、織物状繊維樹脂部75は短繊維樹脂部71に比べて強度が非常に高いため、短繊維樹脂部71と織物状繊維樹脂部75との幅方向の境界部、すなわち織物状繊維樹脂の幅方向の端部77は、図8(図7のVI―VI線矢視断面図)に示す白抜き矢印の方向から曲げ荷重が作用した場合に、応力集中し易い。
例えば、前記繊維に炭素繊維を用いた場合、織物状繊維樹脂部75の曲げ弾性率は63GPa,三点曲げ強度は855MPa程度であるのに対し、短繊維樹脂部71の曲げ弾性率は22GPa,三点曲げ強度は385MPa程度であり、織物状繊維樹脂部75は、短繊維樹脂部71に比べ、3倍程度の曲げ弾性率を有し、2倍強の三点曲げ強度を有することになり、前記幅方向の端部77の応力集中は避けることができない。
また、加圧成形する際には、SMC(短繊維強化複合材料)にプリプレグ(織物状繊維強化複合材料)を押し込むように成形するので、幅方向の端部(境界部)77の近傍の短強化繊維72および該繊維を含浸する樹脂73の流動が大きくなる。この結果、図8に示すように、境界部近傍の短繊維樹脂部71には、短強化繊維72のくねり(場合によってはよじれ)及び樹脂溜りが発生し、織物状繊維樹脂部75の境界部の近傍は強度的に不足しがちになる。
このように強度不足しかつ応力集中し易い境界部77の近傍は、その他の箇所に比べて高い負荷荷重が作用する織物状繊維樹脂部75の近傍であるため、比較的に高い荷重が作用する場合が多い。この結果、図9に示すように、繊維強化複合材料70の表面の織物状繊維樹脂部75と短繊維樹脂部71との境界が破壊の起点となって、幅方向端部77である境界部に沿って亀裂が進展し、最終的には、織物状繊維樹脂部75と短繊維樹脂部71との厚さ方向の境界部に相間せん断が発生することになる。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、織物状繊維樹脂部と短繊維樹脂部との幅方向の境界部に発生する応力を緩和させ、該部分の強度低下を抑えることがきる繊維強化複合材料を提供することにある。
前記課題を解決すべく、本発明に係る繊維強化複合材料は、短強化繊維及び樹脂を少なくとも含む短繊維樹脂部と、織物状強化繊維及び樹脂を少なくとも含む織物状繊維樹脂部と、を少なくとも有した繊維強化複合材料であって、前記繊維強化複合材料は、前記織物状繊維樹脂部の織物状強化繊維の繊維量が、前記短繊維樹脂部に隣接した前記織物状繊維樹脂部の幅方向端部に進むに従って減少するように構成されていることを特徴とする。
本発明に係る繊維強化複合材料によれば、前記織物状繊維樹脂部の織物状強化繊維の繊維量が、前記短繊維樹脂部に隣接した前記織物状繊維樹脂部の幅方向端部に進むに従って減少するようにしたので、たとえ、織物状繊維樹脂部と織物状繊維樹脂部の境界部に曲げ応力が発生したとしても、織物状繊維樹脂部の幅方向端部の強度を短繊維樹脂部の強度に近づけることができるので、境界部の応力の集中を緩和することができる。また、繊維強化複合材料の成形時には、前記境界部近傍では樹脂の流動が軽減され、短繊維樹脂部の樹脂溜り、繊維くねりを低減することができるので、前記境界部の強度低下を回避することができる。
ここで、本発明にいう「強化繊維」とは、複合材料の機械的強度を強化するための樹脂強化用の繊維をいい、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、スチール繊維、PBO繊維、又は高強度ポリエチレン繊維などの繊維が挙げられ、織物状繊維樹脂部と短繊維樹脂部に含まれる繊維は異なる種類の繊維であってもよい。また、織物状繊維樹脂部と短繊維樹脂部に含まれる「樹脂」とは、前記繊維に含浸される硬化したマトリクス樹脂のことであり、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、BT樹脂、シアネートエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂などを主成分とした熱硬化性樹脂の硬化物が挙げられ、織物状繊維樹脂部と短繊維樹脂部とに含まれる樹脂は、同一種類の樹脂が好ましいが、異なる種類の樹脂であってもよい。
また、本発明にいう織物状強化繊維の繊維量が「幅方向端部に進むに従って減少する」とは、少なくとも前記幅方向端部近傍から幅方向端部に至るまで、繊維強化複合材料に対する織物状繊維樹脂部の織物状強化繊維の繊維量が減少していることをいう。このような構成は、例えば、前記幅方向の端部に進むに従って、織物状強化繊維の織り込まれた各繊維を間引いたり(引き抜いたり)、幅方向端部に向かって配列された織物状強化繊維の各繊維の切断したりして、繊維量を減少させることができ、幅方向の境界部(幅方向端部)に発生する応力を緩和して応力集中を低減することが可能であれば、その繊維量を減少させる方法は特に限定されるものではない。
より好ましい態様としては、本発明に係る繊維強化複合材料の織物状繊維樹脂部は、前記織物状強化繊維が前記繊維強化複合材料の厚さ方向に積層された積層構造であり、積層された各織物状強化繊維の前記短繊維樹脂部に隣接した幅方向の各端部は、厚さ方向に進むに従って、少なくとも一方向にずれていることが好ましい。
このように構成された繊維強化複合材料によれば、繊維強化複合材料の織物状強化繊維の繊維量を幅方向端部に進むに従って容易に減少させることができる。なお、本発明にいう「一方向にずれる」とは、厚さ方向に積層された各織物状強化繊維が幅方向の一方向にずれていることをいう。また、各織物状強化繊維のずれ量は、境界部に発生する応力を緩和して応力集中を低減でき、成形時に樹脂たまり及び繊維くねりを軽減することができるのであれば、そのずれ量は特に限定されるものではなく、強化繊維や樹脂の種類、繊維強化複合材料の使用条件に合わせて決定されるものである。また、前記繊維強化複合材料は、前記積層した織物状繊維樹脂部の厚さそのものが繊維強化複合材料の厚さになるように構成してもよく、短繊維樹脂部に織物状繊維樹脂部を埋設するように構成してもよい。
より好ましい態様としては、本発明に係る繊維強化複合材料は、前記織物状繊維樹脂部が、前記繊維強化複合材料の一部の表面を形成するように前記短繊維樹脂部に埋設されており、前記各織物状強化繊維は、前記埋設された織物状繊維樹脂部の底部から前記表面に進むに従って、前記織物状繊維樹脂部の幅方向の端部が突出するように積層されている。なお、本発明にいう「織物状繊維樹脂部の底部」とは、繊維強化複合材料の表面を構成する織物状繊維樹脂部の表面から、繊維強化複合材料の厚さ方向に沿って内部に進んだ短繊維樹脂部に接触する部分をいう。
このように、繊維強化複合材料の表面を構成する織物状繊維樹脂部の表面に進むに従って、織物状強化繊維の幅方向端部が突出するように、各織物状強化繊維を幅方向に積層させることにより、成形時における短繊維樹脂部の境界部近傍の流動をより抑えることができ、短繊維樹脂部の樹脂溜り及び繊維くねりをより効率よく低減することができる。また、本発明に係る繊維強化複合材料は、織物状強化繊維を埋設するように構成したので、必要な強度となるように積層する織物状繊維の積層量を決定し、流動性の高い短繊維樹脂部により、繊維強化複合材料の厚さを適宜設定することができる。
また、本発明に係る繊維強化複合材料は、前記織物状繊維樹脂部の前記幅方向端部は、幅方向に湾曲した少なくとも1つの山部と谷部とを有することがより好ましい。このような山部と谷部を設けることにより、さらに織物状繊維樹脂部と短繊維樹脂部との境界部近傍の応力をさらに分散させることができる。
本発明によれば、織物状繊維樹脂部と短繊維樹脂部との幅方向の境界部に作用する応力を緩和させ、該境界部の強度低下を抑えることがきる。
以下に、図面を参照して、本発明に係る繊維強化複合材料のいくつかの実施形態に基づいて説明する。
図1は、第一実施形態に係る繊維強化複合材料の全体構成図を示しており、図2は、図1のII−II線矢視断面図である。図1に示すように、繊維強化複合材料10は、短繊維樹脂部11と、織物状繊維樹脂部15と、を少なくとも有している。
短繊維樹脂部11は、繊維強化複合材料10を強化するための炭素繊維からなる短強化繊維12と、該短強化繊維12に含浸されるエポキシ樹脂からなる樹脂13を少なくとも含んでいる。また、短強化繊維12の繊維径は、5〜15μm程度の太さ同等の繊維径を有する炭素繊維を、10〜30mm程度に切断したものであり、切断した短強化繊維12は、樹脂13に均一に分散されている。しかし、前記繊維径及び繊維の長さは、この範囲に限定されるものではない。
織物状繊維樹脂部15は、平織された炭素繊維材料からなる織物状強化繊維16と、該織物状強化繊維16を含浸したエポキシ樹脂(図示せず)とからなる。織物状強化繊維16は、織物状強化繊維16の織り目部分が繊維強化複合材料10の一部の表面層を構成するように配置されている。また、織物状強化繊維16は、幅方向Bにおいて織物状強化繊維16の繊維の切断端面が短繊維樹脂部11の境界に隣接するように、短繊維樹脂部11に埋設されている。さらに、織物状強化繊維16は、繊維強化複合材料10の厚さ方向に沿って、織物状強化繊維16が繊維強化複合材料10の厚さ方向に積層された積層構造となっている。
具体的には、各織物状強化繊維16は、短繊維樹脂部11に隣接した幅方向Bの各端部16aが厚さ方向Tに進むに従って、幅方向Bの少なくとも一方向にずれるように積層されており、埋設された織物状繊維樹脂部15の底部15bから表面15aに進むに従って、織物状繊維樹脂部15の幅方向Bの端部17が幅方向Bに突出するように積層されている。この結果、繊維強化複合材料10は、織物状繊維樹脂部15の織物状強化繊維16の繊維量が、短繊維樹脂部11に隣接した織物状繊維樹脂部15の幅方向の端部17に進むに従って減少するように構成される。
このような繊維強化複合材料10によれば、織物状繊維樹脂部15の織物状強化繊維16の繊維量が、短繊維樹脂部11に隣接した織物状繊維樹脂部15の幅方向端部に進むに従って減少するようにしたので、たとえ、短繊維樹脂部11と織物状繊維樹脂部15の境界部に曲げ応力が発生したとしても、該境界部の応力を緩和させ、該境界部の応力の集中を低減することができる。
なお、剛性の必要な箇所に織物状繊維樹脂部15を配置可能なように、織物状繊維樹脂部15と短繊維樹脂部11との一体成形が可能であれば、織物状繊維樹脂部15の繊維及び樹脂の種類、及び織物状強化繊維の織り方等は、特に限定されるものではない。
たとえば、織物状強化繊維16は、平織された炭素繊維材料からなるが、該織り方としては綾織、朱子織などの織組織であってもよく、炭素繊維を一方向に引き揃えた複数層を隣接する層の繊維軸が30°〜60°程度ずれるように、いわゆる交差積層させてもよい。このような積層構造にすることにより、複合材料が機械的に等方性をえることができる。また、前記炭素繊維材料の炭素繊維は、繊維径が5〜15μm程度の太さのものが好ましいが、繊維径及び繊維糸の太さは、特に限定されるものでない。
さらに、短強化繊維12及び織物状強化繊維16を構成する繊維は、炭素繊維の他にも、使用環境などに応じて、アラミド繊維、ボロン繊維、スチール繊維、PBO繊維、高強度ポリエチレン繊維、又はガラス繊維などから選択されてもよく、これらを単独、または複数を組み合わせて用いてもよい。また、短強化繊維12及び織物状強化繊維16に含浸される樹脂はエポキシ樹脂の他にも、例えば、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、BT樹脂、シアネートエステル樹脂、または、ベンゾオキサジン樹脂等を主成分とした樹脂を用いてもよい。
以下に繊維強化複合材料10の製造方法について説明する。まず、炭素繊維からなる短炭素強化繊維を、該繊維を未硬化のエポキシ樹脂に含浸させ、シート状の短繊維強化複合材料を製作する。なお、短繊維強化複合材料は、前記繊維が、20〜50Vol%、樹脂が50〜80Vol%程度含まれていることが好ましい。次に、短繊維強化複合材料の補強すべき部材として、未硬化のエポキシ樹脂に含浸した織物状強化繊維が、積層構造となった織物状繊維強化複合材料を製作する。なお、各織物状強化繊維は、短繊維強化複合材料と接触する面(底部)から繊維強化複合材料の表面に進むに従って、幅方向端部が突出するように積層させる。そして、短繊維強化複合材料上の補強すべき箇所に、織物状繊維強化複合材料を配置し、金型によりこれらの複合材料を加圧成形し、この状態を保持しながら加熱し、樹脂を硬化させる。
このような製造方法により、繊維強化複合材料を成形した場合、成形時には、前記境界部近傍では樹脂の流動が軽減されるので、図2に示すように、短繊維樹脂部の樹脂溜り、繊維くねりを低減し、前記境界部の強度低下を回避することができる。
図3は、第二実施形態に係る繊維強化複合材料の全体構成図を示しており、第二実施形態に係る繊維強化複合材料が第一実施形態に係る繊維強化複合材料と相違する点は、短繊維樹脂部と隣接する織物状繊維樹脂部の幅方向端部の形状である。尚、第一実施形態に係る繊維強化複合材料と共通する構成は、以下に詳細な説明を省略する。
具体的には、織物状繊維樹脂部25は、織物状強化繊維26が積層されており、短繊維樹脂部21に隣接する各織物状強化繊維26の端部は、幅方向Bに湾曲した山部26aと谷部26bとを有している。なお、幅方向Bの湾曲した山部26aと谷部26bの大きさ、個数、及び間隔は、第一実施形態と同様に、繊維強化複合材料20が、織物状繊維樹脂部25の織物状強化繊維26の繊維量が、短繊維樹脂部21に隣接した織物状繊維樹脂部25の幅方向端部27に進むに従って減少するように構成されていれば、特に限定されるものではない。本実施形態によれば、山部26aと谷部26bを設けることにより、さらに織物状繊維樹脂部と短繊維樹脂部との境界部近傍の応力を分散させることができる。
図4は、第三実施形態に係る繊維強化複合材料の全体構成図を示しており、第三実施形態に係る繊維強化複合材料は、第三実施形態に係る繊維強化複合材料が第一実施形態に係る繊維強化複合材料と相違する点は、短繊維樹脂部と隣接する織物状繊維樹脂部の幅方向端部近傍の繊維の状態である。尚、第一実施形態に係る繊維強化複合材料と共通する構成は、以下に詳細な説明を省略する。
具体的には、織物状繊維樹脂部35は、表面の一部が繊維強化複合材料30の表面の一部を構成するように埋設されており、短繊維樹脂部31に各織物状強化繊維36が厚さ方向Tに積層されている。織物状強化繊維36は、前記幅方向Bの端部37の近傍の平織りされた織物状強化繊維36の横方向の繊維(幅方向端部に平行に織り込まれた繊維)を引抜き、さらに、横方向の繊維と交叉する縦方向の繊維(幅方向端部に向かう繊維)を、織物状繊維樹脂部35の織物状強化繊維36の繊維量が短繊維樹脂部31に隣接した織物状繊維樹脂部35の幅方向Bの端部37に進むに従って減少するように切断されている。このような構成にすることにより、織物状繊維樹脂部35と織物状繊維樹脂部35の境界部に曲げ応力が発生したとしても、織物状繊維樹脂部35と短繊維樹脂部31との幅方向Bの境界部の応力を緩和させ、該境界部の応力の集中を低減することができ、さらには、織物状繊維樹脂部35の底部と短繊維樹脂部31の界面である厚み方向の境界部が層せん断するのを低減することができる。
なお、本実施形態では、織物状繊維樹脂部の前記幅方向端部は、織物状強化繊維を一方向にずらしていないため、各織物状強化繊維の端部は揃っていたが、本実施形態の織物状強化繊維を第一実施形態のようにさらに一方向にずらしてもよく、第二実施形態のように、各織物状強化繊維の幅方向端部の繊維を、さらに幅方向に湾曲した少なくとも1つの山部と谷部とを有するように、切断等してもよい。
(実施例)
第一実施形態に係る繊維強化複合材料を製作した。具体的には、束状の繊維径2mm、繊維長さ25.4mmの炭素繊維からなる短強化繊維に、未硬化のビニルエステル樹脂を含浸させて、シート状の短繊維強化複合材料を製作した。さらに、繊維径7μmの5朱子織りされた炭素繊維からなる2つの織物状強化繊維から2層形成されるように、織物状強化繊維を一方向に20mmずらして積層し、未硬化のビニルエステル樹脂を含浸させた織物状繊維強化複合材料を製作した。そして、シート状の短繊維強化複合材料の表面に、織物状繊維強化複合材料を配置し、織物状繊維強化複合材料の一部が短繊維強化複合材料の表面に埋設され所定の厚みの平板となるように、加圧して、成形し、300mm×300mm、厚さ3mmの繊維複合材料を製作した。
<三点曲げ試験>
繊維強化複合材料から100mm×15mm、厚さ3mmの試験片を5つ切り出して、曲げ試験用治具の圧子先端R5mm,両端の支持台先端R2mm、最大荷重10kN,試験速度0.05〜1000mm/minの仕様の三点曲げ試験機(オートグラフ:島津製作所製、AGS−10kNG)を用いて、試験温度23℃、試験速度5mm/minの条件で、図5に示すような三点曲げ試験を試験片(5つすべて)に対して行い、繊維強化複合材料の曲げ弾性率及び曲げ強さを測定し、その平均を求めた。この結果を、図5,6に示す。なお、図5に示すように、参考例1として、短炭素繊維のみを用いた繊維強化複合材料(C−SMC 単体)、織物状強化繊維を全面に配置した繊維強化複合材料(A−SMC 2PLY)に対しても、同じ条件で、曲げ弾性率と曲げ強さを測定した。この結果を表1及び図5,6に示す。
(比較例)
実施例と同じように、繊維強化複合材料を製作した。実施例と相違する点は、図5に示すように、炭素繊維からなる織物状強化繊維を一方向にずらさずに、短繊維樹脂部と隣接する各織物状強化繊維の幅方向の端部を揃えた点ある。そして、実施例と同じようにして、三点曲げ試験を行った。この結果を表1及び図5,6に示す。
Figure 0005036381
[結果]
表1に示すように、比較例,参考例1に比べ実施例に係る繊維強化複合材料のほうが、曲げ弾性率、曲げ強さが大きかった。
[考察]
このような結果になったのは、実施例に係る繊維強化複合材料は、織物状繊維樹脂部の織物状強化繊維の繊維量が、短繊維樹脂部に隣接した織物状繊維樹脂部の幅方向端部に進むに従って減少するようにした(具体的には、一方向に織物状強化繊維をずらした)ので、たとえ、織物状繊維樹脂部と織物状繊維樹脂部の境界部に曲げ応力が発生したとしても、織物状繊維樹脂部と短繊維樹脂部との厚さ方向境界部の応力が緩和し、該境界部の応力の集中を低減することができたことによると考えられる。また、繊維強化複合材料の成形時には、境界部近傍では樹脂の流動が軽減し、短繊維樹脂部の樹脂溜り、繊維くねりを低減することができるので、境界部の強度低下を回避することができたことによると考えられる。
本発明に係る繊維強化複合材料は、量産が必要とされ、かつ、部分的に剛性が低い複雑な形状の部材に特に好適である。具体的には、オートバイフレーム、カウル等の二輪車用途や、ドア、ボンネット、テールゲート、サイドフェンダー、側面パネル、フェンダー、トランクリッド、ハードップ、エンジンシリンダーカバー、エンジンフード、シャシー、エアースポイラー、プロペラシャフト等の自動車部品などの用途が挙げられる。
本発明の第一実施形態に係る繊維強化複合材料の斜視図。 図1のII−II線矢視断面図。 本発明の第二実施形態に係る繊維強化複合材料の斜視図。 本発明の第三実施形態に係る繊維強化複合材料の斜視図。 実施例及び比較例の三点曲げ試験の説明と三点曲げ試験による曲げ弾性率の測定結果を示した図。 実施例及び比較例の曲げ強さの測定結果を示した図。 従来の繊維強化複合材料の斜視図。 図7のVI−VI線矢視断面図。 従来の繊維強化複合材料の破壊形態を説明するための図。
符号の説明
10:繊維強化複合材料,11:短繊維樹脂部,12:短強化繊維,13:樹脂,15:織物状繊維樹脂部,15a:表面,15b:底部,16:織物状強化繊維,17:端部,20:繊維強化複合材料,21:短繊維樹脂部,25:織物状繊維樹脂部,26:織物状強化繊維,26a:山部,26b:谷部,27:幅方向端部,30:繊維強化複合材料,31:短繊維樹脂部,35:織物状繊維樹脂部,36:織物状強化繊維

Claims (4)

  1. 短強化繊維及び樹脂を少なくとも含む短繊維樹脂部と、織物状強化繊維及び樹脂を少なくとも含む織物状繊維樹脂部と、を少なくとも有した繊維強化複合材料であって、
    該繊維強化複合材料は、前記織物状繊維樹脂部の織物状強化繊維の繊維量が、前記短繊維樹脂部に隣接した前記織物状繊維樹脂部の幅方向端部に進むに従って減少するように構成されていることを特徴とする繊維強化複合材料。
  2. 前記織物状繊維樹脂部は、前記織物状強化繊維が前記繊維強化複合材料の厚さ方向に積層された積層構造であり、
    積層された各織物状強化繊維の前記短繊維樹脂部に隣接した幅方向の各端部は、厚さ方向に進むに従って、少なくとも一方向にずれていることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料。
  3. 前記織物状繊維樹脂部は、前記繊維強化複合材料の一部の表面を形成するように前記短繊維樹脂部に埋設されており、前記各織物状強化繊維は、前記埋設された織物状繊維樹脂部の底部から前記表面に進むに従って、前記織物状繊維樹脂部の幅方向端部が突出するように積層されていることを特徴とする請求項2に記載の繊維強化複合材料。
  4. 前記織物状繊維樹脂部の前記幅方向端部は、幅方向に湾曲した少なくとも1つの山部と谷部とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化複合材料。
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