JP2012121227A - 複合材製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】凹部10を有する成形型1に強化繊維基材2を載置し、凹部10を挟んで配置される少なくとも一対の固定部材4によって強化繊維基材2を成形型1に固定する。このとき、強化繊維基材2と成形型1の凹部10の底面12との間に間隙が設けられた状態で、強化繊維基材2を固定部材4によって成形型1に固定する。この後、成形型1に固定された強化繊維基材2をバッグフィルム20で覆い、成形型1とバッグフィルム20との間に形成された成形空間内を減圧して、減圧された成形空間内でマトリックス樹脂を流動させる。そして、強化繊維基材2とマトリックス樹脂とが一体的に成形された複合材28が得られるように、マトリックス樹脂を固化する。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1には、一方向繊維プリプレグに張力を付与しながら成形を行うことで、複合材のシワ及びうねりの発生を防止するオートクレーブ成形法が記載されている。この成形法は、複数枚の一方向繊維プリプレグを成形用下型の上に積層し、プリプレグの上に成形用上型板を重ね、一方向繊維プリプレグの端部を成形用下型に固定された張力板とこの張力板の上に載置されてプリプレグを押圧する拘止板によって拘止し、成形用上型板の上に通気用織物及びバッグフィルムを重ね、バッグフィルムの内側を真空引きしてプリプレグを加圧した状態で、加熱して硬化させるというものである。
例えば、特許文献2には、バッグフィルムとして再利用可能かつ透明なシリコーンシートを用いた真空含浸工法が開示されている。この工法では、バッグフィルムとして薄肉化した透明なシリコーンシートが用いられているため、バッグフィルムの重量が軽量化され、かつ、透明化により内部を流れる液状樹脂の状態が可視化される。よって、バッグフィルムのハンドリングが容易になるとともに、樹脂の含浸状況を目視で確認することが可能となり、複合材製造時の作業性を向上させることができる。
また、成形時に強化繊維基材に付与される張力は、真空含浸工法において成形時に行う減圧工程を利用して発生させるから、強化繊維基材への張力付与のための機構を別途設ける必要がない。よって、設備コストの増加を抑えることができる。
また、成形時に強化繊維基材に付与される張力は、真空含浸工法において成形時に行う減圧工程を利用して発生させるから、強化繊維基材への張力付与のための機構を別途設ける必要がない。よって、設備コストの増加を抑えることができる。
第1実施形態に係る複合材製造方法について説明する。図1は、第1実施形態の複合材製造方法の手順を示す図である。図2は、第1実施形態で用いる成形型の凹部と複合材の製品エリアとの関係を示す上面図である。
なお、このとき、強化繊維基材2の上に、剥離シート(ピールプライ)6及び樹脂拡散用網状シート(フローメディア)8をこの順で配置しておくことが好ましい。剥離シート6は、成形後の複合材28(図1(c)参照)の取外しを容易にするためのものである。また、樹脂拡散用網状シート8は、後述のマトリックス樹脂の強化繊維基材2への浸透を促進するためのものである。
なお、成形型1の凹部10が複合材の製品エリアAの全面に亘って設ける場合、成形型1の凹部10の形状を適宜調整すれば、複合材28(図1(c)参照)の所望の形状を得ることができる。例えば、後述の成形空間内の減圧時に強化繊維基材2の下面が凹部10の底面12に接触するように成形型1の凹部10の深さを決定するとともに、凹部10の底面12を最終的に得たい複合材28の形状の反転形状としてもよい。
なお、強化繊維基材2の貫通穴に挿通される固定用ボルトを固定部材4として用いる場合、図2に示すように、固定部材4は複合材の製品エリアA外に配置する。このため、固定部材4が挿通される強化繊維基材2の貫通穴も製品エリアA外に設けられる。よって、強化繊維基材2に設けた貫通穴が複合材28(図1(c)参照)の品質に影響を及ぼすことはない。
具体的には、吸引口22及び注入口24が設けられたバッグフィルム20を強化繊維基材2に被せ、シール部材26によって、バッグフィルム20と成形型1とで囲まれる空間(成形空間)を密封する。そして、吸引口22に真空ポンプが接続され、この真空ポンプにより成形空間内が減圧される。さらに、注入口24を介して減圧下の成形空間内に液状のマトリックス樹脂が注入される。なお、図1(b)における符号27は、強化繊維基材2へのマトリックス樹脂の浸透領域を示している。
この後、複合材28は、成形型1から取り外され、製品エリアAの大きさに裁断される。
また、成形時に強化繊維基材2に付与される張力は、真空含浸工法において成形時に行う減圧工程を利用して発生させるから、強化繊維基材2への張力付与のための機構を別途設ける必要がない。よって、設備コストの増加を抑えることができる。
次に、第2実施形態に係る複合材製造方法について説明する。図3は、第2実施形態の複合材製造方法の手順を示す図である。図4は、第2実施形態で用いる成形型の凹部と複合材の製品エリアとの関係の一例を示す上面図である。図5は、成形型の凹部と複合材の製品エリアとの関係の他の例を示す上面図である。
なお、本実施形態に係る複合材製造方法は、成形型1の凹部10を複合材の製品エリア外に設けた点と、加圧用治具を設けた点とを除けば、第1実施形態と同様である。したがって、ここでは第1実施形態と共通する部材に同一の符号を付して、第1実施形態と共通する内容については説明を省略し、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
ここで、本実施形態で用いる成形型1は、一対の固定部材4の間に凹部10を有する点は第1実施形態と同様であるが、図4に示すように、複合材の製品エリアA外に凹部10が設けられる点で第1実施形態と異なる。なお、強化繊維基材2により大きな張力を付与する観点から、図5に示すように、複合材の製品エリアAの両側に凹部10を設けてもよい。
加圧用治具30は、例えば、アルミニウム、鉄、鋼、木材、樹脂等の任意の材質のものを用いることができる。加圧用治具30は、基本的には、成形時における大気圧と成形空間内圧力との差圧によって下方に移動することで、成形型1の凹部10に強化繊維基材2を押し付けるものであるが、加熱用治具30を重量物で構成し、上記差圧に加えて加熱用治具30の自重によって強化繊維基材2を凹部10に押し付けてもよい。加熱用治具30を重量物で構成する場合、加熱用治具30の周辺の強化繊維基材2へのマトリックス樹脂の浸透を妨げないように加熱用治具30の重量を調節することが好ましい。
したがって、成形型1の凹部10の面積が小さい場合であっても、図3(b)における矢印方向の大きな張力を強化繊維基材2に付与できる。よって、強化繊維基材2を構成する繊維の伸直度を飛躍的に高めて、複合材28(図3(c)参照)の圧縮強度を大幅に向上させるとともに、強化繊維基材2を構成する繊維のシワを確実に低減して、繊維のシワに起因する複合材28の強度低下をより一層抑制できる。
特に、本実施形態では成形型1の凹部10を複合材の製品エリアA外に設けるから、加圧用治具30を用いて、小さな面積の凹部10で大きな張力を強化繊維基材2に付与するようにすれば、材料費を削減できるだけでなく、成形装置(成形型1など)を小型化できる。
次に、第3実施形態に係る複合材製造方法について説明する。本実施形態に係る複合材製造方法は、樹脂が繊維に含浸されたプリプレグを強化繊維基材2として用いる点を除けば、第1実施形態と同様である。したがって、ここでは第1実施形態と共通する内容については説明を省略し、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
なお、本実施形態では、プリプレグからなる強化繊維基材2を用いるためマトリックス樹脂の注入は行わない。このため、バッグフィルム20には樹脂注入用の注入口は設けられていない。また、マトリックス樹脂の強化繊維基材2への浸透を促進するための樹脂拡散用網状シート8に替えて、ブリーザー(通気用繊維)32(図6参照)が設けられる。
2 強化繊維基材
4 固定部材
4A スタッドボルト
4B ナット
4C 押え板
6 剥離シート
8 樹脂拡散用網状シート
10 凹部
12 底面
20 バッグフィルム
22 吸引口
24 注入口
26 シール部材
27 浸透領域
28 複合材
30 加圧用治具
32 ブリーザー
Claims (7)
- マトリックス樹脂が繊維で強化された複合材を真空含浸工法により製造する複合材製造方法であって、
凹部を有する成形型に強化繊維基材を載置し、前記凹部を挟んで配置される少なくとも一対の固定部材によって前記強化繊維基材を前記成形型に固定する固定工程と、
前記成形型に固定された前記強化繊維基材をバッグフィルムで覆う被覆工程と、
前記成形型と前記バッグフィルムとの間に形成された成形空間内を減圧する減圧工程と、
減圧された前記成形空間内でマトリックス樹脂を流動させる流動工程と、
前記強化繊維基材と前記マトリックス樹脂とが一体的に成形された複合材が得られるように、前記マトリックス樹脂を固化する固化工程とを備え、
前記固定工程では、前記強化繊維基材と前記成形型の凹部の底面との間に間隙が設けられた状態で、前記強化繊維基材が前記固定部材によって前記成形型に固定されることを特徴とする複合材製造方法。 - 前記成形型の凹部は、複合材の製品エリア全面に亘って設けられていることを特徴とする請求項1に記載の複合材製造方法。
- 前記成形型の凹部は、複合材の製品エリア外にのみ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の複合材製造方法。
- 前記被覆工程では、前記成形型に設けられた凹部の上方において、前記バッグフィルムと前記強化繊維基材との間に加圧用治具を介在させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合材製造方法。
- 前記固定部材は、前記強化繊維基材に設けられた貫通穴に挿通された固定用ボルトを含み、
前記貫通穴は、複合材の製品エリア外に設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の複合材製造方法。 - 前記強化繊維基材は、繊維束が一方向に配列した基材であり、
前記固定部材は、前記強化繊維基材の繊維束の配列方向における前記成形型の凹部の両側に配置されること特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の複合材製造方法。 - 前記強化繊維基材が炭素繊維からなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の複合材製造方法。
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