JP5035404B2 - 回転直線運動変換機構の製造方法及びその実施に使用する治具 - Google Patents

回転直線運動変換機構の製造方法及びその実施に使用する治具 Download PDF

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Description

本発明は、回転運動を直線運動に変換する回転直線運動変換機構の製造方法及びその実施に使用する治具に関する。
回転直線運動変換機構としては、例えば特許文献1に記載の変換機構が知られている。
この回転直線運動変換機構は、軸方向へ延びる空間を内部に有する円環軸と円環軸の内部に配置される太陽軸と太陽軸の周囲に配置される複数の遊星軸との組み合わせにより構成されている。また、円環軸の雌ねじ及び太陽軸の雄ねじと遊星軸の雄ねじとがそれぞれ噛み合わされているとともに、円環軸の内歯車と遊星軸の外歯車とが噛み合わされている。こうした構造の回転直線運動変換機構においては、円環軸を回転運動させたとき、円環軸から伝達された力を通じて遊星軸が太陽軸のまわりで遊星運動することにより、太陽軸が直線運動するようになる。すなわち、円環軸の回転運動を太陽軸の直線運動に変換することが可能となっている。
国際公開 WO2004/094870号公報
ところで、上記特許文献1の回転直線運動変換機構のように、円環軸及び遊星軸のそれぞれに一対の歯車が設けられ、対応する歯車同士が噛み合わされるとともに、円環軸の一対の歯車の少なくとも一方が円環軸本体とは各別に形成される構造の回転直線運動変換機構においては、次のようなことが問題となる。すなわち、一対の歯車の少なくとも一方が円環軸本体とは各別に形成されていることにより、一方の歯車と他方の歯車との相対的な回転位相が大きくずれた状態で円環軸が組み立てられることもある。そして、こうした回転位相のずれにともない、円環軸の歯車と遊星軸の歯車とが設計時の噛み合い状態から大きく乖離した状態で噛み合わされた場合には、円環軸と遊星軸との間の摺動抵抗が増大することに起因して、回転運動から直線運動への仕事の変換効率の低下をまねくようになる。なお、こうした問題は、太陽軸及び遊星軸のそれぞれに一対の歯車が設けられるとともに、太陽軸の一対の歯車の少なくとも一方が太陽軸本体とは各別に形成される場合においても同様に生じるものと考えられる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、仕事の変換効率の向上を図ることのできる回転直線運動変換機構の製造方法及びその実施に使用する治具を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、内部に空間を有する円環軸と、同円環軸内の空間に配置される太陽軸と、前記円環軸内の空間において同太陽軸の周囲に配置される遊星軸とを備えること、及び外歯車である第1太陽歯車及び第2太陽歯車が設けられる太陽軸本体と、同太陽軸本体と一体に形成される前記第1太陽歯車と、前記太陽軸本体とは各別に形成される前記第2太陽歯車とを含めて前記太陽軸が構成されること、及び前記第1太陽歯車に噛み合わされる外歯車である第1遊星歯車と、前記第2太陽歯車に噛み合わされる外歯車である第2遊星歯車とを含めて前記遊星軸が構成されること、及び前記円環軸と前記太陽軸との一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸と前記太陽軸との他方が直線運動することを要件として構成される回転直線運動変換機構の製造方法において、前記第1太陽歯車と前記第2太陽歯車との相対的な回転が不能となる状態、且つこれら歯車の相対的な回転位相が実質的に一致する状態で前記太陽軸本体及び前記第2太陽歯車を保持する保持工程と、同工程の後に、前記太陽軸本体と前記第2太陽歯車との軸方向についての相対的な移動を通じて前記太陽軸本体に前記第2太陽歯車を組み付ける第2太陽歯車組付工程とを含むことを要旨としている。
上記発明によれば、第1太陽歯車と第2太陽歯車との相対的な回転位相が実質的に一致する状態で太陽軸本体と第2太陽歯車とが組み合わされるため、太陽軸において第1太陽歯車と第2太陽歯車との相対的な回転位相が実質的に一致するようになる。これにより、太陽歯車と遊星歯車とが設計時の噛み合い状態から大きく乖離した状態で噛み合わされることが的確に抑制されるため、回転運動から直線運動への仕事の変換効率の向上を図ることができるようになる。
(2)請求項2に記載の発明は、内部に空間を有する円環軸と、同円環軸内の空間に配置される太陽軸と、前記円環軸内の空間において同太陽軸の周囲に配置される遊星軸とを備えること、及び外歯車である第1太陽歯車及び第2太陽歯車が設けられる太陽軸本体と、同太陽軸本体とは各別に形成される前記第1太陽歯車と、同じく前記太陽軸本体とは各別に形成される前記第2太陽歯車とを含めて前記太陽軸が構成されること、及び前記第1太陽歯車に噛み合わされる外歯車である第1遊星歯車と、前記第2太陽歯車に噛み合わされる外歯車である第2遊星歯車とを含めて前記遊星軸が構成されること、及び前記円環軸と前記太陽軸との一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸と前記太陽軸との他方が直線運動することを要件として構成される回転直線運動変換機構の製造方法において、前記太陽軸本体に前記第1太陽歯車を組み付ける第1太陽歯車組付工程と、同工程の後に、前記第1太陽歯車と前記第2太陽歯車との相対的な回転が不能となる状態、且つこれら歯車の相対的な回転位相が実質的に一致する状態で前記太陽軸本体及び前記第2太陽歯車を保持する保持工程と、同工程の後に、前記太陽軸本体と前記第2太陽歯車との軸方向についての相対的な移動を通じて前記太陽軸本体に前記第2太陽歯車を組み付ける第2太陽歯車組付工程とを含むことを要旨としている。
上記発明によれば、第1太陽歯車と第2太陽歯車との相対的な回転位相が実質的に一致する状態で太陽軸本体と第2太陽歯車とが組み合わされるため、太陽軸において第1太陽歯車と第2太陽歯車との相対的な回転位相が実質的に一致するようになる。これにより、太陽歯車と遊星歯車とが設計時の噛み合い状態から大きく乖離した状態で噛み合わされることが的確に抑制されるため、回転運動から直線運動への仕事の変換効率の向上を図ることができるようになる。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記保持工程では、前記太陽軸本体及び前記第2太陽歯車が取り付けられたときに、自身に対する前記太陽軸本体及び前記第2太陽歯車の回転が不能となる状態、及び前記第1太陽歯車と前記第2太陽歯車との相対的な回転位相が実質的に一致した状態を保持する位相調整治具を準備し、同治具に対する前記太陽軸本体及び前記第2太陽歯車の取り付けを通じて、前記第1太陽歯車と前記第2太陽歯車との相対的な回転が不能となる状態、且つこれら歯車の相対的な回転位相が実質的に一致する状態を確保することを要旨としている。
上記発明によれば、第1太陽歯車が組み付けられた状態の太陽軸本体と第2太陽歯車とをそれぞれ上記治具に取り付けることにより、太陽軸において第1太陽歯車と第2太陽歯車との相対的な回転位相が実質的に一致する状態を得るための準備が整えられるため、すなわち各太陽歯車の相対的な回転位相を厳密に管理しなくとも同準備が整えられるため、回転直線運動変換機構の製造にかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記位相調整治具は、相対的な回転が不能とされる第1規制部及び第2規制部を備え、前記第1規制部を通じて当該治具に対する前記第1太陽歯車の回転を不能とし、前記第2規制部を通じて当該治具に対する前記第2太陽歯車の回転を不能とするとともに、これら規制部による前記第1太陽歯車及び前記第2太陽歯車の回転の規制を通じて、前記第1太陽歯車と前記第2太陽歯車との相対的な回転が不能となる状態、且つこれら歯車の相対的な回転位相が実質的に一致する状態を確保することを要旨としている。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記第1規制部は、前記第1太陽歯車の歯の間に配置されて隣り合う歯面のそれぞれに接触する支持体と、同支持体を前記第1太陽歯車の中心に向けて押す押付体とを含めて構成されることを要旨としている。
上記発明によれば、第1規制部の支持体が第1太陽歯車の歯の間に配置されて隣り合う歯面のそれぞれに接触するため、位相調整治具に対する第1太陽歯車の回転を的確に規制することができるようになる。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記第2規制部は、前記第2太陽歯車の歯の間に配置されて隣り合う歯面のそれぞれに接触する支持体と、同支持体を前記第2太陽歯車の中心に向けて押す押付体とを含めて構成されることを要旨としている。
上記発明によれば、第2規制部の支持体が第2太陽歯車の歯の間に配置されて隣り合う歯面のそれぞれに接触するため、位相調整治具に対する第2太陽歯車の回転を的確に規制することができるようになる。
(7)請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記支持体として、前記太陽歯車のピッチ円上またはその付近にて歯面と接触する球体を備えることを要旨としている。
太陽歯車においては、歯車毎に歯の形状にばらつきが生じること、すなわち歯車毎に歯元や歯先の位置が異なることもあるため、位相調整治具の支持体を歯元や歯先に接触させることを通じて太陽歯車の回転を規制するようにした場合には、位相調整治具に対する回転が不能とされた状態の太陽歯車について、位相調整治具に対する同歯車の回転位相にばらつきが生じるようになる。この点、上記発明では位相調整治具の支持体をピッチ円上またはその付近にて歯面と接触させるようにしているため、歯の形状にばらつきに起因して位相調整治具に対する太陽歯車の回転位相にばらつきが生じることを抑制することができるようになる。
(8)請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記第2太陽歯車組付工程の後に、前記第1太陽歯車と前記第1遊星歯車とを噛み合わせる作業及び前記第2太陽歯車と前記第2遊星歯車とを噛み合わせる作業の少なくとも一方を通じて、前記太陽軸及び前記遊星軸を含めて構成される遊星付き集合体を完成させる集合体組立工程を含むことを要旨としている。
上記発明によれば、第1太陽歯車と第2太陽歯車との相対的な回転位相が実質的に一致する状態の太陽軸について、この太陽軸の第1太陽歯車及び第2太陽歯車の少なくとも一方に対して対応する遊星歯車が噛み合わされるため、第1遊星歯車と第2遊星歯車との相対的な回転位相を厳密に管理しなくとも、同相対的な回転位相が実質的に一致する状態で遊星付き集合体を組み立てることができるようになる。
(9)請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記遊星軸は、前記第1遊星歯車及び前記第2遊星歯車が設けられる遊星軸本体と前記第2遊星歯車とが各別に形成されるものであり、前記集合体組立工程では、前記第1太陽歯車と前記第1遊星歯車との噛み合わせが得られた状態の前記太陽軸本体及び前記遊星軸本体を含めて構成される軸本体集合体について、同集合体の前記遊星軸本体に対して前記第2遊星歯車を組み付けることにより前記遊星付き集合体を組み立てることを要旨としている。
(10)請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記集合体組立工程では、前記遊星軸本体を前記太陽軸本体に対して直立する状態に保持する遊星支持治具を準備し、前記位相調整治具に代えて同治具に前記軸本体集合体を取り付けた後に同集合体の前記遊星軸本体に対して前記第2遊星歯車を組み付けることを要旨としている。
軸集合体の遊星軸本体に第2遊星歯車を組み付ける際、遊星軸本体が太陽軸本体に対して傾いている場合には、第2遊星歯車がこれにならって太陽軸本体に対して傾いた状態で遊星軸本体に組み付けられるため、第2太陽歯車と第2遊星歯車との噛み合い状態が設計時の噛み合い状態から大きく乖離するようになる。この点、上記発明では、遊星軸本体が太陽軸本体に対して直立させられた状態で第2遊星歯車が組み付けられるため、遊星付き集合体において第2太陽歯車と第2遊星歯車との噛み合い状態が設計時の噛み合い状態から大きく乖離することを的確に抑制することができるようになる。
(11)請求項11に記載の発明は、請求項3〜10のいずれか一項に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において使用される位相調整治具であることを要旨としている。
(12)請求項12に記載の発明は、請求項10に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において使用される遊星支持治具であることを要旨としている。
(13)請求項13に記載の発明は、内部に空間を有する円環軸と、同円環軸内の空間に配置される太陽軸と、前記円環軸内の空間において同太陽軸の周囲に配置される遊星軸とを備えること、及び内歯車である第1円環歯車及び第2円環歯車が設けられる円環軸本体と、同円環軸本体と一体に形成される前記第1円環歯車と、前記円環軸本体とは各別に形成される前記第2円環歯車とを含めて前記円環軸が構成されること、及び前記第1円環歯車に噛み合わされる外歯車である第1遊星歯車と、前記第2円環歯車に噛み合わされる外歯車である第2遊星歯車とを含めて前記遊星軸が構成されること、及び前記円環軸と前記太陽軸との一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸と前記太陽軸との他方が直線運動することを要件として構成される回転直線運動変換機構の製造方法において、前記第1円環歯車と前記第2円環歯車との相対的な回転が不能となる状態、且つこれら歯車の相対的な回転位相が実質的に一致する状態で前記円環軸本体及び前記第2円環歯車を保持する保持工程と、同工程の後に、前記円環軸本体と前記第2円環歯車との軸方向についての相対的な移動を通じて前記円環軸本体に前記第2円環歯車を組み付ける第2円環歯車組付工程とを含むことを要旨としている。
上記発明によれば、第1円環歯車と第2円環歯車との相対的な回転位相が実質的に一致する状態で円環軸本体と第2円環歯車とが組み合わされるため、円環軸において第1円環歯車と第2円環歯車との相対的な回転位相が実質的に一致するようになる。これにより、円環歯車と遊星歯車とが設計時の噛み合い状態から大きく乖離した状態で噛み合わされることが的確に抑制されるため、回転運動から直線運動への仕事の変換効率の向上を図ることができるようになる。
(14)請求項14に記載の発明は、内部に空間を有する円環軸と、同円環軸内の空間に配置される太陽軸と、前記円環軸内の空間において同太陽軸の周囲に配置される遊星軸とを備えること、及び内歯車である第1円環歯車及び第2円環歯車が設けられる円環軸本体と、同円環軸本体とは各別に形成される前記第1円環歯車と、同じく前記円環軸本体とは各別に形成される前記第2円環歯車とを含めて前記円環軸が構成されること、及び前記第1円環歯車に噛み合わされる外歯車である第1遊星歯車と、前記第2円環歯車に噛み合わされる外歯車である第2遊星歯車とを含めて前記遊星軸が構成されること、及び前記円環軸と前記太陽軸との一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸と前記太陽軸との他方が直線運動することを要件として構成される回転直線運動変換機構の製造方法において、前記円環軸本体に前記第1円環歯車を組み付ける第1円環歯車組付工程と、同工程の後に、前記第1円環歯車と前記第2円環歯車との相対的な回転が不能となる状態、且つこれら歯車の相対的な回転位相が実質的に一致する状態で前記円環軸本体及び前記第2円環歯車を保持する保持工程と、同工程の後に、前記円環軸本体と前記第2円環歯車との軸方向についての相対的な移動を通じて前記円環軸本体に前記第2円環歯車を組み付ける第2円環歯車組付工程とを含むことを要旨としている。
上記発明によれば、第1円環歯車と第2円環歯車との相対的な回転位相が実質的に一致する状態で円環軸本体と第2円環歯車とが組み合わされるため、円環軸において第1円環歯車と第2円環歯車との相対的な回転位相が実質的に一致するようになる。これにより、円環歯車と遊星歯車とが設計時の噛み合い状態から大きく乖離した状態で噛み合わされることが的確に抑制されるため、回転運動から直線運動への仕事の変換効率の向上を図ることができるようになる。
(15)請求項15に記載の発明は、請求項13または14に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記保持工程では、前記円環軸本体及び前記第2円環歯車が取り付けられたときに、自身に対する前記円環軸本体及び前記第2円環歯車の回転が不能となる状態、及び前記第1円環歯車と前記第2円環歯車との相対的な回転位相が実質的に一致した状態を保持する位相調整治具を準備し、同治具に対する前記円環軸本体及び前記第2円環歯車の取り付けを通じて、前記第1円環歯車と前記第2円環歯車との相対的な回転が不能となる状態、且つこれら歯車の相対的な回転位相が実質的に一致する状態を確保することを要旨としている。
上記発明によれば、第1円環歯車が組み付けられた状態の円環軸本体と第2円環歯車とをそれぞれ上記治具に取り付けることにより、円環軸において第1円環歯車と第2円環歯車との相対的な回転位相が実質的に一致する状態を得るための準備が整えられるため、すなわち各円環歯車の相対的な回転位相を厳密に管理しなくとも同準備が整えられるため、回転直線運動変換機構の製造にかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
(16)請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記位相調整治具は、相対的な回転が不能とされる第1規制部及び第2規制部を備え、前記第1規制部を通じて当該治具に対する前記第1円環歯車の回転を不能とし、前記第2規制部を通じて当該治具に対する前記第2円環歯車の回転を不能とするとともに、これら規制部による前記第1円環歯車及び前記第2円環歯車の回転の規制を通じて、前記第1円環歯車と前記第2円環歯車との相対的な回転が不能となる状態、且つこれら歯車の相対的な回転位相が実質的に一致する状態を確保することを要旨としている。
(17)請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記第1規制部は、前記第1円環歯車の歯の間に配置されて隣り合う歯面のそれぞれに接触する支持体と、同支持体を前記第1円環歯車の中心に向けて押す押付体とを含めて構成されることを要旨としている。
上記発明によれば、第1規制部の支持体が第1円環歯車の歯の間に配置されて隣り合う歯面のそれぞれに接触するため、位相調整治具に対する第1円環歯車の回転を的確に規制することができるようになる。
(18)請求項18に記載の発明は、請求項16または17に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記第2規制部は、前記第2円環歯車の歯の間に配置されて隣り合う歯面のそれぞれに接触する支持体と、同支持体を前記第2円環歯車の中心に向けて押す押付体とを含めて構成されることを要旨としている。
上記発明によれば、第2規制部の支持体が第2円環歯車の歯の間に配置されて隣り合う歯面のそれぞれに接触するため、位相調整治具に対する第2円環歯車の回転を的確に規制することができるようになる。
(19)請求項19に記載の発明は、請求項17または18に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記支持体として、前記円環歯車のピッチ円上またはその付近にて歯面と接触する球体を備えることを要旨としている。
円環歯車においては、歯車毎に歯の形状にばらつきが生じること、すなわち歯車毎に歯元や歯先の位置が異なることもあるため、位相調整治具の支持体を歯元や歯先に接触させることを通じて円環歯車の回転を規制するようにした場合には、位相調整治具に対する回転が不能とされた状態の円環歯車について、位相調整治具に対する同歯車の回転位相にばらつきが生じるようになる。この点、上記発明では位相調整治具の支持体をピッチ円上またはその付近にて歯面と接触させるようにしているため、歯の形状にばらつきに起因して位相調整治具に対する円環歯車の回転位相にばらつきが生じることを抑制することができるようになる。
(20)請求項20に記載の発明は、請求項13〜19のいずれか一項に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記第2円環歯車組付工程の後に、前記第1円環歯車と前記第1遊星歯車とを噛み合わせる作業及び前記第2円環歯車と前記第2遊星歯車とを噛み合わせる作業の少なくとも一方を通じて、前記円環軸及び前記遊星軸を含めて構成される遊星付き集合体を完成させる集合体組立工程を含むことを要旨としている。
上記発明によれば、第1円環歯車と第2円環歯車との相対的な回転位相が実質的に一致する状態の円環軸について、この円環軸の第1円環歯車及び第2円環歯車の少なくとも一方に対して対応する遊星歯車が噛み合わされるため、第1遊星歯車と第2遊星歯車との相対的な回転位相を厳密に管理しなくとも、同相対的な回転位相が実質的に一致する状態で遊星付き集合体を組み立てることができるようになる。
(21)請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記遊星軸は、前記第1遊星歯車及び前記第2遊星歯車が設けられる遊星軸本体と前記第2遊星歯車とが各別に形成されるものであり、前記集合体組立工程では、前記第1円環歯車と前記第1遊星歯車との噛み合わせが得られた状態の前記円環軸本体及び前記遊星軸本体を含めて構成される軸本体集合体について、同集合体の前記遊星軸本体に対して前記第2遊星歯車を組み付けることにより前記遊星付き集合体を組み立てることを要旨としている。
(22)請求項22に記載の発明は、請求項21に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記集合体組立工程では、前記遊星軸本体を前記円環軸本体に対して直立する状態に保持する遊星支持治具を準備し、前記位相調整治具に代えて同治具に前記軸本体集合体を取り付けた後に同集合体の前記遊星軸本体に対して前記第2遊星歯車を組み付けることを要旨としている。
軸集合体の遊星軸本体に第2遊星歯車を組み付ける際、遊星軸本体が円環軸本体に対して傾いている場合には、第2遊星歯車がこれにならって円環軸本体に対して傾いた状態で遊星軸本体に組み付けられるため、第2円環歯車と第2遊星歯車との噛み合い状態が設計時の噛み合い状態から大きく乖離するようになる。この点、上記発明では、遊星軸本体が円環軸本体に対して直立させられた状態で第2遊星歯車が組み付けられるため、遊星付き集合体において第2円環歯車と第2遊星歯車との噛み合い状態が設計時の噛み合い状態から大きく乖離することを的確に抑制することができるようになる。
(23)請求項23に記載される発明は、請求項15〜22のいずれか一項に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において使用される位相調整治具であることを要旨としている。
(24)請求項24に記載の発明は、請求項22に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において使用される遊星支持治具であることを要旨としている。
(25)請求項25に記載の発明は、内部に空間を有する円環軸と、同円環軸内の空間に配置される太陽軸と、前記円環軸内の空間において同太陽軸の周囲に配置される遊星軸とを備えること、及び外歯車である太陽歯車と、同歯車が設けられる太陽軸本体とを含めて前記太陽軸が構成されること、及び前記太陽歯車に噛み合わされる外歯車である遊星歯車と、同歯車が設けられる遊星軸本体とを含めて前記遊星軸が構成されること、及び前記遊星軸本体と前記遊星歯車とが各別に形成されること、及び前記円環軸と前記太陽軸との一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸と前記太陽軸との他方が直線運動することを要件として構成される回転直線運動変換機構の製造方法において、前記遊星歯車が組み付けられる前の前記遊星軸本体及び前記太陽軸本体を含めて構成される太陽軸集合体を組み立てる太陽軸集合体組立工程と、同工程の後に、前記太陽軸集合体において前記遊星軸本体を前記太陽軸本体に対して実質的に直立させた状態に保持する遊星支持治具を準備し、同治具に前記太陽軸集合体を取り付けた状態で同集合体の前記遊星軸本体に前記遊星歯車を組み付ける遊星歯車組付工程とを含むことを要旨としている。
太陽軸集合体の遊星軸本体に遊星歯車を組み付ける際、遊星軸本体が太陽軸本体に対して傾いている場合には、遊星歯車がこれにならって太陽軸本体に対して傾いた状態で遊星軸本体に組み付けられるため、太陽歯車と遊星歯車との噛み合い状態が設計時の噛み合い状態から大きく乖離するようになる。この点、上記発明では、遊星軸本体が太陽軸本体に対して直立させられた状態で遊星歯車が組み付けられるため、太陽軸と遊星軸とを含めて構成される集合体において太陽歯車と遊星歯車との噛み合い状態が設計時の噛み合い状態から大きく乖離することを的確に抑制することができるようになる。
(26)請求項26に記載の発明は、請求項25に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において使用される遊星支持治具であることを要旨としている。
(27)請求項27に記載の発明は、内部に空間を有する円環軸と、同円環軸内の空間に配置される太陽軸と、前記円環軸内の空間において同太陽軸の周囲に配置される遊星軸とを備えること、及び内歯車である円環歯車と、同歯車が設けられる円環軸本体とを含めて前記円環軸が構成されること、及び前記内歯車に噛み合わされる外歯車である遊星歯車と、同歯車が設けられる遊星軸本体とを含めて前記遊星軸が構成されること、及び前記遊星軸本体と前記遊星歯車とが各別に形成されること、及び前記円環軸と前記太陽軸との一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸と前記太陽軸との他方が直線運動することを要件として構成される回転直線運動変換機構の製造方法において、前記遊星歯車が組み付けられる前の前記遊星軸本体及び前記円環軸本体を含めて構成される円環軸集合体を組み立てる円環軸集合体組立工程と、同工程の後に、前記円環軸集合体において前記遊星軸本体を前記円環軸本体に対して実質的に直立させた状態に保持する治具を遊星支持治具を準備し、同治具に前記円環軸集合体を取り付けた状態で同集合体の前記遊星軸本体に前記遊星歯車を組み付ける遊星歯車組付工程とを含むことを要旨としている。
円環軸集合体の遊星軸本体に遊星歯車を組み付ける際、遊星軸本体が円環軸本体に対して傾いている場合には、遊星歯車がこれにならって円環軸本体に対して傾いた状態で遊星軸本体に組み付けられるため、円環歯車と遊星歯車との噛み合い状態が設計時の噛み合い状態から大きく乖離するようになる。この点、上記発明では、遊星軸本体が円環軸本体に対して直立させられた状態で遊星歯車が組み付けられるため、円環軸と遊星軸とを含めて構成される集合体において円環歯車と遊星歯車との噛み合い状態が設計時の噛み合い状態から大きく乖離することを的確に抑制することができるようになる。
(28)請求項28に記載の発明は、請求項27に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において使用される遊星支持治具であることを要旨としている。
(29)請求項29に記載の発明は、内部に空間を有する円環軸と、同円環軸内の空間に配置される太陽軸と、前記円環軸内の空間において同太陽軸の周囲に配置される遊星軸とを備えること、及び前記太陽軸に設けられる太陽歯車と前記遊星軸に設けられる遊星歯車とが噛み合わされること、及び前記円環軸と前記太陽軸との一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸と前記太陽軸との他方が直線運動することを要件として構成される回転直線運動変換機構の製造方法において、組み立て後の当該回転直線運動変換機構についての前記太陽軸に対する前記遊星軸の傾き度合いを遊星傾き度合いとし、前記円環軸の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記太陽軸が直線運動する際においての前記円環軸の仕事に対する前記太陽軸の仕事の割合、または前記太陽軸の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸が直線運動する際においての前記太陽軸の仕事に対する前記円環軸の仕事の割合を仕事の変換効率とし、当該回転直線運動変換機構に対して要求される仕事の変換効率を要求変換効率とし、前記遊星傾き度合いと前記仕事の変換効率との関係において前記要求変換効率に対応する遊星傾き度合いを基準傾き度合いとして、前記遊星傾き度合いを同基準傾き度合いよりも小さくすべく前記太陽歯車の回転位相を管理しつつ各構成要素を組み合わせることを要旨としている。
上記発明によれば、太陽歯車の回転位相の管理を通じて、遊星傾き度合いが基準傾き度合いよりも小さい状態で回転直線運動変換機構が組み立てられるため、同変換機構の仕事の変換効率として要求変換効率を的確に確保することができるようになる。
(30)請求項30に記載の発明は、請求項29に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記太陽軸は、前記太陽歯車である第1太陽歯車及び第2太陽歯車が設けられる太陽軸本体と、同太陽軸本体と一体に形成される前記第1太陽歯車と、前記太陽軸本体とは各別に形成される前記第2太陽歯車とを含めて構成されるものであり、前記遊星軸は、前記第1太陽歯車に噛み合わされる第1遊星歯車と、前記第2太陽歯車に噛み合わされる第2遊星歯車とを含めて構成されるものであり、前記遊星傾き度合いを前記基準傾き度合いよりも小さくするための工程として、前記第1太陽歯車と前記第2太陽歯車との相対的な回転位相が実質的に一致する状態に保持しつつ前記太陽軸本体と前記第2太陽歯車とを組み合わせる工程を含むことを要旨としている。
(31)請求項31に記載の発明は、請求項29に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記太陽軸は、前記太陽歯車である第1太陽歯車及び第2太陽歯車が設けられる太陽軸本体と、同太陽軸本体とは各別に形成される前記第1太陽歯車と、同じく前記太陽軸本体とは各別に形成される前記第2太陽歯車とを含めて構成されるものであり、前記遊星軸は、前記第1太陽歯車に噛み合わされる第1遊星歯車と、前記第2太陽歯車に噛み合わされる第2遊星歯車とを含めて構成されるものであり、前記遊星傾き度合いを前記基準傾き度合いよりも小さくするための工程として、前記第1太陽歯車と前記第2太陽歯車との相対的な回転位相が実質的に一致する状態に保持しつつ前記第1太陽歯車が組み付けられた状態の前記太陽軸本体と前記第2太陽歯車とを組み合わせる工程を含むことを要旨としている。
(32)請求項32に記載の発明は、請求項30または31に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記遊星軸は、前記第1遊星歯車及び前記第2遊星歯車が設けられる遊星軸本体と前記第2遊星歯車とが各別に形成されるものであり、前記遊星傾き度合いを前記基準傾き度合いよりも小さくするための工程として、前記第1太陽歯車と前記第1遊星歯車との噛み合わせが得られた状態の前記太陽軸本体及び前記遊星軸本体を含めて構成される軸本体集合体について、同集合体の前記遊星軸本体を前記太陽軸本体に対して実質的に直立させた状態に保持しつつ同遊星軸本体に対して前記第2遊星歯車を組み付けることにより前記太陽軸本体の前記第2太陽歯車と同第2遊星歯車とを噛み合わせる工程を含むことを要旨としている。
(33)請求項33に記載の発明は、内部に空間を有する円環軸と、同円環軸内の空間に配置される太陽軸と、前記円環軸内の空間において同太陽軸の周囲に配置される遊星軸とを備えること、及び前記円環軸に設けられる円環歯車と前記遊星軸に設けられる遊星歯車とが噛み合わされること、及び前記円環軸と前記太陽軸との一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸と前記太陽軸との他方が直線運動することを要件として構成される回転直線運動変換機構の製造方法において、組み立て後の当該回転直線運動変換機構についての前記円環軸に対する前記遊星軸の傾き度合いを遊星傾き度合いとし、前記円環軸の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記太陽軸が直線運動する際においての前記円環軸の仕事に対する前記太陽軸の仕事の割合、または前記太陽軸の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸が直線運動する際においての前記太陽軸の仕事に対する前記円環軸の仕事の割合を仕事の変換効率とし、当該回転直線運動変換機構に対して要求される仕事の変換効率を要求変換効率とし、前記遊星傾き度合いと前記仕事の変換効率との関係において前記要求変換効率に対応する遊星傾き度合いを基準傾き度合いとして、前記遊星傾き度合いを同基準傾き度合いよりも小さくすべく前記円環歯車の回転位相を管理しつつ各構成要素を組み合わせることを要旨としている。
上記発明によれば、円環歯車の回転位相の管理を通じて、遊星傾き度合いが基準傾き度合いよりも小さい状態で回転直線運動変換機構が組み立てられるため、同変換機構の仕事の変換効率として要求変換効率を的確に確保することができるようになる。
(34)請求項34に記載の発明は、請求項33に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記円環軸は、前記円環歯車である第1円環歯車及び第2円環歯車が設けられる円環軸本体と、同円環軸本体と一体に形成される前記第1円環歯車と、前記円環軸本体とは各別に形成される前記第2円環歯車とを含めて構成されるものであり、前記遊星軸は、前記第1円環歯車に噛み合わされる第1遊星歯車と、前記第2円環歯車に噛み合わされる第2遊星歯車とを含めて構成されるものであり、前記遊星傾き度合いを前記基準傾き度合いよりも小さくするための工程として、前記第1円環歯車と前記第2円環歯車との相対的な回転位相が実質的に一致する状態に保持しつつ前記円環軸本体と前記第2円環歯車とを組み合わせる工程を含むことを要旨としている。
(35)請求項35に記載の発明は、請求項33に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記円環軸は、前記円環歯車である第1円環歯車及び第2円環歯車が設けられる円環軸本体と、同円環軸本体とは各別に形成される前記第1円環歯車と、同じく前記円環軸本体とは各別に形成される前記第2円環歯車とを含めて構成されるものであり、前記遊星軸は、前記第1円環歯車に噛み合わされる第1遊星歯車と、前記第2円環歯車に噛み合わされる第2遊星歯車とを含めて構成されるものであり、前記遊星傾き度合いを前記基準傾き度合いよりも小さくするための工程として、前記第1円環歯車と前記第2円環歯車との相対的な回転位相が実質的に一致する状態に保持しつつ前記第1円環歯車が組み付けられた状態の前記円環軸本体と前記第2円環歯車とを組み合わせる工程を含むことを要旨としている。
(36)請求項36に記載の発明は、請求項34または35に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記遊星軸は、前記第1遊星歯車及び前記第2遊星歯車が設けられる遊星軸本体と前記第2遊星歯車とが各別に形成されるものであり、前記遊星傾き度合いを前記基準傾き度合いよりも小さくするための工程として、前記第1円環歯車と前記第1遊星歯車との噛み合わせが得られた状態の前記円環軸本体及び前記遊星軸本体を含めて構成される軸本体集合体について、同集合体の前記遊星軸本体を前記円環軸本体に対して実質的に直立させた状態に保持しつつ同遊星軸本体に対して前記第2遊星歯車を組み付けることにより前記円環軸本体の前記第2円環歯車と同第2遊星歯車とを噛み合わせる工程を含むことを要旨としている。
本発明にかかる回転直線運動変換機構の製造方法を具体化した第1実施形態について、回転直線運動変換機構の斜視構造を示す斜視図。 同実施形態の回転直線運動変換機構について、その内部構造を示す斜視図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構を構成するリングシャフトについて、その正面構造を示す正面図。(B)同リングシャフトについて、その平面構造を示す平面図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構を構成するリングシャフトについて、図3(B)のDA−DA線に沿う断面構造を示す断面図。(B)同リングシャフトについて、その一部を分解した状態の断面構造を示す断面図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構を構成するサンシャフトについて、その正面構造を示す正面図。(B)同サンシャフトについて、その一部を分解した状態の正面構造を示す正面図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構を構成するプラネタリシャフトについて、その正面構造を示す正面図。(B)同プラネタリシャフトについて、その一部を分解した状態の正面構造を示す正面図。(C)同プラネタリシャフトを構成する背面プラネタリギアについて、その中心線に沿う断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構について、その中心線に沿う断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構について、図7のDB−DB線に沿う断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構について、図7のDC−DC線に沿う断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構について、図7のDD−DD線に沿う断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程Iでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程Jでの作業態様を示す工程図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法において使用される第1治具について、その平面構造を示す平面図。(B)同第1治具について、図13(A)のDE−DE線に沿う断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程Kでの作業態様を示す工程図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法において使用されるねじ治具について、その平面構造を示す平面図。(B)同ねじ治具について、各分割体に分割した状態の平面構造を示す平面図。(C)同ねじ治具について、図15(A)のDF−DF線に沿う断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程Lでの作業態様を示す工程図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構の組立過程における第1治具、サンシャフト本体及びプラネタリシャフト本体について、その平面構造を示す平面図。(B)同第1治具、サンシャフト本体及びプラネタリシャフト本体について、その正面構造を示す正面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程L1での作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程L2及び工程L3での作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程L4での作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程L5での作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程Mでの作業態様を示す工程図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法において使用される第2治具について、その平面構造を示す平面図。(B)同第2治具について、図23(A)のDG−DG線に沿う断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程Nでの作業態様を示す工程図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法において使用されるリテーナについて、その正面構造を示す正面図。(B)同リテーナについて、図25(A)のDH−DH線に沿う断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程Oでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程Pでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程Qでの作業態様を示す工程図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法において使用される歯車治具について、その斜視構造を示す斜視図。(B)同歯車治具について、その正面構造を示す正面図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法において使用される歯車治具について、その平面構造を示す平面図。(B)同歯車治具について、図30(A)のDI−DI線に沿う断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程Rでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程Sでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程Tでの作業態様を示す工程図。 本発明にかかる回転直線運動変換機構の製造方法を具体化した第2実施形態について、プラネタリシャフトの正面構造を示す正面図。 本発明にかかる回転直線運動変換機構の製造方法を具体化した第3実施形態について、同製造方法を構成する工程Jでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程Lでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程Mでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程Oでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程Pでの作業態様を示す工程図。 本発明にかかる回転直線運動変換機構の製造方法を具体化した第4実施形態について、プラネタリシャフトの姿勢の変化を模式的に示す模式図。 プラネタリシャフトの倒れ角と回転直線運動変換機構の仕事変換効率との関係を示すグラフ。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、その実施に使用される組立治具の平面構造を示す平面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、その実施に使用される組立治具の図42のDJ−DJ線に沿う断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、その実施に使用される組立治具の断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、その実施に使用される組立治具の断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、その実施に使用される組立治具の断面構造を示す断面図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、その実施に使用される支持治具の平面構造を示す平面図。(B)同支持治具の図47(A)のDK−DK線に沿う断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XAでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XBでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XCでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XEでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XE1での作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XE2及びXE3での作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XE4での作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XE5での作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XFでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XGでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XHでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XIでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XIでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XJでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XKでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XLでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XMでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XNでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XOでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XPでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XQでの作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、同製造方法を構成する工程XRでの作業態様を示す工程図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、その実施に使用される組立治具のサンギア用ボールプランジャとサンギアとの関係を示す模式図。(B)同サンギア用ボールプランジャの変形例を示す模式図。(C)同サンギア用ボールプランジャの別の変形例を示す模式図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、その実施に使用される組立治具のリングギア用ボールプランジャとリングギアとの関係を示す模式図。(B)同リングギア用ボールプランジャの変形例を示す模式図。(C)同リングギア用ボールプランジャの別の変形例を示す模式図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、その実施に使用される組立治具の第1可動部及び第2可動部の変形例を示す断面図。(B)同第1可動部が組付位置に設定された状態、且つ同第2可動部が支持位置に設定された状態の組立治具の断面構造を示す断面図。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、図1〜図33を参照して説明する。以下では、本実施形態の製造方法を通じて組み立てられる回転直線運動変換機構の構造、同変換機構の動作態様、及び回転直線運動変換機構の製造方法の順に従って説明を行う。
<回転直線運動変換機構の構造>
図1及び図2を参照して、回転直線運動変換機構1の構造の概略について説明する。
・図1は、回転直線運動変換機構1の斜視構造を示す。
・図2は、回転直線運動変換機構1の内部の斜視構造を示す。
回転直線運動変換機構1は、軸方向へ延びる空間を内部に有するリングシャフト2と、リングシャフト2の内部に配置されるサンシャフト3と、サンシャフト3の周囲に配置される複数のプラネタリシャフト4との組み合わせにより構成されている。リングシャフト2及びサンシャフト3は、各々の中心線が互いに整合する状態または実質的に整合する状態で配置されている。サンシャフト3及び各プラネタリシャフト4は、各々の中心線が互いに平行となる状態または実質的に平行となる状態で配置されている。各プラネタリシャフト4は、サンシャフト3のまわりにおいて等間隔に配置されている。
本実施形態では、回転直線運動変換機構1の各構成要素について、自身の中心線がサンシャフト3の中心線と整合する姿勢及び実質的に整合する姿勢を整合姿勢とする。また、自身の中心線がサンシャフト3の中心線と平行となる姿勢及び実質的に平行となる姿勢を平行姿勢とする。すなわち、リングシャフト2は整合姿勢に保持された状態で回転直線運動変換機構1を構成している。また、各プラネタリシャフト4は平行姿勢に保持された状態で回転直線運動変換機構1を構成している。
回転直線運動変換機構1においては、リングシャフト2に設けられたねじ及びギアと各プラネタリシャフト4に設けられたねじ及びギアとの噛み合いにより、リングシャフト2及び各プラネタリシャフト4の一方の構成要素から他方の構成要素に力が伝達される。また、サンシャフト3に設けられたねじ及びギアと各プラネタリシャフト4に設けられたねじ及びギアとの噛み合いにより、サンシャフト3及び各プラネタリシャフト4の一方の構成要素から他方の構成要素に力が伝達される。
回転直線運動変換機構1は、こうした各構成要素の組み合わせに基づいて次のように動作する。すなわち、リングシャフト2及びサンシャフト3の一方の構成要素が回転運動するとき、同構成要素から伝達された力を通じて各プラネタリシャフト4がサンシャフト3のまわりで遊星運動する。これにより、各プラネタリシャフト4からリングシャフト2及びサンシャフト3の他方の構成要素に伝達された力を通じて同構成要素が各プラネタリシャフト4に対して軸方向へ移動する。
このように、回転直線運動変換機構1は、リングシャフト2及びサンシャフト3の一方の回転運動をリングシャフト2及びサンシャフト3の他方の直線運動に変換する。なお、本実施形態においては、サンシャフト3の軸方向について、サンシャフト3がリングシャフト2から押し出される方向を前面方向FRとし、サンシャフト3がリングシャフト2内に引き込まれる方向を背面方向RRとしている。また、回転直線運動変換機構1の任意の位置を基準としたときに、この基準位置よりも前面方向FR側の範囲を前面側とし、同基準位置よりも背面方向RR側の範囲を背面側としている。
リングシャフト2には、サンシャフト3を支持する前面カラー51及び背面カラー52が固定されている。すなわち、リングシャフト2と前面カラー51及び背面カラー52とが一体的に運動する。リングシャフト2においては、前面側の開口部が前面カラー51により閉塞されている。また、背面側の開口部が背面カラー52により閉塞されている。
サンシャフト3は、前面カラー51のベアリング51A及び背面カラー52のベアリング52Aにより支持されている。一方で、各プラネタリシャフト4は、前面カラー51及び背面カラー52のいずれによっても支持されていない。すなわち、回転直線運動変換機構1においては、サンシャフト3の径方向の位置がねじ及びギアの噛み合いと前面カラー51及び背面カラー52とにより拘束されている一方で、各プラネタリシャフト4の径方向の位置がねじ及びギアの噛み合いのみにより拘束されている。
回転直線運動変換機構1には、リングシャフト2の内部(リングシャフト2、サンシャフト3及び各プラネタリシャフト4のねじ及びギアが噛み合わされている箇所)を潤滑するために次のような構造が採用されている。すなわち、リングシャフト2の内部に潤滑油を供給するための油孔51Hが前面カラー51に複数形成されている。また、リングシャフト2の内部をシールするOリング53が前面カラー51及び背面カラー52の各々に装着されている。
〔1〕「リングシャフトの構造」
図3及び図4を参照して、リングシャフト2の構造について説明する。
・図3(A)は、リングシャフト2の正面構造を示す。
・図3(B)は、リングシャフト2の平面構造を示す。
・図4(A)は、DA−DA線に沿うリングシャフト2の断面構造を示す。
・図4(B)は、リングシャフト2の一部を分解した状態の断面構造を示す。
リングシャフト2は、リングシャフト本体21(円環軸本体)と前面リングギア22及び背面リングギア23との組み合わせにより構成されている。リングシャフト2においては、リングシャフト本体21の中心線(軸線)がリングシャフト2の中心線(軸線)に相当する。従って、リングシャフト本体21の中心線がサンシャフト3の中心線と整合または実質的に整合するときにリングシャフト2の整合姿勢が確保される。
リングシャフト本体21は、内周面に雌ねじ(円環ねじ24)が形成された本体ねじ部21Aと、前面リングギア22が組み付けられる本体ギア部21Bと、背面リングギア23が組み付けられる本体ギア部21Cと、外周に形成されたフランジ25とを含めて構成されている。
前面リングギア22は、平歯の内歯車としてリングシャフト本体21とは各別に形成されている。また、リングシャフト本体21に組み付けられたときに自身の中心線がリングシャフト本体21の中心線と整合するように構成されている。リングシャフト本体21に対する前面リングギア22の組み付け態様について、本実施形態では圧入により前面リングギア22をリングシャフト本体21に固定するようにしている。なお、圧入以外の方法により前面リングギア22をリングシャフト本体21に固定することもできる。
背面リングギア23は、平歯の内歯車としてリングシャフト本体21とは各別に形成されている。また、リングシャフト本体21に組み付けられたときに自身の中心線がリングシャフト本体21の中心線と整合するように構成されている。リングシャフト本体21に対する背面リングギア23の組み付け態様について、本実施形態では圧入により背面リングギア23をリングシャフト本体21に固定するようにしている。なお、圧入以外の方法により背面リングギア23をリングシャフト本体21に固定することもできる。
フランジ25は、環状をなすようにリングシャフト本体21と一体に形成されている。また、その一部には円環ねじ24の回転位相を把握するための標識として切欠(円環標識20)が形成されている。円環ねじ24は、円環標識20を基準としてリングシャフト本体21に形成されている。
リングシャフト2において、前面リングギア22及び背面リングギア23は同一形状の歯車として構成されている。すなわち、前面リングギア22及び背面リングギア23の諸元(基準ピッチ円直径や歯数等)が互いに等しい値に設定されている。
〔2〕「サンシャフトの構造」
図5を参照して、サンシャフト3の構造について説明する。
・図5(A)は、サンシャフト3の正面構造を示す。
・図5(B)は、サンシャフト3の一部を分解した状態の正面構造を示す。
サンシャフト3は、サンシャフト本体31(太陽軸本体)と背面サンギア33との組み合わせにより構成されている。サンシャフト3においては、サンシャフト本体31の中心線(軸線)がサンシャフト3の中心線(軸線)に相当する。
サンシャフト本体31は、外周面に雄ねじ(太陽ねじ34)が形成された本体ねじ部31Aと、平歯の外歯車(前面サンギア32)が形成された本体ギア部31Bと、背面サンギア33が組み付けられる本体ギア部31Cとを含めて構成されている。また、サンシャフト本体31の先端部(本体先端部31D)には、太陽ねじ34の回転位相を把握するための標識として溝(太陽標識30)が形成されている。前面サンギア32及び太陽ねじ34は、太陽標識30を基準として形成されている。
背面サンギア33は、平歯の外歯車としてサンシャフト本体31とは各別に形成されている。また、サンシャフト本体31に組み付けられたときに自身の中心線がサンシャフト本体31の中心線と整合するように構成されている。サンシャフト本体31に対する背面サンギア33の組み付け態様について、本実施形態では圧入により背面サンギア33をサンシャフト本体31に固定するようにしている。なお、圧入以外の方法により背面サンギア33をサンシャフト本体31に固定することもできる。
サンシャフト3において、前面サンギア32及び背面サンギア33は同一形状の歯車として構成されている。すなわち、前面サンギア32及び背面サンギア33の諸元(基準ピッチ円直径や歯数等)が互いに等しい値に設定されている。
〔3〕「プラネタリシャフトの構造」
図6を参照して、プラネタリシャフト4の構造について説明する。
・図6(A)は、プラネタリシャフト4の正面構造を示す。
・図6(B)は、プラネタリシャフト4の一部を分解した状態の正面構造を示す。
・図6(C)は、中心線に沿う背面プラネタリギア43の断面構造を示す。
プラネタリシャフト4は、プラネタリシャフト本体41(遊星軸本体)と背面プラネタリギア43との組み合わせにより構成されている。プラネタリシャフト4においては、プラネタリシャフト本体41の中心線(軸線)がプラネタリシャフト4の中心線(軸線)に相当する。従って、プラネタリシャフト本体41の中心線がサンシャフト3の中心線に対して平行または実質的に平行となるときにプラネタリシャフト4の平行姿勢が確保される。
プラネタリシャフト本体41は、外周面に雄ねじ(遊星ねじ44)が形成された本体ねじ部41Aと、平歯の外歯車(前面プラネタリギア42)が形成された本体ギア部41Bと、背面プラネタリギア43が組み付けられる背面側シャフト41Rと、回転直線運動変換機構1の組み立てに際して治具にはめ込まれる前面側シャフト41Fとを含めて構成されている。なお、プラネタリシャフト本体41においては、前面プラネタリギア42の端部からプラネタリシャフト本体41の前面側の先端(前面側先端部41T)までが前面側シャフト41Fとして形成されている。
背面プラネタリギア43は、平歯の外歯車としてプラネタリシャフト本体41とは各別に形成されている。また、プラネタリシャフト本体41の背面側シャフト41Rが軸受孔43Hに挿入されることによりプラネタリシャフト本体41に組み付けられる。また、プラネタリシャフト本体41に組み付けられた状態において、自身の中心線がプラネタリシャフト本体41の中心線と整合するように構成されている。
プラネタリシャフト本体41に対する背面プラネタリギア43の組み付け態様について、本実施形態では背面プラネタリギア43がプラネタリシャフト本体41に対して相対的に回転できるようにすきまばめを採用している。なお、プラネタリシャフト本体41と背面プラネタリギア43との相対的な回転を得るための組み付け態様として、すきまばめ以外の組み付け態様を採用することもできる。
プラネタリシャフト4において、前面プラネタリギア42及び背面プラネタリギア43は同一形状の歯車として構成されている。すなわち、前面プラネタリギア42及び背面プラネタリギア43の諸元(基準ピッチ円直径や歯数等)が互いに等しい値に設定されている。
〔4〕「各構成要素の関係」
図7〜図10を参照して、回転直線運動変換機構1における各構成要素の関係について説明する。なお、ここでは9本のプラネタリシャフト4が備えられている構造の回転直線運動変換機構1を例示しているが、プラネタリシャフト4の配置数は適宜変更することができる。
・図7は、サンシャフト3の中心線に沿う回転直線運動変換機構1の断面構造を示す。
・図8は、図7のDB−DB線に沿う回転直線運動変換機構1の断面構造を示す。
・図9は、図7のDC−DC線に沿う回転直線運動変換機構1の断面構造を示す。
・図10は、図7のDD−DD線に沿う回転直線運動変換機構1の断面構造を示す。
回転直線運動変換機構1においては、各構成要素の動作が次のように許容または制限されている。
(a)リングシャフト2について、リングシャフト本体21と前面リングギア22及び背面リングギア23との相対的な回転が不能にされている。また、リングシャフト本体21と前面カラー51及び背面カラー52との相対的な回転が不能にされている。
(b)サンシャフト3について、サンシャフト本体31と背面サンギア33との相対的な回転が不能にされている。
(c)プラネタリシャフト4について、プラネタリシャフト本体41と背面プラネタリギア43との相対的な回転が許容されている。
回転直線運動変換機構1においては、リングシャフト2及びサンシャフト3と各プラネタリシャフト4とのねじ及びギアの噛み合いを通じて、これら各構成要素の間で次のように力の伝達が行われる。
リングシャフト2及び各プラネタリシャフト4においては、リングシャフト本体21の円環ねじ24と各プラネタリシャフト本体41の遊星ねじ44とが噛み合わされる。また、リングシャフト本体21の前面リングギア22と各プラネタリシャフト本体41の前面プラネタリギア42とが噛み合わされる。また、リングシャフト本体21の背面リングギア23と各プラネタリシャフト本体41の背面プラネタリギア43とが噛み合わされる。
これにより、リングシャフト2及び各プラネタリシャフト4の一方に回転運動が入力されたときには、円環ねじ24と遊星ねじ44との噛み合い、前面リングギア22と前面プラネタリギア42との噛み合い、及び背面リングギア23と背面プラネタリギア43との噛み合いを通じて、リングシャフト2及び各プラネタリシャフト4の他方に力が伝達される。
サンシャフト3及び各プラネタリシャフト4においては、サンシャフト本体31の太陽ねじ34と各プラネタリシャフト本体41の遊星ねじ44とが噛み合わされる。また、サンシャフト本体31の前面サンギア32と各プラネタリシャフト本体41の前面プラネタリギア42とが噛み合わされる。また、サンシャフト本体31の背面サンギア33と各プラネタリシャフト本体41の背面プラネタリギア43とが噛み合わされる。
これにより、サンシャフト3及び各プラネタリシャフト4の一方に回転運動が入力されたときには、太陽ねじ34と遊星ねじ44との噛み合い、前面サンギア32と前面プラネタリギア42との噛み合い、及び背面サンギア33と背面プラネタリギア43との噛み合いを通じて、サンシャフト3及び各プラネタリシャフト4の他方に力が伝達される。
このように、回転直線運動変換機構1は、リングシャフト2の円環ねじ24とサンシャフト3の太陽ねじ34と各プラネタリシャフト4の遊星ねじ44とにより構成される減速機構、前面リングギア22と前面サンギア32と各前面プラネタリギア42とにより構成される減速機構、及び背面リングギア23と背面サンギア33と各背面プラネタリギア43とにより構成される減速機構とを備えて構成されている。
<回転直線運動変換機構の動作態様>
回転直線運動変換機構1においては、各ギアの歯数及び各ねじの条数の設定態様に基づいて、回転運動を直線運動に変換するための動作方式(運動変換方式)が決定される。すなわち、運動変換方式として、リングシャフト2の回転運動によりサンシャフト3を直線運動させる太陽軸変位方式と、サンシャフト3の回転運動によりリングシャフト2を直線運動させる円環軸変位方式とのいずれかを選択することができる。以下、各運動変換方式における回転直線運動変換機構1の動作態様について説明する。
(A)運動変換方式として太陽軸変位方式が採用されている場合においては、次のように回転運動から直線運動への変換が行われる。すなわち、リングシャフト2に回転運動を入力したとき、前面リングギア22と各前面プラネタリギア42との噛み合い、背面リングギア23と各背面プラネタリギア43との噛み合い、及び円環ねじ24と各遊星ねじ44との噛み合いを通じて、リングシャフト2から各プラネタリシャフト4に力が伝達されることにより、各プラネタリシャフト4がサンシャフト3のまわりにおいて自転しつつ公転する。そして、このプラネタリシャフト4の遊星運動にともない、各前面プラネタリギア42と前面サンギア32との噛み合い、各背面プラネタリギア43と背面サンギア33との噛み合い、及び各遊星ねじ44と太陽ねじ34との噛み合いを通じて各プラネタリシャフト4からサンシャフト3に力が伝達されることにより、サンシャフト3が軸方向へ変位する。
(B)運動変換方式として円環軸変位方式が採用されている場合においては、次のように回転運動から直線運動への変換が行われる。すなわち、サンシャフト3に回転運動を入力したとき、前面サンギア32と各前面プラネタリギア42との噛み合い、背面サンギア33と各背面プラネタリギア43との噛み合い、及び太陽ねじ34と各遊星ねじ44との噛み合いを通じて、サンシャフト3から各プラネタリシャフト4に力が伝達されることにより、各プラネタリシャフト4がサンシャフト3のまわりにおいて自転しつつ公転する。そして、このプラネタリシャフト4の遊星運動にともない、各前面プラネタリギア42と前面リングギア22との噛み合い、各背面プラネタリギア43と背面リングギア23との噛み合い、及び各遊星ねじ44と円環ねじ24との噛み合いを通じて各プラネタリシャフト4からリングシャフト2に力が伝達されることにより、リングシャフト2が軸方向へ変位する。
<回転直線運動変換機構の製造方法>
図11〜図33を参照して、回転直線運動変換機構1の製造方法について説明する。なお、ここでは9本のプラネタリシャフト4を備えて構成される回転直線運動変換機構1を想定している。また、回転直線運動変換機構1の各構成要素について、それぞれの中心線を基準とした回転方向の位置、すなわちそれぞれの中心線を基準とした回転方向の位相を回転位相として示している。
本実施形態の製造方法は、回転直線運動変換機構1の各構成要素を製造する工程(工程A〜工程H)と各構成要素を組み合わせて回転直線運動変換機構1を組み立てる工程(工程I〜工程S)とに大別される。
〔1〕「各構成要素を製造する工程」
本実施形態の製造方法においては、以下の工程A〜工程Hを含めて回転直線運動変換機構1の各構成要素の製造が行われる。
[工程A]円環ねじ24が形成されていない状態のリングシャフト本体21(基礎リングシャフト本体)を製造する。
[工程B]基礎リングシャフト本体のフランジ25に円環標識20を形成する。なお、工程Aにおいて円環標識20を含めて基礎リングシャフト本体を製造することもできる。
[工程C]円環標識20を基準として、転造により基礎リングシャフト本体に円環ねじ24を形成する。これにより、円環標識20の回転位相と円環ねじ24の回転位相とが一定の関係に設定されるため、円環標識20に基づいて円環ねじ24の回転位相を把握することが可能となる。
[工程D]太陽ねじ34及び前面サンギア32が形成されていない状態のサンシャフト本体31(基礎サンシャフト本体)を製造する。
[工程E]基礎サンシャフト本体の本体先端部31Dに太陽標識30を形成する。
[工程F]太陽標識30を基準として、転造により基礎サンシャフト本体に前面サンギア32及び太陽ねじ34を形成する。これにより、太陽標識30の回転位相と前面サンギア32及び太陽ねじ34の回転位相とが一定の関係に設定されるため、太陽標識30に基づいて前面サンギア32及び太陽ねじ34の回転位相を把握することが可能となる。なお、転造に際しては、前面サンギア32及び太陽ねじ34を同時に転造する方法または前面サンギア32及び太陽ねじ34を各別に転造する方法を採用することができる。
[工程G]遊星ねじ44及び前面プラネタリギア42が形成されていない状態のプラネタリシャフト本体41(基礎プラネタリシャフト本体)を製造する。
[工程H]基礎プラネタリシャフト本体に遊星ねじ44及び前面プラネタリギア42を転造する。このとき、前面プラネタリギア42の回転位相と遊星ねじ44の回転位相との関係を全てのプラネタリシャフト本体41において同一とするために、前面プラネタリギア42及び遊星ねじ44の転造を同時に行う。なお、全てのプラネタリシャフト本体41において前面プラネタリギア42の回転位相と遊星ねじ44の回転位相との関係を同一にすることが可能な場合には、前面プラネタリギア42及び遊星ねじ44の転造を各別に行う方法を採用することもできる。
〔2〕「各構成要素を組み合わせる工程」
本実施形態の製造方法においては、上記各構成要素を製造する工程を経た後に以下の工程I〜工程Sを含めて回転直線運動変換機構1の組み立てが行われる。
[工程I(図11)]リングシャフト本体21、サンシャフト本体31、プラネタリシャフト本体41、前面リングギア22、背面リングギア23、背面サンギア33及び背面プラネタリギア43の各構成要素を洗浄する。
[工程J(図12)]サンシャフト本体31を第1治具61に取り付ける。
図13を参照して、第1治具61の構造について説明する。
・図13(A)は、第1治具61の平面構造を示す。
・図13(B)は、DE−DE線に沿う第1治具61の断面構造を示す。
第1治具61には、軸受孔61Hにサンシャフト本体31を挿入した状態においてサンシャフト本体31を固定することができるように構成されている。また、軸受孔61Hを形成する治具周壁61Wについて、軸受孔61Hの中心線と直交する方向の長さ(周壁肉厚TW)が次のように設定されている。すなわち、周壁肉厚TWは、サンシャフト本体31の中心線とプラネタリシャフト本体41の中心線とが平行となる状態において、サンシャフト本体31に対して径方向に一定の間隔をあけてプラネタリシャフト本体41を配置したときに、前面側先端部41Tを治具周壁61Wの端面(治具端面61F)と接触させることができるように設定されている。
工程Jにおいては、具体的には次の(a)及び(b)の作業を通じてサンシャフト本体31を第1治具61に取り付ける。
(a):サンシャフト本体31において前面サンギア32よりも前面側に位置する部位を軸受孔61Hに挿入する。
(b):サンシャフト本体31を第1治具61に固定する。
[工程K(図14)]第1組付状態でのサンシャフト本体31と各プラネタリシャフト本体41との組み合わせにより構成される集合体(第1アッセンブリ91(基礎集合体))を組み立てるための準備として、各プラネタリシャフト本体41をそれぞれねじ治具7に取り付けることにより、全てのプラネタリシャフト本体41についてねじ治具7に対する回転位相を同一の回転位相に設定する。なお、第1組付状態は、サンシャフト本体31のまわりに各プラネタリシャフト本体41が等間隔に配置された状態において前面サンギア32と各前面プラネタリギア42との噛み合わせ及び太陽ねじ34と各遊星ねじ44との噛み合わせが得られた状態を示す。
図15を参照して、ねじ治具7の構造について説明する。
・図15(A)は、ねじ治具7の平面構造を示す。
・図15(B)は、ねじ治具7を分解した状態の平面構造を示す。
・図15(C)は、DF−DF線に沿うねじ治具7の断面構造を示す。
ねじ治具7は、第1分割体71と第2分割体72との組み合わせにより構成されている。また、プラネタリシャフト本体41の遊星ねじ44に噛み合う雌ねじ73と背面側シャフト41Rを挿入するための挿入孔74とが第1分割体71及び第2分割体72にまたがって形成されている。すなわち、プラネタリシャフト本体41を雌ねじ73にねじ込んだ状態において第1分割体71と第2分割体72とを分割することにより、回転位相を保持した状態でプラネタリシャフト本体41をねじ治具7から取り外すことが可能となっている。
工程Kにおいては、具体的には次の(a)及び(b)の作業を通じてねじ治具7に対する全てのプラネタリシャフト本体41の回転位相を同一の回転位相に設定する。
(a):第1分割体71と第2分割体72とが組み合わされた状態のねじ治具7をプラネタリシャフト本体41毎に用意する。このとき、プラネタリシャフト本体41を雌ねじ73にねじ込んだ状態においてプラネタリシャフト本体41の中心線が第1アッセンブリ91のサンシャフト本体31の中心線に対して平行となるように各ねじ治具7を配置する。(b):プラネタリシャフト本体41の本体ねじ部41Aがねじ治具7の一部に突き当たるまで遊星ねじ44を雌ねじ73にねじ込む。本実施形態の製造方法においては、この作業により1つのプラネタリシャフト本体41がねじ込まれたねじ治具7が9個得られることになる。
[工程L(図16)]第1組付状態でのサンシャフト本体31と各プラネタリシャフト本体41との組み合わせにより構成される集合体(第1アッセンブリ91)を組み立てる。すなわち、サンシャフト本体31の前面サンギア32及び太陽ねじ34と各プラネタリシャフト本体41の前面プラネタリギア42及び遊星ねじ44とを噛み合わせることにより第1アッセンブリ91を組み立てる。
ここで、サンシャフト本体31に対するプラネタリシャフト本体41の関係を示す因子として、「周方向相対位置MR」、「径方向相対位置ML」、「軸方向相対位置MS」、及び「遊星軸相対位相MP」をそれぞれ次のように定義する。
・サンシャフト本体31に対するプラネタリシャフト本体41の周方向の位置を周方向相対位置MRとする。
・サンシャフト本体31に対するプラネタリシャフト本体41の径方向の位置を径方向相対位置MLとする。
・サンシャフト本体31に対するプラネタリシャフト本体41の軸方向の位置を軸方向相対位置MSとする。
・サンシャフト本体31の回転位相に対するプラネタリシャフト本体41の回転位相を遊星軸相対位相MPとする。
また、第1アッセンブリ91における「周方向相対位置MR」、「径方向相対位置ML」、「軸方向相対位置MS」、及び「遊星軸相対位相MP」をそれぞれ次のように定義する。
・第1アッセンブリ91における周方向相対位置MRを周方向正規位置XRとする。
・第1アッセンブリ91における径方向相対位置MLを径方向正規位置XLとする。
・第1アッセンブリ91における軸方向相対位置MSを軸方向正規位置XSとする。
・第1アッセンブリ91における遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPとする。
本実施形態の製造方法においては、サンシャフト本体31と各プラネタリシャフト本体41との組み合わせに際して、各プラネタリシャフト本体41の周方向相対位置MR、径方向相対位置ML、軸方向相対位置MS及び遊星軸相対位相MPをそれぞれ次の(A)〜(D)の方法に基づいて設定するようにしている。
(A)周方向相対位置MRについては、サンシャフト本体31の太陽標識30の回転位相と周方向正規位置XRとの対応関係を予め把握しておくことにより、太陽標識30に基づいて周方向正規位置XRに設定することができるようにしている。
(B)径方向相対位置MLについては、プラネタリシャフト本体41を径方向からサンシャフト本体31に突き当てることにより、径方向正規位置XLに設定することができるようにしている。
(C)軸方向相対位置MSについては、サンシャフト本体31と軸方向正規位置XSにおけるプラネタリシャフト本体41の前面側先端部41Tとの対応関係を予め把握しておくことにより、前面側先端部41Tの位置に基づいて軸方向正規位置XSに設定することができるようにしている。
(D)遊星軸相対位相MPについては、サンシャフト本体31の太陽標識30の回転位相と遊星軸正規位相XPとの対応関係を予め把握しておくことにより、太陽標識30に基づいて遊星軸正規位相XPに設定することができるようにしている。具体的には、太陽標識30に基づく遊星軸正規位相XPの設定を次のように実現している。
本実施形態の製造方法においては、サンシャフト本体31の太陽標識30を基準として太陽ねじ34を形成することにより、太陽標識30の回転位相と太陽ねじ34の回転位相との関係が常に一定の関係となるようにしている。また、太陽標識30の回転位相と太陽ねじ34の回転位相との関係を予め把握するようにしている。また、サンシャフト本体31の中心線とねじ治具7の雌ねじ73(プラネタリシャフト本体41)の中心線とが平行となる状態において、プラネタリシャフト本体41をねじ治具7にねじ込んだときのサンシャフト本体31の回転位相に対するプラネタリシャフト本体41の回転位相(遊星軸基準位相BP)を予め把握するようにしている。
これにより、太陽標識30の回転位相を太陽ねじ34の回転位相と見立てて太陽ねじ34の回転位相とプラネタリシャフト本体41の回転位相との関係を設定することが可能となるため、太陽標識30の回転位相及び遊星軸基準位相BPに基づいて遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定することができるようになる。すなわち、プラネタリシャフト本体41をねじ治具7に取り付けて遊星軸基準位相BPを割り出すことにより、太陽標識30の回転位相を基準として遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定することができるようにしている。
工程Lにおいては、具体的には以下の[工程L1]〜[工程L5]に従って第1アッセンブリ91の組み立てを行うようにしている。
組み立て各手順の説明に先立ち、図17に示す「基準平面VP」、「基準線VL」及び「基準位置VR」について説明する。なお、図17(A)は第1治具61に固定された状態のサンシャフト本体31について、その平面構造を示す。また、図17(B)は第1治具61に固定された状態のサンシャフト本体31について、その中心線に沿う断面構造を示す。
(a)サンシャフト本体31の中心線に直交する平面を基準平面VPとする。
(b)サンシャフト本体31の中心線について、基準平面VP上での一点を第1基準点PAとする。
(c)周方向正規位置XRに位置するプラネタリシャフト本体41の中心線について、基準平面VP上での一点を第2基準点PBとする。
(d)基準平面VP上において第1基準点PA及び第2基準点PBを通過する線を基準線VLとする。
(e)プラネタリシャフト本体41について、自身の中心線が基準線VLと交差する位置のうち径方向正規位置XLを除いた位置を基準位置VRとする。すなわち、基準位置VRは、周方向相対位置MRが周方向正規位置XRであるとともに径方向相対位置MLが径方向正規位置XLでない位置に相当する。
図18〜図21を参照して、第1アッセンブリ91の組み立て手順について説明する。なお、工程L1〜工程L5は1つのプラネタリシャフト本体41についての組み付け手順を示している。
[工程L1(図18)]ねじ治具7を分割することにより、プラネタリシャフト本体41をねじ治具7から取り外す。このとき、プラネタリシャフト本体41は自身の中心線がサンシャフト本体31の中心線に対して平行となる状態にある。
[工程L2(図19)]太陽標識30の回転位相に基づいて、プラネタリシャフト本体41を基準位置VRに配置する。すなわち、自身の周方向正規位置XRの第2基準点PBと第1基準点PAとより得られる基準線VLと自身の中心線とが交差する位置(基準位置VR)にプラネタリシャフト本体41を移動する。このとき、サンシャフト本体31(太陽標識30)の回転位相との関係を保持した状態でプラネタリシャフト本体41の移動を行う。また、基準位置VRとして、プラネタリシャフト本体41を中心線に沿って平行移動させたときに前面側先端部41Tを第1治具61の治具端面61Fに突き当てることのできる位置を選択する。
[工程L3(図19)]太陽標識30の回転位相に基づいて、遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定する。具体的には、遊星軸基準位相BPと遊星軸正規位相XPとの差を太陽標識30の回転位相と遊星軸基準位相BPとの比較に基づいて把握した後、この相対回転位相の差がなくなるようにプラネタリシャフト本体41を回転させることにより、遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定する。
[工程L4(図20)]プラネタリシャフト本体41を中心線に沿って平行移動させて前面側先端部41Tを治具端面61Fに突き当てることにより、軸方向相対位置MSを軸方向正規位置XSに設定する。
[工程L5(図21)]プラネタリシャフト本体41の中心線とサンシャフト本体31の中心線とが平行となる状態において、プラネタリシャフト本体41を平行移動させてサンシャフト本体31に突き当てることにより、径方向相対位置MLを径方向正規位置XLに設定する。具体的には、基準平面VP上におけるプラネタリシャフト本体41の中心線(第2基準点PB)の軌跡が基準線VLと整合するようにプラネタリシャフト本体41を基準位置VRから径方向正規位置XLに平行移動させる。このとき、プラネタリシャフト本体41が周方向正規位置XR、軸方向正規位置XS及び遊星軸正規位相XPに設定された状態で径方向正規位置XLに配置されるため、前面プラネタリギア42と前面サンギア32との噛み合わせ及び遊星ねじ44と太陽ねじ34との噛み合わせが同時に得られるようになる。
[工程M(図22)]第1アッセンブリ91に取り付ける治具を第1治具61から第2治具62に変更する。
図23を参照して、第2治具62の構造について説明する。
・図23(A)は、第2治具62の平面構造を示す。
・図23(B)は、DG−DG線に沿う第2治具62の断面構造を示す。
第2治具62は、サンシャフト本体31を固定するための太陽治具63とプラネタリシャフト本体41の前面側シャフト41Fを支持するための遊星治具64とを備えて構成されている。すなわち、回転直線運動変換機構1に備えられるプラネタリシャフト4の数と同じ数の遊星治具64が太陽治具63と一体に形成されている。
太陽治具63は、軸受孔63Hにサンシャフト本体31を挿入した状態において自身の中心線(軸受孔63Hの中心線)がサンシャフト本体31の中心線と整合するように構成されている。各遊星治具64は、それぞれの中心線が軸受孔63Hの中心線まわりにおいて等間隔となるように構成されている。太陽治具63及び各遊星治具64は、それぞれの中心線が互いに平行となるように構成されている。各遊星治具64の先端部には、プラネタリシャフト本体41の前面側シャフト41Fの形状に対応した穴(支持穴64H)が形成されている。
工程Mにおいては、具体的には次の(a)〜(c)の作業を通じて第2治具62に第1アッセンブリ91を取り付ける。
(a):第1アッセンブリ91におけるサンシャフト本体31と各プラネタリシャフト本体41との関係を保持した状態で、第1アッセンブリ91を第1治具61から取り外す。(b):第2治具62の中心線とサンシャフト本体31の中心線とが整合する位置、且つ遊星治具64の中心線とプラネタリシャフト本体41の中心線とが整合する位置に第1アッセンブリ91を移動する。
(c):第1アッセンブリ91を中心線に沿って平行移動させることにより第2治具62に取り付ける。すなわち、サンシャフト本体31を軸受孔63Hに挿入するとともに、各プラネタリシャフト本体41の前面側シャフト41Fを対応する遊星治具64の支持穴64Hにはめ込む。
[工程N(図24)]第1アッセンブリ91の各プラネタリシャフト本体41にリテーナ65を装着する。
図25を参照して、リテーナ65の構造について説明する。
・図25(A)は、リテーナ65の平面構造を示す。
・図25(B)は、DH−DH線に沿うリテーナ65の断面構造を示す。
リテーナ65は、各プラネタリシャフト本体41の背面側シャフト41Rを一括して支持するための治具として構成されている。すなわち、リテーナ65には、サンシャフト本体31を挿入するための太陽軸受孔65Sと背面側シャフト41Rを挿入するための複数の遊星軸受孔65Pとが形成されている。
太陽軸受孔65Sは、リテーナ65を第1アッセンブリ91に装着した状態において自身の中心線がサンシャフト本体31の中心線と整合するように形成されている。各遊星軸受孔65Pは、それぞれの中心線の間隔が太陽軸受孔65Sの中心線まわりにおいて等間隔となるように形成されている。太陽軸受孔65S及び各遊星軸受孔65Pは、それぞれの中心線が互いに平行となるように形成されている。
工程Nにおいては、具体的には次の(a)及び(b)の作業を通じてリテーナ65を第1アッセンブリ91に取り付ける。
(a):各遊星軸受孔65Pの中心線と各遊星治具64の中心線とが整合する位置にリテーナ65を配置する。
(b):リテーナ65を中心線に沿って平行移動させることにより第1アッセンブリ91に取り付ける。すなわち、リテーナ65の各遊星軸受孔65Pに各プラネタリシャフト本体41の背面側シャフト41Rを挿入する。
[工程O(図26)]第1アッセンブリ91と前面リングギア22との組み合わせにより構成される集合体(第2アッセンブリ92)を組み立てる。すなわち、第1アッセンブリ91の各前面プラネタリギア42と前面リングギア22とを噛み合わせることにより第2アッセンブリ92を組み立てる。このように、第1アッセンブリ91においては、各前面プラネタリギア42を前面リングギア22と噛み合わせることが可能となっているため、不連続な形状を有する1つの歯車が各前面プラネタリギア42により形成されていると見立てることができる。以降では、この各前面プラネタリギア42により形成されて前面リングギア22に噛み合う1つの歯車を対リングギア45とする。
ここで、対リングギア45及び前面リングギア22の回転位相について、前面リングギア22と対リングギア45とが噛み合う状態においては対リングギア45の回転位相と前面リングギア22の回転位相とが一致している。すなわち、対リングギア45と前面リングギア22との間に相対的な回転位相の差が生じていない。以降では、対リングギア45と前面リングギア22との相対的な回転位相の差を円環歯車回転位相差とし、円環歯車回転位相差が生じていない状態における対リングギア45の回転位相に対する前面リングギア22の回転位相を円環歯車基準位相RAとする。
工程Oにおいては、第2アッセンブリ92の組み立て前に前面リングギア22の回転位相を円環歯車基準位相RAに設定するようにしている。これにより、前面リングギア22の中心線を第1アッセンブリ91のサンシャフト本体31の中心線と整合させた状態において、中心線に沿って前面リングギア22を平行移動させることにより対リングギア45と前面リングギア22とを噛み合わせることが可能となるため、第2アッセンブリ92の組み立てにかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
本実施形態の製造方法においては、サンシャフト本体31の太陽標識30を基準としたサンシャフト本体31と各プラネタリシャフト本体41との組み合わせを通じて第1アッセンブリ91が組み立てられるため、太陽標識30の回転位相と対リングギア45の回転位相との関係が常に一定の関係となる。そこで、第1アッセンブリ91における太陽標識30の回転位相と対リングギア45の回転位相との関係を予め把握しておくことにより、太陽標識30の回転位相を対リングギア45の回転位相と見立てて前面リングギア22の回転位相の設定を行うことができるようにしている。すなわち、太陽標識30の回転位相と前面リングギア22の回転位相との関係に基づいて、前面リングギア22の回転位相を円環歯車基準位相RAに設定することができるようにしている。
工程Oにおいては、具体的には次の(a)〜(c)の作業を通じて第2アッセンブリ92の組み立てを行う。
(a):第1アッセンブリ91の背面側においてサンシャフト本体31の中心線と自身の中心線とが整合する位置に前面リングギア22を配置する。
(b):太陽標識30の回転位相と前面リングギア22の回転位相との関係に基づいて、前面リングギア22の回転位相を円環歯車基準位相RAに設定する。
(c):前面リングギア22を上記(a)及び(b)の作業を通じて設定された姿勢に保持した状態で中心線に沿って平行移動させることにより、第1アッセンブリ91の各前面プラネタリギア42(対リングギア45)と前面リングギア22とを噛み合わせる。
[工程P(図27)]第2アッセンブリ92とリングシャフト本体21との組み合わせにより構成される集合体(第3アッセンブリ93(軸集合体))を組み立てる。すなわち、第2アッセンブリ92の各遊星ねじ44とリングシャフト本体21の円環ねじ24とを噛み合わせることにより第3アッセンブリ93を組み立てる。このように、第2アッセンブリ92においては、各遊星ねじ44に対して円環ねじ24を噛み合わせることが可能となっているため、不連続なねじ山を有する1つの雄ねじが各遊星ねじ44により形成されていると見立てることができる。以降では、この各遊星ねじ44により形成されて円環ねじ24に噛み合う1つの雄ねじを対円環ねじ46とする。
ここで、対円環ねじ46及び円環ねじ24の回転位相について、円環ねじ24と対円環ねじ46とが噛み合いはじめる状態においては、対円環ねじ46の回転位相と円環ねじ24の回転位相とが一致している。すなわち、対円環ねじ46と円環ねじ24との間に相対的な回転位相の差が生じていない。以降では、対円環ねじ46と円環ねじ24との相対的な回転位相の差を円環ねじ回転位相差とし、円環ねじ回転位相差が生じていない状態における対円環ねじ46の回転位相に対する円環ねじ24の回転位相を円環ねじ基準位相RBとする。
工程Pにおいては、第3アッセンブリ93の組み立て前に円環ねじ24(リングシャフト本体21)の回転位相を円環ねじ基準位相RBに設定するようにしている。これにより、リングシャフト本体21の中心線を第2アッセンブリ92のサンシャフト本体31の中心線と整合させた状態において、中心線に沿ってリングシャフト本体21を平行移動させることにより対円環ねじ46と円環ねじ24とを噛み合わせることが可能となるため、第3アッセンブリ93の組み立てにかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
本実施形態の製造方法においては、サンシャフト本体31の太陽標識30を基準としたサンシャフト本体31と各プラネタリシャフト本体41との組み合わせを通じて第1アッセンブリ91が組み立てられるため、太陽標識30の回転位相と対円環ねじ46の回転位相との関係が常に一定の関係となる。また、リングシャフト本体21の円環標識20を基準として円環ねじ24が形成されるため、円環標識20の回転位相と円環ねじ24の回転位相との関係が常に一定の関係となる。そこで、第1アッセンブリ91(第2アッセンブリ92)における太陽標識30の回転位相と対円環ねじ46の回転位相との関係、及びリングシャフト本体21における円環標識20の回転位相と円環ねじ24の回転位相との関係を予め把握しておくようにしている。これにより、太陽標識30の回転位相を対円環ねじ46の回転位相と見立てるとともに円環標識20の回転位相を円環ねじ24の回転位相と見立てて円環ねじ24の回転位相の設定を行うことができるようにしている。すなわち、太陽標識30の回転位相と円環標識20の回転位相との関係に基づいて、円環ねじ24の回転位相を円環ねじ基準位相RBに設定することができるようにしている。
工程Pにおいては、具体的には次の(a)〜(e)の作業を通じて第3アッセンブリ93の組み立てを行う。
(a):第2アッセンブリ92の背面側においてサンシャフト本体31の中心線と自身の中心線とが整合する位置にリングシャフト本体21を配置する。
(b):太陽標識30の回転位相と円環標識20の回転位相との関係に基づいて、円環ねじ24の回転位相を円環ねじ基準位相RBに設定する。
(c):リングシャフト本体21を上記(a)及び(b)の作業を通じて設定された姿勢に保持した状態で中心線に沿って平行移動させることにより、第2アッセンブリ92の各遊星ねじ44(対円環ねじ46)と円環ねじ24とを噛み合わせる。
(d):サンシャフト本体31に対するリングシャフト本体21の軸方向の相対位置が所定の位置となるまでリングシャフト本体21をねじ込む。
(e):前面リングギア22を本体ギア部21Bに圧入することによりリングシャフト本体21に固定する。
[工程Q(図28)]第2組付状態での背面リングギア23と背面サンギア33と各背面プラネタリギア43との組み合わせにより構成される集合体(ギアアッセンブリ99(歯車集合体))を組み立てる。なお、第2組付状態は、背面リングギア23の回転位相と背面サンギア33の回転位相との関係が特定の関係にある状態において、背面サンギア33のまわりに等間隔に配置された各背面プラネタリギア43が背面リングギア23及び背面サンギア33と噛み合わされた状態を示す。また、上記特定の関係は、設計上で設定された背面リングギア23の回転位相と背面サンギア33の回転位相との関係を示す。
工程Qでは、歯車治具8に背面リングギア23、背面サンギア33及び各背面プラネタリギア43を取り付けることによりギアアッセンブリ99を組み立てるようにしている。
図29及び図30を参照して、歯車治具8の構造について説明する。
・図29(A)は、歯車治具8の斜視構造を示す。
・図29(B)は、歯車治具8の正面構造を示す。
・図30(A)は、歯車治具8の平面構造を示す。
・図30(B)は、図29のDI−DI線に沿う歯車治具8の断面構造を示す。
歯車治具8は、治具本体81と複数の支柱82とを備えて構成されている。各支柱82は周方向に一定の間隔をおいて配置されている。隣り合う支柱82の間には、背面プラネタリギア43の1つを配置するための空間(ギア配置部83)が形成されている。ギア配置部83は、回転直線運動変換機構1に備えられるプラネタリシャフト4の数と同じ数だけ形成されている。
各支柱82の外周側には、背面リングギア23と噛み合う歯(対円環外歯84)が形成されている。そして、各支柱82の対円環外歯84により、不連続な形状を有する1つの歯車(対円環歯車85)が構成されている。すなわち、対円環外歯84を有する連続した形状の歯車を対円環基礎歯車としたとき、対円環歯車85はこの対円環基礎歯車の一部を一定の間隔で複数箇所にわたって取り除いた形状の歯車に相当する。
治具本体81の外周側には、背面リングギア23と噛み合う歯車(対円環歯車86)が形成されている。対円環歯車86は、対円環歯車85と同一の回転位相を有するとともに連続した形状の歯車として形成されている。すなわち、対円環歯車85における不連続な箇所が対円環外歯84により接続された歯車に相当する。
各支柱82の内周側には、背面サンギア33と噛み合う歯(対太陽内歯87)が形成されている。そして、各支柱82の対太陽内歯87により、不連続な形状を有する1つの歯車(対太陽歯車88)が構成されている。すなわち、対太陽内歯87を有する連続した形状の歯車を対太陽基礎歯車としたとき、対太陽歯車88はこの対太陽基礎歯車の一部を一定の間隔で複数箇所にわたって取り除いた形状の歯車に相当する。
治具本体81の内周側には、背面サンギア33と噛み合う歯車(対太陽歯車89)が形成されている。対太陽歯車89は、対太陽歯車88と同一の回転位相を有するとともに連続した形状の歯車として形成されている。すなわち、対太陽歯車88における不連続な箇所が対太陽内歯87により接続された歯車に相当する。
歯車治具8においては、対円環歯車85が不連続な形状の歯車として形成されていることにより、背面リングギア23を対円環歯車85と噛み合わせた状態においてギア配置部83に背面プラネタリギア43を配置したとき、対円環歯車85の不連続な部分において背面リングギア23と背面プラネタリギア43とが噛み合わされる。また、対太陽歯車88が不連続な形状の歯車として形成されていることにより、背面サンギア33を対太陽歯車88と噛み合わせた状態においてギア配置部83に背面プラネタリギア43を配置したとき、対太陽歯車88の不連続な部分において背面サンギア33と背面プラネタリギア43とが噛み合わされる。
歯車治具8においては、対円環歯車85及び対円環歯車86の回転位相と対太陽歯車88及び対太陽歯車89の回転位相との関係がギアアッセンブリ99の第2組付状態における特定の関係に設定されている。
治具本体81には、対円環歯車85,86及び対太陽歯車88,89の回転位相を把握するための標識として切欠(治具標識80)が形成されている。対円環歯車85,86及び対太陽歯車88,89は、治具標識80を基準として形成されている。
工程Qにおいては、ギアアッセンブリ99を組み立てるための作業及びそれに付随する作業として、具体的には次の(a)及び(b)の作業を行う。
(a):背面リングギア23を歯車治具8の対円環歯車85,86と噛み合わせる。
(b):背面サンギア33を歯車治具8の対太陽歯車88,89と噛み合わせる。
(c):歯車治具8に背面リングギア23及び背面サンギア33が取り付けられた状態において、各背面プラネタリギア43をギア配置部83に配置する。このとき、各背面プラネタリギア43が背面リングギア23及び背面サンギア33と噛み合う。
上記作業を通じて、背面リングギア23の中心線と背面サンギア33の中心線とが整合した状態、且つ各背面プラネタリギア43の中心線が背面サンギア33の中心線に対して平行となる状態でギアアッセンブリ99が組み立てられる。
[工程R(図31)]第3アッセンブリ93からリテーナ65を取り外す。ちなみに、回転直線運動変換機構1においては、各プラネタリシャフト4の径方向の位置をねじ及びギアの噛み合いのみにより拘束する構造を採用しているため、各プラネタリシャフト本体41に背面プラネタリギア43を組み付ける前にリテーナ65を各プラネタリシャフト本体41から取り外すようにしている。
[工程S(図32)]第3アッセンブリ93とギアアッセンブリ99との組み合わせにより構成される集合体(第4アッセンブリ94(歯車付き集合体))を組み立てる。すなわち、第3アッセンブリ93に対してギアアッセンブリ99を組み付けることにより第4アッセンブリ94を組み立てる。
ここで、第3アッセンブリ93及びギアアッセンブリ99の回転位相について、第3アッセンブリ93の各プラネタリシャフト本体41の中心線とギアアッセンブリ99の各背面プラネタリギア43の中心線とが整合する状態においては第3アッセンブリ93の回転位相とギアアッセンブリ99の回転位相とが一致しているものとする。すなわち、第3アッセンブリ93とギアアッセンブリ99との相対的な回転位相の差(集合体回転位相差)がないものとする。また、集合体回転位相差がない状態における第3アッセンブリ93の回転位相に対するギアアッセンブリ99の回転位相を集合体基準位相RCとする。
工程Sにおいては、第3アッセンブリ93の組み立て前にギアアッセンブリ99の回転位相を集合体基準位相RCに設定するようにしている。これにより、ギアアッセンブリ99(背面サンギア33)の中心線を第3アッセンブリ93のサンシャフト本体31の中心線と整合させた状態において、中心線に沿ってギアアッセンブリ99を平行移動させることにより第3アッセンブリ93と組み合わせることが可能となるため、第4アッセンブリ94の組み立てにかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
本実施形態の製造方法においては、サンシャフト本体31の太陽標識30とリングシャフト本体21の円環標識20との関係に基づく第2アッセンブリ92とリングシャフト本体21との組み合わせを通じて第3アッセンブリ93が組み立てられるため、円環標識20の回転位相と各プラネタリシャフト本体41の周方向正規位置XRとの関係が常に一定の関係となる。そこで、第3アッセンブリ93における円環標識20の回転位相と各プラネタリシャフト本体41の周方向正規位置XRとの関係を予め把握しておくことにより、円環標識20の回転位相を第3アッセンブリ93の回転位相(各プラネタリシャフト本体41の周方向正規位置XR)と見立ててギアアッセンブリ99の回転位相の設定を行うことができるようにしている。すなわち、円環標識20の回転位相と治具標識80の回転位相との関係に基づいて、ギアアッセンブリ99の回転位相を集合体基準位相RCに設定することができるようにしている。
工程Sにおいては、具体的には次の(a)〜(f)の作業を通じて第4アッセンブリ94の組み立てを行う。
(a):第3アッセンブリ93の背面側において背面リングギア23及び背面サンギア33の中心線が第3アッセンブリ93のリングシャフト本体21の中心線と整合する位置に歯車治具8を移動する。この作業を通じて、背面リングギア23及び背面サンギア33が整合姿勢に保持されるとともに各背面プラネタリギア43が平行姿勢に保持される。
(b):円環標識20の回転位相と治具標識80の回転位相との関係に基づいて、ギアアッセンブリ99の回転位相を集合体基準位相RCに設定する。
(c):サンシャフト本体31の中心線に沿って歯車治具8を第3アッセンブリ93側へ移動させる。
(d):ギアアッセンブリ99の各背面プラネタリギア43を対応するプラネタリシャフト本体41の背面側シャフト41Rに取り付ける。
(e):背面リングギア23をリングシャフト本体21の本体ギア部21Cにはめ合わせた後、リングシャフト本体21に圧入する。
(f):背面サンギア33をサンシャフト本体31の本体ギア部31Cにはめ合わせた後、サンシャフト本体31に圧入する。
[工程T(図33)]第4アッセンブリ94と前面カラー51及び背面カラー52との組み合わせにより構成される集合体(回転直線運動変換機構1)を組み立てる。すなわち、第4アッセンブリ94に対して前面カラー51及び背面カラー52を組み付けることにより回転直線運動変換機構1を組み立てる。具体的には、次の(a)及び(b)の作業を通じて回転直線運動変換機構1の組み立てを行う。
(a):前面カラー51にOリング53を装着した後、リングシャフト本体21の本体ギア部21Bに前面カラー51を取り付ける。
(b):背面カラー52にOリング53を装着した後、リングシャフト本体21の本体ギア部21Cに背面カラー52を取り付ける。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この実施形態にかかる回転直線運動変換機構の製造方法によれば、以下に示すような効果が得られるようになる。
(1)本実施形態の製造方法では、プラネタリシャフト本体41を周方向正規位置XR、軸方向正規位置XS及び遊星軸正規位相XPに設定した後、サンシャフト本体31とプラネタリシャフト本体41との組み合わせを行うようにしている。これにより、第1アッセンブリ91の組み立てに際して、前面プラネタリギア42が的確に前面サンギア32に噛み合わされるとともに遊星ねじ44が的確に太陽ねじ34に噛み合わされるため、回転直線運動変換機構1の製造にかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
(2)また、上記(1)の構成を通じて、前面サンギア32と各前面プラネタリギア42とが設計上で設定された回転位相で噛み合わされるとともに、太陽ねじ34と各遊星ねじ44とが設計上で設定された回転位相で噛み合わされるため、回転直線運動変換機構1における回転運動から直線運動への変換効率の低下を抑制することができるようになる。
(3)本実施形態の製造方法では、前面リングギア22の回転位相を円環歯車基準位相RAに設定した後、第2アッセンブリ92の組み立てを行うようにしている。これにより、第2アッセンブリ92の組み立てに際して、前面リングギア22が的確に対リングギア45に噛み合わされるため、回転直線運動変換機構1の製造にかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
(4)また、上記(3)の構成を通じて、前面リングギア22と対リングギア45とが設計上で設定された回転位相で噛み合わされるため、回転直線運動変換機構1における回転運動から直線運動への変換効率の低下を抑制することができるようになる。
(5)本実施形態の製造方法では、リングシャフト本体21(円環ねじ24)の回転位相を円環ねじ基準位相RBに設定した後、第3アッセンブリ93の組み立てを行うようにしている。これにより、第3アッセンブリ93の組み立てに際して、円環ねじ24が的確に対円環ねじ46に噛み合わされるため、回転直線運動変換機構1の製造にかかる作業効率の向上をはかることができるようになる。
(6)また、上記(5)の構成を通じて、円環ねじ24と対円環ねじ46とが設計上で設定された回転位相で噛み合わされるため、回転直線運動変換機構1における回転運動から直線運動への変換効率の低下を抑制することができるようになる。
(7)本実施形態の製造方法では、歯車治具8を通じてギアアッセンブリ99を組み立てるようにしている。これにより、背面リングギア23及び背面サンギア33と各背面プラネタリギア43とを噛み合わせる際に、各ギアの回転位相の関係を考慮する必要がないため、回転直線運動変換機構1の製造にかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
(8)また、上記(7)の構成を通じて、背面リングギア23及び背面サンギア33と各背面プラネタリギア43とが設計上で設定された回転位相で噛み合わされるため、回転直線運動変換機構1における回転運動から直線運動への変換効率の低下を抑制することができるようになる。
(9)本実施形態の製造方法では、ギアアッセンブリ99の回転位相を集合体基準位相RCに設定した後、第4アッセンブリ94の組み立てを行うようにしている。これにより、第4アッセンブリ94の組み立てに際して、各背面プラネタリギア43が的確にプラネタリシャフト本体41に組み付けられるため、回転直線運動変換機構1の製造にかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
(10)本実施形態の製造方法によれば、上記(1)、(3)、(5)、(7)及び(9)の構成を通じて、回転直線運動変換機構1を組み立てるようにしている。これにより、回転直線運動変換機構1が組み立てられるまでの間において、構成要素同士が的確に組み合わされないことに起因する組付作業の中断等をまねくことが抑制されるため、作業効率の向上を図ることができるようになる。
(11)本実施形態の製造方法では、プラネタリシャフト本体41の前面側先端部41Tを第1治具61の治具端面61Fに突き当てることにより、軸方向相対位置MSを軸方向正規位置XSに設定するようにしている。これにより、軸方向正規位置XSの設定に際してサンシャフト本体31とプラネタリシャフト本体41との位置関係を考慮する必要がなくなるため、回転直線運動変換機構1の組み立てにかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
(12)また、上記(11)の構成を通じて、軸方向相対位置MSが確実に軸方向正規位置XSに設定されるため、第1アッセンブリ91の組み立てに際してねじ及びギアを的確に噛み合わせることができるようになる。
(13)本実施形態の製造方法では、円環標識20を基準としてリングシャフト本体21の円環ねじ24を形成することにより、円環ねじ24の回転位相を円環標識20から把握することができるようにしている。これにより、回転直線運動変換機構1の組み立てにかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
(14)本実施形態の製造方法では、太陽標識30を基準としてサンシャフト本体31の太陽ねじ34を形成することにより、太陽ねじ34の回転位相を太陽標識30から把握することができるようにしている。これにより、回転直線運動変換機構1の組み立てにかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
(15)本実施形態の製造方法では、歯車治具8に治具標識80を形成することにより、ギアアッセンブリ99の回転位相を治具標識80から把握することができるようにしている。これにより、回転直線運動変換機構1の組み立てにかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
(16)本実施形態の製造方法では、円環標識20をリングシャフト本体21のフランジ25に形成するようにしている。これにより、各構成要素の組み合わせに際して円環標識20を的確に認識することが可能となるため、円環標識20の回転位相に基づく各構成要素の組み合わせをより確実に行うことができるようになる。
(17)本実施形態の製造方法では、太陽標識30をサンシャフト本体31の前面側先端部41Tに形成するようにしている。これにより、各構成要素の組み合わせに際して太陽標識30を的確に認識することが可能となるため、太陽標識30の回転位相に基づく各構成要素の組み合わせをより確実に行うことができるようになる。
(18)本実施形態の製造方法では、治具標識80を歯車治具8の治具本体81の外周側に形成するようにしている。これにより、各構成要素の組み合わせに際して治具標識80を的確に認識することが可能となるため、治具標識80の回転位相に基づく各構成要素の組み合わせをより確実に行うことができるようになる。
(19)回転直線運動変換機構1においては、プラネタリシャフト本体41の体格が比較的小さくなるため、プラネタリシャフト本体41においてリングシャフト本体21やサンシャフト本体31と同様に自身の回転位相を把握するための標識を形成することが困難となることもある。また、仮にそうした標識を形成したとしても、各構成要素の組み合わせに際して同標識を的確に認識することが困難となることも想定される。この点、本実施形態の製造方法では、ねじ治具7を通じてプラネタリシャフト本体41の回転位相を把握するようにしているため、プラネタリシャフト本体41の体格にかかわらずプラネタリシャフト本体41の回転位相を的確に把握することができるようになる。
<実施形態の変形例>
なお、上記第1実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記第1実施形態では、太陽標識30の回転位相と遊星軸基準位相BPとの関係に基づいて遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定するようにしたが、遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定するための方法を例えば次のように変更することもできる。すなわち、各ねじ治具7にプラネタリシャフト本体41をねじ込んだ状態において、各プラネタリシャフト本体41の遊星軸相対位相MPが遊星軸正規位相XPとなるように各ねじ治具7の雌ねじ73の長さを異なる長さに設定することもできる。なお、この場合には、プラネタリシャフト本体41をねじ治具7にねじ込んだときに遊星軸相対位相MPが遊星軸正規位相XPとなるように、サンシャフト本体31に対するねじ治具7の位置が予め設定される。こうした構成によれば、プラネタリシャフト本体41をねじ治具7に取り付けることにより、遊星軸相対位相MPが遊星軸正規位相XPに設定されるため、回転直線運動変換機構1の組み立てにかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
・上記第1実施形態では、本体ねじ部41Aがねじ治具7の一部に突き当たるまでプラネタリシャフト本体41をねじ込むことのできる構造のねじ治具7を採用したが、ねじ治具7の構造を次のように変更することもできる。すなわち、背面側シャフト41Rがねじ治具7の一部に突き当たるまでプラネタリシャフト本体41をねじ込むことのできる構造に変更することもできる。この場合、背面側シャフト41Rを挿入するための空間として、第1分割体71及び第2分割体72の一部を通じてねじ治具7の底部側が閉塞された穴が挿入孔74の代わりに設けられる。
・上記第1実施形態においては、第1アッセンブリ91に対して前面リングギア22を組み合わせることにより第2アッセンブリ92を組み立てるようにしたが、第3アッセンブリ93を組み立てるまでの工程を次のように変更することもできる。すなわち、第1アッセンブリ91とリングシャフト本体21との組み合わせにより構成される集合体を組み立てた後、この集合体と前面リングギア22との組み合わせにより第3アッセンブリ93を組み立てることもできる。
(第2実施形態)
前記第1実施形態では、各プラネタリシャフト本体41について、ねじ治具7を通じて遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定する方法を採用している。これに対して、本実施形態では、ねじ治具7を使用することなく遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定することのできる方法を採用している。なお、本実施形態の製造方法において、以下で説明する構成以外については前記第1実施形態の製造方法と同様の構成を採用している。
<回転直線運動変換機構の製造方法>
本実施形態の製造方法は、前記第1実施形態の製造方法に対して次の変更を加えた製造方法に相当する。
・[工程H]の後に[工程HX]を行う。
・[工程K]及び[工程L1]を省略する。
・[工程L3]を以下の内容に変更する。
以下、変更点の詳細な内容について説明する。
[工程HX(図34)]各プラネタリシャフト本体41に前面プラネタリギア42及び遊星ねじ44の回転位相を把握するための標識(遊星標識40)を形成する。具体的には、前面プラネタリギア42に設けられている複数の歯について、そのうちの1つをその他の歯(標準歯)とは異なる形状に形成し、この形状の異なる歯(異形歯)を遊星標識40として採用する。これにより、当該工程を経た後の前面プラネタリギア42は、同一の形状を有する複数の標準歯とこの標準歯とは形状の異なる1つの異形歯とを有することになる。
本実施形態の製造方法においては、先の工程Hを通じて前面プラネタリギア42及び遊星ねじ44を同時に転造するようにしているため、遊星標識40の回転位相と前面プラネタリギア42及び遊星ねじ44の回転位相とが一定の関係に設定される。これにより、遊星標識40に基づいて前面プラネタリギア42及び遊星ねじ44の回転位相を把握することが可能となる。
[工程L3]太陽標識30の回転位相と遊星標識40の回転位相との関係に基づいて、遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定する。具体的には、遊星標識40の回転位相と遊星軸正規位相XPとの差を太陽標識30の回転位相と遊星標識40の回転位相との比較に基づいて把握した後、この相対回転位相の差がなくなるようにプラネタリシャフト本体41を回転させることにより、遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定する。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第2実施形態にかかる回転直線運動変換機構の製造方法によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(18)の効果に加えて、以下に示す効果が得られるようになる。
(20)本実施形態の製造方法によれば、ねじ治具7を用いることなく遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定することが可能となるため、ねじ治具7にかかるコストや管理の手間を削減することができるようになる。
<実施形態の変形例>
なお、上記第2実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記第2実施形態において、前面プラネタリギア42及び遊星ねじ44の転造方法は、例えば次のように変更することもできる。すなわち、転造前に遊星標識40として溝を基礎プラネタリシャフト本体に形成した後、遊星標識40を基準として前面プラネタリギア42及び遊星ねじ44を同時に転造する方法、または遊星標識40を基準として前面プラネタリギア42及び遊星ねじ44を各別に転造する方法を採用することができる。
(第3実施形態)
前記第1実施形態では、サンシャフト本体31と各プラネタリシャフト本体41とを組み合わせて第1アッセンブリ91を組み立てた後、第1アッセンブリ91に対して前面リングギア22及びリングシャフト本体21を組み合わせることにより第3アッセンブリ93を組み立てるようにしている。これに対して、本実施形態では、リングシャフト本体21と各プラネタリシャフト本体41との組み合わせにより構成される集合体を組み立てた後、この集合体に対してサンシャフト本体31及び前面サンギア32を組み合わせることにより第3アッセンブリ93を組み立てるようにしている。なお、本実施形態の製造方法において、以下で説明する構成以外については前記第1実施形態の製造方法と同様の構成を採用している。
<回転直線運動変換機構の構造>
本実施形態の回転直線運動変換機構1の構造は、以下の点において前記第1実施形態の回転直線運動変換機構と異なる。
・前面リングギア22がリングシャフト本体21と一体に形成されている。
・前面サンギア32がサンシャフト本体31とは各別に形成されている。
・前面サンギア32をサンシャフト本体31の前面側から本体ギア部31Bに取り付けることのできるようにサンシャフト本体31が構成されている。すなわち、サンシャフト本体31上において前面サンギア32を前面側から背面側へ移動させたときに前面サンギア32と干渉するサンシャフト本体31の部位がサンシャフト本体31とは各別に形成されている。なお、これら各別に形成された要素は、前面サンギア32が本体ギア部31Bに組み付けられた後にサンシャフト本体31上の規定の位置に組み付けられる。
<回転直線運動変換機構の製造方法>
本実施形態の回転直線運動変換機構1の製造方法は、以下の点において前記第1実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法と異なる。
[工程J(図35)]リングシャフト本体21を第3治具66に取り付ける。
第3治具66は、軸受孔66Hにリングシャフト本体21を挿入した状態においてリングシャフト本体21を固定することができるように構成されている。また、リングシャフト本体21に対して内周側の径方向に一定の間隔をあけてプラネタリシャフト本体41を配置したときに、前面側先端部41Tを治具端面66Fと接触させることができるように構成されている。
[工程K]第3組付状態でのリングシャフト本体21と各プラネタリシャフト本体41との組み合わせにより構成される集合体(第5アッセンブリ95)を組み立てるための準備として、各プラネタリシャフト本体41をそれぞれねじ治具7に取り付けることにより、全てのプラネタリシャフト本体41についてねじ治具7に対する回転位相を同一の回転位相に設定する。なお、第3組付状態は、リングシャフト本体21の中心線まわりに各プラネタリシャフト本体41が等間隔に配置された状態において前面リングギア22と各前面プラネタリギア42との噛み合わせ及び円環ねじ24と各遊星ねじ44との噛み合わせが得られた状態を示す。
[工程L(図36)]第5アッセンブリ95を組み立てる。すなわち、リングシャフト本体21の前面リングギア22及び円環ねじ24と各プラネタリシャフト本体41の前面プラネタリギア42及び遊星ねじ44とを噛み合わせることにより第5アッセンブリ95を組み立てる。
ここで、リングシャフト本体21に対するプラネタリシャフト本体41の関係を示す因子として、「周方向相対位置MR」、「径方向相対位置ML」、「軸方向相対位置MS」、及び「遊星軸相対位相MP」をそれぞれ次のように定義する。
・リングシャフト本体21に対するプラネタリシャフト本体41の周方向の位置を周方向相対位置MRとする。
・リングシャフト本体21に対するプラネタリシャフト本体41の径方向の位置を径方向相対位置MLとする。
・リングシャフト本体21に対するプラネタリシャフト本体41の軸方向の位置を軸方向相対位置MSとする。
・リングシャフト本体21の回転位相に対するプラネタリシャフト本体41の回転位相を遊星軸相対位相MPとする。
また、第5アッセンブリ95における「周方向相対位置MR」、「径方向相対位置ML」、「軸方向相対位置MS」、及び「遊星軸相対位相MP」をそれぞれ次のように定義する。
・第5アッセンブリ95における周方向相対位置MRを周方向正規位置XRとする。
・第5アッセンブリ95における径方向相対位置MLを径方向正規位置XLとする。
・第5アッセンブリ95における軸方向相対位置MSを軸方向正規位置XSとする。
・第5アッセンブリ95における遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPとする。
本実施形態の製造方法においては、リングシャフト本体21と各プラネタリシャフト本体41との組み合わせに際して、各プラネタリシャフト本体41の周方向相対位置MR、径方向相対位置ML、軸方向相対位置MS及び遊星軸相対位相MPをそれぞれ次の(A)〜(D)の方法に基づいて設定するようにしている。
(A)周方向相対位置MRについては、リングシャフト本体21の円環標識20の回転位相と周方向正規位置XRとの対応関係を予め把握しておくことにより、円環標識20の回転位相に基づいて周方向正規位置XRに設定することができるようにしている。
(B)径方向相対位置MLについては、プラネタリシャフト本体41を内周側の径方向からリングシャフト本体21に突き当てることにより、径方向正規位置XLに設定することができるようにしている。
(C)軸方向相対位置MSについては、リングシャフト本体21と軸方向正規位置XSにおけるプラネタリシャフト本体41の前面側先端部41Tとの対応関係を予め把握しておくことにより、前面側先端部41Tの位置に基づいて軸方向正規位置XSに設定することができるようにしている。
(D)遊星軸相対位相MPについては、リングシャフト本体21の円環標識20の回転位相と遊星軸正規位相XPとの対応関係を予め把握しておくことにより、円環標識20の回転位相に基づいて遊星軸正規位相XPに設定することができるようにしている。具体的には、円環標識20に基づく遊星軸正規位相XPの設定を次のように実現している。
本実施形態の製造方法においては、リングシャフト本体21の円環標識20を基準として円環ねじ24を形成することにより、円環標識20の回転位相と円環ねじ24の回転位相との関係が常に一定の関係となるようにしている。また、円環標識20の回転位相と円環ねじ24の回転位相との関係を予め把握するようにしている。また、リングシャフト本体21の中心線とねじ治具7の雌ねじ73(プラネタリシャフト本体41)の中心線とが平行となる状態において、プラネタリシャフト本体41をねじ治具7にねじ込んだときのリングシャフト本体21の回転位相に対するプラネタリシャフト本体41の回転位相(遊星軸基準位相BP)を予め把握するようにしている。
これにより、円環標識20の回転位相を円環ねじ24の回転位相と見立てて円環ねじ24の回転位相とプラネタリシャフト本体41の回転位相との関係を設定することが可能となるため、円環標識20の回転位相及び遊星軸基準位相BPに基づいて遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定することができるようになる。すなわち、プラネタリシャフト本体41をねじ治具7に取り付けて遊星軸基準位相BPを割り出すことにより、円環標識20の回転位相を基準として遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定することができるようにしている。
工程Lにおいては、具体的には以下の[工程L1]〜[工程L5]に従って第5アッセンブリ95の組み立てを行うようにしている。
組み立て各手順の説明に先立ち、「基準平面VP」、「基準線VL」及び「基準位置VR」について説明する。
(a)リングシャフト本体21の中心線に直交する平面を基準平面VPとする。
(b)リングシャフト本体21の中心線について、基準平面VP上での一点を第1基準点PAとする。
(c)周方向正規位置XRに位置するプラネタリシャフト本体41の中心線について、基準平面VP上での一点を第2基準点PBとする。
(d)基準平面VP上において第1基準点PA及び第2基準点PBを通過する線を基準線VLとする。
(e)プラネタリシャフト本体41について、自身の中心線が基準線VLと交差する位置のうち径方向正規位置XLを除いた位置を基準位置VRとする。すなわち、基準位置VRは、周方向相対位置MRが周方向正規位置XRであるとともに径方向相対位置MLが径方向正規位置XLでない位置に相当する。
以下、第5アッセンブリ95の組み立て手順について説明する。なお、工程L1〜工程L5は1つのプラネタリシャフト本体41についての組み付け手順を示している。
[工程L1]ねじ治具7を分割することにより、プラネタリシャフト本体41をねじ治具7から取り外す。このとき、プラネタリシャフト本体41は自身の中心線がサンシャフト本体31の中心線に対して平行となる状態にある。
[工程L2]円環標識20の回転位相に基づいて、プラネタリシャフト本体41を基準位置VRに配置する。すなわち、自身の周方向正規位置XRの第2基準点PBと第1基準点PAとより得られる基準線VLと自身の中心線とが交差する位置(基準位置VR)にプラネタリシャフト本体41を移動する。このとき、リングシャフト本体21(円環標識20)の回転位相との関係を保持した状態でプラネタリシャフト本体41の移動を行う。また、基準位置VRとして、プラネタリシャフト本体41を中心線に沿って平行移動させたときに前面側先端部41Tを第3治具66の治具端面66Fに突き当てることのできる位置を選択する。
[工程L3]円環標識20の回転位相に基づいて、遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定する。具体的には、遊星軸基準位相BPと遊星軸正規位相XPとの差を円環標識20の回転位相と遊星軸基準位相BPとの比較に基づいて把握した後、この相対回転位相の差がなくなるようにプラネタリシャフト本体41を回転させることにより、遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定する。
[工程L4]プラネタリシャフト本体41を中心線に沿って平行移動させて前面側先端部41Tを治具端面66Fに突き当てることにより、軸方向相対位置MSを軸方向正規位置XSに設定する。
[工程L5]プラネタリシャフト本体41の中心線とリングシャフト本体21の中心線とが平行となる状態において、プラネタリシャフト本体41を平行移動させてリングシャフト本体21に突き当てることにより、径方向相対位置MLを径方向正規位置XLに設定する。具体的には、基準平面VP上におけるプラネタリシャフト本体41の中心線(第2基準点PB)の軌跡が基準線VLと整合するようにプラネタリシャフト本体41を基準位置VRから径方向正規位置XLに平行移動させる。このとき、プラネタリシャフト本体41が周方向正規位置XR、軸方向正規位置XS及び遊星軸正規位相XPに設定された状態で径方向正規位置XLに配置されるため、前面プラネタリギア42と前面リングギア22との噛み合わせ及び遊星ねじ44と円環ねじ24との噛み合わせが同時に得られるようになる。
[工程M(図37)]第5アッセンブリ95に取り付ける治具を第3治具66から第4治具67に変更する。
第4治具67は、リングシャフト本体21を固定するための円環治具68とプラネタリシャフト本体41の前面側シャフト41Fを支持するための遊星治具69とを備えて構成されている。すなわち、回転直線運動変換機構1に備えられるプラネタリシャフト4の数と同じ数の遊星治具69が円環治具68と一体に形成されている。
円環治具68は、支持穴68Hにリングシャフト本体21を挿入した状態において自身の中心線(支持穴68Hの中心線)がリングシャフト本体21の中心線と整合するように構成されている。また、軸受孔68Sにサンシャフト本体31を挿入した状態において自身の中心線がサンシャフト本体31の中心線と整合するように構成されている。各遊星治具69は、それぞれの中心線が支持穴68Hの中心線まわりにおいて等間隔となるように構成されている。円環治具68及び各遊星治具69は、それぞれの中心線が互いに平行となるように構成されている。各遊星治具69の先端部には、プラネタリシャフト本体41の前面側シャフト41Fの形状に対応した穴(支持穴69H)が形成されている。
工程Mにおいては、具体的には次の(a)〜(c)の作業を通じて第4治具67に第5アッセンブリ95を取り付ける。
(a):第5アッセンブリ95におけるリングシャフト本体21と各プラネタリシャフト本体41との関係を保持した状態で、第5アッセンブリ95を第3治具66から取り外す。
(b):第4治具67の中心線とリングシャフト本体21の中心線とが整合する位置、且つ遊星治具69の中心線とプラネタリシャフト本体41の中心線とが整合する位置に第5アッセンブリ95を移動する。
(c):第5アッセンブリ95を中心線に沿って平行移動させることにより第4治具67に取り付ける。すなわち、リングシャフト本体21を支持穴68Hに挿入するとともに、各プラネタリシャフト本体41の前面側シャフト41Fを対応する遊星治具69の支持穴69Hにはめ込む。
[工程N]第5アッセンブリ95の各プラネタリシャフト本体41にリテーナ65を装着する。
[工程O(図38)]第5アッセンブリ95とサンシャフト本体31との組み合わせにより構成される集合体(第6アッセンブリ96)を組み立てる。すなわち、第5アッセンブリ95の各遊星ねじ44とサンシャフト本体31の太陽ねじ34とを噛み合わせることにより第6アッセンブリ96を組み立てる。このように、第5アッセンブリ95においては、各遊星ねじ44を太陽ねじ34と噛み合わせることが可能となっているため、不連続なねじ山を有する1つの雄ねじが各遊星ねじ44により形成されていると見立てることができる。以降では、この各遊星ねじ44により形成されて太陽ねじ34に噛み合う1つの雄ねじを対太陽ねじ47とする。
ここで、対太陽ねじ47及び太陽ねじ34の回転位相について、太陽ねじ34と対太陽ねじ47とが噛み合いはじめる状態においては対太陽ねじ47の回転位相と太陽ねじ34の回転位相とが一致している、すなわち対太陽ねじ47と太陽ねじ34との相対的な回転位相の差(太陽ねじ回転位相差)がないものとする。また、太陽ねじ回転位相差がない状態における対太陽ねじ47の回転位相に対する太陽ねじ34の回転位相を太陽ねじ基準位相RDとする。
工程Oにおいては、第6アッセンブリ96の組み立て前に太陽ねじ34(サンシャフト本体31)の回転位相を太陽ねじ基準位相RDに設定するようにしている。これにより、サンシャフト本体31の中心線を第5アッセンブリ95のリングシャフト本体21の中心線と整合させた状態において、中心線に沿ってサンシャフト本体31を平行移動させることにより対太陽ねじ47と太陽ねじ34とを噛み合わせることが可能となるため、第6アッセンブリ96の組み立てにかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
本実施形態の製造方法においては、リングシャフト本体21の円環標識20を基準としたリングシャフト本体21と各プラネタリシャフト本体41との組み合わせを通じて第5アッセンブリ95が組み立てられるため、円環標識20の回転位相と対太陽ねじ47の回転位相との関係が常に一定の関係となる。また、サンシャフト本体31の太陽標識30を基準として太陽ねじ34が形成されるため、太陽標識30の回転位相と太陽ねじ34の回転位相との関係が常に一定の関係となる。そこで、第5アッセンブリ95における円環標識20の回転位相と対太陽ねじ47の回転位相との関係、及びサンシャフト本体31における太陽標識30の回転位相と太陽ねじ34の回転位相との関係を予め把握しておくようにしている。これにより、円環標識20の回転位相を対太陽ねじ47の回転位相と見立てるとともに太陽標識30の回転位相を太陽ねじ34の回転位相と見立てて太陽ねじ34の回転位相の設定を行うことができるようにしている。すなわち、円環標識20の回転位相と太陽標識30の回転位相との関係に基づいて、太陽ねじ34の回転位相を太陽ねじ基準位相RDに設定することができるようにしている。
工程Oにおいては、具体的には次の(a)〜(d)の作業を通じて第6アッセンブリ96の組み立てを行う。
(a):第5アッセンブリ95の背面側においてリングシャフト本体21の中心線と自身の中心線とが整合する位置にサンシャフト本体31を配置する。
(b):円環標識20の回転位相と太陽標識30の回転位相との関係に基づいて、太陽ねじ34の回転位相を太陽ねじ基準位相RDに設定する。
(c):サンシャフト本体31を上記(a)及び(b)の作業を通じて設定された姿勢に保持した状態で中心線に沿って平行移動させることにより、第5アッセンブリ95の各遊星ねじ44(対太陽ねじ47)と太陽ねじ34とを噛み合わせる。
(d):リングシャフト本体21に対するサンシャフト本体31の軸方向の相対位置が所定の位置となるまでサンシャフト本体31をねじ込む。
[工程P(図39)]第6アッセンブリ96と前面サンギア32との組み合わせにより構成される集合体(第3アッセンブリ93)を組み立てる。すなわち、第6アッセンブリ96の各前面プラネタリギア42と前面サンギア32とを噛み合わせることにより第3アッセンブリ93を組み立てる。このように、第6アッセンブリ96においては、各前面プラネタリギア42を前面サンギア32と噛み合わせることが可能となっているため、不連続な形状を有する1つの歯車が各前面プラネタリギア42により形成されていると見立てることができる。以降では、この各前面プラネタリギア42により形成されて前面サンギア32に噛み合う1つの歯車を対サンギア48とする。
ここで、対サンギア48及び前面サンギア32の回転位相について、前面サンギア32と対サンギア48とが噛み合う状態においては対サンギア48の回転位相と前面サンギア32の回転位相とが一致している、すなわち対サンギア48前面サンギア32との相対的な回転位相の差(太陽歯車回転位相差)がないものとする。また、太陽歯車回転位相差がない状態における対サンギア48の回転位相に対する前面サンギア32の回転位相を太陽歯車基準位相REとする。
工程Pにおいては、第3アッセンブリ93の組み立て前に前面サンギア32の回転位相を太陽歯車基準位相REに設定するようにしている。これにより、前面サンギア32の中心線を第6アッセンブリ96のリングシャフト本体21の中心線と整合させた状態において、中心線に沿って前面サンギア32を平行移動させることにより対サンギア48と前面サンギア32とを噛み合わせることが可能となるため、第3アッセンブリ93の組み立てにかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
本実施形態の製造方法においては、リングシャフト本体21の円環標識20を基準としたリングシャフト本体21と各プラネタリシャフト本体41との組み合わせを通じて第5アッセンブリ95が組み立てられるため、円環標識20の回転位相と対サンギア48の回転位相との関係が常に一定の関係となる。そこで、第5アッセンブリ95(第6アッセンブリ96)における円環標識20の回転位相と対サンギア48の回転位相との関係を予め把握しておくことにより、円環標識20の回転位相を対サンギア48の回転位相と見立てて前面サンギア32の回転位相の設定を行うことができるようにしている。すなわち、円環標識20の回転位相と前面サンギア32の回転位相との関係に基づいて、前面サンギア32の回転位相を太陽歯車基準位相REに設定することができるようにしている。
工程Pにおいては、具体的には次の(a)〜(d)の作業を通じて第3アッセンブリ93の組み立てを行う。
(a):第6アッセンブリ96の前面側においてサンシャフト本体31の中心線と自身の中心線とが整合する位置に前面サンギア32を配置する。
(b):円環標識20の回転位相と前面サンギア32の回転位相との関係に基づいて、前面サンギア32の回転位相を太陽歯車基準位相REに設定する。
(c):前面サンギア32を上記(a)及び(b)の作業を通じて設定された姿勢に保持した状態で中心線に沿って平行移動させることにより、第6アッセンブリ96の各前面プラネタリギア42(対サンギア48)と前面サンギア32とを噛み合わせる。
(d):前面サンギア32を本体ギア部31Bに圧入することによりサンシャフト本体31に固定する。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第3実施形態にかかる回転直線運動変換機構の製造方法によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(19)の効果に準じた効果が得られるようになる。
<実施形態の変形例>
なお、上記第3実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記第3実施形態においては、第5アッセンブリ95に対して前面リングギア22を組み合わせることにより第6アッセンブリ96を組み立てるようにしたが、第3アッセンブリ93を組み立てるまでの工程を次のように変更することもできる。すなわち、第5アッセンブリ95とサンシャフト本体31との組み合わせにより構成される集合体を組み立てた後、この集合体と前面リングギア22との組み合わせにより第3アッセンブリ93を組み立てることもできる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について、図40〜図72を参照して前記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
<本実施形態のねらい>
回転直線運動変換機構1においては、リングシャフト本体21と前面リングギア22及び背面リングギア23が各別に形成されていること、並びにサンシャフト本体31と背面サンギア33とが各別に形成されていることのそれぞれに起因して、リングシャフト2の仕事に対するサンシャフト3の仕事の割合(仕事変換効率H)の低下、すなわち回転運動から直線運動への変換効率の低下が生じるようになる。以下に、こうした仕事変換効率Hの低下が生じる理由を示す。
まずは、リングシャフト本体21と前面リングギア22及び背面リングギア23とが各別に形成されているため、当該変換機構1の組み立てに際して前面リングギア22と背面リングギア23との相対定な回転位相がずれた状態でリングシャフト2が組み立てられることもある。そして、前面リングギア22と背面リングギア23との相対的な回転位相のずれにともない、前面プラネタリギア42及び背面プラネタリギア43のそれぞれとこれに対応するリングギアとが設計時の噛み合い状態から大きく乖離した状態で噛み合わされた場合には、リングシャフト2及びサンシャフト3とプラネタリシャフト4との間の摺動抵抗が増大することに起因して、仕事変換効率Hの低下をまねくようになる。具体的には、リングシャフト2において前面リングギア22と背面リングギア23との相対的な回転位相がずれている、すなわち前面リングギア22と背面リングギア23との相対的な回転位相が実質的に一致していない場合には、こうした回転位相のずれに起因して組み立て後の回転直線運動変換機構1においてプラネタリシャフト4がリングシャフト2及びサンシャフト3に対して傾いた状態となる。そして、これによって各ねじの噛み合いピッチ円直径が設計値から大きく外れるとともに、各ねじの噛み合い状態が軸方向において過度に不均一となるため、ねじの噛み合い部での摺動抵抗が増大して仕事変換効率Hの低下が生じるようになる。
次に、サンシャフト本体31と背面サンギア33とが別に形成されているため、当該変換機構1の組み立てに際して前面サンギア32と背面サンギア33との相対定な回転位相がずれた状態でサンシャフト3が組み立てられることもある。そして、前面サンギア32と背面サンギア33との相対的な回転位相のずれにともない、前面プラネタリギア42及び背面プラネタリギア43のそれぞれとこれに対応するサンギアとが設計時の噛み合い状態から大きく乖離した状態で噛み合わされた場合には、リングシャフト2及びサンシャフト3とプラネタリシャフト4との間の摺動抵抗が増大することに起因して、仕事変換効率Hの低下をまねくようになる。具体的には、サンシャフト3において前面サンギア32と背面サンギア33との相対的な回転位相がずれている、すなわち前面サンギア32と背面サンギア33との相対的な回転位相が実質的に一致していない場合には、こうした回転位相のずれに起因して組み立て後の回転直線運動変換機構1においてプラネタリシャフト4がリングシャフト2及びサンシャフト3の少なくとも一方に対して傾いた状態となる。そして、これによって各ねじの噛み合いピッチ円直径が設計値から大きく外れるとともに、各ねじの噛み合い状態が軸方向において過度に不均一となるため、ねじの噛み合い部での摺動抵抗が増大して仕事変換効率Hの低下が生じるようになる。
本実施形態の製造方法では、上述のような仕事変換効率Hの低下を的確に抑制すべく、組み立て後の回転直線運動変換機構1におけるリングシャフト2及びサンシャフト3に対する各プラネタリシャフト4の傾き度合いを基準の度合いよりも小さくすべく各構成要素を組み合わせるようにしている。
図40に示されるように、上記プラネタリシャフト4の傾き度合いは、サンシャフト3またはリングシャフト2に対して直立した状態のプラネタリシャフト本体41を基準プラネタリシャフト本体41Xとし、サンシャフト3またはリングシャフト2に対して傾斜した状態のプラネタリシャフト本体41を傾斜プラネタリシャフト本体41Yとして、基準プラネタリシャフト本体41Xの中心線LAと傾斜プラネタリシャフト本体41Yの中心線LBとがなす角(倒れ角度TA)として規定することができる。
また、上記仕事変換効率Hの低下の抑制は、図41のグラフに示される倒れ角度TAと仕事変換効率Hとの関係において、当該回転直線運動変換機構1に要求される仕事変換効率Hを要求変換効率HXとし、同要求変換効率HXに対応する倒れ角度TAを基準倒れ角度TAXとして、組み立て後の回転直線運動変換機構1における倒れ角度TAが基準倒れ角度TAXよりも小さくなること、すなわち仕事変換効率Hとして要求変換効率HXが確保されることに相当する。
<前記第1実施形態との主な相違点>
本実施形態の製造方法は、次の点において前記第1実施形態の製造方法と相違している。すなわち、前記第1実施形態の製造方法が、歯車治具8を通じてギアアッセンブリ99を組み立てた後、これを一括して第3アッセンブリ93のリングシャフト本体21、サンシャフト本体31及び各プラネタリシャフト本体41に組み付けるものであるのに対し(図29〜図32参照)、本実施形態の製造方法は、背面リングギア23及び背面サンギア33をそれぞれ対応するアッセンブリのリングシャフト本体21またはサンシャフト本体31に組み付けて図65に示される第14アッセンブリ9Dを組み立てた後、同アッセンブリ9Dの各プラネタリシャフト本体41に背面プラネタリギア43を組み付けるようにしている。なお、上記相違点以外の点については、基本的には前記第1実施形態と同様の構成が採用されている。
<製造方法の概要>
本実施形態の製造方法では、図42〜図46に示される組立治具100及び図47に示される支持治具200を通じて、サンシャフト本体31に対して各プラネタリシャフト本体41が組み付けられた第1アッセンブリ91(前記第1実施形態と同様の構造の第1アッセンブリ91(図51))、同アッセンブリ91に対して背面サンギア33が組み付けられた第11アッセンブリ9A(図58)、同アッセンブリ9Aに対して前面リングギア22が組み付けられた第12アッセンブリ9B(図60)、同アッセンブリ9Bに対してリングシャフト本体21が組み付けられた第13アッセンブリ9C(図61)、同アッセンブリ9Cに対して背面リングギア23が組み付けられた第14アッセンブリ9D(図64)及び同アッセンブリ9Dに対して各背面プラネタリギア43が組み付けられた第4アッセンブリ94(前記第1実施形態と同様の構造の第4アッセンブリ94(図68))を順次組み立てるようにしている。
具体的には、前記第1実施形態の工程A〜工程Hに準じた工程を通じて各構成要素を製造し、前記工程Iを通じて同構成要素を洗浄した後、組立治具100上において各構成要素を順次組み合わせて第1アッセンブリ91、第11アッセンブリ9A、第12アッセンブリ9B、第13アッセンブリ9C及び第14アッセンブリ9Dの順にアッセンブリを組み立てる(工程XA(図48)〜工程XM(図64))。その後、組立治具100に代えて支持治具200にて第14アッセンブリ9Dを支持した状態において、同アッセンブリ9Dの各プラネタリシャフト本体41に背面プラネタリギア43を組み付けて第4アッセンブリ94を組み立てる(工程XN(図65)〜工程XR(図69))。そして、前記第1実施形態の工程Tに準じた工程を通じて回転直線運動変換機構1を完成させる。
<組立治具の構造>
図42〜図46を参照して、組立治具100の構造について説明する。
・図42は、組立治具100の平面構造を示す。
・図43は、図42のDJ−DJ線に沿う組立治具100の断面構造を示す。
以降では、組立治具100または支持治具200の中心線Cに沿う方向を軸方向とし、同軸方向のうち矢印VAの方向を軸方向上方とし、同軸方向上方とは反対の矢印VBの方向を軸方向下方とする。また、組立治具100または支持治具200の中心線Cに直交する方向を径方向とし、同径方向のうち中心線Cに近づく矢印VCの方向を径方向内方とし、同径方向内方とは反対側の矢印VDの方向を径方向外方とする。
組立治具100は、当該治具100に対する姿勢の変化を規制した状態でサンシャフト3を保持するための治具本体110と、同治具本体110上に設けられて治具本体110に対して軸方向に移動可能な第1可動部120と、同じく治具本体110上に設けられて治具本体110に対して径方向に移動可能な第2可動部130と、また同じく治具本体110上に設けられて図45及び図46にそれぞれ示される第1付属体150及び第2付属体160を取り付けるための装着部140とを備えて構成されている。
治具本体110は、サンシャフト3を挿入するための空間(挿入孔113)が設けられた第1本体111と、第2可動部130及び装着部140が設けられた第2本体112とにより構成されている。
第1本体111において、挿入孔113の開口部の周囲には、同挿入孔113に挿入されたサンシャフト本体31に対して各プラネタリシャフト本体41を組み付ける際に、各プラネタリシャフト本体41の軸方向相対位置MSを軸方向正規位置XSに設定するための突当部114が設けられている。すなわち突当部114は、前記第1実施形態にて使用される第1治具61と同様にプラネタリシャフト本体41の前面側先端部41Tが治具端面114Fに突き当てられることにより、軸方向相対位置MSを軸方向正規位置XSに設定するための要素として構成されている。
突当部114上には、各プラネタリシャフト4を支持するための支持部115が複数設けられている。各支持部115は、周方向において隣り合う支持部115の間に単一のプラネタリシャフト4が配置された状態において、周方向への同プラネタリシャフト4の傾きを規制するための要素として構成されている。また、径方向外側から各支持部115の間にプラネタリシャフト4を配置することができるように構成されている。
各支持部115のうちの少なくとも1つの内側には、治具本体110に取り付けられたサンシャフト本体31についての当該治具本体110に対する回転を不能にするための第1サンギア用ボールプランジャ116が設けられている。本実施形態の組立治具100においては、周方向における間隔が均等になる3つの支持部115のそれぞれに第1サンギア用ボールプランジャ116が設けられている。なお、第1サンギア用ボールプランジャ116の配置態様としては、上記態様の他に例えば、組立治具100の中心線Cを基準として実質的に対向する関係にある一対の支持部115に設けるといったものを採用することもできる。また、第1サンギア用ボールプランジャ116は、第1太陽歯車の回転を規制する第1規制部を具体化したもののうちの一つに相当する。
各第1サンギア用ボールプランジャ116は、前面サンギア32の歯の間に配置されるボール116A(支持体)と、同ボール116Aを前面サンギア32の歯に対して同ギア32の中心に向けて押し付けるばね116B(押付体)とにより構成されている。また、ボール116Aが前面サンギア32のピッチ円上またはピッチ円付近において対応する歯面と接触するように、支持部115に対する当該ボールプランジャ116の取り付け位置が設定されている。これにより、治具本体110にサンシャフト本体31が取り付けられたときには、各ボールプランジャ116のボール116Aがそれぞれ対応する歯の間に配置されて、ピッチ円上またはピッチ円付近にて歯面と接触した状態で前面サンギア32に押し付けられるため、治具本体110に対する回転が不能とされた状態でサンシャフト本体31が治具本体110により保持されるようになる。
各支持部115のうちの少なくとも1つの外側には、リングシャフト本体21への組み付けを通じて治具本体110に保持された状態の前面リングギア22(具体的には、上記第13アッセンブリ9Cにおける前面リングギア22)について、同リングギア22の当該治具本体110に対する回転を不能にするための第1リングギア用ボールプランジャ117が設けられている。本実施形態の組立治具100においては、周方向における間隔が均等になる3つの支持部115のそれぞれに第1リングギア用ボールプランジャ117が設けられている。なお、第1リングギア用ボールプランジャ117の配置態様としては、上記態様の他に例えば、組立治具100の中心線Cを基準として実質的に対向する関係にある一対の支持部115に設けるといったものを採用することもできる。また、第1リングギア用ボールプランジャ117は、第1円環歯車の回転を規制する第1規制部を具体化したもののうちの一つに相当する。
各第1リングギア用ボールプランジャ117は、前面リングギア22の歯の間に配置されるボール117A(支持体)と、同ボール117Aを前面リングギア22の歯に対して同ギア22の中心に向けて押し付けるばね117B(押付体)とにより構成されている。また、ボール117Aが前面リングギア22のピッチ円上またはピッチ円付近において対応する歯面と接触するように、支持部115に対する当該ボールプランジャ117の取り付け位置が設定されている。これにより、治具本体110にサンシャフト本体31への組み付けを通じてリングシャフト本体21が取り付けられたときには、各ボールプランジャ117のボール117Aがそれぞれ対応する歯の間に配置されて、ピッチ円上またはピッチ円付近にて歯面と接触した状態で前面リングギア22に押し付けられるため、治具本体110に対する回転が不能とされた状態でリングシャフト本体21が治具本体110により保持されるようになる。
第1可動部120は、前面リングギア22の中心線とサンシャフト本体31の中心線とが整合する状態で同リングギア22を支持し、同状態を保持しつつ治具本体110に対する軸方向への移動を通じて前面リングギア22をリングシャフト本体21に組み付けるための要素として構成されている。そして、リングシャフト本体21への前面リングギア22の組み付け前は、図43に示される待避位置に設定されて前面リングギア22を支持し、前面リングギア22の組み付けに際しては、軸方向上方への移動を通じて図44に示される組付位置に設定されることにより、前面リングギア22をリングシャフト本体21に組み付ける。第1可動部120には、上記機能に加えて次のような機能も備えられている。すなわち第1可動部120は、組付位置に設定されたときに、前面リングギア22の歯の間に各第1リングギア用ボールプランジャ117のボール117Aが配置されるように、同ボールプランジャ117に対する前面リングギア22の回転位相を保持しつつ待避位置から組付位置に移動可能な要素としても構成されている。
第2可動部130は、治具本体110に対する径方向への移動を通じて、組付位置に移動した第1可動部120の軸方向下方への移動を規制するための要素として構成されている。すなわち、第1可動部120が待避位置に設定されているときには、図43に示される待避位置に設定され、第1可動部120が組付位置に設定されているときには、図44に示される支持位置に設定されて第1可動部120を軸方向下方から支持する。
装着部140は、図45に示される第1付属体150を取り付けるため、また図46に示される第2付属体160を取り付けるための要素として構成されている。すなわち、第1付属体150及び第2付属体160のそれぞれを治具本体110上にて組み立てられたアッセンブリの上部に保持することのできる要素として構成されている。
図45に示されるように、第1付属体150は、自身に対する背面サンギア33の回転を不能とした状態、且つ背面サンギア33の中心線とサンシャフト本体31の中心線とが整合する状態で同サンギア33を保持するとともに、同状態を保持しつつ治具本体110に対する軸方向下方への移動を通じて背面サンギア33をサンシャフト本体31に組み付けるための要素として構成されている。具体的には、装着部140に取り付けられる付属体本体151と、背面サンギア33を上記態様で支持可能、且つ同本体151に対して治具本体110の軸方向に移動可能な付属可動体152と、同可動体152の軸方向についての移動を付属体本体151と協働してより確実に案内する案内体156と、同案内体156を付属体本体151に固定する連結体157とにより構成されている。
付属可動体152には、背面サンギア33を取り付けるためのギア配置部153と、同配置部153に取り付けられた背面サンギア33をサンシャフト本体31に圧入する際に、当該可動体152に対する同サンギア33の軸方向上方への移動を規制するためのギア規制部154と、ギア配置部153に取り付けられた背面サンギア33についての当該可動体152(第1付属体150)に対する回転を不能にするための一対の第2サンギア用ボールプランジャ155とが設けられている。また付属可動体152は、付属体本体151に対する軸方向への移動を通じて背面サンギア33をサンシャフト本体31に組み付ける際に、同サンシャフト本体31を含めて構成されるアッセンブリに対して干渉しないように構成されている。
各ボールプランジャ155は、背面サンギア33の歯の間に配置されるボール155A(支持体)と、同ボール155Aを背面サンギア33の歯に対して同ギア33の中心に向けて押し付けるばね155B(押付体)とにより構成されている。また、ボール155Aが背面サンギア33のピッチ円上またはピッチ円付近において対応する歯面と接触するように、付属可動体152に対する当該ボールプランジャ155の取り付け位置が設定されている。また、背面サンギア33を介して実質的に対向する態様で付属可動体152に設けられている。これにより、ギア配置部153に背面サンギア33が配置されたときには、各ボールプランジャ155のボール155Aがそれぞれ対応する歯の間に配置されて、ピッチ円上またはピッチ円付近にて歯面と接触した状態で背面サンギア33に押し付けられるため、付属可動体152に対する回転が不能とされた状態で背面サンギア33がギア配置部153に保持されるようになる。
当該組立治具100においては、治具本体110の第1サンギア用ボールプランジャ116と第1付属体150の第2サンギア用ボールプランジャ155との関係が次のように設定されている。すなわち、治具本体110に第1付属体150が取り付けられた状態において、対応する第1サンギア用ボールプランジャ116と第2サンギア用ボールプランジャ155との相対的な回転位相が実質的に一致するように構成されている。換言すると、サンシャフト本体31が治具本体110に保持された状態、且つ背面サンギア33を保持した第1付属体150が装着部140に取り付けられた状態において、前面サンギア32と背面サンギア33との相対的な回転位相が実質的に一致するように第1サンギア用ボールプランジャ116と第2サンギア用ボールプランジャ155との相対的な回転位相が設定されている。なお、第2サンギア用ボールプランジャ155は、第2太陽歯車の回転を規制する第2規制部を具体化したもののうちの一つに相当する。
図46に示されるように、第2付属体160は、自身に対する背面リングギア23の回転を不能とした状態、且つ背面リングギア23の中心線とサンシャフト本体31の中心線とが整合する状態で同リングギア23を保持するとともに、同状態を保持しつつ治具本体110に対する軸方向下方への移動を通じて背面リングギア23をリングシャフト本体21に組み付けるための要素として構成されている。具体的には、装着部140に取り付けられる付属体本体161と、背面リングギア23を上記態様で支持可能、且つ同本体161に対して治具本体110の軸方向に移動可能な付属可動体162とにより構成されている。
付属可動体162には、背面リングギア23を取り付けるためのギア配置部163と、同配置部163に取り付けられた背面リングギア23をリングシャフト本体21に圧入する際に、当該可動体162に対する同リングギア23の軸方向上方への移動を規制するためのギア規制部164と、ギア配置部163に取り付けられた背面リングギア23についての当該可動体162(第2付属体160)に対する回転を不能にするための一対のボールプランジャ165とが設けられている。また付属可動体162は、付属体本体161に対する軸方向への移動を通じて背面リングギア23をリングシャフト本体21に組み付ける際に、同リングシャフト本体21を含めて構成されるアッセンブリに対して干渉しないように構成されている。
各ボールプランジャ165は、背面リングギア23の歯の間に配置されるボール165A(支持体)と、同ボール165Aを背面リングギア23の歯に対して同ギア23の中心に向けて押し付けるばね165B(押付体)とにより構成されている。また、ボール165Aが背面リングギア23のピッチ円上またはピッチ円付近において対応する歯面と接触するように、付属可動体162に対する当該ボールプランジャ165の取り付け位置が設定されている。また、背面リングギア23を介して実質的に対向する態様で付属可動体162に設けられている。これにより、ギア配置部163に背面リングギア23が配置されたときには、各ボールプランジャ165のボール165Aがそれぞれ対応する歯の間に配置されて、ピッチ円上またはピッチ円付近にて歯面に接触した状態で背面リングギア23に押し付けられるため、付属可動体162に対する回転が不能とされた状態で背面リングギア23がギア配置部163に保持されるようになる。
当該組立治具100においては、治具本体110の第1リングギア用ボールプランジャ117と第2付属体160の第2リングギア用ボールプランジャ165との関係が次のように設定されている。すなわち、治具本体110に第2付属体160が取り付けられた状態において、対応する第1リングギア用ボールプランジャ117と第2リングギア用ボールプランジャ165との相対的な回転位相が実質的に一致するように構成されている。換言すると、リングシャフト本体21がサンシャフト本体31への組み付けを通じて治具本体110に保持された状態、且つ同リングシャフト本体21に前面リングギア22が組み付けられた状態(具体的には、上記第13アッセンブリ9Cが治具本体110により保持された状態)、且つ背面リングギア23を保持した第2付属体160が装着部140に取り付けられた状態において、前面リングギア22と背面リングギア23との相対的な回転位相が実質的に一致するように第1リングギア用ボールプランジャ117と第2リングギア用ボールプランジャ165との相対的な回転位相が設定されている。なお、第2リングギア用ボールプランジャ165は、第2円環歯車の回転を規制する第2規制部を具体化したもののうちの一つに相当する。
<支持治具の構造>
図47を参照して、支持治具200の構造について説明する。
・図47(A)は、支持治具200の平面構造を示す。
・図47(B)は、同(A)のDK−DK線に沿う支持治具200の断面構造を示す。
支持治具200は、当該治具200に対する姿勢の変化を規制した状態で第14アッセンブリ9Dを保持するための治具本体210と、同アッセンブリ9Dの各プラネタリシャフト本体41をサンシャフト本体31及びリングシャフト本体21の少なくとも一方に対して直立させた状態に保持するための複数の治具支柱220とを備えて構成されている。各治具支柱220は、第14アッセンブリ9Dの軸方向下方から各プラネタリシャフト4の間にそれぞれ挿入可能、且つ同挿入にともない、サンシャフト本体31に対して傾斜しているプラネタリシャフト本体41をサンシャフト本体31及びリングシャフト本体21の少なくとも一方に対して直立させることのできる要素として構成されている。
<回転直線運動変換機構の製造方法>
図48〜図69を参照して、回転直線運動変換機構1の製造方法について説明する。なお、以下では前記第1実施形態の工程A〜工程Iに準じた工程が行われた後の各工程について説明する。
[工程XA(図48)]組立治具100の第1可動部120を待避位置に設定するとともに、第2可動部130を待避位置に設定する。また、装着部140に第1付属体150または第2付属体160が取り付けられていない状態にする。
[工程XB(図49)]サンシャフト本体31を組立治具100の挿入孔113に挿入する。このとき、サンシャフト本体31は、本体先端部31Dが組立治具100の底壁に突き当たるまで挿入される。また、各第1サンギア用ボールプランジャ116のボール116Aがそれぞれ対応する前面サンギア32の歯の間に配置される。これにより、各ボール116Aが対応する歯面のそれぞれに点接触した状態、且つばね116Bを通じてサンシャフト本体31に押し付けられた状態が確保されるようになる。
[工程XC(図50)]前面リングギア22を組立治具100の第1可動部120に取り付ける。これにより、第1可動部120を待避位置から組付位置に移動させたときに、前面リングギア22の歯の間に各第1リングギア用ボールプランジャ117のボール117Aが配置された状態が確保されるようになる。
[工程XD(図14)]前記第1実施形態の工程Kに準じた作業を行う。すなわち、第1組付状態でのサンシャフト本体31と各プラネタリシャフト本体41との組み合わせにより構成される第1アッセンブリ91を組み立てるための準備として、各プラネタリシャフト本体41をそれぞれねじ治具7に取り付けることにより、全てのプラネタリシャフト本体41についてねじ治具7に対する回転位相を同一の回転位相に設定する。
[工程XE(図51)]前記第1実施形態の工程Lに準じた作業を通じて第1アッセンブリ91を組み立てる。具体的には、前記第1実施形態の工程L1〜工程L5(図18〜図21)に準じた工程である以下の工程XE1〜工程XE5を通じて第1アッセンブリ91の組み立てを行う。なお、以下の各工程は1つのプラネタリシャフト本体41についての組み付け手順を示している。また、本工程XEは、太陽軸集合体組立工程を具体化したもののうちの一つに相当する。また、第1アッセンブリ91は、太陽軸集合体を具体化したもののうちの一つに相当する。
[工程XE1(図52)]ねじ治具7を分割することにより、プラネタリシャフト本体41をねじ治具7から取り外す。このとき、プラネタリシャフト本体41は自身の中心線がサンシャフト本体31の中心線に対して平行となる状態にある。
[工程XE2(図53)]太陽標識30の回転位相に基づいて、プラネタリシャフト本体41を基準位置VRに配置する。すなわち、自身の周方向正規位置XRの第2基準点PBと第1基準点PAとより得られる基準線VLと自身の中心線とが交差する位置(基準位置VR)にプラネタリシャフト本体41を移動する。このとき、サンシャフト本体31(太陽標識30)の回転位相との関係を保持した状態でプラネタリシャフト本体41の移動を行う。また、基準位置VRとして、プラネタリシャフト本体41を中心線に沿って平行移動させたときに前面側先端部41Tを組立治具100の突当部114の治具端面114Fに突き当てることのできる位置を選択する。なお、基準位置VR、周方向正規位置XR、第1基準点PA、第2基準点PB及び基準線VLについての詳細は、前記第1実施形態に示される内容に準じたものとなっている。
[工程XE3(図53)]太陽標識30の回転位相に基づいて、遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定する。具体的には、遊星軸基準位相BPと遊星軸正規位相XPとの差を太陽標識30の回転位相と遊星軸基準位相BPとの比較に基づいて把握した後、この相対的な回転位相の差がなくなるようにプラネタリシャフト本体41を回転させることにより、遊星軸相対位相MPを遊星軸正規位相XPに設定する。なお、遊星軸相対位相MP、遊星軸正規位相XP及び遊星軸基準位相BPについての詳細は、前記第1実施形態に示される内容に準じたものとなっている。
[工程XE4(図54)]プラネタリシャフト本体41を中心線に沿って平行移動させて前面側先端部41Tを治具端面114Fに突き当てることにより、軸方向相対位置MSを軸方向正規位置XSに設定する。なお、軸方向相対位置MS及び軸方向正規位置XSについての詳細は、前記第1実施形態に示される内容に準じたものとなっている。
[工程XE5(図55)]プラネタリシャフト本体41の中心線とサンシャフト本体31の中心線とが平行となる状態において、プラネタリシャフト本体41を平行移動させてサンシャフト本体31に突き当てることにより、径方向相対位置MLを径方向正規位置XLに設定する。具体的には、基準平面VP上におけるプラネタリシャフト本体41の中心線(第2基準点PB)の軌跡が基準線VLと整合するようにプラネタリシャフト本体41を基準位置VRから径方向正規位置XLに平行移動させる。このとき、プラネタリシャフト本体41が周方向正規位置XR、軸方向正規位置XS及び遊星軸正規位相XPに設定された状態で径方向正規位置XLに配置されるため、前面プラネタリギア42と前面サンギア32との噛み合わせ及び遊星ねじ44と太陽ねじ34との噛み合わせが同時に得られるようになる。なお、径方向相対位置ML、径方向正規位置XL及び基準平面VPについての詳細は、前記第1実施形態に示される内容に準じたものとなっている。また、上記各工程を通じて組立治具100上にて組み立てられた第1アッセンブリ91について、サンシャフト本体31に対する各プラネタリシャフト本体41の姿勢の変化(特に径方向についての姿勢の変化)が問題となるときには、適宜の保持体(例えば前記第1実施形態のリテーナ65)を通じてそうした姿勢の変化を規制することができる。
[工程XF(図56)]第1付属体150の付属可動体152に背面サンギア33を取り付ける。このとき、各第2サンギア用ボールプランジャ155のボール155Aがそれぞれ対応する背面サンギア33の歯の間に配置される。これにより、各ボール155Aが対応する歯面のそれぞれに点接触した状態、且つばね155Bを通じて背面サンギア33に押し付けられた状態が確保されるようになる。その後、上記第1付属体150を治具本体110の装着部140に取り付ける。これにより、治具本体110に保持された前面サンギア32と第1付属体150に保持された背面サンギア33との相対的な回転位相が実質的に一致した状態が確保される。なお、本工程XFは、保持工程を具体化したもののうちの一つに相当する。
[工程XG(図57)]第1アッセンブリ91と背面サンギア33との組み合わせにより構成される第11アッセンブリ9Aを組み立てる。具体的には、付属可動体152を付属体本体151に対して軸方向下方へ移動させて、背面サンギア33をサンシャフト本体31に圧入する。これにより、前面サンギア32と背面サンギア33との相対的な回転位相が実質的に一致した状態のサンシャフト3が組み立てられる。なお、本工程XGは、第2太陽歯車組付工程を具体化したもののうちの一つに相当する。
[工程XH(図58)]第1付属体150を装着部140から取り外すとともに、次の態様をもって前面リングギア22の回転位相を調整する。
ここで、第11アッセンブリ9Aにおいては、各前面プラネタリギア42に対して前面リングギア22を噛み合わせることが可能となっているため、前記第1実施形態の第1アッセンブリ91と同様に、不連続な形状を有する1つの歯車(対リングギア45)が各前面プラネタリギア42により形成されていると見立てることができる。そこで前記第1実施形態に準じて、対リングギア45と前面リングギア22との相対的な回転位相の差を円環歯車回転位相差とし、円環歯車回転位相差がない状態における対リングギア45の回転位相に対する前面リングギア22の回転位相を円環歯車基準位相RAとして、当該工程XHにおいて前面リングギア22の回転位相を円環歯車基準位相RAに設定するようにしている。具体的には、太陽標識30の回転位相と前面リングギア22の回転位相との関係に基づいて、前面リングギア22の回転位相を円環歯車基準位相RAに設定する。こうした回転位相の設定態様としては、例えば前面リングギア22のみを治具本体110に対して回転させる、あるいは第1可動部120とともに前面リングギア22を治具本体110に対して回転させるといった態様を採用することができる。また、設定後の前面リングギア22の回転位相は、治具本体110に対する同リングギア22の回転を不能とすることにより、対リングギア45に組み付けられるまで保持することができる。そして、こうした回転位相の設定によれば、前面リングギア22の中心線を第11アッセンブリ9Aのサンシャフト本体31の中心線と整合させた状態において、中心線に沿って前面リングギア22を平行移動させることにより対リングギア45と前面リングギア22とを噛み合わせることが可能となるため、第12アッセンブリ9Bの組み立てにかかる作業効率の向上が図られるようになる。
ちなみに、本実施形態の製造方法においては、サンシャフト本体31の太陽標識30を基準としたサンシャフト本体31と各プラネタリシャフト本体41との組み合わせを通じて第1アッセンブリ91が組み立てられるため、太陽標識30の回転位相と対リングギア45の回転位相との関係が常に一定の関係に維持される。従って、第1アッセンブリ91における太陽標識30の回転位相と対リングギア45の回転位相との関係を予め把握しておくことにより、太陽標識30の回転位相を対リングギア45の回転位相と見立てて、前面リングギア22の回転位相の設定を行うことが可能となる。すなわち、太陽標識30の回転位相と前面リングギア22の回転位相との関係に基づいて、前面リングギア22の回転位相を円環歯車基準位相RAに設定することが可能となる。
[工程XI(図59及び図60)]第11アッセンブリ9Aと前面リングギア22との組み合わせにより構成される第12アッセンブリ9Bを組み立てる。具体的には、組立治具100の第1可動部120を待避位置(図58)から組付位置(図59)に向けて移動させることにより、第11アッセンブリ9Aの各前面プラネタリギア42(対リングギア45)と前面リングギア22とを噛み合わせる。このとき、各第1リングギア用ボールプランジャ117のボール117Aがそれぞれ対応する前面リングギア22の歯の間に配置される。これにより、各ボール117Aが対応する歯面のそれぞれに点接触した状態、且つばね117Bを通じて前面リングギア22に押し付けられた状態が確保されるようになる。その後、第1可動部120が組付位置に設定された状態において、第2可動部130を待避位置(図59)から支持位置(図60)に移動させて、第2可動部130により第1可動部120を支持する。なお、先の工程XEを通じて、サンシャフト本体31に対する各プラネタリシャフト本体41の姿勢の変化を規制するための保持体(例えば前記第1実施形態のリテーナ65)が第1アッセンブリ91に取り付けられている場合には、本工程XIを通じて第12アッセンブリ9Bが組み立てられた後に同保持体による規制を解除することが許容される。
[工程XJ(図61)]第12アッセンブリ9Bとリングシャフト本体21との組み合わせにより構成される第13アッセンブリ9Cを組み立てる。
ここで、第12アッセンブリ9Bにおいては、各遊星ねじ44に対して円環ねじ24を噛み合わせることが可能となっているため、前記第1実施形態の第2アッセンブリ92と同様に、不連続なねじ山を有する1つの雄ねじ(対円環ねじ46)が各遊星ねじ44により形成されていると見立てることができる。そこで前記第1実施形態に準じて、対円環ねじ46と円環ねじ24との相対的な回転位相の差を円環ねじ回転位相差とし、円環ねじ回転位相差がない状態における対円環ねじ46の回転位相に対する円環ねじ24の回転位相を円環ねじ基準位相RBとして、当該工程XJにおいて円環ねじ24(リングシャフト本体21)の回転位相を円環ねじ基準位相RBに設定するようにしている。これにより、リングシャフト本体21の中心線を第12アッセンブリ9Bのサンシャフト本体31の中心線と整合させた状態において、中心線に沿ってリングシャフト本体21を平行移動させることにより対円環ねじ46と円環ねじ24とを噛み合わせることが可能となるため、第13アッセンブリ9Cの組み立てにかかる作業効率の向上が図られるようになる。
当該工程XJにおいては、具体的には次の各作業を通じて第13アッセンブリ9Cの組み立てを行うようにしている。すなわち、第12アッセンブリ9Bの背面側においてサンシャフト本体31の中心線と自身の中心線とが整合する位置にリングシャフト本体21を配置した後、太陽標識30の回転位相と円環標識20の回転位相との関係に基づいて、円環ねじ24の回転位相を円環ねじ基準位相RBに設定する。その後、リングシャフト本体21の姿勢を保持しつつ同リングシャフト本体21を中心線に沿って平行移動させることにより、第2アッセンブリ92の各遊星ねじ44(対円環ねじ46)と円環ねじ24とを噛み合わせる。そして、リングシャフト本体21の端面が組立治具100の第1可動部120に突き当たるまで、リングシャフト本体21をねじ込みつつ前面リングギア22を同本体21に圧入する。このとき、ねじの噛み合わせにともない各プラネタリシャフト本体41にトルクが加えられるものの、同本体41が組立治具100の支持部115により支持されているため、径方向への姿勢の変化が規制されるようになる。また、リングシャフト本体21への圧入にともない前面リングギア22にトルクが加えられるものの、同リングギア22が組立治具100の各第1リングギア用ボールプランジャ117を通じて治具本体110に対する回転が不能とされているため、治具本体110ひいてはサンシャフト本体31に対する前面リングギア22の回転位相はリングシャフト本体21を組み付ける前と実質的に同一のものに維持される。なお、先の工程XEを通じて、サンシャフト本体31に対する各プラネタリシャフト本体41の姿勢の変化を規制するための保持体(例えば前記第1実施形態のリテーナ65)が第1アッセンブリ91に取り付けられている場合には、本工程XJを通じて第13アッセンブリ9Cが組み立てられた後に同保持体による規制を解除することもできる。また、本工程XJは、第1円環歯車組付工程または円環軸集合体組立工程を具体化したもののうちの一つに相当する。また、第13アッセンブリ9Cは、円環軸集合体を具体化したもののうちの一つに相当する。
ちなみに、本実施形態の製造方法においては、サンシャフト本体31の太陽標識30を基準としたサンシャフト本体31と各プラネタリシャフト本体41との組み合わせを通じて第1アッセンブリ91が組み立てられるため、太陽標識30の回転位相と対円環ねじ46の回転位相との関係が常に一定の関係に維持される。また、リングシャフト本体21の円環標識20を基準として円環ねじ24が形成されるため、円環標識20の回転位相と円環ねじ24の回転位相との関係が常に一定の関係に維持される。従って、第12アッセンブリ9Bにおける太陽標識30の回転位相と対円環ねじ46の回転位相との関係、及びリングシャフト本体21における円環標識20の回転位相と円環ねじ24の回転位相との関係を予め把握しておくことにより、太陽標識30の回転位相を対円環ねじ46の回転位相と見立てるとともに円環標識20の回転位相を円環ねじ24の回転位相と見立てて、円環ねじ24の回転位相の設定を行うことが可能となる。すなわち、太陽標識30の回転位相と円環標識20の回転位相との関係に基づいて、円環ねじ24の回転位相を円環ねじ基準位相RBに設定することが可能となる。
[工程XK(図62)]第2付属体160の付属可動体162に背面リングギア23を取り付ける。このとき、各第2リングギア用ボールプランジャ165のボール165Aがそれぞれ対応する背面リングギア23の歯の間に配置される。これにより、各ボール165Aが対応する歯面のそれぞれに点接触した状態、且つばね165Bを通じて背面リングギア23に押し付けられた状態が確保されるようになる。その後、上記第2付属体160を治具本体110の装着部140に取り付ける。これにより、治具本体110に保持された第13アッセンブリ9Cの前面サンギア32と第2付属体160に保持された背面リングギア23との相対的な回転位相が実質的に一致した状態が確保される。
[工程XL(図63)]第13アッセンブリ9Cと背面リングギア23との組み合わせにより構成される第14アッセンブリ9Dを組み立てる。具体的には、付属可動体162を付属体本体161に対して軸方向下方へ移動させて、背面リングギア23をリングシャフト本体21に圧入する。これにより、前面リングギア22と背面リングギア23との相対的な回転位相が実質的に一致した状態のリングシャフト2が組み立てられる。なお、本工程XLは、第2円環歯車組付工程を具体化したもののうちの一つに相当する。
[工程XM(図64)]第2付属体160を装着部140から取り外す。
[工程XN(図65)]第14アッセンブリ9Dを組立治具100から取り外す。
[工程XO(図66)]第14アッセンブリ9Dを支持治具200に取り付ける。このとき、組立治具100からの第14アッセンブリ9Dの取り外しにともない、プラネタリシャフト本体41がサンシャフト本体31及びリングシャフト本体21の少なくとも一方に対して傾いた姿勢にあったとしても、各プラネタリシャフト本体41の間への治具支柱220の挿入を通じて、各プラネタリシャフト本体41の姿勢がサンシャフト本体31及びリングシャフト本体21の少なくとも一方に対して直立した姿勢に矯正されるとともに、その状態が保持されるようになる。
[工程XP(図67)]第14アッセンブリ9Dと各背面プラネタリギア43との組み合わせにより構成される第4アッセンブリ94を組み立てる。具体的には、各背面プラネタリギア43を各別にまたは一括して対応する第4アッセンブリ94のプラネタリシャフト本体41に組み付ける。なお、第14アッセンブリ9Dは、遊星付き集合体を具体化したもののうちの一つに相当する。また、本工程XPは、集合体組立工程または遊星歯車組付工程を具体化したもののうちの一つに相当する。
[工程XQ(図68)]第4アッセンブリ94を支持治具200から取り外す。
[工程XR(図69)]前記第1実施形態の工程Tに準じた作業を行う。すなわち、第4アッセンブリ94に前面カラー51及び背面カラー52を組み付けて回転直線運動変換機構1を組み立てる。具体的には、前面カラー51及び背面カラー52のそれぞれにOリング53を装着した後、リングシャフト本体21に前面カラー51及び背面カラー52を組み付ける。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この実施形態にかかる回転直線運動変換機構の製造方法によれば、以下に示すような効果が得られるようになる。
(21)本実施形態の製造方法によれば、前面サンギア32と背面サンギア33との相対的な回転位相が実質的に一致する状態でサンシャフト本体31と背面サンギア33とが組み合わされるため、サンシャフト3において前面サンギア32と背面サンギア33との相対的な回転位相が実質的に一致するようになる。これにより、対応するサンギアとプラネタリギアとが設計時の噛み合い状態から大きく乖離した状態で噛み合わされることが的確に抑制されるため、回転運動から直線運動への仕事の変換効率の向上を図ることができるようになる。換言すると、前面サンギア32及び背面サンギア33の回転位相の管理を通じて、プラネタリシャフト本体41の倒れ角度TAが基準倒れ角度TAXよりも小さい状態で回転直線運動変換機構1が組み立てられるようにしているため、同変換機構1の仕事変換効率Hとして要求変換効率HXを的確に確保することができるようになる。
(22)本実施形態の製造方法によれば、前面リングギア22と背面リングギア23との相対的な回転位相が実質的に一致する状態でリングシャフト本体21と背面リングギア23とが組み合わされるため、リングシャフト2において前面リングギア22と背面リングギア23との相対的な回転位相が実質的に一致するようになる。これにより、対応するリングギアとプラネタリギアとが設計時の噛み合い状態から大きく乖離した状態で噛み合わされることが的確に抑制されるため、回転運動から直線運動への仕事の変換効率の向上を図ることができるようになる。換言すると、前面リングギア22及び背面リングギア23の回転位相の管理を通じて、プラネタリシャフト本体41の倒れ角度TAが基準倒れ角度TAXよりも小さい状態で回転直線運動変換機構1が組み立てられるようにしているため、同変換機構1の仕事変換効率Hとして要求変換効率HXを的確に確保することができるようになる。
(23)本実施形態の製造方法によれば、サンシャフト本体31と背面サンギア33とをそれぞれ組立治具100に取り付けることにより、サンシャフト3において前面サンギア32と背面サンギア33との相対的な回転位相が実質的に一致する状態を得るための準備が整えられるため、すなわち各サンギアの相対的な回転位相を厳密に管理しなくとも同準備が整えられるため、回転直線運動変換機構1の製造にかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
(24)本実施形態の製造方法によれば、リングシャフト本体21と背面リングギア23とをそれぞれ組立治具100に取り付けることにより、リングシャフト2において前面リングギア22と背面リングギア23との相対的な回転位相が実質的に一致する状態を得るための準備が整えられるため、すなわち各リングギアの相対的な回転位相を厳密に管理しなくとも同準備が整えられるため、回転直線運動変換機構1の製造にかかる作業効率の向上を図ることができるようになる。
(25)本実施形態の製造方法によれば、各第1サンギア用ボールプランジャ116のボール116Aが前面サンギア32の歯の間に配置されて隣り合う歯面のそれぞれに接触するため、治具本体110に対する前面サンギア32の回転を的確に規制することができるようになる。ここで、治具本体110に対する前面サンギア32の回転を不能とする構成としては、例えば前面サンギア32に対応する形状のギアを治具本体110に設けるとともに、これを同サンギア32に噛み合わせる構成も考えられるが、この場合には各ギアのバックラッシにより前面サンギア32の回転が十分に規制されない状態をまねきかねない。この点、本実施形態の上記構成によれば、前面サンギア32のバックラッシによる治具本体110に対する回転についても確実に規制されるため、前面サンギア32と背面サンギア33との相対的な回転位相をより的確に一致させることができるようになる。
(26)本実施形態の製造方法によれば、各第2サンギア用ボールプランジャ155のボール155Aが背面サンギア33の歯の間に配置されて隣り合う歯面のそれぞれに接触するため、第1付属体150に対する背面サンギア33の回転を的確に規制することができるようになる。ここで、第1付属体150に対する背面サンギア33の回転を不能とする構成としては、例えば背面サンギア33に対応する形状のギアを第1付属体150に設けるとともに、これを同サンギア33に噛み合わせる構成も考えられるが、この場合には各ギアのバックラッシにより背面サンギア33の回転が十分に規制されない状態をまねきかねない。この点、本実施形態の上記構成によれば、背面サンギア33のバックラッシによる第1付属体150に対する回転についても確実に規制されるため、前面サンギア32と背面サンギア33との相対的な回転位相をより的確に一致させることができるようになる。
(27)前面サンギア32または背面サンギア33においては、ギア毎に歯の形状にばらつきが生じること、すなわちギア毎に歯元や歯先の位置が異なることもあるため、歯元や歯先に組立治具100の一部を接触させることを通じて前面サンギア32または背面サンギア33の回転を規制するようにした場合には、組立治具100に対する回転が不能とされた状態の前面サンギア32または背面サンギア33について、組立治具100に対する同ギアの回転位相にばらつきが生じるようになる。この点、本実施形態の製造方法ではボールプランジャ116,155のボール116A,155Aをピッチ円上またはピッチ円付近にて歯面と接触させるようにしているため、歯の形状にばらつきに起因して組立治具100に対する前面サンギア32または背面サンギア33の回転位相にばらつきが生じることを的確に抑制することができるようになる。また、上述した歯の形状のばらつきは、転造加工等の塑性加工を通じて前面サンギア32または背面サンギア33が成される場合に生じるため、この場合には上記効果がより顕著に奏せられるようになる。一方で、切削加工等のその他の機械加工を通じて前面サンギア32または背面サンギア33が形成される場合には、上述した歯の形状のばらつきの度合いが比較的小さなものとなるため、組立治具100の一部を歯元や歯先に接触させて同治具100に対する前面サンギア32または背面サンギア33の回転を不能とする構成を採用しても、組立治具100に対する同ギアの回転位相のばらつきが抑制されるようになる。なお、同構成としては例えば、図70(A)に示される上記実施形態のボール116A,155Aに代えて、図70(B)に示す形状のシリンダ116C,155Cをばね116B,155Bの先端に設ける構成が挙げられる。この構成では、シリンダ116Cを隣り合う歯の歯先にそれぞれ接触させることを通じて、前面サンギア32または背面サンギア33の回転を規制することができる。またその他の構成として、同じく上記実施形態のボール116A,155Aに代えて、図70(C)に示す形状のシリンダ116D,155Dをばね116B,155Bの先端に設ける構成が挙げられる。この構成では、シリンダ116Dを隣り合う歯のそれぞれ及びその歯元に接触させることを通じて、前面サンギア32または背面サンギア33の回転を規制することができる。
(28)本実施形態の製造方法によれば、各第1リングギア用ボールプランジャ117のボール117Aが前面リングギア22の歯の間に配置されて隣り合う歯面のそれぞれに接触するため、治具本体110に対する前面リングギア22の回転を的確に規制することができるようになる。ここで、治具本体110に対する前面リングギア22の回転を不能とする構成としては、例えば前面リングギア22に対応する形状のギアを治具本体110に設けるとともに、これを同リングギア22に噛み合わせる構成も考えられるが、この場合には各ギアのバックラッシにより前面リングギア22の回転が十分に規制されない状態をまねきかねない。この点、上記本実施形態の構成によれば、前面リングギア22のバックラッシによる治具本体110に対する回転についても確実に規制されるため、前面リングギア22と背面リングギア23との相対的な回転位相をより的確に一致させることができるようになる。
(29)本実施形態の製造方法によれば、各第2リングギア用ボールプランジャ165のボール165Aが背面リングギア23の歯の間に配置されて隣り合う歯面のそれぞれに接触するため、第2付属体160に対する背面リングギア23の回転を的確に規制することができるようになる。ここで、第2付属体160に対する背面リングギア23の回転を不能とする構成としては、例えば背面リングギア23に対応する形状のギアを第2付属体160に設けるとともに、これを同リングギア23に噛み合わせる構成も考えられるが、この場合には各ギアのバックラッシにより背面リングギア23の回転が十分に規制されない状態をまねきかねない。この点、本実施形態の上記構成によれば、背面リングギア23のバックラッシによる第2付属体160に対する回転についても確実に規制されるため、前面リングギア22と背面リングギア23との相対的な回転位相をより的確に一致させることができるようになる。
(30)前面リングギア22または背面リングギア23においては、ギア毎に歯の形状にばらつきが生じること、すなわちギア毎に歯元や歯先の位置が異なることもあるため、歯元や歯先に組立治具100の一部を接触させることを通じて前面リングギア22または背面リングギア23の回転を規制するようにした場合には、組立治具100に対する回転が不能とされた状態の前面リングギア22または背面リングギア23について、組立治具100に対する同ギアの回転位相にばらつきが生じるようになる。この点、本実施形態の製造方法ではボールプランジャ117,165のボール117A,165Aをピッチ円上またはピッチ円付近にて歯面と接触させるようにしているため、歯の形状にばらつきに起因して組立治具100に対する前面リングギア22または背面リングギア23の回転位相にばらつきが生じることを的確に抑制することができるようになる。また、上述した歯の形状のばらつきは、転造加工等の塑性加工を通じて前面リングギア22または背面リングギア23が形成される場合に生じるため、この場合には上記効果がより顕著に奏せられるようになる。一方で、切削加工等のその他の機械加工を通じて前面リングギア22または背面リングギア23が形成される場合には、上述した歯の形状のばらつきの度合いが比較的小さなものとなるため、組立治具100の一部を歯元や歯先に接触させて同治具100に対する前面リングギア22または背面リングギア23の回転を不能とする構成を採用しても、組立治具100に対する同ギアの回転位相のばらつきが抑制されるようになる。なお、同構成としては例えば、図71(A)に示される上記実施形態のボール117A,165Aに代えて、図71(B)に示す形状のシリンダ117C,165Cをばね117B,165Bの先端に設ける構成が挙げられる。この構成では、シリンダ117Cを隣り合う歯の歯先にそれぞれ接触させることを通じて、前面リングギア22または背面リングギア23の回転を規制することができる。またその他の構成として、同じく上記実施形態のボール117A,165Aに代えて、図71(C)に示す形状のシリンダ117D,165Dをばね117B,165Bの先端に設ける構成が挙げられる。この構成では、シリンダ117Dを隣り合う歯のそれぞれ及びその歯元に接触させることを通じて、前面リングギア22または背面リングギア23の回転を規制することができる。
(31)本実施形態の製造方法では、前面サンギア32と背面サンギア33との相対的な回転位相が実質的に一致する状態のサンシャフト3について、同サンシャフト3の背面サンギア33に背面プラネタリギア43を噛み合わせるようにしている。これにより、前面プラネタリギア42と背面プラネタリギア43との相対的な回転位相を厳密に管理しなくとも、同相対的な回転位相が実質的に一致する状態で第4アッセンブリ94を組み立てることができるようになる。またこれに併せて、第4アッセンブリ94において、設計時に想定された背面サンギア33と背面プラネタリギア43との噛み合い状態を的確に得ることができるようになる。
(32)本実施形態の製造方法では、前面リングギア22と背面リングギア23との相対的な回転位相が実質的に一致する状態のリングシャフト2について、同リングシャフト2の背面リングギア23に背面プラネタリギア43を噛み合わせるようにしている。これにより、前面プラネタリギア42と背面プラネタリギア43との相対的な回転位相を厳密に管理しなくとも、同相対的な回転位相が実質的に一致する状態で第4アッセンブリ94を組み立てることができるようになる。またこれに併せて、第4アッセンブリ94において、設計時に想定された背面リングギア23と背面プラネタリギア43との噛み合い状態を的確に得ることができるようになる。
(33)第14アッセンブリ9Dの各プラネタリシャフト本体41に背面プラネタリギア43を組み付ける際、プラネタリシャフト本体41がサンシャフト本体31及びリングシャフト本体21の少なくとも一方に対して傾いている場合には、背面プラネタリギア43がこれにならってサンシャフト本体31及びリングシャフト本体21の少なくとも一方に対して傾いた状態でプラネタリシャフト本体41に組み付けられるため、背面サンギア33及び背面リングギア23の少なくとも一方と背面プラネタリギア43との噛み合い状態が設計時の噛み合い状態から大きく乖離するようになる。この点、本実施形態の製造方法では、支持治具200を通じて各プラネタリシャフト本体41がサンシャフト本体31及びリングシャフト本体21の少なくとも一方に対して直立させられた状態で各背面プラネタリギア43が組み付けられるため、第4アッセンブリ94において背面サンギア33及び背面リングギア23の少なくとも一方と各背面プラネタリギア43との噛み合い状態が設計時の噛み合い状態から大きく乖離することを的確に抑制することができるようになる。換言すると、プラネタリシャフト本体41とは各別に形成された背面プラネタリギア43を組み付ける際のプラネタリシャフト本体41の姿勢の管理を通じて、プラネタリシャフト本体41の倒れ角度TAが基準倒れ角度TAXよりも小さい状態で回転直線運動変換機構1が組み立てられるようにしているため、同変換機構1の仕事変換効率Hとして要求変換効率HXを的確に確保することができるようになる。
(34)本実施形態の製造方法によれば、さらに、前記第1実施形態による前記(1)〜(6)及び(10)〜(14)及び(16)及び(17)及び(19)に準じた効果を奏することができるようになる。
<実施形態の変形例>
なお、上記第4実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、第13アッセンブリ9Cの組み立てに際して、リングシャフト本体21の端面を第1可動部120に突き当てることにより、各プラネタリシャフト本体41に対するリングシャフト本体21の軸方向についての位置決めがなされる構成を組立治具100に採用したが、同様の機能を得るための構成は上記実施形態にて例示したものに限られず適宜変更することができる。その他の構成としては例えば、図72に示すように第1可動部120及び第2可動部130の構造を変更し、第13アッセンブリ9Cの組み立てに際して、リングシャフト本体21の端面を第2可動部130に突き当てることにより、各プラネタリシャフト本体41に対するリングシャフト本体21の軸方向についての位置決めがなされるものが挙げられる。なお、図72(A)は第1可動部120及び第2可動部130がそれぞれ待避位置に設定された状態を、また図72(B)は第1可動部120が組付位置に設定された状態、且つ第2可動部130が支持位置に設定された状態を示す。
・上記実施形態では、第1サンギア用ボールプランジャ116を通じて治具本体110に対する前面サンギア32の回転を不能とする構成を組立治具100に採用したが、同様の機能を得るための構成は上記実施形態にて例示したものに限られず適宜変更することができる。その他の構成としては例えば、治具本体110に形成した凸部と前面サンギア32に形成した凹部とのはめ合わせを通じて、治具本体110に対する前面サンギア32の回転を不能とするものが挙げられる。
・上記実施形態では、第2サンギア用ボールプランジャ155を通じて第1付属体150に対する背面サンギア33の回転を不能とする構成を組立治具100に採用したが、同様の機能を得るための構成は上記実施形態にて例示したものに限られず適宜変更することができる。その他の構成としては例えば、第1付属体150に形成した凸部と背面サンギア33に形成した凹部とのはめ合わせを通じて、第1付属体150に対する背面サンギア33の回転を不能とするものが挙げられる。
・上記実施形態では、第1リングギア用ボールプランジャ117を通じて治具本体110に対する前面リングギア22の回転を不能とする構成を組立治具100に採用したが、同様の機能を得るための構成は上記実施形態にて例示したものに限られず適宜変更することができる。その他の構成としては例えば、治具本体110に形成した凸部と前面リングギア22に形成した凹部とのはめ合わせを通じて、治具本体110に対する前面リングギア22の回転を不能とするものが挙げられる。
・上記実施形態では、第2リングギア用ボールプランジャ165を通じて第2付属体160に対する背面リングギア23の回転を不能とする構成を組立治具100に採用したが、同様の機能を得るための構成は上記実施形態にて例示したものに限られず適宜変更することができる。その他の構成としては例えば、第2付属体160に形成した凸部と背面リングギア23に形成した凹部とのはめ合わせを通じて、第2付属体160に対する背面リングギア23の回転を不能とするものが挙げられる。
・上記実施形態において、組立治具100の治具本体110を支持治具200として採用することもできる。すなわち、第4アッセンブリ94を組み立てる前に治具本体110の第1本体111と第2本体112とを分割し、支持治具200に第14アッセンブリ9Dを取り付ける場合に準じた態様をもって第1本体111に第14アッセンブリ9Dを取り付けることもできる。この場合、第1本体111に第14アッセンブリ9Dを取り付ける前に、支持部115を各ボールプランジャが設けられていない構造のものに取り替えることによって、第1本体111の構成をより支持治具200の構成に近づけることが可能となる。
・上記実施形態では、前面サンギア32がサンシャフト本体31と一体に形成される構造の回転直線運動変換機構1を想定したが、背面サンギア33とともに前面サンギア32をサンシャフト本体31とは各別に形成することもできる。この場合、前面サンギア32をサンシャフト本体31に組み付ける工程を経た後、同サンシャフト本体31に対して上記工程XG(図57)に準じた態様をもって背面サンギア33を組み付けることにより、前面サンギア32と背面サンギア33との相対的な回転位相が実質的に一致した状態のサンシャフト3を組み立てることが可能となる。なお、上記前面サンギア32の組み付け工程は、第1太陽歯車組付工程を具体化したもののうちの一つに相当する。
・上記実施形態では、前面リングギア22がリングシャフト本体21とは各別に形成される構造の回転直線運動変換機構1を想定したが、前面リングギア22をリングシャフト本体21と一体に形成することもできる。この場合、第13アッセンブリ9Cを組み立てる工程を経た後、同アッセンブリ9Cに対して上記工程XL(図63)に準じた態様をもって背面リングギア23を組み付けることにより、前面リングギア22と背面リングギア23との相対的な回転位相が実質的に一致した状態のリングシャフト2を組み立てることが可能となる。
・上記実施形態では、背面プラネタリギア43がプラネタリシャフト本体41とは各別に形成される構造の回転直線運動変換機構1を想定したが、前面プラネタリギア42をプラネタリシャフト本体41とは各別に形成することもできる。この場合、組立治具100上においてサンシャフト3及びリングシャフト2及び各プラネタリシャフト本体41を含むアッセンブリが組み立てられた後に、各背面プラネタリギア43及び各前面プラネタリギア42をそれぞれプラネタリシャフト本体41に組み付けることもできる。
・上記実施形態では、前面サンギア32がサンシャフト本体31と一体に形成され、且つ背面サンギア33がサンシャフト本体31とは各別に形成される構造の回転直線運動変換機構1を想定したが、サンシャフト3の構造は次のように変更することもできる。すなわち、前面サンギア32をサンシャフト本体31とは各別に形成し、且つ背面サンギア33をサンシャフト本体31と一体に形成することもできる。また、前面サンギア32及び背面サンギア33をサンシャフト本体31と一体に形成することもできる。
・上記実施形態では、前面リングギア22及び背面リングギア23がリングシャフト本体21と一体に形成される構造の回転直線運動変換機構1を想定したが、リングシャフト2の構造は次のように変更することもできる。すなわち、前面リングギア22をリングシャフト本体21とは各別に形成し、且つ背面リングギア23をリングシャフト本体21と一体に形成することもできる。また、前面リングギア22及び背面リングギア23をリングシャフト本体21と一体に形成することもできる。
・上記実施形態では、前面プラネタリギア42がプラネタリシャフト本体41と一体に形成され、且つ背面プラネタリギア43がプラネタリシャフト本体41とは各別に形成される構造の回転直線運動変換機構1を想定したが、プラネタリシャフト4の構造は次のように変更することもできる。すなわち、前面プラネタリギア42をプラネタリシャフト本体41とは各別に形成し、且つ背面プラネタリギア43をプラネタリシャフト本体41と一体に形成することもできる。また、前面プラネタリギア42及び背面プラネタリギア43をプラネタリシャフト本体41と一体に形成することもできる。
・上記実施形態では、サンシャフト本体31と各プラネタリシャフト本体41とを組み合わせて第1アッセンブリ91を組み立てた後、同アッセンブリ91に対してその他の構成要素を順に組み付けて回転直線運動変換機構1を組み立てる製造方法を想定したが、同変換機構1の組み立て手順を例えば次のように変更することもできる。すなわち、前記第3実施形態に準じた態様をもって、まずはリングシャフト本体21と各プラネタリシャフト本体41との組み合わせにより構成される集合体を組み立て、その後に同集合体に対してその他の構成要素を順に組み付けて回転直線運動変換機構1を組み立てることもできる。この場合には、前記第3実施形態の第3治具66及び第4治具67の構造に準じて、組立治具100(特に治具本体110)に対して上記手順での回転直線運動変換機構1の組み立てを実現するための機能をもたせるとともに、そうした変更が加えられた組立治具100を通じて回転直線運動変換機構1の組み立てを行うことにより、上記第4実施形態の作用効果に準じた作用効果を奏することができるようになる。
(その他の実施形態)
その他、上記各実施形態に共通して変更することのできる要素を以下に示す。
・上記各実施形態では、前面側先端部41Tを第1治具61または第3治具66または組立治具100に突き当てることにより軸方向相対位置MSを軸方向正規位置XSに設定するようにしたが、軸方向相対位置MSを軸方向正規位置XSに設定するための方法は各実施形態にて例示した方法に限られるものではない。例えば、軸方向相対位置MSを軸方向正規位置XSに設定するための標識をサンシャフト本体31及びプラネタリシャフト本体41にそれぞれ形成し、これら各標識の相対的な位置関係が予め設定された関係となるようにプラネタリシャフト本体41の軸方向位置を設定することで軸方向相対位置MSを軸方向正規位置XSに設定することもできる。
・上記第1〜第3実施形態では、第3アッセンブリ93とギアアッセンブリ99との組み合わせを通じて第4アッセンブリ94を組み立てるようにしたが、第4アッセンブリ94の組み立て手順を例えば次の(A)〜(C)のいずれかに変更することもできる。
(A)背面リングギア23、背面サンギア33及び各背面プラネタリギア43を個別に第3アッセンブリ93に組み付けることにより、第4アッセンブリ94を組み立てる。
(B)背面リングギア23と各背面プラネタリギア43との組み合わせにより構成されるアッセンブリと背面サンギア33とを個別に第3アッセンブリ93に組み付けることにより、第4アッセンブリ94を組み立てる。
(C)背面サンギア33と各背面プラネタリギア43との組み合わせにより構成されるアッセンブリと背面リングギア23とを個別に第3アッセンブリ93に組み付けることにより、第4アッセンブリ94を組み立てる。
・上記第1〜第3実施形態では、前面リングギア22及び背面リングギア23を備える構造の回転直線運動変換機構1を想定したが、前面リングギア22及び背面リングギア23の少なくとも一方を省略した構造の回転直線運動変換機構についても本発明の製造方法を適用することができる。
・上記第1〜第3実施形態では、前面サンギア32及び背面サンギア33を備える構造の回転直線運動変換機構1を想定したが、前面サンギア32及び背面サンギア33の少なくとも一方を省略した構造の回転直線運動変換機構についても本発明の製造方法を適用することができる。
・上記第1〜第3実施形態では、前面リングギア22、前面サンギア32及び前面プラネタリギア42と背面リングギア23、背面サンギア33及び背面プラネタリギア43とを備える構造の回転直線運動変換機構1を想定したが、前面リングギア22、前面サンギア32及び前面プラネタリギア42のグループと背面リングギア23、背面サンギア33及び背面プラネタリギア43のグループとの少なくとも一方を省略した構造の回転直線運動変換機構についても本発明の製造方法を適用することができる。
・上記第1〜第3実施形態においては、リングシャフト2及びサンシャフト3と各プラネタリシャフト4との間でねじ及びギアの噛み合いを通じて力の伝達が行われる構造の回転直線運動変換機構1に対して本発明の製造方法を適用したが、リングシャフト2及びサンシャフト3と各プラネタリシャフト4との間でねじの噛み合いのみにより力の伝達が行われる構造の回転直線運動変換機構に対して本発明の製造方法を適用することもできる。
1…回転直線運動変換機構、2…リングシャフト、21…リングシャフト本体、21A…本体ねじ部、21B…本体ギア部、21C…本体ギア部、22…前面リングギア、23…背面リングギア、24…円環ねじ、25…フランジ、20…円環標識、3…サンシャフト、31…サンシャフト本体、31A…本体ねじ部、31B…本体ギア部、31C…本体ギア部、31D…本体先端部、32…前面サンギア、33…背面サンギア、34…太陽ねじ、30…太陽標識、4…プラネタリシャフト、41…プラネタリシャフト本体、41A…本体ねじ部、41B…本体ギア部、41F…前面側シャフト、41R…背面側シャフト、41T…前面側先端部、41X…基準プラネタリシャフト本体、41Y…傾斜プラネタリシャフト本体、42…前面プラネタリギア、43…背面プラネタリギア、43H…軸受孔、44…遊星ねじ、45…対リングギア、46…対円環ねじ、47…対太陽ねじ、48…対サンギア、40…遊星標識、51…前面カラー、51A…ベアリング、51H…油孔、52…背面カラー、52A…ベアリング、53…Oリング、61…第1治具、61H…軸受孔、61W…治具周壁、61F…治具端面、62…第2治具、63…太陽治具、63H…軸受孔、64…遊星治具、64H…支持穴、65…リテーナ、65S…太陽軸受孔、65P…遊星軸受孔、66…第3治具、66H…軸受孔、67…第4治具、68…円環治具、68H…支持穴、68S…軸受孔、69…遊星治具、69H…支持穴、7…ねじ治具、71…第1分割体、72…第2分割体、73…雌ねじ、74…挿入孔、8…歯車治具、81…治具本体、82…支柱、83…ギア配置部、84…対円環外歯、85…対円環歯車、86…対円環歯車、87…対太陽内歯、88…対太陽歯車、89…対太陽歯車、80…治具標識、91…第1アッセンブリ、92…第2アッセンブリ、93…第3アッセンブリ、94…第4アッセンブリ、95…第5アッセンブリ、96…第6アッセンブリ、99…ギアアッセンブリ、9A…第11アッセンブリ、9B…第12アッセンブリ、9C…第13アッセンブリ、9D…第14アッセンブリ、100…組立治具、110…治具本体、111…第1本体、112…第2本体、113…挿入孔、114…突当部、114F…治具端面、115…支持部、116…第1サンギア用ボールプランジャ、116A…ボール、116B…ばね、116C…シリンダ、116D…シリンダ、117…第1リングギア用ボールプランジャ、117A…ボール、117B…ばね、117C…シリンダ、117D…シリンダ、120…第1可動部、130…第2可動部、140…装着部、150…第1付属体、151…付属体本体、152…付属可動体、153…ギア配置部、154…ギア規制部、155…第2サンギア用ボールプランジャ、155A…ボール、155B…ばね、155C…シリンダ、155D…シリンダ、156…案内体、157…連結体、160…第2付属体、161…付属体本体、162…付属可動体、163…ギア配置部、164…ギア規制部、165…第2リングギア用ボールプランジャ、165A…ボール、165B…ばね、165C…シリンダ、165D…シリンダ、200…支持治具、210…治具本体、220…治具支柱。

Claims (36)

  1. 内部に空間を有する円環軸と、同円環軸内の空間に配置される太陽軸と、前記円環軸内の空間において同太陽軸の周囲に配置される遊星軸とを備えること、及び
    外歯車である第1太陽歯車及び第2太陽歯車が設けられる太陽軸本体と、同太陽軸本体と一体に形成される前記第1太陽歯車と、前記太陽軸本体とは各別に形成される前記第2太陽歯車とを含めて前記太陽軸が構成されること、及び
    前記第1太陽歯車に噛み合わされる外歯車である第1遊星歯車と、前記第2太陽歯車に噛み合わされる外歯車である第2遊星歯車とを含めて前記遊星軸が構成されること、及び
    前記円環軸と前記太陽軸との一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸と前記太陽軸との他方が直線運動すること
    を要件として構成される回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記第1太陽歯車と前記第2太陽歯車との相対的な回転が不能となる状態、且つこれら歯車の相対的な回転位相が実質的に一致する状態で前記太陽軸本体及び前記第2太陽歯車を保持する保持工程と、
    同工程の後に、前記太陽軸本体と前記第2太陽歯車との軸方向についての相対的な移動を通じて前記太陽軸本体に前記第2太陽歯車を組み付ける第2太陽歯車組付工程とを含む
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  2. 内部に空間を有する円環軸と、同円環軸内の空間に配置される太陽軸と、前記円環軸内の空間において同太陽軸の周囲に配置される遊星軸とを備えること、及び
    外歯車である第1太陽歯車及び第2太陽歯車が設けられる太陽軸本体と、同太陽軸本体とは各別に形成される前記第1太陽歯車と、同じく前記太陽軸本体とは各別に形成される前記第2太陽歯車とを含めて前記太陽軸が構成されること、及び
    前記第1太陽歯車に噛み合わされる外歯車である第1遊星歯車と、前記第2太陽歯車に噛み合わされる外歯車である第2遊星歯車とを含めて前記遊星軸が構成されること、及び
    前記円環軸と前記太陽軸との一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸と前記太陽軸との他方が直線運動すること
    を要件として構成される回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記太陽軸本体に前記第1太陽歯車を組み付ける第1太陽歯車組付工程と、
    同工程の後に、前記第1太陽歯車と前記第2太陽歯車との相対的な回転が不能となる状態、且つこれら歯車の相対的な回転位相が実質的に一致する状態で前記太陽軸本体及び前記第2太陽歯車を保持する保持工程と、
    同工程の後に、前記太陽軸本体と前記第2太陽歯車との軸方向についての相対的な移動を通じて前記太陽軸本体に前記第2太陽歯車を組み付ける第2太陽歯車組付工程とを含む
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記保持工程では、前記太陽軸本体及び前記第2太陽歯車が取り付けられたときに、自身に対する前記太陽軸本体及び前記第2太陽歯車の回転が不能となる状態、及び前記第1太陽歯車と前記第2太陽歯車との相対的な回転位相が実質的に一致した状態を保持する位相調整治具を準備し、同治具に対する前記太陽軸本体及び前記第2太陽歯車の取り付けを通じて、前記第1太陽歯車と前記第2太陽歯車との相対的な回転が不能となる状態、且つこれら歯車の相対的な回転位相が実質的に一致する状態を確保する
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  4. 請求項3に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記位相調整治具は、相対的な回転が不能とされる第1規制部及び第2規制部を備え、前記第1規制部を通じて当該治具に対する前記第1太陽歯車の回転を不能とし、前記第2規制部を通じて当該治具に対する前記第2太陽歯車の回転を不能とするとともに、これら規制部による前記第1太陽歯車及び前記第2太陽歯車の回転の規制を通じて、前記第1太陽歯車と前記第2太陽歯車との相対的な回転が不能となる状態、且つこれら歯車の相対的な回転位相が実質的に一致する状態を確保する
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  5. 請求項4に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記第1規制部は、前記第1太陽歯車の歯の間に配置されて隣り合う歯面のそれぞれに接触する支持体と、同支持体を前記第1太陽歯車の中心に向けて押す押付体とを含めて構成される
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  6. 請求項4または5に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記第2規制部は、前記第2太陽歯車の歯の間に配置されて隣り合う歯面のそれぞれに接触する支持体と、同支持体を前記第2太陽歯車の中心に向けて押す押付体とを含めて構成される
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  7. 請求項5または6に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記支持体として、前記太陽歯車のピッチ円上またはその付近にて歯面と接触する球体を備える
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記第2太陽歯車組付工程の後に、前記第1太陽歯車と前記第1遊星歯車とを噛み合わせる作業及び前記第2太陽歯車と前記第2遊星歯車とを噛み合わせる作業の少なくとも一方を通じて、前記太陽軸及び前記遊星軸を含めて構成される遊星付き集合体を完成させる集合体組立工程を含む
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  9. 請求項8に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記遊星軸は、前記第1遊星歯車及び前記第2遊星歯車が設けられる遊星軸本体と前記第2遊星歯車とが各別に形成されるものであり、
    前記集合体組立工程では、前記第1太陽歯車と前記第1遊星歯車との噛み合わせが得られた状態の前記太陽軸本体及び前記遊星軸本体を含めて構成される軸本体集合体について、同集合体の前記遊星軸本体に対して前記第2遊星歯車を組み付けることにより前記遊星付き集合体を組み立てる
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  10. 請求項9に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記集合体組立工程では、前記遊星軸本体を前記太陽軸本体に対して直立する状態に保持する遊星支持治具を準備し、前記位相調整治具に代えて同治具に前記軸本体集合体を取り付けた後に同集合体の前記遊星軸本体に対して前記第2遊星歯車を組み付ける
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  11. 請求項3〜10のいずれか一項に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において使用される位相調整治具。
  12. 請求項10に記載される回転直線運動変換機構の製造方法において使用される遊星支持治具。
  13. 内部に空間を有する円環軸と、同円環軸内の空間に配置される太陽軸と、前記円環軸内の空間において同太陽軸の周囲に配置される遊星軸とを備えること、及び
    内歯車である第1円環歯車及び第2円環歯車が設けられる円環軸本体と、同円環軸本体と一体に形成される前記第1円環歯車と、前記円環軸本体とは各別に形成される前記第2円環歯車とを含めて前記円環軸が構成されること、及び
    前記第1円環歯車に噛み合わされる外歯車である第1遊星歯車と、前記第2円環歯車に噛み合わされる外歯車である第2遊星歯車とを含めて前記遊星軸が構成されること、及び
    前記円環軸と前記太陽軸との一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸と前記太陽軸との他方が直線運動すること
    を要件として構成される回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記第1円環歯車と前記第2円環歯車との相対的な回転が不能となる状態、且つこれら歯車の相対的な回転位相が実質的に一致する状態で前記円環軸本体及び前記第2円環歯車を保持する保持工程と、
    同工程の後に、前記円環軸本体と前記第2円環歯車との軸方向についての相対的な移動を通じて前記円環軸本体に前記第2円環歯車を組み付ける第2円環歯車組付工程とを含む
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  14. 内部に空間を有する円環軸と、同円環軸内の空間に配置される太陽軸と、前記円環軸内の空間において同太陽軸の周囲に配置される遊星軸とを備えること、及び
    内歯車である第1円環歯車及び第2円環歯車が設けられる円環軸本体と、同円環軸本体とは各別に形成される前記第1円環歯車と、同じく前記円環軸本体とは各別に形成される前記第2円環歯車とを含めて前記円環軸が構成されること、及び
    前記第1円環歯車に噛み合わされる外歯車である第1遊星歯車と、前記第2円環歯車に噛み合わされる外歯車である第2遊星歯車とを含めて前記遊星軸が構成されること、及び
    前記円環軸と前記太陽軸との一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸と前記太陽軸との他方が直線運動すること
    を要件として構成される回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記円環軸本体に前記第1円環歯車を組み付ける第1円環歯車組付工程と、
    同工程の後に、前記第1円環歯車と前記第2円環歯車との相対的な回転が不能となる状態、且つこれら歯車の相対的な回転位相が実質的に一致する状態で前記円環軸本体及び前記第2円環歯車を保持する保持工程と、
    同工程の後に、前記円環軸本体と前記第2円環歯車との軸方向についての相対的な移動を通じて前記円環軸本体に前記第2円環歯車を組み付ける第2円環歯車組付工程とを含む
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  15. 請求項13または14に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記保持工程では、前記円環軸本体及び前記第2円環歯車が取り付けられたときに、自身に対する前記円環軸本体及び前記第2円環歯車の回転が不能となる状態、及び前記第1円環歯車と前記第2円環歯車との相対的な回転位相が実質的に一致した状態を保持する位相調整治具を準備し、同治具に対する前記円環軸本体及び前記第2円環歯車の取り付けを通じて、前記第1円環歯車と前記第2円環歯車との相対的な回転が不能となる状態、且つこれら歯車の相対的な回転位相が実質的に一致する状態を確保する
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  16. 請求項15に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記位相調整治具は、相対的な回転が不能とされる第1規制部及び第2規制部を備え、前記第1規制部を通じて当該治具に対する前記第1円環歯車の回転を不能とし、前記第2規制部を通じて当該治具に対する前記第2円環歯車の回転を不能とするとともに、これら規制部による前記第1円環歯車及び前記第2円環歯車の回転の規制を通じて、前記第1円環歯車と前記第2円環歯車との相対的な回転が不能となる状態、且つこれら歯車の相対的な回転位相が実質的に一致する状態を確保する
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  17. 請求項16に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記第1規制部は、前記第1円環歯車の歯の間に配置されて隣り合う歯面のそれぞれに接触する支持体と、同支持体を前記第1円環歯車の中心に向けて押す押付体とを含めて構成される
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  18. 請求項16または17に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記第2規制部は、前記第2円環歯車の歯の間に配置されて隣り合う歯面のそれぞれに接触する支持体と、同支持体を前記第2円環歯車の中心に向けて押す押付体とを含めて構成される
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  19. 請求項17または18に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記支持体として、前記円環歯車のピッチ円上またはその付近にて歯面と接触する球体を備える
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  20. 請求項13〜19のいずれか一項に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記第2円環歯車組付工程の後に、前記第1円環歯車と前記第1遊星歯車とを噛み合わせる作業及び前記第2円環歯車と前記第2遊星歯車とを噛み合わせる作業の少なくとも一方を通じて、前記円環軸及び前記遊星軸を含めて構成される遊星付き集合体を完成させる集合体組立工程を含む
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  21. 請求項20に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記遊星軸は、前記第1遊星歯車及び前記第2遊星歯車が設けられる遊星軸本体と前記第2遊星歯車とが各別に形成されるものであり、
    前記集合体組立工程では、前記第1円環歯車と前記第1遊星歯車との噛み合わせが得られた状態の前記円環軸本体及び前記遊星軸本体を含めて構成される軸本体集合体について、同集合体の前記遊星軸本体に対して前記第2遊星歯車を組み付けることにより前記遊星付き集合体を組み立てる
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  22. 請求項21に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記集合体組立工程では、前記遊星軸本体を前記円環軸本体に対して直立する状態に保持する遊星支持治具を準備し、前記位相調整治具に代えて同治具に前記軸本体集合体を取り付けた後に同集合体の前記遊星軸本体に対して前記第2遊星歯車を組み付ける
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  23. 請求項15〜22のいずれか一項に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において使用される位相調整治具。
  24. 請求項22に記載される回転直線運動変換機構の製造方法において使用される遊星支持治具。
  25. 内部に空間を有する円環軸と、同円環軸内の空間に配置される太陽軸と、前記円環軸内の空間において同太陽軸の周囲に配置される遊星軸とを備えること、及び
    外歯車である太陽歯車と、同歯車が設けられる太陽軸本体とを含めて前記太陽軸が構成されること、及び
    前記太陽歯車に噛み合わされる外歯車である遊星歯車と、同歯車が設けられる遊星軸本体とを含めて前記遊星軸が構成されること、及び
    前記遊星軸本体と前記遊星歯車とが各別に形成されること、及び
    前記円環軸と前記太陽軸との一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸と前記太陽軸との他方が直線運動すること
    を要件として構成される回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記遊星歯車が組み付けられる前の前記遊星軸本体及び前記太陽軸本体を含めて構成される太陽軸集合体を組み立てる太陽軸集合体組立工程と、
    同工程の後に、前記太陽軸集合体において前記遊星軸本体を前記太陽軸本体に対して実質的に直立させた状態に保持する遊星支持治具を準備し、同治具に前記太陽軸集合体を取り付けた状態で同集合体の前記遊星軸本体に前記遊星歯車を組み付ける遊星歯車組付工程とを含む
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  26. 請求項25に記載される回転直線運動変換機構の製造方法において使用される遊星支持治具。
  27. 内部に空間を有する円環軸と、同円環軸内の空間に配置される太陽軸と、前記円環軸内の空間において同太陽軸の周囲に配置される遊星軸とを備えること、及び
    内歯車である円環歯車と、同歯車が設けられる円環軸本体とを含めて前記円環軸が構成されること、及び
    前記内歯車に噛み合わされる外歯車である遊星歯車と、同歯車が設けられる遊星軸本体とを含めて前記遊星軸が構成されること、及び
    前記遊星軸本体と前記遊星歯車とが各別に形成されること、及び
    前記円環軸と前記太陽軸との一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸と前記太陽軸との他方が直線運動すること
    を要件として構成される回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記遊星歯車が組み付けられる前の前記遊星軸本体及び前記円環軸本体を含めて構成される円環軸集合体を組み立てる円環軸集合体組立工程と、
    同工程の後に、前記円環軸集合体において前記遊星軸本体を前記円環軸本体に対して実質的に直立させた状態に保持する治具を遊星支持治具を準備し、同治具に前記円環軸集合体を取り付けた状態で同集合体の前記遊星軸本体に前記遊星歯車を組み付ける遊星歯車組付工程とを含む
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  28. 請求項27に記載される回転直線運動変換機構の製造方法において使用される遊星支持治具。
  29. 内部に空間を有する円環軸と、同円環軸内の空間に配置される太陽軸と、前記円環軸内の空間において同太陽軸の周囲に配置される遊星軸とを備えること、及び
    前記太陽軸に設けられる太陽歯車と前記遊星軸に設けられる遊星歯車とが噛み合わされること、及び
    前記円環軸と前記太陽軸との一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸と前記太陽軸との他方が直線運動すること
    を要件として構成される回転直線運動変換機構の製造方法において、
    組み立て後の当該回転直線運動変換機構についての前記太陽軸に対する前記遊星軸の傾き度合いを遊星傾き度合いとし、前記円環軸の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記太陽軸が直線運動する際においての前記円環軸の仕事に対する前記太陽軸の仕事の割合、または前記太陽軸の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸が直線運動する際においての前記太陽軸の仕事に対する前記円環軸の仕事の割合を仕事の変換効率とし、当該回転直線運動変換機構に対して要求される仕事の変換効率を要求変換効率とし、前記遊星傾き度合いと前記仕事の変換効率との関係において前記要求変換効率に対応する遊星傾き度合いを基準傾き度合いとして、前記遊星傾き度合いを同基準傾き度合いよりも小さくすべく前記太陽歯車の回転位相を管理しつつ各構成要素を組み合わせる
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  30. 請求項29に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記太陽軸は、前記太陽歯車である第1太陽歯車及び第2太陽歯車が設けられる太陽軸本体と、同太陽軸本体と一体に形成される前記第1太陽歯車と、前記太陽軸本体とは各別に形成される前記第2太陽歯車とを含めて構成されるものであり、
    前記遊星軸は、前記第1太陽歯車に噛み合わされる第1遊星歯車と、前記第2太陽歯車に噛み合わされる第2遊星歯車とを含めて構成されるものであり、
    前記遊星傾き度合いを前記基準傾き度合いよりも小さくするための工程として、前記第1太陽歯車と前記第2太陽歯車との相対的な回転位相が実質的に一致する状態に保持しつつ前記太陽軸本体と前記第2太陽歯車とを組み合わせる工程を含む
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  31. 請求項29に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記太陽軸は、前記太陽歯車である第1太陽歯車及び第2太陽歯車が設けられる太陽軸本体と、同太陽軸本体とは各別に形成される前記第1太陽歯車と、同じく前記太陽軸本体とは各別に形成される前記第2太陽歯車とを含めて構成されるものであり、
    前記遊星軸は、前記第1太陽歯車に噛み合わされる第1遊星歯車と、前記第2太陽歯車に噛み合わされる第2遊星歯車とを含めて構成されるものであり、
    前記遊星傾き度合いを前記基準傾き度合いよりも小さくするための工程として、前記第1太陽歯車と前記第2太陽歯車との相対的な回転位相が実質的に一致する状態に保持しつつ前記第1太陽歯車が組み付けられた状態の前記太陽軸本体と前記第2太陽歯車とを組み合わせる工程を含む
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  32. 請求項30または31に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記遊星軸は、前記第1遊星歯車及び前記第2遊星歯車が設けられる遊星軸本体と前記第2遊星歯車とが各別に形成されるものであり、
    前記遊星傾き度合いを前記基準傾き度合いよりも小さくするための工程として、前記第1太陽歯車と前記第1遊星歯車との噛み合わせが得られた状態の前記太陽軸本体及び前記遊星軸本体を含めて構成される軸本体集合体について、同集合体の前記遊星軸本体を前記太陽軸本体に対して実質的に直立させた状態に保持しつつ同遊星軸本体に対して前記第2遊星歯車を組み付けることにより前記太陽軸本体の前記第2太陽歯車と同第2遊星歯車とを噛み合わせる工程を含む
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  33. 内部に空間を有する円環軸と、同円環軸内の空間に配置される太陽軸と、前記円環軸内の空間において同太陽軸の周囲に配置される遊星軸とを備えること、及び
    前記円環軸に設けられる円環歯車と前記遊星軸に設けられる遊星歯車とが噛み合わされること、及び
    前記円環軸と前記太陽軸との一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸と前記太陽軸との他方が直線運動すること
    を要件として構成される回転直線運動変換機構の製造方法において、
    組み立て後の当該回転直線運動変換機構についての前記円環軸に対する前記遊星軸の傾き度合いを遊星傾き度合いとし、前記円環軸の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記太陽軸が直線運動する際においての前記円環軸の仕事に対する前記太陽軸の仕事の割合、または前記太陽軸の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸が直線運動する際においての前記太陽軸の仕事に対する前記円環軸の仕事の割合を仕事の変換効率とし、当該回転直線運動変換機構に対して要求される仕事の変換効率を要求変換効率とし、前記遊星傾き度合いと前記仕事の変換効率との関係において前記要求変換効率に対応する遊星傾き度合いを基準傾き度合いとして、前記遊星傾き度合いを同基準傾き度合いよりも小さくすべく前記円環歯車の回転位相を管理しつつ各構成要素を組み合わせる
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  34. 請求項33に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記円環軸は、前記円環歯車である第1円環歯車及び第2円環歯車が設けられる円環軸本体と、同円環軸本体と一体に形成される前記第1円環歯車と、前記円環軸本体とは各別に形成される前記第2円環歯車とを含めて構成されるものであり、
    前記遊星軸は、前記第1円環歯車に噛み合わされる第1遊星歯車と、前記第2円環歯車に噛み合わされる第2遊星歯車とを含めて構成されるものであり、
    前記遊星傾き度合いを前記基準傾き度合いよりも小さくするための工程として、前記第1円環歯車と前記第2円環歯車との相対的な回転位相が実質的に一致する状態に保持しつつ前記円環軸本体と前記第2円環歯車とを組み合わせる工程を含む
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  35. 請求項33に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記円環軸は、前記円環歯車である第1円環歯車及び第2円環歯車が設けられる円環軸本体と、同円環軸本体とは各別に形成される前記第1円環歯車と、同じく前記円環軸本体とは各別に形成される前記第2円環歯車とを含めて構成されるものであり、
    前記遊星軸は、前記第1円環歯車に噛み合わされる第1遊星歯車と、前記第2円環歯車に噛み合わされる第2遊星歯車とを含めて構成されるものであり、
    前記遊星傾き度合いを前記基準傾き度合いよりも小さくするための工程として、前記第1円環歯車と前記第2円環歯車との相対的な回転位相が実質的に一致する状態に保持しつつ前記第1円環歯車が組み付けられた状態の前記円環軸本体と前記第2円環歯車とを組み合わせる工程を含む
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  36. 請求項34または35に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記遊星軸は、前記第1遊星歯車及び前記第2遊星歯車が設けられる遊星軸本体と前記第2遊星歯車とが各別に形成されるものであり、
    前記遊星傾き度合いを前記基準傾き度合いよりも小さくするための工程として、前記第1円環歯車と前記第1遊星歯車との噛み合わせが得られた状態の前記円環軸本体及び前記遊星軸本体を含めて構成される軸本体集合体について、同集合体の前記遊星軸本体を前記円環軸本体に対して実質的に直立させた状態に保持しつつ同遊星軸本体に対して前記第2遊星歯車を組み付けることにより前記円環軸本体の前記第2円環歯車と同第2遊星歯車とを噛み合わせる工程を含む
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
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