JP2008002588A - 回転直線運動変換機構の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】遊星軸の両端部に設けられる歯車の少なくとも一方が遊星軸の本体とは各別に形成される構造の回転直線運動変換機構について、遊星軸の傾きを抑制することのできる回転直線運動変換機構の製造方法を提供する。
【解決手段】この製造方法では、次の各工程を含めて回転直線運動変換機構1の製造を行う。サンシャフト本体31と各プラネタリシャフト本体41とを組み合わせて第1アッセンブリを組み立てる工程。第1アッセンブリの各プラネタリシャフト本体41にリテーナを装着する工程。第1アッセンブリと前面リングギア22とを組み合わせて第2アッセンブリを組み立てる工程。第2アッセンブリとリングシャフト本体21とを組み合わせて第3アッセンブリを組み立てる工程。各ギア23,33,43を組み合わせてギアアッセンブリを組み立てる工程。第3アッセンブリとギアアッセンブリとを組み合わせて第4アッセンブリを組み立てる工程。
【選択図】図6

Description

本発明は、回転運動を直線運動に変換する回転直線運動変換機構の製造方法に関する。
回転直線運動変換機構としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
この回転直線運動変換機構は、軸方向へ延びる空間を内部に有する円環軸と円環軸の内部に配置される太陽軸と太陽軸の周囲に配置される複数の遊星軸との組み合わせにより構成されている。また、円環軸の雌ねじ及び太陽軸の雄ねじと遊星軸の雄ねじとがそれぞれ噛み合わされている。こうした構造の回転直線運動変換機構においては、円環軸を回転運動させたとき、円環軸から伝達された力を通じて遊星軸が太陽軸のまわりで遊星運動することにより、太陽軸が直線運動するようになる。すなわち、円環軸の回転運動を太陽軸の直線運動に変換することが可能となっている。
上記回転直線運動変換機構では、円環軸と遊星軸との間において雌ねじと雄ねじとの噛み合いに加えてさらに円環軸の内歯車(円環歯車)と遊星軸の外歯車(遊星歯車)とを噛み合わせることにより、ねじの公差や経時変化に起因して雄ねじ及び雌ねじの基準ピッチ円直径の比が本来の値からずれた場合においても、円環軸と遊星軸との回転数の関係が回転直線運動変換機構の適切な動作を得ることのできる関係に維持されるようにしている。
国際公開WO2004/094870号公報 (図11〜図13参照)
ところで、上記回転直線運動変換機構においては遊星歯車上にねじが形成されているため、遊星歯車の耐久性の低下が懸念される。そこで、本願発明者は各遊星歯車上へのねじの形成を省略して耐久性の向上を図ることを検討しているが、この場合には新たに次のような問題が浮上してくる。すなわち、単純にねじの形成を省略した構造では、回転直線運動変換機構の製造における各構成要素の組み付け方法として通常考えられる下記(イ)〜(ハ)のいずれの方法を採用しても各構成要素を組み合わせることができない。
(イ):太陽軸と遊星軸とを組み合わせた集合体に円環軸を組み付ける。
(ロ):円環軸と遊星軸とを組み合わせた集合体に太陽軸を組み付ける。
(ハ):円環軸と太陽軸とを組み合わせた集合体に遊星軸を組み付ける。
そこで、遊星軸において遊星歯車の少なくとも一方を遊星軸の本体と各別に形成するとともに、円環軸において円環歯車の少なくとも一方を円環軸の本体と各別に形成する構造を採用することにより、各遊星歯車のねじを省略した場合においても各構成要素の組み合わせを可能にすることが考えられる。
上述の構造を有する回転直線運動変換機構の一例として、遊星軸が雄ねじ及び第1遊星歯車を含めて一体的に形成された遊星軸本体と同本体とは各別に形成された第2遊星歯車との組み合わせにより構成されるとともに、円環軸が雌ねじを含めて一体的に形成された円環軸本体と同本体とは各別に形成された第1円環歯車及び第2円環歯車との組み合わせにより構成される回転直線運動変換機構を想定する。この回転直線運動変換機構においては、第1遊星歯車と第1円環歯車とが噛み合わされるとともに、第2遊星歯車と第2円環歯車とが噛み合わされる。
こうした回転直線運動変換機構の製造に際しては、例えば、次の組み立て手順を採用することにより各構成要素を組み付けることが可能となる。
(A):太陽軸と各遊星軸本体とを組み合わせる。
(B):上記(A)の工程を経た後、第1遊星歯車に第1円環歯車を組み付ける。
(C):上記(B)の工程を経た後、各遊星軸本体に円環軸本体を組み付ける。
(D):上記(C)の工程を経た後、各遊星軸本体に第2遊星歯車を組み付ける。
(E):上記(C)の工程を経た後、円環軸本体に第2円環歯車を組み付ける。
しかし、こうした組み付け手順を採用した場合には、回転直線運動変換機構の製造過程において遊星軸本体が基準姿勢(遊星軸の中心線が太陽軸の中心線に対して平行となる姿勢)に対して傾くことにより以下の問題をまねくことが確認されている。
回転直線運動変換機構においては各構成要素のねじの条数が異なる条数に設定されるため、各構成要素のねじを噛み合わせたときには、これらねじの間に比較的大きなバックラッシが形成される。このため、回転直線運動変換機構の製造過程においては、遊星軸本体の両端部が第1遊星歯車と第1円環歯車との噛み合い及び第2遊星歯車と第2円環歯車との噛み合いにより遊星軸本体の姿勢が拘束されるまでの間、遊星軸が基準姿勢に対して傾くこともある。
例えば、上記(A)の工程により組み立てられた集合体(第1集合体)においては、第1遊星歯車と第1円環歯車との噛み合いを通じて遊星軸本体の一方の端部が拘束されるため、各遊星軸本体の他方の端部を治具により拘束することで上述のような遊星軸の傾きを抑制することが可能となる。しかし、第2遊星歯車の組み付けに際しては上記治具を各遊星軸本体から取り外さなければならないため、第2遊星歯車の組み付けにともない各遊星軸本体が基準姿勢に対して傾くようになる。
このとき、遊星軸本体の傾きが比較的小さい場合には、第2遊星歯車を遊星軸本体に組み付けることが可能になるものの、第2遊星歯車が遊星軸本体の姿勢に追従して傾いた状態で組み付けられるため、第2円環歯車と各第2遊星歯車との噛み合わせが不均一となることにより、局部的な摩耗の増大による回転直線運動変換機構の寿命の低下や回転運動から直線運動への変換効率の低下をまねくようになる。一方で、遊星軸本体の傾きが過度に大きいときには、第2遊星歯車を遊星軸本体に組み付けることができなくなるため、組み付け作業が一時的に中断されることにより生産性の低下をまねくようになる。なお、こうした問題は、上記構成の回転直線運動変換機構に限られず、遊星軸の両端部に設けられる歯車の少なくとも一つが遊星軸本体とは各別に形成された構造の変換機構であれば同様に生じるものといえる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊星軸の両端部に設けられる歯車の少なくとも一方が遊星軸の本体とは各別に形成される構造の回転直線運動変換機構について、遊星軸の傾きを抑制することのできる回転直線運動変換機構の製造方法を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、軸方向へ延びる空間を内部に有する円環軸と該円環軸の内部に配置される太陽軸と該太陽軸の周囲に配置される複数の遊星軸とを備えること、前記円環軸が雌ねじを有する円環軸本体と内歯の円環歯車とを含めて構成されること、前記太陽軸が雄ねじを有する太陽軸本体と外歯の太陽歯車とを含めて構成されること、前記遊星軸が雄ねじを有する遊星軸本体と外歯の遊星歯車とを含めて構成されること、前記円環軸本体の雌ねじと前記遊星軸本体の雄ねじとが噛み合うこと、前記太陽軸本体の雄ねじと前記遊星軸本体の雄ねじとが噛み合うこと、前記円環歯車として、前記円環軸本体の一方の端部に設けられる第1円環歯車と前記円環軸本体の他方の端部に設けられる第2円環歯車とを備えること、前記太陽歯車として、前記太陽軸本体の一方の端部に設けられる第1太陽歯車と前記太陽軸本体の他方の端部に設けられる第2太陽歯車とを備えること、前記遊星歯車として、前記遊星軸本体の一方の端部に設けられる第1遊星歯車と前記遊星軸本体の他方の端部に設けられる第2遊星歯車とを備えること、前記第1円環歯車が前記円環軸本体とは各別に形成されること、前記第2太陽歯車が前記太陽軸本体とは各別に形成されること、前記第2遊星歯車が前記遊星軸本体とは各別に形成されること、前記第1円環歯車と前記第1遊星歯車とが噛み合うこと、前記第2円環歯車と前記第2遊星歯車とが噛み合うこと、前記第1太陽歯車と前記第1遊星歯車とが噛み合うこと、前記第2太陽歯車と前記第2遊星歯車とが噛み合うこと、並びに、前記円環軸及び前記太陽軸の一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸及び前記太陽軸の他方が直線運動することを要件として構成される回転直線運動変換機構について、次の各工程、すなわち「前記太陽軸本体と前記遊星軸本体との組み合わせにより構成される集合体を第1集合体として、該第1集合体を組み立てる第1工程」、「前記遊星軸本体の中心線が前記太陽軸本体の中心線に対して平行となる前記遊星軸本体の姿勢を基準姿勢とし、前記第1遊星歯車が設けられる前記遊星軸本体の端部を前面側端部とし、前記第2遊星歯車が設けられる前記遊星軸本体の端部を背面側端部とし、前記複数の遊星軸本体の前面側端部を一括して支持する治具を前面側治具とし、前記第2遊星歯車を組み付けるための余地を残した状態で前記複数の遊星軸本体の背面側端部を一括して支持できること、並びに前記円環軸、前記太陽軸及び前記遊星軸よりも融点が低いことを要件として構成される治具を背面側治具として、前記第1集合体に前記前面側治具及び前記背面側治具を装着することにより前記遊星軸本体を前記基準姿勢に保持する第2工程」、「前記第1集合体と前記円環軸本体との組み合わせにより構成される集合体を第2集合体として、前記第2工程を経た後に該第2集合体を組み立てる第3工程」及び「前記第2集合体と前記第2遊星歯車との組み合わせにより構成される集合体を第3集合体として、該第3集合体を組み立てる第4工程」を含めてその製造を行うことを要旨としている。
(2)請求項2に記載の発明は、軸方向へ延びる空間を内部に有する円環軸と該円環軸の内部に配置される太陽軸と該太陽軸の周囲に配置される複数の遊星軸とを備えること、前記円環軸が雌ねじを有する円環軸本体と内歯の円環歯車とを含めて構成されること、前記太陽軸が雄ねじを有する太陽軸本体と外歯の太陽歯車とを含めて構成されること、前記遊星軸が雄ねじを有する遊星軸本体と外歯の遊星歯車とを含めて構成されること、前記円環軸本体の雌ねじと前記遊星軸本体の雄ねじとが噛み合うこと、前記太陽軸本体の雄ねじと前記遊星軸本体の雄ねじとが噛み合うこと、前記円環歯車として、前記円環軸本体の一方の端部に設けられる第1円環歯車と前記円環軸本体の他方の端部に設けられる第2円環歯車とを備えること、前記太陽歯車として、前記太陽軸本体の一方の端部に設けられる第1太陽歯車と前記太陽軸本体の他方の端部に設けられる第2太陽歯車とを備えること、前記遊星歯車として、前記遊星軸本体の一方の端部に設けられる第1遊星歯車と前記遊星軸本体の他方の端部に設けられる第2遊星歯車とを備えること、前記第2円環歯車が前記円環軸本体とは各別に形成されること、前記第1太陽歯車が前記太陽軸本体とは各別に形成されること、前記第2遊星歯車が前記遊星軸本体とは各別に形成されること、前記第1円環歯車と前記第1遊星歯車とが噛み合うこと、前記第2円環歯車と前記第2遊星歯車とが噛み合うこと、前記第1太陽歯車と前記第1遊星歯車とが噛み合うこと、前記第2太陽歯車と前記第2遊星歯車とが噛み合うこと、並びに、前記円環軸及び前記太陽軸の一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸及び前記太陽軸の他方が直線運動することを要件として構成される回転直線運動変換機構について、次の各工程、すなわち「前記円環軸本体と前記遊星軸本体との組み合わせにより構成される集合体を第1集合体として、該第1集合体を組み立てる第1工程」、「前記遊星軸本体の中心線が前記円環軸本体の中心線に対して平行となる前記遊星軸本体の姿勢を基準姿勢とし、前記第1遊星歯車が設けられる前記遊星軸本体の端部を前面側端部とし、前記第2遊星歯車が設けられる前記遊星軸本体の端部を背面側端部とし、前記複数の遊星軸本体の前面側端部を一括して支持する治具を前面側治具とし、前記第2遊星歯車を組み付けるための余地を残した状態で前記複数の遊星軸本体の背面側端部を一括して支持できること、並びに前記円環軸、前記太陽軸及び前記遊星軸よりも融点が低いことを要件として構成される治具を背面側治具として、前記第1集合体に前記前面側治具及び前記背面側治具を装着することにより前記遊星軸本体を前記基準姿勢に保持する第2工程」、「前記第1集合体と前記太陽軸本体との組み合わせにより構成される集合体を第2集合体として、前記第2工程を経た後に該第2集合体を組み立てる第3工程」及び「前記第2集合体と前記第2遊星歯車との組み合わせにより構成される集合体を第3集合体として、該第3集合体を組み立てる第4工程」を含めてその製造を行うことを要旨としている。
上記請求項1及び2の発明では、溶融可能な背面側治具の装着を通じて各遊星軸本体の背面側端部を拘束するようにしているため、前面側治具及び背面側治具を装着したままの状態で第2遊星歯車を遊星軸本体に組み付けることが可能となる。これにより、前面側治具及び背面側治具を通じて各遊星軸本体の両端部が拘束された状態で第2遊星歯車の組み付けが行われるため、遊星軸が傾いた状態で回転直線運動変換機構が組み立てられることを抑制することができるようになる。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、次の工程を含めて前記回転直線運動変換機構の組み立てを行う「前記第3集合体を加熱することにより前記背面側治具を溶融させる第5工程」ことを要旨としている。
上記請求項3に記載の発明では、回転直線運動変換機構の完成前に背面側治具を溶融させるようにしている。これにより、回転直線運動変換機構の動作が背面側治具により妨げられることを抑制することができるようになる。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、当該回転直線運動変換機構に対して要求される機械的性質を要求性質とし、当該回転直線運動変換機構の組立過程における構成要素の集合体を特定集合体とし、該特定集合体を加熱しても該特定集合体の機械的性質が前記要求性質に維持される温度領域を基準温度領域とし、該基準温度領域に属する温度のうちで最も高い温度を基準温度として、前記背面側治具は該基準温度未満の融点を有するものであることを要旨としている。
上記発明によれば、背面側治具として基準温度未満の融点を有するものを採用するようにしている。これにより、特定集合体の加熱を通じて背面側治具を溶融させる際に、特定集合体の機械的性質を要求性質に維持することができるようになる。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、当該回転直線運動変換機構の組立過程における構成要素の集合体を特定集合体とし、該特定集合体を加熱しても該特定集合体が焼鈍されない温度領域を基準温度領域とし、該基準温度領域に属する温度のうちで最も高い温度を基準温度として、前記背面側治具は該基準温度未満の融点を有するものであることを要旨としている。
上記発明によれば、固定剤として基準温度未満の融点を有するものを採用するようにしている。これにより、特定集合体の加熱を通じて、同集合体の各構成要素を焼鈍させることなく固定剤を溶融させることができるようになる。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、前記特定集合体を加熱して前記背面側治具を溶融させる際に前記特定集合体を前記背面側治具の融点以上かつ前記基準温度未満の温度まで加熱することを要旨としている。
上記発明によれば、特定集合体を固定剤の融点以上かつ基準温度未満の温度にまで加熱して固定剤を溶融させるようにしている。これにより、請求項6に記載の発明が請求項4に記載の発明を前提とする場合には、固定剤が除去された状態で回転直線運動変換機構を組み立てることと、機械的性質を要求性質に維持した状態で回転直線運動変換機構を組み立てることとの両立を実現することができるようになる。また、請求項6に記載の発明が請求項5に記載の発明を前提とする場合には、固定剤が除去された状態で回転直線運動変換機構を組み立てることと、各構成要素が焼鈍されていない状態で回転直線運動変換機構1を組み立てることとの両立を実現することができるようになる。
本発明の実施形態について、図1〜図21を参照して説明する。以下では、本実施形態の製造方法を通じて組み立てられる回転直線運動変換機構の構造、同変換機構の動作態様、及び回転直線運動変換機構の製造方法の順に従って説明を行う。
<回転直線運動変換機構の構造>
図1及び図2を参照して、回転直線運動変換機構1の構造の概略について説明する。
・図1は、回転直線運動変換機構1の斜視構造を示す。
・図2は、回転直線運動変換機構1の内部の斜視構造を示す。
回転直線運動変換機構1は、軸方向へ延びる空間を内部に有するリングシャフト2と、リングシャフト2の内部に配置されるサンシャフト3と、サンシャフト3の周囲に配置される複数のプラネタリシャフト4との組み合わせにより構成されている。リングシャフト2及びサンシャフト3は、各々の中心線が互いに整合する状態または実質的に整合する状態で配置されている。サンシャフト3及び各プラネタリシャフト4は、各々の中心線が互いに平行となる状態または実質的に平行となる状態で配置されている。また、各プラネタリシャフト4はサンシャフト3のまわりにおいて等間隔に配置されている。
本実施形態では、回転直線運動変換機構1の各構成要素について、自身の中心線がサンシャフト3の中心線と整合する姿勢及び実質的に整合する姿勢を整合姿勢とする。また、自身の中心線がサンシャフト3の中心線と平行となる姿勢及び実質的に平行となる姿勢を平行姿勢とする。すなわち、リングシャフト2は整合姿勢に保持された状態で回転直線運動変換機構1を構成している。また、各プラネタリシャフト4は平行姿勢に保持された状態で回転直線運動変換機構1を構成している。
回転直線運動変換機構1においては、リングシャフト2に設けられたねじ及びギアと各プラネタリシャフト4に設けられたねじ及びギアとの噛み合いにより、リングシャフト2及び各プラネタリシャフト4の一方の構成要素から他方の構成要素に力が伝達される。また、サンシャフト3に設けられたねじ及びギアと各プラネタリシャフト4に設けられたねじ及びギアとの噛み合いにより、サンシャフト3及び各プラネタリシャフト4の一方の構成要素から他方の構成要素に力が伝達される。
回転直線運動変換機構1は、こうした各構成要素の組み合わせに基づいて次のように動作する。すなわち、リングシャフト2及びサンシャフト3の一方の構成要素が回転運動するとき、同構成要素から伝達された力を通じて各プラネタリシャフト4がサンシャフト3のまわりで遊星運動する。これにより、各プラネタリシャフト4からリングシャフト2及びサンシャフト3の他方の構成要素に伝達された力を通じて同構成要素が各プラネタリシャフト4に対して軸方向へ移動する。
このように、回転直線運動変換機構1は、リングシャフト2及びサンシャフト3の一方の回転運動をリングシャフト2及びサンシャフト3の他方の直線運動に変換する。なお、本実施形態においては、サンシャフト3の軸方向について、サンシャフト3がリングシャフト2から押し出される方向を前面方向FRとし、サンシャフト3がリングシャフト2内に引き込まれる方向を背面方向RRとしている。また、回転直線運動変換機構1の任意の位置を基準としたときに、この基準位置よりも前面方向FR側の範囲を前面側とし、同基準位置よりも背面方向RR側の範囲を背面側としている。
リングシャフト2には、サンシャフト3を支持する前面カラー51及び背面カラー52が固定されている。すなわち、リングシャフト2と前面カラー51及び背面カラー52とが一体的に運動する。リングシャフト2においては、前面側の開口部が前面カラー51により閉塞されている。また、背面側の開口部が背面カラー52により閉塞されている。
サンシャフト3は、前面カラー51のベアリング51A及び背面カラー52のベアリング52Aにより支持されている。一方で、各プラネタリシャフト4は、前面カラー51及び背面カラー52のいずれによっても支持されていない。すなわち、回転直線運動変換機構1においては、サンシャフト3の径方向の位置がねじ及びギアの噛み合いと前面カラー51及び背面カラー52とにより拘束されている一方で、各プラネタリシャフト4の径方向の位置がねじ及びギアの噛み合いのみにより拘束されている。
回転直線運動変換機構1には、リングシャフト2の内部(リングシャフト2、サンシャフト3及び各プラネタリシャフト4のねじ及びギアが噛み合わされている箇所)を潤滑するために次のような構造が採用されている。すなわち、リングシャフト2の内部に潤滑油を供給するための油孔51Hが前面カラー51に複数形成されている。また、リングシャフト2の内部をシールするOリング53が前面カラー51及び背面カラー52の各々に装着されている。
〔1〕「リングシャフトの構造」
図3を参照して、リングシャフト2の構造について説明する。
・図3(A)は、リングシャフト2の断面構造を示す。
・図3(B)は、リングシャフト2の一部を分解した状態の断面構造を示す。
リングシャフト2は、リングシャフト本体21(円環軸本体)と前面リングギア22及び背面リングギア23との組み合わせにより構成されている。リングシャフト2においては、リングシャフト本体21の中心線(軸線)がリングシャフト2の中心線(軸線)に相当する。従って、リングシャフト本体21の中心線がサンシャフト3の中心線と整合または実質的に整合するときにリングシャフト2の整合姿勢が確保される。
リングシャフト本体21は、内周面に雌ねじ24が形成された本体ねじ部21Aと、前面リングギア22が組み付けられる本体ギア部21Bと、背面リングギア23が組み付けられる本体ギア部21Cとを含めて構成されている。
前面リングギア22は、平歯の内歯車としてリングシャフト本体21とは各別に形成されている。また、リングシャフト本体21に組み付けられたときに自身の中心線がリングシャフト本体21の中心線と整合するように構成されている。リングシャフト本体21に対する前面リングギア22の組み付け態様について、本実施形態では圧入により前面リングギア22をリングシャフト本体21に固定するようにしている。なお、圧入以外の方法により前面リングギア22をリングシャフト本体21に固定することもできる。
背面リングギア23は、平歯の内歯車としてリングシャフト本体21とは各別に形成されている。また、リングシャフト本体21に組み付けられたときに自身の中心線がリングシャフト本体21の中心線と整合するように構成されている。リングシャフト本体21に対する背面リングギア23の組み付け態様について、本実施形態では圧入により背面リングギア23をリングシャフト本体21に固定するようにしている。なお、圧入以外の方法により背面リングギア23をリングシャフト本体21に固定することもできる。
リングシャフト2において、前面リングギア22及び背面リングギア23は同一形状の歯車として構成されている。すなわち、前面リングギア22及び背面リングギア23の諸元(基準ピッチ円直径や歯数等)が互いに等しい値に設定されている。
〔2〕「サンシャフトの構造」
図4を参照して、サンシャフト3の構造について説明する。
・図4(A)は、サンシャフト3の正面構造を示す。
・図4(B)は、サンシャフト3の一部を分解した状態の正面構造を示す。
サンシャフト3は、サンシャフト本体31(太陽軸本体)と背面サンギア33との組み合わせにより構成されている。サンシャフト3においては、サンシャフト本体31の中心線(軸線)がサンシャフト3の中心線(軸線)に相当する。
サンシャフト本体31は、外周面に雄ねじ34が形成された本体ねじ部31Aと、平歯の外歯車(前面サンギア32)が形成された本体ギア部31Bと、背面サンギア33が組み付けられる本体ギア部31Cとを含めて構成されている。
背面サンギア33は、平歯の外歯車としてサンシャフト本体31とは各別に形成されている。また、サンシャフト本体31に組み付けられたときに自身の中心線がサンシャフト本体31の中心線と整合するように構成されている。サンシャフト本体31に対する背面サンギア33の組み付け態様について、本実施形態では圧入により背面サンギア33をサンシャフト本体31に固定するようにしている。なお、圧入以外の方法により背面サンギア33をサンシャフト本体31に固定することもできる。
サンシャフト3において、前面サンギア32及び背面サンギア33は同一形状の歯車として構成されている。すなわち、前面サンギア32及び背面サンギア33の諸元(基準ピッチ円直径や歯数等)が互いに等しい値に設定されている。
〔3〕「プラネタリシャフトの構造」
図5を参照して、プラネタリシャフト4の構造について説明する。
・図5(A)は、プラネタリシャフト4の正面構造を示す。
・図5(B)は、プラネタリシャフト4の一部を分解した状態の正面構造を示す。
・図5(C)は、中心線に沿った背面プラネタリギア43の断面構造を示す。
プラネタリシャフト4は、プラネタリシャフト本体41(遊星軸本体)と背面プラネタリギア43との組み合わせにより構成されている。プラネタリシャフト4においては、プラネタリシャフト本体41の中心線(軸線)がプラネタリシャフト4の中心線(軸線)に相当する。従って、プラネタリシャフト本体41の中心線がサンシャフト3の中心線に対して平行または実質的に平行となるときに、プラネタリシャフト4の平行姿勢が確保される。
プラネタリシャフト本体41は、外周面に雄ねじ44が形成された本体ねじ部41Aと、平歯の外歯車(前面プラネタリギア42)が形成された本体ギア部41Bと、背面プラネタリギア43が組み付けられる背面側シャフト41Rと、回転直線運動変換機構1の組み立てに際して治具にはめ込まれる前面側シャフト41Fとを含めて構成されている。
背面プラネタリギア43は、平歯の外歯車としてプラネタリシャフト本体41とは各別に形成されている。また、プラネタリシャフト本体41の背面側シャフト41Rが軸受孔43Hに挿入されることによりプラネタリシャフト本体41に組み付けられる。また、プラネタリシャフト本体41に組み付けられた状態において、自身の中心線がプラネタリシャフト本体41の中心線と整合するように構成されている。
プラネタリシャフト本体41に対する背面プラネタリギア43の組み付け態様について、本実施形態では背面プラネタリギア43がプラネタリシャフト本体41に対して相対的に回転できるようにすきまばめを採用している。なお、プラネタリシャフト本体41と背面プラネタリギア43との相対的な回転を得るための組み付け態様として、すきまばめ以外の組み付け態様を採用することもできる。
プラネタリシャフト4において、前面プラネタリギア42及び背面プラネタリギア43は同一形状の歯車として構成されている。すなわち、前面プラネタリギア42及び背面プラネタリギア43の諸元(基準ピッチ円直径や歯数等)が互いに等しい値に設定されている。
〔4〕「各構成要素の関係」
図6〜図9を参照して、回転直線運動変換機構1における各構成要素の関係について説明する。なお、ここでは9本のプラネタリシャフト4が備えられている構造の回転直線運動変換機構1を例示しているが、プラネタリシャフト4の配置数は適宜変更することができる。
・図6は、サンシャフト3の中心線に沿った回転直線運動変換機構1の断面構造を示す。
・図7は、図6のDA−DA線に沿った回転直線運動変換機構1の断面構造を示す。
・図8は、図6のDB−DB線に沿った回転直線運動変換機構1の断面構造を示す。
・図9は、図6のDC−DC線に沿った回転直線運動変換機構1の断面構造を示す。
回転直線運動変換機構1においては、各構成要素の動作が次のように許容または制限されている。
(a)リングシャフト2について、リングシャフト本体21と前面リングギア22及び背面リングギア23との相対的な回転が不能にされている。また、リングシャフト本体21と前面カラー51及び背面カラー52との相対的な回転が不能にされている。
(b)サンシャフト3について、サンシャフト本体31と背面サンギア33との相対的な回転が不能にされている。
(c)プラネタリシャフト4について、プラネタリシャフト本体41と背面プラネタリギア43との相対的な回転が許容されている。
回転直線運動変換機構1においては、リングシャフト2及びサンシャフト3と各プラネタリシャフト4とのねじ及びギアの噛み合いを通じて、これら各構成要素の間で次のように力の伝達が行われる。
リングシャフト2及び各プラネタリシャフト4においては、リングシャフト本体21の雌ねじ24と各プラネタリシャフト本体41の雄ねじ44とが噛み合わされる。また、リングシャフト本体21の前面リングギア22と各プラネタリシャフト本体41の前面プラネタリギア42とが噛み合わされる。また、リングシャフト本体21の背面リングギア23と各プラネタリシャフト本体41の背面プラネタリギア43とが噛み合わされる。
これにより、リングシャフト2及び各プラネタリシャフト4の一方に回転運動が入力されたときには、雌ねじ24と雄ねじ44との噛み合い、前面リングギア22と前面プラネタリギア42との噛み合い、及び背面リングギア23と背面プラネタリギア43との噛み合いを通じて、リングシャフト2及び各プラネタリシャフト4の他方に力が伝達される。
サンシャフト3及び各プラネタリシャフト4においては、サンシャフト本体31の雄ねじ34と各プラネタリシャフト本体41の雄ねじ44とが噛み合わされる。また、サンシャフト本体31の前面サンギア32と各プラネタリシャフト本体41の前面プラネタリギア42とが噛み合わされる。また、サンシャフト本体31の背面サンギア33と各プラネタリシャフト本体41の背面プラネタリギア43とが噛み合わされる。
これにより、サンシャフト3及び各プラネタリシャフト4の一方に回転運動が入力されたときには、雄ねじ34と雄ねじ44との噛み合い、前面サンギア32と前面プラネタリギア42との噛み合い、及び背面サンギア33と背面プラネタリギア43との噛み合いを通じて、サンシャフト3及び各プラネタリシャフト4の他方に力が伝達される。
このように、回転直線運動変換機構1は、リングシャフト2の雌ねじ24とサンシャフト3の雄ねじ34と各プラネタリシャフト4の雄ねじ44とにより構成される減速機構、前面リングギア22と前面サンギア32と各前面プラネタリギア42とにより構成される減速機構、及び背面リングギア23と背面サンギア33と各背面プラネタリギア43とにより構成される減速機構とを備えて構成されている。
<回転直線運動変換機構の動作態様>
回転直線運動変換機構1においては、各ギアの歯数及び各ねじの条数の設定態様に基づいて、回転運動を直線運動に変換するための動作方式(運動変換方式)が決定される。すなわち、運動変換方式として、リングシャフト2の回転運動によりサンシャフト3を直線運動させる太陽軸変位方式と、サンシャフト3の回転運動によりリングシャフト2を直線運動させる円環軸変位方式とのいずれかを選択することができる。以下、各運動変換方式における回転直線運動変換機構1の動作態様について説明する。
(A)運動変換方式として太陽軸変位方式が採用されている場合においては、次のように回転運動から直線運動への変換が行われる。すなわち、リングシャフト2に回転運動を入力したとき、前面リングギア22と各前面プラネタリギア42との噛み合い、背面リングギア23と各背面プラネタリギア43との噛み合い、及び雌ねじ24と各雄ねじ44との噛み合いを通じて、リングシャフト2から各プラネタリシャフト4に力が伝達されることにより、各プラネタリシャフト4がサンシャフト3のまわりにおいて自転しつつ公転する。そして、このプラネタリシャフト4の遊星運動にともない、各前面プラネタリギア42と前面サンギア32との噛み合い、各背面プラネタリギア43と背面サンギア33との噛み合い、及び各雄ねじ44と雄ねじ34との噛み合いを通じて各プラネタリシャフト4からサンシャフト3に力が伝達されることにより、サンシャフト3が軸方向へ変位する。
(B)運動変換方式として円環軸変位方式が採用されている場合においては、次のように回転運動から直線運動への変換が行われる。すなわち、サンシャフト3に回転運動を入力したとき、前面サンギア32と各前面プラネタリギア42との噛み合い、背面サンギア33と各背面プラネタリギア43との噛み合い、及び雄ねじ34と各雄ねじ44との噛み合いを通じて、サンシャフト3から各プラネタリシャフト4に力が伝達されることにより、各プラネタリシャフト4がサンシャフト3のまわりにおいて自転しつつ公転する。そして、このプラネタリシャフト4の遊星運動にともない、各前面プラネタリギア42と前面リングギア22との噛み合い、各背面プラネタリギア43と背面リングギア23との噛み合い、及び各雄ねじ44と雌ねじ24との噛み合いを通じて各プラネタリシャフト4からリングシャフト2に力が伝達されることにより、リングシャフト2が軸方向へ変位する。
<回転直線運動変換機構の製造方法>
図10〜図20を参照して、回転直線運動変換機構1の製造方法について説明する。本実施形態の製造方法においては、以下に示す工程A〜工程Jを含めて回転直線運動変換機構1の製造が行われる。なお、ここでは9本のプラネタリシャフト4を備える回転直線運動変換機構1を想定している。
[工程A(図10)]リングシャフト本体21、サンシャフト本体31、プラネタリシャフト本体41、前面リングギア22、背面リングギア23、背面サンギア33及び背面プラネタリギア43の各構成要素を洗浄する。
[工程B(図11)]サンシャフト本体31を基本治具61に取り付ける。
図12を参照して、基本治具61の構造について説明する。
・図12(A)は、基本治具61の正面構造を示す。
・図12(B)は、DD−DD線に沿った基本治具61の断面構造を示す。
基本治具61は、サンシャフト本体31を固定するための太陽治具62とプラネタリシャフト本体41の前面側シャフト41Fを支持するための遊星治具63とを備えて構成されている。すなわち、回転直線運動変換機構1に備えられるプラネタリシャフト4の数と同じ数の遊星治具63が太陽治具62と一体に形成されている。
太陽治具62は、挿入孔62Hにサンシャフト本体31を挿入した状態において自身の中心線(挿入孔62Hの中心線)がサンシャフト本体31の中心線と整合するように構成されている。各遊星治具63は、それぞれの中心線が挿入孔62Hの中心線まわりにおいて等間隔となるように構成されている。太陽治具62及び各遊星治具63は、それぞれの中心線が互いに平行となるように構成されている。各遊星治具63の先端部には、プラネタリシャフト本体41の前面側シャフト41Fの形状に対応した支持穴63Hが形成されている。
各プラネタリシャフト本体41は、自身の中心線と遊星治具63の中心線とが整合する状態で前面側シャフト41Fが支持穴63Hにはめ込まれたとき、平行姿勢の状態でサンシャフト本体31のまわりにおいて等間隔に配置されるようになる。
工程Bにおいては、具体的には次の(a)及び(b)の作業を通じてサンシャフト本体31を基本治具61に取り付ける。
(a):サンシャフト本体31において前面サンギア32よりも前面側に位置する部位を太陽治具62に挿入する。
(b):サンシャフト本体31を太陽治具62に固定する。
[工程C(図13)]サンシャフト本体31と各プラネタリシャフト本体41との組み合わせにより構成される集合体(第1アッセンブリ91(第1集合体))を組み立てる。すなわち、サンシャフト本体31に対して各プラネタリシャフト本体41を組み付けることにより第1アッセンブリ91を組み立てる。具体的には、次の(a)及び(b)の作業を通じて第1アッセンブリ91の組み立てを行う。
(a):プラネタリシャフト本体41の中心線が遊星治具63の中心線と整合するように、各プラネタリシャフト本体41の前面側シャフト41Fを遊星治具63に取り付ける。
(b):サンシャフト本体31の雄ねじ34と各プラネタリシャフト本体41の雄ねじ44とを噛み合わせるとともに前面サンギア32と各前面プラネタリギア42とを噛み合わせる。
[工程D(図14)]第1アッセンブリ91の各プラネタリシャフト本体41にリテーナ64を装着する。
図15を参照して、リテーナ64の構造について説明する。
・図15(A)は、リテーナ64の平面構造を示す。
・図15(B)は、DD−DD線に沿ったリテーナ64の断面構造を示す。
リテーナ64は、プラネタリシャフト本体41の背面側シャフト41Rに背面プラネタリギア43を組み付けるための余地を残した状態で各プラネタリシャフト本体41の背面側シャフト41Rを一括して支持するための治具として構成されている。すなわち、リテーナ64には、サンシャフト本体31を挿入するための太陽軸受孔64Sと背面側シャフト41Rを挿入するための複数の遊星軸受孔64Pとが形成されている。また、軸方向の長さが背面側シャフト41Rの軸方向の長さよりも十分に小さく設定されている。
太陽軸受孔64Sは、リテーナ64を第1アッセンブリ91に装着した状態において自身の中心線がサンシャフト本体31の中心線と整合するように形成されている。各遊星軸受孔64Pは、それぞれの中心線の間隔が太陽軸受孔64Sの中心線まわりにおいて等間隔となるように形成されている。太陽軸受孔64S及び各遊星軸受孔64Pは、それぞれの中心線が互いに平行となるように形成されている。
これにより、プラネタリシャフト本体41の中心線と遊星軸受孔64Pの中心線とが整合する状態で背面側シャフト41Rが遊星軸受孔64Pに挿入されたとき、各プラネタリシャフト本体41が平行姿勢の状態でサンシャフト本体31のまわりにおいて等間隔に配置される。本実施形態の製造方法では、基本治具61に固定された状態の第1アッセンブリ91にリテーナ64を装着するようにしているため、リテーナ64の各遊星軸受孔64P及び基本治具61の各遊星治具63について、対応する遊星軸受孔64Pの中心線と遊星治具63の中心線とを整合させることにより、各プラネタリシャフト本体41が平行姿勢に保持されるようになる。
リテーナ64の素材としては、次の「条件A」を満たすものが採用される。すなわち、リングシャフト2、サンシャフト3及びプラネタリシャフト4よりも低い融点を有することを「条件A」として、この条件を満たすものがリテーナ64の素材として採用される。
「条件A」は、具体的には次のように設定することができる。すなわち、回転直線運動変換機構1に対して要求される機械的性質を要求性質とし、回転直線運動変換機構1の組立過程における構成要素の集合体を特定集合体とし、特定集合体を加熱した場合においても同特定集合体の機械的性質が要求性質に維持される温度領域を基準温度領域TXとして、同基準温度領域TX内における加熱を通じて溶融することを「条件A」として設定することができる。また、基準温度領域TXは、特定集合体を加熱した場合においても同特定集合体が焼鈍されない温度領域として設定することができる。こうした条件を満たすリテーナ64の素材の一例としては、例えばろうやパラフィンを主成分としたものが挙げられる。
本実施形態においては、リテーナ64として上述した条件を満たすものを採用するようにしている。従って、リテーナ64の融点TLが基準温度領域TXに属する。また、基準温度領域TXに属する温度のうちで最も高い温度を基準温度THとしたとき、リテーナ64の融点TLが基準温度TH未満の温度となる。
工程Dにおいては、具体的には次の(a)〜(c)の作業を通じてリテーナ64を第1アッセンブリ91に取り付ける。
(a):各プラネタリシャフト本体41の姿勢を平行姿勢に保持する。
(b):各遊星軸受孔64Pの中心線を対応する遊星治具63の中心線と整合させる。
(c):上記(b)の作業の後にリテーナ64を第1アッセンブリ91に装着する。すなわち、各プラネタリシャフト本体41の背面側シャフト41Rを遊星軸受孔64Pに挿入する。
[工程E(図16)]第1アッセンブリ91と前面リングギア22との組み合わせにより構成される集合体(第2アッセンブリ92)を組み立てる。すなわち、第1アッセンブリ91に対して前面リングギア22を組み付けることにより第2アッセンブリ92を組み立てる。具体的には、次の(a)及び(b)の作業を通じて第2アッセンブリ92の組み立てを行う。
(a):第1アッセンブリ91の背面側においてサンシャフト本体31の中心線と自身の中心線とが整合する位置に前面リングギア22を配置する。
(b):前面リングギア22と各前面プラネタリギア42とを噛み合わせる。
[工程F(図17)]第2アッセンブリ92とリングシャフト本体21との組み合わせにより構成される集合体(第3アッセンブリ93(第2集合体))を組み立てる。すなわち、第2アッセンブリ92に対してリングシャフト本体21を組み付けることにより第3アッセンブリ93を組み立てる。具体的には、次の(a)〜(c)の作業を通じて第3アッセンブリ93の組み立てを行う。
(a):第2アッセンブリ92の背面側においてサンシャフト本体31の中心線と自身の中心線とが整合する位置にリングシャフト本体21を配置する。
(b):リングシャフト本体21の雌ねじ24を各プラネタリシャフト本体41の雄ねじ44に噛み合わせて所定の位置までねじ込む。
(c):前面リングギア22を本体ギア部21Bに圧入することによりリングシャフト本体21に固定する。
[工程G(図18)]背面リングギア23と背面サンギア33と各背面プラネタリギア43との組み合わせにより構成される集合体(ギアアッセンブリ99)を組み立てる。具体的には、ギアアッセンブリ99を組み立てるための作業及びそれに付随する作業として次の(a)及び(b)の作業を行う。
(a):背面リングギア23、背面サンギア33及び各背面プラネタリギア43を歯車治具65の対応する位置に取り付ける。すなわち、歯車治具65上において、背面リングギア23及び背面サンギア33と各背面プラネタリギア43とを噛み合わせる。この作業を通じて、背面リングギア23の中心線と背面サンギア33の中心線とが整合した状態かつ各背面プラネタリギア43の中心線が背面サンギア33の中心線に対して平行となる状態でギアアッセンブリ99が組み立てられる。
(b):ギアアッセンブリ99を歯車治具65から取り外した後、背面リングギア23及び背面サンギア33の中心線が第3アッセンブリ93のリングシャフト本体21の中心線と整合する位置にギアアッセンブリ99を移動する。この作業を通じて、背面リングギア23及び背面サンギア33が整合姿勢に保持されるとともに各背面プラネタリギア43が平行姿勢に保持される。
[工程H(図19)]第3アッセンブリ93とギアアッセンブリ99との組み合わせにより構成される集合体(第4アッセンブリ94(第3集合体))を組み立てる。すなわち、第3アッセンブリ93に対してギアアッセンブリ99を組み付けることにより第4アッセンブリ94を組み立てる。具体的には、次の(a)〜(c)の作業を通じて第4アッセンブリ94の組み立てを行う。
(a):ギアアッセンブリ99の各背面プラネタリギア43を対応するプラネタリシャフト本体41の背面側シャフト41Rに取り付ける。
(b):背面リングギア23をリングシャフト本体21の本体ギア部21Cにはめ合わせた後、リングシャフト本体21に圧入する。
(c):背面サンギア33をサンシャフト本体31の本体ギア部31Cにはめ合わせた後、サンシャフト本体31に圧入する。
[工程I(図20)]第4アッセンブリ94の加熱を通じてリテーナ64を除去する。具体的には、次の(a)〜(c)の作業を通じてリテーナ64の除去を行う。
(a):第4アッセンブリ94を加熱装置71内に配置する。
(b):加熱装置71を通じて第4アッセンブリ94を加熱前の温度からリテーナ64の融点TL以上かつ基準温度TH未満の温度まで加熱する。
(c):一定時間にわたって第4アッセンブリ94の温度を上記(b)の作業にて得られた温度に維持する。これにより、リテーナ64が溶融するため第4アッセンブリ94からリテーナ64が除去される。
[工程J(図21)]第4アッセンブリ94と前面カラー51及び背面カラー52との組み合わせにより構成される集合体(回転直線運動変換機構1)を組み立てる。すなわち、第4アッセンブリ94に対して前面カラー51及び背面カラー52を組み付けることにより回転直線運動変換機構1を組み立てる。具体的には、次の(a)及び(b)の作業を通じて回転直線運動変換機構1の組み立てを行う。
(a):前面カラー51にOリング53を装着した後、リングシャフト本体21の本体ギア部21Bに前面カラー51を取り付ける。
(b):背面カラー52にOリング53を装着した後、リングシャフト本体21の本体ギア部21Cに背面カラー52を取り付ける。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この実施形態にかかる回転直線運動変換機構の製造方法によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)回転直線運動変換機構1においては、リングシャフト2、サンシャフト3及び各プラネタリシャフト4のねじの条数が異なる値に設定されるため、リングシャフト2の雌ねじ24及びサンシャフト3の雄ねじ34と各プラネタリシャフト4の雄ねじ44とが噛み合わされたときにこれらねじの間にバックラッシが形成される。また、このバックラッシの大きさは各ねじの条数の設定態様に応じて異なる。こうしたことから、回転直線運動変換機構1の製造過程において各構成要素の組み合わせにともないプラネタリシャフト本体41に力が加えられたとき、プラネタリシャフト本体41が上記バックラッシをうめる方向へ動かされることによりプラネタリシャフト本体41が平行姿勢に対して傾いた状態で回転直線運動変換機構1が組み立てられることもある。
例えば、回転直線運動変換機構1の製造に際して、本実施形態のようにサンシャフト本体31と各プラネタリシャフト本体41とを組み合わせた後にリングシャフト本体21を各プラネタリシャフト本体41に組み付ける場合には、次のようにプラネタリシャフト本体41の傾きが生じる。すなわち、リングシャフト本体21の雌ねじ24を各プラネタリシャフト本体41の雄ねじ44に噛み合わせるとき、リングシャフト本体21から各プラネタリシャフト本体41に力が加えられることによりプラネタリシャフト本体41が上記バックラッシをうめる方向へ動かされるため、プラネタリシャフト本体41の傾きが生じるようになる。
この点、本実施形態の製造方法では、基本治具61及びリテーナ64により各プラネタリシャフト本体41を拘束した状態で第3アッセンブリ93を組み立てるようにしているため、リングシャフト本体21を第2アッセンブリ92に組み付けるときに各プラネタリシャフト本体41が一定の姿勢(平行姿勢)に保持されるようになる。これにより、プラネタリシャフト4が傾いた状態で回転直線運動変換機構1が組み立てられることを抑制することができるようになる。
(2)リングシャフト本体21の組み付けにともなう各プラネタリシャフト本体41の傾きを抑制する製造方法として、本実施形態のリテーナ64に代えて金属製のリテーナまたは基本治具61と同様の構造の治具を用いる製造方法も考えられる。この製造方法によれば、リテーナまたは治具を装着した状態の第2アッセンブリ92にリングシャフト本体21を組み付けることにより各プラネタリシャフト本体41の傾きを抑制することができるものの、各プラネタリシャフト本体41に背面プラネタリギア43を組み付けるとき(第3アッセンブリ93に対してギアアッセンブリ99を組み付ける工程に相当)、上記リテーナまたは治具を各プラネタリシャフト本体41から取り外す必要がある。すなわち、前面リングギア22及び前面サンギア32と各前面プラネタリギア42とが噛み合わされた状態かつ背面リングギア23及び背面サンギア33と各背面プラネタリギア43とが噛み合わされた状態のアッセンブリ(基準アッセンブリ(本実施形態の第4アッセンブリ94に相当))を組み立てる前にリテーナまたは治具を取り外す必要が生じる。
このように、上記製造方法においては、各プラネタリシャフト本体41の背面プラネタリギア43が対応するギアと噛み合わされていない状態でリテーナまたは治具が取り外されるため、背面プラネタリギア43の組み付けに際してプラネタリシャフト本体41の傾きが生じることもある。ちなみに、回転直線運動変換機構1においては、上記各ねじの間のバックラッシに起因してねじの噛み合いだけではプラネタリシャフト本体41の姿勢が十分に拘束されないこともある。このとき、上記基準アッセンブリ(本実施形態においては第4アッセンブリ94)の組み立て前にリテーナまたは治具が取り外されることにより、プラネタリシャフト本体41の傾きが生じるようになる。一方で、基準アッセンブリにおいてはプラネタリシャフト本体41の両端部が各ギアの噛み合いにより拘束されるため、治具等を通じてプラネタリシャフト本体41の姿勢を拘束しなくともプラネタリシャフト本体41の傾きが抑制されるようになる。
上記製造方法に対して、本実施形態の製造方法では溶融可能なリテーナ64の装着を通じて各プラネタリシャフト本体41の背面側シャフト41Rを拘束することにより、リテーナ64を装着したままの状態で背面プラネタリギア43をプラネタリシャフト本体41に組み付けることができるようにしている。すなわち、基本治具61及びリテーナ64を通じて各プラネタリシャフト本体41の両端部が拘束された状態で背面プラネタリギア43をプラネタリシャフト本体41に組み付けることができるようにしている。従って、各プラネタリシャフト本体41に背面プラネタリギア43を組み付ける際に生じるプラネタリシャフト本体41の傾きを好適に抑制することができるようになる。
(3)回転直線運動変換機構1においては、プラネタリシャフト4が平行姿勢に対して傾いているとき、リングシャフト2及びサンシャフト3と各プラネタリシャフト4との間においてねじの噛み合いが不均一になるため、局部的にねじの摩耗が促進することにより寿命の低下をまねくようになる。また、リングシャフト2及びサンシャフト3と各プラネタリシャフト4との間におけるフリクションが増大するため、回転運動から直線運動への変換効率の低下をまねくようにもなる。
この点、本実施形態の製造方法によれば、回転直線運動変換機構1の組み立てにともなうプラネタリシャフト本体41の傾きが抑制されるため、回転直線運動変換機構1の寿命の向上及び回転運動から直線運動への変換効率の向上を図ることができるようになる。
(4)回転直線運動変換機構1の製造過程において、第3アッセンブリ93のプラネタリシャフト本体41が平行姿勢に対して過度に傾いている場合、ギアアッセンブリ99の各背面プラネタリギア43をプラネタリシャフト本体41の背面側シャフト41Rに組み付けることができなくなる。すなわち、ギアアッセンブリ99を第3アッセンブリ93に組み付けることができなくなる。こうした事態が生じた場合には、組み付け作業が一時的に中断されるため、生産性の低下をまねくようになる。
この点、本実施形態の製造方法では、基本治具61及びリテーナ64により各プラネタリシャフト本体41を平行姿勢に保持した状態で第3アッセンブリ93とギアアッセンブリ99とを組み合わせるようにしているため、ギアアッセンブリ99が的確に第3アッセンブリ93に組み付けられるようになる。これにより、生産性の低下をまねくことを抑制することができるようになる。
(5)回転直線運動変換機構1の製造過程において、第3アッセンブリ93のプラネタリシャフト本体41が平行姿勢に対して傾いているものの傾き度合いが比較的小さい場合には、ギアアッセンブリ99の各背面プラネタリギア43をプラネタリシャフト本体41の背面側シャフト41Rに組み付けることが可能となる。しかし、この場合には新たに次のような問題が生じる。すなわち、各背面プラネタリギア43がプラネタリシャフト本体41の姿勢に追従して傾いた状態で背面側シャフト41Rに組み付けられるため、各背面プラネタリギア43が平行姿勢に対して傾いた状態で背面リングギア23及び背面サンギア33に噛み合わされるようになる。これにより、リングシャフト2及びサンシャフト3と各プラネタリシャフト4との間においてギアの噛み合いが不均一になるため、局部的にギアの摩耗が促進することにより回転直線運動変換機構1の寿命の低下をまねくようになる。また、リングシャフト2及びサンシャフト3と各プラネタリシャフト4との間におけるフリクションが増大するため、回転運動から直線運動への変換効率の低下をまねくようにもなる。
この点、本実施形態の製造方法では、基本治具61及びリテーナ64により各プラネタリシャフト本体41を平行姿勢に保持した状態で第3アッセンブリ93とギアアッセンブリ99とを組み合わせるようにしているため、各背面プラネタリギア43が傾いた状態で背面リングギア23及び背面サンギア33と噛み合わされることが抑制されるようになる。これにより、回転直線運動変換機構1の寿命の向上及び回転運動から直線運動への変換効率の向上を図ることができるようになる。
(6)本実施形態の製造方法では、リテーナ64として基準温度TH未満の融点TLを有するものを採用するようにしている。これにより、第4アッセンブリ94の加熱を通じてリテーナ64を溶融させる際に、第4アッセンブリ94の機械的性質を要求性質に維持することができるようになる。すなわち、第4アッセンブリ94の各構成要素を焼鈍させることなくリテーナ64を除去することができるようになる。
(7)本実施形態の製造方法では、第4アッセンブリ94をリテーナ64の融点TL以上かつ基準温度TH未満の温度まで加熱してリテーナ64を溶融させるようにしている。これにより、リテーナ64が除去された状態で回転直線運動変換機構1を組み立てることと、機械的性質を要求性質に維持した状態で回転直線運動変換機構1を組み立てることとの両立を実現することができるようになる。すなわち、リテーナ64が除去された状態で回転直線運動変換機構1を組み立てることと、各構成要素が焼鈍されていない状態で回転直線運動変換機構1を組み立てることとの両立を実現することができるようになる。
<実施形態の変更例>
なお、上記実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、第3アッセンブリ93とギアアッセンブリ99との組み合わせを通じて第4アッセンブリ94を組み立てるようにしたが、第4アッセンブリ94の組み立て手順を例えば次の(A)〜(C)のいずれかに変更することもできる。
(A)背面リングギア23、背面サンギア33及び各背面プラネタリギア43を個別に第3アッセンブリ93に組み付けることにより、第4アッセンブリ94を組み立てる。
(B)背面リングギア23と各背面プラネタリギア43との組み合わせにより構成されるアッセンブリと背面サンギア33とを個別に第3アッセンブリ93に組み付けることにより、第4アッセンブリ94を組み立てる。
(C)背面サンギア33と各背面プラネタリギア43との組み合わせにより構成されるアッセンブリと背面リングギア23とを個別に第3アッセンブリ93に組み付けることにより、第4アッセンブリ94を組み立てる。
・上記実施形態においては、第2アッセンブリ92に対してリングシャフト本体21を組み付けることにより第3アッセンブリ93を組み立てる製造方法を採用したが、第3アッセンブリ93を組み立てるまでの過程を次のように変更することもできる。すなわち、リングシャフト本体21と各プラネタリシャフト本体41と前面リングギア22との組み合わせにより構成される集合体(リングアッセンブリ)を組み立てた後、このアッセンブリに対してサンシャフト本体31を組み付けることにより第3アッセンブリ93を組み立てることもできる。こうした製造方法を採用した場合には、リングアッセンブリの各プラネタリシャフト本体41にリテーナ64を装着することにより、サンシャフト本体31をリングアッセンブリに組み付ける際に生じる各プラネタリシャフト本体41の傾きを抑制することができるようになる。また、第4アッセンブリ94が組み立てられるまでリテーナ64の除去を行わないことにより、各プラネタリシャフト本体41に背面プラネタリギア43を組み付ける際に生じるプラネタリシャフト本体41の傾きを抑制することができるようになる。
・本発明の適用対象となる回転直線運動変換機構は、上記実施形態にて例示した構造の回転直線運動変換機構に限られるものではない。要するに、リングシャフトの雌ねじ及びサンシャフトの雄ねじと各プラネタリシャフトの雄ねじとの噛み合いを通じてこれらシャフト間で力の伝達が行われること、プラネタリシャフトの両端部に設けられたプラネタリギアの少なくとも一方がシャフト本体と各別に形成されること、並びにリングシャフト及びサンシャフトの一方の回転運動にともなうプラネタリシャフトの遊星運動を通じてリングシャフト及びサンシャフトの他方が直線運動することを要件として構成される回転直線運動変換機構であれば、その製造方法として本発明を具体化することができる。
本発明にかかる回転直線運動変換機構の製造方法を具体化した実施形態について、回転直線運動変換機構の斜視構造を示す斜視図。 同実施形態の回転直線運動変換機構について、その内部構造を示す斜視図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構を構成するリングシャフトについて、その中心線に沿った断面構造を示す断面図。(B)同リングシャフトについて、その一部を分解した状態の断面構造を示す断面図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構を構成するサンシャフトについて、その正面構造を示す正面図。(B)同サンシャフトについて、その一部を分解した状態の正面構造を示す正面図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構を構成するプラネタリシャフトについて、その正面構造を示す正面図。(B)同プラネタリシャフトについて、その一部を分解した状態の正面構造を示す正面図。(C)同プラネタリシャフトを構成する背面プラネタリギアについて、その中心線に沿った断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構について、その中心線に沿った断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構について、図6のDA−DA線に沿った断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構について、図6のDB−DB線に沿った断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構について、図6のDC−DC線に沿った断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、工程Aにおける作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、工程Bにおける作業態様を示す工程図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法において使用される基本治具について、その正面構造を示す正面図。(B)同基本治具について、図12(A)のDD−DD線に沿った断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、工程Cにおける作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、工程Dにおける作業態様を示す工程図。 (A)同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法において使用されるリテーナについて、その正面構造を示す正面図。(B)同リテーナについて、図15(A)のDE−DE線に沿った断面構造を示す断面図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、工程Eにおける作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、工程Fにおける作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、工程Gにおける作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、工程Hにおける作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、工程Iにおける作業態様を示す工程図。 同実施形態の回転直線運動変換機構の製造方法について、工程Jにおける作業態様を示す工程図。
符号の説明
1…回転直線運動変換機構、2…リングシャフト、21…リングシャフト本体、21A…本体ねじ部、21B…本体ギア部、21C…本体ギア部、22…前面リングギア、23…背面リングギア、24…雌ねじ、3…サンシャフト、31…サンシャフト本体、31A…本体ねじ部、31B…本体ギア部、31C…本体ギア部、32…前面サンギア、33…背面サンギア、34…雄ねじ、4…プラネタリシャフト、41…プラネタリシャフト本体、41A…本体ねじ部、41B…本体ギア部、41F…前面側シャフト、41R…背面側シャフト、42…前面プラネタリギア、43…背面プラネタリギア、43H…軸受孔、44…雄ねじ、51…前面カラー、51A…ベアリング、51H…油孔、52…背面カラー、52A…ベアリング、53…Oリング、61…基本治具、62…太陽治具、62H…挿入孔、63…遊星治具、63H…支持穴、64…リテーナ、64S…太陽軸受孔、64P…遊星軸受孔、65…歯車治具、71…加熱装置、91…第1アッセンブリ、92…第2アッセンブリ、93…第3アッセンブリ、94…第4アッセンブリ、99…ギアアッセンブリ。

Claims (6)

  1. 軸方向へ延びる空間を内部に有する円環軸と該円環軸の内部に配置される太陽軸と該太陽軸の周囲に配置される複数の遊星軸とを備えること、
    前記円環軸が雌ねじを有する円環軸本体と内歯の円環歯車とを含めて構成されること、
    前記太陽軸が雄ねじを有する太陽軸本体と外歯の太陽歯車とを含めて構成されること、
    前記遊星軸が雄ねじを有する遊星軸本体と外歯の遊星歯車とを含めて構成されること、
    前記円環軸本体の雌ねじと前記遊星軸本体の雄ねじとが噛み合うこと、
    前記太陽軸本体の雄ねじと前記遊星軸本体の雄ねじとが噛み合うこと、
    前記円環歯車として、前記円環軸本体の一方の端部に設けられる第1円環歯車と前記円環軸本体の他方の端部に設けられる第2円環歯車とを備えること、
    前記太陽歯車として、前記太陽軸本体の一方の端部に設けられる第1太陽歯車と前記太陽軸本体の他方の端部に設けられる第2太陽歯車とを備えること、
    前記遊星歯車として、前記遊星軸本体の一方の端部に設けられる第1遊星歯車と前記遊星軸本体の他方の端部に設けられる第2遊星歯車とを備えること、
    前記第1円環歯車が前記円環軸本体とは各別に形成されること、
    前記第2太陽歯車が前記太陽軸本体とは各別に形成されること、
    前記第2遊星歯車が前記遊星軸本体とは各別に形成されること、
    前記第1円環歯車と前記第1遊星歯車とが噛み合うこと、
    前記第2円環歯車と前記第2遊星歯車とが噛み合うこと、
    前記第1太陽歯車と前記第1遊星歯車とが噛み合うこと、
    前記第2太陽歯車と前記第2遊星歯車とが噛み合うこと、
    並びに、前記円環軸及び前記太陽軸の一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸及び前記太陽軸の他方が直線運動すること
    を要件として構成される回転直線運動変換機構について、
    次の各工程を含めてその製造を行う
    「前記太陽軸本体と前記遊星軸本体との組み合わせにより構成される集合体を第1集合体として、該第1集合体を組み立てる第1工程」
    「前記遊星軸本体の中心線が前記太陽軸本体の中心線に対して平行となる前記遊星軸本体の姿勢を基準姿勢とし、前記第1遊星歯車が設けられる前記遊星軸本体の端部を前面側端部とし、前記第2遊星歯車が設けられる前記遊星軸本体の端部を背面側端部とし、前記複数の遊星軸本体の前面側端部を一括して支持する治具を前面側治具とし、前記第2遊星歯車を組み付けるための余地を残した状態で前記複数の遊星軸本体の背面側端部を一括して支持できること、並びに前記円環軸、前記太陽軸及び前記遊星軸よりも融点が低いことを要件として構成される治具を背面側治具として、前記第1集合体に前記前面側治具及び前記背面側治具を装着することにより前記遊星軸本体を前記基準姿勢に保持する第2工程」
    「前記第1集合体と前記円環軸本体との組み合わせにより構成される集合体を第2集合体として、前記第2工程を経た後に該第2集合体を組み立てる第3工程」
    「前記第2集合体と前記第2遊星歯車との組み合わせにより構成される集合体を第3集合体として、該第3集合体を組み立てる第4工程」
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  2. 軸方向へ延びる空間を内部に有する円環軸と該円環軸の内部に配置される太陽軸と該太陽軸の周囲に配置される複数の遊星軸とを備えること、
    前記円環軸が雌ねじを有する円環軸本体と内歯の円環歯車とを含めて構成されること、
    前記太陽軸が雄ねじを有する太陽軸本体と外歯の太陽歯車とを含めて構成されること、
    前記遊星軸が雄ねじを有する遊星軸本体と外歯の遊星歯車とを含めて構成されること、
    前記円環軸本体の雌ねじと前記遊星軸本体の雄ねじとが噛み合うこと、
    前記太陽軸本体の雄ねじと前記遊星軸本体の雄ねじとが噛み合うこと、
    前記円環歯車として、前記円環軸本体の一方の端部に設けられる第1円環歯車と前記円環軸本体の他方の端部に設けられる第2円環歯車とを備えること、
    前記太陽歯車として、前記太陽軸本体の一方の端部に設けられる第1太陽歯車と前記太陽軸本体の他方の端部に設けられる第2太陽歯車とを備えること、
    前記遊星歯車として、前記遊星軸本体の一方の端部に設けられる第1遊星歯車と前記遊星軸本体の他方の端部に設けられる第2遊星歯車とを備えること、
    前記第2円環歯車が前記円環軸本体とは各別に形成されること、
    前記第1太陽歯車が前記太陽軸本体とは各別に形成されること、
    前記第2遊星歯車が前記遊星軸本体とは各別に形成されること、
    前記第1円環歯車と前記第1遊星歯車とが噛み合うこと、
    前記第2円環歯車と前記第2遊星歯車とが噛み合うこと、
    前記第1太陽歯車と前記第1遊星歯車とが噛み合うこと、
    前記第2太陽歯車と前記第2遊星歯車とが噛み合うこと、
    並びに、前記円環軸及び前記太陽軸の一方の回転運動にともなう前記遊星軸の遊星運動を通じて前記円環軸及び前記太陽軸の他方が直線運動すること
    を要件として構成される回転直線運動変換機構について、
    次の各工程を含めてその製造を行う
    「前記円環軸本体と前記遊星軸本体との組み合わせにより構成される集合体を第1集合体として、該第1集合体を組み立てる第1工程」
    「前記遊星軸本体の中心線が前記円環軸本体の中心線に対して平行となる前記遊星軸本体の姿勢を基準姿勢とし、前記第1遊星歯車が設けられる前記遊星軸本体の端部を前面側端部とし、前記第2遊星歯車が設けられる前記遊星軸本体の端部を背面側端部とし、前記複数の遊星軸本体の前面側端部を一括して支持する治具を前面側治具とし、前記第2遊星歯車を組み付けるための余地を残した状態で前記複数の遊星軸本体の背面側端部を一括して支持できること、並びに前記円環軸、前記太陽軸及び前記遊星軸よりも融点が低いことを要件として構成される治具を背面側治具として、前記第1集合体に前記前面側治具及び前記背面側治具を装着することにより前記遊星軸本体を前記基準姿勢に保持する第2工程」
    「前記第1集合体と前記太陽軸本体との組み合わせにより構成される集合体を第2集合体として、前記第2工程を経た後に該第2集合体を組み立てる第3工程」
    「前記第2集合体と前記第2遊星歯車との組み合わせにより構成される集合体を第3集合体として、該第3集合体を組み立てる第4工程」
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    次の工程を含めて前記回転直線運動変換機構の組み立てを行う
    「前記第3集合体を加熱することにより前記背面側治具を溶融させる第5工程」
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    当該回転直線運動変換機構に対して要求される機械的性質を要求性質とし、当該回転直線運動変換機構の組立過程における構成要素の集合体を特定集合体とし、該特定集合体を加熱しても該特定集合体の機械的性質が前記要求性質に維持される温度領域を基準温度領域とし、該基準温度領域に属する温度のうちで最も高い温度を基準温度として、前記背面側治具は該基準温度未満の融点を有するものである
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    当該回転直線運動変換機構の組立過程における構成要素の集合体を特定集合体とし、該特定集合体を加熱しても該特定集合体が焼鈍されない温度領域を基準温度領域とし、該基準温度領域に属する温度のうちで最も高い温度を基準温度として、前記背面側治具は該基準温度未満の融点を有するものである
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
  6. 請求項4または5に記載の回転直線運動変換機構の製造方法において、
    前記特定集合体を加熱して前記背面側治具を溶融させる際に前記特定集合体を前記背面側治具の融点以上かつ前記基準温度未満の温度まで加熱する
    ことを特徴とする回転直線運動変換機構の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009281442A (ja) * 2008-05-20 2009-12-03 Nippon Soken Inc 遊星差動ネジ型回転直動変換機構及びアクチュエータ

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