以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、最初に各装置の特徴的な基本構成について説明し、次に複数チャネル(マルチレーザ)の構成について説明する。
1.基本構成
(1)電圧駆動型
本実施の形態に係る電圧駆動型の面発光レーザ駆動装置は、面発光レーザの駆動電流と相補的に出力される電流を電圧源に供給することで当該電圧源の負荷変動を抑制する。
面発光レーザ駆動装置は、図1に示すように、直列に接続された終端抵抗R4及びコンデンサC1と、これらと並列に接続された面発光レーザLDとを備えている。なお、面発光レーザLDのカソード側と、コンデンサC1の他端は、それぞれ接地されている。
さらに、面発光レーザ駆動装置は、面発光レーザLDのアノード側及び終端抵抗R4に電流を供給するバイアス電流源Ibと、スイッチSW1を介して電流を出力する相補電流源Isと、並列に接続された抵抗R1及びコンデンサC2に電流を供給する相補電流源Is’と、入力側がスイッチSW2に接続された電流源Iaと、ボルテージレギュレータ(電圧源)V1,V2とを備えている。
スイッチSW1は、相補電流源Isからの相補電流Isを端子a又は端子bを介して出力する。スイッチSW1の端子aはスイッチSW2の端子aに接続され、その端子bは面発光レーザLDのアノード側に接続されている。
抵抗R1及びコンデンサC2の一端は相補電流源Is’の出力側に接続され、それらの他端は接地されている。なお、コンデンサC2の端子電圧は、電流源Iaの制御電圧になる。
スイッチSW2の端子aは、抵抗R2を介して接地されている。なお、抵抗R2は、ソースタイプの電源レギュレータでも使用可能なように常時電流を流し出しておくためのものである。スイッチSW2の端子bは、抵抗R3を介して接地している。そして、スイッチSW2は、端子a又は端子bからの電流を出力する。電流源Iaの入力側はスイッチSW2の端子a又は端子bに接続され、その出力側は接地される。
電圧源V1は、接地された抵抗R3の他端に、電圧V1を印加する。電圧源V2は、抵抗R4に対して直列に接続され、また接地されたコンデンサC1の他端に接続され、さらに接地された抵抗R2の他端に接続され、電圧V2を印加する。なお、コンデンサC1は、高周波での出力インピーダンスの上昇を抑える役割を有する。コンデンサC3は相補電流源Isの制御電圧をホールドし、コンデンサC4はバイアス電流源Ibの制御電圧をホールドしている。
以上のような構成の面発光レーザ駆動装置では、バイアス電流源Ibから出力されたバイアス電流Ibは、分岐して終端抵抗R4及び面発光レーザLDを流れる。
面発光レーザLDをオンにする場合、スイッチSW1を端子bに切り替える。相補電流源Isが出力する相補電流Isは、スイッチSW1を経由して、終端抵抗R4とレーザLDに流れ込む。これにより、面発光レーザLDがオンになる。このとき、終端抵抗R4を流れる電流も増加し、相補電流Isのうち終端抵抗R4に流れる分が電圧源V2の負荷変動を引き起こす。
そこで、面発光レーザLDをオフする際、スイッチSW1を端子aに切り替え、相補電流Isを電圧源V2に直接供給する。これにより、面発光レーザLDのオン/オフに関係なく、電圧源V2に供給される電流の大きさをほぼ等しくすることができる。
しかし、相補電流Isをすべて抵抗R2に流した場合、面発光レーザLDへの分流分が考慮されてないので、補償し過ぎとなり、逆に電圧源V2の電位が逆方向に変動する。そこで、面発光レーザLDのオン/オフに同期して、別の電流源で面発光レーザLDへの分流分を補正する。
図2に示すように、面発光レーザLDの端子電圧が上昇すると、端子電圧−電流特性が直線領域になる。そのときの傾きは終端抵抗Rshとレーザの内部抵抗Rldとの並列合成抵抗の逆数となる。終端抵抗Rshと内部抵抗Rldはほぼ一定のため、直線領域においては終端抵抗Rshに流れる電流と面発光レーザLDに流れる電流との比は一定である。
ここで、面発光レーザLDがオンのときに抵抗R2を流れる電流を表す式(1)と、面発光レーザLDがオフのときに抵抗R2を流れる電流を表す式(2)とを示す。
(LDオン時のR2の電流)=α×(Is+Ib) ・・・・・(1)
(LDオフ時のR2の電流)=α×Ib+Is−Ia ・・・・・(2)
さらに、補正電流Iaを相補電流Isのミラー相補電流Is’に比例するよう設定する。すなわち、式(3)のように設定する。
Ia=Is×(1−α) ・・・・・(3)
αは、終端抵抗R4と面発光レーザLDの電流の分流比を示し、抵抗R1の値を変えることで調整することができる。式(3)を式(2)に代入すると、式(1)に一致する。つまり補正電流Iaを相補電流Isに比例して設定すると、面発光レーザLDのオン/オフに拘わらず、電圧源V2の負荷すなわち出力電圧を一定にすることができる。
分流比αを一定としたが、面発光レーザLDを流れる電流が小さいときは指数関数が含まれているため、分流比αを定数とみなすことができない。このような時には、outpの電位と電圧源V2の電位の差から、終端抵抗R4に流れる電流を算出し、この電流とIsのミラー相補電流Is’との差電流を補正電流Iaとして設定することもできる。この時は、面発光レーザLDが指数関数領域で動作しても、電圧源V2の負荷が変動することはない。
つぎに、図3に示す面発光レーザ駆動装置について説明する。ここで、スイッチSWl〜3は、連動して切り替えられる。図3では、面発光レーザLDがオンのときのスイッチSW1〜3の状態を示している。
面発光レーザLDをオフにするときは、スイッチSW3をオンにする。オペアンプA1は、抵抗R5の端子電圧が終端抵抗R4の端子電圧に等しくなるように、抵抗R5に接続された電流源Ilddに制御電圧を与える。
電流源Ildd’は、電流源Ilddとカレントミラーを構成する。そして、電流源Ildd’は、相補電流源Is’のソース相補電流Is’から、抵抗R4の端子電圧に比例した電流を差し引く動作する。したがって、電流源Ilddと電流源Ildd’のゲインと、抵抗R5の抵抗値を調整することによって、電流源Ildd’は終端抵抗R4に流れる電流に対応する電流をシンクする。この結果、抵抗R1には、相補電流Is’のうち面発光レーザLDに流れる電流に対応した電流が流れ込む。
相補電流Isからこの補正電流Iaを引くと、相補電流Isのうち面発光レーザLDをオンしたときに当該面発光レーザLDに流れていた分が差し引かれ、終端抵抗R4に流れていた分だけが抵抗R2に流れる。この結果、抵抗R2を流れる電流は、面発光レーザLDのV−I特性が非線形領域にあり、面発光レーザLDがオン/オフであっても、常に一定になる。したがって、負荷変動により電圧源V2の出力が変動するのを防止することができる。
(2)電流駆動型
電流駆動型の面発光レーザ駆動装置は、図4に示すように、面発光レーザLDに対して常時バイアス電流Ibを流すバイアス電流源Ibと、面発光レーザLDを点灯させるスイッチSWと、スイッチSWを介して面発光レーザLDに電流を供給する相補電流源Isと、補償を行うためのパルス発生部VPとを備えている。
各回路から面発光レーザLDまでの配線には一般的に寄生容量Cstが存在し、この寄生容量Cstが波形なまりの原因になっている。パルス発生部VPは、スイッチSWのオン/オフに同期して、パルス信号Vpulseを発生し、これをスピードアップコンデンサCsを介して、微分電流をレーザLDに供給する。これにより、寄生容量Cstによる立ち上がりのなまりを補償している。
補償量を最適化しなければ、図5に示すように、オーバーシュートやアンダーシュートが生じる。立ち上がった時の電圧振幅は、パルス信号Vpulseの電圧×容量Csと寄生容量Cstとの分圧比で決まり、Vpulse×Cs/(Cs+Cst)である。
定常状態で面発光レーザLDがオンの場合、面発光レーザLDの端子電圧は、図6に示すように、レーザの電圧−電流特性から定まる。面発光レーザLDにはバイアス電流Ibと相補電流Isが流れ、面発光レーザLDの端子電圧は(Vb+Vs)になる。
面発光レーザLDがオフの場合、面発光レーザLDにはバイアス電流Ibのみが流れ、このときの面発光レーザLDの端子電圧はVbとなる。したがって、補償条件は、立ち上がり時の電圧振幅と定常状態でのレーザオンとレーザオフとでの電位差が等しいことから、以下の式を満たすことである。
Vpulse×Cs/(Cs+Cst)=(Vb+Vs)−Vb=Vs
補償条件である上記式を満たすためには、Vpulseを制御したり、その他定常状態の電位を制御するのが好ましい。
Vpulseの制御は、パルス信号のhighレベルを変えればよく、回路上容易に実現でき、また補正による弊害もない。なお、面発光レーザLD個々の補償回路を設けると、Vpulse用の出力インピーダンスの低い電圧源が必要となるので、この方式は全部の面発光レーザLDの一括制御に向く。その他の定常状態の電位の制御(Vsの制御)は、APCによって(Vb+Vs)が決まってしまうので、Vbを制御すればよい。バイアス電流をレーザ毎に制御するのは容易なので実用的であるが、バイアスを下げすぎると弊害が生じるので、チャンネルch毎の微調整に向く。
図7(A)は、Vpulseで補償量を制御した場合を示す図である。制御を行う前はオーバーシュートが生じている。調整後、定常状態における面発光レーザLDがオンのときの端子電圧とオフのときの端子電圧は変化せず、オーバーシュートがなくなっている。また、図7(B)はバイアス電流Ibで補償量を制御した場合を示す図である。制御を行う前はオーバーシュートが生じている。バイアス電流Ibで調整した場合、面発光レーザLDがオフのときの端子電圧が下がり、これによりオーバーシュートが無くなる。
(Vpulse制御)
このようなオーバーシュートを除去すべく、面発光レーザ駆動装置は、図8に示すように、アンプA1,A2と、バイアス電流源Ibと、相補電流源Isと、を備えている。
バイアス電流源Ibは、可変電圧源Vbからの制御電圧に従ってバイアス電流Ibを出力し、このバイアス電流Ibを面発光レーザLDのアノード側に供給する。相補電流源Isは、可変電圧源Vsにより制御電圧が設定され、相補電流IsをスイッチSW3に供給する。スイッチSW3は、端子aを選択しているときは相補電流Isを面発光レーザLDに供給し、端子bを選択しているときは相補電流Isを外部に出力する。
アンプA1の一方の入力端子は、スイッチSW1を介して、面発光レーザLDのアノード側に接続されている。なお、コンデンサC5の一端はアンプA1とスイッチSW1の間に接続され、その他端は接地されている。アンプA1の他方の入力端子は、面発光レーザLDのアノード側に接続されている。
アンプA2の一方の入力端子は、アンプA1の出力端子に接続されている。アンプA2の他方の入力端子は、このアンプA2の出力端子に接続されている。さらに、アンプA2の出力端子は、コンデンサC2の一端に接続されている。コンデンサC2の他端は接地されている。さらに、コンデンサC2の一端はスイッチSW2の端子aに接続され、その他端はスイッチSW2の端子bに接続されている。スイッチSW2は、端子a又は端子bからのパルス信号Vpulseを、コンデンサC1を介して、面発光レーザLDのアノード側に供給する。
以上のような構成の面発光レーザ駆動装置では、図9(A)に示す時刻t2でにおいて、スイッチSW1をオンにする。これにより、コンデンサC5は、面発光レーザLDの端子電圧V2をホールドする。なお、スイッチSW2,SW3は、それぞれ端子bを選択している。
スイッチSW3を端子aに切り替え、面発光レーザLDの端子電圧が立ち上がった直後の時刻t1からt2において、アンプA1は、時刻tl〜t2までの電圧が電圧V2に一致するように、パルス信号Vpulseの電位(C2の電圧)に対して負帰還制御を行う。
電圧V1が電圧V2に一致した後、スイッチSW2を端子bに切り替える。これにより、コンデンサC2は、その時の電圧をホールドし、Vpulse電圧を自動的に設定する。当然一個のパルスで制御が完了するわけではないので、このような調整を連続してパルス信号Vpulseを収束させる。
以上のように、面発光レーザ駆動装置は、バイアス電流Ibや相補電流Isが変わって面発光レーザLDのパワーが変わっても、コンデンサC2にパルス信号Vpulseの電圧を自動的に設定することができるので、常に最適な状態になるように補償することができる。
(バイアス制御)
バイアス制御を行う面発光レーザ駆動装置は、図10に示すように、常時バイアス電流Ibを出力するバイアス電流源Ibと、相補電流源Isと、アンプA1,A2と、を備えている。
バイアス電流源Ibは、アンプA1からの制御電圧に従ってバイアス電流Ibを出力し、このバイアス電流Ibを面発光レーザLDのアノード側に供給する。相補電流源Isは、可変電圧源Vsにより制御電圧が設定され、相補電流IsをスイッチSW4に供給する。スイッチSW4は、端子aを選択しているときは相補電流Isを面発光レーザLDに供給し、端子bを選択しているときは相補電流Isを外部に出力する。
アンプA2の一方の入力端子は、定電圧源Vpulseに接続されている。その他方の入力端子は、アンプA2の出力端子に接続されている。さらに、アンプA2の出力端子は、コンデンサC3の一端に接続されている。なお、コンデンサC3の他端は接地されている。さらに、コンデンサC3の一端はスイッチSW3の端子aに接続され、その他端はスイッチSW3の端子bに接続されている。スイッチSW3は、端子a又は端子bからのパルス信号を、コンデンサC2を介して、面発光レーザLDのアノード側に供給する。
アンプA1の一方の入力端子は、面発光レーザLDのアノード側に接続されている。その他方の入力端子は、スイッチSW1を介して、面発光レーザLDのアノード側に接続されている。なお、アンプA1の他方の入力端子とスイッチSW1との間には、コンデンサC1が接続されている。コンデンサC1の他方側は、接地されている。
以上のように構成された面発光レーザ駆動装置では、図9(B)に示す時刻t2において、スイッチSW1をオンにして、電位V2をコンデンサC1にホールドしておく。なお、スイッチSW3,SW4は、それぞれ端子bを選択している。
つぎに、スイッチSW3を端子aに切り替えると、パルス信号Vpulseが立ち上がる。アンプA1は、その時の面発光レーザLDの電圧が、ホールドした電圧V2に一致するように、負帰還制御を行う。ここで、定電圧源Vpulseは固定した電圧を出力するので、面発光レーザLDがオフのときに面発光レーザLDの端子電圧が制御されると、補償が最適化される。
この面発光レーザ駆動装置は、出力インピーダンスが低い定電圧電源を必要としないので、IC化してチャンネル毎に設けることができる。このため、面発光レーザLDを個別に微調整をするのに好適である。
これらの面発光レーザ駆動装置は、面発光レーザLDの端子電圧の波形形状から補償量を決めるものである。しかし、面発光レーザLDの内部抵抗が小さい場合、面発光レーザLDがオン/オフしてもその端子電圧の変化が小さく、制御が困難である場合もある。また、温度変動など別の要因によって面発光レーザLDの端子電圧だけでは再現性が不足する場合もある。このような場合、面発光レーザLDの光量モニタ信号で制御することも可能である。
(光量を用いたVpulse制御)
このような面発光レーザ駆動装置は、図11に示すように構成されている。具体的には、上記面発光レーザ駆動装置は、面発光レーザLDにバイアス電流Ibを供給するバイアス電流源Ibと、相補電流源Is、アンプA1,A2,A3と、面発光レーザLDの光量を検出するためのフォトダイオードPDと、を備えている。
バイアス電流源Ibは、可変電圧源BIASREFからの制御電圧に従ってバイアス電流Ibを出力し、このバイアス電流Ibを面発光レーザLDのアノード側に供給する。相補電流源Isは、スイッチSW1を介してアンプA1からの制御電圧に従って相補電流Isを出力し、スイッチSW4に供給する。スイッチSW4は、端子aを選択しているときは相補電流Isを面発光レーザLDに供給し、端子bを選択しているときは相補電流Isを外部に出力する。
フォトダイオードPDのカソード側には電圧Vccが印加されている。フォトダイオードPDのアノード側は、並列に接続された抵抗Rpd及びコンデンサCstに接続されている。
アンプA1の一方の入力端子は、フォトダイオードPDのアノード側に接続されている。アンプA1の他方の入力端子は、APCの基準電圧V_APCREFを出力する電圧源APCREFに接続されている。アンプA1は、フォトダイオードPDで検出された電圧が基準電圧V_APCREFになるように、相補電流源Isの制御電圧を設定する。なお、アンプA3の2つの入力端子も同様に接続されている。アンプA2の一方の入力端子は、スイッチSW2を介して、アンプA3の出力端子に接続されている。その他、アンプA2、コンデンサC2、スイッチSW3の接続関係は、図8とほぼ同様である。但し、スイッチSW3は、コンデンサCsを介して、面発光レーザLDのアノード側に接続されている。なお、図11では、1チャンネルchのみ示しているが、他のチャンネルchについても同様に構成されている。
ところで、Vpulseの調整がうまくいっておらず、図12(A)に示すように、過補償の状態にある場合、面発光レーザLDの平均光量は1個のレーザを連続点灯して自動光量制御したときのモニタ光量の基準電圧V_APCREFにオーバーシュート分が加算され、モニタされた光量は大きくなる。図12(B)に示すように、補償量が不足している場合、アンダーシュートになり、面発光レーザLDの光量は電圧V_APCREFよりも低くなる。
そこで、この面発光レーザ駆動装置においては、複数の面発光レーザLDを交互に点灯させ、常に一個だけ発光させるようにする。アンプA3は、フォトダイオードPDによって検出された電圧が電圧V_APCREFになるように、アンプA2の出力、すなわちVpulseを制御する。そして、フォトダイオードPDによって検出された電圧がV_APCREFに一致すると、最適な状態で補償が行われる。
(光量を用いたバイアス制御)
光量を用いてバイアス制御を行う面発光レーザ駆動装置は、図13に示すように構成される。なお、図11と同じ構成の部分があるので、その箇所の説明は省略する。
アンプA2は、一方の入力端子が補償電圧源REFに接続され、他方の入力端子が出力端子に接続されているので、所定のVpulseを出力する。アンプA3は、固定値である電圧V_APCREFとフォトダイオードPDで検出された電圧を比較し、これらが一致するように、スイッチSW2を介して、制御電圧をバイアス電流源Ibに供給する。図13は、チャンネルch1のみ示しているが、他のチャンネルchについても同様に構成されている。さらに、過補償と補償不足を示した状態は、図12と同様である。
このように構成された面発光レーザ駆動装置では、面発光レーザLDのスイッチングの周波数をオペアンプA1,A2,A3とフォトダイオードPDの出力が応答しない程度に上げることによって、リップル成分を平均化し、制御精度を高くすることができる。またチャンネルch間の補償量ばらつきが少ない場合には、面発光レーザLDをチャンネルch毎に順番に点灯していけば、一括して補償量を制御することができる。
(Vpulseによる個別制御)
図11及び図13に示した面発光レーザ駆動装置は、複数の面発光レーザLDに対して一括して制御するのに好適であり、個々の面発光レーザLDの補償量を最適化することはできない。以下、個々の面発光レーザLDの補償量を最適化することについて説明する。
Vpulseで面発光レーザLDを個別に制御する面発光レーザ駆動装置は、図14に示すように構成されている。なお、アンプA3の入力端子の接続関係を除いて、図11と同様の構成である。
アンプA3の一方の入力端子は、図11と同様に、フォトダイオードPDのアノード側に接続されている。アンプA3の他方の入力端子には、電圧V_APCREFが抵抗R1及び抵抗R2によって分圧された電圧、すなわち[R2/(R1+R2)]V_APCREFが入力される。
以上のように構成された面発光レーザ駆動装置では、1個の面発光レーザLDを、図15に示すようにパルス点灯させる。このとき、フォトダイオードPDの負荷抵抗Rpdに並列に寄生容量Cstがあり、さらに面発光レーザLDの点灯周波数が高ければ、フォトダイオードPDは平均化された光量モニタ信号である電圧を出力する。
アンプA3は、この出力電圧と、自動光量制御での基準電圧V_APCREFを抵抗R1及び抵抗R2で分圧した電圧とを比較し、Vpulseを負帰還制御する。ここで、基準電圧V_APCREFの分圧比は、面発光レーザLDのパルス点灯のDutyで決めるのが好ましい。例えば、フォトダイオードPDがDuty50%で点灯する場合、電圧V_APCREFの半分がオペアンプA3の入力電圧になるように、抵抗R1及び抵抗R2を決定する。これにより、Vpulseが最適になったときに、光量モニタ信号がV_APCREF/2の電圧に一致する。
(バイアス電流による個別制御)
同様にしてバイアス電流で個々の面発光レーザLDを制御する面発光レーザ駆動装置は、図16に示すように構成されている。なお、過補償と補償不足の場合波形図は、図15と同様である。
図16に示すアンプA3は、フォトダイオードPDによって検出された電圧と、自動光量制御での基準電圧V_APCREFを抵抗R1及び抵抗R2で分圧した電圧とを比較し、バイアス電流源Ibの制御電圧を設定する。ここで、分圧比は、上述した説明と同様に、面発光レーザLDのパルス点灯のDutyで決めるのが好ましい。
(オープンループ制御)
上述した各面発光レーザ駆動装置は、精度の高い負帰還制御を行うものである。シングルモードの面発光レーザは、内部抵抗が高く電圧−電流特性が線形の特徴がある。そこで、この特徴を利用すると、オープンループ制御でもある程度の補償量を制御することができる。
例えば図17に示す面発光レーザ駆動装置は、相補電流Isを参照して補償量Vpulseを制御する。
前提として、バイアス電流源Ibには、面発光レーザLDが順バイアスされ急激に電流が増加し始めるときのバイアス電流Ibが設定されている。バイアス電流Ibに相補電流Isを重畳すると、相補電流Isの増加に対応して、面発光レーザLDの端子電圧も比例して上昇する。このとき、相補電流源Isのカレントミラー回路で生成した電流は抵抗VR1に供給され、抵抗VR1には相補電流Isに比例する端子電圧が発生する。アンプA2は、抵抗VR1の端子電圧を用いてVpulseを制御する。したがって、バイアス電流Ibに重畳した相補電流Isは、電圧振幅に比例する。これにより、抵抗VR1の値を適切に選択することによって、面発光レーザLDの光量に応じて適切な補正を行うことができる。
バィアス電流Ibは、面発光レーザLDが順バイアスされる電流に設定されている。面発光レーザLDが前述したように順バイアスされたあとは、電圧−電流特性は線形性になる。この結果、例えば相補電流Isを半分にすると、例えば図18に示すように、面発光レーザLDの端子電圧の振幅も半分になる。したがって、フィードバックを行わずに補償量を常に最適な状態にすることができる。
以上の説明で共通しているのは、パルス信号Vpulseの発生に双投のアナログスイッチを使った点である。CMOSプロセスを用いれば、このスイッチを相補電流源の電流スイッチSW4と同一構成、同一信号とすることができる。このためバイポーラを使った場合に比べて、回路構成が異なるために生じる遅延による波形歪みを抑制することができる。
(3)自動光量制御
つぎに、最初のレーザの収束時間を短くし、さらにチャンネルchを切り替えるときに生じる比較器の出力変動を抑制する自動光量制御について説明する。
このような自動光量制御を行う面発光レーザ駆動装置は、図19に示すように、n個の面発光レーザLD1〜LDnと、これらにそれぞれ電流を供給するn個の相補電流源Is1〜Isnと、各相補電流源Is1〜Isnに供給する制御電圧を設定するオペアンプOP1と、各面発光レーザLD1〜LDnの光量を検出するフォトダイオードPDと、オペアンプOP2とを備えている。
各相補電流源Is1〜Isnの入力側は、電源電圧5Vに接続されている。各相補電流源Is1〜Isnの出力側は、スイッチS1〜Snを介して、面発光レーザLD1〜LDnのアノード側に接続されている。面発光レーザLD1〜LDnのカソード側は、それぞれ接地されている。
オペアンプOP1の出力側は、スイッチSW1〜SWnにそれぞれ接続されている。各スイッチSW1〜SWnは、それぞれアンプA1〜Anを介して、相補電流源Is1〜Isnに制御電圧を供給する。オペアンプOP1の非反転入力端子は、定電圧源Vrefに接続されている。オペアンプOP1の反転入力端子は、コンデンサC1を介してオペアンプOP1の出力端子に接続され、またスイッチSWAPC1を介して増幅器AZにも接続されている。
フォトダイオードPDのカソード側には、電源電圧5Vが印加されている。フォトダイオードPDのアノード側は、抵抗Rを介して接地され、また増幅器AZ及びスイッチSWAPC1を介してオペアンプOP1の反転入力端子に接続され、さらにスイッチSWAPC2にも接続されている。
スイッチSWAPC2の端子aは、オペアンプOP2の出力端子及び反転入力端子に接続されている。スイッチSWAPC2の端子bは、オペアンプOP2の非反転入力端子に接続されている。なお、コンデンサC2の一端はオペアンプOP2の非反転入力端子に接続され、その他端は接地されている。
以上のように構成された面発光レーザ駆動装置では、自動光量制御時において、スイッチSWAPC1をオンにし、スイッチSWAPC2を端子bに切り替える。
このとき、オペアンプOP1は、増幅器AZから出力されたモニタ電圧と、基準電圧Vrefの誤差を比較検出する。この時、負帰還ループに挿入されたコンデンサC1は、オペアンプOP1の出力端子と反転入力端子の差の電圧で充電される。同時にコンデンサC2は、抵抗Rの端子電圧、すなわち電流−電圧変換されたフォトダイオードPDの出力電圧によって充電される。
自動光量制御終了時において、スイッチSWAPC1をハイインピーダンス状態、すなわちオフにし、コンデンサC1の充電電圧を自動光量制御時の値に固定する。これにより、スイッチSWAPC1が再びオンになって次の自動光量制御が開始されるまで、オペアンプOP1の反転入力端子と出力端子の電圧が保持される。
同時に、スイッチSWAPC2を端子aに切り替える。コンデンサC2は、自動光量制御終了時にフォトダイオードPDから出力された電圧で充電される。オペアンプOP2は、バッファの機能を有するので、コンデンサC2に充電されている電圧と等しい電圧を出力する。これにより、自動光量制御終了時のフォトダイオードPDの出力電圧が次の自動光量制御開始まで保持される。
以上のように、この面発光レーザ駆動装置は、自動光量制御が終了しても、その制御終了時のオペアンプOP1の出力電圧、すなわち相補電流源Is1〜Isnの制御電圧を保持し、さらに、その制御終了時のフォトダイオードPDの出力電圧を保持することができる。これにより、次の自動光量制御開始には、これらの保持した電圧を用いて制御することができるので、立ち上がりの開始を早くして収束時間を短くすることができる。
また、この面発光レーザ駆動装置は、各チャンネルchを切り替えて各面発光レーザLD1〜LDnの光量を制御するときに、オペアンプOP1の出力変動を抑制することもできる。
図20は、スイッチSW1〜SWnを連続的に切り替えて自動光量制御を行った時の収束性の結果を示すタイミングチャートである。このタイミングチャートは、前回の自動光量制御終了時にホールドしたオペアンプOP1の出力値と今回の収束値にずれがある場合に、光量制御を行うことによって収束値に収束していく様子を示している。
タイミングチャートの上段から、フォトダイオードPDに入射する光出力、オペアンプOP1の出力、チャンネル切り替えを行うスイッチSW1,SW2・・・SWnのオン/オフ、面発光レーザLD1,LD2,…LDnのオン/オフ、APCCONTのオン/オフを示している。なお、APCCONTは、いずれかのチャンネルchで自動光量制御を行っている時はオンになる。
自動光量制御では、時刻T1からチャンネルch1の制御を開始し、その後チャンネルch_nまでチャンネル切り替えを連続的に行い、これと同期して自動光量制御を行うための面発光レーザLD1〜LDnの点灯および消灯を行う。
チャンネルchの切り替えを間断なく連続的に行った場合の収束時間は、1チャンネルchずつ別個に自動光量制御を行った場合の収束の総時間に比べて、はるかに短い。また、この場合、あたかも同一チャンネルchを連続的に自動光量制御をしているのと同様に減衰しながら、目標の光出力へ収束していく。
前述した自動光量制御が終了した時点でのオペアンプOP1とフォトダイオードPDの出力をホールドし、次回の自動光量制御の初期値とする方式と併用して繰り返し自動光量制御を行うと、たとえ1チャンネル当たりの収束時間が短くとも全チャンネルで目標の光量を得ることが出来る。しかし、時間ずれが大きくなるとスイッチ切り替えにずれが生じている期間に、オペアンプOP1に入力されるモニタ電圧値が基準値Vrefとずれ,オペアンプOP1の出力が大きく変動する。このため、面発光レーザLD毎の自動光量制御収束値にばらつきを生じ、これを収束させるためには収束時間を長く取らなければならなくなる。
さらに、図21に示すタイミングチャートによると、光量制御のあとに変調期間を設けても、変調期間の間受光器出力と比段器出力とをホールドしておき、次の自動光量制御を前回の自動光量制御での最終電圧から開始することによって、変調期間なしに連続的に光量制御を行ったごとく目標光量に収束させることができる。
例えば時刻T1fにおいて、全チャンネルchで1回目の自動光量制御が終了しているが、まだオペアンプOP1の出力は収束していない。しかし、次の自動光量制御開始時(時刻T2s)において、前回終了時の時刻T1sの出力から光量制御が始まるので、連続的に光量制御を行っているのと同様に収束していく。この操作を繰り返すことでTnsでは自動光量制御が収束し、目標の光出力が得られる。
このように間欠的に自動光量制御を行った場合でも、あたかも1つの面発光レーザLDで長時間連続的に自動光量制御を行った場合と同様に収束させることができ、自動光量制御の精度を向上させることが可能である。
1回の自動光量制御が短くても、間欠的にこれを繰り返すと光量が目標値に収束する。したがって、レーザゼログラフィーのように光量制御のために連続的に光量時制御を行うと、感光体を露光させてしまいトナーの無駄や感光体の劣化につながる場合であっても、間欠的に自動光量制御を行えるので、感光体への不要な露光を防ぐことができる。特にトナーのクリーニングを省略したゼログラフィーの場合に有効である。またマルチレーザの場合、1チャンネル当たりの自動光量制御の時間が短いが、毎スキャンの光量制御を行うことができる。したがって、スキャン毎のレーザの特性変動がわずかであれば、毎スキャンの光量制御で十分に特性変動を補正することが可能である。
2.マルチレーザの構成
以下、共通電源を使用した定電圧駆動型、ダイオードを使った定電圧駆動型、定電流駆動型についてそれぞれ説明する。
(1)共通電源を用いた定電圧駆動型
定電圧駆動型の面発光用レーザ駆動装置は、図22に示すように、36チャンネルで構成され、各チャンネルchの終端抵抗R_1〜R_36に共通する電源である電圧源B5を備え、面発光レーザLD_1〜LD_36のオン/オフにかかわらず電圧源B5に流れ込む電流を一定にしたものである。
上記面発光レーザ駆動装置は、面発光レーザLD等からなる発光部10と、電流源Is,Is’,Ic等からなる電流供給部20と、比較器A2,A3等からなる設定部30と、電圧源B5,B6からなる電源部40と、フォトダイオードPDやアンプA5,A6等からなる受光部50とで構成されている。なお、発光部10及び電流供給部20は、チャンネルch毎に設けられている。
(発光部10及び電流供給部20の構成)
各チャンネルchはそれぞれ同一に構成されている。ここでは、チャンネルch1を例に挙げて説明する。
チャンネルch1は、入力側に所定の電圧が印加されている相補電流源Is,Is’と、出力側が接地されている電流源Icと、スイッチSWsh,SWs,SWcと、相補電流源Isの制御電圧をホールドするためのコンデンサCswとを備えている。
相補電流源Isの出力側は、スイッチSWsに接続されている。スイッチSWsは、相補電流源Isからの相補電流Isを端子a又は端子bを介して出力する。なお、スイッチSWsは、図23に示すものと同一であり、例えばPMOS差動構成の電流スイッチからなる。スイッチSWsの端子aは、面発光レーザLD_1のアノードに接続され、さらに終端抵抗R_1を介して電圧源B5の出力端子にも接続されている。スイッチSWsの端子bは、終端抵抗R4に接続され、また電圧源B5の出力端子にも接続されている。
スイッチSWcは、端子a又は端子bからの電流を電流源Icに供給する。なお、電流源Icの出力側は接地されている。ここで、スイッチSWcの端子aは、他のチャンネルchに備えられたスイッチSWcの端子aに接続すると共に、電圧源B6の出力側にも接続している。スイッチSWcの端子bは、スイッチSWsの端子bに接続されている。
電流源Is’は、カレントミラー回路であり、相補電流源Isが出力する相補電流Isに比例した電流Is’を共通抵抗VR1に供給する。共通抵抗VR1の端子電圧は、電流源Icの制御電圧になる。
このような構成において、面発光レーザLD_1がオフの時は、スイッチSWs及びスイッチSWcはそれぞれ端子bを選択している。スイッチSWs及びスイッチSWcがそれぞれ端子aに切り替わると、相補電流IsはスイッチSWsを経由して終端抵抗R_1に供給され、その一部の電流がレーザLD_1に流れる。このとき電流Is’は、他のチャンネルの電流Is’と合計されて抵抗VR1に供給される。この結果、共通抵抗VR1の電圧降下が生じる。電圧降下時の共通抵抗VR1による電圧で、電流源Icが制御される。電流源Is’はスイッチに接続されてなく、電流源Icの制御電圧は連続的に印加されている。
ここで、共通抵抗VR1を適当な値に調整することによって、電流IcをレーザLD_1を流れる電流に対応させる。これにより、電流源Icが出力する電流Icは、相補電流Isの一定の割合にすることができる。
面発光レーザLD_1をオフするときは、スイッチSWs及びスイッチSWcは、それぞれ端子bを選択する。相補電流源Isが出力した相補電流Isは、スイッチSWsを経由し、電流Icを差し引かれて共通の電圧源B5に供給される。電流Icは、前述したようにIsの―定割合に相当する電流である。したがって、差し引かれた後の電流(Is−Ic)は、面発光レーザLD_1がオンのときの終端抵抗R_1に流れていた電流に一致し、電圧源B5に供給される。したがって、面発光レーザLD_1がオン/オフのいずれであっても、電圧源B5に供給される電流を等しくすることができる。すなわち、電圧源B5の出力インピーダンスを一定にすることができる。
(設定部30の構成)
つぎに、各チャンネルchで共通して使用される比較器A2及び比較器A3について説明する。
比較器A3は、電圧源B5,B6の出力電位を設定するものである。コンデンサC3は、変調時に制御電圧をホールドし、次のAPCを先のAPCの最終電圧から開始させるためのものである。このため、コンデンサC3の一端は比較器A3の出力側に接続され、その他端は比較器A3の反転入力端子に接続されている。
抵抗R4の一端は、スイッチSW4の端子aに接続され、さらに電流源I1の入力側に接続されている。抵抗R4の他端は、スイッチSW4の端子bに接続され、さらに定電圧源Vrefの正極に接続されている。なお、スイッチSW4は、端子a又は端子bの電圧を比較器A3の非反転入力端子に供給する。
例えばスイッチSW4が端子aを選択すると、比較器A3の非反転入力端子には、抵抗R4を介して定電圧源Vrefの電圧Vrefが印加される。この電圧Vrefは、自動光量制御時の目標値である。スイッチSW4が端子bを選択すると、比較器A3の非反転入力端子には、低電圧(=Vref−電流I1×抵抗R4)が印加される。
比較器A3は、電圧源B5,B6の出力電圧を設定する。比較器A3の非反転入力端子は、上述したように、スイッチSW4に接続されている。比較器A3の反転入力端子は、スイッチSW2を介してアンプA5の出力端子に接続され、さらにコンデンサC3を介して比較器A3の出力端子にも接続されている。ここでは、電圧源B5,B6の出力電圧は、面発光レーザLD_1の発振閾値になるように設定される。そして、この発振閾値よりも電圧源B5,B6の出力電圧がやや低くなるようにすれば、レーザがオフの期間に発光するのを防止することができる。どれだけ低くするかは電流源I1に依存する。但し、小さくしすぎると発光を停止することができず、大きくしすぎると終端抵抗R_1に直列に接続された電圧源B5で消費電力を減らすことができない。
比較器A2は、各チャンネルchの相補電流源Isの制御電圧を設定する。比較器A2の非反転入力端子は、定電圧源Vrefに接続されている。比較器A2の反転入力端子は、スイッチSW2を介してアンプA5の出力端子に接続されている。比較器A2は、比較器A3と同様に位相補償とホールド用とを兼ねたコンデンサC2とホールドのためのスイッチSW2に接続されている。詳しくは、コンデンサC2の一端は比較器A2の出力端子に接続され、その他端は比較器A2の反転入力端子に接続されている。
比較器A2,A3は、さらにリミッター電圧が入力されている。リミッター付き演算増幅器である比較器A2,A3は、例えば図24に示すCMOSで構成されている。
ここで、面発光レーザLD_1は、電流を増加しても光量が減少する領域がある。そこで、面発光レーザLD_1の光量が減少し始める電圧よりも小さい電圧を設定するために、比較器A3にはリミッター電圧Vlimit2が設定されている。また上記と同様に、相補電流Isが増加しても、面発光レーザLD_1の光量が減少する領域がある。そこで、この領域に入らないように相補電流源Isの制御電圧を設定すべく、比較器A2にはリミッター電圧Vlimit1が設定されている。なお、定電圧源Vrefの電圧Vrefは、目標光量を得たときの受光器出力電圧である。
(電源部30の構成)
電圧源B5は、各チャンネルch共通の電圧源である。電圧源B5の出力端子は、終端抵抗R_1を介して面発光レーザLD_1のアノードに接続されている。他のチャンネルchでも同様に、電圧源B5の出力端子は、終端抵抗R_2〜R_36を介して、面発光レーザLD_2〜LD_36のアノードに接続されている。なお、各面発光レーザLD_1〜LD_36のカソードは、接地されている。
電圧源B6は、面発光レーザLD_1がオンの際(スイッチSWcが端子aを選択する際)に、各チャンネルchの補正電流Icを固定すべく、電流源Icに制御電圧を与える。これにより、スイッチSWcのスイッチングスピードが低下するのを防止している。
(受光部50の構成)
面発光レーザLD_1〜LD_36は、光学的に1個の受光器であるフォトダイオードPDに結合されている。フォトダイオードPDのカソード側には所定の電圧が印加されている。フォトダイオードPDのアノード側は、スイッチSW5を介して、抵抗R5又は抵抗R6に接続される。なお、抵抗R5及び抵抗R6の他端は接地されている。抵抗R5及び抵抗6は、以下の関係がある。
(抵抗R6の抵抗値)=(抵抗R5の抵抗値)×(ビーム数(=36))
1ビーム当たりの光量が等しい場合において、上記式によれば、1ビームを点灯して抵抗R6を接続したときのその端子電圧と、全ビームを点灯して抵抗R5を接続したときのその端子電圧とが、等しくなるようになっている。これにより、全ビームを点灯して低い抵抗R5で出力した場合の方が、受光器の時定数を1/ビーム数に減らすことができ、APCの収束時間を短くすることができる。特に、電源投入時など収束に時間が必要な場合に有効である。
スイッチSW6は、抵抗R5又は抵抗R6の端子電圧をアンプA5の非反転入力端子に供給し、さらにその端子電圧をスイッチSW7にも供給する。アンプA5の反転入力端子は、抵抗R7を介して接地され、さらに抵抗R8を介してアンプA5の出力端子に接続されている。したがって、アンプA5は、非反転入力端子に入力される電圧を増幅し、出力端子を介して出力する。
スイッチSW7は、端子a又は端子bを選択する。スイッチSW7の端子aは、アンプA6の非反転入力端子に接続され、さらにコンデンサC6を介して接地されている。スイッチSW7の端子bは、アンプA6の反転入力端子及び出力端子に接続されている。
アンプA6、コンデンサC6、スイッチSW7は、抵抗R5又は抵抗R6の端子電圧をホールドする機能を有する。自動光量制御時において、スイッチSW7は、端子aを選択してコンデンサC6側に接続する。そして、抵抗R5又は抵抗R6の端子電圧は、コンデンサC6に供給される。自動光量制御が終了すると、スイッチSW7は、端子bを選択しアンプA6の出力端子に接続する。そして、APCの最終電圧、すなわちコンデンサC6の電圧は、アンプA6の出力端子から出力され、アンプA5の非反転入力端子に供給される。すなわち、抵抗R5又は抵抗R6の端子電圧がホールドされる。
(全体動作)
これらの動作をタイムチャート図25及び図26を用いて説明する。なお、図22に示す各双投スイッチSWの状態はレーザオフの状態であり、各双投スイッチが切り替わるとレーザオンになる。これは以降の説明でも同様である。
電源投入後、最初に電圧源B5,B6の出力電位を調節すべく、比較器A3の出力を設定する。具体的には、スイッチSW3をオンにし、SW4を端子bに切り替え、全面発光レーザLD_1〜LD_36を点灯させる。そして、アンプA5の出力が基準電圧Vrefに等しくなるよう自動光量制御を行う。このとき、スイッチSWc及びスイッチSWsは、上記図22に示すように、共に端子bを選択している。
各面発光レーザLD_1〜LD_36は、各終端抵抗R_1〜R_36を介して電流が供給されて点灯する。そして、自動光量制御を行い、電圧源B5,B6の出力電位を設定する。
ここで、1ビーム当たりのパワーは電圧Vrefのビーム数分の1となる。したがって、ビーム数が多ければ、電圧源B5,B6はレーザの発振閾値電圧にほぼ等しい値に設定される。しかし、このままでは感光体が露光し、かぶりが生じる。そこで、さらにスイッチSW4を端子aに切り替え、コンデンサC3の電圧をホールドする。これにより、比較器A3の非反転入力端子の電位を、抵抗R4に電流I1を流した電圧ドロップ分下げて、電圧源B5,B6の最終電圧にしている。
すなわち、光量制御終了時には、図22に示す時刻T1−の時点でスイッチSW3をオフに切り替え、比較器A3の出力端子と反転入力端子間の電圧をホールドする。また、スイッチSW7を端子bに切り替え、出力をホールドする。
その後、時刻T1で、スイッチSW4を端子bに切り替える。比較器A3の出力、すなわち電圧源B5,B6の出力電圧を、前述したように自動光量制御終了時よりやや低めに設定する。これにより、面発光レーザLD_1は発光しなくなり、かつ消費電力を低減することができる。
(相補電流Isの平均値設定)
つぎに、各面発光レーザLD_1〜LD_36に流れる相補電流Isの平均値を設定するため、全面発光レーザLD_1〜LD_36が点灯しているときに自動光量制御を行う。
時刻T1+において、スイッチSW5及びスイッチSW6を抵抗R5側に切り替える。これにより、時定数を短くして、収束時間を短縮する。さらに、スイッチSW2をオンにし、スイッチSW7を端子a側に切り替え、比較器A2を使用して負帰還制御を行う。
同時に、時刻T1+において、全チャンネルchのスイッチSWs及びスイッチSWcをそれぞれ端子aに切り替え、面発光レーザLD_1〜LD_36を点灯させ、さらに全チャンネルchのスイッチSWchをオンにして、コンデンサCswを充電可能にして、自動光量制御を行う。
自動光量制御が収束した後、時刻T2−において、全チャンネルchのスイッチSWchを同時にオフし、各チャンネルchの相補電流源Isの制御電圧をサンプルホールドして相補電流Isの平均値を設定する。
また、スイッチSW2をオフにし、スイッチSW7を端子bに切り替える。これにより、比較器A2の出力とアンプA6の出力を次の光量制御までホールドする。また、チャンネルch2〜ch36のスイッチSWsを端子bに切り替えて、チャンネルch1以外の面発光レーザLD_2〜LD_36を消灯させる。
電源投入直後の最初の自動光量制御では、受光器出力や比較器出力が収束値から大きくずれ収束時間が長くなる。この場合、前述したように収束の時定数が短くなるように抵抗R5を選択して、全面発光レーザLD_1〜LD_36を点灯させ、相補電流Isの平均を設定することによって、収束時間を短縮することができる。
つぎに、相補電流Isの平均値設定終了後の動作について説明する。
各面発光レーザLD_1〜LD_36は、概ね目標光量で発光しているが、特性のばらつき等によって、発光量にまだかなりのばらつきがある。そこで、1チャンネルずつ個別に自動光量制御を行い、目標の光量に近づける。また、変調動作と自動光量制御を繰り返す通常動作の期間(T9+〜T17)に比べて、この段階ではまだ発光量のばらつきが大きく収束に時間がかかる。したがって、1チャンネル毎の自動光量制御の時間も長めに設定する必要がある。なお、間歇自動光量制御でも最終値に収束させることができるため、感光体を露光させたくない場合には画像書込み時の光量制御タイミングでもよい。
具体的な動作としては、時刻T2において、スイッチSW5及びスイッチSW6を共に抵抗R6側に切り替え、同時に、チャンネルch1のスイッチSWs及びスイッチSWcを共に端子aに切り替える。これにより、面発光レーザLD_1を、相補電流Isの平均値設定時から引き続いて点灯させる。
その後T2+において、スイッチSW2及びスイッチSWchをオンにし、スイッチSW7を端子aに切り替えて、チャンネルch1の自動光量制御を開始する。
ここで、チャンネルchの切り替えを行うタイミングについて、チャンネルch1からチャンネルch2に切り替える場合を例に挙げて説明する。
チャンネルch1の自動光量制御終了後、時刻T3−において、最初にスイッチSWshをオフにし、相補電流源Isの制御電圧をサンプルホールドする。さらに、同じタイミングでスイッチSW2をオフにし、スイッチSW7を端子bに切り替えて、アンプA5の出力と比較器A2の出力をホールドする。
時刻T3において、チャンネルch1のスイッチSWs及びSWcを端子bに切り替え、チャンネルch2のスイッチSWs及びSWcを端子aに切り替える。これにより、チャンネルch1の面発光レーザLD_1を消灯し、チャンネルch2の面発光レーザLD_2を点灯させる。
このような消灯と点灯は、時間間隔が空いたり重なり合ったりせず、連続的に切り替わるのが好ましい。しかし、数十nsecのオーダで連続に切り替えを行えば、各全面発光レーザLD_1〜LD_36の収束光量に大きな誤差は生じない。
時刻T3+において、チャンネルch2のスイッチSWchをオンにして、チャンネルch2の自動光量制御を開始する。このように、あるチャンネルchNでSWchがオンになり自動光量制御を行っている時は、N番目の面発光レーザLD_Nは必ず点灯するようにタイミングを設定する。
また、消灯と点灯の切り替え動作を理想に連続に行うことができれば、チャンネルch間の切り替え期間中に、スイッチSW2をオンにしてスイッチSW7を端子aに設定したまま比較器A2及びアンプA5の出力をホールドせずに、順次各チャンネルの自動光量制御を続行することも可能である。
以下、タイミングチャートでは省略されているが、チャンネルch1からチャンネルch36まで同様のタイミングでチャンネル切り替えを行い、面発光レーザLD_1から面発光レーザLD_36まで順次自動光量制御を行っていく。
ここまでのタイミング(時刻T5−)では、比較器A3の出力設定、相補電流Isの平均値設定、チャンネルch1〜ch36までの出力設定を行っていた。さらに、変調動作に移行する前に、期間T5+〜T6−において、比較器A3の出力設定を、期間T6+〜T9でチャンネルch1〜ch36毎の出力を再度設定すべく、自動光量制御を行う。このように繰り返し行うことによって、自動光量制御の収束値の精度を向上させることができる。
しかし、すでに目標の設定値に近い収束値が得られているので、2回目の自動光量制御では1回目と比較して短時間で収束値が得られる。2回目の自動光量制御終了後、T9+の時点から変調動作に入る。その後、T10以降は各チャンネル毎の自動光量制御と変調動作を繰り返し光量を目標値に保持し回路駆動の動作を行えばよい。
(2)ダイオードを用いた定電圧駆動型
つぎに、ダイオードを使った電圧駆動型の面発光レーザ駆動装置について説明する。なお、図22に示した面発光レーザ駆動装置と重複する説明は省略する。
上記面発光レーザ駆動装置は、図27に示すように、終端抵抗R_1〜R_36に2個のシリコンダイオードD1,D2を接続することによって消費電力を減らしている。この面発光レーザ駆動装置は、部品点数が多くなっているが、出力回路が独立しているため、共通電圧源の電圧変動によるクロストークが生じないメリットを有する。
この面発光レーザ駆動装置は、図22に示した装置と比べると、電圧源B5がシリコンダイオードD1,D2の直列回路に置き換わり、さらに電流源Icがバイアス電流源Ibに置き換わっている。
(装置構成)
各チャンネルchはそれぞれ同一に構成されており、ここでは、チャンネルch1を例に挙げて説明する。
チャンネルch1は、入力側に所定の電圧が印加されているバイアス電流源Ib及び相補電流源Isと、相補電流源Isが出力する相補電流Isを端子a又は端子bから出力するスイッチSWsと、バイアス電流源Ibに供給される制御電圧のオン/オフを行うスイッチSWbと、相補電流源Isに供給される制御電圧のオン/オフを行うスイッチSWshとを備えている。
終端抵抗R_1の一端は、面発光レーザLD_1のアノード側に接続されている。終端抵抗R_1の他端は、直列に接続されたシリコンダイオードD1_1,D2_1のアノード側に接続されている。なお、面発光レーザLD_1及びシリコンダイオードD2のカソード側は接地している。
バイアス電流源Ibは、面発光レーザLD_1のアノード側からバイアス電流源Ibを供給する。スイッチSWsは、端子aに切り替わっているときは、相補電流Isを面発光レーザLD_1及び終端抵抗R_1に供給する。なお、スイッチSWsは、端子bに切り替わっているときは、相補電流Isを、直列に接続されたシリコンダイオードD3_1,D4_1,D5_1に供給する。
設定部30及び受光部50は、図22に示した面発光レーザ駆動装置と同様に構成されている。なお、比較器A2は、スイッチSWshを介し、相補電流源Isに制御電圧を供給する。比較器A3は、スイッチSWbを介してバイアス電流源Ibに制御電圧を供給し、バイアス電流Ibが面発光レーザLDの発振閾値近傍になるようにする。
(全体動作)
以上のように構成された面発光レーザ駆動装置において、図22の場合と同様にして、スイッチSW4を端子bに切り替える。そして、面発光レーザLD_1がオフの期間に発光しないように、比較器A3の非反転入力端子には、スイッチSW4で決められた電位分下げた電圧が入力される。その電位が最終的に各チャンネルchのバイアス電流源Ibの制御電圧となる。
つぎに、動作をタイムチャート図28及び図29を用いて説明する。前述した図25及び図26のタイミングチャートとの違いは、図22に示した電圧源B5の出力設定の代わりに、図27に示すバイアス電流源Ibの設定を行うことである。バイアス電流源Ibの設定は、図28及び図29に示すように、期間T0〜T1、T5+〜T6−の期間で行う。
最初に、電源投入後時刻T0において、スイッチSW3をオン、SW4を端子bに切り替え、同時に各チャンネルchのスイッチSWbをオンにする。比較器A3は、バイアス電流源Ibの制御電圧を設定する。
時刻T1およびT1−において、これらのスイッチSWをオフにして、バイアス電流源Ibの制御電圧の設定を終了する。同様に、期間T5+〜T6−において、バイアス電流源Ibの制御電圧の設定を行う。各チャンネルchのスイッチSWbは、このタイミング以外はオフ状態である。そして、図22に示した電圧源B5の出力電位の設定の代わりに、バイアス電流源Ibの制御電圧を設定する以外、前述した図25及び図26のタイミングと同様にする。
(3)定電流駆動型
つぎに、定電流駆動型の面発光レーザ駆動装置について説明する。この面発光レーザ駆動装置は、終端抵抗がないために無駄な電流が流れない特徴がある。しかし、シングルモードの面発光レーザは、内部抵抗が非常に大きいため定電流駆動では変調速度が上がらない。そこで、この面発光レーザ駆動装置は、図30に示すように、コンデンサCsb、面発光レーザLDのオン/オフに同期して駆動されるスイッチSWsu、微分電流(パルス信号Vpulse)を重畳するためのコンデンサCsu等による微分電流重畳回路を備えている。
(装置構成)
具体的には、この面発光レーザ駆動装置は、発光部10と、電流供給部20と、設定部30と、受光部50とを備えている。なお、設定部30の一部と受光部50は、図22及び図27と同様に構成されており、異なる部分のみ説明する。
電流供給部20は、入力側に所定の電圧が印加されているバイアス電流源Ib及び相補電流源Isと、スイッチSWb,SWsh,SWs,SWsuと、コンデンサCbi,Csw,Csb,Csuとを備えている。
バイアス電流源Ibは、バイアス電流Ibを面発光レーザLD_1のアノード側に供給する。なお、面発光レーザLD_1のカソード側は接地されている。バイアス電流源Ibの制御電圧は、比較器A3から供給される。コンデンサCbiは、この制御電圧をホールドするものである。
相補電流源Isは、比較器A2で設定された制御電圧に従って、相補電流IsをスイッチSWsに供給する。スイッチSWsは、相補電流源Isからの相補電流Isを端子a又は端子bから出力する。スイッチSWsの端子aは、面発光レーザLD_1のアノード側に接続され、さらにコンデンサCsuを介してスイッチSWsuに接続されている。スイッチSWsの端子bは、並列に接続された2つのコンデンサCx,Cyに接続され、さらに他のチャンネルchのスイッチSWsの端子bにも接続されている。なお、コンデンサCx,Cyの他端は接地されている。
スイッチSWsuの端子aは、コンデンサCsbの一端に接続され、さらに比較器A1の出力端子にも接続されている。スイッチSWsuの端子bは、接地されると共に、コンデンサCsbの他端に接続されている。
設定部30は、比較器A1,A2,A3を備えている。比較器A1の非反転入力端子は、定電圧源Vrefに接続されている。比較器A1の反転入力端子は、スイッチSW1を介してアンプA5の出力端子に接続され、さらにコンデンサC1を介して比較器A1の出力端子に接続されている。そして、比較器A1は、アンプA5からの出力電圧が基準電圧Vrefに一致するようにスイッチSWsuに所定の電圧を出力する。
比較器A2は、各チャンネルchに対して、スイッチSWshを介して、相補電流源Isに制御電圧を供給する。また、比較器A3は、各チャンネルchに対して、スイッチSWbを介して、バイアス電流源Ibに制御電圧を供給する。
スイッチSWsu,SWsは、図23に示したように、CMOSプロセスを用いて構成されるのが好ましい。これにより、微分電流重畳時に位相がずれるのを防止することができる。ここでは電圧Vccを基準としているため、制御が困難である場合もある。そこで、図31に示すように、NMOSを用いて電圧Vssを基準にすることもできる。この場合は、スイッチSWsに対しゲート一段分の遅延が生じるが、数nsecのパルス幅で変調するのでなければ、ゲート一段あたりの遅延を1nsec以下にしておけば特に問題はない。また、微分電流の振幅は比較器A1で制御するようにしてあり、これは連続点灯でAPCを行った時の光量とパルス点灯したときの光量が等しくなるようにすることで位相補償が調整される。
(全体動作)
以上のように構成された面発光レーザ駆動装置について、図32及び図33に示すタイミングチャートを用いて説明する。
微分電流重畳回路の制御設定は、図32示すタイミングチャートにおいて、比較器A1を使い、面発光レーザLDをチャンネルch1からチャンネルch36までの順番に点灯していくシーケンスを繰り返す。比較器A1は、このときのアンプA5の出力がVrefに一致するように、微分電流重畳回路の振幅(パルス信号Vpulseのレベル)を制御する。ここでは、バイアス電流Ibを変えてチャンネルch毎の制御は行わず、全チャンネルchを一括して制御している。このため、面発光レーザLDまでの寄生容量を予めチャンネルch間でばらつかないようにしておく必要がある。
この面発光レーザ駆動装置の動作は、図11に示した面発光レーザ駆動装置に対して行うことと同様である。すなわち、過補償の場合にはオーバーシュートが生じて光量がVrefをオーバーし、補償が不足すると基準電圧Vrefを下回るが、アンプA5の出力が基準電圧Vrefに一致したところで補償が最適となる。このとき、オーバーシュートもアンダーシュートも無い状態となる。
この制御は、期間T5からT6までの各チャンネルの自動光量制御が終了したあとで変調前に行っている。ここでは、微分電流重畳回路の制御電圧のホールドをコンデンサCsbで行っていたが、微分電流振幅が大きく変わることはないためD/Aコンバータを利用し、デジタル的に行っても良い。この場合のキャリブレーションは例えばページ間や電源投入後などとなるが実用上の問題はない。
3.その他の構成
図34は、自動光量制御の順序をランダマイズすることで、自動光量制御時の設定むらを目立たなくすることを説明する図である。
自動光量制御を全チャンネルで連続的に実施した場合一つ前のチャンネルchの最終電圧が次のチャンネルchの開始電圧に影響を与える。もし、面発光レーザLDの特性ばらつきなどでチャンネルch間の最終電圧の変動が大きかった場合、比較器出力が十分収束できず図34(a)から同図(d)に示すような光量制御の順番に特定のノイズが生じることがある。同図(e)に示すように、このとき光量制御の順番を面発光レーザLDの位置の順番と対応させておくと、レーザの光量分布で低い周波数成分のばらつきを生じ、画質劣化の原因になる。そのため光量制御の順番を、同図(f)に示すように、レーザの配置と相関が無い様にすると、レーザの光量分布はばらつきが高い周波数成分にシフトし画質劣化を防止することができる。
上述した面発光レーザ駆動装置については、各チャンネルch内の制御電圧に大きな差がないものとして説明した。しかし、面発光レーザの閾値電流や発光効率、あるいはチャンネル内で定電流回路に使用する演算増幅器のオフセットなどでチャンネル間の制御電圧に差がでてくることも考えられる。この差が1チャンネルの自動光量性時間内に収束しない場合、全体のチャンネルch間ばらつきが悪化し、画質を劣化させる。
このような場合、図35に示すように、オフセットキャンセル付きの面発光レーザ駆動装置が好ましい。この面発光レーザ駆動装置は、図30に示した面発光レーザ駆動装置の1チャンネル分に相当する。各スイッチSWのオン/オフを切り替えたときの波形図を図36に示す。なお、図35に示すスイッチSWoa,SWobは、オンの状態である。
この面発光レーザ駆動装置において、チャンネルch間で共通のコンデンサCsの端子電圧と、比較器A2から出力されるチャンネルch毎の制御電圧によって、コンデンサCo1,Co2を充電する。アンプAsは、非反転入力端子に供給される比較器A2からの電圧と、コンデンサCo1,Co2の電圧とを比較することで、オペアンプAs自身のオフセットも含めてばらつきをキャンセルする。
電源投入時あるいはページ間でオフセット蓄積用のコンデンサCo1をスイッチSWodで短絡し、この状態で各チャンネルchの自動光量制御の時間をかけて行う。その後、毎スキャンの自動光量制御時に各チャンネルchに出力される制御信号をCo2に蓄積し、Co1の端子電圧を補正すれば、数回の補正でオフセット分をキャンセルすることができる。
また、図37に示すようにの面発光レーザ駆動装置を構成してもよい。この面発光レーザ駆動装置は、図30に示したものと比べて、比較器A2の反転入力端子と出力端子の間に複数のコンデンサCが設けられている点で異なっている。具体的には、比較器A2の反転入力端子と出力端子の間に、並列に接続された36個のコンデンサC2_1,C2_2,・・・,C2_36が設けられている。各コンデンサC2_1,C2_2,・・・,C2_36の一端には、スイッチSW1,SW2,・・・,SW36が設けられている。そして、例えばチャンネルch1の光量制御を行うときはスイッチSW1がオンになり、チャンネルch2の光量制御を行うときはスイッチSW2がオンになる。
これにより、コンデンサC1_1は、チャンネルch1の光量制御したときの比較器A2の制御電圧によって充電される。そして、比較器A2は、次にチャンネルch1の光量制御を行うときは、このコンデンサC1_1の電圧を用いて、バイアス電流源Ibの制御電圧を設定することができる。
したがって、上記面発光レーザ駆動装置は、チャンネルch毎に比較器A2の出力電圧にばらつき生じていても、その出力電圧を他のチャンネルchの光量制御に用いず、同じチャンネルchの光量制御に用いている。これにより、チャンネルch毎に比較器A2の制御電圧にばらつきがあったとしても、自動光量制御の収束時間が長くなることを防止することができる。