JP5033726B2 - 型枠支保工および型枠支保工用水平力処理部材 - Google Patents

型枠支保工および型枠支保工用水平力処理部材 Download PDF

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Description

本発明は、コンクリート橋脚の上部張出部、天井のハンチ、傾斜したボックスカルバート等、傾斜下面を有するコンクリート構造物を施工するための型枠支保工およびその水平力処理部材に関する。詳しくは、鉛直方向に立設された支柱と、この支柱に対して直交する横方向の水平材と、水平力処理部材からなり、傾斜している型枠およびこの型枠に打設されるコンクリートによって発生する垂直荷重と水平荷重に抵抗できる型枠支保工およびその水平力処理部材に関する。
コンクリート構造物を施工する際には、一般に、鉛直方向に立設された支柱とこの支柱に対して直交する横方向の水平材を組み合わせてなる型枠支保工が地上又は床面から組み立てられ、コンクリート構造物の下面はこの型枠支保工によって支えられた型枠内にコンクリートが打設されることによって形成される。
しかしながら、コンクリート構造物の下面は必ずしも水平ではなく、コンクリート橋脚の上部張出部、天井のハンチ、傾斜したボックスカルバート等のコンクリート構造物の下面は、傾斜している。
たとえば、コンクリート橋脚は、市街地を走る道路等の高架橋には桁下空間を確保するために、コンクリート橋脚の上部を両側に張り出して施工する場合が多い。施工手順としては、まず橋脚の柱部をコンクリート打設し、次いで打設済みのコンクリート橋脚の柱部の上に橋脚の上部をコンクリート打設するが、橋脚の上部を両側に張り出した形状とする際、コンクリート打設用の型枠を傾斜させる必要がある。そして、この傾斜した型枠及び型枠に打設されるコンクリートを支持するために、地上から型枠支保工が組み立てられるが、この傾斜した型枠を直接に支持する型枠支保工の最上部の構造は、傾斜型枠に対応できるようにする必要がある。
また、コンクリート天井のハンチは、天井の端部において断面積を増やすために天井の下面を傾斜させている。したがって、天井のハンチをコンクリート打設するときには、少なくともその傾斜部分については、コンクリート打設用の型枠を傾斜させる必要がある。そして、この傾斜した型枠及び型枠に打設されるコンクリートを支持するために、床面から型枠支保工が組み立てられるが、この傾斜した型枠を直接に支持する型枠支保工の最上部の構造は、傾斜型枠に対応できるようにする必要がある。
そして、傾斜したボックスカルバートは、天井、床および両側面の4面をコンクリートで形成したトンネル形状を有しており、その床面および天井面が傾斜している。したがって、その傾斜した天井部をコンクリート打設するときには、コンクリート打設用の型枠を傾斜させる必要がある。そして、この傾斜した型枠及び型枠に打設されるコンクリートを支持するために、床面から型枠支保工が組み立てられるが、この傾斜した型枠を直接に支持する型枠支保工の最上部の構造は、傾斜型枠に対応できるようにする必要がある。
コンクリート橋脚を例にとって説明すると、コンクリート橋脚の上部張出部を施工するための型枠支保工は、工事現場において、型枠支保工を構成する部材を組み立てることによって形成される。すなわち、支柱部材を鉛直方向につなぎ合わせてなる長さの異なる支柱の複数本と、隣接する支柱の間を横方向に連結する水平材の複数本からなり、さらに、各支柱の上にそれぞれ大引受ジャッキが立設され、各大引受ジャッキの上端の上を通して傾斜して大引き材が載置され、その上に、複数個の根太材を介してコンクリート打設用の型枠が配置される。また、一般に隣接する支柱の間には斜めに斜材(ブレース材)が連結される。さらに、型枠が傾斜していることにより大きな水平荷重が発生するので、大引受ジャッキが曲がるなどの変形がおこらないように、一般に複数個の大引受ジャッキを通して首つなぎ管が連結され、この首つなぎ管と大引受ジャッキとの交差場所の近傍と隣接する支柱との間に斜めに単管が連結される。そして、各部材には、互いの部材同士を結びつけることができるように、取り付け金具やクランプなどが設けられている。
なお、型枠支保工の割り付け設計に際しては、支保工及び型枠の自重や、型枠に打設されるコンクリートによる荷重に耐えられるように、支柱や斜材の本数や配置が決定される。
しかしながら、コンクリートを打設するために設置する型枠が傾斜しているので、傾斜下面を有するコンクリート構造物を施工するための型枠支保工には鉛直荷重だけでなく、大きな水平荷重が発生し、特に支柱上部で型枠を支持する大引受ジャッキは変形しやすくなる。水平荷重の大きさは、型枠及び型枠に打設されるコンクリートによって発生する鉛直荷重の大きさや型枠の傾斜角度によって異なる。
したがって、この水平荷重に抵抗するために、補強部材の追加をすることが多い。補強方法の一つは、隣接する支柱の間に斜めに斜材を数多く連結することによって補強することであるが、数多くの斜材の連結は手間がかかる。
他の補強方法は、壁つなぎ材が知られている。打設済みのコンクリート橋脚の柱部にアンカーを打ち込むか又は埋め込んでおき、ここに壁つなぎ材を介して、型枠支保工と接続することによって、打設済みのコンクリート橋脚の柱部に水平荷重を伝達して、水平荷重に抵抗することができる方法である。なお、壁つなぎ材による補強方法は、型枠支保工の側端部の支柱に隣接してアンカーを打ち込むか又は埋め込むことができる柱または壁が存在することが条件となる。
図1は従来例に係る型枠支保工を示す側面図であり、図2は図1のうちの楕円形で囲まれた部分の拡大図である。
この型枠支保工は、コンクリート打設済みの橋脚の柱部15aの両側に、地上より数mないし十数mの高さで組まれている。ここでは、支柱部材1を鉛直方向につなぎ合わせてなる長さの異なる支柱の複数本と、隣接する支柱の間を横方向に連結する水平材2の複数本からなり、さらに、各支柱の上にそれぞれ大引受ジャッキ5が立設され、各大引受ジャッキ5の上端にそれぞれキャンバー12が配設され、各キャンバー12の上を通して傾斜して大引き材4が載置され、その上に、複数個の根太材9を介してコンクリート打設用の型枠10が配置されている。
また、コンクリート打設済みの橋脚の柱部15aにはアンカー13が打ち込まれており、ここに壁つなぎ材6を介して、型枠支保工11の支柱部材1と接続することによって、打設済みのコンクリート橋脚の柱部15aに水平荷重を伝達して、水平荷重に抵抗している。
このように、壁つなぎ材6を介して、型枠支保工11の支柱部材1を打設済みのコンクリート橋脚の柱部15aに接続した場合には、型枠支保工に作用する水平荷重に抵抗することができる。あるいは、壁つなぎ材6を用いる代わりに、隣接する支柱の間に斜めに斜材3を数多く連結することによって水平荷重に抵抗することもできるし、これらの方法を組み合わせることにより効果的に型枠支保工にかかる水平荷重に抵抗することができる。
しかしながら、壁つなぎ材6または斜材3による水平荷重に抵抗する補強は、型枠支保工11のうち、鉛直方向の支柱の複数本と、隣接する支柱の間を横方向に連結する水平材2の複数本から形成される部分についてなされたものである。この水平材2よりも上の部分の支柱及び大引受ジャッキが、型枠支保工に作用する水平荷重により曲がるなど変形することを防止する補強には結びつかない。
このため、傾斜してなる大引き材4の下方には、この大引き材4と平行に1本の首つなぎ管8によって複数個の大引受ジャッキ5を連結するとともに、複数本の短尺の単管7によってこの首つなぎ管8と各支柱材1との間を斜めに連結することによって、水平荷重に抵抗する補強をしている。ここでは、首つなぎ管8と大引受ジャッキ5との連結、首つなぎ管8と短尺の単管7との連結、そして、単管7と支柱材1との連結のために、いずれもクランプが用いられているが、この構造ではその耐力が小さいために水平荷重に抵抗する補強が不足することになるおそれがある。したがって、単管7を数多く交差状に連結することによって、上記水平材2よりも上の部分についての水平荷重に抵抗する補強をし、大引受ジャッキが曲がるなど変形することを防止している。
特許文献1には、型枠支保工に関して、他の例が提案されている。ここには、地上より所定高さに組み立てられる支保工と、地上で組み立てられ、かつ、前記支保工の上に設置される型枠とを備え、前記支保工の上に設置されるサポート枠と、前記サポート枠の上に組み立てられる型枠とを備え、前記サポート枠の橋脚側端部を前記橋脚に回転自在に連結し、かつ、前記サポート枠に前記型枠を上げ下げするためのジャッキを備えてなることを特徴とする張出部用型枠支保工が開示されている。
特開平6−129119号公報
図1〜2に示される型枠支保工においては、水平荷重に抵抗する補強をするために、首つなぎ管によって複数の大引受ジャッキを連結するだけでなく、首つなぎ管と大引受ジャッキとの連結、首つなぎ管と短尺の単管との連結、そして、単管と支柱材との連結のために、単管とクランプを数多く使用する必要がある。また、それらの連結方法は、いずれも、首つなぎ管、単管、ジャッキ部(棒)および支柱材の側面同士の連結であって、その取り付け位置も一定ではない。
このため、斜め方向に設置する短尺の単管7とクランプの数が多いために、型枠支保工の組み立ておよび解体の作業が煩雑になり、型枠支保工の施工に手間が掛かるという問題点がある。また、コンクリート橋脚の張出部15cの形状によっては、施工上可能な限りの単管とクランプの数を増やしたとしても、水平荷重に抵抗する補強が不足となり、大引受ジャッキが曲がるなど変形するおそれが残ることは否めない。
そして、短尺の単管とクランプの数が多いだけでなく、その取り付け方法も一定ではないため、施工性が悪い。さらに、型枠支保工の組み立ておよび解体は高所での作業が多いため、安全上問題がある。
さらに、特許文献1に示された型枠支保工では、大型の架台を地上で組み立ててクレーン等を型枠支保工の上に設置するという大がかりな施工が必要となる。また、型枠支保工の組み立ておよび解体の作業が煩雑になり、型枠支保工の施工に手間が掛かるという問題点がある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、短尺の単管とクランプに代えて、水平力処理部材を配置することで型枠支保工における水平荷重に抵抗する補強を確実におこなうことができ、また、この水平力処理部材の取り付け操作及び取り外し操作を容易にすることで施工性と安全性を向上させた型枠支保工および型枠支保工用水平力処理部材を提供することを目的とする。
本発明者は、短尺の単管とクランプに代わる水平力処理部材について、種々に検討した。その結果、次の(a)〜(e)の知見を得た。
(a) 長尺の首つなぎ管に加えて短尺の単管とクランプを用いて、隣接する大引受ジャッキと支柱の間を斜めに連結して型枠支保工における水平荷重に抵抗する補強をする際に、従来のように、側面同士で連結すると偏心が生じ、軸力に加え曲げモーメントが発生し、耐力で不利となるため、多数の単管とクランプを使用せざるを得なくなり、また取り付け位置も一定ではないため、施工性が悪くなることに思い至った。そして、このように大引受ジャッキおよび支柱材の側面を連結する代わりに、大引受ジャッキと支柱によって形成される鉛直方向平面内に、斜めに水平力処理部材を配置して大引受ジャッキのジャッキ部と支柱材を連結すれば、曲げモーメントが発生しないから耐力で有利になることを着想した。
図3は、大引受ジャッキと支柱の間を斜めに連結して水平荷重に抵抗する2つの態様を示す上面図であって、(a)が従来のように側面同士で連結した例(従来例)であり、(b)が鉛直方向平面内で連結した例(本発明例)である。
図3(a)においては、複数個の大引受ジャッキ5を通して長尺の首つなぎ管8が連結されており、この首つなぎ管8と大引受ジャッキ5の交差場所の近傍と隣接する支柱部材1とに、それぞれ、クランプ24が取り付けられ、これらの2つのクランプ24の間に単管7を斜めに連結することによって、水平荷重Pに抵抗する補強をしている。しかしながら、単管7は側面に連結されているので、曲線で示される曲げモーメントが発生するので、耐力で不利になることが分かる。
これに対して、図3(b)においては、大引受ジャッキ5と支柱部材1によって形成される鉛直方向平面内に、本発明に係る水平力処理部材20を斜めに配置して大引受ジャッキ5と支柱部材1を連結することによって、水平荷重Pに抵抗する補強をしている。水平力処理部材20は、大引受ジャッキ5と支柱部材1によって形成される鉛直方向平面内に連結されているので、曲げモーメントが発生しないから耐力で有利になることが分かる。
(b) このように、隣接する大引受ジャッキと支柱によって形成される鉛直方向平面内に斜めに水平力処理部材を配置することによって、大引受ジャッキを隣接する支柱に突っ張ることができるから、水平荷重に抵抗する力が増加する。このとき、水平力処理部材は水平荷重のベクトルと同一の鉛直方向平面内で受けることができるので、構造として単管をクランプによって支柱の側面同士で連結する場合より、耐力で有利となる。なお、水平力処理部材の一端に設けるクランプとして楔付きクランプを用いると、強固に支柱部材に固定できるので、好ましい。
(c) しかしながら、型枠の傾斜角度は一定ではなく、橋脚の種類毎に異なるため、水平力処理部材の長さもまた一定ではないので、その長さを可変にする必要がある。さらに、型枠支保工の支柱の間隔が一定ではないため、固定長さの水平力処理部材では、隣接する支柱の間隔が狭すぎると対向する内面に入りきらないとか、逆に間隔が広すぎると対向面に届かないといった問題が生じるおそれがあり、水平力処理部材として機能しない場合が予想される。したがって、水平力処理部材は固定長さではなく、長さ可変とする必要がある。この斜めに連結される水平力処理部材は、たとえば、ジャッキ部と鞘管部から構成し、ジャッキ部のハンドルを回転させることによって、ジャッキ部を鞘管部の中に出し入れ可能とし、適切な長さにしたところで、ハンドルを鞘管の端部まで回転し固定することによって長さ可変とすることができる。なお、大引き材の傾斜角度の違いには、水平力処理部材を長さ可変とすることにより対応することができる。また、支柱間の距離が一般的には、600mm、900mmおよび1200mmの3種類が用いられることを考慮すると、水平力処理部材の鞘管部の長さとして3種類の水平力処理部材を用意することで、いずれの支柱間距離にも対応することができる。
(d) 水平力処理部材の上端には大引受ジャッキと接続する部材として、大引受ジャッキに対して取付角度自在の先端金具を設けるのが好ましい。また、水平力処理部材の下端には支柱部材と接続するためのクランプを取付角度自在で設けるのが好ましい。なお、水平力処理部材の先端金具を大引受ジャッキに嵌合する構成とし、水平力処理部材の上端を大引受ジャッキに預けることができる。すなわち、水平力処理部材の先端金具は預け機能を果たすことができる。したがって、水平力処理部材の下端は自由端にしておくことができるので、水平力処理部材の操作性は各段に向上する。大引受ジャッキのジャッキ部に水平力処理部材の先端金具を嵌合できる構造としては、たとえば、2枚の側板を有する先端金具本体と、この2枚の側板の間の間隔を大引受ジャッキの外径とほぼ同じに固定する上端板を有しており、この上端板と2枚の側板との間に差込部を形成し、一方、大引受ジャッキの上端には平板の端部を設ければよい。このとき、水平力処理部材の先端金具に、断面湾曲形状の大引受ジャッキ当て材を設ければ、2枚の側板とこの大引受ジャッキ当て材とで大引受ジャッキのジャッキ部の上端部を受容させることができる。
(e) このように、隣接する大引受ジャッキと支柱との間に、長さ可変の水平力処理部材を斜め方向に連結し、かつ、この水平力処理部材を隣接する大引受ジャッキと支柱によって形成される鉛直方向平面内に配置することによって、単管をクランプによって支柱の側面同士で連結する場合より、耐力の点で有利な構造となる。よって、首つなぎ管を不要にできるとともに、型枠支保工に作用する水平荷重に抵抗する補強を確実に行うことができる。クランプとしては、特に制限するものではないが、楔クランプを用いることがその耐力の大きさからして好ましい。
なお、壁つなぎ材による補強方法は、型枠支保工の側端部の支柱に隣接してアンカーを打ち込むか又は埋め込むことができる柱または壁によって突っ張ることができることが条件となる。また、壁つなぎ材で突っ張られた支柱とは反対側の側端部の支柱の上に立設された大引受ジャッキは、水平力処理部材で突っ張ることができないため、その1本内側に隣接して立設された支柱との間に、単管を斜め方向にクランプで連結することが必要になるが、この大引受ジャッキに作用する荷重は最も小さくなることから単管とクランプを使用しても大引受ジャッキが曲がるのを防ぐ補強とすることができる。
また、隣接する2本の鉛直方向の支柱の間に、さらに斜材を斜め方向に連結すると、型枠支保工における水平荷重に対して、さらに抵抗することができるので好ましい。
なお、各支柱の上に連結されて鉛直方向に立設された複数個の大引受ジャッキの各上端には、それぞれキャンバーの複数個を配置するのが好ましい。そして、その複数個のキャンバーの上を通して大引き材が載置されるが、このとき、大引受ジャッキはその上端にキャンバーを載置できる平板を備えると、大引き材を複数個の大引受ジャッキの上を通して確実に傾斜して載置できるので、好ましい。
本発明は、これらの知見に基づいて完成したものであり、その要旨は次の(1)〜(3)に示す型枠支保工と、(4)〜(7)に示す型枠支保工用水平力処理部材からなる。
(1) 傾斜下面を有するコンクリート構造物を施工するための型枠支保工であって、鉛直方向の支柱の複数本と、この支柱に対して直交する横方向の水平材の複数本と、各支柱の上に連結されて鉛直方向に立設された大引受ジャッキの複数本と、各大引受ジャッキの上端にそれぞれ配置されたキャンバーの複数個と、複数個のキャンバーの上を通して傾斜して載置される大引き材と、隣接する大引受ジャッキと支柱との間を斜め方向に連結してなる長さ可変の水平力処理部材を有し、かつ、水平力処理部材は隣接する大引受ジャッキと支柱によって形成される縦方向平面内に配置されていることを特徴とする型枠支保工。
(2) 大引受ジャッキはその上端にキャンバーを載置できる平板を備えることを特徴とする、上記(1)の型枠支保工。
(3) 隣接する2本の鉛直方向の支柱の間に、さらに斜材を斜め方向に連結してなることを特徴とする、上記(1)又は(2)の型枠支保工。
(4) 水平力処理部材ジャッキ部と水平力処理部材鞘管部からなる長さ可変の水平力処理部材であって、水平力処理部材ジャッキ部の端部には取付角度自在で先端金具が設けられ、そして、水平力処理部材鞘管部の端部には取付角度自在でクランプが設けられていることを特徴とする型枠支保工用水平力処理部材。
(5) 長さ可変の水平力処理部材の先端金具は、大引受ジャッキのジャッキ部の上端部に嵌合させることによって大引受ジャッキに取り付けることができることを特徴とする、上記(4)の型枠支保工用水平力処理部材。
(6) 長さ可変の水平力処理部材の先端金具は、2枚の側板と、この2枚の側板の間の間隔を大引受ジャッキの外径とほぼ同じに固定する上端板を有しており、この上端板と2枚の側板との間に形成された差込部に、大引受ジャッキの上端に設けられた平板の端部を差し込んで嵌合させることができることを特徴とする、上記(5)の型枠支保工用水平力処理部材。
(7) 長さ可変の水平力処理部材の先端金具は、さらに断面湾曲形状の大引受ジャッキ当て材を有しており、2枚の側板とこの大引受ジャッキ当て材とで大引受ジャッキのジャッキ部の上端部を受容することができることを特徴とする、上記(6)の型枠支保工用水平力処理部材。
本発明に係る、傾斜下面を有するコンクリート構造物を施工するための型枠支保工および型枠支保工用水平力処理部材は、型枠支保工における水平荷重に抵抗する補強を確実に行うことにより、大引受ジャッキが曲がるのを防ぐことができ、また、この水平力処理部材の取り付け操作及び取り外し操作を容易にすることで施工性と安全性を向上する。
本発明に係る、傾斜下面を有するコンクリート構造物を施工するための支保工型枠支保工および型枠支保工用水平力処理部材を、以下に図面を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図4は、本発明に係る傾斜下面を有するコンクリート構造物の型枠支保工の一例であって、コンクリート橋脚の上部張出部を施工するための型枠支保工の上部の一部拡大図(側面図)を示す。
この型枠支保工は、コンクリート打設済みの橋脚の柱部15aの両側に、地上より数mないし十数mの高さで組まれている。ここでは、支柱部材1を鉛直方向につなぎ合わせてなる長さの異なる支柱の4本と、隣接する支柱材1の間を横方向に連結する水平材2の複数本からなり、さらに、各支柱の上にそれぞれ、ジャッキ部5aと平板5bからなる大引受ジャッキ5が立設され、各大引受ジャッキの平板5bの上端にそれぞれキャンバー12が配設され、各キャンバー12の上を通して傾斜して大引き材4が載置され、その上に、複数個の根太材9を介してコンクリート打設用の型枠10が配置されている。なお、支柱間の距離は、橋脚の柱部側から順に、600mm、900mmおよび1200mmである。
そして、隣接する大引受ジャッキ5と支柱材1との間には、両者の間を斜め方向に連結してなる長さ可変の水平力処理部材20が設けられている。ここで、水平力処理部材20は隣接する大引受ジャッキ5と支柱材1によって形成される縦平面内に配置されている。
コンクリート打設済みの橋脚の柱部15aにはアンカー13が打ち込まれており、ここに壁つなぎ材6を介して、型枠支保工11の支柱部材1と接続することによって、打設済みのコンクリート橋脚の柱部15aに水平荷重を伝達して、水平荷重に抵抗する補強となっている。
また、コンクリート橋脚の柱部から最も離れた支柱の上に立設された大引受ジャッキ5とその1本内側に隣接して立設された支柱材1との間に、さらに単管7が斜め方向に連結されており、水平荷重に抵抗する補強している。
ここでは、コンクリート橋脚の柱部から最も離れた支柱とこれに隣接する支柱の長さが長いため、さらに斜材3を連結することによって、水平荷重をコンクリート橋脚の柱部15aにまで伝達している。
図5は、本発明に係る型枠支保工用水平力処理部材の一例である。(a)が上面図、(b)が正面図である。
この水平力処理部材は、断面円筒形の水平力処理部材ジャッキ部22と水平力処理部材鞘管部23からなっており、水平力処理部材ジャッキ部22の一部は水平力処理部材鞘管部23の中に挿入できる構造となっている。そして、水平力処理部材ジャッキ部22は水平力処理部材鞘管部23の中に出し入れ可能であるから、ハンドル22aを回転させることなく、ハンドル22aと挿入側の先端にある抜け止め26との間で長さ可変とすることができる。そしてハンドル22aを回転させることにより、鞘管部23と先端金具21間の長さに水平力処理部材の長さを固定することができる。
水平力処理部材ジャッキ部22の挿入側の先端には抜け止め26が設置されており、水平力処理部材鞘管部23の挿入側の先端には水平力処理部材ジャッキ部22と抜け止め26を挿入できる孔が設けられているエンドプレート27が設置されている。そして、抜け止めプレート28には、水平力処理部材ジャッキ部22を挿入できるが、抜け止め26の幅よりも狭い孔が設けられており、抜け止めプレート28をエンドプレート27に固定ボルト29で留めることにより、水平力処理部材鞘管部23から水平力処理部材ジャッキ部22が外れることを防止している。この場合、抜け止めプレート28は先端金具21および水平力処理部材ジャッキ部のハンドル22aを設置する前にジャッキ部に挿通しておけばよいし、また、反対に抜け止め26を設置する前に水平力処理部材ジャッキ部に挿通しておいてもよい。
そして、水平力処理部材ジャッキ部22の他端部には取付角度自在で先端金具21が設けられ、そして、水平力処理部材鞘管部23の端部には取付角度自在でクランプ24が設けられている。後述するように、先端金具21は大引受ジャッキ5の上端に設けられた平板5bの端部を差し込んで嵌合させるだけで取り付けることができるから、先端金具21を大引受ジャッキ5に固定する作業は必要ではないし、先端金具21を大引受ジャッキ5に預けることができるので、先端金具21は預け機能を果たすことができる。また、水平力処理部材鞘管部23の端部に設けられたクランプ24は、支柱材1と水平力処理部材20を連結する部材であるが、水平力処理部材20の先端金具21が預け機能を果たすことから、クランプ24を支柱材1に連結する作業が容易となる。さらに、水平力処理部材20は、大引受ジャッキ5と支柱材1によって形成される鉛直方向平面内にあることから、水平力処理部材20には曲げモーメントは発生しない。したがって、水平力処理部材20の耐力は単管7を支柱部材1の側面で連結することによってモーメントが発生するときに比して有利になる。ここでは、クランプ24は楔クランプが用いられており、楔24aによって水平力処理部材20を支柱部材1に堅固に連結することができるから、大きな耐力を得ることができる。
図6は、本発明に係る水平力処理部材を、大引受ジャッキと支柱材の間に取り付ける一連の作業の一例である。(a)が水平力処理部材20の先端金具21を大引受ジャッキ5に取り付ける作業を示し、(b)が水平力処理部材鞘管部23の端部に設けられたクランプ24を支柱材1に取り付ける作業を示し、そして、(c)が水平力処理部材ジャッキ部のハンドル22aを回転させることによって、水平力処理部材の長さを調節する作業を示す。
図6(a)に示すように、水平力処理部材の先端金具21は大引受ジャッキ5の上端に設けられた平板5bの端部を矢印の方向に差し込んで嵌合させるだけで取り付けることができる。そして、先端金具21を大引受ジャッキ5に預けることができるので、図6(b)に示すように、水平力処理部材鞘管部23の端部に設けられたクランプ24を支柱材1に連結する作業は矢印の方向に斜めに動かすだけでよいので、片手で十分に行うことができる。また、クランプ24を支柱材1に取り付けた後は、クランプに付属する楔24aを矢印の方向にハンマー(図示せず)で叩くことによって固定することができる。その後、図6(c)に示すように、水平力処理部材ジャッキ部のハンドル22aを回転させることによって、水平力処理部材を所定の長さに固定することができる。このように、水平力処理部材20を、大引受ジャッキ5と支柱材1の間に取り付ける操作は、片手で簡単にすることができるので、取り付け作業は非常に楽になる。また、このことから高所での作業が迅速化し、時間の短縮につながり、安全性の向上が期待できる。
図7に、本発明に係る水平力処理部材の先端金具の一例を示す。(a)が上面図、(b)が正面図である。
水平力処理部材の先端金具21は、水平力処理部材のジャッキ部22の先端に取付角度自在ボルト25を介して取り付けられている。水平力処理部材の先端金具21は、2枚の側板21aと、この2枚の側板21aの間の間隔を大引受ジャッキ5のジャッキ部5aの外径とほぼ同じに固定する上端板21bを有しており、この上端板21bと2枚の側板21aとの間に形成された差込部21cに、大引受ジャッキのジャッキ部5aの上端に設けられた平板5bの端部を差し込んで嵌合させることができるようになっている。また、大引受ジャッキのジャッキ部5aと平板5bとの間にはリブプレート30が溶接されていて、補剛材の役割を果たしている。
さらに、水平力処理部材の先端金具21は、さらに断面湾曲形状の大引受ジャッキ当て材21dを有しており、2枚の側板21aとこの大引受ジャッキ当て材21dとで大引受ジャッキのジャッキ部5aの上端部を受容することができるようになっている。そして、大引受ジャッキの平板5bの上にはキャンバー12が設置され、その上に載置される大引き材(図示せず)をずれ止め材31により横ずれを防止している。
図8は、本発明に係る傾斜下面を有するコンクリート構造物の型枠支保工の他の例であって、コンクリート橋脚の上部張出部を施工するための型枠支保工の上部の一部拡大図(側面図)を示す。(a)が大引き材の傾斜角度が緩い場合、そして、(b)が大引き材の傾斜角度が急な場合である。
この型枠支保工は、コンクリート打設済みの橋脚の柱部の両側に、地上より数mないし十数mの高さで組まれている。ここでは、支柱部材1を鉛直方向につなぎ合わせてなる長さの異なる支柱の2本と、隣接する支柱材1の間を横方向に連結する水平材2からなり、さらに、各支柱の上にそれぞれ、ジャッキ部と平板からなる大引受ジャッキ5が立設され、各大引受ジャッキ5の平板の上端にそれぞれキャンバー12が配設され、各キャンバー12の上を通して傾斜して大引き材4が載置され、その上に、複数個の根太材9を介してコンクリート打設用の型枠10が配置されている。なお、支柱間の距離は、600mm、900mmおよび1200mmのうちのいずれにも適用できる。
そして、隣接する大引受ジャッキ5と支柱材1との間には、両者の間を斜め方向に連結してなる長さ可変の水平力処理部材20が設けられている。ここで、水平力処理部材20は隣接する大引受ジャッキ5と支柱材1によって形成される鉛直方向平面内に配置されている。
コンクリート打設済みの橋脚の柱部15aにはアンカー13が打ち込まれており、ここに壁つなぎ材6を介して、型枠支保工11の支柱部材1と接続することによって、打設済みのコンクリート橋脚の柱部15aに水平荷重を伝達して、水平荷重に抵抗する補強となっている。
また、コンクリート橋脚の柱部から離れた支柱の上に立設された大引受ジャッキ5と隣接して立設された支柱材1との間に、さらに単管7が斜め方向に連結されており、さらに水平荷重に抵抗する補強となっている。
実施例1に示した型枠支保工と同様に、水平荷重に抵抗する補強を確実にすることができ、また、この水平力処理部材の取り付け操作及び取り外し操作を容易にすることができる。そして、種々の大引き材の傾斜角度や支柱間距離にも対応することができる。
図9は、本発明に係る傾斜下面を有するコンクリート構造物の型枠支保工の他の例であって、コンクリート橋脚の上部張出部を施工するための型枠支保工の上部の一部拡大図(側面図)を示す。(a)が大引き材の傾斜角度が緩い場合、そして、(b)が大引き材の傾斜角度が急な場合である。
この型枠支保工は、コンクリート打設済みの橋脚の柱部の両側に、地上より数mないし十数mの高さで組まれている。ここでは、支柱部材1を鉛直方向につなぎ合わせてなる長さの異なる支柱の複数本と、隣接する支柱材1の間を横方向に連結する水平材2の複数本からなり、さらに、各支柱の上にそれぞれ、ジャッキ部と平板からなる大引受ジャッキ5が立設され、各大引受ジャッキ5の平板の上端にそれぞれキャンバー12が配設され、各キャンバー12の上を通して傾斜して大引き材4が載置され、その上に、複数個の根太材9を介してコンクリート打設用の型枠10が配置されている。なお、コンクリート橋脚の柱部から最も離れた支柱とこれに隣接する支柱との間の距離は900mmであり、そして、さらに隣接する支柱との間の距離も900mmである。
そして、隣接する大引受ジャッキ5と支柱材1との間には、両者の間を斜め方向に連結してなる長さ可変の水平力処理部材20が設けられている。ここで、水平力処理部材20は隣接する大引受ジャッキ5と支柱材1によって形成される鉛直方向平面内に配置されている。
また、コンクリート橋脚の柱部から最も離れた支柱の上に立設された大引受ジャッキ5とその1本内側に隣接して立設された支柱材1との間に、単管7が斜め方向に連結されており、さらに水平荷重に抵抗する補強となっている。
ここでは、コンクリート橋脚の柱部から最も離れた支柱とこれに隣接する支柱の長さが長いため、さらに斜材3を連結することによって、水平荷重をコンクリート橋脚の柱部15aにまで伝達している。
実施例1に示した型枠支保工と同様に、水平荷重に抵抗する補強を確実にすることができ、また、この水平力処理部材の取り付け操作及び取り外し操作を容易にすることができる。そして、種々の大引き材の傾斜角度や支柱間距離にも対応することができる。
図10および図11は、本発明に係る傾斜下面を有するコンクリート構造物を施工するための型枠支保工の他の例であって、上部にハンチを有するコンクリート天井の型枠支保工を示す。図10は型枠支保工全体の側面図、そして、図11は図10のうちの楕円形で囲まれた上部ハンチ部分の拡大図(側面図)である。
この型枠支保工11は、コンクリート打設済みの水平に架設された2本の梁42の間に、床スラブ43より数m〜十数mの高さで組まれている。そして、このコンクリート打設済みの2本の梁42の間に天井スラブ41をコンクリート打設することになる。しかしながら、その天井スラブ41は、梁42との連結部分に向けて断面の厚みが増加していくので、天井スラブの中央部41bの下面は水平であるが、梁42に連結するハンチ部41aの下面は傾斜している。
したがって、このような天井スラブ41をコンクリート打設するための型枠10は、天井スラブの中央部41bをコンクリート打設するための型枠は水平であるが、ハンチ部41aをコンクリート打設するための型枠は傾斜させる必要がある。
したがって、このような型枠10を大引き材4を介して支持する型枠支保工に用いられる支柱は、中央部と端部では支柱の長さが異なる。支柱は、床スラブ43の上に設置された各ジャッキベース44の上に支柱部材1を鉛直方向につなぎ合わせて立設するが、この型枠支保工の例では、中央部において立設する5本の支柱の長さは同一であるが、端部において立設する支柱は中央部に比べて短くなっている。そして、隣接する支柱材1の間を複数本の水平材2によって横方向に連結されている。また、支柱間の水平荷重に抵抗する補強をするために、一部の支柱間では斜材3が設置されている。なお、支柱間の距離は、一般には、中央部が600mm、900mm、1200mm、1500mm、1800mmのうちのいずれか、そして端部が600mm、900mm、1200mmのうちのいずれかである。
各支柱の上には、それぞれ、大引受ジャッキ5が立設され、その大引受ジャッキ5の上には大引き材4が載置され、その上に、複数個の根太材9を介してコンクリート打設用の型枠10が配置されている。上述したとおり、この型枠10は中央部は水平であるが端部は傾斜しているから、大引き材4もまた中央部は水平に載置され、端部は傾斜して載置される。各支柱の上には、それぞれ大引受ジャッキが立設され、各大引受ジャッキの上端には大引き材4が載置されることになるが、端部において立設される大引受ジャッキは、傾斜して載置される大引き材4を支えることになるのでその大引受ジャッキの上端にはキャンバー12が配設されている。
そして、隣接する大引受ジャッキ5と支柱材1との間には、両者の間を斜め方向に連結してなる長さ可変の水平力処理部材20が設けられている。ここで、水平力処理部材20は隣接する大引受ジャッキ5と支柱材1によって形成される縦平面内に配置されている。水平力処理部材20およびクランプ24は図5〜7で説明したものを用いることができ、その機能や使用方法も同じである。
なお、ここでは、水平荷重に抵抗する補強をするべく、特定の支柱間には複数本の斜材3が連結されている。ただし、この上部にハンチを有するコンクリート天井の型枠支保工においては、上部ハンチ部が両端で向かい合う対称形となっているため、左右からの水平荷重が打ち消し合う。よってコンクリート橋脚の柱部に設けるような壁つなぎ材は不要とすることができる。
図12は、本発明に係る傾斜下面を有するコンクリート構造物を施工するための型枠支保工の他の例であって、傾斜したボックスカルバートの型枠支保工の一部(側面図)を示す。
この型枠支保工は、傾斜してなる床スラブ43より数mの高さで組まれている。そして、傾斜した天井スラブ41をコンクリート打設することになるので、そのための型枠10は傾斜させる必要がある。
このような型枠10を大引き材4を介して支持する型枠支保工に用いられる支柱は、床スラブ43の上に設置された各ジャッキベース44の上に支柱部材1を鉛直方向につなぎ合わせて立設する。ここでは、床スラブ43の傾斜角度と天井スラブ41の傾斜角度が同じであるから、各支柱の長さは同じである。そして、隣接する支柱材1の間を複数本の水平材2によって横方向に連結されている。また、支柱間の水平荷重に抵抗する補強をするために、一部の支柱間では斜材3又は単管7が設置されている。なお、支柱間の距離は、一般には、600mm、900mm、1200mmのうちのいずれかである。
各支柱の上には、それぞれ、大引受ジャッキ5が立設され、その大引受ジャッキ5の上には大引き材4が傾斜して載置され、その上に、複数個の根太材9を介してコンクリート打設用の型枠10が傾斜して配置されている。各支柱の上には、それぞれ大引受ジャッキが立設され、傾斜して載置される大引き材4を支えることになるので、その大引受ジャッキの上端にはキャンバー12が配設されている。
そして、隣接する大引受ジャッキ5と支柱材1との間には、両者の間を斜め方向に連結してなる長さ可変の水平力処理部材20が設けられている。ここで、水平力処理部材20は隣接する大引受ジャッキ5と支柱材1によって形成される鉛直方向平面内に配置されている。水平力処理部材20およびクランプ24は図5〜7で説明したものを用いることができ、その機能や使用方法も同じである。
本発明によれば、傾斜下面を有するコンクリート構造物を施工するための型枠支保工における水平荷重に抵抗する補強を確実に行うことにより、大引受ジャッキが曲がるのを防ぐことができ、また、この水平力処理部材の取り付け操作及び取り外し操作を容易であるので、施工性と安全性の向上した型枠支保工および型枠支保工用水平力処理部材を提供することができる。
従来例に係る型枠支保工を示す側面図である。 図1のうちの楕円形で囲まれた部分の拡大図である。 大引受ジャッキと支柱の間を斜めに連結して水平荷重に抵抗する2つの態様を示す上面図であって、(a)が従来のように側面同士で連結した例(従来例)であり、(b)が鉛直方向平面内で連結した例(本発明例)である。 本発明に係る型枠支保工の上部の一部拡大図(側面図)の一例である。 本発明に係る型枠支保工用水平力処理部材の一例である。(a)が上面図、(b)が正面図である。 本発明に係る水平力処理部材を、大引受ジャッキと支柱材の間に取り付ける一連の作業(a)〜(c)の一例である。 本発明に係る水平力処理部材の先端金具の一例を示す。(a)が上面図、(b)が正面図である。 本発明に係る型枠支保工の他の例である。(a)が大引き材の傾斜角度が緩い場合、そして、(b)が大引き材の傾斜角度が急な場合である。 本発明に係る型枠支保工の他の例である。(a)が大引き材の傾斜角度が緩い場合、そして、(b)が大引き材の傾斜角度が急な場合である。 本発明に係る型枠支保工の他の例(全体側面図)を示す。 本発明に係る型枠支保工の他の例(上部ハンチ部分の拡大側面図)を示す。 本発明に係る型枠支保工の他の例(一部拡大側面図)を示す。
符号の説明
1 支柱部材
2 水平材
3 斜材
4 大引き材
5 大引受ジャッキ
5a 大引受ジャッキのジャッキ部
5b 大引受ジャッキの平板
6 壁つなぎ材
7 単管
8 首つなぎ管
9 根太材
10 型枠
11 型枠支保工
12 キャンバー
13 アンカー
15 コンクリート橋脚
15a コンクリート橋脚の柱部
15b コンクリート橋脚の上部
15c コンクリート橋脚の上部張出部
20 水平力処理部材
21 先端金具
21a 側板
21b 上端板
21c 差込部
21d 大引受ジャッキ当て材
22 水平力処理部材ジャッキ部
22a 水平力処理部材ジャッキ部のハンドル
23 水平力処理部材鞘管部
24 クランプ
24a クランプの楔
25 取付角度自在ボルト
26 抜け止め
27 エンドプレート
28 抜け止めプレート
29 固定ボルト
30 リブプレート
31 ずれ止め材
41 天井スラブ
41a 天井スラブのハンチ部
41b 天井スラブの中央部
42 梁
43 床スラブ
44 ジャッキベース

Claims (7)

  1. 傾斜下面を有するコンクリート構造物を施工するための型枠支保工であって、鉛直方向の支柱の複数本と、この支柱に対して直交する横方向の水平材の複数本と、各支柱の上に連結されて鉛直方向に立設された大引受ジャッキの複数本と、各大引受ジャッキの上端にそれぞれ配置されたキャンバーの複数個と、複数個のキャンバーの上を通して傾斜して載置される大引き材と、隣接する大引受ジャッキと支柱との間を斜め方向に連結してなる長さ可変の水平力処理部材を有し、かつ、水平力処理部材は隣接する大引受ジャッキと支柱によって形成される鉛直方向平面内に配置されていることを特徴とする型枠支保工。
  2. 大引受ジャッキはその上端にキャンバーを載置できる平板を備えることを特徴とする、請求項1に記載の型枠支保工。
  3. 隣接する2本の鉛直方向の支柱の間に、さらに斜材を斜め方向に連結してなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の型枠支保工。
  4. 水平力処理部材ジャッキ部と水平力処理部材鞘管部からなる長さ可変の水平力処理部材であって、水平力処理部材ジャッキ部の端部には取付角度自在で先端金具が設けられ、そして、水平力処理部材鞘管部の端部には取付角度自在でクランプが設けられていることを特徴とする型枠支保工用水平力処理部材。
  5. 長さ可変の水平力処理部材の先端金具は、大引受ジャッキのジャッキ部の上端部に嵌合させることによって大引受ジャッキに取り付けることができることを特徴とする、請求項4に記載の型枠支保工用水平力処理部材。
  6. 長さ可変の水平力処理部材の先端金具は、2枚の側板と、この2枚の側板の間の間隔を大引受ジャッキの外径とほぼ同じに固定する上端板を有しており、この上端板と2枚の側板との間に形成された差込部に、大引受ジャッキの上端に設けられた平板の端部を差し込んで嵌合させることができることを特徴とする、請求項5に記載の型枠支保工用水平力処理部材。
  7. 長さ可変の水平力処理部材の先端金具は、さらに断面湾曲形状の大引受ジャッキ当て材を有しており、2枚の側板とこの大引受ジャッキ当て材とで大引受ジャッキのジャッキ部の上端部を受容することができることを特徴とする、請求項6に記載の型枠支保工用水平力処理部材。
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