JP5033220B2 - 電子レンジ用調理袋および電子レンジ用調理食品 - Google Patents
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Description
煮魚などは、あらかじめ調味したものをパッケージに密封し、電子レンジで加温して食する場合と、生の魚を電子レンジで調理して食する場合とでは、食味が大きく異なるが、パッケージに魚の切り身と調味液とを入れたような場合には、魚に調味液の色がついてしまい、魚の種類が見分けられなくなるといったような問題も生じる。
すなわち、食材を密封した状態で電子レンジを用いて加熱した際に、袋に設けられた内圧逃がし部から内圧を解放することにより、袋の破裂を防止して食材を調理可能とした電子レンジ用調理袋であって、調理袋が、外袋と、この外袋に別体もしくは一体に収納された内袋と、この内袋に収納された小袋とからなり、前記外袋と内袋および小袋に前記内圧逃がし部が各々設けられるとともに、電子レンジを用いて調理開始した後、前記各々の内圧逃がし部が内圧を解放する順番が、前記小袋、前記内袋、前記外袋の順番に設けられていることを特徴とする。
また、外袋の内圧逃がし部が設けられた面と、内袋の内圧逃がし部が設けられた面とが、逆向きとなるように、外袋に内袋が収納されていた調味液が容易に外袋に浸み出すようにすることができる。
また、外袋に食材と内袋が収納された状態で、冷凍されて提供されることにより、食品の鮮度を維持して保管、搬送等を行うことができ、電子レンジを用いた調理によって新鮮さを失わずに調理することが可能になる。
また、電子レンジを用いて調理食品を調理した際には、内袋の内圧逃がし部が外袋の内圧逃がし部よりも先に破れることで、内袋に収納された食材、調味液と外袋に収納された食材とが程良く混じり合い、外袋に内圧が加わった状態で食材が調理され、外袋が一定の内圧以上になったときに外袋の内圧逃がし部が破れて外袋の破裂を防止して調理することが可能となる。本発明によれば、生魚等の未調理の食材を用いて、電子レンジにより調理することが可能となるから、食材の新鮮さを失わずに調理でき、きわめて食感の良い調理食品として提供することが可能になる。
図1は、本発明に係る電子レンジ用調理食品10の一実施形態の概略構成を示す説明図である。本実施形態の電子レンジ用調理食品10は、電子レンジ用調理袋として、生魚等の食材22等を収納するための外袋20と、外袋20に密封して収納される内袋30とを別個に備えていること、すなわち大袋としての外袋20の中に、小袋に形成され調味液が密封された内袋30を収納することによって、食材22と調味液とを分離して外袋20に収納したものである。
調理時の袋の内圧を逃がす方法としては、種々の方法があるが、本実施形態の外袋20と内袋30に設けた内圧を解放する手段は、外袋20と内袋30の袋材を、2枚の樹脂フィルムを貼り合わせた2層構造とし、内層側の樹脂フィルムについては孔のあいていないフィルム材を使用し、外層側の樹脂フィルムについては、内圧逃がし部26、36の配置位置に合わせて貫通孔を形成したフィルム材を使用する方法である。
第2のフィルム42で貫通孔42aを形成した部位は、第1のフィルム40が露出し、この貫通孔42aを形成した部位は第2のフィルム42によって保護されていないから、他の部位よりも耐圧が低くなり、袋内の圧力が高まるとこの第1のフィルム40が露出する部位が破れ、内圧が解放されることになる。なお、内圧逃がし部26、36が破れるときの圧力は、袋材に使用するフィルム材の材質(強度)、フィルム材の厚さ、貫通孔42aの孔径等によって調節することができる。
すなわち、電子レンジ用調理食品10の外袋20に設けた内圧逃がし部26が破れるときの内圧と、内袋30に設けた内圧逃がし部36が破れるときの内圧に差を設けておき、電子レンジにこの電子レンジ用調理食品10をかけた際に、小袋である内袋30が外袋20よりも先に破れて調味液32が外袋20内に浸出し、次いで、外袋20の内圧が高まって所定の内圧になったところで外袋20の内圧逃がし部26が破れ、外袋20が破裂することを防止して内圧を解放するように形成されている。
外袋20に調味液32が出てから一定時間経過すると外袋20の内圧が高まって内圧逃がし部26が破れるから、外袋20の内圧逃がし部26が破れるまでの時間を考慮して、その時間内に食材22および付け合わせ24の調理が仕上がるように食材22や付け合わせ24の内容量を調節する。
なお、内袋30は、内圧逃がし部26が鉛直上向きとなるように調理食品を電子レンジにセットした際に、内圧逃がし部36が鉛直下向きとなるように外袋20に収納されている。これは、内袋30の内圧逃がし部36が破れた際に、内袋30から調味液32が確実に浸出するようにするためである。内袋30の下面に内圧逃がし部36を設けておけば、内圧逃がし部36が破れた際に、調味液32は自重で内圧逃がし部36が破れた個所から外袋20に流れ出る。
外袋20は食材22および調味液32が入れられた内袋30を開口部20cから袋内に収納した後、開口部20cを熱シールして密封される。したがって、外袋20を構成するフィルム材は、熱シール可能な材料であり、かつ所定の内圧となったときに内圧逃がし部26が破れて内圧を確実に解放できる材料によって形成される。
図5(b)は内袋30に調味液32を入れ、内袋30のシール部30aを熱シールした状態を示す。調味液32は外袋20に収納する食材22に合わせてあらかじめ調味したものであり、内袋30は外袋20に収納する食材22や付け合わせ24の分量、種類に応じて所定の内容量のものが使用される。
また、上記実施形態では、図3に示すように、袋材の外層側の第2のフィルム42に貫通孔42aを設けて内圧逃がし部を構成したが、内層と外層のフィルム構成を逆転させ、袋の内層側のフィルムに貫通孔を形成する構成とすることもできる。袋材として使用するフィルム材は、耐圧性、気体の透過性、熱シール性等を考慮して適宜材料を選択することができる。
また、外袋20には、調味液を入れた内袋を収納する場合に限らず、調味液以外の食材を収納した内袋を収納することももちろん可能である。この場合も、内袋には、外袋20に設けた内圧逃がし部26よりも早いタイミングで破れる内圧逃がし部を設けておく。このように、内袋に適宜食材(食品)を収納しておき、外袋20の内圧逃がし部が破れるタイミングよりも早く内袋の内圧逃がし部を破ることで、種々の調理が可能となり種々の調理食品を提供することが可能になる。
なお、内袋にさらに小袋が収納され、小袋に内袋よりも早く内圧が開放される内圧逃がし部が設けられた構成とすることも可能である。
また、外袋20に収納する内袋については、内袋の内圧が所定の圧力になったときに内袋が全体的に破れて内袋に収納されていた中味が内袋から外に出るようにし、外袋20に収納されていた食材22と内袋の内容物とが混じり合って調理されるようにすることもできる。この場合には、内袋に内圧逃がし部として耐圧の弱い部位を(たとえば線状に)設けておき、内袋に内圧が作用したときに耐圧の弱い部位が選択的に破れて内袋が特定の形状に破裂するようにして、内袋の破片が食品中に混入しないようにするとよい。
外袋20は、内袋28に調味液32を充填した後、連通口28aがシールされて提供され、外袋20に食材22を収納して密封シールすることによって電子レンジ用調理食品10として提供される。
本実施形態のように、電子レンジ用調理食品10は外袋20と内袋28とが別体に形成されている場合に限らず、一体に形成されているものであってもよい。
実施例の電子レンジ用調理食品は、煮魚の調理食品として提供するもので、生魚の切り身と、付け合わせと、調味液を充填した内袋とが密封されたものである。生魚としては、80g〜120gのさばの切り身と赤魚の切り身を使用した。食材の切り身の大きさはとくには限定されないが、電子レンジを用いて数分間で調理できるようにするには、この程度の大きさの切り身が適当である。
本実施例では、内袋に調味液を40g充填して密封した。上記のさば、赤魚の切り身の場合は、この程度の分量の調味液を使用することで、煮汁が残った状態で、電子レンジを用いた調理で好適に調理することができる。
外袋20に内袋30が別袋として収納されているから、調味液を冷凍して固化させなくても、外袋20内で調味液が浸み出したりせず、魚の切り身が生のままの色、姿で密封され、見栄えが良く、商品価値が高い状態で提供することができる。また、調味液をあらかじめ内袋30に密封しておくことで、調味液に異物が付着したり、混入したりすることがなく、衛生的に取り扱うことが可能となる。
内袋30は大きく膨らんだ後、加熱開始後、1分半程度経過したところで内圧逃がし部36が破れ、袋の下側に開いた孔から調味液が外袋20に浸み出す。この状態で調味液は加温された状態になっており、外袋20は完全に膨らんだ状態で、外袋20内で調味液とともに魚の切り身と付け合わせが調理される。
本実施例のように、外袋20と内袋30が破れるタイミングに時間差を設けるようにすると、煮魚のような調理食品の場合に、冷凍状態から食材が解凍されたところで調味液が調理袋に浸み出すようにすることができるから、食材が的確に調理できるという利点がある。
また、調理袋内で食材を調理することにより、鍋等で食材を煮る方法にくらべて食材に残存する栄養素が多くなり、食材から有効に栄養を摂取することが可能になる。
また、本実施例の電子レンジ用調理食品の場合は、冷凍状態のまま調理食品を電子レンジに入れるだけで良いから、取り扱いがきわめて簡単であり、鍋等を用いて調理する場合には、長時間かかる料理が4〜5分程度の短時間でできるという利点がある。
また、本発明に係る電子レンジ用調理食品は、家庭で利用する場合に限らず、業務用として魚料理の提供等に利用することももちろん可能である。業務用として使用する場合においても、食材の食感が損なわれないこと、すばやく調理して提供できる等の点できわめて有効に利用できる。
20 外袋
20a、20b シール部
22 食材
24 付け合わせ
26、29、36 内圧逃がし部
28、30 内袋
32 調味液
42a 貫通孔
Claims (7)
- 食材を密封した状態で電子レンジを用いて加熱した際に、袋に設けられた内圧逃がし部から内圧を解放することにより、袋の破裂を防止して食材を調理可能とした電子レンジ用調理袋であって、
調理袋が、外袋と、この外袋に別体もしくは一体に収納された内袋と、この内袋に収納された小袋とからなり、
前記外袋と内袋および小袋に前記内圧逃がし部が各々設けられるとともに、電子レンジを用いて調理開始した後、前記各々の内圧逃がし部が内圧を解放する順番が、前記小袋、前記内袋、前記外袋の順番に設けられていることを特徴とする電子レンジ用調理袋。 - 前記外袋および内袋が、フィルムを2層に積層したフィルム材からなり、
前記外袋と内袋に設けられた内圧逃がし部が、前記積層して設けられた内層または外層のフィルムの一方に貫通孔を設けることによって形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子レンジ用調理袋。 - 食材が収納され、電子レンジを用いて加熱された際に、袋の破裂を防止する内圧逃がし部が設けられた外袋に、調味液または食材が収納され、電子レンジを用いて加熱された際に、袋の破裂を防止する内圧逃がし部が設けられた小袋と、食材または調味液が収納され、電子レンジを用いて加熱された際に、袋の破裂を防止する内圧逃がし部が設けられた内袋が収納されて密封された電子レンジ用調理食品であって、
電子レンジを用いて調理開始した後、前記各々の内圧逃がし部が内圧を解放する順番が、前記小袋、前記内袋、前記外袋の順番に設けられていることを特徴とする電子レンジ用調理食品。 - 前記外袋に、食材とともに付け合わせが収納されていることを特徴とする請求項3記載の電子レンジ用調理食品。
- 外袋の内圧逃がし部が設けられた面と、内袋の内圧逃がし部が設けられた面とが、逆向きとなるように、外袋に内袋が収納されていることを特徴とする請求項3または4記載の電子レンジ用調理食品。
- 前記外袋および内袋が、フィルムを2層に積層したフィルム材からなり、
前記外袋と内袋に設けられた内圧逃がし部が、前記積層して設けられた内層または外層のフィルムの一方に貫通孔を設けることによって形成されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項記載の電子レンジ用調理食品。 - 外袋に食材と内袋が収納された状態で、冷凍されて提供されることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項記載の電子レンジ用調理食品。
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