JP5031635B2 - 揺動トルク測定方法及び装置 - Google Patents

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本発明は、嵌合部材に対して相手部材を揺動させる揺動トルクを測定する揺動トルク測定方法及び装置に関するものである。
例えばボールジョイントは、互い摺動可能に嵌合する嵌合部材(ボール)と相手部材(ケージ)とを備え、嵌合部材(ボール)が相手部材(ケージ)に対してボール軸部及びボール頭部の軸まわりに回動する動作と、ボール軸部に直交するボール頭部の軸まわりに揺動する動作を行う。
特許文献1には、ボール軸部及びボール頭部の軸上に回転アクチュエータと回転トルクセンサをそれぞれ設け、これらを介してボール軸部の軸まわりに回動する回動トルクを測定する方法が開示されている。
特開2003−013941号公報
しかしながら、このような従来の揺動トルク測定方法にあっては、回転トルクセンサがボール軸部の軸まわりに回動する回動トルクを測定することはできるが、ボール軸部に直交するボール頭部の軸まわりに揺動する揺動トルクを測定することができない。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、揺動トルクを正確に測定できる揺動トルク測定方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明は、相手部材に対して嵌合部材を揺動させるボールジョイントの揺動トルクTを測定する揺動トルク測定方法であって、第一保持具に保持される相手部材に対してアクチュエータによって駆動される第二保持具に保持される嵌合部材を揺動中心点Oxを中心として揺動し、嵌合部材に対して検出長さLを半径とする経路円弧Sの接線方向にかかる荷重Bを検出し、垂直線に対する嵌合部材の揺動角度θを検出し、この揺動角度θに基づいて嵌合部材自体に働く重力と第二保持具に働く重力とアクチュエータに働く重力とを加算した重力Masの経路円弧Sの接線方向に作用する成分を重力誤差分Aとして算出し、検出される荷重Bから算出される重力誤差分Aを差し引いた値を補正後の荷重Cとして求め、揺動トルクTを補正後の荷重Cと検出長さLとの積として算出することを特徴とする。
また、本発明は、相手部材に対して嵌合部材を揺動させるボールジョイントの揺動トルクTを測定する揺動トルク測定装置であって、第一保持具に保持される相手部材に対して第二保持具に保持される嵌合部材を揺動中心点Oxを中心として揺動させるアクチュエータと、嵌合部材に対して検出長さLを半径とする経路円弧Sの接線方向にかかる荷重Bを検出する荷重センサと、垂直線に対する嵌合部材の揺動角度θを検出する角度センサとを備え、アクチュエータが相手部材に対して嵌合部材を揺動中心点Oxを中心として揺動し、嵌合部材に対して検出長さLを半径とする経路円弧Sの接線方向にかかる荷重Bを検出し、垂直線に対する嵌合部材の揺動角度θを検出し、この揺動角度θに基づいて嵌合部材自体に働く重力と第二保持具に働く重力とアクチュエータに働く重力とを加算した重力Masの経路円弧Sの接線方向に作用する成分を重力誤差分Aとして算出し、検出される荷重Bから算出される重力誤差分Aを差し引いた値を補正後の荷重Cとして求め、揺動トルクTを補正後の荷重Cと検出長さLとの積として算出するコントローラを備えたことを特徴とする。
本発明の揺動トルク測定方法によると、嵌合部材にかかる重力Masによって揺動トルクTの測定精度が悪化することを回避し、揺動トルクTを正確に測定することができる。
本発明の揺動トルク測定装置によると、例えばボールジョイントの場合、ボール軸部に直交するボール頭部の軸まわりに揺動する揺動トルクを測定することが可能となり、ボールジョイントの品質管理を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、ボールジョイント1の揺動トルクを測定する揺動トルク測定装置10の概略構成を示す図である。
ボールジョイント1は、互いに回動可能に嵌合する嵌合部材(ボール)2と相手部材(ケージ)3とを備え、二つの部材を回動可能に連結する自在継ぎ手として機能する。
嵌合部材2は、球状のボール頭部2bと、このボール頭部2bから突出するボール軸部2aとを有する。
相手部材3は、嵌合部材2のボール頭部2bに摺動可能に嵌合するケージ軸受部3aと、このケージ軸受部3aから突出するケージ軸部3bとを有する。
ボール頭部2bの外周面はケージ軸受部3aに摺接し、嵌合部材2が相手部材3に対してボール軸部2a及びボール頭部2bの軸まわりに回動するとともに、ボール軸部2aに直交するボール頭部2bの軸まわりに揺動するようになっている。
揺動トルク測定装置10は、ボールジョイント1の揺動トルクTを測定するものである。図1において、互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定し、揺動トルク測定装置10の構成を説明する。X軸は水平前後方向に延び、Y軸は水平左右方向に延び、Z軸は垂直方向に延びるものとする。
揺動トルク測定装置10は、ケージ軸部3bを保持する第一保持具21と、ボール軸部2aを保持する第二保持具22とを備え、両者の間にボールジョイント1が取り付けられる。第一保持具21はケージ軸部3bをZ軸方向に延びるように支持する。第二保持具22は弾性部を介してボール軸部2aをZ軸方向に延びるように支持する。
揺動トルク測定装置10は、第二保持具22を介して嵌合部材2を揺動させるアクチュエータ20と、このアクチュエータ20から第二保持具22を介して嵌合部材2にかかる荷重Bを検出する荷重センサ13と、嵌合部材2の揺動角度θを検出する角度センサ12とを備える。
アクチュエータ20は、第二保持具22をX軸方向に延びるケージ軸受部3aの揺動中心点Oxを中心とする経路円弧Sに沿って移動させる。
荷重センサ13は、経路円弧Sの接線方向について嵌合部材2にかかる荷重Bを検出する。
角度センサ12は、Z軸(垂直線)に対する嵌合部材2の揺動角度θを検出する。
アクチュエータ20の作動は、コントローラ11によって制御される。コントローラ11は予め設定されたマップに基づいて第二保持具22を往復動させ、この間に入力される角度センサ12と荷重センサ13との検出信号に基づいて嵌合部材2にかかる揺動トルクTを測定する。
アクチュエータ20は、ケージ軸受部3aの揺動中心点Oxと交差するZ軸(垂直線)を含む角度範囲にてY軸右方向に移動する押し行程を行った後、続けてY軸左方向に移動する引き行程を行い、この作動を数回繰り返す。
図2に示すように、荷重センサ13にはアクチュエータ20に付与される荷重と重力Masとがかかる。
アクチュエータ20に付与される荷重は、嵌合部材2と相手部材3との間に働く摩擦力に対抗する反力として生じ、アクチュエータ20が移動する経路円弧Sの接線方向に作用する。
荷重センサ13にかかる重力Masは、嵌合部材2自体に働く重力と第二保持具22に働く重力とアクチュエータ20に働く重力とを加算して算出する。
重力MasはZ軸方向(垂直方向)に作用し、嵌合部材2が角度θだけ揺動した状態では、重力Masの成分Aが重力誤差分としてアクチュエータ20が移動する経路円弧Sの接線方向に作用する。この重力誤差分Aは嵌合部材2の揺動角度θに応じて次式で計算される。
A=sinθ×Mas …(1)
図3のグラフは、横軸に時間、縦軸に嵌合部材2にかかる荷重をとっている。このグラフに実線で示す特性は実際に検出される荷重Bであり、2点鎖線で示す特性は補正後の荷重Cである。
荷重B、Cは、アクチュエータ20が図1においてY軸右方向に移動する押し行程では正の値をとり、Y軸左方向に移動する引き行程では負の値をとる。
図3のグラフに示すように、実際に検出される荷重Bは重力に関わる重力誤差分Aを有し、押し行程の経路データと引き行程の経路データが、互いに反対方向について同一の勾配で傾斜している。
図4のグラフは、横軸に嵌合部材2の揺動角度θ、縦軸に嵌合部材2にかかる荷重をとっている。このグラフに実線で示す実際に検出される荷重Bのサイクルは、押し行程の経路データと引き行程の経路データが、互いに反対方向について同一の勾配で傾斜している。
コントローラ11は、実際に検出される荷重Bに含まれる重力に関わる重力誤差分Aを前記(1)式で算出し、補正後の荷重Cを次式で算出する。
C=B−A …(2)
コントローラ11は、補正後の揺動トルクTは次式で算出する。ただし、Lは検出長さであり、X軸方向に延びるケージ軸受部3aの中心点Oxと荷重センサ13の計測点との距離とする。
T=C×L …(3)
図4のグラフに実線で示すサイクルは補正後の荷重Cであり、押し行程の経路データと引き行程の経路データが、それぞれ一定の値となる。
最終的な揺動トルクTとして、押し行程と引き行程に渡って所定の時間毎に求められる荷重Cが揺動トルクTのグラフとなる。
こうして、求められる揺動トルクTは重力に関わる重力誤差分Aが補正されるため、その測定精度を十分に高められる。
本実施の形態では、相手部材3に対して嵌合部材2を揺動させる揺動トルクTを測定する揺動トルク測定方法であって、相手部材3に対して嵌合部材2を揺動中心点Oxを中心として揺動し、嵌合部材2に対して検出長さLを半径とする経路円弧Sの接線方向にかかる荷重Bを検出し、Z軸(垂直線)に対する嵌合部材2の揺動角度θを検出し、この揺動角度θに基づいて嵌合部材2にかかる重力Masの経路円弧Sの接線方向に作用する成分を重力誤差分Aとして算出し、検出される荷重Bから算出される重力誤差分Aを差し引いた値を補正後の荷重Cとして求め、揺動トルクTを補正後の荷重Cと検出長さLとの積として算出するため、嵌合部材2にかかる重力Masによって揺動トルクTの測定精度が悪化することを回避し、揺動トルクTを正確に測定することができる。
なお、本実施の形態では、コントローラ11が揺動トルクTの算出を自動的に行うが、これに限らず、揺動トルクTの算出を手動で行っても良い。
本実施の形態では、揺動中心点Oxと交差するZ軸(垂直線)を含む角度範囲にて嵌合部材2を押す押し行程を行った後、嵌合部材2を引く引き行程を行い、押し行程と引き行程にて揺動トルクTを測定するため、重力誤差分Aが小さい角度範囲にて揺動トルクTを正確に測定することができる。
本実施の形態では、相手部材3に対して嵌合部材2を揺動させる揺動トルクTを測定する揺動トルク測定装置であって、相手部材3に対して嵌合部材2を揺動中心点Oxを中心として揺動させるアクチュエータ20と、嵌合部材2に対して検出長さLを半径とする経路円弧Sの接線方向にかかる荷重Bを検出する荷重センサ13と、Z軸(垂直線)に対する嵌合部材2の揺動角度θを検出する角度センサ12とを備え、アクチュエータ20が相手部材3に対して嵌合部材2を揺動中心点Oxを中心として揺動し、嵌合部材2に対して検出長さLを半径とする経路円弧Sの接線方向にかかる荷重Bを検出し、Z軸(垂直線)に対する嵌合部材2の揺動角度θを検出し、この揺動角度θに基づいて嵌合部材2にかかる重力Masの経路円弧Sの接線方向に作用する成分を重力誤差分Aとして算出し、検出される荷重Bから算出される重力誤差分Aを差し引いた値を補正後の荷重Cとして求め、揺動トルクTを補正後の荷重Cと検出長さLとの積として算出するコントローラ11を備えたため、ボール軸部2aに直交するボール頭部2bの軸(揺動中心点Ox)まわりに揺動する揺動トルクTを測定することが可能となり、ボールジョイント1の品質管理を行うことができる。
なお、嵌合部材2を駆動するアクチュエータ20を廃止し、嵌合部材2を手動で動かす構成としても良い。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
本発明の揺動トルク測定方法及び装置は、ボールジョイントに限らず他の機械部品等に利用できる。
本発明の実施の形態を示す揺動トルク測定装置の構成図。 同じく嵌合部材に働く荷重を示す構成図。 同じく経過時間に対して嵌合部材にかかる荷重の測定データを表したグラフ。 同じく嵌合部材の揺動角度に対して嵌合部材にかかる荷重の測定データを表したグラフ。
符号の説明
1 ボールジョイント
2 嵌合部材(ボール)
3 相手部材(ケージ)
10 揺動トルク測定装置
11 コントローラ
12 角度センサ
13 荷重センサ
19 架台
20 アクチュエータ
21 第一保治具
22 第二保治具
A 重力誤差分
B 荷重データ
C 荷重
L 検出長さ
Mas 重力
Ox 揺動中心点
T 揺動トルク
S 経路円弧
θ 揺動角度

Claims (3)

  1. 相手部材に対して嵌合部材を揺動させるボールジョイントの揺動トルクTを測定する揺動トルク測定方法であって、
    第一保持具に保持される前記相手部材に対してアクチュエータによって駆動される第二保持具に保持される前記嵌合部材を揺動中心点Oxを中心として揺動し、
    前記嵌合部材に対して検出長さLを半径とする経路円弧Sの接線方向にかかる荷重Bを検出し、
    垂直線に対する前記嵌合部材の揺動角度θを検出し、
    この揺動角度θに基づいて前記嵌合部材自体に働く重力と前記第二保持具に働く重力と前記アクチュエータに働く重力とを加算した重力Masの経路円弧Sの接線方向に作用する成分を重力誤差分Aとして算出し、
    検出される荷重Bから算出される重力誤差分Aを差し引いた値を補正後の荷重Cとして求め、
    揺動トルクTを補正後の荷重Cと検出長さLとの積として算出することを特徴とする揺動トルク測定方法。
  2. 前記揺動中心点Oxと交差する垂直線を含む角度範囲にて嵌合部材を押す押し行程を行った後、前記嵌合部材を引く引き行程を行い、前記押し行程と前記引き行程にて揺動トルクTを測定することを特徴とする請求項1に記載の揺動トルク測定方法。
  3. 相手部材に対して嵌合部材を揺動させるボールジョイントの揺動トルクTを測定する揺動トルク測定装置であって、
    第一保持具に保持される前記相手部材に対して第二保持具に保持される前記嵌合部材を揺動中心点Oxを中心として揺動させるアクチュエータと、
    前記嵌合部材に対して検出長さLを半径とする経路円弧Sの接線方向にかかる荷重Bを検出する荷重センサと、
    垂直線に対する前記嵌合部材の揺動角度θを検出する角度センサとを備え、
    アクチュエータが相手部材に対して嵌合部材を揺動中心点Oxを中心として揺動し、
    前記嵌合部材に対して検出長さLを半径とする経路円弧Sの接線方向にかかる荷重Bを検出し、
    垂直線に対する前記嵌合部材の揺動角度θを検出し、
    この揺動角度θに基づいて前記嵌合部材自体に働く重力と前記第二保持具に働く重力と前記アクチュエータに働く重力とを加算した重力Masの経路円弧Sの接線方向に作用する成分を重力誤差分Aとして算出し、
    検出される荷重Bから算出される重力誤差分Aを差し引いた値を補正後の荷重Cとして求め、
    揺動トルクTを補正後の荷重Cと検出長さLとの積として算出するコントローラを備えたことを特徴とする揺動トルク測定装置。
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