JP5031167B2 - 集合ユニット型貼付剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚に与える刺激が非常に低減され、しかも、皮膚への付着性に優れた集合ユニット型の貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
薬物の投与法として、錠剤、カプセル剤、シロップ剤等の製剤を使用する経口投与法が広く用いられている。しかしながら、経口投与法には、吸収された後に薬物が肝臓で初回通過効果を受けやすいことや、投与後一時的に、必要以上に血中濃度が上昇し、その結果、副作用が起こりやすいこと等の欠点がある。このような経口投与法の有する欠点を解消するために、経皮吸収型製剤の開発が積極的に進められている。
経皮吸収型製剤は経口投与法の欠点を補うだけでなく、投与回数の減少や、コンプライアンスの向上、投与及びその中止の容易さ等の利点も期待され、老人や小児の患者で特に有用であることが知られている。
【0003】
しかしながら、経皮吸収型製剤、特に貼付剤による経皮投与は、経口投与に比べて安全性には問題がないが、皮膚に長時間貼付すると、発汗、蒸れ、かぶれ等の皮膚刺激による不快感を与える場合がある。このような皮膚刺激の原因としては、例えば、貼付剤が通気性に乏しいこと、伸縮性に乏しいこと、粘着力が強すぎること等が挙げられる。
【0004】
これらの問題点を解決する手段として、貼付剤に通気性を付与する方法について、例えば、穿孔針を用いて粘着テープに物理的に穿孔する方法(特開昭56−112255号公報)、通気性支持体に粘着剤を部分的(例えば縞状に)塗布する方法(実開昭56−78841号公報)等の種種の検討がなされている。
しかしながら、前者の例は、通気性は得られるが、物理的穿孔では孔の密度に限界があり、微細に観察した場合に、通気性に富む部分とそうでない部分とが存在することになるため、均一な密度の通気性を形成するのが難しいという欠点があった。
また、後者の粘着剤を部分的に塗布する方法では、通気性の大幅な向上が難しいばかりでなく、粘着部分が少なく、しかも支持体に伸縮性がないため、人体の動きに貼付剤が追随せず接着性に乏しいという欠点があった。
【0005】
また、特開平10−287557号公報には、厚み方向に貫通する複数の線状切り込みが設けられたポリエステルフィルムと柔軟性を有する織布または不織布とを積層した支持体に、粘着層を積層してなる貼付剤が開示されている。
しかしながら、適用製剤面積内部のポリエステルフィルムに切り込みを入れるだけでは、製剤全体での柔軟性に欠けるため、上記問題点を解決するには不十分であるばかりでなく、皮膚刺激を低減することも改善できているとは言い難い。
【0006】
なお、このような全身性の効果を期待する経皮吸収型製剤は、投与量を正確にするために、粘着力を有する薬物含有層を支持体上に積層し、薬剤の効果が期待される面積に裁断される。一般に、その粘着力は製剤の適用時間及び剥離時や剥離後の皮膚刺激性に応じて調整される。粘着力と皮膚刺激性は比例関係にあるので、理想的には適用時間中の有効面積が変化することなく、製剤剥離時に角質層をできるだけ剥離しない製剤が望まれるが、特に製剤の面積が10cmより大きい場合には、皮膚への追従性が低下するため、高い粘着力が要求される。
追従性を増加させる手段としては、伸縮性のある支持体を用いることが考えられるが、織布や不織布などの支持体では製剤の密封効果の低減により、薬物の皮膚透過性低下が懸念されることや、製剤適用時の適用面積が個人で異なる危険性がある。
【0007】
また、ポリウレタンなどの伸縮性フィルムを用いた場合は、薬物の支持体への移行がある場合が多く、皮膚透過性や経時安定性に影響することが予想される。これらの薬物皮膚透過性低下の解決策としては、薬物の移行が認められないポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムを支持体に用いる方法があるが、そのようなフィルムは伸縮性が全くなく、特に面積が10cm以上の製剤の場合は、高い粘着力が必要となり、皮膚刺激性に影響することが多い。その傾向は製剤面積が大きいほど顕著であり、製剤の面積と皮膚刺激性に相関関係があることが予想される。
【0008】
これらの問題点を解決する手段として、種々の経皮吸収型製剤が検討されており、支持体について多くの工夫がなされている。例えば、特開平5−309128号公報には、厚み0.5〜6μmのポリエステル製フィルムと秤量5〜20g/mのポリエステル製不織布とを積層した支持体の不織布面上に、粘着剤層を積層してなる貼付剤が開示されている。さらに、特許第2505674号公報には、特定の強度、伸度を有し、かつ固形微粒子を含有する厚み0.5〜4.9μmのポリエステル製フィルムを用いた貼付剤が開示されており、さらにこのフィルムに支持体を積層した貼付剤が開示されている。
しかしながら、これらの従来の支持体を用いた貼付剤は、柔軟性の観点から、上記問題点を解決するには不十分なものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、このような従来技術の問題点を解決し、皮膚刺激が著しく低減され、しかも、皮膚に対する追随性が高く、付着性が改善された貼付剤を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリエステルフィルムからなる支持体と粘着剤層とを有する複数の積層体ユニットを、前記ポリエステルフィルムを介して保持体に保持させることにより、通気性が高められ、皮膚刺激低減効果、すなわち、かぶれの低減、蒸れの防止等の効果が高められた集合ユニット型貼付剤が得られることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、ポリエステルフィルムからなる支持体と粘着剤層を有する複数の積層体ユニットが、前記ポリエステルフィルムを介して保持体に保持されていることを特徴とする集合ユニット型貼付剤である。
本発明はまた、保持体が、織布または不織布からなることを特徴とする前記集合ユニット型貼付剤である。
本発明はまた、保持体が、伸縮性を有する織布または不織布からなることを特徴とする前記集合ユニット型貼付剤である。
本発明はまた、1つの積層体ユニットの面積が、4cm以下であることを特徴とする前記集合ユニット型貼付剤である。
本発明はまた、1つの積層体ユニットの面積が、1cm以下であることを特徴とする前記集合ユニット型貼付剤である。
本発明はまた、集合ユニット型貼付剤の面積が、10cm以上である前記集合ユニット型貼付剤である。
本発明はまた、ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムである前記集合ユニット型貼付剤である。
本発明はまた、積層体ユニット同士が、互いに離隔していることを特徴とする前記集合ユニット型貼付剤である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の集合ユニット型貼付剤について詳しく説明する。
本発明の集合ユニット型貼付剤は、ポリエステルフィルムからなる支持体の片面に粘着剤層を支持してなる複数の積層体ユニットが、前記ポリエステルフィルムを介して保持体に保持されていることを特徴とするものである。
本発明の集合ユニット型貼付剤の例を図1〜3に示す。図1〜3において、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
本発明の集合ユニット型貼付剤1における支持体2は、ポリエステルフィルムからなり、その片面に粘着剤層3を支持している。この支持体2と粘着剤層3からなる積層体は1つの積層体ユニット4を形成している。
また、本発明の集合ユニット型貼付剤における保持体5は、支持体2と粘着剤層3の積層体からなるユニット4を、支持体2のポリエステルフィルムの粘着剤層3を支持するほうの面とは反対の面を介して複数保持している。
【0013】
本発明の集合ユニット型貼付剤1における保持体5を構成する材料は、特に限定されないが、織布または不織布を用いることが好ましく、伸縮性を有するものであることがさらに好ましい。これらの中でも、伸縮性を有する織布を用いることが特に好ましい。
また、保持体5の目付は特に限定されないが、目付が小さくなりすぎると取り扱いが不十分になる傾向にあり、他方、目付が大きくなり過ぎると柔軟性及び伸縮性が不十分となる傾向にあるため、10g/m〜200g/mであることが好ましい。
また、伸縮性については、縦方向伸度および横方向伸度とも特にその限定はないが、50%以上であることが好ましく、150%以上であるものがより好ましい。なお、この伸度(縦方向伸度および横方向伸度)は、日本薬局方「絆創膏」に記載の引っ張り強度測定方法に準拠して以下のように測定された値である。
すなわち、幅12mm、長さ200mmの試験片を調製し、あらかじめ亜硝酸ナトリウム飽和溶液の蒸気で飽和したデシケーターに入れ、常温で4時間放置した。その後、振子式試験器機で標点距離150mm(引っ張る前の長さ=150mm)にして25〜50mm幅の留金で試験片の両端部を堅くはさみ、300mm/分の速度で引っ張り、切断時の長さを測定した。得られた測定値に基づいて、以下の式により伸度を算出した。
伸度(%)={((切断面の長さ)−(引っ張る前の長さ))/(引っ張る前の長さ)}×100
【0014】
本発明の集合ユニット型貼付剤1の支持体2において用いられるポリエステルフィルムの材質は、ポリエステル製であれば特に限定されないが、安全性、汎用性の面から、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。またポリエステルフィルムの厚みに関しても特に限定されないが、薄くなりすぎると製造工程及び製剤貼付時に破損する可能性があり、他方厚くなりすぎると製剤の使用感に問題を生じる可能性があるため、0.5〜30μmであることが好ましい。
【0015】
本発明の集合ユニット型貼付剤1における粘着剤層3の基剤としては、アクリル系高分子またはゴム系の高分子を用いることが好ましい。
アクリル系高分子としては、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート等に代表される(メタ)アクリル酸誘導体を少なくとも一種含有させて共重合したものであれば特に限定されず、例えば、医薬品添加物事典2000(日本医薬品添加剤協会編集)に粘着剤として収載されているアクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸エステル・酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂アルカノールアミン液に含有するアクリル系高分子等の粘着剤、DURO−TAKアクリル粘着剤シリーズ(ナショナルスターチアンドケミカル社製)、オイドラギットシリーズ(樋口商会社製)等を使用することができる。
【0016】
ゴム系の高分子としては、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SIS」と略記する。)、イソプレンゴム、ポリイソブチレン(以下、「PIB」と略記する。)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合(以下、「SBS」と略記する。)、スチレン−ブタジエンゴム(以下、「SBR」と略記する。)、ポリシロキサン等が挙げられ、その中でも、SISとPIBが好ましく、特にSISが好ましい。
なお、このようなアクリル系高分子またはゴム系の高分子は、2種以上を混合して使用してもよく、粘着剤層3の組成全体の質量に基づく配合量は、粘着剤層の形成及び充分な透過性を考慮して、10〜90質量%であることが好ましく、さらに30〜90質量%であることが好ましく、特に30〜70質量%の量であることが好ましい。
【0017】
本発明の集合ユニット型貼付剤1の粘着剤層3には、可塑剤を含有させてもよい。
使用されることができる可塑剤としては、石油系オイル(例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等)、スクワラン、スクワレン、植物系オイル(例えば、オリーブ油、ツバキ油、ひまし油、トール油、ラッカセイ油)、シリコンオイル、二塩基酸エステル(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等)、液状ゴム(例えば、ポリブテン、液状イソプレンゴム)、液状脂肪酸エステル類(ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル)、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、サリチル酸グリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クロタミトン等が挙げられる。これらの中でも特に、流動パラフィン、液状ポリブテン、クロタミトン、セバシン酸ジエチル、ラウリン酸ヘキシルが好ましい。
これらの可塑剤は2種以上を混合して使用してもよく、粘着剤層3の組成全体の質量に基づく配合量は、充分な透過性及び貼付製剤としての充分な凝集力の維持を考慮して、合計で、10〜70質量%であることが好ましく、さらに10〜60質量%であることが好ましく、特に10〜50質量%であることが好ましい。
【0018】
本発明の集合ユニット型貼付剤1における粘着剤層3には、粘着力が不充分である場合には粘着付与樹脂を含有させてもよい。
使用され得る粘着付与樹脂としては、ロジン誘導体(例えば、ロジン、ロジンのグリセリンエステル、水添ロジン、水添ロジンのグリセリンエステル、ロジンのペンタエリストールエステル等)、脂環族飽和炭化水素樹脂(例えば、アルコンP100:荒川化学工業社製)、脂肪族系炭化水素樹脂(例えば、クイントンB170:日本ゼオン社製)、テルペン樹脂(例えば、クリアロンP−125:ヤスハラケミカル社製)、マレイン酸レジン等が挙げられる。これらの中でも、特に水添ロジンのグリセリンエステル、脂環族飽和炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、テルペン樹脂が好ましい。
このような粘着付与樹脂の粘着剤層3組成全体の質量に基づく配合量は、貼付剤としての充分な粘着力及び剥離時の皮膚への刺激性を考慮して、5〜70質量%であることが好ましく、さらに5〜60質量%であることが好ましく、特に10〜50質量%であることが好ましい。
【0019】
本発明の粘着剤層3に薬物を含有させる場合に使用することができる薬物は、経皮吸収される薬物であればその種類は限定されないが、例えば、催眠・鎮静剤(塩酸フルラゼパム、塩酸リルマザホン、フェノバルビタール、アモバルビタール等)、解熱消炎鎮痛剤(酒石酸ブトルファノール、クエン酸ペリソキサール、アセトアミノフェン、メフェナム酸、ジクロフェナックナトリウム、アスピリン、アルクロフェナク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、ペンタゾシン、インドメタシン、サリチル酸グリコール、アミノピリン、ロキソプロフェン等)、ステロイド系抗炎症剤(ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン等)、興奮・覚醒剤(塩酸メタンフェタミン、塩酸メチルフェニデート等)、精神神経用剤(塩酸イミプラミン、ジアゼパム、塩酸セルトラリン、マレイン酸フルボキサミン、塩酸パロキセチン、臭化水素酸シタロプラム、塩酸フルオキセチン、アルプラゾラム、塩酸クロルプロマジン等)、ホルモン剤(エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン、酢酸ノルエチステロン、酢酸メテロノン、テストステロン等)、局所麻酔剤(塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、塩酸テトラカイン等)、泌尿器官用剤(塩酸オキシブチニン、塩酸タムスロシン等)、骨格筋弛緩剤(塩酸チザニジン、塩酸エペリゾン、メシル酸プリジノール等)、自律神経用剤(塩化カルプロニウム、臭化ネオスチグミン等)、抗てんかん剤(バルプロ酸ナトリウム、クロナゼパム等)、抗パーキンソン剤(メシル酸ペルゴリド、メシル酸ブロモクリプチン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸アマンタジン、塩酸ロピニロール、カベルゴリン等)、抗ヒスタミン剤(フマル酸クレマスチン、タンニン酸ジフェンヒドラミン等)、利尿剤(ヒドロフルメチアジド、フォロセミド等)、呼吸促進剤(塩酸ロベリン、ジモルホラミン、塩酸ナロキソン等)、抗片頭痛剤(メシル酸ジヒドロエルゴタミン、スマトリプタン等)、気管支拡張剤(塩酸ツロブテロール、塩酸プロカテロール等)、強心剤(塩酸イソプレナリン、塩酸ドパミン等)、冠血管拡張剤(塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、硝酸イソソルビド、ニトログリセリン等)、末梢血管拡張剤(クエン酸ニカメタート、塩酸トラゾリン等)、禁煙補助薬(ニコチン等)、循環器官用剤(塩酸フルナリジン、塩酸ニカルジピン、塩酸ベニジピン、塩酸エホニジピン、フマル酸ビソプロロール、酒石酸メトプロロール等)、不整脈用剤(塩酸プロプラノロール、塩酸アルプレノロール、ナドロール等)、抗アレルギー剤(フマル酸ケトチフェン、塩酸アゼラスチン等)、鎮暈剤(メシル酸ベタヒスチン、塩酸ジフェニドール等)、セロトニン受容体拮抗制吐剤(塩酸オンダンセトロン、塩酸グラニセトロン等)、消化管運動改善剤(ドンペリドン、シサプリド等)、血糖降下剤(グリベンクラミド、トルブタミド等)、食欲抑制剤(マジンドール等)、化学療法剤(イソニアシド、エチオナミド等)、血液凝固促進剤(ワルファリンカリウム等)、抗アルツハイマー剤(タクリン、塩酸ドネペジル等)、痛風治療薬(コルヒチン、プロベネシド等)、麻薬系の鎮痛剤(硫酸モルヒネ、クエン酸フェンタニル等)が挙げられる。
【0020】
このような薬物の粘着剤層3組成全体の質量に基づく配合量は、0.1〜60質量%であることが好ましく、さらに0.1〜40質量%であることが好ましく、特に0.1〜20質量%であることが好ましい。
【0021】
本発明の集合ユニット型貼付剤1の粘着剤層3には、必要に応じて、抗酸化剤(トコフェノール、アスコルビン酸及びその誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン等)、充填剤(炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン等)、架橋剤(イソシアネート化合物、エポキシ樹脂等)、防腐剤(パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等)、紫外線吸収剤(p−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体等)を配合することができる。
【0022】
本発明の集合ユニット型貼付剤1における、粘着剤層3の支持体2への積層方法は、特に限定されないが、例えば、各基剤成分、または薬物を含有する場合には薬物と基剤成分を熱融解させ、離型紙または支持体2に塗工した後、支持体または離型紙と貼り合わせて貼付剤を得る方法、または、基剤成分、または薬物を含有する場合には薬物と基剤成分をトルエン、ヘキサン、酢酸エチル等の溶媒へ溶解させ、離型紙または支持体2に伸展後、溶媒を乾燥除去し、支持体2または離型紙と貼り合わせて貼付剤を得る方法などがある。
【0023】
本発明の集合ユニット型貼付剤1は、上記した説明以外の組成や構成部分の素材に関しては特に制限されない。
なお、一般に、製剤の保存中に粘着剤層3を保護する目的で離型紙(図示していない)を設けるが、その離型紙はシリコーン処理されたポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のフィルムやシリコーン処理された上質紙を用いることができる。
【0024】
本発明の集合ユニット型貼付剤1は、保持体5にポリエステルフィルム支持体2を介して、粘着剤層3を2つ以上保持させることにより、従来の貼付剤に比べて通気性が高く、付着性に優れたものとなる。
本発明の集合ユニット型貼付剤1の製造法は、このような構成を有する貼付剤を製造することができる方法であれば特に限定されないが、例えば離型紙上に薬物含有粘着剤層3とポリエステルフィルム支持体2を積層したシートを、ハーフカットマシンを用いてポリエステルフィルム2及び粘着剤層3のみ格子状に打ち抜き、接着剤を塗布した保持体5を積層する方法によって、図2に示す形態を有する製剤を製造することができる。
また、格子状の余分な粘着剤層3及びポリエステルフィルム2を除いた後、接着剤を塗布した保持体5を積層した場合には、図1に示す形態を有する集合ユニット型貼付剤を製造することができる。
また、複数の円形の貼付剤を残すように余分な粘着剤層3及びポリエステルフィルム2を除いた後、接着剤を塗布した保持体5を積層した場合には、図3に示す形態を有する集合ユニット型貼付剤1を製造することができる。
これらの製造法において保持体5を積層する際に使用される接着剤は、特に限定されないが、安全性、汎用性及び付着性を考慮し、シリコーン系接着剤、ポリエステル系接着剤または炭化水素系ポリマーと粘着付与樹脂を含有する接着剤を使用することが好ましい。
【0025】
本発明の集合ユニット型貼付剤1はこのような構造を有することにより、皮膚が動く度毎に各ユニット4間の隙間が広がり、広がった隙間に空気が通りやすくなる。そのため、本発明の集合ユニット型貼付剤1は十分な通気性を有し、従来の貼付剤に比べて、発汗時の皮膚の蒸れやかぶれ等の皮膚刺激が低減された貼付剤を提供することができる。さらに、各ユニット4間が自由に広がることで皮膚の大きな動きにも追従しやすく、貼付中の剥がれが改善され、特に製剤の面積が大きい場合であっても、粘着力を上げることなく付着性のよい貼付剤を提供することができる。また、皮膚への付着性が良いため、粘着剤の粘着力を低く抑えることができ、皮膚からの剥離時の角質損傷も改善され、この点からも皮膚刺激性の抑えられた貼付剤となっている。
このような効果は、集合ユニット型貼付剤の有効面積が大きいほど顕著であり、特に10cm以上である場合に有用である。
【0026】
本発明の集合ユニット型貼付剤1によれば、積層体ユニット4の間に間隔があってもなくても、皮膚の動きに応じて隙間ができるので、上記のような効果が得られる。
すなわち、各ユニットは接触していてもよいし、図1に示すように間隔6を有していてもよい。各ユニット4の形態は、例えば図1〜3に示されているような形態があるが、その他の形態を採ってもよい。すなわち、各積層体ユニット4の形態は、図1及び2のように四角形などの多角形や、図3のような円形等のいずれの種類であってもよい。
なお、各積層体ユニット4の面積は、0.09cm〜4.0cmとすることが好ましく、さらに0.25cm〜1.0cmとすることが好ましい。また、
各ユニット4が間隔6を有する集合ユニット型貼付剤の場合の単一ユニット同士の間隔6については特に限定はないが、製造コスト及び使用感を考慮すると、最小間隔を2mm以下とするのが好ましく、さらに好ましくは1mm以下である。
【0027】
なお、図2に示す形態を有する集合ユニット型貼付剤1は、上記の製造方法に加え、あらかじめ保持体5とポリエステルフィルム2を接着剤を用いて積層した支持体2を作成し、粘着剤層3をポリエステルフィルム2側に積層した後、粘着剤層3及びポリエステルフィルム2のみハーフカットマシンを用いて格子状に打ち抜き、離型紙を積層する方法や、保持体5及び支持体2からなる積層体の支持体であるポリエステルフィルムのみをハーフカットマシンで打ち抜いた後、離型紙上に積層された粘着剤層3とポリエステルフィルム側を貼り合わせても、集合ユニット型貼付剤を製造することができる。
あらかじめ織布及び不織布をポリエステルフィルムへ積層する際の方法は、特に限定されないが、例えば、前記した接着剤を用いて保持体5とポリエステルフィルム2を積層する接着剤ラミネート法に加え、押し出しラミネート法でも積層可能である。この押し出しラミネート法の場合には、加工性を向上させる目的でアンカー剤を用いてもよく、そのアンカー剤としては、安全性、汎用性を考慮し、アルキルチタネートまたはポリエステル樹脂が好ましく、特にポリエステル樹脂が好ましい。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。尚、実施例において、「%」は、全て質量%を意味するものとする。
【0029】
・薬物含有粘着剤層塗工溶液A(トルエンを除いた質量%)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 17.0%
ポリイソブチレン 11.8%
脂環族炭化水素樹脂 38.4%
流動パラフィン 31.5%
l−メントール 0.8%
ケトプロフェン 0.5%
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
全量 100.0%
上記成分のうち、予め、ケトプロフェン、l−メントール及び流動パラフィンを、乳鉢を用いて充分粉砕混合した後、固形分が60%になるように、トルエンに溶解した上記の残りの成分と混合し、薬物含有粘着剤層塗工溶液Aを得た。
【0030】
(実施例1)
シリコーン処理された離型紙上に上記薬物含有粘着剤層塗工溶液Aを塗工し、溶剤を除去して、薬物含有粘着剤層3(厚さ:100μm)を形成した。次いで、この粘着剤層3を厚さ20μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体2へ転写した。
さらに、支持体2に、ポリエチレンテレフタレート製織布5をポリエステル接着剤を用いて貼り合わせた。次に、離型紙を剥離した後、ハーフカットマシーンを用いて、薬物含有粘着剤層3及びポリエチレンテレフタレートフィルム製支持体2からなる積層体4のみを、1辺が2cmの正方形の格子状の刃型で厚み方向へ裁断した。このシートを再度シリコーン処理された離型紙上に貼り合わせ、40cmの正方形の刃型で打ち抜くことにより集合ユニット型貼付剤1を得た。
【0031】
(実施例2)
実施例1における格子状の刃型の1辺の長さを1cmにしたこと以外は、実施例1と同様にして集合ユニット型貼付剤1を得た。
【0032】
(実施例3)
実施例1における格子状の刃型の1辺の長さを0.5cmにしたこと以外は、実施例1と同様にして集合ユニット型貼付剤1を得た。
【0033】
(実施例4)
あらかじめ、ポリエステル樹脂でアンカー処理したポリエチレンテレフタレート製織布に、押し出しラミネート法を用いて、厚さ20μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを積層し、支持体2及び保持体5の積層体を得た。この積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム2のみをハーフカットマシーンを用いて、1辺が0.75cmの正方形の格子状の刃型で厚み方向へ裁断した。さらに、シリコーン処理された離型紙上に100μmの厚さで塗工された薬物含有粘着剤層3を、得られた支持体2のハーフカット面へ転写した。このシートを40cmの正方形の刃型で打ち抜くことにより集合ユニット型貼付剤を得た。
【0034】
(実施例5)
シリコーン処理された離型紙上に、薬物含有粘着剤層用塗工溶液Aを塗工し、溶剤を除去して薬物含有粘着剤層3(100μm)を形成した。そしてこの粘着剤層3を厚さ20μmのポリエチレンテレフタレートフィルム製支持体2へ転写した。ハーフカットマシーンを用いて、薬物含有粘着剤層3及びポリエチレンテレフタレートフィルム製支持体2の部分を、1辺が2cmの正方形が1mmの間隔6を空けて格子状に配列された刃型で厚み方向へ裁断した。さらに、格子状の1mm幅の薬物含有粘着剤層3及びポリエチレンテレフタレートフィルム製支持体2を除去した後、ポリエチレンテレフタレート製織布をポリエステル接着剤を用いて4cmの正方形の貼付剤が配列している側に貼り合わせた。このシートを貼付剤の有効面積が、40cmになるよう正方形の刃型で打ち抜くことにより集合ユニット型貼付剤1を得た。
【0035】
(比較例1)
ハーフカットマシーンで格子状に裁断する工程を除いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例1〜3の集合ユニット型貼付剤と同じ面積を有する経皮吸収製剤を得た。
【0036】
(比較例2)
ハーフカットマシーンで格子状に裁断する工程を除いたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例4の集合ユニット型貼付剤と同じ面積を有する経皮吸収製剤を得た。
【0037】
・薬物含有粘着剤層塗工溶液(B)(トルエンを除いた質量%)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 15.0%
ポリイソブチレン 8.8%
脂環族炭化水素樹脂 48.4%
流動パラフィン 26.5%
l−メントール 0.8%
ケトプロフェン 0.5%
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
全量 100.0%
【0038】
(比較例3)
シリコーン処理した離型紙上に、薬物含有粘着剤層塗工溶液Aに対して粘着付与樹脂(脂環族炭化水素樹脂)を10%増量した薬物含有粘着剤層塗工溶液Bを塗工し、溶剤を除去して薬物含有粘着剤層3(100μm)を形成した。そしてこの粘着剤層3を厚さ20μmのポリエチレンテレフタレートフィルム製支持体2へ転写し、経皮吸収型製剤を得た。
【0039】
(試験例1)
・付着性試験
実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた40cmの各経皮吸収型製剤を、30名のボランティアの胸に48時間貼付し、貼付後12、24、48時間後に、各製剤の皮膚に対する付着性について評価した。表1に示す付着性スコア表に従い、評価を行なった。30名の評価の平均値を表3に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0005031167
【0041】
・皮膚刺激性評価
上記付着性試験において、貼付剤を剥離した後1時間後及び24時間後の皮膚の状態を、下記表2に示す判定法で判定し、下記式に従い皮膚刺激指数を算出した。
皮膚刺激指数=(各々の剥離直後と24時間後の判定で刺激の高い値の和/被験者の人数)×100
【0042】
【表2】
Figure 0005031167
【0043】
【表3】
Figure 0005031167
【0044】
表3に示される結果から明らかであるように、本発明の実施例1〜5において得られた集合ユニット型貼付剤は、比較例1〜3において得られた経皮吸収型製剤に比べて、貼付した際の付着性が高く、皮膚への刺激も著しく低減され、実用に充分耐えられることが解った。
【0045】
【発明の効果】
本発明の集合ユニット型貼付剤は、通気性が優れているため、従来の貼付剤に比べて、皮膚刺激性が著しく低減されており、発汗、蒸れ、かぶれ等が生じにくい。しかも、皮膚に対する追随性が高く、付着性が非常に優れている。
本発明の集合ユニット型貼付剤は、経皮吸収性に優れ、皮膚刺激性が低く、しかも皮膚に対する付着性に優れた外用製剤として非常に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の集合ユニット型貼付剤の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図を示し、四角形の積層体ユニット4を格子状に互いに離隔するように配置したものである。
【図2】本発明の集合ユニット型貼付剤の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図を示し、四角形の積層体ユニット4を格子状に配置したものである。
【図3】本発明の集合ユニット型貼付剤の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図を示し、円形の積層体ユニット4を配置したものである。
【符号の説明】
1 集合ユニット型貼付剤
2 支持体
3 粘着剤層
4 積層体ユニット
5 保持体
6 間隔

Claims (6)

  1. ポリエステルフィルムからなる支持体と粘着剤層を有する複数の積層体ユニットが、前記ポリエステルフィルムを介して保持体に保持されており、積層体ユニットが互いに離隔しており、当該ユニット同士の間隔が、1mm〜2mmであり、1つの積層体ユニットの面積が、4cm 以下であり、支持体層の厚みが、20〜30μmであり、粘着剤層が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体とポリイソブチレンを含むものであることを特徴とする集合ユニット型貼付剤。
  2. 保持体が、織布または不織布からなることを特徴とする請求項1記載の集合ユニット型貼付剤。
  3. 保持体が、伸縮性を有する織布または不織布からなることを特徴とする請求項1または2に記載の集合ユニット型貼付剤。
  4. 1つの積層体ユニットの面積が、1cm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の集合ユニット型貼付剤。
  5. 集合ユニット型貼付剤の面積が、10cm以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の集合ユニット型貼付剤。
  6. ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1〜のいずれかに記載の集合ユニット型貼付剤。
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