JP5029917B2 - 車両駆動用アクチュエータ及び車両 - Google Patents

車両駆動用アクチュエータ及び車両 Download PDF

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Description

本発明は、電動モータによって車輪を回転駆動する車両駆動用アクチュエータ及びこれを搭載した車両に関する。
従来、車両の姿勢を変化させるためには、エアサスペンションで車高を変えたり、モータによってシャシーの形状を変化させたりする技術が提案されている。ところが、かかる従来技術では、車両姿勢を変化させるためのアクチュエータ及び動力源を個々に有しており、部品点数が増え、スペース効率が悪化するという問題がある。
このような問題に鑑みて、従来、車両姿勢を変化させるために、四輪に設置されたモータで、前輪及び後輪の駆動力を変化させて、スイングアームの角度を制御する旨の技術が提案されている(例えば、特許文献1等参照。)。
特開2006−69385号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載された従来技術では、車両姿勢の可変させるために前輪及び後輪に対して複雑な駆動力制御を行うことが必要であるという問題があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、車輪駆動用の電動モータの動力を利用して簡単な構成及び制御により車高調整を可能とした車両駆動用アクチュエータ及びこれを搭載した車両を提供することを目的とする。
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
1.電動モータと、前記電動モータからの動力を複数に分配可能な動力分配機構を有し且つ前記動力分配機構を介して前記電動モータの回転を車軸に伝達して車輪を回転駆動する車輪駆動ユニットとを備えた車両駆動用アクチュエータであって、
車体と前記車輪駆動ユニットとの間に設けられる四節リンク機構を備え、
前記動力分配機構を介して分配された動力によって前記四節リンク機構を駆動することにより前記車体の車高を調整するように構成され、
前記動力分配機構は、遊星歯車機構と、前記遊星歯車機構による動力の分配状態を切換える切換え機構とからなり、通常の走行時において前記切換え機構を締結状態とし、前記車体の車高を調整する際に前記切換え機構を開放することを特徴とする車両駆動用アクチュエータ。
手段によれば、車体と車輪駆動ユニットとの間に四節リンク機構が設けられ、車両駆動ユニットに設けられた動力分配機構が、電動モータからの動力を複数に分配し、その分配された動力によって四節リンク機構を駆動する。そして、車体と車輪駆動ユニットとの間に設けられた四節リンク機構の姿勢が変化することにより、車体の車高が確実に調整される。つまり、本発明によれば、車両姿勢を可変するための電動モータを車輪駆動用の電動モータと別個に設けることなく且つ複雑な駆動力制御を行うことなく、各車輪に設けられた車輪駆動用の電動モータの動力を利用して簡単な構造及び制御で車高調整を行うことができる。
更に、遊星歯車機構は、電動モータの回転を減速して車軸へ伝達する。また、切換え機構によって遊星歯車機構による動力の分配状態が切換えられた場合、遊星歯車機構によって分配された動力によって四節リンク機構が駆動されることにより車高調整を行うことができる。
2.前記遊星歯車機構は、サンギアに前記電動モータの回転を入力し、プラネタリキャリアから前記車軸へ回転を出力すると共に、リングギアから出力される動力によって前記四節リンク機構を駆動するように構成され、
前記四節リンク機構は、前記車体に一端がそれぞれ接続された一対の第1及び第2アームと、前記車輪駆動ユニットに設けられて前記一対の第1及び第2アームの各他端に一端と他端とがそれぞれ接続された第3アームとからなり、
前記第3アームの前記一端が前記遊星歯車機構の前記リングギアに接続され、他端が車体に直接接続されたことを特徴とする請求項に記載の車両駆動用アクチュエータ。
手段によれば、遊星歯車機構は、サンギアに電動モータの回転が入力されると、プラネタリキャリアから車軸へ回転を出力することによって車輪を回転駆動する。また、切換え機構によって遊星歯車機構による動力の分配状態が切換えられた場合、リングギアから出力される動力によって四節リンク機構が駆動されることにより車高が調整される。
更に、車体に一端がそれぞれ接続された一対の第1及び第2アームと、車輪駆動ユニットに設けられて一対の第1及び第2アームの各他端に一端と他端とがそれぞれ接続された第3アームとからなる四節リンク機構の姿勢が、遊星歯車機構のリングギアから出力される動力によって第3アームの一端が駆動されることによって可変することにより車高調整を行うことができる。
.運転者による駆動・制動要求と前記車輪の回転数とに応じて、前記サンギアに入力されるモータトルクと回転数とを制御することによって前記リングギアのトルクと回転数とを制御し、前記四節リンク機構の姿勢を可変するように構成されたことを特徴とする手段に記載の車両駆動用アクチュエータ。
手段によれば、運転者による駆動・制動要求と前記車輪の回転数とに応じて、サンギアに入力されるモータトルクと回転数とを制御することによってリングギアのトルクと回転数とを制御し、四節リンク機構の姿勢を確実に可変することができる。
.前記電動モータの回生モードにおいて、車高上昇時は、モータ回転方向と同方向に前記リングギアを回転させ、車高下降時は、前記モータ回転方向と逆方向に前記リングギアを回転させるように構成されたことを特徴とする手段に記載の車両駆動用アクチュエータ。
手段によれば、電動モータの回生モードにおいて、モータ回転方向と同方向にリングギアを回転させることにより、上向きに発生するトルクで車体を支えつつ確実に車高を上昇させることができる。一方、モータ回転方向と逆方向にリングギアを回転させることにより、上向きに発生するトルクで車体を支えつつ確実に車高を下降させることができる。
.前記リングギアの回転力を正方向と逆方向とに切換え可能な回転力反転機構を備え、
前記電動モータが回生モード、力行モードのいずれの場合においても、車高上昇および下降時に必要方向のトルクおよび回転数が得られるよう、前記リングギアのトルクおよび回転方向の反転と非反転とを前記回転力反転機構によって切り替え可能に構成されたことを特徴とする手段に記載の車両駆動用アクチュエータ。
手段によれば、電動モータが回生モード、力行モードのいずれの場合においても、車高上昇および下降時に必要方向のトルクおよび回転数が得られるよう、回転力反転機構が、リングギアの回転力を正方向と逆方向とに切換えることにより、リングギアのトルクおよび回転方向の反転と非反転とを切り替えることができる。
具体的には、例えば、電動モータの回生モードにおいては、回転力反転機構がリングギアの回転力を四節リンク機構へ正方向(車両進行方向)に伝達する状態とし、モータ回転方向と同方向にリングギアを回転させることにより、上向きに発生するトルクで車体を支えつつ確実に車高を上昇させることができる。一方、モータ回転方向と逆方向にリングギアを回転させることにより、上向きに発生するトルクで車体を支えつつ確実に車高を下降させることができる。
また、電動モータの力行モードにおいては、回転力反転機構がリングギアの回転力を反転して四節リンク機構へ逆方向に伝達する状態とし、モータ回転方向と逆方向にリングギアを回転させることにより、上向きに発生するトルクで車体を支えつつ確実に車高を上昇させることができる。一方、モータ回転方向と正方向にリングギアを回転させることにより、上向きに発生するトルクで車体を支えつつ確実に車高を下降させることができる。
.手段1〜5の何れか一の手段に記載の車両駆動用アクチュエータと、
前記車体の外部に設けられた操作者が非乗車状態で操作可能な操作入力部とを備え、
前記操作入力部を介して入力された操作者指令情報に基づいて前記車両駆動用アクチュエータに対する制御トルクを生成する制御トルク生成手段を有し、
前記制御トルク生成手段によって生成された車輪毎のトルク制御指令に基づき、前記車輪毎に独立して回転駆動させる、ことを特徴とする車両。
手段によれば、手段1〜5の何れか一の手段に記載の車両駆動用アクチュエータを搭載した車両を搭乗せずとも操作することが可能となる。すなわち、非乗車状態での車両動作(例えば、前進若しくは後退、右旋回若しくは左旋回等のユーザー(操作者)の意図に従って、車両の操舵及び作動状態)を入力可能な操作入力部を備え、このような操作入力部を介して入力された操作者指令情報に基づいて、車両作動のための制御トルクを生成する制御トルク生成手段を備えるのである。そして、この生成された制御トルクに従って、各車輪に配設された車両駆動用アクチュエータを独立して回転駆動させることにより、搭乗していた車両から降車後に再度搭乗せずとも車体外部に設けられた操作入力部を介して、車両操作が可能となる。例えば、十分な車両スペースが確保できないような場所に駐車させる場合、一旦、車両から降車した状態で搭乗者は車体外部に備えられた操作入力部を介して車両スペースが確保できるよう、各輪に設けられた車両駆動用アクチュエータを駆動させることにより、四節リンク機構を駆動させることによりホイールベース長を調整することができる。そして、この車両状態で該アクチュエータを駆動させることにより、車両の前進や後退等の作動制御が実現できる。
.前記制御トルク生成手段は、前記操作入力部を介して入力された操作者指令情報に基づいて前記車輪毎に駆動力を生成する駆動トルク指令演算手段を備える、ことを特徴とする手段に記載の車両。
手段によれば、車輪毎に設けられた車両駆動用アクチュエータに対して各輪毎の荷重状態等に合わせて駆動力を独立して生成できる。従って、外部操作入力部を介して非乗車状態による制御開始時の車両状態に合わせた最適な駆動トルクを生成することが可能となる。
.前記制御トルク生成手段は、前記操作入力部を介して入力された操作者指令情報に基づき、前記車体の車高及び、前記四節リンク機構の姿勢を可変するための前記車輪毎の駆動力を生成する車高位置指令演算手段を備える、ことを特徴とする手段6又は7の何れか一の手段に記載の車両。
手段によれば、車両操舵や車両移動とは独立して車高調整を実現できる。従って、より、ユーザビリティに優れた制御形態が実現でき、操作者が意図する最適状態での車高調整、ホイールベース長の調整が可能となる。例えば、一台の車両スペースで限定された駐車空間に複数台の車両を駐車させることが可能であり、このような車両を操作する配置環境や、作動状況に合わせた車両操作が可能となる。
.前記操作入力部を介して入力された操作者指令情報に基づいて、予め前記車体側に収納された車高調整補助車輪を接地させる、ことを特徴とする手段に記載の車両。
手段によれば、予め車体側に収納された車高調整補助車輪を接地させ、接地させた補助輪によって例えば、4輪車両の場合では、前2輪を接地面から浮かすことが可能となり、後ろ2輪に備えられた車両駆動用アクチュエータの操作による旋回制御が可能となる。
10.前記制御トルク生成手段は、前記操作入力部を介して入力された操作者指令情報に基づいて、前記車体の右側輪と左側輪との回転速度差を指令する左右輪回転速度差演算手段と、前記右側輪と前記左側輪とに対する個々の駆動力を生成する旋回トルク指令演算手段とを備える、ことを特徴とする手段に記載の車両。
手段10によれば、車体後輪の左右輪の回転速度差による旋回制御が実現できる。すなわち、手段11にて車高調整時に接地させた車高調整補助車輪を支点とする旋回移動のため、車体を旋回させるための必要な動作領域は、車高(ホイールベース長)に基づく最小限の領域を確保するだけで良い。
11.前記制御トルク生成手段は、前記操作入力部を介して入力された操作者指令情報に基づいて、前輪軸に設けられた電動ステアリングの転舵制御を行う前輪舵角制御演算手段を備える、ことを特徴とする手段6〜8の何れか一の手段に記載の車両。
手段11によれば、前輪軸に設けられた電動ステアリングを用いた車体の作動制御が実現できる。すなわち、操作入力部を介して入力された操作者指令情報に基づいて前輪舵角制御演算手段によって算出された転舵制御情報を反映させた制御トルクは、車両駆動用アクチュエータ駆動の為の動力系とは異なるため、駆動力を分散させず、アクチュエータが備える最大トルクを有効に活用できる車両駆動用アクチュエータの駆動制御が実現できる。
<第一実施形態>
以下、本発明の車両駆動用アクチュエータを具体化した一実施形態について図面を参照しつつ具体的に説明する。図1は、本発明の第一実施形態の車両駆動用アクチュエータA1を模式的に示す概略構成図であり、車両の左後輪周辺を前方から視た図である。尚、図1では、遊星歯車減速機構32の車軸3より上半分のみを図示し、下半分を省略している。図2(a)は、車両駆動用アクチュエータA1を搭載した車両の側面図であり、(b)は左後輪周辺を示す側面図である。図3は、車高可変動作を模式的に示す図であり、(a)は車高降下位置における左後輪の四節リンク機構50の状態を、(b)は車高上昇位置における左後輪の四節リンク機構50の状態を、(c)は車高が変化する車両及び乗員の様子をそれぞれ示している。尚、図3(c)では、車高が低い位置から高い位置へ変化する様子を左から右へ4段階で示している。
車両駆動用アクチュエータA1は、図1及び図2に示すように、モータジェネレータ10と、車輪駆動ユニット30と、四節リンク機構50とを備えて構成されている。
モータジェネレータ10は、モータとしての機能と発電機としての機能を併せもつ装置であって、径方向外側に三相電機子巻線をもつ電機子としてのモータステータ(図示せず)を、径方向内側に界磁磁石型回転子としてのモータロータ(図示せず)を有する内転型(インナーロータ型)回転電機である。
車輪駆動ユニット30は、ハブステイ(図示せず)と、ハブステイの内部に収容される遊星歯車減速機構32とを備えている。
遊星歯車減速機構32は、サンギア34とリングギア36とに噛み合う複数(例えば4個)のプラネタリギア35をプラネタリキャリア37により保持するものであって、モータシャフト13の回転を減速して車軸3に伝達すると共に動力を分配可能な遊星歯車機構
である。
サンギア34は、モータジェネレータ10より車両左右方向に突出するモータシャフト13の端部に固定されている。
各プラネタリギア35は、サンギア34の外周に噛合するように配置され、プラネタリキャリア37の径方向端部に固定された各遊星シャフトによってそれぞれ軸支されている。プラネタリキャリア37の中心には車軸3が固定され、車軸3は、ハブステイに固定された軸受(図示せず)によって回転可能に支持されている。
リングギア36は、内周部のギア歯面(内歯)が各プラネタリギア35の外周に噛合するように配置されている。さらに、リングギア36の車幅方向中央側側面には車高可変軸38が連結されている。
リングギア36の径方向外側には、リングギア36を締結状態と開放状態とに切り替えるためのクラッチ61が配置されている。クラッチ61は、公知の電磁クラッチであって、非通電状態では図示しないバネの付勢力によりリングギア36を締結している。一方、クラッチ61が通電されると、リングギア36が開放されて回転可能となる。
四節リンク機構50は、図2に示すように、左右の後輪にそれぞれ設けられ、一端部が車体1側に接続された前後一対の第1アーム51及び第2アーム52と、車輪駆動ユニット30内に設けられ第1アーム51及び第2アーム52の他端部に両端が接続された第3アーム53とから構成される。
具体的には、前方側の第1アーム51は、車軸3に垂直な平面内に設けられ、一端部が車体1にリンク軸51aを介して回動自在に連結され且つ他端部が第3アーム53に中心軸53aと回動自在に連結されているとともに、リンク軸51はモータのハウジングと一体構造をとる。
後方側の第2アーム52は、車軸3に垂直な平面内に設けられ、一端部が車体1にリンク軸51aよりも後方側に設けられたリンク軸52aを介して回動可能に連結され且つ他端部が第3アーム53にリンク回転軸53bを介して回動可能に連結されている。
第3アーム53は、車軸3に垂直な平面内に設けられ、一端部が車軸3の軸線と同一軸線上に設けられた中心軸53aを介して回動可能に連結され、且つ他端部が車高可変軸38を介してリングギア36に連結されたリンク回転軸53bを介して回動可能に連結されている。
続いて、車両駆動用アクチュエータA1を搭載した車両100の電気的構成について、図4を参照しつつ説明する。図4は、車両100の電気的構成の概略を示すブロック図である。
車両100は、図4に示すように、ECU101と、駆動回路102と、バッテリ103と、左右の後輪にそれぞれ設けられたモータジェネレータ10とを主体として構成されている。
ECU101は、公知のマイクロコンピュータを含む電子制御装置であって、駆動回路102を介して各モータジェネレータ10の動作を総合的に制御する。
駆動回路102は、バッテリ103の直流電力を交流電力に変換して各モータジェネレータ10へ供給する電気回路である。
次に、車両100における車両駆動用アクチュエータA1の各部の作用について説明する。図5(a)は、モータジェネレータ10の回生エネルギーを利用した車高可変動作を説明するための遊星歯車減速機構32の共線図である。図5(a)において、グラフはモータジェネレータ10、車軸3、車高可変軸38における前進方向回転数をそれぞれ示しており、実線が通常走行時を、点線が車高上昇時を、一点鎖線が車高降下時をそれぞれ表している。また、太線の矢印は、トルクの向き及び大きさを表している。尚、図5(b)に示すように、車軸回転数は、モータ回転数の減少に対して変化が微小であると仮定している。
ここで、サンギア34、キャリア37及びリングギア36の回転数の関係は、以下に示す回転数関係式(数式1)によって表わされる。
Figure 0005029917
また、サンギア34、キャリア37及びリングギア36のトルクの関係は、以下に示すトルク関係式(数式2、数式3)によって表わされる。
Figure 0005029917
Figure 0005029917
尚、上記各数式において、Z:回転数、T:トルクであり、それぞれの添え字は、S:サンギア、C:キャリア、R:リングギアを表す(トルクは、サンギア34では入力、キャリア37及びリングギア36では出力)。また、ここでは、ρ=サンギア歯数/リングギア歯数=1/3とした例を示す。また、左後輪を想定すると、回転数は、正の値が反時計回り(車両進行方向)を、負の値が時計回りをそれぞれ示し、トルクは、反時計回りを正とし、正の値が上向きを、負の値が下向きをそれぞれ示している。
通常走行時は、リングギア36がクラッチ61によって締結されている。そして、ECUは、例えば、モータジェネレータ10(サンギア34)の回転数/トルクをZ0rpm/T0Nmに制御する。これにより、車軸3(キャリア37)では、Z0/4rpm/4×T0Nmが出力され、車高可変軸38(リングギア36)では、0rpm/−3×T0Nmが出力される。
走行中における車高可変時は、まず、ECU101が、モータジェネレータ10(サンギア34)のトルクを制御し、車高可変軸38に回転トルクを発生させる。続いて、クラッチ61に通電し、リングギア36を開放する。そして、モータジェネレータ10の回転数を制御することにより、車高可変軸38の回転数を制御する。
具体的には、車高上昇時は、車高可変軸の目標回転数およびトルクをZ3/T3、車軸の回転数をZ2であるとすると、ECU101が、モータジェネレータ10(サンギア34)の回転数/トルクを例えばZs=4×Z2−3×Z3rpm/−1/3×T3Nmに制御する。これにより、車軸3(キャリア37)では、Z2rpm/−4/3×T3Nmが出力され、車高可変軸38(リングギア36)では、Z3rpm/T3Nmが出力される。したがって、上向きT3Nmのトルクで車体1を持ち上げつつ、車高可変軸38が反時計回りにZ3rpmで回転し、四節リンク機構50の姿勢が図3(a)に示す状態(図3(c)左端)から図3(b)に示す状態(図3(c)右端)に変化することにより、車高が上昇する。
一方、車高降下時は、車高可変軸の目標回転数およびトルクを−Z3/T3、車軸の回転数をZ2であるとすると、ECU101が、モータジェネレータ10(サンギア34)の回転数/トルクを例えばZs=4×Z2+3×Z3rpm/−1/3×T3Nmに制御する。これにより、車軸3(キャリア37)では、Z2rpm/−4/3×T3Nmが出力され、車高可変軸38(リングギア36)では、−Z3rpm/T3Nmが出力される。したがって、上向きT3Nmのトルクで車体1を持ち上げつつ、車高可変軸38が時計回りにZ3rpmで回転し、四節リンク機構50の姿勢が図3(b)に示す状態(図3(c)右端)から図3(a)に示す状態(図3(c)左端)に変化することにより、車高が降下する。
以上詳述したことから明らかなように、車両駆動用アクチュエータA1は、電動モータとしてのモータジェネレータ10と、モータジェネレータ10からの動力を複数に分配可能な遊星歯車減速機構32を有し且つ遊星歯車減速機構32を介してモータジェネレータ10の回転を車軸3に伝達して車輪2を回転駆動する車輪駆動ユニット30とを備えるものであって、車体1と車輪駆動ユニット30との間に設けられる四節リンク機構50を備え、遊星歯車減速機構32を介して分配された動力によって四節リンク機構50を駆動することを特徴とする。すなわち、通常走行時は、遊星歯車減速機構32は、モータジェネレータ10の回転を減速して車軸3へ伝達する。また、切換え機構としてのクラッチ61によって遊星歯車減速機構32による動力の分配状態が切換えられた場合、遊星歯車減速機構32によって分配された動力によって四節リンク機構50が駆動されて姿勢が変化することにより、車体1の車高が確実に調整される。つまり、車両姿勢を可変するための電動モータを車輪駆動用のモータジェネレータ10と別個に設けることなく且つ複雑な駆動力制御を行うことなく、各車輪2に設けられた車輪駆動用のモータジェネレータ10の動力を利用して簡単な構造及び制御で車高調整を行うことができる。
具体的には、遊星歯車減速機構32は、サンギア34にモータジェネレータ10の回転が入力されると、プラネタリキャリア37から車軸3へ回転を出力することによって車輪2を回転駆動する。また、クラッチ61によって遊星歯車減速機構32による動力の分配状態が切換えられた場合、リングギア36から出力される動力によって四節リンク機構50が駆動されることにより車高が調整される。さらに詳細には、四節リンク機構50は、車体1に一端がそれぞれ接続された一対の第1及び第2アーム51,52と、車輪駆動ユニット30に設けられて一対の第1及び第2アーム51,52の各他端に一端と他端とがそれぞれ接続された第3アーム53とからなり、四節リンク機構50が、遊星歯車減速機構32のリングギア36から出力される動力によって、車高可変軸38を介して第3アーム53一端のリンク回転軸53aが駆動され、姿勢が可変することにより車高調整を行うことができる。
また、本実施形態は、運転者による駆動・制動要求と車輪2の回転数とに応じて、サンギア34に入力されるモータトルクと回転数とを制御することによってリングギア36のトルクと回転数とを制御し、四節リンク機構50の姿勢を可変するように構成されたことを特徴とする。
具体的には、モータジェネレータ10の回生モードにおいて、モータ回転方向と同方向にリングギア36を回転させることにより、上向きに発生するトルクで車体1を支えつつ確実に車高を上昇させることができる。一方、モータ回転方向と逆方向にリングギア36を回転させることにより、上向きに発生するトルクで車体1を支えつつ確実に車高を下降させることができる。
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態の車両駆動用アクチュエータA2について説明する。上述した第一実施形態では、モータジェネレータ10の回生モード時にのみに車高可変動作を実行可能な構成とした。これに対し、本実施形態は、モータジェネレータ10の力行モード及び回生モードの両方において車高可変を実行可能な構成としたものであって、図6に示すように、遊星歯車減速機構32に加えて、第2遊星歯車減速機構42と、高減速比減速機50とを備えている。図6は、第二実施形態の車両駆動用アクチュエータA2を模式的に示す概略構成図であり、車両の左後輪周辺を前方から視た図である。尚、本実施形態では、遊星歯車減速機構32を第1遊星歯車減速機構32と称する。
図7(a)は、力行モードにおける車高可変動作を説明するための第1遊星歯車減速機構32及び第2遊星歯車減速機構42の共線図であり、(b)は、回生モードにおける車高可変動作を説明するための第1遊星歯車減速機構32及び第2遊星歯車減速機構42の共線図である。
第2遊星歯車減速機構42は、図6に示すように、サンギア44と、リングギア46と、それらに個々に噛合い且つ相互に噛合うプラネタリギア45を支持するキャリア47とを備えた公知のダブルプラネタリ型遊星歯車機構である。
第2遊星歯車減速機構42において、サンギア44は、第1遊星歯車減速機構32のリングギア36に連結されている。キャリア47は、高減速比減速機50に連結されている。
リングギア46の径方向外側には、リングギア46を締結状態と開放状態とに切り替えるための第2クラッチ62が配置されている。第2クラッチ62は、公知の電磁クラッチであって、非通電状態ではリングギア46を締結している。一方、第2クラッチ62が通電されると、リングギア46が開放されて回転可能となる。尚、本実施形態では、クラッチ61を第1クラッチ61と称する。
さらに、第2遊星歯車減速機構42には、キャリア47とサンギア44との締結状態と開放状態とに切り替えるための第3クラッチ63が配置されている。
高減速比減速機50は、キャリア47から入力された回転を減速してリンク回転軸53bへ出力する。
次に、本実施形態における車高可変動作について説明する。本実施形態では、モータジェネレータ10が力行モードの場合と回生モードの場合とに応じて第1〜第3の各クラッチ61〜63を制御し、車高可変軸のトルクを一定方向に制御する。図8は、力行モード及び回生モードにおける車高可変動作時の各クラッチの状態を示す表である。
最初に、力行モードにおける車高可変動作について、図7(a)を参照しつつ説明する。力行モードでは、ECU101が、モータジェネレータ10(サンギア34)のトルクを制御し、車高可変軸48に回転トルクを発生させる。続いて、ECU101の指令により、第1クラッチ61及び第3クラッチ63を開放し、第2クラッチ62を締結する(図8参照)。そして、モータジェネレータ10の回転数を制御することにより、車高可変軸48の回転数を制御する。
具体的には、車高上昇時は、例えば、ECU101が、モータジェネレータ10(サンギア34)の回転数/トルクをR10/T1に制御する。これにより、車軸3(第1遊星歯車減速機構32のキャリア37)では、R2/T2が出力され、リングギア36では、−R3/−T3が出力される。さらに、第2遊星歯車減速機構42では、第2クラッチ62が締結されているため、リングギア46の回転が0となり、第2遊星歯車減速機構42のキャリア47から第1遊星歯車減速機構のリングギア36のトルクと回転数を反転させた出力のR3/T3が出力される。したがって、上向きトルクT3で車体1を持ち上げつつ、リンク回転軸53aが反時計回りにR3で回転し、四節リンク機構50の姿勢が図3(a)に示す状態(図3(c)左端)から図3(b)に示す状態(図3(c)右端)に変化することによって車高が上昇する。
一方、車高降下時は、例えば、ECU101が、モータジェネレータ10(サンギア34)の回転数/トルクを、R11/T1に制御する。これにより、車軸3(第1遊星歯車減速機構32のキャリア37)では、R2/T2が出力され、リングギア36では、R3/−T3が出力される。さらに、第2遊星歯車減速機構42では、第2クラッチ62が締結されているため、第2遊星歯車減速機構42のリングギア46の回転が0となり、第2遊星歯車減速機構42のキャリア47から第1遊星歯車減速機構のリングギア36のトルクと回転数を反転させた出力の−R3/T3が出力される。したがって、上向きトルクT3で車体1を持ち上げつつ、リンク回転軸53bが時計回りにR3で回転し、四節リンク機構50の姿勢が図3(b)に示す状態(図3(c)右端)から図3(a)に示す状態(図3(c)左端)に変化することによって車高が降下する。
次に、回生モードでの車高可変動作について、図7(b)の共線図を参照しつつ説明する。回生モードでは、まず、ECU101が、モータジェネレータ10(サンギア34)のトルクを制御し、車高可変軸48に回転トルクを発生させる。続いて、ECU101の指令により、ECU101の指令により、第1クラッチ61及び第2クラッチ62を開放し、第3クラッチ63を締結する(図8参照)。そして、モータジェネレータ10の回転数を制御することにより、車高可変軸48の回転数を制御する。
具体的には、車高上昇時は、例えば、ECU101が、モータジェネレータ10(サンギア34)の回転数/トルクをR11/T1に制御する。これにより、車軸3(第1遊星歯車減速機構32のキャリア37)では、R2/−T2が出力され、リングギア36では、R3/T3が出力される。さらに、第2遊星歯車減速機構42では、第2クラッチ62が開放され且つ第3クラッチ63が締結されているため、第2遊星歯車減速機構42は全体が一体となって回転するため、キャリア47からリングギア36のトルクと回転数を反転させない出力のR3/T3が出力される。したがって、上向きトルクT3で車体1を持ち上げつつ、リンク回転軸53bが反時計回りにR3で回転し、四節リンク機構50の姿勢が、図3(a)に示す状態(図3(c)左端)から図3(b)に示す状態(図3(c)右端)に変化することによって車高が上昇する。
一方、車高降下時は、ECU101が、モータジェネレータ10(サンギア34)の回転数/トルクを、R10/T1に制御する。これにより、車軸3(第1遊星歯車減速機構32のキャリア37)では、R2/T2が出力され、リングギア36では、−R3/T3が出力される。さらに、第2歯車減速機構42では、第2クラッチ62が開放され且つ第3クラッチ63が締結されているため、第2遊星歯車減速機構42は全体が一体となって回転して、キャリア47からリングギア36のトルクと回転数を反転させない出力の−R3/T3が出力される。したがって、上向きトルクT3で車体1を持ち上げつつ、リンク回転軸53bが時計回りにR3で回転し、四節リンク機構50の姿勢が、図3(b)に示す状態(図3(c)右端)から図3(a)に示す状態(図3(c)左端)に変化することによって車高が降下する。
以上詳述したことから明らかなように、車両駆動用アクチュエータA2は、リングギア36の回転力を正方向と逆方向とに切換え可能な回転力反転機構としての第2遊星歯車減速機構42を備えている。
そして、モータジェネレータ10の回生モードにおいて、第1クラッチ61及び第2クラッチ62を開放し、第3クラッチ63を締結することにより、第2遊星歯車減速機構42がリングギア36の回転力を正方向に伝達し、モータ回転方向と同方向にリングギア36を回転させることにより、上向きに発生するトルクで車体1を支えつつ確実に車高を上昇させることができる。一方、モータ回転方向と逆方向にリングギア36を回転させることにより、上向きに発生するトルクで車体1を支えつつ確実に車高を下降させることができる。
また、モータジェネレータ10の力行モードにおいては、第1クラッチ61及び第3クラッチ63を開放し、第2クラッチ62を締結することにより、第2遊星歯車減速機構42がリングギア36の回転力を反転して逆方向に伝達し、モータ回転方向と逆方向にリングギア36を回転させることにより、上向きに発生するトルクで車体1を支えつつ確実に車高を上昇させることができる。一方、モータ回転方向と正方向にリングギアを回転させることにより、上向きに発生するトルクで車体1を支えつつ確実に車高を下降させることができる。
<第二実施形態の変形例>
上述した第二実施形態については、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
例えば、上記第二実施形態では、高減速比減速機50が入力された回転と同一方向の回転を出力する例を示したが、回転入力を反転して出力する構成としてもよい。この場合、車高の上昇・下降とリングギア36の回転方向との関係は、上述した例とは逆の関係となる。
また、上記第二実施形態では、車両走行中における車高可変動作について説明したが、車両停止時における車高可変動作を行うようにしてもよい。以下、車両停止時の上昇、降下の動作について図6に基づいて説明する。停止時において、車軸に車両制動用のブレーキをかけることにより、第1遊星歯車減速機構32のキャリア37を固定することができる。この状態で、上昇させるために、リングギア36に正の回転数と正トルクを与えるには、数式1でキャリアの回転数Zc=0とした式と、数式3から計算されるように、第1遊星歯車減速機構32のサンギア34、すなわちモータから負の回転数と負のトルクを与えればよい。つまり、前進走行と逆回転のトルクと回転数を発するように、モータ10の回転数とトルクを制御すればよい。このとき、第2クラッチ62は開放し、第3クラッチ63を締結することで、リングギア36の回転数とトルクを反転せずに出力させる。
一方、車両を下降させるためには、リングギア36に負の回転数と正のトルクを与える必要がある。この状態で、下降させるためには、リングギア36に負の回転数と正トルクを与えるには、数式1でZc=0とした式と、数式3とから計算されるように、第1遊星歯車減速機構32のサンギア34、すなわちモータ10から正の回転数と負のトルクを与えればよい。つまり、モータ10を回生モードで運転させることで、車体1を支えつつ、確実に車高を下降させることができる。
<第三実施形態>
次に、第三実施形態として、上述した第一及び第二実施形態の車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)を搭載した車両200について、図9及び図10を参照しつつ以下に説明する。
図3(c)に示された車高可変動作の模式図中、車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)の作動によって、車両が備える四節リンク機構50の高さ状態が可変し、車高降下位置と車高上昇位置との間で変化する様子が示されている。図10の右側端に示されるように、車両外部に非乗車状態で車両操作が可能となる操作入力部110を備える。そして、この操作入力部110を介して車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)の駆動制御を実行することにより、降車後であっても、ユーザー(操作者)の意図を反映させた駆動制御を実施することが可能となり、すなわち、四節リンク機構50の状態を変化させ、車高の高さ状態を変形した車両を駆動操作することが実現できる。
本実施形態における車両外に配設される操作入力部の一例が図9(a)、(b)に示されている。図中の操作入力部110は、通常走行時には車体1内に収納された状態であり(図9(b)<車体収納時>)、操作時にのみ収納された車体1から外部に展開が可能なように構成されている(図9(b)<操作時>)。そして、展開された状態で、操作者の意図を伝達する操作入力部としての機能を有することとなり、特定の操作者がアクセスすることが可能になるものである。このような操作入力部110は、図9(a)に示されるように、例えば、上端側に握部112を有する片手操作が可能なレバー構造により構成される。
図9(a)中の操作入力部110は、握部112に車高位置を高低させる車高切替えスイッチ113を備えており、既述したように、車体1に設けられた四節リンク機構50を作動させ、ホイールベースを可変させる。この車高切替えスイッチ113は2値状態による作動運ステータスを有するものであり、例えば、車高切替えスイッチ113のON時には車高上昇、OFF時には車高降下を行う。そして、握部112を操作者が握り、中立位置(図中、停止位置)から、レバー111を前倒し(図中、前進方向矢印,X>0)させることにより、車両に対する前進移動、及び、同様に中立位置(停止位置)から、レバー111を後倒し(図中、後退方向矢印,X<0)することにより、後退移動が実現される。同様に、握部112を握り、中立位置(停止位置)から上側から見て反時計回りに捻る(図中、左旋回方向矢印,θ<0)ことにより、車両の左旋回移動、及び同様に時計回りに捻る(図中、右旋回方向矢印,θ>0)ことにより、車両の右旋回移動が実現される。
このような構造の利点は、例えば、握部112を有する操作レバー111を操作入力部110から分離可能なことである。つまり、特定の操作者(例えば、操作レバー111を有する操作者等)によるアクセス制限が可能となるため、保安の観点からも望ましい。そして、握部112には車高位置の上昇・降下を切替える車高切替えスイッチ113が備えられているので、一連の車両操作及び指令(車高位置の上下、前進・後退移動、右・左旋回移動)を片手操作で行える利点がある。すなわち、片手操作が可能な構造は、空いた一方の片手側に荷物を持つことが可能であり、ユーザビリティの観点からも望ましく、両手操作の場合と比較して、車両操作時の周囲への目視確認が行い易いため、微少な駆動操作を連続して繰り返し易い。
図10には、車体1の左右後輪2に配設された車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)に対する本実施形態の、駆動制御の構成を示す簡単なブロック図が示されており、操作入力部110と電動ステアリング装置120を備えている。図10から明らかなように、操作者の意図に基づいた操作者情報(目標進行方向、目標速度、角度θ)は、車体1の後側に設けられた操作入力部110を介し、車体1への操作者指令情報として制御指令生成部としてのECU101に入力される。ここで、制御指令生成部は、操作入力部110を介して伝達された操作者指令情報に基づいて各輪への制御トルクが生成可能であれば、ECU101とは別の制御装置であっても良いし、制御装置内の特定記憶領域内に予め割り当てられた演算領域であっても良い。
そして、制御指令生成部としてのECU101からは、車体1の左右後輪2に配設された車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)に対する駆動制御のための右輪トルク指令及び左輪トルク指令が独立に生成されて、各車両駆動用アクチュエータ(A1又はA2)に出力される。各アクチュエータ(A1又はA2)は独立に生成された右輪トルク指令及び左輪トルク指令に基づき駆動トルクを発生させることにより、結果、操作者の意図に沿った車両操作(車高位置の上下、前進・後退移動、右・左旋回移動)が実現される。
尚、ECU101(制御指令生成部)に組み込まれた演算手段が、本発明の制御トルク生成手段として機能するものである。
次に、本実施形態の制御指令生成の具体例について、図11〜図12に示されるフローチャートに沿って、以下に動作を説明する。
図9(b)<操作時>に示されるように、例えば非乗車状態の操作者が、操作入力部110を介して操作者の意図を操作者指令情報として伝達可能な状態(握部112を有する操作レバー111を車体1に収納された操作入力部110に差し込んだ状態等)を起動として、本実施形態の制御指令生成は実行(図11、START)される。
図11に示されたフローチャートでは、起動(START)が確認された場合には、先ず、車体1内に配設された複数の各種センサ情報に基づいて、起動時の車両の状態を確認し、操作入力部110を介して伝達入力された操作者指令情報を確認(ステップS1)する。ここで、起動時の車両の状態とは、車高センサ信号:Hx(x=1,2(左右))及び車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)を備える左右後輪の車輪速度センサ信号:Nx(x=1,2(左右))であり、操作者指令情報とは、図9(a)にも示されるように、車体の前進・後退移動操作に係る前進・後退指令信号:X及び、車体1の旋回移動操作に係る旋回方向指令信号:θ、車高位置の上昇/下降操作に係る車高位置指令信号:Hr(ON/OFF)である。
次に、ステップ2においては、ステップS1で取得された各種センサ情報、操作者指令情報に基づいて、以下(1)、(2)に示す車高上昇調整判定を実行する。すなわち、車高センサHxで検知した車両状態(左右(x=1,2)の高さ位置)が各々、車高上限及び下限の閾値(Hl/Hh:判定閾値)に到達しているか否かを判断し、且つ、操作入力部110を介して伝達入力された車高位置の上昇/下降操作に係る車高位置指令信号Hrが有効なものであるか否かを判定する。
Hr=ON(High)and H1,2<Hl ・・・(1)
Hr=OFF(Low)and H1,2>Hh ・・・(2)
Hl :判定閾値(低)mm
Hh :判定閾値(高)mm
例えば、車高センサで検知された車高高さが判定閾値Hl(下限、例えば200mm)以下の場合であって且つ、車高位置指令信号Hrが下降(Hr=OFF)を示している場合には、物理的に下降調整が行えないため、車高調整トルク:Thx(x=1,2(左右))として“0”値を設定する(ステップS2、NO →ステップS9)。
一方、車高センサで検知された車高高さが判定閾値Hl/Hh(下限/上限)内であり、操作入力部を介して伝達された車高位置指令信号Hrが適切な指令であると判定された場合(ステップ2、YES)には、ステップS3に示される左右車高位置フィードバック演算に移行し、車高調整トルクThx(x=1,2(左右))を生成する。ここで、このトルク値は、車両重量や車体構成(特に四節リンク機構50)、車両搭載用アクチュエータ(A1、A2)の特性を勘案して定められるものであり、車高調整時の不確定な車体振動(ハンチング)等を考慮したトルク値である。
尚、このステップS3に示された左右車高位置フィードバック演算が、本発明の車高位置指令演算手段として機能するものである。
次に、ステップS4に進み、操作入力部110を介して伝達された旋回方向指令信号θに基づき、前輪舵角制御角度Pθを生成する。ここで、ステップS4に示された前輪舵角制御角度Pθの生成は、例えば操作入力部110を介して伝達された旋回方向指令信号θに比例した操舵角であっても良いし、予め車両特性を組み込んだ所定の関数に対応させる関数制御であっても良い。尚、本ステップで制御の対象となる操作箇所は車両前輪部に設けられた前輪舵角制御機構(EPS;図10にて、電動ステアリング装置120)であるため、この操作箇所への前輪舵角制御角度Pθを算出するものとなる。従って、ステップS4の出力は、車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)への制御トルクとは異なる制御指令である。尚、図11において、ステップS10〜S14は、後述する変形例特有の処理ステップであるため、本実施形態では実行されない。
次に、図12に示されるフローチャートのステップS5に進み、操作入力部110を介して伝達された前進・後退指令信号に基づき、後進トルク指令TXx(x=1,2(左右))を各輪毎に独立に生成する。ここで、ステップS5に示された後進トルク指令TXxの生成は、例えば図9(a)に示される操作入力部110の“停止位置(中立位置)”からの離間距離に比例した後進トルク指令TXxであっても良いし、予め車両特性を組み込んで重み付け(例えば、多段階的にトルクを可変させる)が施された関数制御であっても良い。
尚、ステップ4では、旋回移動に対応する機構として前輪舵角制御(EPS)機構への制御指令(前輪舵角制御角度Pθ)を想定しているので、車両後輪に配設された車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)への制御トルク指令としての旋回トルク指令:Tθxには“0”値が設定されている。
以上、操作入力部110を介して伝達された操作者指令情報に基づいて、各輪毎の車高調整トルクThx(x=1,2(左右))及び旋回トルク指令:Tθx(x=1,2(左右))、後進トルク指令TXx(x=1,2(左右))が算出されたなら、ステップS6(以下(3)式に示す)に示されるように各制御トルクを足し合せ、各輪の独立したトルク指令:Tx(x=1,2(左右))を生成する。
Tx=Thx+Tθx+TXx(x=1,2(左右)) ・・・(3)
Tx :トルク指令(x=1,2(左右))
Thx:車高調整トルク(x=1,2(左右))
Tθx:旋回トルク指令(x=1,2(左右))
TXx:後進トルク指令(x=1,2(左右))
尚、当然の事ながら、(3)式で算出される各輪毎のトルク指令Txは、車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)の有する最大限の駆動能力を超えて設定することはできないため、ステップS7に示されるように、アクチュエータの最大トルクTmaxを超えないよう制御演算が行われる。
そして、車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)の駆動能力内のトルク指令Txが決定したなら、この各輪の独立したトルク指令Tx(x=1,2(左右))及び前輪舵角制御角度Pθを、対象となる車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)及び前輪舵角制御機構に対して出力(ステップS8)し、終了(END)する。
尚、このステップS6に示されたトルク指令Txの生成と、ステップS7に示される最大出力トルク制御演算が、本発明の駆動トルク指令演算手段として機能するものである。
以上説明したことから明らかなように、本実施形態によれば、第一及び第二実施形態の車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)と、車体1の外部に設けられた操作者が非乗車状態で操作可能な操作入力部110とを備え、操作入力部110を介して入力された操作者指令情報に基づいて車両駆動用アクチュエータに対する制御トルクを生成する制御トルク生成手段を有することにより、制御トルク生成手段によって生成された車輪毎のトルク制御指令に基づき、車輪毎に独立して回転駆動させることが可能となる。
従って、操作者は、車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)を搭載した車両を搭乗せずとも操作できる。例えば、十分な車両スペースが確保できないような領域に駐停車させる場合、搭乗者は一旦、車両から降車すれば良い。そして、この状態で車体外部に備えられた操作入力部110を介して各輪に設けられた車両駆動用アクチュエータ(A1,A2)を駆動させることにより、車両スペースに合わせて四節リンク機構50を駆動させ、ホイールベース長を調整すれば、駐停車に必要な車両スペースが確保できる。加えて、この車高を可変させた車状態で、車両の前進や後退等の作動制御が実現できる。
制御トルク生成手段(ECU101)は、操作入力部110を介して入力された操作者指令情報に基づいて車輪毎に駆動力を生成する駆動トルク指令演算手段(ステップS7)を備えるため、各輪の荷重状態等に合わせて駆動力を独立して生成できる。従って、外部操作入力部110を介して非乗車状態による制御開始時の車両状態に合わせた最適な駆動トルクを生成することが可能となる。
また、制御トルク生成手段(ECU101)は、操作入力部110を介して入力された操作者指令情報に基づき、車体1の車高及び、四節リンク機構50の姿勢を可変するための車輪2毎の駆動力を生成する車高位置指令演算手段(ステップS3)を備えるため、車両操舵や車両移動とは独立して車高調整を実現できる。従って、より、ユーザビリティに優れた制御形態が実現でき、操作者が意図する最適状態での車高調整、ホイールベース長の調整が可能となる。例えば、一台の車両スペースで限定された駐車空間に複数台の車両を駐車させることが可能であり、このような車両を操作する配置環境や、作動状況に合わせた車両操作が可能となる。
さらに、制御トルク生成手段(ECU101)は、操作入力部110を介して入力された操作者指令情報に基づいて、前輪軸に設けられた電動ステアリング装置120の転舵制御を行う前輪舵角制御演算手段(ステップS4)を備えるため、前輪軸に設けられた電動ステアリング装置120を用いた車体1の作動制御が実現できる。すなわち、操作入力部110を介して入力された操作者指令情報に基づいて前輪舵角制御演算手段(ステップS4)によって算出された転舵制御情報を反映させた制御トルクは、車両駆動用アクチュエータ(A1,A2)駆動の為の動力系とは異なるため、駆動力を分散させず、アクチュエータが備える最大トルクを有効に活用できる車両駆動用アクチュエータの駆動制御が実現できる。
<第三実施形態の変形例>
上述した第三実施形態については、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
例えば、第三実施形態では前輪軸に設けられた電動ステアリング装置120の舵角制御機構を用いることにより、操作入力部110を介して伝達された操作者指令情報に基づき旋回移動を実現しているが、予め車体側に収納された車高調整補助車輪130を使用するものであっても良い。すなわち、操作者指令情報に基づいて車高調整補助車輪130を接地させ、接地させた補助輪によって前2輪を接地面から浮かした上で、後ろ2輪に備えられた車両駆動用アクチュエータへの駆動トルク指令を制御することにより、非乗車操作による一時的に3輪状態での車両駆動が可能となる。図13には、車体1の左右後輪に配設された車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)に対する本実施形態の、駆動制御の構成を示す簡単なブロック図が示されており、電動ステアリング装置120に代わり車高調整補助車輪130が備えられている。
この、車高調整用の補助車輪130は、例えば筐体運搬用に設けられる、回転軸が固定された一輪のキャスター状の構造であっても良いし、ボールペン等の筆先に使用されるように、球体状の剛体(車体重量を支持可能な材料)を回転可能に枠支えさせた、全方位方向に転動可能な構造であっても良い。操作者指令情報に基づく後輪の駆動トルクによって、旋回移動が可能な補助車輪であれば良い。
この変形形態では、操作入力部110は第三実施形態と同様であるが、車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)に対する制御トルク生成手順が異なる。以下、図11に示されたフローチャートを参照しつつ説明する。尚、図11において、ステップS10〜S14が第三実施形態と異なる本変形例の処理であり、他は第三実施形態と共通である。
本変形形態においては、例えば、起動時において予め車体1側に収納された車高調整補助車輪130を接地させることができる。そして、ステップS3又はS9の処理後、ステップS10に示されるように、この接地判定を、車高センサ信号Hx(x=1,2(左右))と判定閾値Hhとを比較することにより車高位置判定を行うのである。
第三実施形態における前輪軸に設けられた電動ステアリングの転舵制御を用いる場合には、検知される車高センサ信号Hx(x=1,2(左右))は判定閾値Hh以下となる(ステップS10、NO)ため、後輪に配設された車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)に対する旋回トルク指令:Tθx(x=1,2(左右))には、“0”値を設定し(ステップS14)、ステップS4に進んで前輪軸に設けられた電動ステアリング装置120の転舵制御のための前輪舵角制御角度Pθを生成すれば良い。
本変形形態では、車高調整補助車輪130を接地させることにより、車高位置が判定閾値Hhを超える(高くなる)ので、この場合には、車高調整補助車輪130を用いる態様であると判断(ステップS10、YES)し、ステップS11に移行する。
図11に示されるフローチャートのステップS11においては、車高調整補助車輪130を接地させた状態(一時的な3輪状態)の車体を旋回移動させる為の、左右輪回転速度差指令:ΔNrを生成する。ここで、ステップS11に示された左右輪回転速度差指令ΔNrの生成は、後輪である左右の車輪に対する回転速度差を生成するものであり、例えば操作入力部110を介して伝達された旋回方向指令信号θに比例した左右輪回転速度差指令ΔNrであっても良いし、予め車両特性(車重、ホイールベース長、重心高さ位置、駆動トルク等)を組み込んだ所定の関数に対応させる関数制御であっても良い。
尚、このステップS11に示される左右輪回転速度差指令ΔNrの生成が、本発明の左右輪回転速度差演算手段として機能するものである。
そして、ステップS11で生成した左右輪回転速度差指令ΔNrに基づいて、各輪速度フィードバック演算(ステップS12)を行い、各輪毎に独立に旋回トルク指令:Tθx(x=1,2(左右))を生成する。ここで、このトルク値は、車両重量や車体構成(ホイールベース長、重心高さ位置)、車両搭載用アクチュエータ(A1、A2)の特性を勘案して定められるものであり、旋回駆動時の不確定な車体振動(ハンチング)等を考慮したトルク値である。
尚、このステップS12に示される旋回トルク指令Tθxの生成が、本発明の旋回トルク指令演算手段として機能するものである。
本変形形態では、第三実施形態と異なり、前輪軸に設けられた電動ステアリング装置120の転舵制御を用いないため、前輪舵角制御角度Pθに“0”値を設定し(ステップS13)、操作者指令情報に基づく後進トルク指令TXx(x=1,2(左右))生成のステップS5に移行する。
以上説明したことから明らかなように、本変形形態によれば、操作入力部110を介して入力された操作者指令情報に基づいて、予め車体1側に収納された車高調整補助車輪130を接地させることにより、後ろ2輪に備えられた車両駆動用アクチュエータ(A1,A2)の駆動制御が可能となる。
そして、制御トルク生成手段は、操作入力部110を介して入力された操作者指令情報に基づいて、車体1の右側輪と左側輪との回転速度差を指令する左右輪回転速度差演算手段(ステップS11)と、右側輪と左側輪とに対する個々の駆動力を生成する旋回トルク指令演算手段(ステップS12)とを備えることにより、後輪の左右輪の回転速度差による旋回制御が実現できる。そして、この旋回制御は、接地させた車高調整補助車輪130を支点とする旋回移動のため、車体1を旋回させるための必要な動作領域は、車高(ホイールベース長)に基づく最小限の領域を確保するだけで良い。
尚、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能であることは云うまでもない。
本発明は、電動モータを備えた車両駆動用アクチュエータを搭載した車両に利用可能である。
本発明の第一実施形態の車両駆動用アクチュエータを模式的に示す概略構成図であり、車両の左後輪周辺を前方から視た図である。 (a)は車両駆動用アクチュエータを搭載した車両の側面図であり、(b)は左後輪周辺を示す側面図である。 車高可変動作を模式的に示す図であり、(a)は車高降下位置における左後輪の四節リンク機構の状態を、(b)は車高上昇位置における左後輪の四節リンク機構の状態を、(c)は車両が車高降下位置と車高上昇位置との間で変化する様子をそれぞれ示している。 第一実施形態の車両駆動用アクチュエータを搭載した車両の電気的構成の概略を示すブロック図である。 (a)はモータジェネレータの回生エネルギーを利用した車高可変動作を説明するための遊星歯車減速機構の共線図であり、(b)はモータ回転数と車軸回転数との関係を示すグラフである。 第二実施形態の車両駆動用アクチュエータを模式的に示す概略構成図であり、車両の左後輪周辺を前方から視た図である。 (a)は力行モードにおける車高可変動作を説明するための第1遊星歯車減速機構及び第2遊星歯車減速機構の共線図であり、(b)は、回生モードにおける車高可変動作を説明するための第1遊星歯車減速機構32及び第2遊星歯車減速機構42の共線図である。 第二実施形態において力行モード及び回生モードにおける車高可変動作時の各クラッチの状態を示す表である。 (a)は操作入力部の一例を示す概略図であり、(b)は操作入力部の車体への収納/展開を示す概略図である。 車体1の左右後輪に配設された車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)に対する第三実施形態の、駆動制御の構成を示す簡単なブロック図である。 第三実施形態における制御指令生成の流れを示すフローチャートである。 図11のフローチャートの続きである。 車体1の左右後輪に配設された車両駆動用アクチュエータ(A1、A2)に対する第三実施変形形態の、駆動制御の構成を示す簡単なブロック図である。
符号の説明
A1 車両駆動用アクチュエータ(第一実施形態)
A2 車両駆動用アクチュエータ(第二実施形態)
1 車体
2 車輪
3 車軸
10 モータジェネレータ(電動モータ)
30 車輪駆動ユニット
32 遊星歯車減速機構、第1遊星歯車減速機構(遊星歯車機構、動力分配機構)
34 サンギア
35 プラネタリギア
36 リングギア
37 プラネタリキャリア
42 第2遊星歯車減速機構(回転力反転機構)
50 四節リンク機構
61 クラッチ、第1クラッチ(切換え機構、動力分配機構)
62 第2クラッチ(方向反転機構)
63 第3クラッチ(方向反転機構)
100 車両
200 車両(第三実施形態)
110 操作入力部
111 操作レバー
112 握部
113 車高切替えスイッチ
120 電動ステアリング装置
130 車高調整補助車輪

Claims (11)

  1. 電動モータと、前記電動モータからの動力を複数に分配可能な動力分配機構を有し且つ前記動力分配機構を介して前記電動モータの回転を車軸に伝達して車輪を回転駆動する車輪駆動ユニットとを備えた車両駆動用アクチュエータであって、
    車体と前記車輪駆動ユニットとの間に設けられる四節リンク機構を備え、
    前記動力分配機構を介して分配された動力によって前記四節リンク機構を駆動することにより前記車体の車高を調整するように構成され、
    前記動力分配機構は、遊星歯車機構と、前記遊星歯車機構による動力の分配状態を切換える切換え機構とからなり、通常の走行時において前記切換え機構を締結状態とし、前記車体の車高を調整する際に前記切換え機構を開放することを特徴とする車両駆動用アクチュエータ。
  2. 前記遊星歯車機構は、サンギアに前記電動モータの回転を入力し、プラネタリキャリアから前記車軸へ回転を出力すると共に、リングギアから出力される動力によって前記四節リンク機構を駆動するように構成され、
    前記四節リンク機構は、前記車体に一端がそれぞれ接続された一対の第1及び第2アームと、前記車輪駆動ユニットに設けられて前記一対の第1及び第2アームの各他端に一端と他端とがそれぞれ接続された第3アームとからなり、
    前記第3アームの前記一端が前記遊星歯車機構の前記リングギアに接続され、他端が車体に直接接続されたことを特徴とする請求項に記載の車両駆動用アクチュエータ。
  3. 運転者による駆動・制動要求と前記車輪の回転数とに応じて、前記サンギアに入力されるモータトルクと回転数とを制御することによって前記リングギアのトルクと回転数とを制御し、前記四節リンク機構の姿勢を可変するように構成されたことを特徴とする請求項に記載の車両駆動用アクチュエータ。
  4. 前記電動モータの回生モードにおいて、車高上昇時は、モータ回転方向と同方向に前記リングギアを回転させ、車高下降時は、前記モータ回転方向と逆方向に前記リングギアを回転させるように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の車両駆動用アクチュエータ。
  5. 前記リングギアの回転力を正方向と逆方向とに切換え可能な回転力反転機構を備え、
    前記電動モータが回生モード、力行モードのいずれの場合においても、車高上昇および下降時に必要方向のトルクおよび回転数が得られるよう、前記リングギアのトルクおよび回転方向の反転と非反転とを前記回転力反転機構によって切り替え可能に構成されたことを特徴とする請求項に記載の車両駆動用アクチュエータ。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の車両駆動用アクチュエータと、
    前記車体の外部に設けられた操作者が非乗車状態で操作可能な操作入力部とを備え、
    前記操作入力部を介して入力された操作者指令情報に基づいて前記車両駆動用アクチュエータに対する制御トルクを生成する制御トルク生成手段を有し、
    前記制御トルク生成手段によって生成された車輪毎のトルク制御指令に基づき、前記車輪毎に独立して回転駆動させる、
    ことを特徴とする車両。
  7. 前記制御トルク生成手段は、前記操作入力部を介して入力された操作者指令情報に基づいて前記車輪毎に駆動力を生成する駆動トルク指令演算手段を備える、
    ことを特徴とする請求項に記載の車両。
  8. 前記制御トルク生成手段は、前記操作入力部を介して入力された操作者指令情報に基づき、前記車体の車高及び、前記四節リンク機構の姿勢を可変するための前記車輪毎の駆動力を生成する車高位置指令演算手段を備える、
    ことを特徴とする請求項6又は7の何れか一項に記載の車両。
  9. 前記操作入力部を介して入力された操作者指令情報に基づいて、予め前記車体側に収納された車高調整補助車輪を接地させる、
    ことを特徴とする請求項に記載の車両。
  10. 前記制御トルク生成手段は、前記操作入力部を介して入力された操作者指令情報に基づいて、前記車体の右側輪と左側輪との回転速度差を指令する左右輪回転速度差演算手段と、前記右側輪と前記左側輪とに対する個々の駆動力を生成する旋回トルク指令演算手段とを備える、
    ことを特徴とする請求項に記載の車両。
  11. 前記制御トルク生成手段は、前記操作入力部を介して入力された操作者指令情報に基づいて、前輪軸に設けられた電動ステアリングの転舵制御を行う前輪舵角制御演算手段を備える、
    ことを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載の車両。
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