JP5027542B2 - 車両用電動モータ - Google Patents

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Description

本発明は冷媒が循環する冷媒通路を有する車両用電動モータに関する。
駆動源として電動モータが搭載される車両は、エンジン駆動の車両においてはエンジンが搭載されていた位置に電動モータが搭載されることになる。エンジン横置きタイプと同様に、モータ主軸が車幅方向を向くように電動モータが横置きとなって車両に搭載される場合には、電動モータに車幅方向に隣接させて変速機が配置され、電動モータは変速機に対して反対側の端部で車体フレームに支持されることになる。電動モータはロータが設けられたモータ主軸と、モータ主軸を回転自在に支持するとともにロータを覆うように内部にステータが組み込まれたハウジングとを備えている。ハウジングはステータが装着される筒体部と、これの両端に設けられる端板部とを有し、両方の端板部はそれぞれ筒体部の端面に突き当てられた状態でボルトにより締結されている。
車両を駆動するための電動モータは発熱量が大きいので、筒体部に形成されたウオータジャケット内に液体などの冷媒を循環させて電動モータを冷却するようにしている。冷媒の循環形式には特許文献1に記載されるように軸方向に冷媒通路を形成し、冷媒を軸方向に流すようにしたタイプと、特許文献2に記載されるように筒体部に螺旋状の冷媒通路を形成し、冷媒を円周方向に流すようにしたタイプとがある。
特開平11−206066号公報 特開平8−205475号公報
特許文献1記載のように筒体部に形成された冷媒通路に連通させて一方のエンドブラケットに冷媒通路を形成してエンドブラケットを冷媒カバーとして構成し、エンドブラケットに冷媒入口部と冷媒出口部を設けるようにすると、電動モータを該モータとは別体のエンドブラケットを介してボルト締結により車体に取り付けるようにしているので、冷媒カバーとしてのエンドブラケットによってモータが片持ちされる状態となるため、車両走行時の振動による負荷がエンドブラケットを締結するためのボルトに加わることになり、エンドブラケットと筒体部との突き合わせ部に配置されるシール材を劣化させたり、隙間を発生させて冷媒液の漏れが発生することが考えられ、電動モータの耐久性を損なうおそれがある。
一方、特許文献2記載のように筒体部に螺旋状の冷媒通路を形成するには、筒体部を鋳造するために中子を用いる必要があり、使い捨ての砂型により製造しなければならず、製造コストを低減することができない。筒体部を一体的に鋳造により形成することなく、外周面に溝が形成された内側円筒部材とこれの外側に嵌合され溝を覆う外側円筒部材とにより筒体部を形成すると、両方の円筒部材の間にシール材を配置する必要があり、シール材の劣化に起因した電動モータの耐久性を損なうおそれがあるだけでなく、筒体部のサイズが大型化してしまうという問題点がある。しかも、筒体部に冷媒入口部と冷媒出口部とを設けるようにすると、それぞれの位置を車種等に応じて変更することができない。
本発明の目的は、耐久性に優れた堅牢構造の車両用電動モータを提供することにある。
本発明の目的は、冷却能力を維持しつつ小型の車両用電動モータを提供することにある。
本発明の車両用電動モータは、モータ主軸を回転駆動する車両用電動モータであって、軸方向に伸びる冷媒通路が形成され当該冷媒通路の開口端部が一端部に形成された筒体部と、当該筒体部の前記一端部に一体となって設けられる端板部とが一体に形成されたハウジング本体と、前記ハウジング本体の他端の開口端部に取り付けられ、前記モータ主軸の突出端部を回転自在に支持する軸受が設けられるカバーと、前記ハウジング本体の一端面に装着され、前記冷媒通路の前記開口端部を覆うとともに前記冷媒通路に連通する冷媒流入口と冷媒流出口とが設けられる帯状の冷媒カバーとを有することを特徴とする。
本発明の車両用電動モータは、前記端板部の内側に前記モータ主軸の端部を支持する軸受が装着される軸受取付部を有することを特徴とする。
本発明の車両用電動モータは、前記端板部に車体に取り付けられる車体取付部を設けることを特徴とする。
本発明の車両用電動モータは、前記筒体部を外殻部と当該外殻部に隙間を介して一体に設けられる内殻部と前記外殻部と前記内殻部とに連なるとともに軸方向に伸びる複数の仕切り壁とにより形成し、前記冷媒通路を前記仕切り壁相互間に複数並列に設けることを特徴とする。
本発明の車両用電動モータは、前記冷媒通路を前記冷媒流入口から前記冷媒流出口に向けて連なるとともに軸方向に蛇行して形成することを特徴とする。
本発明の車両用電動モータは、前記ハウジング本体を金型を用いたダイカスト鋳造により成形し、円周方向に1つ置きに隣り合う前記仕切り壁のカバー側端部に機械加工により連通部を形成し、円周方向に隣り合う前記冷媒通路を連通させることを特徴とする。
本発明のよれば、電動モータのハウジング本体を筒体部と当該筒体部の一端部に一体となって設けられた端板部とにより形成し、筒体部に軸方向に伸びて形成される冷媒通路の開口端を覆うように冷媒カバーを端板部に対して分離させて筒体部に装着するようにしたので、電動モータを冷媒カバーではなく、ハウジング本体を構成する端板部を介して車体に取り付けることができ、冷媒カバーに荷重が加わることがない。これにより、冷媒カバーからの冷媒漏れの発生を長期間にわたって防止することができ、モータの耐久性を向上させることができる。
ハウジング本体を筒体部とこれと一体の端板部とにより形成したので、ハウジング本体は堅牢構造となり、ハウジング本体を構成する筒体部や端板部の厚みを大きくすることが不要となり、モータの小型化を達成することができる。
冷媒通路を筒体部に軸方向に複数列形成するようにしたので、ハウジング本体をダイカスト鋳造により成型することができ、モータ製造コストを低減することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は車両の駆動源として電動モータが取り付けられた駆動源用のユニットフレームを示す斜視図であり、図2は図1に示された機器を冷却するための冷却システムを示すブロック図であり、図3は図1の一部を拡大して示す斜視図であり、図4は図3に示された電動モータを拡大して示す斜視図であり、図5は電動モータの一部を分解して示す斜視図であり、図6は図5の矢印A方向から見た正面図であり、図7は電動モータの断面図であり、図8は図7におけるB−Bに沿う断面図である。
図1に示すユニットフレーム10は、矢印Fで示す方向が車両の進行方向となって車体フレームの前部に取り付けられるようになっており、ユニットフレーム10には回転電機つまり電動モータ11が車幅方向を向いて懸架されている。電動モータ11には変速機12が取り付けられ、電動モータ11の動力は変速機12を介して図示しない駆動輪に伝達される。電動モータ11の駆動時には図示しない高電圧バッテリから電動モータ11に電力が供給される。電動モータ11は車両制動時に車輪により発電する発電機としての機能を有しており、制動時には回生エネルギーを回収することができる。電動モータ11に隣接してその上方にはインバータ13が配置されており、インバータ13を介して高電圧バッテリからの直流電流を交流電流に変換するとともに、インバータ13により交流電流の電流値や周波数を制御することによって電動モータ11の出力トルクや回転数が制御される。
ユニットフレーム10には低電圧バッテリ14が装着されるようになっており、低電圧バッテリ14はDC/DCコンバータ15を介して高電圧バッテリに接続されており、DC/DCコンバータ15は高電圧電流から低電圧電流を生成し、低電圧バッテリ14には高電圧バッテリから電力が供給される。低電圧バッテリ14からはヘッドライト、エンジン補機類等の低電圧系機器に電源が供給される。
電動モータ11、インバータ13およびDC/DCコンバータ15は発熱源となる機器であり、それぞれには冷媒としての冷却液が流れる冷却通路が形成されており、これらの機器は冷媒により冷却される。図2に示すように、ウオータポンプ16から吐出される冷媒は、まずインバータ13の冷却通路を流れた後にDC/DCコンバータ15の冷却通路を流れ、電動モータ11の冷却通路に流入するようになっている。電動モータ11の冷却通路から流出した冷媒はラジエータ17に流入し、このラジエータ17により冷媒は冷却される。ラジエータ17は例えばユニットフレーム10の前側端部に取り付けられる。このように、冷媒はラジエータ17を介して矢印で示す方向に循環し、ウオータポンプ16から吐出した冷媒は、インバータ13、DC/DCコンバータ15、次いで電動モータ11の順に流れるようになっている。
図5〜図7に示すように、電動モータ11はハウジング本体21を有しており、ハウジング本体21はほぼ円筒形状となった筒体部22と、この筒体部22の一端部に一体となって設けられ筒体部22の一端部を閉塞する端板部23とを備えている。筒体部22は端板部23が設けられた閉塞端部に対して反対側が開口され、開口端部にはカバー24が図示しないボルトにより取り付けられるようになっており、開口端部はカバー24により閉塞される。端板部23は筒体部22の端部内周面に連なっており、端板部23の径方向中心部には軸受25を支持する軸受取付部26が内方に突出して環状に設けられている。一方、カバー24の径方向中心部には軸受27を支持する軸受取付部28が環状に設けられ、モータ主軸29がそれぞれの軸受25,27により両端部で回転自在に支持されており、モータ主軸29の先端部はカバー24から外方に突出し、後端部は端板部23により覆われている。このように端板部23はモータ主軸29の後端部を覆う部分を有しており、端板部23の強度が高められているが、モータ主軸29の後端部を外部に露出させるように端板部23の中心部に貫通孔を形成するようにしても良い。
ハウジング本体21の筒体部22には、図5および図7に示すように、閉塞端部側に開口させて冷媒通路31が軸方向に伸びて形成されており、冷媒通路31は筒体部22のカバー24側の端部側で閉塞されている。筒体部22は、外殻部32aとこの外殻部32aに対し隙間を介して一体に設けられる内殻部32bと外殻部32aと内殻部32bとに連なってこれらを連結するとともに軸方向に伸びる複数の仕切り壁33とを有しており、仕切り壁33により筒体部22には軸方向に伸びて冷媒通路31が複数列形成されている。仕切り壁33は、図8に示すように、回転方向に90度の位相で4つ設けられているが、仕切り壁33の数は4つに限られることなく任意の数に設定することができる。
ハウジング本体21を構成する筒体部22の一端部側の端面には、冷媒通路31の開口端部を帯状に覆う冷媒カバーとしての冷却液カバー34がシール材35を介して装着されている。この冷却液カバー34は筒体部22の外周部に沿うように環状となっており、冷却液カバー34には冷媒流入口36と冷媒流出口37とが隣り合って取り付けられている。なお、シール材35としては、軟質性の金属からなるメタルガスケットが使用されている。また、冷却液カバー34としては円周方向に連なった完全な環状ないしループ状とすることなく、一部が切り欠かれた形状としても良く、ほぼ半円弧形状の2つの部材により冷却液カバー34を形成しても良い。
図9はハウジング本体21の筒体部22と冷却液カバー34の展開図であり、複数の仕切り壁33により形成される複数列の冷媒通路31は、冷媒流入口36から冷媒流出口37に向けて軸方向に向けて蛇行するように直列に連通されている。冷媒流入口36と冷媒流出口37の間に位置させて冷却液カバー34に設けられた仕切り突起38は仕切り壁33の開口側端面に突き当てられるようになっている。4つの仕切り壁33を図9において符号(a)〜(d)を付して示すと、冷媒通路31を蛇行形成するために、仕切り突起38が突き当てられる仕切り壁33(a)に対して円周方向両側に隣り合う仕切り壁33(b),33(d)のカバー24側端部には連通部としての連通孔39が形成されており、冷却液カバー34のうち仕切り壁33(c)の開口端部に対向する部分には連通用凹部40が形成されている。このように、仕切り突起38が突き当てられる仕切り壁33(a)から1つ置きの仕切り壁33(b),33(d)に連通孔39を形成し、仕切り壁33(c)の開口端部を介して冷媒通路31を連通させる部分に対応させて冷却液カバー34に連通用凹部40を形成することにより、軸方向に伸びて複数列となって形成される冷媒通路31は蛇行して連なった1本の直列の通路となる。
ハウジング本体21はダイカスト鋳造により製造される。ダイカスト鋳造は溶湯を高圧で金型に注入する鋳造法であり、固定金型と可動金型とを型合わせすることによりハウジング本体21の形状に対応した形状のキャビティが両方の金型により形成され、そのキャビティ内にアルミニウム合金などの軽合金の溶湯を注入することによりハウジング本体21が鋳造成形される。溶湯注入後に可動金型を固定金型から容易に型抜きを行い得るように、軸方向に伸びる冷媒通路31は図7および図9に示すように、開口端部側が広がるようにテーパ形状となっている。円周方向に隣り合う冷媒通路31をカバー24側の端部で連通させるための連通部としての連通孔39は、ハウジング本体21を鋳造成形した後に、ドリルなどにより機械加工によって形成される。機械加工により仕切り壁33のみならず外殻部32aの部分も切削されることになるので、仕切り壁33に連通孔39を加工する際に取り除かれた外殻部32aの部分は栓部材により閉塞される。
図5および図6に示すように、冷却液カバー34は、これを外周部側で筒体部22に締結する8本のボルト41と、冷却液カバー34を内周部側で筒体部22に締結する8本のボルト42により、筒体部22の一端部側の端面に取り付けられている。それぞれの外周部側のボルト41は円周方向に相互に等間隔となっており、それぞれの内周部側のボルト42は外周部側のボルト41に対して位相がずれるとともに円周方向に相互に等間隔となっている。したがって、冷却液カバー34の筒体部22に対する円周方向の取付位置は、冷却液カバー34の筒体部22に対する円周方向の位置を図6に示す位置に対して相違させることにより複数種類に設定することができる。ただし、取付位置は仕切り突起38がいずれかの仕切り壁33に対応する位置とする必要がある。なお、それぞれのボルト41、42の本数は、本実施の形態に限定されない。
ハウジング本体21は、図4に示すように、端板部23に取り付けられるブラケット43を介してユニットフレーム10に懸架つまり吊り下げられるようになっており、ブラケット43を端板部23に取り付けるために、図6に示すように、端板部23にはそれぞれねじ孔が形成された5つのボス部44が車体取付部として端板部23の外面から外方に突出して設けられている。ブラケット43はそれぞれのボス部44のねじ孔にねじ結合するボルト45により端板部23に締結される。このように、ハウジング本体21は、冷却液カバー34ではなく筒体部22に一体となった端板部23に締結されるブラケット43を介して車体側に取り付けられるので、車両走行時にハウジング本体21に振動が加わっても、冷媒通路31を形成するために筒体部22に取り付けられた冷却液カバー34には荷重が加わることがない。これにより、長期間使用してもシール材35が劣化したり冷却液カバー34とハウジング本体21と間に隙間が発生することを防止でき、電動モータ11の耐久性を向上させることができる。
電動モータ11のカバー24には図3に示すように変速機12が取り付けられ、変速機12は図1に示すようにブラケット46によりユニットフレーム10に懸架される。このように、電動モータ11は端板部23によりブラケット43を介して車体側のユニットフレーム10に懸架され、カバー24により変速機12およびブラケット46を介して車体側のユニットフレーム10に懸架されることになる。電動モータ11の車体側への取付形式としては、図示するように電動モータ11を吊り下げる形式つまり懸架式としても良く、ブラケットを介してフレームの上側に電動モータ11を取り付ける下側支持式としても良い。
図7および図8に示すように、モータ主軸29には8つの永久磁石つまりマグネット50を有する回転子つまりロータ51が設けられている。筒体部22の内側にはほぼ円筒形状の固定子つまりステータ52が取り付けられており、ステータ52は電磁鋼板を積層して形成されるステータコアつまり鉄心53を有し、電動モータ11は8極の三相交流モータとなっている。
図8に示すように、鉄心53は12個のステータセグメント54により形成されている。1つのステータセグメント54は円弧状のヨーク片55とこれに対し横方向に突出しヨーク片55と一体となったティース56とを有する鋼板を図7に示す鉄心53の長さに対応する寸法に合わせて積層することにより形成される。このようにして形成される各ステータセグメント54にコイル57を巻き付けるとともに、各ステータセグメント54を図8において二点鎖線Pで示すようにヨーク片55の両端面で突き当てた状態のもとで、ヨーク片55相互を溶接により接合すると、全てのステータセグメント54が接合されて図8に示すように鉄心53が形成され、接合された全てのヨーク片55により円筒形状のヨーク55aが形成される。各ステータセグメント54をヨーク片55の両端面で突き当てて溶接すると、円筒形状のヨーク55aから径方向内方に向けてティース56が突出し、各ティース56の間に形成されるスロット58にコイル57が入り込むことになる。
このように、各ティース56に直接コイル57を巻き付けるようにしているので、電動モータ11は集中巻きとなっており、各ティース56に対するコイル57の巻き付けが各々のステータセグメント54を分割した状態のもとで行われるので、電動モータ11は分割コア型となっている。分布巻き方式の場合にはコイルが複数個分のステータの端面を渡ることになってコイル全体の長さが長くなるのに対して、鉄心53に対するコイル57の巻き付けを集中巻きとすると、コイル57の全長を短くすることができ、太い巻線を高密度に巻き付けることが可能となる。これにより、巻線抵抗を大幅に低減でき、モータ効率を向上させることができる。また、集中巻きとすることによってステータ52の端面からコイル57が突出するコイルエンドの突出寸法を分布巻きの場合の約半分にまで短くすることができ、電動モータ11の小型化、軽量化を実現することができる。
電動モータ11を分割コア型として分離された状態のステータセグメント54に対してコイル57を巻き付けるようにしたので、コイル57の巻き付け作業が容易となり、モータの製造設備を大幅に簡素化することができ、製造設備の設置スペースも大幅に減少させることができる。しかも、集中巻きとしたことから、コイル57の電線使用量も大幅に低減することができるので、電線の表面積も大幅に減少し、ここから漏れる電流も大幅に低減できる。
コイル57に電力を供給してモータ主軸29を回転駆動する際には、各ティース56にはコイル57への通電により生成される磁力に加え、マグネット50の磁力が径方向外方に向けて加えられる。この磁力は図8に矢印Mで示すようにティース56の幅方向中心部が径方向外方に向けて最も大きくなり、ティース56に加わる磁力はロータ51の回転に伴って矢印で示す半径方向線に対しては傾斜した方向となる。このように、ティース56に加わる磁力によってステータ52に負荷が加えられると、ステータ52は振動力を受けることになる。
図8に示すように、ハウジング本体21の筒体部22に冷媒通路31を形成するために設けられた仕切り壁33は、その幅方向中心をティース56の幅方向中心に一致させるように、それぞれティース56に対応させて重なるように配置されるとともにティース56の軸方向全長に沿って仕切り壁33も軸方向に伸びている。仕切り壁33は円周方向に等間隔に4箇所設けられており、それぞれの仕切り壁33は全てティース56に対応させてティース56にオーバーラップさせて配置されているので、4箇所のティース56に対応する筒体部22の剛性が他の部分よりも高められ、ステータ52に加わる磁力に起因する振動の発生が抑制されることになる。このように、冷媒通路31を複数の部分に並列に仕切るための仕切り壁33は、ティース56の保持力を高めてステータ52の振動を抑制する部材としての機能を有している。
振動発生の抑制効果は、仕切り壁33の数を増加すればより高められるが、仕切り壁33を複数、特に3つ以上の仕切り壁33を設けることによりハウジング本体21の冷却効果と振動抑制効果とを果たすことができる。図8においては、二点鎖線で示す4つの仕切り壁33を実線で示す4つ加えて設けた場合が示されている。合計8つのそれぞれの仕切り壁33は全てティース56に対応させて設けられている。ただし、図8に実線で示す4つの仕切り壁33よりも仕切り壁33を増加させるのであれば、いずれかの仕切り壁33についてはティース56の中心からずらすようにしても良い。
カバー24には、図4〜図6に示すように、U,V,Wの三相に対応させて3つの給電端子61〜63が設けられ、それぞれの給電端子61〜63はコイル57に電気的に接続されており、給電端子61〜63はそれぞれケーブルによりインバータ13に接続されている。また、冷媒通路31を流れる冷媒の温度を検出するための温度センサの出力端子64がカバー24に取り付けられており、温度センサからの出力信号は図示しない制御部に出力される。図7に示すように、ハウジング本体21内にはモータ主軸29の回転角度を検出するためにレゾルバ65が設けられており、レゾルバ65に接続された信号線の接続端子66が端板部23の外面に取り付けられている。
上述した電動モータ11においては、ウオータポンプ16から供給される冷却液つまり冷媒は、図2に示すようにインバータ13とDC/DCコンバータ15を通過した後に電動モータ11の冷却液カバー34の冷媒流入口36から冷媒通路31内に流入する。冷媒は冷媒通路31内を軸方向に蛇行しながら冷媒流出口37に向かい、モータを冷却する。モータ冷却により温度が高くなった冷媒はラジエータ17で冷却された後にウオータポンプ16に戻り、図2に示すように循環して流れる。
冷媒流入口36と冷媒流出口37とが設けられた冷却液カバー34は、ハウジング本体21から分離されて筒体部22の外周面に沿って湾曲した帯状の部材となっており、ハウジング本体21の端板部23に取り付けられるブラケット43により電動モータ11が車体側に取り付けられているので、冷却液カバー34には車両走行時の振動による負荷が加わることがなく、冷媒通路31の開口端部を覆う冷却液カバー34と筒体部22の端面との間のシール性が確保され、電動モータ11の耐久性が向上することになる。冷却液カバー34は端板部23から分離されているので、冷却液カバー34の筒体部22に対する円周方向の取付位置を容易に変更することができる。
冷媒通路31を形成するための複数の仕切り壁33は筒体部22内に軸方向に伸び、冷媒通路31は軸方向に複数例形成されており、複数列の冷媒通路31は軸方向の端部で連通し、冷媒は筒体部22を軸方向に蛇行して流れるようになっている。仕切り壁33は電動モータ11の鉄心53のティース56に対応しているので、モータ主軸29の回転時の磁力によって鉄心53に加わる振動は、冷媒通路31を仕切るための仕切り壁33によって抑制される。これにより、ハウジング本体21を大型化することなく、モータ振動の発生を抑制して振動騒音の発生が少ない静粛な電動モータ11が得られる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、電動モータ11はモータ主軸29が車幅方向を向くように横置きとなっているが、モータ主軸29が車両の進行方向となるように電動モータ11を縦置きとしても良い。また、図示する電動モータ11は8極であり、ティース56が12個設けられているが、極数やティース56の数は図示する場合に限られない。
車両の駆動源として電動モータが取り付けられた駆動源用のユニットフレームを示す斜視図である。 図1に示された機器を冷却するための冷却システムを示すブロック図である。 図1の一部を拡大して示す斜視図である。 図3に示された電動モータを拡大して示す斜視図である。 電動モータの一部を分解して示す斜視図である。 図5の矢印A方向から見た正面図である。 電動モータの断面図である。 図7におけるB−Bに沿う断面図である。 電動モータのハウジング本体の筒体部と冷却液カバーの展開図である。
符号の説明
11 電動モータ
21 ハウジング本体
22 筒体部
23 端板部
24 カバー
26,28 軸受取付部
29 モータ主軸
31 冷媒通路
32a 外殻部
32b 内殻部
33 仕切り壁
34 冷却液カバー
35 シール材
36 冷媒流入口
37 冷媒流出口
50 マグネット
51 ロータ
52 ステータ
53 鉄心
54 ステータセグメント
55 ヨーク片
55a ヨーク
56 ティース
57 コイル

Claims (6)

  1. モータ主軸を回転駆動する車両用電動モータであって、
    軸方向に伸びる冷媒通路が形成され当該冷媒通路の開口端部が一端部に形成された筒体部と、当該筒体部の前記一端部に一体となって設けられる端板部とが一体に形成されたハウジング本体と、
    前記ハウジング本体の他端の開口端部に取り付けられ、前記モータ主軸の突出端部を回転自在に支持する軸受が設けられるカバーと、
    前記ハウジング本体の一端面に装着され、前記冷媒通路の前記開口端部を覆うとともに前記冷媒通路に連通する冷媒流入口と冷媒流出口とが設けられる帯状の冷媒カバーとを有することを特徴とする車両用電動モータ。
  2. 請求項1記載の車両用電動モータにおいて、前記端板部の内側に前記モータ主軸の端部を支持する軸受が装着される軸受取付部を有することを特徴とする車両用電動モータ。
  3. 請求項1または2記載の車両用電動モータにおいて、前記端板部に車体に取り付けられる車体取付部を設けることを特徴とする車両用電動モータ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用電動モータにおいて、前記筒体部を外殻部と当該外殻部に隙間を介して一体に設けられる内殻部と前記外殻部と前記内殻部とに連なるとともに軸方向に伸びる複数の仕切り壁とにより形成し、前記冷媒通路を前記仕切り壁相互間に複数並列に設けることを特徴とする車両用電動モータ。
  5. 請求項4記載の車両用電動モータにおいて、前記冷媒通路を前記冷媒流入口から前記冷媒流出口に向けて連なるとともに軸方向に蛇行して形成することを特徴とする車両用電動モータ。
  6. 請求項5記載の車両用電動モータにおいて、前記ハウジング本体を金型を用いたダイカスト鋳造により成形し、円周方向に1つ置きに隣り合う前記仕切り壁のカバー側端部に機械加工により連通部を形成し、円周方向に隣り合う前記冷媒通路を連通させることを特徴とする車両用電動モータ。
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