JP5027038B2 - 前後進切替機構 - Google Patents
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Description
一方,上記特許文献2である特開2007−198491号公報には,その0020段落に,シフトフォークが、油圧、空圧あるいは電気を駆動源とする駆動装置でもって軸方向に動かされるようになっている旨の記載はあるが,シフトフォークを軸方向に動かすための具体的構造については何ら記載されていない。
本発明の目的は,上記課題を解決し,部品点数を少なくできる前後進切替機構を提供することにある。
前記遊星歯車機構は,
動力が入力される入力軸と,この入力軸の外周に支持されてこの入力軸と一体となって回転するサンギアと,このサンギアと相対回転可能に前記入力軸回りに支持されるキャリアと,このキャリアに対して自転可能に支持されていて前記サンギアと噛み合って回転可能なプラネタリギアと,前記入力軸を中心に該入力軸と相対回転可能に支持されていて,前記プラネタリギアと噛み合う,この遊星歯車機構の出力部材としてのインターナルギアと,を備え,
前記シフト機構は,
前記入力軸の軸線方向に沿って移動することで,前記キャリアとインターナルギアとを両者の相対回転不能に連結する前進位置と,前記キャリアの前記入力軸回りの回転を防止する後進位置とを選択的に切り替えるシフタと,
このシフタを前記前進位置と後進位置とのいずれかに選択的に移動させるシフトドラムと,
このシフトドラムの円周方向外方において,固定部材に固定されたシフトピンと,を備え,
前記シフタにはボス部を設けて,そのボス部外周に,前記シフトドラムをシフタとの相対回転可能に支持し,
前記シフトドラムの外周には,前記シフトピンと係合して,該シフトドラムの回転で該シフトドラムを該シフトドラムの回転軸線方向に移動させて回転軸線方向おいて複数のポジションに位置させるリード溝を形成し,
前記シフトドラムの内周には,該シフトドラムの回転を規制する係合部を設けたことを特徴とする。
この前後進切替機構によれば,前記シフトドラムが,遊星歯車機構の構成部品自体であるシフタによって支持されるので,部品点数を少なくすることができる。
望ましくは,前記係合部は,前記シフトドラムの内周面から外周面方向へ向かって凹む凹部であり,該凹部は前記シフトドラムの軸線方向に関し前記リード溝と重なる位置に設けられている構成とする。
この場合,望ましくは,前記シフトドラムの外周に,周方向において異なる位置に2本のワイヤを接続し,これらワイヤの引っ張り動作でシフトドラムを回動させる構成とし,かつ,前記ワイヤとの接続部は,シフトドラムの回転中心に関し,前記係合部と対向する側に設けた構成とする。
このように構成すると,シフトドラムを回転させるための部材がワイヤで構成されるので,前後進切替機構の軽量化が可能となる。
あるいは,望ましくは,前記シフトドラムの外周にギアを直接形成し,このギアに,アイドルギアを介してモータの駆動ギアを噛み合わせることで,前記シフトドラムをモータ駆動で回動させる構成とする。
このように構成すると,前記シフトドラムをモータ駆動で回動させる場合においても,シフトドラムの外周にギアを直接形成することで,前後進切替機構の小型化を図ることができる。
図1は本発明に係る前後進切替機構の一実施の形態を備えた鞍乗り型車両の一例を示す概略図である。
同図に示すように,この鞍乗り型車両1は,車体フレーム2に,駆動輪3と,この駆動輪3をチェーン4で駆動するエンジン10を取り付け,このエンジン10の上方に乗員用のシート5を配置した車両である。なお図示のものは四輪バギーである。
図2に示すように,エンジン10は,該エンジン10からの動力を前記駆動輪3へ速度変換して伝達するための主変速機20と,この主変速機20からの動力をさらに速度変換または方向変換して伝達することができる副変速機30とを有している。なお図示の副変速機30は,主変速機20からの動力を方向変換して伝達することができる前後進切替機構を構成しているが,後述するようにプラネタリギアを一枚増やすことで主変速機20からの動力をさらに速度変換して伝達する構成とすることができる。
(副変速機30の全体構成)
主として図2,図3に示すように,前後進切替機構を構成する副変速機30は,主変速機20からの動力を入力する入力軸31と,この入力軸31から入力された動力を前記駆動輪3へ向けて出力する出力部材35,36と,動力伝達経路において前記入力軸31と前記出力部材35,36との間に配置され,入力軸31から出力部材35,36へ伝達される動力を伝達する変換機構32〜35,37,38とを備える。前記入力軸31は,前記主変速機20からの動力を出力する出力軸25を前記エンジン10におけるエンジンケースの一部である主変速機ケース11外へ突出させてその突出部25aで構成し,変換機構32〜35,37,38を前記入力軸31である突出部25a回りにのみ配置するとともに,前記出力部材35,36は,入力軸31上に入力軸31と相対回転可能に支持してある。
突出部の先端部分には後述するインヒビタ機構40が設けてある。
遊星歯車機構は,前記突出部である入力軸31に設けられていてこの突出部25aと一体となって回転するサンギア32と,このサンギア32と相対回転可能に前記突出部25a(以下入力軸31ともいう)回りに支持されるキャリア33と,このキャリア33に対して自転可能に支持されていて前記サンギア32と噛み合って回転可能なプラネタリギア34と,入力軸31を中心に該入力軸31と相対回転可能に支持されていて,前記プラネタリギア34と噛み合うインターナルギア35とを備えている。
前記シフタ37にはボス部37bを設けてあり,そのボス部37bの外周に,シフトドラム38をシフタ37との相対回転可能に支持してある。
なお,図3において,上半分はシフタ37およびシフトドラム38が前進位置にある状態を,下半分は後進位置にある状態を描いてある。
この前後進切替機構(30)は,主変速機ケース11外に配置されている。
(入力軸31)
図2に示すように,入力軸31は主変速機20の出力軸で構成されている。
主変速機20は,エンジン10におけるクランク軸12の回転がクラッチ13を介して伝達されるメイン軸22と,このメイン軸22上に設けられた複数の駆動変速ギア23と,これら複数の駆動変速ギア23と選択的に噛み合う複数の被動変速ギア24が装着されたカウンタ軸25とを有している。このカウンタ軸25が主変速機20からの動力を出力する出力軸であり,カウンタ軸25の一端がエンジンケース11外へ延出されてその突出部25aが前述した副変速機30における入力軸31を構成している。なお,主変速機20は,チェンジペダル28を操作することで,ニュートラルおよび1速〜5速までの変速が可能な変速機である。したがって,入力軸31も1速〜5速のうちのいずれかで回転可能である。
このように構成すると,突出部25aに副変速機30を組み付ける際,出力スプロケット36を突出部25a回りに同心状に保持しておけるので,チェーン4を出力スプロケット36の外周にかけた状態で,出力スプロケット36の内周へインターナルギア35のボス部35bをスプライン噛合により組み付ける作業が容易になる。
図3,図4に示すように,サンギア32は,出力軸25の突出部25aとスプライン嵌合する円筒部材32aの外周に一体的に形成してある。スプラインを符号32sで示す。
サンギア32は突出部25aに対し,その先端側(図3において左側)から装着され,円筒部材32aと突出部25aとの軸線方向における移動を,円筒部材32a内において軸の突出部25aの軸端に螺合させたボルト25bで規制してある。なお,ボルト25bはワッシャ25wを介して螺合される。
図6はキャリア33を示す図で,(a)は正面図,(b)は図(a)におけるb−b断面図である。
キャリア33は,相対向する大小2枚のリング状の円板33a,33bを4箇所の連結部33cで一体に連結したものである。周方向に関し連結部33c同士の間において,円板33a,33bには軸受け穴33dが設けられている。図3に示すように,この軸受け穴33dで両端が支持された軸33eによって4つのプラネタリギア34が回転可能に支持される。
キャリア33の中心にある貫通孔33f(図6)には,図3に示すように,入力軸31およびサンギア32が挿入され,プラネタリギア34がサンギア32に噛み合う。なお,図4に示すように,プラネタリギア34はインターナルギア35にも噛み合っている。
大径の円板33aの外周部には歯33gが形成されており,この歯33gに,後述するシフタ37の歯37gが係合する。すなわち,歯33gは係合部としての歯であり,歯車を構成するものではない。
図3および図4に示すように,インターナルギア35は,リング部35aと,リング部35aと一体のボス部35bとを有している。
リング部35aの内周面には歯車をなす内歯35cが形成されており,リング部35aの外周面には係合部としての歯35dが形成されている。
ボス部35bの外周面には,スプライン35sが形成されている。
リング部35aの内歯35cには前記プラネタリギア34が噛み合っている。
リング部35aの歯35dには,後述するシフタ37の歯37gが係脱可能である。
ボス部35bのスプライン35sは,ボス部35bに装着される出力スプロケット36の内周面に設けられたスプラインと係合する。
インターナルギア35は,リング部35aの外周面に設けられた軸受け部材(ベアリング)35eで副変速機ケース50に回転可能に支持されている。
出力スプロケット36は,チェーン4および従動スプロケット3a(図1参照)を介して駆動輪3を駆動する。
図7はシフタ37を示す図で,(a)は正面図,(b)は図(a)におけるb−b断面図である。
同図および,図3,図4に示すように,シフタ37は,リング部37aと,これと一体のボス部37bとを有している。シフタ37は,ブッシュ37hを介してサンギア32の筒状部32a上に相対回転可能に支持されている。
リング部37aの内周面には係合部としての歯37gが形成されている。
ボス部37bは,フランジ部37fを有しており,このフランジ部37fの外周面に,係合部としての歯37dが形成されている。
フランジ部37fの外周面に対し,リング部37aが装着され,図示しないCクリップで,フランジ部37f(すなわちボス部37b)とリング部37aとが一体化されている。フランジ部37fの外周面にリング部37aが装着される際,両者の歯37gと37dとが噛み合う。
リング部37aの歯37gは,前述したキャリア33の歯33gと常時係合している。
シフタ37は入力軸31の軸線方向に移動可能であり,その移動により,リング部37aの歯37gがインターナルギア35の歯35dと係脱し,また,フランジ部37fの歯37dが,後述する固定部材39の歯39gと係脱する。
図8は固定部材39を示す図で,(a)は正面図,(b)は図(a)におけるb−b断面図,(c)は図(a)の部分平面図,(d)は図(a)におけるd−d断面図である。
同図および,図3,図5に示すように,固定部材39はリング状の部材であり,その内周面に係合部としての歯39gが形成されている。歯39gには前述したシフタ37の歯37dが係脱する。
固定部材39の上部および下部には,それぞれ穴39cが設けられており,この穴39cに,後述するシフトドラム38の軸線方向への移動を規定する規定部材としてのシフトピン39dが固定される。
また,固定部材39には,後述するワイヤを案内するすための溝39e,39eが設けられている。したがって,この溝39e,39eに近接する部位においては,ワイヤとの干渉を避けるために,歯39gを欠落させてある。
図9はシフトドラム38を示す図で,(a)は正面図,(b)は図(a)におけるb−b断面図,(c)は図(a)におけるc−c断面図,(d)はカム面の展開図である。
同図および図2に示すように,シフトドラム38は,中空円筒形状であり,その外周に2つのカム部38a,38bを有しており,いずれのカム部にも,シフトドラム38の軸線方向(図2において左右方向)において複数のポジション位置を備えるリード溝(カム溝)38cが設けられている。この実施の形態では複数のポジション位置として,前進位置(図9(d)のFWD位置)と後進位置(同RVS位置)とを設けてある。
リード溝38cには,上述した固定部材39の上下に設けたシフトピン39dがそれぞれ係合する(図2において下方のピンのみ図示)。
したがって,シフトドラム38を回転させることで,該シフトドラム38を軸線方向に沿って移動させることができる。
ストッパ38s等によって,シフトドラム38は,軸受け部材38eを介してシフタ37のボス部37bに結合されている。すなわち,図3に示すように,軸受け部材38eの一側は上記ストッパ38sによってシフタ37およびシフトドラム38に対する軸線方向の相対移動が規制され,軸受け部材38eの他側は,シフタ37のボス部37bに形成された段部37k(図7参照)とシフトドラム38の内周面に形成された段部38kとに当接することでシフタ37およびシフトドラム38に対する軸線方向の相対移動が規制されている。したがって,シフタ37とシフトドラム38は,軸線方向における相対移動が規制されていて,軸線方向に関しては一体となって移動する。すなわち,シフトドラム38が軸線方向に移動すると,シフタ37もそれと一緒に軸線方向に移動する。
図11に示すように,シフトドラム38とワイヤ38w1,38w2とが連結された状態で,ワイヤ38w1を引っ張るとシフトドラム38が正転し,ワイヤ38w2を引っ張るとシフトドラム38が逆転する。なお,本明細書において正転とは図11において反時計回りの回転をいい,逆転とは図11(および図4,図5)において時計回りの回転をいうものとする。
ワイヤ38w1,38w2は,車両1の適所に回動可能に設けられた図示しないシフトレバーに連結されており,該シフトレバーを前進位置に回動させると,ワイヤ38w1が引っ張られてシフトドラム38が正転し,シフトレバーを後進位置に回動させると,ワイヤ38w2が引っ張られてシフトドラム38が逆転する。なお,機構全体の作動については後述する。
図3,図5に示すように,インヒビタ機構40は,前記シフトドラム38を回転可能に支持する軸(前記入力軸)31と,前記シフトドラム38(図9参照)の内周面38fに設けられた係合部38d1,38d2と,前記シフトドラム38を回転可能に支持している軸31の回転と連動して作動し,軸31が回転しているとき,シフトドラム38の係合部38d1または38d2と係合してシフトドラム38の正転および逆転のいずれも規制するリンク機構60とを備えている。なお,この実施の形態では,前述したように,シフトドラム38は,シフタ37のボス部37bおよびサンギア32を介して入力軸31に回転可能に支持されている。図9に示すように,係合部38d1,38d2は,シフトドラム38の内周面から外周面方向へ向かって凹む凹部であり,該凹部はシフトドラム38の軸線方向に関し図9(c)に示すようにリード溝38cと重なる位置に設けられている。
ベースプレート64aには,取付部64cが3箇所に設けられている。ベースプレート64aは,図2に示すように,取付部64cを,前述した固定部材39の取付部39bとともにボルト52で副変速機ケース50に締結することで副変速機ケース50内に固定される。
すなわち,支持部材64の上記立ち上げ部64d1,64d2は,リンク機構によるシフトドラム38の回転規制が解除されたときのシフトドラム38の回転範囲を規制するストッパを構成している。
図10に示すように,第2アーム62は,全体として逆V字形のアームであり,その基部62aがピン62bで,上記支持部64b2に回動可能に取り付けられている。
第1アーム61の一端(先端)61cには,前述した第1係合部61dが固定され,第2アーム62の一端(先端)62cには,前述した第2係合部62dが固定されている。第1,第2係合部61d,62dはいずれも円筒状のピン部材で構成されている。
第1アーム61の他端には長穴61eが設けられ,第2アーム62の他端には丸穴62eが設けられていて,これらの穴61e,62eがピン65で連結されている。すなわち,第2アーム62に設けたピン65が第1アーム61の長穴61eと係合している。
図10(b)に示すように第1アーム61と第2アーム62とを連結した状態で,第1アーム61の重心61gは,第1アーム61を,その第1係合部61dがシフタ37の内周面38fから離れる方向へ回動させる位置に配置してある。また,第2アーム62の重心62gも,第2アーム62を,その第2係合部62dがシフタ37の内周面38fから離れる方向へ回動させる位置に配置してある。
バネ部材63は,その本体部分63bが,図2,図3に示すように,サンギア32の円筒部材32aの外周に形成されたリング溝32bに対し,バネ部材63自身の弾性力をもって円筒部材32aとの相対回転可能に装着(弾性力による圧着)される。バネ部材63の一端63aにおけるフック部63cが図11に示すように第1アーム61の先端に設けた長穴61fに挿通され,立ち上げ部63dが第1アーム61の長穴61fと係合している。
以上のようなインヒビタ機構40は次のように作動する。
エンジン10を停止させた状態,またはエンジン10を始動させている場合でも,主変速機20がニュートラルになっている状態,要するに入力軸31が回転していない状態の場合,バネ部材63による第1アーム61に対する上記の付勢は得られないから,第1アーム61および第2アーム62は,その第1係合部61dおよび第2係合部62dがシフトドラム38の係合部38d1,38d2とは係合し得ない。
したがって,前述したレバーを操作してシフトドラム38を正逆いずれの方向へも回動させることができ,後述する前後進のいずれをも選択することができる。
また,図11(b)に示す後進位置からレバーを操作して前進位置を選択すべくシフトドラム38を反時計方向へ回動させて17(a)に示す状態にしようとしても,その過程で,図12(a)に示すように第1アーム61の第1係合部61dがシフトドラム38の係合部38d1に係合してインヒビタ機構40が作動状態となり,副変速機30の変速動作を禁止する。
したがって,エンジン10が始動していて,主変速機20がニュートラル以外になっている状態,要するに入力軸31が回転している状態では,前述したレバーの操作が不可能になる。
しかし,その後,入力軸31の回転を停止させた状態で,乗員がレバーを元の位置に戻すと,シフトドラム38の逆方向への回動により,シフトドラム38の係合部38d1または38d2における角部38f1または38f2(図9参照)がカムのように作動し,第1係合部61dまたは第2係合部62dが,係合部38d1または38d2から押し出される。
これによってインヒビタ機構40の作動状態が解除され,副変速機30の変速動作が可能となる。
以下,副変速機30の全体的な作動について説明する。
<車両を前進させる場合>
この場合,エンジン10を停止させた状態,またはエンジン10を始動させている場合には,チェンジペダル28で主変速機20をニュートラルにした状態,要するに入力軸31が回転しない状態にして,図示しないレバーを前進位置にし,図11(a)に示すようにワイヤ38w1を引っ張って,シフトドラム38を前進位置へ回動させる。
これにより,シフタ37も前進位置へと移動し(図3の上側参照),シフタ37と固定部材39との係合が解除されるとともに,シフタ37の歯37gが,キャリア33の歯33g,およびインターナルギア35の歯35dと係合した状態となる。
この状態で,通常のクラッチ操作等により,入力軸31を回転させると,入力軸31,サンギア32,キャリア33(プラネタリギア34を含む),インターナルギア35,および出力スプロケット36が一体となって入力軸31と同方向へ回転する。
したがって,車両が前進する。
この場合,上述したと同様,入力軸31が回転しない状態にして,図示しないレバーを後進位置にし,図11(b)に示すようにワイヤ38w2を引っ張って,シフトドラム38を後進位置へ回動させる。
これにより,シフタ37も後進位置へと移動し(図3の下側参照),シフタ37と固定部材39とが係合するとともに,シフタ37の歯37gがキャリア33の歯33gとは係合しているが,インターナルギア35の歯35dとの係合は解除された状態となる。すなわち,キャリア33はシフタ37で固定部材39に連結された状態となるので,入力軸31回りには回転し得ない状態となる。
この状態で,通常のクラッチ操作等により,入力軸31を回転させると,入力軸31,サンギア32は同一方向(図4において反時計方向)へ回転するが,キャリア33が固定状態であるため,図4から明らかなように,プラネタリギア34の回転を介し,インターナルギア35,したがって出力スプロケット36が逆転(時計方向へ回転)することとなる。
したがって,車両が後進する。
図13は変形例を示す図である。
この変形例は,シフトドラム38をワイヤによってではなくモータ70によって回転させるようにしたものである。
図示のものは,シフトドラム38の外周にギア38gを直接形成し,このギア38gに,アイドルギア72を介してモータ70の駆動ギア71を噛み合わせたものであり,シフトドラム38をモータ駆動で回動(正転または逆転)させることができる。
上記の実施の形態では,副変速機30は,主変速機20からの動力を方向変換(逆転)して伝達することができる前後進切替機構として構成しているが,図14に示すように,プラネタリギア34を一枚(図のものは合計で4枚)増やすことで主変速機20からの動力をさらに速度変換して伝達する構成とすることができる。例えば,主変速機20における第1速(ロー)よりもさらに減速比の大きなスーパーローを得ることもできる。
以上のような実施の形態によれば次のような作用効果が得られる。
(a)入力軸31を,主変速機20からの動力を出力する出力軸25をエンジンにおけるエンジンケース11外へ突出させてその突出部25aで構成し,変換機構を入力軸の突出部25a回りにのみ配置するとともに,出力部材(図示のものはインターナルギア35,出力スプロケット36)は,入力軸31上に入力軸31と相対回転可能に支持したので,入力軸31以外に別の軸を設けることなく副変速機30を構成できる。
したがって,副変速機30自体を小型化でき,結果として副変速機を有するエンジン10全体を小型化することができる。
したがって,主変速機20に対して副変速機30を設ける場合と,設けない場合とで,出力軸25の位置を変更する必要が無くなる。
よって,副変速機30を設けない部位(エンジン本体)の共用性を向上させることができる。したがって,例えば,副変速機30を備える車両と,副変速機30を備えない車両とでエンジン10の本体部分を共用できるので,これらの車両の生産性を向上させることができる。
したがって,出力部材の組み付け性ひいては副変速機30の組み付け性が向上する。
したがって,突出部25aすなわち入力軸31の一層の軽量化が可能となる。
すなわち,出力スプロケット36を,サンギア32よりも主変速機側においてインターナルギア35で一体回転可能に支持したので,出力スプロケット36の支持構造を簡素化でき,前後進切替機構をさらに小型化できる。また,前後進切替機構を,主変速機ケース外11に配置したので,エンジンに主変速機20を組み付けた後に,前後進切替機構30を組み付けることができるため,組み付け性が向上する。
したがって,前後進切替機構をさらに小型化できる。
(m)シフトドラム38をモータで駆動する場合には,シフトドラム38の外周にギア38gを直接形成し,このギア38gに,アイドルギア72を介してモータ70の駆動ギア71を噛み合わせることで,前後進切替機構の小型化を図ることができる。
したがって,シフトドラム38に対するリンク機構60とストッパ64d1,64d2とをコンパクトにかつ精度良く構成できる。
11 エンジンケース
20 主変速機
25a 突出部
25b ボルト
25c オイルシール部
25d カラー
26,27 軸受け部材
30 副変速機
31 入力軸
32a 円筒部材
35 インターナルギア
36 出力スプロケット
32〜38 変換機構
32 サンギア
33 キャリア
34 プラネタリギア
37 シフタ
38 シフトドラム
38c リード溝
38w1,38w2 ワイヤ
39 固定部材
39d シフトピン
50 副変速機ケース
70 モータ
Claims (4)
- 遊星歯車機構と,この遊星歯車機構の作動を選択するシフト機構とを有し,
前記遊星歯車機構は,
動力が入力される入力軸と,この入力軸の外周に支持されてこの入力軸と一体となって回転するサンギアと,このサンギアと相対回転可能に前記入力軸回りに支持されるキャリアと,このキャリアに対して自転可能に支持されていて前記サンギアと噛み合って回転可能なプラネタリギアと,前記入力軸を中心に該入力軸と相対回転可能に支持されていて,前記プラネタリギアと噛み合う,この遊星歯車機構の出力部材としてのインターナルギアと,を備え,
前記シフト機構は,
前記入力軸の軸線方向に沿って移動することで,前記キャリアとインターナルギアとを両者の相対回転不能に連結する前進位置と,前記キャリアの前記入力軸回りの回転を防止する後進位置とを選択的に切り替えるシフタと,
このシフタを前記前進位置と後進位置とのいずれかに選択的に移動させるシフトドラムと,
このシフトドラムの円周方向外方において,固定部材に固定されたシフトピンと,を備え,
前記シフタにはボス部を設けて,そのボス部外周に,前記シフトドラムをシフタとの相対回転可能に支持し,
前記シフトドラムの外周には,前記シフトピンと係合して,該シフトドラムの回転で該シフトドラムを該シフトドラムの回転軸線方向に移動させて回転軸線方向おいて複数のポジションに位置させるリード溝を形成し,
前記シフトドラムの内周には,該シフトドラムの回転を規制する係合部を設けたことを特徴とする前後進切替機構。 - 前記係合部は,前記シフトドラムの内周面から外周面方向へ向かって凹む凹部であり,該凹部は前記シフトドラムの軸線方向に関し前記リード溝と重なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の前後進切替機構。
- 前記シフトドラムの外周に,周方向において異なる位置に2本のワイヤを接続し,これらワイヤの引っ張り動作でシフトドラムを回動させ,かつ,前記ワイヤとの接続部は,シフトドラムの回転中心に関し,前記係合部と対向する側に設けたことを特徴とする請求項2記載の前後進切替機構。
- 前記シフトドラムの外周にギアを直接形成し,このギアに,アイドルギアを介してモータの駆動ギアを噛み合わせることで,前記シフトドラムをモータ駆動で回動させることを特徴とする請求項2記載の前後進切替機構。
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