(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態における内視鏡装置について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態としての内視鏡装置1を示したものである。図1に示すように、内視鏡装置1は、被検体Sに挿入される内視鏡2と、流体として圧縮空気Aを噴射可能な流体噴射手段3とを備えている。流体噴射手段3は、圧縮空気Aを排出可能なエアコンプレッサー4と、エアコンプレッサー4から排出された圧縮空気Aを案内するエアチューブ5と、エアチューブ5の先端部に設けられ、圧縮空気Aの噴射の有無を切り替え可能なコック6とを備える。
図1及び図2に示すように、内視鏡2は、被検体Sを観察可能な観察手段であるCCD10を有する先端部11と、先端部11から基端側へ延びる細長の挿入部12と、挿入部12の基端側に設けられた操作部13と、操作部13に接続された本体部14とを備える。さらに、内視鏡2は、先端部11の先端側に着脱可能に接続される光学アダプタ(アダプタ)15と、光学アダプタ15と先端部11との間に設けられた鍔部であるフード30とを備える。以下に、内視鏡2の各構成の詳細について説明する。
図1に示すように、本体部14には、先端部11のCCD10で撮像された被検体Sを画像表示させる表示部14aと、電源を供給する電源部14bとを備える。また、挿入部12は、より詳しくは、可撓性を有して被検体Sに応じて湾曲可能な可撓管部12aと、可撓管部12aの先端側に設けられて、操作部13による操作のもと湾曲自在な湾曲部12bとで構成されている。操作部13には、ジョイスティック13aが配設されていて、これにより湾曲部12bを径方向に自在に湾曲させることが可能である。
図2及び図3に示すように、先端部11は、硬質の部材で、挿入部12の湾曲部12bに外嵌固定された略筒状の外筒部16と、外筒部16から段状に縮径し、挿入部12の湾曲部12bの先端側に突出した先端本体17とを備える。外筒部16の外径は、挿入部12の外径と略等しく設定されていて、湾曲部12bにおいて外径が段状に縮径した先端外周面12cに外嵌し、固定されている。先端本体17には、中央の貫通孔17aと、その周囲に位置する二つの貫通孔17bが先端面17cから外筒部16の内部まで連通して形成されている。貫通孔17aには、CCD10が配設されている。CCD10は、挿入部12の内部に配設された撮像ケーブル10aによって図1に示す本体部14と接続されていて、これにより、CCD10によって先端本体17の先端側を撮像し、本体部14の表示部14aに表示して観察することが可能である。また、二つの貫通孔17bには、一対の先端部側電極18が先端本体17の先端側に露出するようにして配設されている。一対の先端部側電極18は、挿入部12の内部に配設されたリード線19によって図1に示す本体部14の電源部14bと接続されている。さらに、先端本体17の外周面17dにおいて、先端側の一部には、雄ネジ17eが形成されている。
図2及び図3に示すように、光学アダプタ15は、アダプタ本体21と、アダプタ本体21と先端部11の先端本体17とを接続する接続リング22とを備える。アダプタ本体21の基端側には、略筒状の接続部材23が突出して設けられていて、接続部材23の基端外周面には基端フランジ部23aが形成されている。また、アダプタ本体21の先端外周面には、先端フランジ部21aが形成されている。また、接続リング22は、略筒状の部材で、内径が基端フランジ部23aの外径よりも僅かに大きく形成されていて、先端部が基端フランジ部23aに外装されている。さらに、接続リング22の先端内周面には、内周側に突出するストッパフランジ22aが形成されている。そして、ストッパフランジ22aと基端フランジ部23aとが係合することで、接続リング22は、アダプタ本体21に対して軸方向に抜け落ちないようになっている。また、接続リング22の外周面には、周方向の一部に、外周側に突出する係止凸部22bが形成されている。また、接続リング22の内周面において、基端部及び中間部のそれぞれには、先端部11の雄ネジ17eと対応する第一の雌ネジ22c、及び、第二の雌ネジ22dが形成されている。そして、接続リング22の第二の雌ネジ22dと先端部11の雄ネジ17eとが螺合された状態で、アダプタ本体21は、接続部材23の基端フランジ部23aが接続リング22のストッパフランジ22aに係止されているとともに、基端面21cが先端部11の先端本体17の先端面17cに当接した状態となり、これにより光学アダプタ15は先端部11に接続された状態となっている。
また、光学アダプタ15のアダプタ本体21には、基端面21cから先端面21dまで貫通する第一の貫通孔21e、及び、第二の貫通孔21fが形成されている。第一の貫通孔21eは、光学アダプタ15が先端部11に接続された状態で、先端部11のCCD10が配設された貫通孔17aと連通する位置に形成されている。そして、第一の貫通孔21eには、複数の対物レンズで構成された対物レンズ群25が配設されていて、これにより対物レンズ群25を介してCCD10によって先端側を観察することが可能である。また、アダプタ本体21の先端面21dにおいて、貫通孔21eの外周には環状の凹部21gが形成されている。そして、第二の貫通孔21fは、先端面21d側において、凹部21gの内部に開口するとともに、光学アダプタ15が先端部11に接続された状態で、先端部11の先端部側電極18が配設された貫通孔17bと連通する位置に形成されている。凹部21gには、対応した形状を有する環状の基板26が収容されていて、その先端側が係止板27によって封じられている。基板26の表面26aには、複数のLED28が環状に配列して設けられているとともに、各LED28は表面26a上に配設された図示しない配線によって互いに電気的に接続されている。また、係止板27には、LED28と対応して貫通孔27aが複数形成されていて、これによりLED28は先端側に露出した状態となっている。また、第二の貫通孔21fには、アダプタ側電極29が配設されている。アダプタ側電極29は、先端側に設けられた先端側端子29aと、基端側に設けられた基端側端子29bとを有している。先端側端子29aは、基板26の表面26a側まで突出し、表面26a上の図示しない配線を介してLED28と電気的に接続されている。また、基端側端子29bは、光学アダプタ15を先端部11に装着していない場合は基端面21cより突出していて、光学アダプタ15を先端部11に装着することで先端部側電極18に当接し、先端部側電極18と電気的に接続されている。すなわち、光学アダプタ15が先端部11に接続された状態において、本体部14の電源部14bからリード線19、先端部側電極18、及び、アダプタ側電極29を介してLED28に電力を供給可能であり、これにより、LED28によって光学アダプタ15の先端側を照明することが可能となっている。なお、LED28を露出させる係止板27の貫通孔27aは、基板まで水分が浸入しないように、LED28による照明光を透過可能な樹脂27bによって充填されている。
図2及び図3に示すように、フード30は、略筒状の部材で、基端面に略環状の凹部30aが形成されているとともに、先端面30bが曲面に形成されている。また、フード30は、光学アダプタ15に外装されていて、光学アダプタ15のアダプタ本体21の外周側に張り出した状態で、光学アダプタ15と先端部11との間に着脱可能に取り付けられている。より詳しくは、フード30の内周面30cにおいて、基端には、内周側に突出するフランジ状の係止部30dが形成されている。係止部30dの内径は接続リング22の外径よりも小さく設定されているとともに、先端部11の雄ネジ17eの外径よりも大きく設定されている。そして、フード30は、先端部11の雄ネジ17eに接続リング22の第二の雌ネジ22dを螺合して締め付けることで、接続リング22の基端と先端部11の外筒部16の先端との間に係止部30dが挟み込まれることによって固定されている。また、フード30の内周面30cにおいて、先端には、光学アダプタ15のアダプタ本体21の先端フランジ部21aの外径と略等しい内径に設定された段部30eが形成されている。さらに、フード30の内周面30cには、溝部30fが、光学アダプタ15の接続リング22の係止凸部22bと対応して、先端から軸方向に沿って形成されている。
このようなフード30は、光学アダプタ15とともに以下のように先端部11に取り付けられる。すなわち、図2に示すように、光学アダプタ15において、接続リング22の係止凸部22bと、フード30の溝部30fとを周方向に位置合わせする。そして、図4に示すように、フード30の先端側から光学アダプタ15を挿入していくことで、接続リング22の係止凸部22bがフード30の溝部30fに挿入され、これにより、光学アダプタ15のアダプタ本体21及び接続リング22はフード30によって周方向に係止された状態となる。この状態で光学アダプタ15の接続リング22に先端部11の先端本体17を挿入し、フード30を中心軸回りに回転させれば、光学アダプタ15の接続リング22も回転し、第一の雌ネジ22cが先端部11の雄ネジ17eに螺合されていくこととなる。そして、フード30をさらに回転させることで、第一の雌ネジ22cと雄ネジ17eとの螺合が解除され、次に第二の雌ネジ22cが雄ネジ17eに螺合されていくこととなる。そして、フード30をさらに回転させて締め付けることで、光学アダプタ15の接続リング22の基端と先端部11の外筒部16の先端との間に係止部30dが挟み込まれるとともに、光学アダプタ15のアダプタ本体21の先端フランジ部21aがフード30の段部30eに当接した状態となる。これにより、先端部11と光学アダプタ15とフード30とは、一体となり、LED28によって先端側の被検体Sを照明し、また、その反射光によって対物レンズ群25を介してCCD10によって被検体Sを観察することが可能となる。
次に、この実施形態の内視鏡装置1の作用について、図1に示すように、被検体Sである管路S1に挿入する場合を例として説明する。まず、内視鏡2を、光学アダプタ15から管路S1の内部S2に押し込み挿入していく。この際、先端部11の基端側に配設された挿入部12が可撓性を有する可撓管部12aを備えることで、挿入部12は管路S1に応じて湾曲して挿入されていく。また、フード30の先端面30bを曲面に形成していることで、挿入抵抗を最小限に抑えることができる。そして、管路S1の内部S2に内視鏡2の挿入部12が所定の長さ分だけ配設された状態で、管路S1の基端S3に流体噴射手段3のエアチューブ5の先端部を配置させる。次に、流体噴射手段3において、コック6の操作によって管路S1の内部S2にエアコンプレッサー4から圧縮空気Aを噴射させる。噴射された圧縮空気Aは、管路S1によって先端側へ案内されて、光学アダプタ15の外周側に張り出したフード30に噴射される。このため、フード30には、噴射される圧縮空気Aによって先端側へ推進力が与えられる。そして、フード30が光学アダプタ15と先端部11との間で固定されていることで、圧縮空気Aによって与えられた推進力は先端部11に伝達されて、内視鏡2全体は先端側に挿入されていくこととなる。この際、圧縮空気Aが通過する管路S1は、圧縮空気Aを案内するための管路を内視鏡2の内部に配管する場合に比べて大きな断面積を有するので、圧力損失を抑えて圧縮空気Aを噴射することができ、効果的に推進力を発生させることができる。また、内視鏡2は、光学アダプタ15と先端部11との間にフード30が取り付けられるのみで、また、推進力を発生させる流体噴射手段3は、内視鏡2の基端側から圧縮空気Aを噴射させるのみであり、流体を先端側に送るための管路などを挿入部12に設ける必要が無い。このため、内視鏡2は、挿入部12の可撓管部12aの可撓性を確保しつつ挿入するための推進力を得ることができ、挿入性の向上を図ることができ、細く、複雑に曲がった管路でも、容易に挿入させることが可能となる。また、上記のように管路S1の内部S2に圧縮空気Aを噴射させることで、圧力損失を抑え、それ故に最小限の圧力で圧縮空気Aを噴射させれば良いため、装置全体が大型化してしまうのを防ぐことができる。なお、フード30において、基端面に凹部30aが形成されていることで、圧縮空気Aの圧力をより効果的に推進力に変換することができる。
また、フード30は、係止部30dが光学アダプタ15と先端部11との間に挟み込まれて固定されていることで、光学アダプタ15と先端部11との間に確実に取り付けられた状態とすることができる。さらに、光学アダプタ15のアダプタ本体21に先端フランジ部21aが形成されているとともに、対応してフード30に段部30eが形成されていることで、光学アダプタ15及び先端部11に対して、脱落のおそれ無く、より確実にフード30を取り付けることができる。一方、フード30は、先端部11に対して光学アダプタ15を取り外すことで、係止部30dが挟み込まれた状態が解除され、容易に取り外すことができる。そして、フード30を取り外すことで、先端部11に光学アダプタ15が取り付けられた状態で、あるいは、光学アダプタ15も取り外した状態で、基端側からの押し込み挿入によって被検体を観察することも可能である。なお、光学アダプタ15が先端部11に接続された状態において、雄ネジ17eと螺合されている第二の雌ネジ22dの基端側には第一の雌ネジ22cが配設された状態にある。このため、管路S1に挿入している際に、雄ネジ17eと第二の雌ネジ22dとの螺合が解除されてしまったとしても、雄ネジ17eに対して第一の雌ネジ22cが係止された状態となるので、光学アダプタ15及びフード30が脱落してしまうことを防ぐことができる。
図5及び図6は、この実施形態の第1の変形例を示している。図5及び図6に示すように、この変形例では、光学アダプタ40において、アダプタ本体41には、上記のような先端フランジ部21aが形成されていない構成となっている。また、接続リング42にも、上記のような係止凸部22bが形成されていない構成となっている。また、先端部43は、上記同様に、挿入部12の湾曲部12bに外嵌固定された外筒部44と、外筒部44から縮径して、湾曲部12bの先端側に突出する先端本体45を備えているが、外筒部44から先端本体45へ縮径する段部43aはテーパ状に形成されていて、光学アダプタ40が装着された状態で接続リング42の端面と外筒部44との間に隙間を形成している。そして、光学アダプタ40が先端部43に接続された状態において、接続リング42は、基端が先端部43の段部43aに当接するまで締め付けられている一方、段部43aがテーパ状を呈していることから、断面V字状の溝46が形成されることとなる。なお、光学アダプタ40及び先端部43において、その他の構成は上記同様なので省略する。
フード47は、光学アダプタ15の接続リング22及び先端部11に外装され、外周側に張り出す略筒状の部材であるととともに、基端面全体に凹部47aが形成されている。また、フード47には、外周面47bから内周面47cまで貫通するネジ穴47dが形成されている。本変形例では、ネジ穴47dは、例えば3箇所、周方向に配列して形成されている。ネジ穴47dには、固定用ネジ48が螺合されている。固定用ネジ48は、先鋭状に形成された先端部48aが、光学アダプタ40と先端部43との間の溝46の内部に挿入され、押圧するまで締め付けられている。
この変形例のフード47では、固定用ネジ48によって光学アダプタ40と先端部43との間に固定されている。このため、固定用ネジ48を弛めることによって、先端部43から光学アダプタ40を取り外すこと無く、フード47のみを取り外すことができる。また、それ故にフード47と光学アダプタ40の接続リング42とを一体として回転させる必要が無く、上記のような係止凸部と溝部とを有する構成とする必要が無い。なお、係止凸部と溝部を有した構成として、固定用ネジ48の先端部48aがフード47の内周面から突出した状態で、フード47と接続リング42を回転させて締め込むようにしても良い。また、本変形例では、ネジ穴47dは3箇所設けられるものとしたが、少なくとも1箇所設けて、固定用ネジ48によって固定するものとすれば良い。
図7及び図8は、この実施形態の第2の変形例を示している。図7及び図8に示すように、この変形例では、光学アダプタ50及び先端部51には、略筒状の固定部材52、53がそれぞれ外嵌されている。固定部材52、53は、弾性変形可能な材質で形成されていて、例えばゴムで形成されている。そして、固定部材52、53は、弾性的に拡径して外嵌されていることで、自らの復元力によって、それぞれ対応する光学アダプタ50または先端部51に固定されている。また、フード54は、同様に略筒状の部材で、基端側に開放する凹部54aを有するとともに、先端内周面において内周側に突出する略フランジ状の係止部54bを有している。係止部54bは、内径が固定部材52、53の外径よりも小さく設定されていて、光学アダプタ50または先端部51に外装された状態において、固定部材52、53によって挟み込まれて固定されている。
この変形例の場合、光学アダプタ50、先端部51、及び、フード54は、以下のように組み立てられる。すなわち、図8に示すように、固定部材52、53をそれぞれ対応する光学アダプタ50または先端部51に外嵌させる。そして、光学アダプタ50の基端部分または先端部51の先端部分のいずれかにフード54を外装させた状態で、先端部51に光学アダプタ50を螺合させることで、フード54は、光学アダプタ50の固定部材52と、先端部51の固定部材53との間に挟み込まれて固定された状態となる。このため、フード54の形状を複雑な形状とすることなく、少なくとも固定部材52、53によって挟み込むことが可能な係止部を有する構成にするだけで良い。また、固定部材52、53によって固定することで、光学アダプタ50及び先端部51について、上記のような係止凸部やテーパ状の段部を形成する必要が無い。
図9は、この実施形態の第3の変形例として、鍔部であるフードの形状の例を示している。この変形例のフード55は、同様に略筒状に形成されていているとともに、外周面55aには、外周側に突出した凸状部55bが形成されている。凸状部55bは、外周面55aにおいて、軸方向に沿って螺旋状に形成されている。このようなフード55では、光学アダプタと先端部との間に固定して、流体噴射手段の圧縮空気による推進力、あるいは、基端側からの押し込みによって挿入する場合に、凸状部55bがガイドとして機能する。すなわち、被検体の内部に段部などの障害物が存在していたとしても、挿入部を軸回りに回転させることで、凸状部55bによって障害物を乗り越えるようにして、容易に挿入していくことができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図10及び図11は、本発明の第2の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図10及び図11に示すように、この実施形態の内視鏡装置の内視鏡60において、光学アダプタ61は、アダプタ本体62と、接続リング63とを備える。なお、詳細な構成は、第1の実施形態と同様であるので、省略する。ここで、先端部11に光学アダプタ61が接続された状態において、外筒部16の先端と接続リング63の基端との間には、隙間64が形成されるように接続リング63の長さが設定されている。また、本実施形態で、鍔部であるフード65は、略環状のリング66と、リング66から外周側に突出する略板状の受圧板67とを備える。リング66の内径は、先端部11の先端本体17の外径よりも僅かに大きく設定されていて、隙間64において先端部11の先端本体17に外装されている。また、リング66の幅は、隙間64の幅よりも僅かに小さく設定されている。このため、フード65は、隙間64において、先端部11及び光学アダプタ61に対して回転可能に取り付けられている。また、受圧板67において、図示しない流体噴射手段から噴射される圧縮空気Aを受ける受圧面67aは、先端側から基端側に向かって軸方向に傾斜しているとともに、周方向にも傾斜している。
この実施形態の内視鏡装置では、第1の実施形態同様に、被検体の内部に挿入部12が挿入された状態において、図示しない流体噴射手段によって圧縮空気Aを噴射すれば、フード65の受圧板67に圧縮空気Aが噴射されることで推進力が発生して、挿入部12を挿入していくことができる。ここで、受圧板67の受圧面67aが先端側から基端側に向かって軸方向に傾斜しているので、圧縮空気Aの圧力を効率よく推進力に変換することができる。また、受圧板67の受圧面67aが周方向に傾斜しているので、フード65は、圧縮空気Aが噴射されることによって光学アダプタ61及び先端部11の周方向に回転することとなる。このため、被検体に段差等の挿入抵抗を生じるような障害物が存在していたとしても、フード65の受圧板67が回転することで、障害物を乗り越えて容易に挿入していくことができる。
図12及び図13は、この実施形態の変形例を示している。この変形例のフード70は、略環状のリング71と、リング71から外周側に突出する略板状の複数の受圧板72とを備える。リング71は、隙間64において先端部11の先端本体17に外装されていて、上記同様に、フード70は、先端部11及び光学アダプタ61に対して回転可能に取り付けられている。また、複数の受圧板72は、リング71の外周面に、周方向に並べて設けられている。各受圧板72において、図示しない流体噴射手段から噴射される圧縮空気Aを受ける受圧面72aは、先端側から基端側に向かって軸方向に傾斜しているとともに、周方向にも向きを同じくして傾斜している。このようなフード70では、複数の受圧板72によって、プロペラ状に形成されていることで、圧縮空気Aによって効率良く推進力を発生させるとともに、同様に、周方向に回転して障害物などを乗り越えて容易に挿入していくことができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図14及び図15は、本発明の第3の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図14に示すように、この実施形態の内視鏡装置の内視鏡80において、フード81は、先端部11の先端本体に外装されたリング82と、リング82から基端側に突出する薄板状の複数の受圧板83とを備える。リング82は、光学アダプタ61の接続リング63と先端部11の外筒部16との間に挟み込まれて固定されている。また、複数の受圧板83は、リング82の基端面82aにおいて、周方向に並べて設けられている。本実施形態において、フード81は、例えば樹脂で形成されていて、リング82と受圧板83とは一体的に成形されている。各受圧板83は、通常時において、圧縮空気Aが噴射される受圧面83aが先端部11の外周面と略平行となるように配設されているとともに、先端部83bのみが外周側へ屈曲している。ここで、各受圧板83は、薄板状に形成されているとともに、リング82と樹脂によって一体的に成形されていることから、図15に示すように、弾性的に外周側に張り出させることが可能である。
この実施形態の内視鏡装置では、第1の実施形態同様に、被検体の内部に挿入部12が挿入された状態において、図示しない流体噴射手段によって圧縮空気Aを噴射すれば、図14に示すように、圧縮空気Aは、まず、フード81において外周側へ傾斜した各受圧板83の先端部83bに噴射される。そして、図15に示すように、先端部83bに圧縮空気Aが噴射されることで、各受圧板83はリング82との接続部分で弾性的に変形して外周側に張り出すこととなる。そして、圧縮空気Aによる圧力と受圧板83の復元力とが釣り合うと、圧縮空気Aによる圧力が推進力として作用することとなり、挿入部12は挿入されていくこととなる。ここで、流体噴射手段によって圧縮空気Aを噴射させないときは、フード81の受圧板83は、先端部83bのみが僅かに外周に張り出しているのみである。このため、被検体が小径の管路であったとしても、容易に押し込み挿入し、また、引き抜くことができる。一方、流体噴射手段によって圧縮空気Aを噴射させるときは、圧縮空気Aの圧力に応じて、あるいは、被検体の大きさに応じて外周側に一定量張り出し、効率良く推進力を発生させることができる。なお、本実施形態では、受圧板83は、リング82と樹脂によって一体成形され、弾性的に外周側に張り出すものとしたが、これに限るものでは無い。リング82と受圧板83とを別部材として、受圧板83がピン結合によってリング82に対して一定角度まで回動可能なものなどとしても良い。また、第2の実施形態のように、リング82が光学アダプタ61及び先端部11に対して回転可能とし、また、受圧板83が周方向に傾斜しているものとしても良い。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図16及び図17は、本発明の第4の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図16及び図17に示すように、この実施形態の内視鏡装置の内視鏡90において、フード91は、筒部材92と、筒部材92を固定する環状部材93とを備える。環状部材93は、少なくとも光学アダプタ61及び先端部11の外筒部16の外径よりも小さい内径を有しているとともに、弾性的に拡径可能な材質で形成されていて、例えばゴムである。筒部材92は、可撓性を有する材質で形成されていて、例えばゴムで形成されている。また、筒部材92の内径は、先端部11の外径よりも大きく設定されている。そして、図17に示すように、光学アダプタ61の接続リング63と、先端部11の先端本体17との間に、環状部材93と対応する幅の隙間94を形成した状態で、光学アダプタ61及び先端部11に筒部材92を外装させる。この状態で、隙間94と対応する位置で、筒部材92を環状部材93で締め付けることで、環状部材93は、筒部材92を弾性的に縮径させた状態で隙間94に嵌合され、これにより筒部材92は、光学アダプタ61及び先端部11に対して固定されている。そして、図示しない流体噴射手段によって圧縮空気を噴射させれば、圧縮空気Aは、筒部材92の内部に基端側から噴射されることとなり、これにより推進力を発生させることができる。また、筒部材92が可撓性を有する材質で形成されていることから、押し込む挿入や引き抜きの際の挿入抵抗の低減も図ることができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図18から図20は、本発明の第5の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図18に示すように、この実施形態の内視鏡装置の内視鏡100において、フード101は、光学アダプタ61の接続リング63と先端部11の外筒部16との間において、先端本体17に外嵌された略C形のリング102と、光学アダプタ61、先端部11、及びリング102に外嵌された筒部103とを備える。リング102は、内径が先端部11の先端本体17の外径よりも小さく設定されているとともに、外径が光学アダプタ61の接続リング63及び先端部11の外筒部16の外径よりも大きく設定されている。また、リング102は、弾性変形可能な金属などで形成されていて、図19に示すように、弾性的に拡径させて先端本体17に外嵌固定されていて、この状態で、リング102の外周面102aは、光学アダプタ61及び先端部11から突出した状態となっている。
また、図18及び図20に示すように、筒部103は、略筒状の固定部材104と、固定部材104の基端側に同軸状に配設された略筒状の保持部材105と、固定部材104及び保持部材105の外周を覆い一体化させている略筒状の外装部材106とを備える。固定部材104の内径は、光学アダプタ61の接続リング63及び先端部11の外筒部16の外径と略等しく設定されている。また、固定部材104の内周面には、環状溝104aが形成されている。環状溝104aは、光学アダプタ61及び先端部11から突出するリング102を嵌合可能な幅及び深さに設定されている。また、固定部材104の基端104bは、内周側に傾斜して形成されている。固定部材104は、環状溝104aにリング102が嵌合された状態を確実に保つとともに、一定の引き抜き力を作用させることで、弾性的に拡径してリング102から取り外すことが可能な材質で形成されていて、例えば、樹脂で形成されている。また、保持部材105の内径は、光学アダプタ61の接続リング63及び先端部11の外筒部16の外径よりも大きく設定されていて、先端部11と隙間を有して配設されている。
また、外装部材106は、熱収縮性を有する樹脂などで形成されたチューブである。より詳しくは、図20に示すように、固定部材104と保持部材105とを図示しない治具によって同軸上に配設した状態で、固定部材104となる熱収縮チューブ106aを外装させる。この状態で加熱することで、熱収縮チューブ106aは縮径し、固定部材104及び保持部材105と対応して段状に形成され、手元側は保持部材105が無いため傾斜して若干細くなっていて、固定部材104及び保持部材105と一体となり筒部103が形成される。そして、一体に組み立てられた光学アダプタ61、先端部11、及び、リング102を、筒部103の基端側から挿入すれば、リング102は固定部材104を弾性的に拡径させながら挿入されていく。この際、固定部材104の基端104bが内周側に傾斜していることで、容易にリング102を挿入していくことができる。そして、リング102が固定部材104において環状溝104aの位置まで挿入していくことで、リング102は環状溝104aに嵌合されることとなる。この状態において、筒部103は、リング102によって、光学アダプタ61と先端部11との間に固定された状態となる。このため、基端側から図示しない流体噴射手段によって圧縮空気Aを噴射することで、圧縮空気Aは筒部103の保持部材105の内部に噴射され、これにより推進力を発生させることができる。また、引き抜き時においては、手元側が細くなっているため、引き抜きやすくなっている。
なお、本実施形態では、固定部材104、保持部材105、及び、熱収縮性チューブ106aから形成される外装部材106から構成されているが、これに限るものではない。リング102を嵌合可能な溝部を有して光学アダプタ61及び先端部11に外嵌固定される固定部と、固定部から基端側へ拡径して、先端部11と隙間を有して配設される拡径部とを備えるように、専用の成形型によって熱収縮性チューブ106aだけで成形するものとしても良い。
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図21及び図22は、本発明の第5の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図21及び図22に示すように、この実施形態の内視鏡装置の内視鏡110において、光学アダプタ111は、アダプタ本体112と、接続リング113と、アダプタ本体112に固定された鍔部であるフード114とを備えている。なお、アダプタ本体112及び接続リング113の詳細な構成は、第1及び第2の実施形態と同様であるので、省略する。ここで、アダプタ本体112の先端外周面には、雄ネジ112aが形成されている。また、フード114は、内周面に雄ネジ112aに螺合可能な雌ネジ114aが形成されたリング部114bと、リング部114bの外周面から外周側に突出したフランジ部114cを備えている。そして、フード114は、アダプタ本体112の雄ネジ112aに螺合することで、外周側に張り出した状態でアダプタ本体112に着脱可能に固定されている。
本実施形態のように、フード114が、光学アダプタ111の一部として、アダプタ本体112の外周側に張り出した状態で設けられていたとしても、流体噴射手段による圧縮空気Aがフード114のフランジ部114cに噴射されることで、推進力を発生させて挿入してくことができる。また、アダプタ本体112からフード114を緩めて取り外すことで、若しくは光学アダプタ111自体を先端部11から取り外すことで、基端側からの押し込み挿入や引き抜きによっても被検体を観察することができる。
図23は、この実施形態の第1の変形例の内視鏡装置の内視鏡を示している。この変形例の内視鏡115において、光学アダプタ116のアダプタ本体117には、先端外周面に環状溝117aが形成されている。また、フード118は、略筒状の部材で、先端内周面の突出する内フランジ部118aを有している。内フランジ部118aの内径は、アダプタ本体117の外径と略等しく設定されている。また、フード118には、先端から基端側へ一対の切り込み118bが形成されていて、これにより先端119aが内フランジ部118aよりも内周側に突出したツメ部119が形成されている。なお、本実施形態では、3組の切り込み118bによって三つのツメ部119が形成されている。このため、フード118の基端側からアダプタ本体117を挿入していけば、アダプタ本体117は、ツメ部119を外周側に変形させて内フランジ部118aまで挿入されていくことなる。そして、環状溝117aがツメ部119の先端119aの位置となるまで挿入することで、ツメ部119は弾性的に復元して先端119aが環状溝117aに係止された状態となり、フード118はアダプタ本体117に固定される。このため、上記同様に圧縮空気Aを噴射させることで、推進力を発生させることができる。
図24は、この実施形態の第2の変形例の内視鏡装置の内視鏡を示している。この変形例の内視鏡120は、雄ネジ112aを有するアダプタ本体112と、接続リング113と、アダプタ本体112に固定されたフード121とを備えている。フード121は、内周面に雄ネジ112aに螺合可能な雌ネジ122aが形成された略環状のリング122と、リング122の外周面122bに接合された略筒状のフード本体123とを備える。フード本体123は、ゴムなどの可撓性を有する材質で形成されていて、先端部123aがリング122の外周面122bに接合されているとともに、基端部123bにかけて向かって拡径している。また、フード本体123は、軸方向に沿って内周側に谷状に折り曲げられた谷折り部123cと、軸方向に沿って外周側に折り曲げられた山折り部123dとが交互に形成されている。
この実施形態の内視鏡装置の内視鏡120では、図示しない流体噴射手段によって圧縮空気Aを噴射させれば、フード121のフード本体123は、自己の有する可撓性により谷折り部123cと山折り部123dとの周方向の間隔を拡げるようにして、外周側に張り出すこととなる。そして、フード本体123に作用する張力と、圧縮空気Aによる圧力とが釣り合うと、圧縮空気Aによる圧力が推進力として作用することとなり、挿入部12は挿入されていくこととなる。また、被検体が小径の管路などである場合では、フード本体123は、管径に応じた大きさまで外周に張り出した状態で圧縮空気Aの圧力を受けて推進力が発生することとなる。このため、小径の管路などでも、その管径に応じて推進力を発生させて挿入していくことができる。
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。図25及び図26は、本発明の第7の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図25及び図26に示すように、この実施形態の内視鏡装置の内視鏡130において、光学アダプタ131は、外周面全体に雄ネジ132aが形成されたアダプタ本体132と、接続リング133と、アダプタ本体132に固定された鍔部であるフード134とを備える。フード134は、略筒状で内周面にアダプタ本体132の雄ネジ132aに螺合可能な雌ネジ135aが形成されたフード本体135と、略環状で同様に雄ネジ132aに螺合可能な雌ネジ136aが形成された止めリング136とを備える。フード本体135の内周面において、先端には、止めリング136の外径と略等しい内径に設定された段部135bが形成されている。また、止めリング136の先端側端面には、凹部136bが形成されている。そして、アダプタ本体132にフード本体135を螺合した状態で、さらに、フード本体135の先端側に止めリング136を螺合し、止めリング136に対してフード本体135の段部135bが当接するまで締め付けることで、フード本体135は、止めリング136の位置で固定されることとなり、同様に流体噴射手段による圧縮空気Aによって推進力を発生させることができる。また、止めリング136に対してフード本体135を緩めた状態とした後に、止めリング136を回転させて、アダプタ本体135の軸方向に位置を変更すれば、止めリング136によってフード本体135が固定される位置を軸方向に調整することができる。さらに、止めリング136の凹部136bにピンセットなどを差し込み、回転させることで、微調整を行うことも可能である。このため、フード134によって光学アダプタ131に推進力を作用させる軸方向の位置を好適な位置に調整することができる。
図27は、この実施形態の変形例を示している。図27に示すように、この変形例の光学アダプタ140は、外周面141aに軸方向に所定の間隔で凹部141bが形成されたアダプタ本体141と、接続リング133と、略筒状のフード142とを備える。本変形例において、軸方向に所定の間隔で形成された凹部141bは、周方向に3列形成されている。また、フード142は、内径がアダプタ本体141の外径と略等しく設定されている。また、フード142には、外周面142aから内周面142bまで貫通するネジ穴142cが形成されている。ネジ穴142cは、アダプタ本体141に3列形成された凹部141bの列と対応して、周方向に3箇所に形成されている。また、ネジ穴142cには、内周面142b側に突出可能に固定用ネジ142dが螺合されている。この変形例の光学アダプタ140では、アダプタ本体141をフード142に挿入した後に、軸方向に互いの位置を調整し、ネジ穴142cに螺合された固定用ネジ142dの先端を凹部141bに挿入させることで、アダプタ本体141にフード142を固定することができる。また、凹部141bは、軸方向に所定の間隔で形成されていることで、凹部141bの間隔に応じてフード142の固定する位置を軸方向に調整することができる。
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。図28及び図29は、本発明の第8の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図28及び図29に示すように、この実施形態の内視鏡装置の内視鏡150において、光学アダプタ151は、アダプタ本体152と、接続リング153と、アダプタ本体152に外嵌された鍔部であるフード154とを備える。アダプタ本体152には、対物レンズ群25が配設された第一の貫通孔152a、アダプタ側電極29が配設された第二の貫通孔152b、並びに、基板26及びLED28が配設された環状の凹部152cが形成されている。アダプタ本体152の基端外周面には、略筒状の接続部材155が、アダプタ本体152の基端側に突出するようにしてアダプタ本体152に外嵌固定されている。接続部材155の基端外周面には、外周側に突出する基端フランジ部155aが形成されている。一方、接続リング153には、先端内周面に、内周側に突出するストッパフランジ153aが形成されていて、アダプタ本体152と接続リング153とは、基端フランジ部155aとストッパフランジ153aとが係合していることで、互いに軸方向に脱落しないようになっている。また、フード154は、内径がアダプタ本体152の外径と略等しく設定されていて、アダプタ本体152が圧入され一体となっている。また、フード154は、外径が先端から基端に向かってテーパ状に拡径していて、基端面には環状の凹部154aが形成されている。さらに、フード154の先端には、内周側に突出する内フランジ部154bが形成されていて、アダプタ本体152を係止している。この実施形態の内視鏡装置の内視鏡150のように、光学アダプタ151において、アダプタ本体152とフード154とが一体となっていたとしても、同様に、流体噴射手段から噴射される圧縮空気Aによって推進力を発生させて挿入していくことができる。一方、先端部11から光学アダプタ151を取り外すことで、押し込み挿入や引き抜きによる観察を行うこともできる。また、フード154に基端面に凹部154aが形成されていることで、圧縮空気Aの圧力をより効果的に推進力に変換することができる。
(第9の実施形態)
次に、本発明の第9の実施形態について説明する。図30及び図31は、本発明の第9の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図30及び図31に示すように、この実施形態の内視鏡装置の内視鏡160において、光学アダプタ161は、アダプタ本体162と、接続リング163とを備える。アダプタ本体162には、対物レンズ群25が配設された第一の貫通孔162a、アダプタ側電極29が配設された第二の貫通孔162b、並びに、基板26及びLED28が配設された環状の凹部162cが形成されている。また、アダプタ本体162は、基端側に略筒状に突出して形成された嵌合部162dを備えていて、嵌合部162dに先端部11の先端本体17の先端側が嵌合されている。嵌合部162dには、周方向の所定位置において、基端から先端側に向かって軸方向に延びる切欠き162eが形成されている。また、先端部11の先端本体17の外周面17dには、切欠き162eと周方向に対応する位置に、切欠き162eに挿入可能な径の係止凸部164が形成されている。そして、切欠き162eと係止凸部164との周方向の位置を合わせて、アダプタ本体162の嵌合部162dに先端部11の先端本体17を嵌合させた状態では、切欠き162eに係止凸部164が挿入されることで、アダプタ本体162を先端部11の周方向に位置決めすることができる。そして、位置決めされた状態において、先端部11側のCCD10と、光学アダプタ161側の対物レンズ群25とが、また、先端部11側の先端部側電極18と、光学アダプタ161側のアダプタ側電極29とが、それぞれ同軸上に配置されるように設定されている。また、接続リング163は、略筒状の部材で、内径がアダプタ本体162の外径よりも大きく設定されていて、アダプタ本体162及び先端部11の先端本体17に外装されている。接続リング163の内周面において、先端には、内周側に突出する係止部163aが形成されている。また、基端部及び中間部のそれぞれには、先端部11の雄ネジ17eと対応する第一の雌ネジ163b、及び、第二の雄ネジ163cが形成されていている。そして、接続リング163の第二の雌ネジ163cと先端部11の雄ネジ17eとが螺合された状態で、アダプタ本体162は、接続リング163の係止部163aによって、先端部11の先端本体17から脱落しないように係止されている。また、接続リング163の外周面には、外周側に張り出したフード165が略環状に形成されている。フード165は、先端側から基端側へ向かって傾斜していて、環状の凹部165aが形成されている。この実施形態の光学アダプタ161のように、接続リング163にフード165が形成されているものとしても、同様に、流体噴射手段から噴射される圧縮空気Aによって推進力を発生させることができる。また、凹部165aが形成されていることで、圧縮空気Aの圧力をより効率的に推進力に変換することができる。
図32は、この実施形態の変形例を示している。図32に示すように、この変形例の光学アダプタ168は、対物レンズ群25及びLED28が配設されたアダプタ本体と、先端部11の先端本体17に接続する接続リングと、圧縮空気Aによって推進力を発生させるフード169とが一体的に形成されている。すなわち、光学アダプタ168の基端側には、図示しないが、先端部11の先端本体17の雄ネジ17eと螺合可能な雌ネジが形成されている。フード169は、外径が先端側から基端側に向かって拡径しているが、基端部においては、略等しい外径で形成された把持部169aが形成されている。このため、把持部169aを把持して軸回りに回転させることで、光学アダプタ168は先端部11の先端本体17に螺合され、先端部11と一体とすることができ、同様に圧縮空気Aによって推進力を発生させることができる。
(第10の実施形態)
次に、本発明の第10の実施形態について説明する。図33から図35は、本発明の第10の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図33及び図34に示すように、この実施形態の内視鏡装置の内視鏡170において、光学アダプタ171は、アダプタ本体172と、接続リング173と、アダプタ本体172に外周に張り出した鍔部であるフード174とを備える。フード174は、環状で可撓性を有するシート175と、シート175をアダプタ本体172に固定する一対の固定部材176、176とを備える。固定部材176は、略環状の部材で、先端側外縁175a及び基端側外縁175bでそれぞれシート175を外嵌してかしめていることで、アダプタ本体172との間で挟み込んで気密に固定している。そして、シート175は、一対の固定部材176、176の間に弛んだ状態で固定されていて、シート175とアダプタ本体172との間に空間175cを形成している。また、シート175の基端側には、複数の貫通孔175dが周方向に配列して形成されていて、外部と空間175cとを連通させている。
この実施形態の内視鏡装置によれば、被検体内部において流体噴射手段によって圧縮空気Aを噴射させれば、図34及び図35に示すように、圧縮空気Aは、一部が、貫通孔175dから空間175cに流入してシート175を膨らませるとともに、シート175の背面175eに噴射して推進力を発生させるとともに、他の一部が、さらに、膨らんで外周側に張り出したシート175の表面175fに噴射して、推進力を発生させる。このため、圧縮空気Aによって推進力を発生させて、挿入部12を好適に挿入することができる。また、流体噴射手段を使用しない場合には、フード174のシート175は萎んだ状態となっている。このため、挿入部12を容易に押し込み、あるいは、引き抜きながら観察を行うこともできる。
なお、本実施形態では、フード174において、シート175が貫通孔175dを有し、圧縮空気Aの噴射に応じて膨らむものとしたが、これに限るものでは無い。常時、球状に膨らんで、アダプタ本体172の外周側に張り出すものとしても良い。この場合でも、外周面に圧縮空気Aが噴射されることで、推進力を発生させることができる。あるいは、挿入部12の基端側からシート175の内部に空気を導入可能な手段を備え、必要に応じて膨張させてアダプタ本体172の外周側に張り出させるものとしても良い。
(第11の実施形態)
次に、本発明の第11の実施形態について説明する。図36は、本発明の第11の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図36に示すように、この実施形態の内視鏡装置の内視鏡180において、光学アダプタ181は、アダプタ本体182と、接続リング183とを備える。アダプタ本体182の外周面には、外周側に張り出す鍔部として、第一のフード184と、第二のフード185とが形成されている。第一のフード184及び第二のフード185は、ともに、先端側から基端側に傾斜して略環状状に形成されているが、外周側に張り出す量が先端側に位置する第一のフード184に比べて基端側に位置する第二のフード185の方が大きく設定されている。
この実施形態の内視鏡装置では、図示しない流体噴射手段によって圧縮空気Aを噴射させれば、圧縮空気Aの一部は、第二のフード185に噴射されて推進力を発生させる。さらに、圧縮空気Aの他の一部は、第二のフード185の外周側を通過し、先端側に位置する第一のフード184に噴射されて推進力を発生させる。すなわち、流体噴射手段から噴射された圧縮空気Aによって複数の位置で推進力を発生させることができ、内視鏡の挿入性をさら向上させることができる。また、先端側の第一のフード184は、基端側の第二のフード185に比べて外周側に張り出す量が小さく設定されている。このため、段差S4などの挿入抵抗を生じるような障害物が存在していたとしても、先端側の張り出す量が小さいフードから順に段差S4を乗り越えていくことで、各フードをガイドとして容易に挿入していくことができる。
なお、本実施形態では、第一のフード184及び第二のフード185と、フードを二つ設けるものとしたが、これに限るものでは無く、三つ以上設けるものとしても良い。この場合にも、複数のフードで好適に推進力を発生させることができるとともに、先端側のフードから順に、外周側に張り出す量を段階的に大きくなるように設定することで、同様の効果を期待することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、各実施形態においては、光学アダプタは、LED29を有して、LED29によって先端側を照明可能なものとしたが、これに限るものでは無く、例えば、ライトガイドファイバによるものとしても良い。また、先端部11に接続されるアダプタとして、光学アダプタを例としたが、これに限るものでは無く、先端部11に着脱可能に接続される様々なアダプタに適用可能であり、少なくともフードを備える構成とすれば良い。さらに、各実施形態においては、流体噴射手段3は、内視鏡装置の本体部14と別体としたが、これに限るものでは無い。例えば、流体噴射手段3において流体である圧縮空気Aを排出させる手段であるエアコンプレッサー4が本体部14に内蔵されるものとしても良い。