図1を用いて、本実施形態の周辺回路一体型のアクティブマトリクス型表示装置において、素子基板にイメージセンサを一体的に設けた表示装置を説明する。
基板500上には、受光マトリクス111と表示マトリクス121が形成されている。表示マトリクス121には、信号線307及び選択線302が格子状に配列され、この格子内に、信号線307及び選択線302接続されたTFTでなる能動素子が表示画素ごとに配置されている。
表示マトリクス121には、TFTを覆う第2の絶縁膜540と、第2の絶縁膜540上に形成され、選択線302及び信号線307とを少なくとも覆う電極層308が配置されている。図1において、電極層308は分断されているように図示されているが、格子状に一体的に配置されている。
電極層308上には第3の絶縁膜550が形成され、第3の絶縁膜550上には画素電極312が形成されている。画素電極312は第1、第2の絶縁膜540、550に設けられたコンタクトホールを介して表示マトリクスのTFTに接続されている。
電極層308は、表示マトリクス121に配置されている能動素子に光が入射するのを防止すると共に、有効表示領域からの光が表示に寄与して、表示特性が劣化するのを防いでいる。また電極層308の電位を固定することにより、選択線302、信号線306の電位の変動が、画素電極312の電位にフィードバックされることが防止できる。
他方、受光マトリクス111には、信号読取り部として、TFTをスイッチング素子として用い受光画素を走査するための走査回路が配置されている。信号読取り部は、表示部の能動素子と同様、第1の絶縁膜540に覆われている。第1の絶縁層540上には、受光部が形成されている。第2の絶縁ゲイト型半導体素子により、受光部で発生した電荷、もしくは受光部の電位の変化が信号として読み出される。
受光部は、受光画素ごとに分離された複数の下部電極208と、下部電極208上に形成された光電変換層210と、光電変換層210上に形成され、受光画素に共通な上部電極212とで構成されている。下部電極212は電極層308と同じ出発膜で形成されている。受光部は第2の絶縁膜550によってパッシベーションされている。
光電変換膜210は真性もしくは実質的に真性な非晶質シリコンや非晶質シリコンゲルマニューム等のシリコン系半導体を用いることができる。pin接合を有するシリコン系半導体膜を用いることもできる。また受光部をフォトコンダクタとする場合には、一般に固体撮像管に用いられてるZnSe/ZnCdTe膜や、Se/Te/As等の積層膜を用いることができる。
なお、図1において、膜209、膜211は非晶質シリコンでなる光電変換層210を下部電極208、上部電極212にオーミック接合させるためのn型、p型非晶質シリコン膜である。なお、n型非晶質シリコン膜209の代わりに、非晶質シリコン膜210のバリア膜として機能する膜を設けても良い。この場合、リン等のn型不純物が添加された酸化珪素膜、窒化珪素膜、炭化珪素膜等を用いることができる。
上部電極212の電位を固定するために、前記受光マトリクス111外部において、受光部の上部電極212は、第3の絶縁膜550に設けられたコンタクトホールを介して、画素電極312と同じ出発膜でなる取出し配線606に接続されている。
更に、取出し配線606は、電極層308と同じ出発膜でなる取出し端子603に接続され、さらに取出し端子603は信号線307と同じ出発膜でなる取出し端子601に接続されている。取出し端子601は基板外部の配線との接続部となる外部端子に、直接もしくは他の配線を介して接続されている。取出し端子601を一定電位に固定することにより、上部電極212の電位が一定に固定できる。
積層型イメージセンサにおいて、開口部が全て上部電極212に覆われ、その電位が一定に固定されるため、光入射側から侵入する雑音を上部電極212にてシールドすることができる。さらに、本実施形態では、受光部の側面は、端子601、603、606で囲まれ、これら端子の電位は一定に固定されるため、受光部側面からの雑音が侵入することも抑制できる。よって、S/N比が向上でき、高性能、高信頼性のイメージセンサを提供できる
本実施形態では、表示マトリクス121と受光マトリクス111を同一基板上に形成するために、成膜プロセス及びパターニングプロセスを各マトリクス111、121とで共通化することを特徴とする。絶縁膜540、550を各マトリクス111、121で共有する。
更に電極層308と下部電極208、画素電極312と取出し端子606とを同一の成膜プロセス及びパターニングプロセスで形成する。これにより、追加工程を最小限にして、イメージセンサ一体型のアクティブマトリクス型表示装置を提供することが可能であり、製造コストを安価におさえることができる。
また本実施形態では、受光部の上部電極212の電位を固定するために、上部電極212を外部端子に接続するための取出し端子606を、上部電極212と一体的に形成しづらい点に特徴を有する。この取出し端子606を上部電極212と異なる層に形成し、かつ上部電極212の光入射側で接続することにある。
この取出し端子606を上部電極212と一体的に形成した場合には、上部電極212と光電変換層210とのパターンが異り、上部電極212のパターニング工程は光電変換層210と異なることとなる。このため、上部電極212のパターニングのマスクずれにより、開口率が低下するおそれがある。
他方、上部電極212と取出し端子とをそれぞれ異なる層に配置された導電膜で構成することにより、1つのレジストマスクを用いて、上部電極212と光電変換層210とのパターニングを連続して行うことが可能になり、マスクずれによる開口率の低下を防止するという効果を得る。更に光電変換層210をパターニングする際に、光電変換層210上には上部電極212が存在するため、光電変換層210のパターニングプロセス時のダメージを抑制することができる。
本実施形態では、上部電極212と取出し端子606とをそれぞれ異なる層に配置された導電膜で構成する。上部電極212と光電変換層210とを同じプロセスでパターニングするには、この導電膜は上部電極212よりも上部に形成することも重要であり、取出し端子606を上部電極212の光入射側で接続させる。またこの取出し端子606を画素電極312と同じプロセスによって形成することにより、アクティブ型表示装置の製造プロセスとの整合性をとる。
図1〜図16を用いて、本発明の実施例を詳細に説明する。
本実施例は、イメージセンサと表示マトリクスとを同一基板上に備えた透過型液晶表示装置に関するものである。
図2は、本実施例の液晶表示装置の正面図である。図2に示すように基板100上には、受光領域110と表示領域120とが共に設けられている。受光領域110には、複数の受光画素がマトリクス状に配置された受光マトリクス111と、受光マトリクス111に接続された周辺回路112と、周辺回路が接続されていない受光マトリクス111の周囲を囲むように、取出し端子が配置される端子部113とが形成されている。受光マトリクス111は、受光部(フォトダイオード)と、受光部で発生した電荷を信号として読み出すための半導体素子が積層した構造を有する。
他方、表示領域120は、画素電極と画素電極に接続された能動素子とが配置された表示マトリクス121と、表示マトリクス121配置された能動素子を駆動するための周辺駆動回路122とが設けられている。更に、基板100上には、基板外部の電源線等の配線との接続部となる外部取出し端子部130が設けられている。
本実施例では、受光マトリクス111の絶縁ゲイト型半導体素子、表示マトリクス121の能動素子、及び周辺駆動回路112、122に配置される半導体素子を、CMOS技術を用いてTFT(薄膜トランジスタ)にて同時に作製する。以下に本実施例の液晶パネルの作製方法を説明する。
図3、図4には、受光マトリクス111、取出し端子部113及び表示マトリクス121の断面図を示す。また、図5〜図8には受光領域121の作製過程を示す正面図を示し、図9〜図12には表示マトリクス121の作製過程を示す正面図を示し、図13、図14には周辺回路112、122に配置されるCMOS−TFTの作製過程を示す正面図を示す。
まず図3(A)に示すように、ガラス基板500全面に、基板からの不純物の拡散を防止するための下地膜510を形成する。下地膜510として、プラズマCVD法によって、酸化珪素膜を200nmの厚さに形成する。
図3(A)の受光マトリクス111、表示マトリクス121及びCMOS−TFTの正面図が図5、図9、図13に相当する。図5、図9において線A−A’、線B−B’に沿った断面図が図3(A)に対応する。
本実施例では透過型液晶パネルを作製するため、基板500は可視光を透過する基板であれば良く、ガラス基板500の代わりに石英基板等も用いることができる。なお、本実施例では、TFTを多結晶シリコン膜で形成するため、基板500は多結晶シリコン膜の形成プロセスに耐え得るものを選択する。多結晶シリコン膜は移動度が10〜200cm2 /Vsec程度と非常に大きく、多結晶シリコンでTFTのチャネル形成領域を構成することにより、高速応答させることができ、特に、受光マトリクス110のTFTや、周辺駆動回路112、122のCMOS−TFTに有効である。
次に、プラズマCVD法によって非晶質シリコン膜を55nmの厚さに成膜し、エキシマレーザ光を照射して、多結晶化する。非晶質珪素膜の結晶化方法として、SPCと呼ばれる熱結晶化法、赤外線を照射するRTA法、熱結晶化とレーザアニールとを併用する方法等を用いることができる。
次に、多結晶化されたシリコン膜を島状にパターニングして、TFTの活性層201、301、401、402を形成する。次に、これら活性層201、301、401、402を覆うゲイト絶縁膜520を形成する。ゲイト絶縁膜520はシラン(SiH4)とN2Oを原料ガスに用いて、プラズマCVD法で120
nmの厚さに形成する。
次に、Al、Cr、Mo等の金属や導電性ポリシリコン膜等の導電膜を成膜しパターニングして、選択線202、302、ゲイト電極403を形成する。これら配線・電極202、302、403をマスクにして、公知のCMOS技術を用いて活性層201、301、401、402に導電性を付与する不純物をドーピングしてソース及びドレイン領域を形成する。
活性層201にリンをドープすることにより、N型のソース領域203、ドレイン領域204、チャネル形成領域205が自己整合的に形成され、活性層301にリンをドープすることにより、N型のソース領域303、ドレイン領域304、チャネル形成領域305が自己整合的に形成され、活性層401にリンをドープすることにより、N型のソース領域、ドレイン領域、チャネル形成領域が自己整合的に形成される。活性層201、301、401をレジストマスクで覆い、活性層402のみにボロンをドープして、P型のソース領域およびドレイン領域と、チャネル形成領域を自己整合的に形成する。ドーピング後、ドーピングされた不純物を活性化する。
なお、本実施例では活性層201、301、401が多結晶シリコンであるため、配線・電極202、302、403を形成する前に、少なくともNチャネル型TFTのチャネル形成領域となる領域にボロン等のP型の不純物を添加して、しきい値を最適化するのが好ましい。
次に、図3(B)に示すように、基板500全面を覆う第1の層間絶縁膜530を形成する。層間絶縁膜530に各TFTのソース領域およびドレイン領域に達するコンタクトホール及びCMOS−TFTのゲイト電極403に達するコンタクトホールをそれぞれ形成する。しかる後、チタン膜、アルミニウム膜、チタン膜でなる積層膜を形成し、パターニングして、受光マトリクス111の信号線206、ソース電極207と、表示マトリクス121の信号線306、ドレイン電極307がそれぞれ形成される。
この状態の受光マトリクス111、表示マトリクス121の正面図が図6、図10に相当する。図6、図10において線A−A’、線B−B’に沿った断面図が図3(A)に対応する。
更にCMOS−TFTには、図14に示すようにゲイト電極403に接続される入力配線411、nチャネル型TFTのソース領域に接続される配線412、pチャネル型TFTのドレイン領域に接続される配線413、Nチャネル型TFTのドレイン領域406とPチャネル型TFTのソース領域408とを接続する配線414を形成する。
図6に示すように、受光マトリクス111において、選択線202は周辺回路122Hに接続され、周辺回路122Hから、受光部で発生した信号電荷を読み取る受光画素を指定する選択信号が入力される。また信号線206は周辺回路112Vに接続され、読み出された信号電荷は、信号線206を経て周辺回路112Vに出力され、周辺回路112Vから映像信号として外部に出力される。
さらに、取出し端子部113には、取出し端子601が形成される。図6に示すように、取出し端子601は、受光マトリクス111の周囲であって周辺駆動回路112が接続されていない周囲に沿って『L』字型に形成されている。更に取出し端子601は受光領域110外部に延在する部分を有し、この部分で外部取出し端子部130に形成された端子に接続されている。
更に、表示領域120内において、表示マトリクス121外部に後に形成される電極層308の電位を固定するための端子602も形成される。
以上のCMOSプロセスを経て、多結晶シリコンTFTを用いた受光マトリクス111、表示マトリクス121及び駆動回路112、122に配置されるCMOS−TFTが同時に完成する。ここでは、これらTFTをトップゲイトのプラナ型としたが、逆スタガ等のボトムゲイト型としてもよい。この場合、活性層201、301、401、402と選択線202、302、ゲイト電極403の形成順序を逆にし、選択線202、302、ゲイト電極403を形成した後、ゲイト絶縁膜520を形成すればよい。また、LDD領域やオフセット領域を設けてもよい。
次に、図3(C)に示すように、受光部TFT200と受光部とを絶縁分離するための第2の層間絶縁膜540を基板500全面に形成する。第2の層間絶縁膜540には下層の凹凸を相殺して、平坦な表面が得られる樹脂膜が好適である。このような樹脂膜として、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、アクリルを用いることができる。また、第2の層間絶縁膜540の表面層は平坦な表面を得るため樹脂膜とし、下層は酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素等の無機絶縁材料の単層、多層としても良い。本実施例では、第2の層間絶縁膜540としてポリイミド膜を1.5μmの厚さに形成する。
次に、第2の層間絶縁膜540に、ソース電極207、ドレイン電極307、端子601、602に達するコンタクトホールをそれぞれ形成した後、受光部の下部電極、及び表示マトリクスの電極層を構成するTi、Cr、Mo、Al等の導電膜11を形成する。本実施例では導電膜として厚さ200nmのチタン膜11をスッパタ法で成膜する。
次に、受光部の光電変換層と下部電極とをオーミック接合させるためのn型の非晶質シリコン膜12を30〜50nmの厚さに、ここでは30nmの厚さに基板全面に成膜する。チタン膜11及びシリコン膜12をパターニングするためのレジストマスク13を形成する。
レジストマスク13を用いて、図4(A)に示すようにシリコン膜12、チタン膜11を順次パターニングする。ここでは、ドライエッチング法を用いる。シリコン膜12のエッチングガスにはCF4を1〜10%混合したO2ガスを用いる。本実施例ではCF4の濃度を5%とする。またチタン膜11のエッチングガスにはCl2 /BCl3/SiCl4を混合した塩素系ガスを用いる。なお、チタン膜11は樹脂でなる絶縁膜540上に形成されるため、チタン膜11のエッチングガス、エッチャントは樹脂を変質しないものを選択する必要がある。
チタン膜11をパターニングすることにより、図4(A)に示すように、受光マトリクス111には、受光部の下部電極208、表示マトリクス121の電極層308、画素電極との接続用電極309、および端子部113の端子603が形成される。これらチタンでなる電極208、308、309、603上には、チタン膜11と概略同一形状にパターニングされたシリコン膜11でなるn層209、310、311、604が形成される。
受光マトリクス以外のn層310、311、604は実質的な機能を有しないため、形成しなくともよい。この場合はチタン膜11とシリコン膜12のパターニングを別々に行えばよい。しかし、チタン膜11とシリコン膜12のパターニングを同時に行うことで、工程が簡略化できる。
なお、受光部のn層209として非晶質シリコンの代わりに微結晶シリコンを用いることもできる。また、リン等のn型不純物が添加された窒化珪素、酸化珪素、炭化珪素を用いることができる。
この状態の受光領域110および表示マトリクス120の上面図を図7(A)、図11にそれぞれ示す。なお、図7、図11において、n層209、310、311、604は省略されている。
図7(A)に示すように、下部電極208は選択線202、信号線206で形成された格子内に、受光画素ごとに分離されて形成されている。また端子部113には、取出し端子601と接続される端子603が形成されている。端子603は端子601と同様に、周辺駆動回路112と接続されていない受光マトリクス111の周囲に沿って、『L』字型に形成されている。図7(A)の線A−A’による断面図が図4(A)に図示されている。
図7(B)に示すように、端子601と端子603とは絶縁膜540に形成された複数のコンタクトホールを介して上下間で接続されている。コンタクトが小さいほどアンテナ効果が緩和されるため、端子601と603は複数のコンタクトホール605により接続する。なお。図7(A)の線D−D’による断面図が図7(B)に相当する。コンタクトホール605のピッチは例えば受光画素のピッチと同程度であれば、上部電極を等電位にするのに問題がない。
他方、表示マトリクス121には、図11に示すように電極層308が、選択線302、信号線306および、電極307とのコンタクト部を除いた活性層301を覆うように格子状に一体的に形成されている。電極層308は受光部に光が入射するのを防ぐと共に、有効表示領域以外から光が漏れることを防止している。さらに、電極層308は表示マトリクス121外部において、取出し配線602に接続されている。取出し配線602はその電位が一定電位に固定されるため、電極層308の電位も一定電位に固定される。これにより、電極層308の下層の選択線302、信号線306の電位の変動によって、電極層308の上層の画素電極の電位が変動することを抑制できる。
次に、チタン膜11、シリコン膜のパターニング終了後、図4(A)に示すように、真性もしくは実質的に真性な非晶質シリコン膜14を1〜2μm、ここでは1.5μmの膜厚に形成し、連続してボロンを含んだp型の非晶質シリコン膜15を30〜100nmの厚さに、ここでは50nmの厚さに成膜する。さらに、受光部の上部電極を構成する透明導電膜、ここではITO膜16を120nmの厚さに成膜する。そして、これら膜14〜16をパターニングするためのレジストマスク17を形成する。
なお、非晶質シリコン膜14が実質的に真性な状態とは、ボロン等のp型不純物を5×1016〜1×1019cm-3程度添加し、そのフェルミ準位がバンドギャプの中央に位置した状態をいう。これは非晶質シリコンは成膜時にはフェルミ準位がバンドギャプの中央に必ずしも位置している訳ではなく、若干n型になる方向にフェルミ準位がずれている。そのため、上記のようにp型不純物を添加することで、フェルミ準位をバンドギャプの中央にすることができる。この場合に不純物が添加されているが、フェルミ準位をバンドギャプの中央にある状態を実質的に真性な状態であるとしている。
なお、真性または実質的に真正な非晶質シリコン膜14の代わりに非晶質シリコンゲルマニュームを用いることができる。また、p型非晶質シリコン膜15の代わりに微結晶シリコンを用いることもできる。
次に、レジストマスク17を用いて、ITO膜16、シリコン膜15、14を順次パターニングして、図4(B)に示すように、上部電極212、p層211、i層210をそれぞれ形成する。ITO膜16、シリコン膜15、14をパターニングするには、CF4/SF6/O2を混合したエッチングガスを用いたRIEエッチングを用いる。なお、ITO膜16をパターニングした後は、シリコン膜のみをエッチングするガスを用いることにより、上部電極212をマスクにしてシリコン膜15、14をエッチング可能であるため、レジストマスク17は不要になる。しかしシリコン膜15、14のエッチング時に、レジストマスク17を残存させることで、RIEエッチングによって上部電極212が変質することを防止できる。
本実施例では、シリコン膜15、14とITO膜16とのパターニング工程を連続して行う、即ち、ITO膜成膜前にシリコン膜15、14の成膜の間にパターニング工程を行わないことで、上部電極212と光電変換層210とのパターンずれによる開口率低下を回避することができる。
また上部電極212とp層211、i層210を、受光マトリクス111内のみでなく、端子部113側に突出させて形成する。これは、後に、開口率を低下することなく、上部電極212を電極604に接続させるためであり、製造マージンや受光部の信頼性を考慮して、端子部113側に突出させる幅は、受光画素のピッチの2〜10倍程度とすればよい。
また、受光部の信頼性の点から、i層210において、受光マトリクス111の境界部を絶縁化して、受光マトリクス111外部のi層210で発生したフォトキャリアが受光マトリクス111内に漏れ込むことを防止すると良い。絶縁化の方法の1つとして、受光マトリクス111の境界部に沿ってi層210に溝部を形成し、この溝部に絶縁物を埋め込む方法が挙げられる。この溝部はi層210を完全に分断するように形成しても良い。なお、上記のように境界部を絶縁化する場合は、シリコン膜14、15のパターニング工程と、ITO膜16のパターニング工程を別々に行う必要がある。
次にレジストマスク17を除去した後、図1に示すように、表示マトリクス121の画素電極312の下地となる第3の層間絶縁膜550を基板500全面に形成する。絶縁膜550受光マトリクス111のパッシベーション膜としても機能する。第3の層間絶縁膜550を構成する絶縁被膜として、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、アクリル等の樹脂膜を形成して、平坦な表面を得るようにする。本実施例では、ポリイミド膜を形成し、受光マトリクス111での膜厚が、0.3〜1μm、ここでは0.5μmとなる成膜にする。
次に層間絶縁膜550に、上部電極212、電極309および端子603に達するコンタクトホールを形成する。ここでは、エッチングガスにはCF4を1〜10%混合したO2ガスを用いたRIEエッチング法を用いる。層間絶縁膜550は樹脂でなるためO2ガスのみでエッチング可能であるが、CF4混合することにより、電極309、604上のシリコン膜でなるn層310、604もエッチングされる。
コンタクトホールを開口後、100〜300nm厚さ、ここでは120nmのITO膜をスパッタ法にて成膜し、CF4/SF6/O2を混合したエッチングガスを用いてパターニングして、電極309に接続された画素電極312、および上部電極212を端子603に接続するための取出し端子606が形成される。この状態の受光マトリクス111、表示マトリクス121の上面図をそれぞれ、図8(A)、図12に示す。
図8(A)に示すように、取出し端子606は端子603同様、受光マトリクス111の駆動回路121が接続されていない周囲を囲むように、『L』字型に形成されている。そして、端子606は受光マトリクス111外部において上部電極212に接続され、端子部113において端子603に接続されている。この構造により、取出し端子601を一定電位に固定することにより、上部電極212は端子606、603を介して、その電位が一定電位に固定される。例えば、端子601を一定電位に固定するには、端子601を図1に示す取出し端子部130に形成される外部取出し端子に接続する。この場合、外部取出し端子を信号線206、306と同一の導電膜で形成して、外部取出し端子と取出し端子601を一体的に形成することも可能である。
なお、上部電極212の全体を一定電位にするためには、端子606を接続するためのコンタクトホール607は受光画素のピッチと同程度とすればよい。なお、図8(A)の線D−D’による断面図を図8(B)に示す。また図8(A)の線A−A’による断面図が図1に図示されている。
ここで、端子601、603、606は受光マトリクス111が駆動回路121と接続されていない周囲を囲むように形成したため、図1の断面構成からも明らかなように、受光部(フォトダイオード)側面が端子601、端子603、606で囲まれている。ここでは、端子601、端子603、606は電位が一定に固定されているため、受光部に対するシールドとして機能させることができる。よって、表示マトリクス121と受光マトリクス111を同一基板に設けても、受光部の信頼性を保つことができる。
さらに、選択線202、信号線302が周辺回路112H、112Vとの接続端の他端も端子601、603、606によって、電気的に保護できるため、受光マトリクス111に配置されるTFTの静電破壊を抑制できる。
他方、表示マトリクス121においては、図12に示すように、画素電極312は表示画素ごとに電気的に分離され、その周縁が電極層308と重なるように形成される。この構造により、絶縁膜550を誘電体とし、電極層308、画素電極312を対向電極とする補助容量が形成できる。なお、図12において電極層308上のn層309は省略されている。
実施例において、受光マトリクス111をTFTを作製した後、TFT上に受光部(フォトダイオード)を形成する積層型としたので、従来のように受光部を非晶質シリコン膜で形成しても、受光TFT200を多結晶シリコンで構成することができる。よって、ガラス基板等の絶縁性基板上に、変換効率が良く、高速応答可能なイメージセンサが作製できる。
また、イメージセンサを積層構造とすることで、従来多結晶シリコンTFTで構成されている液晶パネルの作製工程と整合性が保たれる。従って、イメージセンサと液晶パネルの各特性を損なうことなく同一基板上に集積化できる。
本実施例では、受光マトリクス111に受光画素を2次元に配列したが、受光画素を1次元に配列したラインセンサとしても良い。また、受光画素のフォーマットを表示部のフォーマットと同一にすると、受光画素と表示画素が1対1に対応するため、受光マトリクス111で検出された画像を表示マトリクス121に表示するための信号処理が簡単化、高速化できる。ラインセンサとした場合も、受光画素数は、列方向又は行方向の表示画素数と同じにすると良い。
画素フォーマットを一致させた場合には、例えば表示マトリクス121のフォーマットを640×480(VGA規格)とし場合には、1つの受光画素ピッチを10μm程度とすると、受光マトリクス111の占有面積は6.4mm×4.8mm程度となり、液晶パネルに集積化することは可能である。
本実施例では、受光部を抵抗型のフォトダイオードとしたため、下部電極208、上部電極とオーミック接合させるn層209、p層211を設けたが、例えばショットキー型とする場合は、n層209、p層211を省略すればよい。
本実施例では、透過型液晶パネルとしたが、画素電極312を鏡面表面を有する反射型電極とし、直視型の液晶パネルとすることもできる。
本実施例では、受光マトリクス111において、受光部(フォトダイオード)と接続される信号読出し回路として、スイッチング素子として機能するTFTを1つ設けたパッシブ型としたが、例えば、増幅機能を有するアクティブ型とし、複数のTFTで構成することもできる。