JP5023897B2 - 表面被覆切削工具 - Google Patents
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Description
(a)いずれも化学蒸着形成された、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、およびTiCNO層のうちの1層以上からなり、かつ0.1〜15μmの合計平均層厚を有するTi化合物層と、組成式:(Ti1−αCrα)CNで表した場合、原子比で、α:0.005〜0.05を満足するTiとCrの複合炭窒化物層からなる下部層、
(b)化学蒸着形成され1〜15μmの平均層厚を有するα型のAl2O3層からなる上部層、
以上(a)、(b)で構成された硬質被覆層を備える被覆工具において、
上記(a)のTiとCrの複合炭窒化物層を、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{112}面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すTiとCrの複合炭窒化物(以下、改質(Ti,Cr)CNで示す)層、
で構成することにより、高速重切削加工ですぐれた耐チッピング性を示すことが知られている。
反応ガス組成(容量%):TiCl4:2〜10%、CrCl3:0.01〜0.5%、CH3CN:0.5〜3%、N2:30〜45%、Ar:残り、
反応雰囲気温度:900〜1020℃、
反応雰囲気圧力:6〜20kPa、
の条件で化学蒸着することにより形成されることが知られている。
(a)第1層として、化学蒸着形成されたTiN層、TiCN層からなり、0.1〜1μmの平均層厚を有する第1密着接合層、
(b)第2層として、化学蒸着形成され、
組成式:(Ti1−βZrβ)CNで表した場合、原子比で、β:0.02〜0.25を満足し、かつ2.5〜15μmの平均層厚を有するTiとZrの複合炭窒化物[以下、(Ti,Zr)CNで示す]層、
(c)第3層として、TiCO層、TiCNO層からなり、0.1〜1μmの平均層厚を有する第2密着接合層、
(d)第4層として、化学蒸着形成されたAl2O3層からなり、かつ1〜15μmの平均層厚を有する高温硬質層、
以上(a)〜(d)で構成された硬質被覆層を形成してなる被覆工具が知られており、この被覆工具が、例えば各種の鋼や鋳鉄などの連続切削や断続切削に用いられていることも知られている。
(a)従来被覆工具の硬質被覆層において、下部層を構成する一つの層である(Ti,Zr)CN層は、例えば、通常の化学蒸着装置にて、
反応ガス組成:容量%で、TiCl4:1〜5%、ZrCl4:0.1〜1%、CH3CN:0.6〜5%、N2:25〜45%、H2:残り、
反応雰囲気温度:750〜980℃、
反応雰囲気圧力:2.7〜13.5kPa、
の条件(通常条件という)で蒸着形成されるが、これを、
反応ガス組成:容量%で、TiCl4:10〜15%、ZrCl4:0.5〜3.5%、CH3CN:3〜8%、N2:20〜40%、HCl:0.5〜2%、H2:残り、
反応雰囲気温度:800〜900℃、
反応雰囲気圧力:5〜20kPa、
の条件、すなわち上記の通常条件に比して、反応ガス成分のTiCl4およびCH3CNの含有割合を多くし、さらに、HClを加えた条件で蒸着形成して、
組成式:(Ti1−XZrX)CN(ただし、原子比で、X:0.02〜0.25)を満足する(Ti,Zr)CN層を形成すると、この結果の(Ti,Zr)CN層(以下、改質(Ti,Zr)CN層という)は、上記の従来(Ti,Zr)CN層に比して一段とすぐれた耐熱性を有すること。
電界放出型走査電子顕微鏡を用い、図1(a),(b)に概略説明図で例示される通り、表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{111}面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフを作成した場合、前記従来(Ti,Zr)CN層は、図4に例示される通り、{111}面の測定傾斜角の分布が0〜45度の範囲内で不偏的な傾斜角度数分布グラフを示すのに対して、前記改質(Ti,Zr)CN層は、図3に例示される通り、傾斜角区分の特定位置にシャープな最高ピークが現れ、そしてこのような場合に、改質(Ti,Zr)CN層にはクーリングクラックが均一に分散し、これによって、Zr含有量を増加したことによる改質(Ti,Zr)CN層の高温強度の低下を抑制することができ、しかも、このシャープな最高ピークは、グラフ横軸の傾斜角区分に現れる高さおよび傾斜角区分位置が前記改質(Ti,Zr)CN層におけるZrの含有割合を調整することにより変化すること。
つまり、上記改質(Ti,Zr)CN層のZr成分は、Tiとの合量に占める割合(原子比)で0.02(2原子%)以上で所望の耐熱性向上効果が現れるが、その含有割合が0.25(25原子%)を越えると、高熱発生を伴う高速切削加工では、改質(Ti,Zr)CN層は急激に軟化し、熱塑性変形、偏摩耗を生じやすくなることから、その含有割合は、Tiとの合量に占める割合(原子比)で0.02〜0.25とする必要がある。
反応ガス組成(容量%):TiCl4:2〜10%、CrCl3:0.01〜0.5%、CH3CN:0.5〜3%、N2:30〜45%、Ar:残り、
反応雰囲気温度:900〜1020℃、
反応雰囲気圧力:6〜20kPa、
の条件で化学蒸着することにより、
組成式:(Ti1−YCrY)CNで表した場合、原子比で、Y:0.005〜0.05、を満足する(Ti,Cr)CN層を形成することができ、この結果の(Ti,Cr)CN層(改質(Ti,Cr)CN層)は、すぐれた高温強度を有すること。
以上(a)〜(g)に示される研究結果を得たのである。
「 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に上部層と下部層とからなる硬質被覆層を蒸着形成した表面被覆切削工具において、
(a)上記上部層は、化学蒸着で形成された1〜15μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム層からなり、
(b)上記下部層は、4〜20μmの合計平均層厚を有し、いずれも化学蒸着で形成されたTi化合物層と、TiとCrの複合炭窒化物層と、TiとZrの複合炭窒化物層とからなり、
(c)上記Ti化合物層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、
(d)上記TiとZrの複合炭窒化物層は、2〜10μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:(Ti1−XZrX)CN
で表した場合、0.02≦X≦0.25(但し、原子比)を満足するTiとZrの複合炭窒化物層であり、
さらに、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{111}面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すTiとZrの複合炭窒化物層で形成され、
(e)上記TiとCrの複合炭窒化物層は、2〜10μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:(Ti1−YCrY)CN
で表した場合、0.005≦Y≦0.05(但し、原子比)を満足するTiとCrの複合炭窒化物層であり、
さらに、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{112}面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すTiとCrの複合炭窒化物層で形成されている、
ことを特徴とする表面被覆切削工具(被覆工具)。」
に特徴を有するものである。
(a)下部層
下部層を構成するTiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、およびTiCNO層のうちの1層または2層以上からなるTi化合物層は、それ自体が所定の高温強度を有し、これの存在によって硬質被覆層が高温強度を具備するようになるほか、工具基体と改質(Ti、Zr)CN層あるいは改質(Ti,Cr)CN層、さらには、上部層であるAl2O3層のいずれとも強固に密着し、硬質被覆層の工具基体に対する密着性向上に寄与する作用をもつが、下部層の合計平均層厚が4μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方その合計平均層厚が20μmを越えると、高速断続切削加工で熱塑性変形を起し易くなり、これが偏摩耗の原因となることから、下部層の合計平均層厚を4〜20μmと定めた。
上記の改質(Ti,Zr)CN層の傾斜角度数分布グラフの傾斜角区分における最高ピーク位置および前記最高ピークが存在する所定の傾斜角区分内に存在する度数割合は、上記の通り層中のZr含有割合(X値)をTiとの合量に占める原子比で、0.02〜0.25とすることによって、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークを存在させ、かつ前記0〜10度の範囲内に存在する度数割合を、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上とすることができるものであり、したがって、その含有割合が0.02未満でも、0.25を越えても、前記最高ピーク位置の現れる傾斜角区分が0〜10度の範囲内から外れ、さらに前記0〜10度の範囲内に存在する度数割合は45%未満となってしまい、そのため、高温強度の低下をクーリングクラックの均一分散により抑制することができなくなるばかりか、高速切削加工におけるすぐれた耐熱性向上効果を確保することができなくなり、熱塑性変形の発生あるいは偏摩耗の発生によって耐摩耗性の劣ったものとなる。
また、改質(Ti,Zr)CN層におけるC成分には層の硬さを向上させ、一方N成分には高温強度を向上させる作用があり、これら両成分を共存含有することにより高い硬さとすぐれた強度を具備するようになるものであり、したがって、層中のN成分の含有割合が、C成分との合量に占める原子比で0.35未満では所望の強度を確保することができず、一方その含有割合が同じく0.55を越えると、相対的にC成分の含有割合が少なくなり過ぎて、所望の高硬度が得られなくなることから、C成分との合量に占めるN成分の含有割合は、原子比で0.35〜0.55とすることが望ましい。
このように前記改質(Ti,Zr)CN層は、従来の(Ti,Zr)CN層に比して、一段とすぐれた耐熱性を有するようになるが、その平均層厚が2μm未満では所望のすぐれた耐熱性向上効果を硬質被覆層に十分に具備せしめることができず、一方その平均層厚が10μmを越えると、チッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を2〜10μmと定めた。
改質(Ti,Cr)CN層については、上記の通り、層中のCr含有割合(Y値)をTiとの合量に占める原子比で、0.005〜0.05とすることによって、{112}面の法線がなす傾斜角を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占め、かつ、すぐれた高温強度を具備する改質(Ti,Cr)CN層を蒸着形成することができるが、その平均層厚が2μm未満では所望のすぐれた高温強度向上効果を発揮することができず、一方その平均層厚が10μmを越えると、偏摩耗の原因となる熱塑性変形が発生し易くなり、摩耗が加速するようになることから、その平均層厚を2〜10μmと定めた。
Al2O3層は、すぐれた高温硬さを有し、硬質被覆層の耐摩耗性向上に寄与するが、その平均層厚が1μm未満では、硬質被覆層に十分な耐摩耗性を発揮せしめることができず、一方その平均層厚が15μmを越えて厚くなりすぎると、チッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を1〜15μmと定めた。
すなわち、上記傾斜角度数分布グラフは、上記の改質(Ti,Zr)CN層および従来(Ti,Zr)CN層の表面を研磨面とした状態で、電界放出型走査電子顕微鏡の鏡筒内にセットし、前記研磨面に70度の入射角度で15kVの加速電圧の電子線を1nAの照射電流で、前記表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に照射して、電子後方散乱回折像装置を用い、30×50μmの領域を0.1μm/stepの間隔で、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{111}面の法線がなす傾斜角を測定し、この測定結果に基づいて、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計することにより作成した。
なお、本発明被覆工具と比較被覆工具の硬質被覆層を構成する改質(Ti,Cr)CN層についても、前記と同様にして、結晶粒の結晶面である{112}面の法線がなす傾斜角を測定し、この測定結果に基づいて、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計することにより作成し、{112}面が最高ピークを示す傾斜角区分、並びに0〜10度の範囲内の傾斜角区分内に存在する傾斜角度数の傾斜角度数分布グラフ全体の傾斜角度数に占める割合を表6,7にそれぞれ示した。
図3は、本発明被覆工具2の改質(Ti,Zr)CN層の傾斜角度数分布グラフ、図4は、比較被覆工具2の従来(Ti,Zr)CN層の傾斜角度数分布グラフをそれぞれ示すものである。
なお、本発明被覆工具1〜13および比較被覆工具1〜13の改質(Ti,Cr)CN層については、いずれも、{112}面の測定傾斜角の分布が0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが現れ、かつ0〜10度の範囲内の傾斜角区分内に存在する傾斜角度数の割合が45%以上である傾斜角度数分布グラフを示していた。
被削材:JIS・SCM440の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 410 m/min、
切り込み: 1.5 mm、
送り: 0.3 mm/rev、
切削時間: 8 分、
の条件(切削条件Aという)での合金鋼の湿式断続高速切削試験(通常の切削速度は、250m/min)、
被削材:JIS・S45Cの長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 410 m/min、
切り込み: 1.5 mm、
送り: 0.35 mm/rev、
切削時間: 10 分、
の条件(切削条件Bという)での炭素鋼の湿式断続高速切削試験(通常の切削速度は、300m/min)、
被削材:JIS・FCD450の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 410 m/min、
切り込み: 1.5 mm、
送り: 0.28 mm/rev、
切削時間: 8 分、
の条件(切削条件Cという)でのダクタイル鋳鉄の湿式断続高速切削試験(通常の切削速度は、250m/min)、
を行い、いずれの切削試験(水溶性切削油使用)でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表8に示した。
Claims (1)
- 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に上部層と下部層とからなる硬質被覆層を蒸着形成した表面被覆切削工具において、
(a)上記上部層は、化学蒸着で形成された1〜15μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム層からなり、
(b)上記下部層は、4〜20μmの合計平均層厚を有し、いずれも化学蒸着で形成されたTi化合物層と、TiとCrの複合炭窒化物層と、TiとZrの複合炭窒化物層とからなり、
(c)上記Ti化合物層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、
(d)上記TiとZrの複合炭窒化物層は、2〜10μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:(Ti1−XZrX)CN
で表した場合、0.02≦X≦0.25(但し、原子比)を満足するTiとZrの複合炭窒化物層であり、
さらに、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{111}面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すTiとZrの複合炭窒化物層で形成され、
(e)上記TiとCrの複合炭窒化物層は、2〜10μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:(Ti1−YCrY)CN
で表した場合、0.005≦Y≦0.05(但し、原子比)を満足するTiとCrの複合炭窒化物層であり、
さらに、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{112}面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、0〜10度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記0〜10度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の45%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すTiとCrの複合炭窒化物層で形成されている、
ことを特徴とする表面被覆切削工具。
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