JP5020422B2 - 映像表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、映像表示装置に関し、より詳細には、デジタル放送の番組の映像を表示する映像表示装置に関する。
デジタル放送による番組の放送には、MPEG(Moving Picture Experts Group)−2およびMPEG−4などのデジタル圧縮技術が用いられている。デジタル放送を受信するテレビジョン受像機(以下「テレビ」という場合がある)では、放送規格および運用規定で規定された送信データおよび放送信号を受信し、受信したこれらの送信データおよび放送信号を規定された条件で復号して、番組の映像を表示する。したがって、テレビの視聴者が選局操作をしてから、選局したチャンネルの番組の映像がテレビの表示画面に表示されるまでの時間がアナログ放送に比べて長く、チャンネル選局後、画像が出力されるまでに長時間を要するという問題がある。
このような問題の改善策として、選局したチャンネルの番組の画像が出力されるまでの間に他の画像を出力することによって、利用者の心理的負担を軽減するデジタル放送受信装置が提案されている(たとえば特許文献1参照)。またデジタル放送に関する技術ではないが、ビデオデコーダにおけるデコード開始タイミングを示すデータと、時刻を表すデータとを比較し、その比較結果に対応してビットストリームに指定されているより高い転送レートでビデオデータをビデオコードバッファに書き込み、再生開始時の応答性を高めるように構成される多重化データ分離装置が提案されている(たとえば特許文献2参照)。さらには、データの到着時刻とデコード時刻との差分から一定時間早めてデコードするようなデータ処理装置が提案されている(たとえば特許文献3参照)。
特開2005−295028号公報 特開平6−333341号公報 特開2009−212696号公報
前述の特許文献1に開示される技術のように、選局したチャンネルの番組の画像が出力されるまでの間に他の画像を挿入する場合でも、所望の番組を見るまでの時間を短縮することはできない。また前述の特許文献2に開示される技術は、既に記録されている番組の出画タイミングを早めるための技術であり、放送番組のチャンネルを選局するときに、選局したチャンネルの番組の出画を早めることはできず、画像が出力されるまでの時間を短縮することができない。さらには、特許文献3に開示される部技術を用いても大きな追加モジュールを必要とする上に、一定時間以上には短縮することができない。
このように特許文献1,2に開示される技術を用いても、選局したチャンネルの番組の画像が出力されるまでの時間を短縮することはできず、また、特許文献3に開示される技術でも十分に選局したチャンネルの番組の画像が出力されるまでの時間を短縮することはできず、利用者にとって利便性が低いという問題がある。
本発明の目的は、入力される映像データが変化した後に、最初に映像が表示されるまでの時間、たとえばチャンネルを選局してから、選局したチャンネルの番組の映像が出力されるまでの時間を追加のモジュールが小さい方法で可及的に短縮することができる映像表示装置を提供することである。
本発明の映像表示装置は、符号化された複数のフレームを含む映像データを復号して表示する映像表示装置であって、前記映像データが入力される入力手段と、前記入力手段に入力された前記映像データの各フレームを復号する復号タイミングを表す復号タイミング信号を発生する復号タイミング発生手段と、前記復号タイミング信号に基づいて、前記入力手段に入力された前記映像データの各フレームを復号する復号手段と、前記復号手段によって復号された各フレームを出力する表示タイミングを表す表示タイミング信号を発生する表示タイミング発生手段と、前記表示タイミング信号に基づいて、前記復号された各フレームを出力する出力手段とを備え、前記復号タイミング発生手段は、前記入力手段に入力される前記映像データが変化したとき、基準時刻を未来に設定することによってその変化後に最初に復号フレームのDTSが取得された直後の時点で復号タイミング信号が発生し、前記表示タイミング発生手段は、前記入力手段に入力される前記映像データが変化したとき、表示タイミング発生処理の中で基準時刻を未来に設定することによってその変化後に最初に復号フレームのPTSが取得された直後の時点で表示タイミングが発生することを特徴とする。
本発明の映像表示装置によれば、入力手段に入力される映像データが変化したとき、その変化後に最初に復号可能フレームが取得された時点で、復号タイミング発生手段によって復号タイミング信号が発生され、最初の復号可能フレームが復号手段によって復号される。さらには、復号可能フレームが存在すると判断されると、DTSに係わらず、即座に復号タイミング信号が発生されて、復号可能フレームが復号される。また入力手段に入力される映像データの変化後に最初に表示可能フレームが取得された時点で、表示タイミング発生手段によって表示タイミング信号が発生され、最初の表示可能フレームが出力手段によって出力される。さらには、表示可能フレームが存在すると判断されると、PTSに拘わらず、即座に表示タイミング信号が発生されて、表示可能フレームが表示される。
これによって、入力手段に入力される映像データが変化した後に、最初に映像が表示されるまでの時間を短縮することができる。したがって、チャンネルを選局してから、選局したチャンネルの番組の映像が出力されるまでの時間を可及的に短縮することができる。
本発明の実施の形態1における映像表示装置1の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1における復号タイミングの発生処理に関する復号タイミング発生部14の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1における表示タイミングの発生処理に関する表示タイミング発生部17の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1における表示タイミング発生部17の動作に基づくフレームの表示タイミングを模式的に示す図である。 従来技術における復号タイミング発生処理に関する復号タイミング発生部の処理手順を示すフローチャートである。 従来技術における表示タイミング発生処理に関する表示タイミング発生部の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2における復号タイミング発生処理に関する復号タイミング発生部14の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2における表示タイミング発生処理に関する表示タイミング発生部17の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3における表示タイミング発生部17の動作に基づくフレームの表示タイミングを模式的に示す図である。 本発明の実施の形態4における表示タイミング発生部17の動作に基づくフレームの表示タイミングを模式的に示す図である。 本発明の実施の形態5における復号タイミングの発生処理に関する復号タイミング発生部14の処理手順を示すフローチャートである。 デコードバッファ13の蓄積量と、復号タイミングおよび表示タイミングとの関係を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態6における復号タイミング発生処理に関する復号タイミング発生部14の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態6における復号タイミング発生処理に関する復号タイミング発生部の構成を示すブロック図である。 本発明の第実施の形態6における表示タイミング発生処理に関する表示タイミング発生部17の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態6における表示タイミング発生処理に関する表示タイミング発生部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態7における復号タイミング発生処理に関する復号タイミング発生部14の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態7における復号タイミング発生処理に関する復号タイミング発生部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態7における表示タイミング発生処理に関する表示タイミング発生部17の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態7における表示タイミング発生処理に関する表示タイミング発生部の構成を示すブロック図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における映像表示装置1の構成を示すブロック図である。映像表示装置1は、入力端子10、ストリームIF(Interface)11、PES(Packetized Elementary Stream)処理部12、デコードバッファ13、復号タイミング発生部14、デコーダ15、フレームバッファ16、表示タイミング発生部17、システムタイムクロック(System Time Clock;略称:STC)発生部18および出力端子19を備え構成される。入力端子10は入力手段に相当し、復号タイミング発生部14は復号タイミング発生手段に相当し、デコーダ15は復号手段に相当し、表示タイミング発生部17は表示タイミング発生手段に相当し、出力端子19は出力手段に相当する。
入力端子10には、たとえば放送局から送信され、不図示の受信アンテナによって受信されたデジタル放送信号に含まれる映像データが入力される。入力端子10に入力された映像データは、複数のフレームを含んでおり、フレーム単位で、ストリームIF11に入力される。
ストリームIF11は、入力された映像データから、PESパケットを取り出し、PES処理部12に与える。PESパケットは、圧縮および符号化された映像をパケット化したデータである。映像は、復号および再生の単位ごとにPESパケットに納められる。PESパケットは、メディア再生の時間管理を行う単位となる。
PESパケットは、同じPID(Packet Identification)番号を有する複数のトランスポートストリーム(Transport Stream;略称:TS)パケットのペイロード(payload)に分割されて伝送される。TSは188バイト固定長のTSパケットから成り、デジタル放送を含むリアルタイム伝送・通信系で用いられる。各TSパケットは、4バイトの固定のヘッダ部を有し、残りの184バイトはペイロード部で構成される。ヘッダ部にはPIDが含まれており、パケットの識別が可能である。
PES処理部12は、ストリームIF11から与えられるPESのヘッダ部に含まれる情報の解析を行い、当該情報を復号タイミング発生部14および表示タイミング発生部17に与えると共に、ペイロードデータをデコードバッファ13に与える。
STC発生部18は、たとえばTSに含まれるプログラム時刻基準値(Program Clock Reference;略称:PCR)、またはPESに含まれるシステム時刻基準参照値(System Clock Reference;略称:SCR)を用いて発生したシステム時刻基準値(STC)を、復号タイミング発生部14および表示タイミング発生部17に与える。ここで、STCは、映像または音声の同期をとるための時刻の基準値であり、PCRは、番組上での時刻を示すデータであり、SCRは、ストリーム上での時刻を示すデータである。
復号タイミング発生部14は、PES処理部12から与えられる前記PESパケットに含まれる情報に基づいて、デコーダ15による復号タイミングを表す復号タイミング信号を発生し、発生した復号タイミング信号をデコードバッファ13に与える。さらに具体的に述べると、復号タイミング発生部14は、入力端子10に入力される映像データが変化したとき、その変化後に最初に復号可能な復号可能フレームが取得された時点、本実施の形態では復号可能フレームの全体が取得された時点で前記復号タイミング信号を発生する。入力端子10に入力される映像データの変化には、入力端子10への映像ストリームの入力開始を含む。
デコードバッファ13は、PES処理部12から与えられるペイロードデータを一時的に記憶し、PESレイヤ以下のデータの解析を行う。そして、デコードバッファ13は、復号タイミング発生部14から与えられる復号タイミング信号が表す復号タイミングに合わせて、映像データをデコーダ15に与える。デコーダ15は、デコードバッファ13から映像データが与えられると、与えられた映像データを復号し、復号したデータ(以下「復号データ」という)をフレームバッファ16に与える。
表示タイミング発生部17は、PES処理部12から与えられる前記PESパケットに含まれる情報に基づいて、フレームバッファ16から映像データを出力して不図示の表示部に表示するタイミングを表す表示タイミング信号を発生し、発生した表示タイミング信号をフレームバッファ16に与える。
フレームバッファ16は、デコーダ15から与えられる復号データを一時的に記憶し、表示タイミング発生部17から与えられる表示タイミング信号が表す表示タイミングに合わせて、前記復号データを出力端子19から不図示の表示部に出力する。これによって映像が表示部に表示される。
図2は、本実施の形態における復号タイミングの発生処理に関する復号タイミング発生部14の処理手順を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートでは、本実施の形態の映像表示装置1がテレビ受像機に適応された場合を想定しており、テレビ受像機に電源が投入された直後に映像データのストリームIF11への入力が開始された場合、または利用者の操作などによって放送のチャンネルが切換えられてストリームIF11への入力ストリームの種別および状態などが変化した場合に、本処理が開始され、ステップa1に移行する。
ステップa1では、復号タイミング発生部14は、フレーム全体を復号することができるフレームである復号可能フレームが存在するか否か、すなわち復号可能フレームがストリームIF11を介して取得されたか否かを判断する。復号タイミング発生部14は、PES処理部12から与えられるPESパケットに含まれる情報に基づいて、復号可能フレームが存在するか否かを判断する。
具体的に述べると、フレーム間予測を用いずに符号化されるフレーム、たとえば後述するIフレーム(Intra−coded Frame)となるフレームがストリームIF11に入力された場合、そのフレームに関する映像データのみで、そのフレーム全体を復号することができるので、復号タイミング発生部14は、復号可能フレームが存在すると判断する。
フレーム間予測を用いて符号化されるフレームがストリームIF11に入力された場合、そのフレームに関する映像データだけでは、そのフレーム全体を復号することができないので、復号タイミング発生部14は、そのフレームの符号化に用いられる他のフレームが入力されているか否かに基づいて、復号可能フレームが存在するか否かを判断する。フレーム間予測を用いて符号化されるフレームが入力される前に、そのフレームの符号化に用いられる他のフレームが入力されていれば、そのフレーム全体を復号することができるので、復号タイミング発生部14は、復号可能フレームが存在すると判断する。そのフレームの符号化に用いられる他のフレームが入力されていなければ、そのフレーム全体を復号することができないので、復号タイミング発生部14は、そのフレームは復号可能フレームではないと判断して、復号可能フレームが存在しないと判断する。
さらに具体的に述べると、本実施の形態では、復号タイミング発生部14は、ステップa1において、復号可能フレームの全体が取得されたか否か、より詳細には、復号可能フレームに関する映像データの全てが取得されたか否かに基づいて、復号可能フレームが存在するか否かを判断する。復号タイミング発生部14は、復号可能フレームの全体が取得されたと判断すると、復号可能フレームが存在すると判断し、復号可能フレームの全体が取得されていないと判断すると、復号可能フレームが存在しないと判断する。ステップa1において、復号可能フレームが存在すると判断された場合はステップa2に移行し、復号可能フレームが存在しないと判断された場合は、復号可能フレームが存在すると判断されるまで待機する。
ステップa2では、復号タイミング発生部14は、デコーダ15による復号タイミングを表す復号タイミング信号を発生し、デコードバッファ13に与える。ステップa2の処理の終了後は、全ての処理手順を終了する。
以上のように本実施の形態では、復号タイミング発生部14は、図2に示すフローチャートに従い、復号可能フレームが存在すると判断すると、復号タイミング信号を発生する。図2に示すフローチャートの処理は、入力端子10に入力される映像データが変化すると開始され、ステップa1において、復号可能フレームが取得されたと判断されるとステップa2に移行する。より詳細には、ステップa1において、復号可能フレームの全体が取得されたと判断されるとステップa2に移行する。つまり、復号タイミング信号は、入力端子10に入力される映像データが変化したとき、その変化後に最初に復号可能な復号可能フレームが取得された時点、本実施の形態では復号可能フレームの全体が取得された時点で発生される。したがって、復号タイミング発生部14は、ストリームIF11への入力ストリームが変化した直後、フレーム全体を復号することができる最初のフレーム、たとえば、GOP(Group of Picture)単位でシーケンスヘッダが挿入されているような場合であれば、最初に検出されたシーケンスヘッダから数えて最初のIフレームとなるフレームを検出したタイミングで、復号タイミング信号を発生する。
図3は、本実施の形態における表示タイミングの発生処理に関する表示タイミング発生部17の処理手順を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートも、図2に示すフローチャートと同様に、本実施の形態の映像表示装置1がテレビ受像機に適応された場合を想定しており、テレビ受像機に電源が投入された直後に映像データのストリームIF11への入力が開始された場合、または利用者の操作などによって放送のチャンネルが切換えられてストリームIF11への入力ストリームの種別および状態などが変化した場合に、本処理が開始され、ステップb1に移行する。
ステップb1では、表示タイミング発生部17は、表示可能なフレームである表示可能フレームが存在するか否かを判断する。表示タイミング発生部17は、PES処理部12から与えられるPESパケットに含まれる情報に基づいて、表示可能フレームが存在するか否かを判断する。具体的には、表示タイミング発生部17は、デコーダ15から出力されてフレームバッファ16に格納されたデータが表示可能な状態になったこと、すなわちデコードが終了していてかつ表示順が元画と同じになったことを検出すると、表示可能フレームが存在すると判断する。ステップb1において、表示可能フレームが存在すると判断された場合はステップb2に移行し、表示可能フレームが存在しないと判断された場合は、表示可能フレームが存在すると判断されるまで待機する。
ステップb2では、表示タイミング発生部17は、表示するタイミングを表す表示タイミング信号を発生させ、フレームバッファ16に与える。ステップb2の処理の終了後は、全ての処理手順を終了する。
以上のように本実施の形態では、表示タイミング発生部17は、図3に示すフローチャートに従い、デコーダ15から出力されフレームバッファ16に格納されたデータが表示可能な状態になったこと、すなわちデコードが終了していてかつ表示順が元画と同じになったことを検出し、表示タイミング信号を発生する。これによって、デコードが終了していてかつ表示順が元画と同じになったタイミングにおいて、表示タイミング信号が発生される。たとえばストリーム変化後最初の表示可能タイミングは、ストリーム変化後最初のIフレームのデコードが完了したタイミング、すなわちストリーム変化後最初のIフレームに関する全てのデータがデコードされたタイミングであり、このタイミングで表示タイミング信号が発生される。
図4は、本実施の形態における表示タイミング発生部17の動作に基づくフレームの表示タイミングを模式的に示す図である。図4では、元画におけるフレームの順番、および送受信ストリームにおけるフレームの順番を併せて示す。また図4では、従来技術によるフレームの表示タイミングを「通常表示」として示し、本実施の形態によるフレームの表示タイミングを「高速選局表示」として示す。図4(a)は、元画のフレームを表し、図4(b)は、送受信ストリームにおけるフレームを表し、図4(c)は、通常表示のフレームを表し、図4(d)は、高速選局表示のフレームを表している。図4では、理解を容易にするために、エンコード遅延、送信遅延およびデコード遅延などの遅延は零として表現している。また、各遅延および処理時間の揺らぎもないものとしている。
図4において、Ix(xは正の整数)は、Iフレームを表し、Bx(xは正の整数)はBフレーム(Bi−directional Predicted Frame)を表している。Iフレームは、フレーム間予測を用いずに符号化されるフレームであり、Bフレームは、フレーム間予測を用いて符号化されるフレームであり、前方向予測、後方向予測、両方向予測のうちのいずれかを選択して符号化されるフレームである。
本実施の形態において、フレームB2およびフレームB3は、フレームI0を用いた予測変換によって生成されたフレームであり、フレームB5およびフレームB6は、フレームI1およびフレームI4を用いた予測変換によって生成されたフレームであるとする。元画が図4(a)に示すように、I0,B2,B3,I1,B5,B6,I4の順であれば、送信ストリームは、I0,B2,B3,I1,I4,B5,B6の順となる。このとき、受信ストリームが、図4において二点鎖線で示すフレームI0の取得ができず、B2以降の送信ストリームを受信したとすると、B2およびB3は復号できないので、復号(以下「デコード」という場合がある)および表示可能なフレームは、I1,B5,B6,I4となる。すなわち、ストリーム受信開始後最初の復号可能フレームはI1となる。
したがって、前述の図2のステップa1において、復号タイミング発生部14によって復号可能フレームが存在すると判断されるタイミングは時刻t1となる。そして、この後のデコーダ15における復号による遅延を零としているので、前述の図3のステップb1において、表示タイミング発生部17によって表示可能フレームが存在すると判断されるタイミングも時刻t1となる。
次に復号可能になるフレームはI4であり、このフレームI4の復号可能タイミングは時刻t2であるが、表示可能タイミングは、元画の順に従って時刻t5となる。フレームI1の次に表示すべきフレームが復号可能となるタイミングおよび復号後の表示可能タイミングは時刻t3となり、フレームI1から数えて3番目に表示すべきフレームが復号可能となるタイミングおよび復号後の表示可能タイミングは時刻t4となる。
他方、従来技術による復号および表示を行う場合、すなわち本実施の形態を適用せずに復号および表示を行う場合、各フレームの復号タイミングは、PESヘッダ内に挿入されている復号用時刻情報(Decoding Time Stamp;略称:DTS)で示される時刻となり、表示タイミングはPESヘッダ内に挿入されている提示時刻情報(Presentation Time Stamp;略称:PTS)で示される時刻となる。したがって図4(c)に示すように、フレームI1が最終的に表示されるタイミングは、PTSで示される時刻t1aとなる。
図5は、従来技術における復号タイミング発生処理に関する復号タイミング発生部の処理手順を示すフローチャートである。図5は、図4(c)に示す通常表示における復号タイミング発生処理の処理手順を示すフローチャートに相当する。
ステップc1では、復号タイミング発生部は、DTSからデコード時刻tdを取得する。ステップc1において、デコード時刻tdが復号タイミング発生部によって取得されると、ステップc2に移行する。
ステップc2では、復号タイミング発生部は、STCの基準時刻tsを取得する。ステップc2において、STCの基準時刻tsが復号タイミング発生部によって取得されると、ステップc3に移行する。
ステップc3では、復号タイミング発生部は、基準時刻tsとデコード時刻tdとが一致するか否かを判断する。ステップc3において、基準時刻tsとデコード時刻tdとが一致する(ts=td)と判断された場合はステップc4に移行し、基準時刻tsとデコード時刻tdとが一致しないと判断された場合はステップc2に戻り、前述と同様の処理を行う。つまり、復号タイミング発生部は、基準時刻tsがデコード時刻tdになるまで待機する。
ステップc4では、復号タイミング発生部は、復号タイミング信号を発生してデコードバッファに与える。ステップc4の処理の終了後は、全ての処理手順を終了する。このように従来技術では、PESヘッダ内に挿入されているDTSで示されるデコード時刻tdにおいて、復号タイミング信号が発生される。
図6は、従来技術における表示タイミング発生処理に関する表示タイミング発生部の処理手順を示すフローチャートである。図6は、図4(c)に示す通常表示における表示タイミング発生処理の処理手順を示すフローチャートに相当する。
ステップd1では、表示タイミング発生部は、PTSから提示時刻tpを取得する。ステップd1において、提示時刻tpが表示タイミング発生部によって取得されると、ステップd2に移行する。
ステップd2では、表示タイミング発生部は、STCの基準時刻tsを取得する。ステップd2において、STCの基準時刻tsが表示タイミング発生部によって取得されると、ステップd3に移行する。
ステップd3では、基準時刻tsと提示時刻tpとが一致するか否かを判断する。ステップd3において、基準時刻tsと提示時刻tpとが一致する(ts=tp)と判断された場合はステップd4に移行し、基準時刻tsと提示時刻tpとが一致しないと判断された場合は、ステップd2に戻り、前述と同様の処理を行う。つまり、表示タイミング発生部は、基準時刻tsが提示時刻tpになるまで待機する。
ステップd4では、表示タイミング発生部は、表示タイミング発生信号を発生させて、フレームバッファに与える。ステップd4の処理の終了後は、全ての処理手順を終了する。このように従来技術では、PESヘッダ内に挿入されているPTSで示される提示時刻tpにおいて、表示タイミング信号が発生される。たとえば、前述の図4(c)に示すように、フレームI1が表示されるタイミングは、PTSで示される提示時刻である時刻t1aとなる。つまり従来技術では、ストリーム変化後最初のフレームがPTSで示される提示時刻t1aよりも前に表示可能な状態になっていたとしても、PTSで示される提示時刻t1aまでは表示されない。したがって、図4(d)に示す本実施の形態による高速選局表示と比べると、映像ストリームが開始または変化してから映像を表示するまでの時間が長くなっている。
以上のように本実施の形態においては、入力端子10に入力される映像データが変化したとき、その変化後に最初に復号可能フレームが取得された時点、具体的には復号可能フレームの全体が取得された時点で復号タイミング信号が発生され、表示可能フレームが取得された時点で表示タイミングが発生される。つまり、本実施の形態では、受信ストリーム中に復号可能フレームが存在すると判断されると、DTSに拘わらず、即座に復号タイミング信号が発生されて、復号可能フレームが復号される。このタイミング信号は、電源投入後もしくはチャンネルの切り替わり後にフレーム全体を復号することができるフレームのデータが最も早く復号されるタイミングである。また表示可能フレームが存在すると判断されると、PTSに拘わらず、即座に表示タイミング信号が発生されて、表示可能フレームが表示される。このタイミング信号は、電源投入後もしくはチャンネルの切り替わり後にフレーム全体を表示することができるフレームのデータが最も早く表示されるタイミングである。このように本実施の形態では、受信ストリームのうち最初に到着した復号可能フレームを即座に復号し、また、復号後のデータを即座に表示する。
これによって、入力端子10に入力される映像データである映像ストリームが変化した後に映像を表示するまでの時間を短縮することができる。したがって、デジタル放送のチャンネルを選局してから、選局したチャンネルの番組の映像が出力されるまでの時間を可及的に短縮することができる。つまり、選局時の切換え表示において、切換わり後の映像が表示されるまでの時間を短縮することができる。
また本実施の形態では、フレームの表示タイミングを、復号した順にするのではなく、元画順にするので、乱れのない画像を表示することができる。
以上のように本実施の形態では、フレームという単位で、復号タイミングおよび表示タイミングの発生方法を説明したが、フレーム単位に限らず、フィールド単位またはピクチャ単位であっても本実施の形態と同様に好適に実施可能である。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2の映像表示装置について説明する。前述の実施の形態1では、映像ストリームデータに揺らぎがなく、また映像表示装置1内の処理に要する時間が零であると想定して説明したが、本実施の形態では、揺らぎおよび処理遅延についても考慮した映像表示装置について説明する。本実施の形態の映像表示装置は、復号タイミングの発生処理および表示タイミングの発生処理が異なること以外は、前述の実施の形態1の映像表示装置1と同一であるので、異なる部分について説明し、共通する説明を省略する。
本実施の形態では、復号タイミング発生部14は、PES処理部12から与えられる前記PESパケットのヘッダ部に含まれる情報と、STC発生部18から与えられるSTCとに基づいて、デコーダ15による復号タイミングを表す復号タイミング信号を発生し、発生した復号タイミング信号をデコードバッファ13に与える。
また表示タイミング発生部17は、PES処理部12から与えられる前記PESパケットのヘッダ部に含まれる情報と、STC発生部18から与えられるSTCとに基づいて、フレームバッファ16から映像データを出力して不図示の表示部に表示するタイミングを表す表示タイミング信号を発生し、発生した表示タイミング信号をフレームバッファ16に与える。
図7は、本実施の形態における復号タイミング発生処理に関する復号タイミング発生部14の処理手順を示すフローチャートである。復号タイミングの発生処理の開始直後は、実施の形態1と同様に図2に示すフローチャートに従った処理を行う。ただし、図2に示すステップa2では、復号タイミング発生部14は、復号タイミング信号を発生するとともに、最初の復号可能フレームのDTSで示されるデコード時刻td0および実際の復号タイミング時刻tc0を取得しておく。この後、2フレーム目以降の復号タイミングの発生処理は、以下に述べる図7に示すフローチャートの処理手順に従って行われる。すなわち図2に示すフローチャートの全ての処理手順が終了すると、図7に示すフローチャートの処理が開始され、ステップe1に移行する。
ステップe1では、復号タイミング発生部14は、復号可能フレームが存在するか否かを判断する。ステップe1では、復号タイミング発生部14は、復号可能フレームの少なくとも一部が取得されたと判断すると、復号可能フレームが存在すると判断する。ステップe1において、復号可能フレームが存在すると判断された場合はステップe2に移行し、復号可能フレームが存在しないと判断された場合は、復号可能フレームが存在すると判断されるまで待機する。
ステップe2では、復号タイミング発生部14は、DTSからデコード時刻tdを取得する。ステップe2において、デコード時刻tdが復号タイミング発生部14によって取得されると、ステップe3に移行する。
ステップe3では、復号タイミング発生部14は、ステップe2で取得したデコード時刻tdを、予め取得している最初の復号可能フレームのDTSで示されるデコード時刻td0および実際の復号タイミング時刻tc0に基づいて求めた補正デコード時刻tdαに補正する。具体的な補正処理は後述する。ステップe3において、デコード時刻tdが復号タイミング発生部14によって補正デコード時刻tdαに補正されると、ステップe4に移行する。
ステップe4では、復号タイミング発生部14は、STCの基準時刻tsを取得する。ステップe4において、STCの基準時刻tsが復号タイミング発生部14によって取得されると、ステップe5に移行する。
ステップe5では、復号タイミング発生部14は、基準時刻tsと補正デコード時刻tdαとが一致するか否かを判断する。ステップe5において、基準時刻tsと補正デコード時刻tdαとが一致する(ts=tdα)と判断された場合はステップe6に移行し、基準時刻tsと補正デコード時刻tdαとが一致しないと判断された場合はステップe4に戻り、前述と同様の処理を行う。つまり、復号タイミング発生部14は、基準時刻tsが補正デコード時刻tdになるまで待機する。
ステップe6では、復号タイミング発生部14は、復号タイミング信号を発生させ、デコードバッファ13に与える。ステップe6の処理の終了後は、全ての処理手順を終了する。
図8は、本実施の形態における表示タイミング発生処理に関する表示タイミング発生部17の処理手順を示すフローチャートである。表示タイミングの発生処理の開始直後は、実施の形態1と同様に図3に示すフローチャートに従った処理を行う。ただし、図3に示すステップb2では、表示タイミング発生部17は、表示タイミング信号を発生するとともに、最初の表示可能フレームのPTSで示される提示時刻tp0および発生した表示タイミング時刻tq0を取得しておく。この後、2フレーム目以降の表示タイミングの発生処理は、以下に述べる図8に示すフローチャートの処理手順に従って行われる。すなわち図3に示すフローチャートの全ての処理手順が終了すると、図8に示すフローチャートの処理が開始され、ステップf1に移行する。
ステップf1では、表示タイミング発生部17は、表示可能フレームが存在するか否かを判断する。ステップf1において、表示可能フレームが存在すると判断された場合はステップf2に移行し、表示可能フレームが存在しないと判断された場合は、表示可能フレームが存在すると判断されるまで待機する。
ステップf2では、表示タイミング発生部17は、PTSから提示時刻tpを取得する。ステップf2において、表示タイミング発生部17によって提示時刻tpが取得されると、ステップf3に移行する。
ステップf3では、表示タイミング発生部17は、ステップf2で取得された提示時刻tpを、予め取得している最初の表示可能フレームのPTSで示される提示時刻tp0および発生した表示タイミング時刻tq0に基づいて求めた補正提示時刻tpαに補正する。具体的な補正処理は後述する。ステップf3において、提示時刻tpが表示タイミング発生部17によって補正提示時刻tpαに補正されると、ステップf4に移行する。
ステップf4では、表示タイミング発生部17は、STCの基準時刻tsを取得する。ステップf4において、STCの基準時刻tsが表示タイミング発生部17によって取得されると、ステップf5に移行する。
ステップf5では、表示タイミング発生部17は、基準時刻tsと補正提示時刻tpαとが一致するか否かを判断する。ステップf5において、基準時刻tsと補正提示時刻tpαとが一致する(ts=tpα)と判断された場合はステップf6に移行し、基準時刻tsと補正提示時刻tpαとが一致しないと判断された場合は、ステップf4に戻り、前述と同様の処理を行う。つまり、表示タイミング発生部17は、基準時刻tsが補正提示時刻tpになるまで待機する。
ステップf6では、表示タイミング発生部17は、表示タイミング発生信号を発生させ、フレームバッファ16に与える。ステップf6の処理の終了後は、全ての処理手順を終了する。
以上のように本実施の形態においては、2フレーム目以降のフレームについては、復号タイミング発生部14は、PES処理部12から与えられるPESパケットのヘッダ部に含まれる情報と、STC発生部18から与えられるSTCとに基づいて、STCで示される基準時刻tsが、DTSで示されるデコード時刻tdを補正した補正デコード時刻tdαになった時点で、復号タイミング信号を発生する。また表示タイミング発生部17は、PES処理部12から与えられるPESパケットのヘッダ部に含まれる情報と、STC発生部18から与えられるSTCとに基づいて、STCで示される基準時刻tsが、PTSで示される提示時刻tpを補正した補正提示時刻tpαになった時点で、表示タイミング信号を発生する。
したがって、映像表示装置に入力される映像ストリームデータに揺らぎがあった場合においても、また、映像の入力から表示までの処理が固定遅延ではないような場合であっても、乱れのない映像を表示することができる。
また本実施の形態では、復号タイミングおよび表示タイミングの両方でタイミング補正をしているので、復号されたデータが表示されるまでに待たされるような場合であっても、その待ち時間が少なく、表示のためのバッファ量を少なくすることができる。
次に、タイミング発生の補正処理について説明する。本実施の形態において、復号タイミングのためのDTSの補正値である補正デコード時刻tdαは、最初の復号可能フレームのDTSで示されるデコード時刻td0および実際の復号タイミング時刻tc0を用いて、以下の式(1)によって算出する。
tdα=td−(td0−tc0) ・・・(1)
ここで、td0−tc0は、最初の復号可能フレームにおけるDTSで示されるデコード時刻td0からの実際の復号タイミング時刻tc0のずれ量を表す。
また、表示タイミングのためのPTSの補正値である補正提示時刻tpαは、最初の表示可能フレームのPTSで示される提示時刻tp0および発生した表示タイミング時刻tq0を用いて、以下の式(2)によって算出する。
tpα=tp−(tp0−tq0) ・・・(2)
ここで、tp0−tq0は、最初の復号可能フレームにおけるPTSで示される提示時刻tp0からの実際に発生した表示タイミング時刻tq0のずれ量を表す。
上記式(1)に基づく補正および式(2)に基づく補正を、以下の説明では「線形補正」という。
以上のように本実施の形態においては、最初の復号および表示タイミングに基づいて、2フレーム目以降の復号および表示タイミングが線形補正される。つまり、最初の復号および表示タイミングのずれ量と同じ分だけ、2フレーム目以降の復号および表示タイミングをずらして、復号タイミング信号および表示タイミング信号が発生される。
これによって、元画のフレーム間隔と同じ間隔で、フレームを表示することができる。したがって、実施の形態1と同様に入力映像ストリームの開始または変化から最初の映像が表示されるまでの時間を早めることができると共に、線形補正を行うのみで元画のフレーム間隔と同じ間隔でフレームを表示することができる。
以上に述べた実施の形態1および実施の形態2では、復号タイミングおよび表示タイミングの両方を補正する方法について述べたが、復号および表示のそれぞれに係わるバッファの量が充分であるような場合においては、どちらか一方だけを補正する方法も実施できる。
実施の形態3.
前述の実施の形態2ではタイミング発生における補正方法を線形補正としたが、実施の形態3では別の補正方法を採用する。本実施の形態の映像表示装置は、タイミング発生における補正方法以外については、実施の形態2の映像表示装置と同様である。
本実施の形態におけるタイミング発生の補正処理について説明する。最初の復号タイミングの発生および表示タイミングの発生までは、実施の形態2と同様である。この後、2番目となる復号タイミングを入力映像データが指定した時刻、すなわちDTSで示されるデコード時刻tdに等しくなる時刻まで待つ。すなわち、補正式は以下の式(3)となる。
tdα=td ・・・(3)
また、2番目となる表示タイミングを入力映像データが指定した時刻すなわちPTSで示される提示時刻tpに等しくなる時刻まで待つ。すなわち、補正式は以下の式(4)となる。
tpα=tp ・・・(4)
図9は、本実施の形態における表示タイミング発生部17の動作に基づくフレームの表示タイミングを模式的に示す図である。図9では、図4と同様に、元画におけるフレームの順番、および送受信ストリームにおけるフレームの順番を併せて示す。また図9では、従来技術によるフレームの表示タイミングを「通常表示」として示し、本実施の形態によるフレームの表示タイミングを「高速選局表示」として示す。図9(a)は、元画のフレームを表し、図9(b)は、送受信ストリームにおけるフレームを表し、図9(c)は、通常表示のフレームを表し、図9(d)は、高速選局表示のフレームを表している。図9では、理解を容易にするために、エンコード遅延、送信遅延およびデコード遅延などの遅延は零として表現している。また、各遅延および処理時間の揺らぎもないものとしている。
前述の図4に示す場合と同様に、二点鎖線で示すフレームI0の取得ができず、B2以降の送信ストリームを受信する場合、ストリーム受信開始後最初の復号可能フレームおよび表示可能フレームはI1である。この最初の復号可能フレームI0の復号タイミングおよび表示可能フレームI0の表示タイミングは、本実施の形態においても、時刻t1となる。
本実施の形態においては、最初の復号および表示タイミングから次の復号および表示タイミングまでを、入力映像データが指定する時刻まで待つ。具体的に述べると、図9(d)に示すように、2番目の復号可能フレームI4の復号可能タイミングは、復号可能となった時刻である図4に示す時刻t2ではなく、復号可能フレームI1のDTSで示されるデコード時刻となり、表示可能タイミングは、PTSで示される提示時刻t14となる。
3番目の復号可能フレームB5の復号可能タイミングは、DTSで示されるデコード時刻t12となり、遅延を零と想定すると、表示可能タイミングもPTSで規定される提示時刻t12となる。つまり、本実施の形態では、時刻t1において最初の表示可能フレームI0が表示された後、最初の表示可能フレームI0のPTSで示される提示時刻t11から、フレームI0から始まるGOP単位の表示が開始される。
前述の図4に示す実施の形態1と比較すると、実施の形態1では、最初の表示可能フレームI0が表示された時刻t1から、最初の表示可能フレームI0のPTSで示される提示時刻t1aまでの間の時刻t2において、フレームI0から始まるGOP単位の表示が開始される。これに対し、本実施の形態では、最初の表示可能フレームI0が表示された時刻t1から、最初の表示可能フレームI0のPTSで示される提示時刻t11までの間の時刻t10では、GOP単位の表示は開始されず、PTSで示される提示時刻t11で開始される。
このように最初の復号および表示タイミングから次の復号および表示タイミングまでを、入力映像データが指定する時刻まで待つことによって、次のフレームが表示されるときには入力映像データが指定する時刻にフレームを表示することができる。また2番目以降のフレームの表示タイミングは、入力映像データが指定する提示時刻tpであるので、元画のフレーム間隔と同じ間隔でフレームを表示することができる。
したがって、実施の形態1および実施の形態2と同様に入力映像ストリームの開始または変化から最初の映像が表示されるまでの時間を短縮することができるとともに、2番目以降のフレームについては、入力映像データが指定する時刻に、元画のフレーム間隔と同じ間隔で表示することが、2番目のフレームの復号・表示タイミングを変更することのみによってできる。さらには、時間経過後に放送局など送信側が意図している復号時刻・表示時刻に等しくなるようにもできる。
実施の形態4.
実施の形態4では、実施の形態2および実施の形態3とは異なる補正方法を採用する。本実施の形態の映像表示装置は、タイミング発生における補正方法以外については、実施の形態2および実施の形態3の映像表示装置と同様である。
本実施の形態におけるタイミング発生の補正処理について説明する。最初の復号タイミングの発生および表示タイミングの発生までは、実施の形態2と同様である。2番目以降の復号可能フレームの復号タイミングのためのDTSの補正値である補正デコード時刻tdαは、以下の式(5)によって算出する。
tdα=td−(td0−tc0)×γ(0≦γ≦1) ・・・(5)
ここで、td0−tc0は、最初の復号可能フレームにおけるDTSで示されるデコード時刻td0からの実際の復号タイミング時刻tc0のずれ量を表し、γはデコード時刻補正係数を表す。本実施の形態では、式(5)に示すデコード時刻補正係数γを時刻の経過とともに、1から0へ減じていく。これによって復号タイミングが、時間の経過とともに、入力映像データが指定した時刻、すなわちDTSで示されるデコード時刻tdに近づいていく。
また、2番目以降の表示可能フレームの表示タイミングのためのPTSの補正値である補正提示時刻tpαは、以下の式(6)によって算出する。
tpα=tp−(tp0−tq0)×η(0≦η≦1) ・・・(6)
ここで、tp0−tq0は、最初の復号可能フレームにおけるPTSで示される提示時刻tp0からの実際に発生した表示タイミング時刻tq0のずれ量を表し、ηは提示時刻補正係数を表す。本実施の形態では、式(6)に示す提示時刻補正係数ηを時刻の経過とともに、1から0へ減じていく。これによって表示タイミングが、時刻の経過と共に、入力映像データが指定した時刻、すなわちPTSで示される提示時刻tpへ近づいていく。
図10は、本実施の形態における表示タイミング発生部17の動作に基づくフレームの表示タイミングを模式的に示す図である。図10では、図4と同様に、元画におけるフレームの順番、および送受信ストリームにおけるフレームの順番を併せて示す。また図10では、従来技術によるフレームの表示タイミングを「通常表示」として示し、本実施の形態によるフレームの表示タイミングを「高速選局表示」として示す。図10(a)は、元画のフレームを表し、図10(b)は、送受信ストリームにおけるフレームを表し、図10(c)は、通常表示のフレームを表し、図10(d)は、高速選局表示のフレームを表している。図10では、理解を容易にするために、エンコード遅延、送信遅延およびデコード遅延などの遅延は零として表現している。また、各遅延および処理時間の揺らぎもないものとしている。
前述の図4に示す場合と同様に、二点鎖線で示すフレームI0の取得ができず、B2以降の送信ストリームを受信する場合、ストリーム受信開始後最初の復号可能フレームおよび表示可能フレームはI1である。この最初の復号可能フレームI0の復号タイミングおよび表示可能フレームI0の表示タイミングは、本実施の形態においても、時刻t1となる。
本実施の形態においては、2番目以降の復号および表示タイミングを、復号または表示すべき時刻へ近づくように段階的に補正する。具体的に述べると、図10(d)に示すように、2番目の復号可能フレームI4の復号可能タイミングは、復号可能となった時刻t21ではなく、前述の式(5)に基づいて補正された補正デコード時刻tdαとなり、表示可能タイミングは、前述の式(6)に基づいて補正された補正提示時刻tpαである時刻t24となる。
3番目の復号可能フレームB5の復号可能タイミングは、前述の式(5)に基づいて補正された補正デコード時刻tdαである時刻t22となり、遅延を零と想定すると、表示可能タイミングも前述の式(6)に基づいて補正された補正提示時刻である時刻t22となる。つまり、本実施の形態では、時刻t1において最初の表示可能フレームI0が表示された後、最初の表示可能フレームI0のPTSで示される提示時刻t1に基づいて補正した補正提示時刻t21から、フレームI0から始まるGOP単位の表示が開始される。
前述のように式(5)に示すデコード時刻補正係数γおよび式(6)に示す提示時刻補正係数ηは、時刻の経過とともに1から0へと減じられるので、各フレームの表示間隔は、徐々に大きくなっていく。具体的に述べると、図10(d)に示すように、時刻t21から時刻t22までの間隔、時刻t22から時刻23までの間隔、および時刻t23から時刻t24までの間隔は、この順に徐々に大きくなっていく。
このように2番目以降の復号および表示タイミングを、復号または表示すべき時刻へ近づくように段階的に補正することによって、実施の形態1〜3と同様に入力映像ストリームの開始または変化から最初の映像が表示されるまでの時間を短縮することができるとともに、一定時間の経過後には、表示すべき時刻通りに映像を表示することができる。
また本実施の形態では、2番目以降の復号および表示タイミングを、復号または表示すべき時刻へ近づくように段階的に補正するので、最初の映像が表示されてから、表示すべき時刻通りに映像を表示するまでの時間においても、乱れはもちろん、違和感のない映像を表示することができる。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5の映像表示装置について説明する。本実施の形態の映像表示装置は、復号タイミングの発生処理が異なること以外は、前述の実施の形態1〜4の映像表示装置と同一であるので、異なる部分について説明し、共通する説明を省略する。
前述の実施の形態1〜4では、復号タイミング発生部14は、入力端子10に入力される映像データが変化したとき、その変化後に最初に復号可能フレームの全体が取得された時点で復号タイミング信号を発生する。これに対し、本実施の形態では、復号タイミング発生部14は、入力端子10に入力される映像データが変化したとき、その変化後に最初に復号可能フレームの一部が取得された時点であって、前記復号可能フレームの全体が取得される時点よりも早い時点で復号タイミング信号を発生する。
図11は、本実施の形態における復号タイミングの発生処理に関する復号タイミング発生部14の処理手順を示すフローチャートである。図11に示すフローチャートも、図2に示すフローチャートと同様に、本実施の形態の映像表示装置がテレビ受像機に適応された場合を想定しており、テレビ受像機に電源が投入された直後に映像データのストリームIF11への入力が開始された場合、または利用者の操作などによって放送のチャンネルが切換えられてストリームIF11への入力ストリームの種別および状態などが変化した場合に、本処理が開始され、ステップg1に移行する。
ステップg1では、復号タイミング発生部14は、PES処理部12から与えられるPESパケットに含まれる情報に基づいて、先行復号可能フレームが存在するか否かを判断する。具体的に述べると、ステップg1において、復号タイミング発生部14は、復号可能フレームが存在し、かつ、その復号可能フレームの一部、より詳細には、その復号可能フレームに関する映像データの一部であって、予め定める設定蓄積量のデータがデコードバッファ13に蓄積されたと判断すると、先行復号可能フレームが存在すると判断する。復号タイミング発生部14は、復号可能フレームが存在しない、または復号可能フレームが存在するが、設定蓄積量のデータがデコードバッファ13に蓄積されていないと判断すると、先行復号可能フレームが存在しないと判断する。
設定蓄積量は、本実施の形態では、デコーダ15によって復号可能フレームの復号を開始するのに充分なデータ量、より詳細には、デコーダ15によって復号可能フレームの復号を開始するために必要な最低限のデータ量に選ばれる。ステップg1において、先行復号可能フレームが存在すると判断された場合はステップg2に移行し、先行復号可能フレームが存在しないと判断された場合は、先行復号可能フレームが存在すると判断されるまで待機する。
ステップg2では、復号タイミング発生部14は、復号タイミング信号を発生し、デコードバッファ13に与える。ステップg2の処理の終了後は、全ての処理手順を終了する。
次に、先行復号可能フレームの存在タイミングについて説明する。図12は、デコードバッファ13の蓄積量と、復号タイミングおよび表示タイミングとの関係を模式的に示す図である。図12(a)は、実施の形態1におけるデコードバッファ13の蓄積量と復号タイミングおよび表示タイミングとの関係を示す図であり、図12(b)は、本実施の形態におけるデコードバッファ13の蓄積量と復号タイミングおよび表示タイミングとの関係を示す図である。図12(a)および図12(b)において、デコードバッファ蓄積量に関する横軸は、x軸を表し、縦軸は、y軸を表す。またx軸、ならびに復号タイミングおよび表示タイミングに関する横軸は、時刻tを表す。図12(a)および図12(b)では、前述の図4(b)に示す送受信ストリームと同様の送受信ストリームが送受信される場合を示す。
まず、図12(a)に示す実施の形態1の場合における復号可能フレーム存在タイミングについて説明する。図12(a)に示すように、デコードバッファ13には、順次データが蓄積されている。復号タイミング発生部14は、PES処理部12から与えられるPESパケットに含まれる情報に基づいて、その情報に含まれる各フレームのピクチャタイプに関する情報、たとえば、そのフレームがIフレームであるか、Bフレームであるかの情報を、そのフレームに関するデータであるピクチャデータの先頭で取得することができる。したがって復号タイミング発生部14は、PES処理部12から与えられるPESパケットに含まれる情報に基づいて、時刻tbI1において、デコードバッファ13に最初の復号可能フレームであるフレームI1のデータが蓄積され始める、すなわちデータの蓄積開始時刻が時刻tbI1であると判断することができる。
この時刻tbI1からデコードバッファ13にデータを蓄積していき、フレームI1の全体が復号可能となるタイミング、すなわちフレームI1に関する全てのデータの蓄積が完了するタイミングである時刻tdI1までデータの蓄積を行う。時刻tdI1において、フレームI1の全てのデータがデコードバッファ13に蓄積されると、復号タイミング発生部14は、フレームI1の復号タイミングであると判断し、復号タイミング信号を発生する。これによってデコードバッファ13からデコーダ15へのデータの出力が開始され、デコーダ15によるデコードが開始される。つまり、この時刻tdI1が、復号可能フレームが存在すると判断されるタイミング、すなわち復号可能フレームの存在タイミングとなる。このデコード開始時刻tdI1からフレームI1のデコード終了時刻tpI1までの間の時間は、デコードバッファ13は蓄積を継続しており、蓄積しながらデコーダ15へデータを出力している期間となる。
続いて、デコードバッファ13は蓄積を継続し、次に入力されるフレームであるフレームI4のデータを蓄積する。さらにデコードバッファ13は蓄積を継続し、復号タイミング発生部14は、次のタイミングで出力するフレームであるフレームB5の全てのデータがデコードバッファ13に蓄積されるのを待って、フレームB5の復号タイミングである時刻tdB5を判断する。すなわち時刻tdB5において、フレームB5の全てのデータがデコードバッファ13に蓄積されると、復号タイミング発生部14によって、フレームB5の復号タイミングであると判断されて復号タイミング信号が発生され、デコードバッファ13からデコーダ15へのデータの出力が開始され、デコーダ15によるデコードが開始される。時刻tdB5からフレームB5のデコード終了時刻tpB5までの間の時間は、デコードバッファ13は蓄積を継続しており、蓄積しながらデコーダ15へデータを出力している期間となる。
さらに、デコードバッファ13は蓄積を継続し、復号タイミング発生部14は、次のタイミングで出力するフレームであるフレームB6のデータがデコードバッファ13に蓄積されるのを待って、フレームB6の復号タイミングである時刻tdB6を判断する。時刻tdB6からフレームB6のデコード終了時刻tpB6までの時間は、デコードバッファ13は蓄積を継続しており、蓄積しながらデコーダ15へデータを出力している期間となる。
フレームB6のデコード終了時刻tpB6が経過すると、デコーダ15は、次のデコードを開始できるので、復号タイミング発生部14は、フレームB6のデコード終了時刻tpB6と同じ時刻tpI4において、次のタイミングで出力するフレームであるフレームI4の復号タイミング信号を発生する。時刻tdI4からフレームI4のデコード終了時刻tpI4までの時間は、デコードバッファ13は蓄積を継続しており、蓄積しながらデコーダ15へデータを出力している期間となる。
次に、図12(b)に示す本実施の形態の場合における先行復号可能フレームの存在タイミングについて説明する。時刻tbI1においてデータの蓄積が開始されることの判断は前述と同様である。時刻tbI1からデコードバッファ13にデータを蓄積していくが、本実施の形態では、復号タイミング発生部14は、復号を行うフレームI1のデータが全て蓄積される時刻tdI1よりも前の時刻tdI1−において、復号タイミング信号を発生させる。時刻tdI1−は、時刻tdI1−から復号を開始して時刻tpI1−に復号が終了すると仮定した場合に、時刻tpI1−までにデコードバッファ13にフレームI1を復号するために充分なデータが蓄積されることを担保する時刻となる。具体的には、時刻tdI1−は、デコーダ15によって復号可能フレームの復号を開始するのに充分なデータ量、本実施の形態では、デコーダ15によって復号可能フレームの復号の開始するために必要な最低限のデータ量のデータがデコードバッファ13に蓄積される時刻に選ばれる。
時刻tpI1−は、デコード時間を0とした場合、理想的にはデコードバッファ13にフレームI1の全てのデータの蓄積が完了する時刻であり、以下のようにして求められる。まず、デコードバッファ13にデータを蓄積するスピードを、以下の式(7)に示すように線形で近似する。
y=ax (a>0) ・・・(7)
また、デコードバッファ13からデコーダ15にデータを出力するスピードを、以下の式(8)に示すように線形で近似する。
y=b(x−tdI1) (b<0) ・・・(8)
このようにデコードバッファ13にデータを蓄積するスピードおよびデコードバッファ13からデコーダ15にデータを出力するスピードをそれぞれ式(7)および式(8)に示すように線形で近似した場合、式(7)に示す直線と式(8)に示す直線との交点のx座標が時刻tdI1−となる。以下、同様にして各フレームB5,B6,I4の全てのデータが蓄積される時刻tdB5−,tdB6−,tdI4−に先だって、時刻tdB5−,tdB6−,tdI4−において、復号タイミング発生部14で復号タイミング信号を発生させ、デコーダ15による復号を開始させることができる。
したがって、本実施の形態では、実施の形態1に比べて、各復号可能フレームの復号開始タイミングを早めることができる。これによって、デコーダ15による復号の終了タイミングを早めることができるので、実施の形態1における各フレームの表示時刻tpI1,tpB5,tpB6,tpI4よりも早い時刻tpI1−,tpB5−,tpB6−,tpI4−において、各フレームを表示することができる。
以上のように本実施の形態によれば、入力端子10に入力される映像データが変化したとき、その変化後に最初に復号可能フレームの一部が取得された時点であって、復号可能フレームの全体が取得される時点よりも早い時点で復号タイミング信号が発生される。これによって、前述の各実施の形態1〜4よりも早いタイミングでフレームを表示することができる。
以上に述べた本実施の形態では、2フレーム目以降のフレームについても、先行復号可能フレームが存在すると判断した時点で復号タイミング発生部14によって復号タイミング信号を発生し、各フレームの復号が完了した時点で表示タイミング発生部17によって表示タイミング信号を発生する。これに限定されず、前述の実施の形態2〜4のように、2フレーム目以降のフレームについては、STCで示される基準時刻tsが補正デコード時刻tdαになった時点で復号タイミング信号を発生させ。STCで示される基準時刻tsが補正提示時刻tpαになった時点で表示タイミング信号を発生させるようにしてもよい。
実施の形態6.
本発明の実施の形態6では、実施の形態1に記載の実施の形態とは異なるタイミング発生方法を採用する。本実施の形態の映像表示装置は、復号タイミング発生方法および表示タイミング発生方法以外については、実施の形態1に記載の実施の形態の映像表示装置と同様である。
前述の実施の形態1では、復号タイミング発生部14は、入力端子10に入力される映像データが変化したとき、その変化後に最初に復号可能フレームの全体もしくは一部が取得された時点で復号タイミング信号を発生する。これに対し、本実施の形態では、復号可能フレームの全体もしくは一部が取得された時点を取得するための方法の一形態について述べる。
図13は、本実施の形態における復号タイミング発生処理に関する復号タイミング発生部の処理手順を示すフローチャートである。
ステップh1では、復号タイミング発生部は、DTSからデコード時刻tdを取得する。ステップh1において、デコード時刻tdが復号タイミング発生部によって取得されると、ステップh2に移行する。
ステップh2では、復号タイミング発生部は、STCの基準時刻tsを取得する。ステップh2において、STCの基準時刻tsが復号タイミング発生部によって取得されると、ステップh3に移行する。
ステップh3では、復号タイミング発生部は、STCの基準時刻tsにデコード時刻tdを超えて充分な未来の時刻tf(ts=tf=ts+β β>0)を設定する。ステップh3において、tsに未来の時刻が設定されると、ステップh4に移行する。
ステップh4では、復号タイミング発生部は、基準時刻tsとデコード時刻tdと比較し、基準時刻tsがデコード時刻tdを過ぎている(td<ts)と判断された場合はステップh5に移行し、基準時刻tsがデコード時刻tdより前と判断された場合はステップh2に戻り、前述と同様の処理を行うが、基準時刻tsがtdより未来の時刻tfであればh5に移行する。
ステップh5では、復号タイミング発生部は、復号タイミング信号を発生してデコードバッファに与える。ステップh5において、復号タイミングを発生してデコードバッファに与えると、ステップh6に移行する。
ステップh6では、基準時刻にSTCの時刻tsを取得する。ステップh6の処理の終了後は、全ての処理手順を終了する。このように本実施の形態では、復号開始後すぐに復号タイミング信号が発生される。
図14は、本実施の形態における復号タイミング発生処理に関する復号タイミング発生部14の構成を示すブロック図である。
DTS取得部23では、復号タイミング発生部14から与えられるPESのヘッダ部に含まれるデータからDTSを取得し、比較器22に出力する。加算器21では、STC発生部18から入力したSTCデータと正の値β20を加算し比較器21に出力する。比較器21は加算器21とDTS取得部23からのデータを入力し比較結果を復号タイミングとしてデコードバッファ13に出力する。
図15は、本実施の形態における表示タイミング発生処理に関する表示タイミング発生部の処理手順を示すフローチャートである。
ステップi1では、表示タイミング発生部は、PTSから提示時刻tpを取得する。ステップi1において、提示時刻tpが表示タイミング発生部によって取得されると、ステップi2に移行する。
ステップi2では、表示タイミング発生部は、STCの基準時刻tsを取得する。ステップi2において、STCの基準時刻tsが表示タイミング発生部によって取得されると、ステップi3に移行する。
ステップi3では、表示タイミング発生部は、STCの基準時刻tsに提示時刻tpを超えて充分な未来の時刻tf(ts=tf=ts+β β>0)を設定する。ステップi3において、tsに未来の時刻が設定されると、ステップi4に移行する。
ステップi4では、復号タイミング発生部は、基準時刻tsと提示時刻tpと比較し、基準時刻tsが提示時刻tpを過ぎている(tp<ts)と判断された場合はステップi5に移行し、基準時刻tsが提示時刻tpより前と判断された場合はステップi2に戻り、前述と同様の処理を行うが、基準時刻tsがtpより未来の時刻tfであればi5に移行する。
ステップi5では、表示タイミング発生部は、表示タイミング信号を発生してフレームバッファに与える。ステップi5において、表示タイミングを発生してフレームバッファに与えると、ステップi6に移行する。
ステップi6では、基準時刻にSTCの時刻tsを取得する。ステップi6の処理の終了後は、全ての処理手順を終了する。このように本実施の形態では、提示処理開始後すぐに表示タイミング信号が発生される。
図16は、本実施の形態における表示タイミング発生処理に関する表示タイミング発生部17の構成を示すブロック図である。
PTS取得部27では、表示タイミング発生部17から与えられるPESのヘッダ部に含まれるデータからPTSを取得し、比較器26に出力する。加算器25では、STC発生部18から入力したSTCデータと正の値β24を加算し比較器26に出力する。比較器26は加算器25とPTS取得部27からのデータを入力し比較結果を復号タイミングとしてフレームバッファ16に出力する。
本実施の形態では、基準時刻を未来に設定することでタイミング発生時刻を早めたが、デコード時刻DTS、提示時刻を過去に送らせることで実現しても良い。また、タイミング発生時刻を早める方法であればこれ以外の方法であっても良いことは言うまでもない。
以上のように本実施の形態においては、入力端子10に入力される映像データが変化したとき、その変化後に最初に復号フレームのDTSが取得された直後の時点で復号タイミング信号が発生され、表示タイミング発生処理の中でPTSが取得された直後の時点で表示タイミングが発生される。つまり、本実施の形態では、受信ストリーム中に復号可能フレームが存在すると判断されると、DTSに拘わらず、即座に復号タイミング信号が発生されて、復号可能フレームが復号される。また表示可能フレームが存在すると判断されると、PTSに拘わらず、即座に表示タイミング信号が発生されて、表示可能フレームが表示される。このように本実施の形態では、システム時刻を簡単な補正式で変更するだけで受信ストリームのうち最初に到着した復号可能フレームを即座に復号し、また、復号後のデータを即座に表示する。
なお、本実施の形態においては、映像ストリームデータに揺らぎがなく、また映像表示装置内の処理に要する時間が零であると想定して説明したが、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4および実施の形態5で説明したように、デコード時刻を適宜補正してもよい。
実施の形態7.
本発明の実施の形態7では、実施の形態6に記載の実施の形態とは異なるタイミング発生方法を採用する。本実施の形態の映像表示装置は、復号タイミング発生方法および表示タイミング発生方法以外については、実施の形態6に記載の実施の形態の映像表示装置と同様である。
前述の実施の形態6では、PCR(Program Clock Reference)はDTSが取得されてから復号タイミングを発生するまで、また、PTSが取得されてから表示タイミングを発生するまで不連続的に大きく変化することがない(以下PCRの変化とは通常のカウントアップではなく不連続的な大きな変化を指す)場合について述べてきた。これに対して、本実施の形態では、PCRの変化によってSTCが変化(PCRの変化同様通常のカウントアップではなく不連続的な大きな変化を指す)する場合にも復号タイミングや表示タイミングが発生されるための方法の一形態について述べる。
まず始めに、復号タイミングの発生方法について述べる。
図17は、本実施の形態における復号タイミング発生処理に関する復号タイミング発生部の処理手順を示すフローチャートである。
ステップh1では、復号タイミング発生部は、DTSからデコード時刻tdを取得する。ステップh1において、デコード時刻tdが復号タイミング発生部によって取得されると、ステップh2に移行する。
ステップh2では、復号タイミング発生部は、STCの基準時刻tsを取得する。ステップh2において、STCの基準時刻tsが復号タイミング発生部によって取得されると、ステップh3に移行する。
ステップh3では、復号タイミング発生部は、STCの基準時刻tsにデコード時刻tdを超えて充分な未来の時刻tf(ts=tf=ts+β β>0)を設定する。ステップh3において、tsに未来の時刻が設定されると、ステップh7に移行する。
ステップh7では、ステップh1でDTSの取得がなされてからPCRに変化が生じたかどうかを検出する。PCRの変化を検出した場合は、ステップh8に移行し、PCRの変化を検出しない場合は、ステップh4に移行する。
ステップh8では、従来技術における復号タイミング発生処理に関する復号タイミング発生部の処理手順図5に従った処理ステップを行い、ステップh8の処理の終了後は、全ての処理手順を終了する。
ステップh4では、復号タイミング発生部は、基準時刻tsとデコード時刻tdとを比較し、基準時刻tsがデコード時刻tdを過ぎている(td<ts)と判断された場合はステップh5に移行し、基準時刻tsがデコード時刻tdより前と判断された場合はステップh2に戻り、前述と同様の処理を行うが、基準時刻tsがtdより未来の時刻tfであればh5に移行する。
ステップh3で基準時刻にβを足し込むことで未来の時刻を設定しているにもかかわらずSTCがβの値を超えて過去に変化していた場合には、h2に戻る処理を行うことになりステップh5に移行することができない。
ステップh5では、復号タイミング発生部は、復号タイミング信号を発生してデコードバッファに与える。ステップh5において、復号タイミングを発生してデコードバッファに与えると、ステップh6に移行する。
ステップh6では、基準時刻にSTCの時刻tsを取得する。ステップh6の処理の終了後は、全ての処理手順を終了する。このように本実施の形態では、PCRに変化がありSTCが変化前の過去に変更されてしまうような場合においても復号タイミング信号が発生される。
次に、表示タイミングの発生方法について述べる。
図18は、本実施の形態における復号タイミング発生処理に関する復号タイミング発生部14の構成を示すブロック図である。
DTS取得部23では、復号タイミング発生部14から与えられるPESのヘッダ部に含まれるデータからDTSを取得し、比較器22に出力する。加算器21では、STC発生部18から入力したSTCデータと正の値β20を加算し比較器21に出力する。比較器21は加算器21とDTS取得部23からのデータを入力し比較結果をスイッチ29に出力する。比較器28はSTC発生部18とDTS取得部23からのデータを入力し比較結果をスイッチ29に出力する。スイッチ29は、比較器22と比較器28のデータを入力しPCR変化検出部30の検出結果からのデータをスイッチング信号として入力し、復号タイミングとしてデコードバッファ13に出力する。
図19は、本実施の形態における表示タイミング発生処理に関する表示タイミング発生部の処理手順を示すフローチャートである。
ステップi1では、表示タイミング発生部は、PTSから提示時刻tpを取得する。ステップi1において、提示時刻tpが表示タイミング発生部によって取得されると、ステップi2に移行する。
ステップi2では、表示タイミング発生部は、STCの基準時刻tsを取得する。ステップi2において、STCの基準時刻tsが表示タイミング発生部によって取得されると、ステップi3に移行する。
ステップi3では、表示タイミング発生部は、STCの基準時刻tsに提示時刻tpを超えて充分な未来の時刻tf(ts=tf=ts+β β>0)を設定する。ステップi3において、tsに未来の時刻が設定されると、ステップi7に移行する。
ステップi7では、ステップi1でDTSの取得がなされてからPCRに変化が生じたかどうかを検出する。PCRの変化を検出した場合は、ステップi8に移行し、PCRの変化を検出しない場合は、ステップi4に移行する。
ステップi8では、従来技術における表示タイミング発生処理に関する表示タイミング発生部の処理手順図6に従った処理ステップを行い、ステップi8の処理の終了後は、全ての処理手順を終了する。
ステップi4では、復号タイミング発生部は、基準時刻tsと提示時刻tpとを比較し、基準時刻tsが提示時刻tpを過ぎている(tp<ts)と判断された場合はステップi5に移行し、基準時刻tsが提示時刻tpより前と判断された場合はステップi2に戻り、前述と同様の処理を行うが、基準時刻tsがtpより未来の時刻tfであればi5に移行する。
ステップi3で基準時刻にβを足し込むことで未来の時刻を設定しているにもかかわらずSTCがβの値を超えて過去に変化していた場合には、i2に戻る処理を行うことになりステップi5に移行することができない。
ステップi5では、表示タイミング発生部は、表示タイミング信号を発生してフレームバッファに与える。ステップi5において、表示タイミングを発生してフレームバッファに与えると、ステップi6に移行する。
ステップi6では、基準時刻にSTCの時刻tsを取得する。ステップi6の処理の終了後は、全ての処理手順を終了する。このように本実施の形態では、PCRに変化がありSTCが変化前の過去に変更されてしまうような場合においても表示タイミング信号が発生される。
図20は、本実施の形態における表示タイミング発生処理に関する表示タイミング発生部17の構成を示すブロック図である。
PTS取得部27では、表示タイミング発生部17から与えられるPESのヘッダ部に含まれるデータからPTSを取得し、比較器26に出力する。加算器25では、STC発生部18から入力したSTCデータと正の値β24を加算し比較器26に出力する。比較器26は加算器25とPTS取得部27からのデータを入力し比較結果をスイッチ32に出力する。スイッチ32は、比較器26と比較器31のデータを入力しPCR変化検出部33の検出結果からのデータをスイッチング信号として入力し、復号タイミングとしてフレームバッファ16に出力する。
本実施の形態では、PCRの変化が起こったときには復号や表示のタイミングを従来と同じタイミングに戻す処理を行っているが、PCRの変化後のSTCの変更タイミングを復号・表示タイミング発生が起こるまで遅らせることで実現しても良い。また、タイミング発生がなされるようにDTSやPTSの値をSTCの変更にあわせて変更しても良い。また、タイミング発生がなされる方法であればこれ以外の方法であっても良いことは言うまでもない。
以上のように本実施の形態においては、放送局など送出側の都合によってPCRが変化するタイミングの直前で選局動作を開始し、PCRの変化がDTSが取得されてから復号タイミングを発生するまで、また、PTSが取得されてから表示タイミングを発生するまでの間に起こった場合においても復号・表示タイミングが発生される。このように本実施の形態では、送信信号の変化に対しても安定して映像を表示する。
1 映像表示装置、11 ストリームIF、12 PES処理部、13 デコードバッファ、14 復号タイミング発生部、15 デコーダ、16 フレームバッファ、17 表示タイミング発生部、18 STC発生部、20 定数β、21 加算器、22 比較器、23 DTS取得部、24 定数β、25 加算器、26 比較器、27 PTS取得部、28 比較器、29 スイッチ、30 PCR変化検出部、31 比較器、32 スイッチ、33 PCR変化検出部。

Claims (10)

  1. 符号化された複数のフレームを含む映像データを復号して表示する映像表示装置であって、
    前記映像データが入力される入力手段と、
    前記入力手段に入力された前記映像データの各フレームを復号する復号タイミングを表す復号タイミング信号を発生する復号タイミング発生手段と、
    前記復号タイミング信号に基づいて、前記入力手段に入力された前記映像データの各フレームを復号する復号手段と、
    前記復号手段によって復号された各フレームを出力する表示タイミングを表す表示タイミング信号を発生する表示タイミング発生手段と、
    前記表示タイミング信号に基づいて、前記復号された各フレームを出力する出力手段とを備え、
    前記表示タイミング発生手段は、前記入力手段に入力される前記映像データが変化したときに基準時刻を未来に設定し、その後に最初に復号可能なフレームのPTSが取得された直後の時点で前記復号可能なフレームの表示タイミングを発生させることを特徴とする映像表示装置。
  2. 符号化された複数のフレームを含む映像データを復号して表示する映像表示装置であって、
    前記映像データが入力される入力手段と、
    前記入力手段に入力された前記映像データの各フレームを復号する復号タイミングを表す復号タイミング信号を発生する復号タイミング発生手段と、
    前記復号タイミング信号に基づいて、前記入力手段に入力された前記映像データの各フレームを復号する復号手段と、
    前記復号手段によって復号された各フレームを出力する表示タイミングを表す表示タイミング信号を発生する表示タイミング発生手段と、
    前記表示タイミング信号に基づいて、前記復号された各フレームを出力する出力手段とを備え、
    前記復号タイミング発生手段は、前記入力手段に入力される前記映像データが変化したときに基準時刻を未来に設定し、その後に最初に復号可能なフレームのDTSが取得された直後の時点で前記復号可能なフレームの復号タイミング信号を発生させ、
    前記表示タイミング発生手段は、前記入力手段に入力される前記映像データが変化したときに基準時刻を未来に設定し、その後に最初に表示可能なフレームのPTSが取得された直後の時点で前記表示可能なフレームの表示タイミングを発生させることを特徴とする映像表示装置。
  3. 最初に復号可能なフレームのDTSが取得された時点は、前記復号可能なフレームのデータ全てが取得された時点であることを特徴とする請求項2に記載の映像表示装置。
  4. 最初に復号可能なフレームのDTSが取得された時点は、前記復号可能なフレームのデータ一部が取得された時点であって、前記復号可能なフレームのデータの全てが取得される時点よりも早い時点であることを特徴とする請求項2に記載の映像表示装置。
  5. 復号タイミング発生手段は、
    最初に復号可能なフレームが取得された時点から後に次の復号可能なフレームが取得されると、前記次の復号可能なフレームに対して定められているデコード時刻を補正した補正デコード時刻において前記次の復号可能なフレームの前記復号タイミング信号を発生することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の映像表示装置。
  6. 表示タイミング発生手段は、
    最初に表示可能なフレームが取得された時点から後に表示可能なフレームが取得されると、前記後に表示可能なフレームに対して定められる提示時刻にずれ量を補正した補正提示時刻において、前記後に表示可能なフレームの表示タイミング信号を発生することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の映像表示装置。
  7. ずれ量は、
    一定値であることを特徴とする請求項6に記載の映像表示装置。
  8. ずれ量は、
    ゼロであることを特徴とする請求項6に記載の映像表示装置。
  9. ずれ量は、
    後に表示可能な複数のフレームに対して順次ゼロに近づくように段階的な値であることを特徴とする請求項6に記載の映像表示装置。
  10. 映像データに含まれるPCRに変化を検出するPCR変化検出部を備え、
    復号タイミング発生手段は、入力手段に入力される前記映像データが変化したときに基準時刻を未来に設定した後に前記PCR変化検出部で前記PCRの変化が検出されない場合は、復号可能なフレームを即座に復号し、
    表示タイミング発生手段は、表示可能なフレームを即座に表示する
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の映像表示装置。
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