JP5020119B2 - 析出板製造装置および析出板製造方法 - Google Patents

析出板製造装置および析出板製造方法 Download PDF

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本発明は、析出板製造装置および析出板製造方法に関する。
半導体素子などの製造においては、シリコン層を形成する工程が重要であり、このようなシリコン層は、たとえばインゴットを、バンドソー等で小さなブロックに切断し、さらにワイヤソーまたは内周刃法などでスライスすることによって製造する方法がある。
このような製造方法は、シリコンインゴットを得るための鋳造工程に加え、所定のブロックサイズに切断する工程と、高いコストを要するスライシング工程が必要なこと、またこのスライシング工程でワイヤまたは内周刃の厚み分以上の材料ロスを生じること等、製造コスト低減を図るうえで大きな障害になっている。
このような問題を解決する従来技術として、スライシング工程を省略し、溶融シリコンに冷却体基板を浸漬させ、冷却体の生成面にシリコンを付着、凝固析出させるシリコン層を製造する方法が提案されている。
図6は従来のシリコン製造に用いられる析出板製造装置1の構成を簡略化して示す図であり、図7は析出板製造装置1におけるシリコン製造の概要を説明する図である。以下図6および図7を参照し、溶融シリコンに冷却体を浸漬させ、冷却体の生成面にシリコンを付着、凝固析出させるシリコン製造方法を説明する。
析出板製造装置1は、チャンバ2によって形成される処理空間3内に溶解炉4が配置される。溶解炉4には坩堝5が備えられ、坩堝5内にはシリコンを加熱溶解した溶湯6が収容される。また、処理空間3内には、冷却体7を溶湯6に浸漬させる浸漬手段8が設けられる。
浸漬手段8は、不図示の搬送装置によって、チャンバ2の1側壁に形成される冷却体搬入口9を通して処理空間3内に搬入された冷却体7を保持することができる。浸漬手段8は、保持する冷却体7を、矢符12で示される方向、すなわち冷却体搬入口9付近から坩堝5に収容される溶湯6の上方位置まで搬送し、溶湯6に浸漬させ、冷却体7の表面にシリコンを凝固析出させる。その後、浸漬手段8は、冷却体7と冷却体7の表面に生成されたシリコン層11を、溶湯6から引き上げ、さらに溶湯6の上方位置から離反させる矢符13で示す方向、すなわち冷却体搬入口9が形成される1側壁に対向する側壁に形成される冷却体搬出口10方向へ向けて搬送し、冷却体搬出口10を通して不図示の搬送装置へ受け渡す。制御装置14は、析出板製造装置1の各部の動作を制御する。
以上の一連のシリコン製造の動作を複数回繰返すと、溶解炉4に備わる坩堝5に収容される溶湯6が減少し、層状シリコン11の製造に支障が出る。その場合、一旦層状シリコン11の製造を停止し、図示しないシリコンの溶解材料追加装置によって、析出板製造装置1の外部から追加のシリコンを、坩堝5内へ導入して溶解し、減少分の溶湯を補充する。
このような従来技術で用いられる方法では、冷却体7が、溶解したシリコンの溶湯6内に浸漬され、その後溶湯6外に引き上げられるので、冷却体7の表面に析出した層状シリコン11は、析出およびその後の冷却過程における急激な温度変化により大きな内部応力を内包することが避けられない。
そしてシリコン層のサイズがある値以上の場合、冷却体表面に析出したシリコン層の内部に発生した大きな応力は、シリコン層を破壊してしまう場合がある。
近年では、製造効率を向上するために多数個取りが主流となっており、半導体素子なども可能な限り大きなサイズで製造し、その後個別に分割する傾向がある。
したがって、シリコン層もサイズが大きくなり、内部応力による破壊が大きな問題となる。
特許文献1および特許文献2記載の析出板製造装置は、析出後に冷却体を引き上げ、坩堝から離反する方向へ移動する際に落下物を受容する落下物受容手段を設け、さらに、その落下物を再投入している。
特許文献3記載の単結晶成長装置では、容器の底部中央に光透過性が高い窓を形成し、光学温度計を窓に臨ませて、検出した光学信号を電気信号に変換して温度表示をするようにしている。溶融液が固化すると温度が低下するので、温度が低下するとヒータ出力を上げて、固化浮遊物の生成を防止している。
特開2006−49439号公報 特開2007−73635号公報 特開平10−167880号公報
特許文献1,2記載の析出板製造装置では、坩堝の外側に落下する落下物を受容することで、落下物の生産に対する悪影響を抑えてはいるが、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物のひとつである溶湯中に落下した浮遊物への対策は講じられていない。
溶湯中に落下した浮遊物は、チャンバ内をカメラなどで撮影し、その映像を目視で確認し、浮遊物がある場合は、装置を止めるように操作する必要がある。このような監視方法では、連続運転が困難である。
放射エネルギーを利用している特許文献3記載の単結晶成長装置では、固化されると融液状態時に表示される温度よりも高い温度が表示される。これは固化時の放射率(εs)と融液時の放射率(εl)とが異なり、放射率を融液時の放射率εl(<εs)で設定しており、放射エネルギーがεT(T:温度)に比例することによる。
ところが、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物のひとつである溶湯中に落下した浮遊物を、放射エネルギーを利用して温度換算後に判別しようとすると、溶湯の表示温度よりも浮遊物のほうが低い温度で表示される場合があり、従来技術である高い温度が表示されるという記載と一致しない。
本発明の目的は、溶湯中の冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物による生産性に対する悪影響を防止することができる析出板製造装置および析出板製造方法を提供することである。
本発明は、溶解対象物を加熱して溶湯にし、該溶湯を収容する溶解炉と、析出板生成の原板である冷却体を、溶湯の上方位置へ搬送し、溶湯中へ浸漬し、溶湯中から引き上げて溶湯の上方位置から離反する方向へ搬送する浸漬手段とを備え、溶解対象物を冷却体の表面に凝固析出させて析出板を製造する析出板製造装置であって、
溶湯の表面からの放射エネルギーを検出し、前記放射エネルギーを温度換算する検出手段と、
前記放射エネルギーが換算された温度の変化に基づいて、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物の有無を判断する判断手段と、
判断手段の判断結果に応じて、浸漬手段の動作を制御する制御手段とを有し、
前記判断手段は、前記放射エネルギーが換算された温度の変化が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有るものと判断し、
前記制御手段は、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有ると判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を停止することを特徴とする析出板製造装置である。
また本発明は、溶解対象物を加熱して溶湯にし、該溶湯を収容する溶解炉と、析出板生成の原板である冷却体を、溶湯の上方位置へ搬送し、溶湯中へ浸漬し、溶湯中から引き上げて溶湯の上方位置から離反する方向へ搬送する浸漬手段とを備え、溶解対象物を冷却体の表面に凝固析出させて析出板を製造する析出板製造装置であって、
溶湯の表面からの放射エネルギーを検出する、放射温度計で構成される検出手段と、
前記放射エネルギーの変化に基づいて、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物の有無を判断する判断手段と、
判断手段の判断結果に応じて、浸漬手段の動作を制御する制御手段とを有し、
前記判断手段は、前記放射エネルギーの変化が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有るものと判断し、
前記制御手段は、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有ると判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を停止することを特徴とする析出板製造装置である。
また本発明は、溶解対象物を加熱して溶湯にし、該溶湯を収容する溶解炉と、析出板生成の原板である冷却体を、溶湯の上方位置へ搬送し、溶湯中へ浸漬し、溶湯中から引き上げて溶湯の上方位置から離反する方向へ搬送する浸漬手段とを備え、溶解対象物を冷却体の表面に凝固析出させて析出板を製造する析出板製造装置であって、
溶湯の表面からの放射エネルギーを検出する、サーモグラフィーで構成される検出手段と、
前記放射エネルギーの変化に基づいて、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物の有無を判断する判断手段と、
判断手段の判断結果に応じて、浸漬手段の動作を制御する制御手段とを有し、
前記判断手段は、前記放射エネルギーの変化が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有るものと判断し、
前記制御手段は、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有ると判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を停止することを特徴とする析出板製造装置である。
また本発明は、前記判断手段は、前記放射エネルギーの変化が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有るものと判断し、前記放射エネルギーの増加が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続した後、前記放射エネルギーの変化が、予め定める変化幅以下であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が無いものと判断し、
前記制御手段は、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有ると判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を停止し、冷却体の溶湯中への浸漬を停止したのちに冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が無いと判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を再開することを特徴とする。
また本発明は、前記判断手段は、前記放射エネルギーの変化が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有るものと判断し、前記放射エネルギーの減少が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続した後、前記放射エネルギーが増加し、前記放射エネルギーの増加が、予め定める変化幅以上になった後、前記放射エネルギーが減少し、前記放射エネルギーの減少が、予め定める変化幅以下であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が無いものと判断し、
前記制御手段は、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有ると判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を停止し、冷却体の溶湯中への浸漬を停止したのちに冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が無いと判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を再開することを特徴とする。
また本発明は、前記判断手段は、現在の放射エネルギーと、現在よりも過去の所定期間の放射エネルギーの平均値との差を、放射エネルギーの変化として算出し、前記放射エネルギーの変化が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有るものと判断し、
前記制御手段は、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有ると判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を停止することを特徴とする。
また本発明は、前記判断手段は、放射エネルギーを温度換算することを特徴とする。
また本発明は、溶解対象物を溶解炉で加熱して溶湯にし、析出板生成の原板である冷却体を、溶解炉に収容される溶湯の上方位置へ搬送し、溶湯中へ浸漬し、溶湯中から引き上げて溶湯の上方位置から離反する方向へ搬送することによって、溶解対象物を冷却体の表面に凝固析出させて析出板を製造する析出板製造方法であって、
溶湯の表面からの放射エネルギーを検出し、前記放射エネルギーを温度換算する検出工程と、
判断手段によって前記放射エネルギーが換算された温度の変化に基づいて、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物の有無を判断する判断工程と、
制御手段によって判断手段の判断結果に応じて、浸漬手段の動作を制御する制御工程とを有し、
前記判断工程では、前記放射エネルギーが換算された温度の変化が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有るものと判断し、
前記制御工程では、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有ると判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を停止することを特徴とする析出板製造方法である。
本発明によれば、検出手段が、溶湯の表面からの放射エネルギーを検出し、前記放射エネルギーを温度換算すると、判断手段が、前記放射エネルギーが換算された温度の変化に基づいて、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物の有無を判断する。制御手段は、判断手段の判断結果に応じて、浸漬手段の動作を制御する。
判断手段は、前記放射エネルギーが換算された温度の変化が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有るものと判断する。制御手段は、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有ると判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を停止する。
これにより、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物のひとつである浮遊物の付着による不良品の発生を防ぎ、溶湯中の浮遊物による生産性に対する悪影響を防止することができる。さらに、判断手段および制御手段によって連続運転も可能となる。
また本発明によれば、前記検出手段として、放射エネルギーを温度換算することにより人間が見慣れた温度表示ができ、たとえばメンテナンス時に冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物の有無を確認しやすい状況で検出ができる。
また本発明によれば、前記検出手段として、放射温度計またはサーモグラフィーを用いることが可能で、容易に温度検出ができる。
また本発明によれば、判断手段は、前記放射エネルギーの増加が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続した後、前記放射エネルギーの変化が、予め定める変化幅以下であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が無いものと判断する。
また本発明によれば、判断手段は、前記放射エネルギーの減少が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続した後、前記放射エネルギーが増加し、放射エネルギーの増加が、予め定める変化幅以上になった後、放射エネルギーが減少し、前記放射エネルギーの減少が、予め定める変化幅以下であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、溶湯中に冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物のひとつである浮遊物が無いものと判断する。
制御手段は、冷却体の溶湯中への浸漬を停止したのちに溶湯中に冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が無いと判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を再開する。
これにより、冷却体の溶湯中への浸漬を速やかに再開することができるので、装置の長時間の停止を防ぎ、溶湯中の冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物による生産性に対する悪影響を防止することができる。
また本発明によれば、判断手段は、現在の放射エネルギーと、現在よりも過去の所定期間の放射エネルギーの平均値との差を、放射エネルギーの変化として算出する。
これにより、放射エネルギーの変化を容易に、かつ速やかに算出することができる。
また本発明によれば、前記判断手段として、放射エネルギーを温度換算することにより人間が見慣れた温度表示ができ、たとえばメンテナンス時に冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物の有無を確認しやすい状況で検出ができる。
また本発明によれば、検出工程で、検出手段によって前記放射エネルギーを検出し、前記放射エネルギーを温度換算と、判断工程で、判断手段によって前記放射エネルギーが換算された温度の変化に基づいて、溶湯中の冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物の有無を判断する。制御工程では、制御手段によって判断手段の判断結果に応じて、浸漬手段の動作を制御する。
判断工程では、放射エネルギーが換算された温度の変化が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、溶湯中に冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有るものと判断する。制御工程では、溶湯中に冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有ると判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を停止する。
これにより、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物のひとつである浮遊物の付着による不良品の発生を防ぎ、溶湯中の浮遊物による生産性に対する悪影響を防止することができる。
図1は、本発明の実施の一形態である析出板製造装置20の構成を簡略化して示す図であり、図2は、図1に示す析出板製造装置20による析出板製造の概要を示す図である。
析出板製造装置20は、溶解対象物を溶解炉で加熱して溶湯にし、析出板生成の原板である冷却体基板を、溶湯中へ浸漬し、溶湯中から引き上げて、溶解対象物を冷却体基板の表面に凝固析出させて析出板を製造することに用いられる。本実施の形態では、溶解対象物としてシリコンを用い、冷却体基板の表面上にシリコンを凝固析出させて析出板である層状シリコンを製造する場合について例示する。
析出板製造装置20は、大略、チャンバ21と、チャンバ21が形成する内部空間である処理空間22内に設けられ、溶解対象物であるシリコンを加熱して溶湯23にし、該溶湯23を収容する溶解炉24と、層状シリコン生成の原板である冷却体基板25を、溶湯23の上方位置へ搬送し、溶湯23中へ浸漬し、溶湯23中から引き上げて溶湯23の上方位置から離反する方向へ搬送する浸漬装置26と、冷却体基板25が溶湯上方位置から離反する方向へ搬送される搬送経路途中に設けられ、冷却体基板25から離脱して落下する落下物である層状シリコン27の破片を受容する落下物受容手段28と、落下物受容手段28によって受容される層状シリコン27の破片を溶解炉24内へ移動させる落下物再投入手段29とを含んでいる。
チャンバ21は、外観が大略直方体形状を有し、内部が中空の構造体である。チャンバ21は、たとえば鋼製の躯体に図示を省くけれどもアルミナ(Al)などの断熱材が内張りされて、断熱かつ耐火構造を備える。このチャンバ21には、不図示の真空排気手段と不活性ガス供給手段とが付設され、これらによって、チャンバ21内部の処理空間22を真空雰囲気または不活性ガス雰囲気に保つことができる。
またチャンバ21の一方の側壁21aには、チャンバ21の外部にある不図示の搬送装置と、処理空間22内にある浸漬装置26との間で、冷却体基板25を受渡しするための冷却体搬入口31が形成される。この冷却体搬入口31には、不図示の開閉自在の扉が設けられ、扉の外方にはさらに副室チャンバが設けられる。この副室チャンバは、チャンバ21と同様に雰囲気調整が可能に構成され、冷却体搬入口31と反対側には開閉自在の扉が設けられる。したがって、搬送装置でチャンバ21まで搬送された冷却体基板25は、まず大気開放された副室チャンバ内へ搬入され、副室チャンバ内を雰囲気調整した後、さらに副室チャンバ内に備わる搬送手段によって冷却体搬入口31を通して浸漬装置26へ渡される。
チャンバ21の前記一方の側壁21aに対向する他方の側壁21bには、チャンバ21の外部にある不図示のもう一つの搬送装置と、処理空間22内にある浸漬装置26との間で、冷却体基板25を受渡しするための冷却体搬出口34が形成される。この冷却体搬出口34にも、開閉自在の扉とその外方に副室チャンバが設けられ、冷却体搬入口31の場合と同様にして、浸漬装置26ともう一つの搬送手段との間で層状シリコン27を有する冷却体基板25が受渡しされる。
溶解炉24は、高周波誘導溶解炉であり、溶解対象物であるシリコンが投入され溶解されてその溶湯23が収容される坩堝32と、坩堝32のまわりに巻きまわされる高周波誘導コイル33と、坩堝32と高周波誘導コイル33とを収容する炉体容器35と、不図示の高周波電源とを含む。
坩堝32は、たとえばグラファイト製の有底円筒状容器である。炉体容器35は、たとえば耐火煉瓦から成り、坩堝32とほぼ相似形の有底円筒状容器である。炉体容器35と坩堝32および高周波誘導コイル33との間は、図では空隙であるけれども、実際にはここに断熱性および絶縁性の耐火物などが充填される。溶解炉24は、処理空間22内であって、チャンバ21の底板21c上に設置される。溶解炉24は、高周波電源から高周波誘導コイル33に高周波電流を流すことによって、グラファイト製の坩堝32および坩堝32内のシリコンに誘導電流が発生し、自ら発熱することを利用する装置である。
浸漬装置26は、冷却板基板25を保持する保持ヘッド36と、保持ヘッド36が装着されて鉛直方向に延びて設けられる垂直アーム37と、垂直アーム37を鉛直方向に移動させる鉛直駆動部38と、垂直アーム37および保持ヘッド36を水平方向に移動させる水平駆動部39と、鉛直駆動部38および水平駆動部39が搭載される台車部40と、台車部40が案内されて水平方向に走行する軌道部材41とを含む。
軌道部材41は、たとえば金属製の細長い部材であり、処理空間22内において前記一方の側壁21aと他方の側壁21bとの両者に隣接する側壁に装着され、坩堝32の上方空間を、冷却体搬入口31から冷却体搬出口34に向って延びるように設けられる。
水平駆動部39は、軌道部材41に形成されるたとえば溝状の軌道に案内されて台車部40を水平方向へ進退自在に移動させる。
鉛直駆動部38は、垂直アーム37と垂直アーム37に装着される保持ヘッド36とを鉛直方向、すなわち坩堝32の上方に位置するときには、坩堝32に収容される溶湯23に近接離反するように移動させることができる。
垂直アーム37に装着される保持ヘッド36は、ハンドリング機構を有し、ハンドリング機構の動作により冷却体基板25を把持し、また解放することができる。
したがって、浸漬装置26は、以下の動作をすることができる。浸漬装置26は、水平駆動部39の動作によって、垂直アーム37と保持ヘッド36とが、台車部40とともに冷却体搬入口31近傍まで移動し、冷却体搬入口31を通して冷却体基板25を受取って保持ヘッド36で保持し、再び水平駆動部39の動作によって、図2中矢符42で示す方向である冷却体搬入口31から坩堝32上方位置へ向って移動する。さらに浸漬装置26は、鉛直駆動部38の動作によって、垂直アーム37を下降させて保持ヘッド36に保持される冷却体基板25を坩堝32に収容される溶湯23中へ浸漬し、シリコンを冷却体基板25の表面に凝固析出させた後、再度鉛直駆動部38の動作によって垂直アーム37を上昇させて冷却体基板25を溶湯23から引き上げ、図2中矢符43で示す方向である坩堝32上方位置から冷却体搬出口34へ向って移動し、冷却体搬出口34を通して冷却体基板25を引渡す。
落下物受容手段28は、カーボンまたは石英から成る平面形状が矩形の台板状部材である。なお、落下物受容手段28は、落下物を受容する部分のみがカーボンまたは石英から成るように形成されてもよい。このように落下物を受容する部分が、カーボンまたは石英で形成されることによって、落下した層状シリコン27の破片に対する重金属等の不純物混入を避けることができるので、製造される析出板の品質を高品位に保つことができる。
落下物再投入手段29は、落下物受容手段28の落下物受容面28aが溶解炉24へ近づくにつれて下方に傾斜するように、落下物受容手段28を傾動させる傾動手段である。傾動手段29は、たとえば直動装置29aと不図示の電動機とで構成される。直動装置29aは、ロッド先端に設けられるピンが、落下物受容手段28に設けられる軸受44に支持され、ロッドを退縮させた状態で、落下物受容手段28の受容面28aが水平になるように位置決めされてチャンバ21に装着される。このことによって、傾動手段29は、直動装置29aのロッドを伸長させたとき、落下物受容手段28を前述のように傾斜させることができる。
析出板製造装置20には、さらに制御装置45が備えられる。制御装置45は、たとえば中央処理装置(CPU)を備える処理回路であり、溶解炉24の電源、浸漬装置26の各駆動部、落下物再投入手段である傾動手段29などに電気的に接続され、制御装置45のメモリ部に予めストアされる装置全体の動作制御プログラムに従って、析出板製造に係る装置の全体動作を制御する。
本発明では、溶湯23の冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物のひとつである浮遊物を検出するために放射温度計50を設け、放射エネルギーを温度換算して溶湯23表面の温度変化を測定する。放射温度計の放射率は、溶湯の放射率で設定しておき、固体浮遊物が発生しても、固体浮遊物の放射率に変更しない。これは、固体浮遊物が発生した時でも、溶湯の放射率で設定しておくことにより、固体浮遊物が有るときと無いときとで温度差がはっきりでるからである。
放射温度計50は、溶湯23の放射エネルギーを測定できるように、チャンバ21外で坩堝32の上方に設ける。放射温度計50と坩堝23とを結ぶ仮想線とチャンバ21が交わる位置においては、検出窓51が設けられる。検出窓51は、たとえば石英やサファイアガラスや耐熱ガラスで構成される。
溶融した状態のシリコンの放射エネルギーの温度換算と、層状シリコンの破片や不純物などの固体浮遊物の放射エネルギーの温度換算とは明らかに異なる温度となるので、放射温度計50で溶湯23の温度を測定した場合、浮遊物の有無を温度差で検出することができる。
なお、溶湯23の表面状態などの影響により放射温度計50の測定結果としては、溶融した状態のシリコンの温度よりも、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物のひとつである固体浮遊物の温度のほうが高く測定されるときと、低く測定されるときがある。以下に2つの場合について述べる。
本実施形態においては、溶湯23の表面状態などの影響により放射温度計50の測定結果としては、溶融した状態のシリコンの温度よりも、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物のひとつである固体浮遊物の温度のほうが高いものとして測定される場合についての処理を以下に述べる。
制御装置45は、放射温度計50によって溶湯23の温度を連続的に測定させ、垂直アーム37が坩堝32の上方まで移動し、冷却体基板25を下降させる前の状態で、過去の溶湯23の平均温度と、現在の溶湯23の温度とを比較する。このとき、現在の温度と過去の平均温度との差が第1閾値以上であれば、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物のひとつである浮遊物が溶湯23中に存在するものと判断する。
浮遊物が溶湯23中に存在すると判断した場合は、垂直アーム37による冷却体基板25の下降を停止し、待機状態とする。放射温度計50による溶湯23の温度測定は、浮遊物の有無、垂直アーム37の動作停止にかかわらず連続的に行われる。
浮遊物が、層状シリコンの破片であった場合、再溶融したことを確認した後に冷却体基板25の下降を再開する。再溶融したことの確認は、浮遊物検出後、放射温度計50によって測定した溶湯23の温度が、第2閾値以下でかつ所定時間以上であれば、再溶融したものと判断する。
シリコンの破片は、ある程度の時間が経過すると坩堝32内で再溶融するので、再溶融した後の溶湯23の温度は、所定の温度以下で一定の温度となる。したがって、第2閾値としては、溶融状態の温度近傍の温度を設定すればよい。
以下では、浮遊物の検出および浸漬装置26の動作制御について詳細に説明する。
放射温度計50による溶湯23の温度測定は、予め溶湯23の表面を複数の領域に分割し、分割した領域毎の平均温度を、その領域の溶湯23温度とする。
図3は、温度測定領域を分割した分割領域の例を示す図である。全体領域Sは、坩堝32を上方から見たときの開口であり、溶湯23の表面全体を示す領域である。全体領域Sの中に、分割領域S1〜S3を設定し、分割領域内のみの測定値を出力すればよい。分割領域は、全体領域を全てカバーする必要はなく、全体領域の一部であってもよい。
温度測定にあたって領域を分割する理由は、以下の通りである。
溶湯23の表面全体の面積に対して浮遊物が占める面積は、非常に小さいものである。したがって、溶湯23の表面全体の平均値を用いて浮遊物を検出しようとした場合、浮遊物がある状態の平均値と、浮遊物が無い状態の平均値とでは、値の差がほとんど見られないことになる。
浮遊物による影響を検出可能とするには、平均値を算出する対象となる領域の面積を小さくし、浮遊物がある状態の平均値と、無い状態の平均値との差を大きくすることが重要である。
以下では、1つの分割領域S1での処理を例として説明するが、分割領域S2およびS3でも以下の処理と同様の処理を並行して行っている。
図4は、浮遊物の有無を判断する処理を説明するための図である。
図4に示したグラフは、縦軸が温度(℃)を示し、横軸が時間(秒)を示す。縦軸の温度は、分割領域S1内の平均温度であり、以下では単に「温度」という。
放射温度計50によって連続的に温度を測定しておき、溶融状態の温度として期間Aの平均温度Taを算出する。Taは、現在の測定値が得られると現在よりも過去の期間Aの温度を用いてTaを算出するので、新たな測定値が得られるごとにTaを算出し、更新する。
さらに、現在の温度Tpと過去の平均温度Taとの差であるΔT(=|Tp−Ta|)、ΔT’(=Tp−Ta)を算出し、ΔTと第1閾値TH1とを比較する。浮遊物が無い場合は、ΔTはほぼゼロに近い値となるので、ΔTがTH1以上となることはない。
落下などにより分割領域S1内に浮遊物が発生するとTpが急激に上昇する(ΔT’>0)。このとき、ΔTが大きくなり、ある時点でΔTがTH1以上となる。さらに、浮遊物が存在すると、ΔTがTH1以上となった状態が所定期間B以上継続することになる。
これらのことから、放射温度計50による温度測定結果に基づき、ΔT≧TH1である期間がB以上継続した場合、分割領域S1内に浮遊物が存在するものと判断することができる。
TH1は、測定条件や装置の構造などによって適宜設定すればよく、たとえば10〜20℃である。また、期間Aおよび期間Bも、測定条件や装置の構造などによって適宜設定すればよく、たとえば期間Aは5〜10秒間であり、期間Bは0.3〜1.0秒間である。
浸漬装置26の動作制御については、通常、垂直アーム37が坩堝32の上方まで移動し、冷却体基板25を下降させる前に下降してもよいかどうか、すなわち、浮遊物が存在するかどうかを判断する。
上記のように、浮遊物の有無の判断を連続的に行い、その判断結果を所定間隔ごとに更新しておく。制御装置45は、冷却体基板25を下降させる前に、浮遊物の有無の判断結果を参照し、浮遊物が無ければ冷却体基板25を下降させ、浮遊物があれば下降を停止して待機状態とする。
浮遊物が検出された後には、再溶融したことも判断し、冷却体基板25の下降を再開する必要がある。
浮遊物を検出した後も放射温度計50による温度測定は継続しており、ΔTの算出も継続される。浮遊物が再溶融し始めるとΔTが再び小さくなり、再溶融が終わるとΔTがほぼゼロ(ΔTが第2閾値TH2以下)となる。さらに、分割領域S1内の浮遊物が全て再溶融すると、ΔTがTH2以下となった状態が所定期間C以上継続することになる。
これらのことから、放射温度計50による温度測定結果に基づき、ΔT≦TH2である期間がC以上継続した場合、分割領域S1内に浮遊物が存在しないものと判断することができる。
期間Cも、測定条件や装置の構造などによって適宜設定すればよく、たとえば0.3〜1.0秒間である。
浸漬装置26の動作制御については、冷却体基板25の下降を停止して待機状態となったのち、下降を再開するために、浮遊物の有無の判断結果を所定間隔ごとに参照する。
一方で、上記のように、浮遊物の有無の判断は連続的に行われており、待機状態で参照しようとする判断結果は、所定期間ごとに更新されている。待機状態で参照したときの判断結果が、浮遊物無しの結果であった場合、冷却体基板25の下降を再開し、浸漬を行う。
分割領域S2およびS3でも浮遊物の有無の判断が並行して行われているので、分割領域の制御装置45は、冷却体基板25を下降させる前に全ての分割領域の判断結果を参照し、いずれか1つの分割領域でも浮遊物があった場合は、下降を停止する。また、待機状態では、全ての分割領域の判断結果を参照し、全ての分割領域で浮遊物が無い場合に下降を再開する。
次に、溶湯23の表面状態などの影響により放射温度計50の測定結果としては、溶融した状態のシリコンの温度よりも、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物のひとつである固体浮遊物の温度のほうが低いものとして測定される場合についての処理を以下に述べる。
制御装置45は、放射温度計50によって溶湯23の温度を連続的に測定させ、垂直アーム37が坩堝32の上方まで移動し、冷却体基板25を下降させる前の状態で、過去の溶湯23の平均温度と、現在の溶湯23の温度とを比較する。このとき、現在の温度と過去の平均温度との差が第1閾値以上であれば、浮遊物が溶湯23中に存在するものと判断する。
浮遊物が溶湯23中に存在すると判断した場合は、垂直アーム37による冷却体基板25の下降を停止し、待機状態とする。放射温度計50による溶湯23の温度測定は、浮遊物の有無、垂直アーム37の動作停止にかかわらず連続的に行われる。
浮遊物が、層状シリコンの破片であった場合、再溶融したことを確認した後に冷却体基板25の下降を再開する。
再溶融したことの確認は、浮遊物検出後、放射温度計50によって測定した溶湯23の温度が上昇し、第3閾値を一旦超えた後、温度が下がってから、第2閾値以下でかつ所定時間以上であれば、再溶融したものと判断する。
シリコンの破片は、ある程度の時間が経過すると坩堝32内で再溶融するので、再溶融した後の溶湯23の温度は、所定の温度以下で一定の温度となる。したがって、第2閾値としては、溶融状態の温度近傍の温度を設定すればよい。
図5は、浮遊物の有無を判断する処理を説明するための図である。
図5に示したグラフは、縦軸が温度(℃)を示し、横軸が時間(秒)を示す。縦軸の温度は、分割領域S1内の平均温度であり、以下では単に「温度」という。
放射温度計50によって連続的に温度を測定しておき、溶融状態の温度として期間Aの平均温度Taを算出する。Taは、現在の測定値が得られると現在よりも過去の期間Aの温度を用いてTaを算出するので、新たな測定値が得られるごとにTaを算出し、更新する。
さらに、現在の温度Tpと過去の平均温度Taとの差であるΔT(=|Tp−Ta|)、ΔT’(=Tp−Ta)を算出し、ΔTと第1閾値TH1とを比較する。浮遊物が無い場合は、ΔTはほぼゼロに近い値となるので、ΔTがTH1以上となることはない。なお、本実施形態における閾値TH1は、前述の閾値TH1と同じ値である。
落下などにより分割領域S1内に浮遊物が発生すると、浮遊状態によっては、Tpが急激に下降する(ΔT’<0)。このとき、ΔTが大きくなり、ある時点でΔTがTH1以上となる。さらに、浮遊物が存在すると、ΔTがTH1以上となった状態が所定期間B以上継続することになる。
これらのことから、放射温度計50による温度測定結果に基づき、ΔT≧TH1である期間がB以上継続した場合、分割領域S1内に浮遊物が存在するものと判断することができる。
TH1は、測定条件や装置の構造などによって適宜設定すればよく、たとえば10〜20℃である。また、期間Aおよび期間Bも、測定条件や装置の構造などによって適宜設定すればよく、たとえば期間Aは5〜10秒間であり、期間Bは0.3〜1.0秒間である。
浸漬装置26の動作制御については、通常、垂直アーム37が坩堝32の上方まで移動し、冷却体基板25を下降させる前に下降してもよいかどうか、すなわち、浮遊物が存在するかどうかを判断する。
上記のように、浮遊物の有無の判断を連続的に行い、その判断結果を所定間隔ごとに更新しておく。制御装置45は、冷却体基板25を下降させる前に、浮遊物の有無の判断結果を参照し、浮遊物が無ければ冷却体基板25を下降させ、浮遊物があれば下降を停止して待機状態とする。
浮遊物が検出された後には、再溶融したことも判断し、冷却体基板25の下降を再開する必要がある。
浮遊物を検出した後も放射温度計50による温度測定は継続しており、ΔTとΔT’の算出も継続される。浮遊物が再溶融し始めるとΔT’は大きくなり(ΔT’<0からΔT’=0を経由してΔT’>0となり)、やがてΔTが第3閾値TH3以上になる。その後、ΔTとΔT’は再び小さくなり、再溶融が終わるとΔTがほぼゼロ(ΔTが第2閾値TH2以下)となる。さらに、分割領域S1内の浮遊物が全て再溶融すると、ΔTがTH2以下となった状態が所定期間C以上継続することになる。
これらのことから、放射温度計50による温度測定結果に基づき、ΔT≦TH2である期間がC以上継続した場合、分割領域S1内に浮遊物が存在しないものと判断することができる。
期間Cも、測定条件や装置の構造などによって適宜設定すればよく、たとえば0.3〜1.0秒間である。
浸漬装置26の動作制御については、冷却体基板25の下降を停止して待機状態となったのち、下降を再開するために、浮遊物の有無の判断結果を所定間隔ごとに参照する。
一方で、上記のように、浮遊物の有無の判断は連続的に行われており、待機状態で参照しようとする判断結果は、所定期間ごとに更新されている。待機状態で参照したときの判断結果が、浮遊物無しの結果であった場合、冷却体基板25の下降を再開し、浸漬を行う。
分割領域S2およびS3でも浮遊物の有無の判断が並行して行われているので、分割領域の制御装置45は、冷却体基板25を下降させる前に全ての分割領域の判断結果を参照し、いずれか1つの分割領域でも浮遊物があった場合は、下降を停止する。また、待機状態では、全ての分割領域の判断結果を参照し、全ての分割領域で浮遊物が無い場合に下降を再開する。
以上のように、放射温度計50による温度測定結果に基づいて、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物のひとつである浮遊物の有無を判断することが可能で、浮遊物がある場合には、冷却体基板を溶湯に浸漬させずに待機することができる。さらに、浮遊物が再溶融したことを判断し、速やかに浸漬を再開することもできる。したがって、浮遊物の付着による不良品の発生や装置の長時間の停止などを防ぎ、溶湯中の浮遊物による生産性に対する悪影響を防止することができる。
さらに、制御装置45が、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物のひとつである浮遊物の有無の判断および浸漬装置26の動作制御を行うので、浮遊物の監視や装置の停止、再開操作を人間が行う必要がなく、連続運転が可能である。
本発明の実施の一形態である析出板製造装置20の構成を簡略化して示す図である。 図1に示す析出板製造装置20による析出板製造の概要を示す図である。 温度測定領域を分割した分割領域の例を示す図である。 浮遊物が落下したときに温度が高くなった場合の浮遊物の有無を判断する処理を説明するための図である。 浮遊物が落下したときに温度が低くなった場合の浮遊物の有無を判断する処理を説明するための図である。 従来のシリコン製造に用いられる析出板製造装置1の構成を簡略化して示す図である。 析出板製造装置1におけるシリコン製造の概要を説明する図である。
符号の説明
20 析出板製造装置
21 チャンバ
23 溶湯
24 溶解炉
25 冷却体基板
26 浸漬装置
27 層状シリコン
28 落下物受容手段
29 落下物再投入手段
32 坩堝
33 第1高周波誘導コイル
45 制御装置
50 放射温度計
51 検出窓

Claims (8)

  1. 溶解対象物を加熱して溶湯にし、該溶湯を収容する溶解炉と、析出板生成の原板である冷却体を、溶湯の上方位置へ搬送し、溶湯中へ浸漬し、溶湯中から引き上げて溶湯の上方位置から離反する方向へ搬送する浸漬手段とを備え、溶解対象物を冷却体の表面に凝固析出させて析出板を製造する析出板製造装置であって、
    溶湯の表面からの放射エネルギーを検出し、前記放射エネルギーを温度換算する検出手段と、
    前記放射エネルギーが換算された温度の変化に基づいて、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物の有無を判断する判断手段と、
    判断手段の判断結果に応じて、浸漬手段の動作を制御する制御手段とを有し、
    前記判断手段は、前記放射エネルギーが換算された温度の変化が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有るものと判断し、
    前記制御手段は、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有ると判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を停止することを特徴とする析出板製造装置。
  2. 溶解対象物を加熱して溶湯にし、該溶湯を収容する溶解炉と、析出板生成の原板である冷却体を、溶湯の上方位置へ搬送し、溶湯中へ浸漬し、溶湯中から引き上げて溶湯の上方位置から離反する方向へ搬送する浸漬手段とを備え、溶解対象物を冷却体の表面に凝固析出させて析出板を製造する析出板製造装置であって、
    溶湯の表面からの放射エネルギーを検出する、放射温度計で構成される検出手段と、
    前記放射エネルギーの変化に基づいて、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物の有無を判断する判断手段と、
    判断手段の判断結果に応じて、浸漬手段の動作を制御する制御手段とを有し、
    前記判断手段は、前記放射エネルギーの変化が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有るものと判断し、
    前記制御手段は、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有ると判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を停止することを特徴とする析出板製造装置。
  3. 溶解対象物を加熱して溶湯にし、該溶湯を収容する溶解炉と、析出板生成の原板である冷却体を、溶湯の上方位置へ搬送し、溶湯中へ浸漬し、溶湯中から引き上げて溶湯の上方位置から離反する方向へ搬送する浸漬手段とを備え、溶解対象物を冷却体の表面に凝固析出させて析出板を製造する析出板製造装置であって、
    溶湯の表面からの放射エネルギーを検出する、サーモグラフィーで構成される検出手段と、
    前記放射エネルギーの変化に基づいて、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物の有無を判断する判断手段と、
    判断手段の判断結果に応じて、浸漬手段の動作を制御する制御手段とを有し、
    前記判断手段は、前記放射エネルギーの変化が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有るものと判断し、
    前記制御手段は、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有ると判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を停止することを特徴とする析出板製造装置。
  4. 記判断手段は、前記放射エネルギーの変化が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有るものと判断し、前記放射エネルギーの増加が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続した後、前記放射エネルギーの変化が、予め定める変化幅以下であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が無いものと判断し、
    前記制御手段は、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有ると判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を停止し、冷却体の溶湯中への浸漬を停止したのちに冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が無いと判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を再開することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の析出板製造装置。
  5. 記判断手段は、前記放射エネルギーの変化が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有るものと判断し、前記放射エネルギーの減少が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続した後、前記放射エネルギーが増加し、前記放射エネルギーの増加が、予め定める変化幅以上になった後、前記放射エネルギーが減少し、前記放射エネルギーの減少が、予め定める変化幅以下であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が無いものと判断し、
    前記制御手段は、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有ると判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を停止し、冷却体の溶湯中への浸漬を停止したのちに冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が無いと判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を再開することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の析出板製造装置。
  6. 記判断手段は、現在の放射エネルギーと、現在よりも過去の所定期間の放射エネルギーの平均値との差を、放射エネルギーの変化として算出し、前記放射エネルギーの変化が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有るものと判断し、
    前記制御手段は、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有ると判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を停止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の析出板製造装置。
  7. 前記判断手段は、放射エネルギーを温度換算することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の析出板製造装置。
  8. 溶解対象物を溶解炉で加熱して溶湯にし、析出板生成の原板である冷却体を、溶解炉に収容される溶湯の上方位置へ搬送し、溶湯中へ浸漬し、溶湯中から引き上げて溶湯の上方位置から離反する方向へ搬送することによって、溶解対象物を冷却体の表面に凝固析出させて析出板を製造する析出板製造方法であって、
    溶湯の表面からの放射エネルギーを検出し、前記放射エネルギーを温度換算する検出工程と、
    判断手段によって前記放射エネルギーが換算された温度の変化に基づいて、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物の有無を判断する判断工程と、
    制御手段によって判断手段の判断結果に応じて、浸漬手段の動作を制御する制御工程とを有し、
    前記判断工程では、前記放射エネルギーが換算された温度の変化が、予め定める変化幅以上であり、かつその状態が予め定める期間継続したときに、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有るものと判断し、
    前記制御工程では、冷却体の溶湯中への浸漬軌道と干渉する物が有ると判断されたときは、冷却体の溶湯中への浸漬を停止することを特徴とする析出板製造方法。
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