JP2006076804A - 溶融装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】 薄板を形成するための薄板形成設備の稼働効率を向上させるとともに、薄板の材料の供給を継続して行うことができる溶融装置を提供する。
【解決手段】 坩堝31には、薄板の材料23を溶融した融液24を貯留するための貯留空間37が形成される。貯留空間37内に供給された薄板の材料23またはその融液24は、加熱手段32によって、加熱される。坩堝31の貯留空間37は、仕切り手段34によって、基板26の薄板形成面25を融液24に浸漬させるための浸漬領域62と、薄板の材料23を供給するための供給領域63とに仕切られる。供給領域63には、供給手段33によって薄板の材料23が供給される。薄板の材料23は、融液24の液面50よりも上方から供給される。供給領域63内で融液24の液面50に浮遊する薄板の材料23は、沈下手段35によって、融液24の液面50下に沈下される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、薄板を形成するための薄板形成設備に用いる溶融装置に関し、詳しくは、薄板の材料を溶融する溶融装置に関する。
図10は、第1の従来の技術の溶融装置1を示す断面図である。この従来の技術の溶融装置1は、薄板を形成するための薄板形成設備に用いる溶融装置である。溶融装置1は、溶融シリコン2を貯留するための貯留空間が形成される坩堝3と、坩堝3の貯留空間内に供給されたシリコンの固形片4またはその融液である溶融シリコン2を加熱するための加熱用コイル5とを有する。
坩堝3の貯留空間は、この貯留空間の周辺領域の一部を上方から覆う坩堝側蓋6に固定される仕切り板7によって、2つの領域に仕切られる。一方の領域では、基板が溶融シリコン2に浸漬される。他方の領域には、供給管8からシリコンの固形片4が連続的に供給される。シリコンの固形片4は、溶融シリコンの液面9の上方から供給される。このような溶融装置1を用いることによって、薄板を形成するために基板を溶融シリコン2に浸漬させて溶融シリコン2から基板を引き上げる浸漬引上作業と、シリコンの固形片4を供給する供給作業とを、同時に並行して行うことができ、薄板形成設備の稼動効率を向上させることができる。
第2の従来の技術として、前記第1の従来の技術と類似の技術が、特許文献1に記載されている。この従来の技術の溶融装置では、石英坩堝によって溶融シリコンが保持され、加熱用ヒータによって石英坩堝内の溶融シリコンが加熱される。石英坩堝内には、石英リングが設けられ、この石英リングによって、溶融シリコンが中心部と周辺部とに区画される。溶融シリコンの中心部では、シリコンの単結晶棒が引き上げられる。溶融装置には、供給管を有する原料供給機構がさらに設けられ、この原料供給機構の供給管から、多結晶シリコンの粒が連続的に供給される。多結晶シリコンの粒は、溶融シリコンの液面の上方から溶融シリコンの周辺部に供給される。
実開平6−12477号公報
前記第1の従来の技術では、シリコンの固形片4が溶融シリコン2に比べて密度が低いことによって、供給管8から供給されたシリコンの固形片4が溶融シリコン2の液面9に浮遊する。しかもシリコンの固形片4は連続的に供給されるので、浮遊するシリコンの固形片4が十分に溶融しない状態で、シリコンの固形片4が次々と供給される。したがって供給管8から供給されたシリコンの固形片4が、図10に示すように、溶融シリコン2の液面9上に堆積してしまう。堆積したシリコンの固形片4は、供給管8の開口を塞ぎ、時には供給管8の開口部に固着してしまうので、シリコンの固形片4の供給を継続して行うことができないという問題がある。
図11は、坩堝3の貯留空間内に供給されたシリコンの固形片4が溶融される前の状態を示す断面図である。前記第1の従来の技術では、最初に空の状態の貯留空間内にシリコンの固形片4を供給するとき、図11に示すように、供給されたシリコンの固形片4が、仕切り板7によってせき止められる。したがってシリコンの固形片4を貯留空間全体にわたってまんべんなく供給することが困難であるという問題がある。また、供給されたシリコンの固形片4によって、仕切り板7には矢符A方向の力が作用するので、仕切り板の折れなどの破損が生じるという問題がある。
図12は、坩堝3の貯留空間内で溶融シリコン2が凝固した状態を示す断面図である。停電などの緊急時またはメンテナンス時に、加熱用コイルに高周波電力が与えられなくなって溶融シリコン2の加熱が停止されたとき、前記第1の従来の技術では、仕切り板7の一部が溶融シリコン2に没入した状態で、溶融シリコン2の温度が低下して、溶融シリコン2が凝固してしまう。したがって溶融シリコン2が凝固する過程で、溶融シリコン2の収縮によって、仕切り板7の変形、割れなどの破損が生じてしまうという問題がある。
前記第2の従来の技術では、多結晶シリコンの粒が溶融シリコンに比べて密度が低いことによって、供給管から供給された多結晶シリコンの粒が溶融シリコンの液面に浮遊する。しかも多結晶シリコンの粒は連続的に供給されるので、浮遊する多結晶シリコンの粒が十分に溶融しない状態で、多結晶シリコンの粒が次々と供給される。したがって供給管から供給された多結晶シリコンの粒が、溶融シリコンの液面上に堆積してしまう。堆積した多結晶シリコンの粒は、供給管の開口を塞ぎ、さらに供給管の開口部に固着してしまうので、多結晶シリコンの粒の供給を継続して行うことができないという問題がある。
本発明の目的は、薄板を形成するための薄板形成設備の稼働効率を向上させるとともに、薄板の材料の供給を継続して行うことができる溶融装置を提供することである。
本発明の他の目的は、装置の破損が防がれるとともに、最初に空の状態の貯留空間内に薄板の材料を供給するときに、薄板の材料を容易に、貯留空間全体にわたってまんべんなく供給することができる溶融装置を提供することである。
本発明は、薄板の材料を溶融した融液に、薄板が形成されるべき薄板形成面を有する基板の前記薄板形成面を浸漬させて、融液を薄板形成面上に付着させ融液付着層を成長させた後、融液から基板を引き上げて、成長させた融液付着層を凝固させることによって、薄板形成面上に薄板を形成する薄板形成設備に用いる溶融装置であって、
融液を貯留するための貯留空間が形成される耐熱性を有する容器と、
容器の貯留空間内に供給された薄板の材料またはその融液を加熱する加熱手段と、
容器の貯留空間を、基板の薄板形成面を融液に浸漬させるための浸漬領域と、薄板の材料を供給するための供給領域とに仕切る仕切り手段と、
供給領域に、融液の液面よりも上方から薄板の材料を供給する供給手段と、
供給領域内で融液の液面に浮遊する薄板の材料を、融液の液面下に沈下させる沈下手段とを含むことを特徴とする溶融装置である。
また本発明は、仕切り手段は、
貯留空間を浸漬領域と供給領域とに仕切る仕切り状態と、貯留空間から退避した退避状態とにわたって変化自在に設けられる可動部材と、
可動部材を、仕切り状態と退避状態とにわたって変化させる駆動部とを含むことを特徴とする。
また本発明は、可動部材は、貯留空間内の融液の液面よりも上方の角変位軸線まわりに角変位自在に設けられ、
駆動部は、可動部材が仕切り状態と退避状態とにわたって変化するように、可動部材を前記角変位軸線まわりに角変位させることを特徴とする。
また本発明は、沈下手段は、
貯留空間内の融液の液面よりも上方の揺動軸線まわりに揺動自在に設けられる揺動部材と、
揺動部材の遊端部が融液に没入した没入状態と、前記遊端部が融液から離脱した離脱状態とにわたって変化するように、揺動部材を前記揺動軸線まわりに揺動させる揺動駆動部とを含むことを特徴とする。
また本発明は、揺動部材は、基端部から遊端部に向かって延びる複数の棒状部を含み、
各棒状部は、供給手段によって供給される薄板の材料が通過可能な間隔をあけて離間し、融液からの離脱方向の下流側に臨んで前記離脱方向に進むにつれて各棒状部の隙間が大きくなるように傾斜する案内面が形成されることを特徴とする。
また本発明は、各棒状部は、融液への没入方向の下流側に臨んで前記没入方向に垂直な押さえ面が形成されることを特徴とする。
また本発明は、前記薄板の材料は、金属または半導体材料であることを特徴とする。
本発明によれば、容器には、薄板の材料を溶融した融液を貯留するための貯留空間が形成される。容器の貯留空間内に供給された薄板の材料またはその融液は、加熱手段によって、加熱される。この容器の貯留空間内の融液に、基板の薄板形成面を浸漬させて、融液を薄板形成面上に付着させ融液付着層を成長させた後、融液から基板を引き上げて、成長させた融液付着層を凝固させることによって、基板の薄板形成面上に薄板を形成することができる。
容器の貯留空間は、仕切り手段によって、基板の薄板形成面を融液に浸漬させるための浸漬領域と、薄板の材料を供給するための供給領域とに仕切られる。これによって、供給領域に供給された薄板の材料が浸漬領域に移動することを防ぐとともに、薄板の材料の供給に起因する供給領域の融液の温度変化が浸漬領域の融液に伝わることを防ぐことができる。したがって、基板の薄板形成面を融液に浸漬させて融液から基板を引き上げる浸漬引上作業と、薄板の材料を供給する供給作業とを、同時に並行して行うことができ、薄板形成設備の稼動効率を向上させることができる。
供給領域には、供給手段によって薄板の材料が供給される。薄板の材料は、融液の液面よりも上方から供給される。薄板の材料がその融液よりも密度が低い場合、供給手段によって供給された薄板の材料は、供給領域内で融液の液面に浮遊する。この浮遊する薄板の材料を、沈下手段によって融液の液面下に沈下させる。これによって、薄板の材料が融液の液面上に堆積することを防ぐとともに、薄板の材料の溶融を促進することができる。したがって、供給手段による薄板の材料の供給を継続して行うことができる。
また本発明によれば、可動部材は、貯留空間を浸漬領域と供給領域とに仕切る仕切り状態と、貯留空間から退避した退避状態とにわたって変化自在に設けられる。この可動部材は、駆動部によって、仕切り状態と退避状態とにわたって変化される。したがって、可動部材を仕切り状態にすることによって、前述のように浸漬引上作業および供給作業を、同時に並行して行うことができ、薄板形成設備の稼動効率を向上させることができる。
また、最初に空の状態の貯留空間内に薄板の材料を供給するときに、可動部材を退避状態にしておくことによって、可動部材が薄板の材料に干渉することを防ぐことができる。これによって、可動部材が破損することを防ぐとともに、薄板の材料を容易に、貯留空間全体にわたってまんべんなく供給することができる。また、貯留空間内で融液が凝固する前に、可動部材を退避状態にしておくことによって、融液が凝固した凝固物からの可動部材の離脱が困難になることが防がれ、容器交換などのメンテナンス作業を迅速に行うことができる。
また本発明によれば、可動部材は、貯留空間内の融液の液面よりも上方の角変位軸線まわりに角変位自在に設けられる。この可動部材は、駆動部によって、仕切り状態と退避状態とにわたって変化するように、前記角変位軸線まわりに角変位される。このように簡単な構成で、仕切り手段を実現することができる。
また本発明によれば、揺動部材は、貯留空間内の融液の液面よりも上方の揺動軸線まわりに揺動自在に設けられる。この揺動部材は、揺動駆動部によって、遊端部が融液に没入した没入状態と、遊端部が融液から離脱した離脱状態とにわたって変化するように、前記揺動軸線まわりに揺動される。揺動部材が離脱状態から没入状態にわたって変化するときに、揺動部材の遊端部によって、融液の液面に浮遊する薄板の材料が、融液の液面下に沈下される。このように簡単な構成で、沈下手段を実現することができる。
また本発明によれば、揺動部材は、基端部から遊端部に向かって延びる複数の棒状部を含んで構成される。各棒状部は、供給手段によって供給される薄板の材料が通過可能な間隔をあけて離間する。しかも各棒状部は、融液からの離脱方向の下流側に臨んで前記離脱方向に進むにつれて各棒状部の隙間が大きくなるように傾斜する案内面が形成される。したがって揺動部材が没入状態から離脱状態にわたって変化するとき、融液の液面に浮遊する薄板の材料は、前記案内面に沿って、各棒状部の隙間に案内される。これによって、融液の液面に浮遊する薄板の材料が、各棒状部の離脱方向への移動によって融液の液面の上方に押し上げられることを可及的に防ぐことができる。
また本発明によれば、各棒状部は、融液への没入方向の下流側に臨んで前記没入方向に垂直な押さえ面が形成される。したがって揺動部材が離脱状態から没入状態にわたって変化するとき、前記押さえ面によって、融液の液面に浮遊する薄板の材料を押さえ込んで、その浮遊する薄板の材料を効率よく、融液の液面下に沈下させることができる。
また本発明によれば、薄板の材料は、金属または半導体材料である。金属または半導体材料は、比較的に融点が高く、溶融しにくいので、融液の液面上に堆積しやすい。このような薄板の材料が用いられても、前述のように、沈下手段によって、融液の液面に浮遊する薄板の材料を融液の液面下に沈下させるので、薄板の材料が融液の液面上に堆積することを防ぐことができる。
図1は、本発明の実施の一形態の溶融装置21の構成を簡略化して示す断面図である。溶融装置21は、薄板を形成する薄板形成設備22に用いられる。薄板形成設備22は、薄板の材料23の融液24に、薄板が形成されるべき薄板形成面25を有する基板26の前記薄板形成面25を浸漬させて、融液24を薄板形成面25上に付着させ融液付着層を成長させた後、融液24から基板26を引き上げて、成長させた融液付着層を凝固させる。このような薄板形成処理によって、薄板形成面25上に薄板を形成することができる。
本実施の形態において、薄板は、太陽電池に用いられる多結晶シリコンウエハである。この薄板の材料23は、シリコンから成る固形片である。基板26は、矩形の板状体であり、その厚み方向一方側の表面が、薄板形成面25となる。基板26は、薄板の材料23よりも融点が高い物質、たとえばカーボンから成る。
溶融装置21は、容器である坩堝31と、加熱手段32と、供給手段33と、仕切り手段34と、沈下手段35とを含む。
坩堝31は、有底の四角筒状の容器であり、薄板の材料23を溶融した融液24を貯留するための貯留空間37が形成される。坩堝31は、薄板の材料23よりも融点が高い物質、たとえばグラファイトから成り、耐熱性を有する。坩堝31は、その開口が上方に臨むようにして、水平な設置面に設置される。このような坩堝31によって、薄板の材料23の融液24を貯留することができる。
加熱手段32は、坩堝31のまわりに巻回される加熱用コイル41と、加熱用コイル41に高周波電力を与える高周波電源42とを有する。加熱用コイル41は、坩堝31の側方に設けられ、コイル保持体43によって保持される。高周波電源42から加熱用コイル41に高周波電力を与えることによって、坩堝31が誘導加熱され、坩堝31からの熱伝導によって、坩堝31の貯留空間37内に供給された薄板の材料23またはその融液24が加熱される。また、高周波電源42から加熱用コイル41に高周波電力を与えることによって、坩堝31の貯留空間37内に供給された薄板の材料23またはその融液24が直接、誘導加熱される。このような加熱手段32によって、坩堝31の貯留空間37内に供給された薄板の材料23を溶融するとともに、坩堝31に貯留される薄板の材料23の融液24を液体の状態に維持することができる。
供給手段33は、薄板の材料23の供給源である材料供給源45と、材料供給源45に接続される供給管46とを有する。コイル保持体43には、断熱性を有する断熱板47を介して、坩堝31の貯留空間37における周辺領域の一部を上方から覆う坩堝側蓋48が設けられる。この坩堝側蓋48には、その上面から下面にわたって貫通する貫通孔が形成される。この貫通孔には、供給管46が挿通され、この状態で、供給管46が坩堝側蓋48に固定される。材料供給源45からの薄板の材料23は、供給管46を介して貯留空間37内に供給される。このような供給手段33によって、坩堝31に貯留される融液24の液面50よりも上方から、薄板の材料23を供給することができる。
薄板形成設備22は、溶融装置21と浸漬引上手段51とを含む。浸漬引上手段51は、アーム52と、アーム52を駆動するアーム駆動部53とを有する。アーム52は、旋回、水平動および上下動自在に設けられる。アーム52の先端部には、基板26を着脱自在に保持する基板保持体54が設けられる。このような浸漬引上手段51によって、坩堝31に貯留される融液24に、基板26の薄板形成面25が浸漬され、さらに融液24から基板26が引き上げられる。
図2は、仕切り手段34および沈下手段35を示す斜視図である。図3は、揺動部材56を示す斜視図である。図4は、可動部材57および揺動部材56の動きを説明するための断面図である。坩堝側蓋48の先端部には、保持基板58が固定される。この保持基板58には、可動部材57および揺動部材56が設けられる。
仕切り手段34は、可動部材57と、駆動部59とを有する。可動部材57は、薄板の材料23よりも融点が高く、かつ、薄板の材料23の融液24との反応性が低い物質から成る。具体的には、可動部材57の材質は、炭化ケイ素、石英、窒化ケイ素、アルミナおよび酸化ジルコニウムから選ばれる。可動部材57は、矩形の板状部材である。可動部材57は、長手方向一側部に、幅方向の一側面から他側面にわたって貫通する貫通孔が形成される。この貫通孔には、可動部材57を支持する可動部材支持ロッド60が挿通され、この状態で、可動部材支持ロッド60が可動部材57に固定される。
可動部材支持ロッド60は、保持基板58に角変位自在に設けられる。これによって可動部材57は、貯留空間37内の融液24の液面50よりも上方の角変位軸線61まわりに角変位自在に設けられる。角変位軸線61は、水平方向に延びる。駆動部59は、可動部材支持ロッド60を角変位軸線61まわりに角変位させ、これによって可動部材57を角変位軸線61まわりに角変位させることができる。
このような仕切り手段34では、可動部材57を、保持基板58から鉛直下方に突出した状態にすることによって、坩堝31の貯留空間37を、基板26の薄板形成面25を融液24に浸漬させるための浸漬領域62と、薄板の材料23を供給するための供給領域63とに仕切ることができる(図1参照)。また可動部材57を、図4に仮想線55で示すように水平な状態にすることによって、可動部材57を、貯留空間37から退避させることができる。
換言すると、可動部材57は、貯留空間37を浸漬領域62と供給領域63とに仕切る仕切り状態と、貯留空間37から退避した退避状態とにわたって変化自在に設けられる。このような可動部材57を、駆動部59によって、仕切り状態と退避状態とにわたって変化させる。このように簡単な構成で、仕切り手段34を実現することができる。
可動部材57を仕切り状態にしたとき、可動部材57の遊端部57bは、坩堝31に貯留される融液24に没入する。可動部材57の遊端部57bと坩堝31の底部65との間には、隙間が形成される。この隙間を介して、可動部材57に関して供給領域63側の融液24が、浸漬領域62側の融液24に移動する。
沈下手段35は、揺動部材56と、揺動駆動部67とを有する。揺動部材56は、薄板の材料23よりも融点が高く、かつ、薄板の材料23の融液24との反応性が低い物質から成る。具体的には、揺動部材56の材質は、炭化ケイ素、石英、窒化ケイ素、アルミナおよび酸化ジルコニウムから選ばれる。揺動部材56は、仕切り状態における可動部材57に関して、供給領域63側に設けられる。揺動部材56は、基部68と、この基部68に連なる複数、本実施の形態では8つの棒状部69とを有する。各棒状部69は、揺動部材56の基端部56aから遊端部56bに向かって延びる。各棒状部69は、供給手段33によって供給される薄板の材料23が通過可能な間隔をあけて離間する。揺動部材56の遊端部56bの幅W1は、可動部材57の幅W2よりも小さい。
基部68は、各棒状部69が並ぶ方向に延びる。基部68は、各棒状部69が並ぶ方向の一側面から他側面にわたって貫通する貫通孔70が形成される。この貫通孔70には、揺動部材56を支持する揺動部材支持ロッド71が挿通され、この状態で、揺動部材支持ロッド71が揺動部材56に固定される。
揺動部材支持ロッド71は、保持基板58に揺動自在に設けられる。これによって揺動部材56は、貯留空間37内の融液24の液面50よりも上方の揺動軸線72まわりに揺動自在に設けられる。揺動軸線72は、角変位軸線61と平行である。揺動部材56は、揺動軸線72の延びる方向に関して、可動部材57の幅方向両端部間の中間に配置される。揺動駆動部67は、揺動部材支持ロッド71を揺動軸線72まわりに揺動させ、これによって揺動部材56を揺動軸線72まわりに揺動させることができる。
揺動部材56を、保持基板58から鉛直下方に突出する状態にしたとき、揺動部材56の遊端部56bは、坩堝31に貯留される融液24に没入する。また、このとき、揺動部材56の遊端部56bは、仕切り状態における可動部材57の遊端部57bよりも上方に退避する。揺動部材56を、水平な状態にしたとき、揺動部材56の遊端部56bは、供給管46の近傍に配置される。揺動部材56の遊端部56bの可動範囲74には、供給管46から供給された薄板の材料23の落下地点75であって、坩堝31に貯留される融液24の液面50上における前記薄板の材料23の落下地点75が含まれる。
このような沈下手段35では、揺動駆動部67によって、揺動部材56の遊端部56bが融液24に没入した没入状態と、前記遊端部56bが融液24の液面50から離脱した離脱状態とにわたって変化するように、揺動部材56を揺動させることができる。このような沈下手段35によって、供給領域63内で融液24の液面50に浮遊する薄板の材料23を、融液24の液面50下に沈下させることができる。このように簡単な構成で、沈下手段35を実現することができる。
図5は、図3の矢符B方向から見た揺動部材56を示す図である。各棒状部69は、それらの延在方向に直角な断面が三角形状である。各棒状部69は、融液24からの離脱方向77の下流側に臨んで前記離脱方向77に進むにつれて各棒状部69の隙間が大きくなるように傾斜する案内面78が形成される。また各棒状部69は、融液24への没入方向79の下流側に臨んで前記没入方向79に垂直な押さえ面80が形成される。用語「垂直」は、ほぼ垂直を含む。
図6は、薄板形成設備22が薄板形成処理を行っている状態を示す断面図である。薄板形成処理が行われるとき、坩堝31には、薄板の材料23の融液24が貯留されており、前記融液24は、加熱手段32によって、加熱されている。可動部材57は、仕切り状態である。浸漬引上手段51は、浸漬領域62において、基板26の薄板形成面25を融液24に浸漬させて融液24から基板26を引き上げる浸漬引上作業を繰り返し行う。
基板26の薄板形成面25を融液24に浸漬させることによって、融液24が薄板形成面25上に付着して融液付着層が成長する。融液24から基板26を引き上げるとき、薄板形成面25上の融液付着層も基板26とともに引き上げられる。これによって、坩堝31に貯留される薄板の材料23の融液24が減少してしまう。
坩堝31に貯留される融液24の量を一定に保つために、供給領域63には、供給手段33によって、薄板の材料23が連続的に供給されている。このとき、揺動部材56は、揺動駆動部67によって、没入状態と離脱状態とにわたって変化するように、矢符Cに示すように揺動されている。
本実施の形態によれば、可動部材57を仕切り状態にすることによって、坩堝31の貯留空間37が、浸漬領域62と供給領域63とに仕切られる。これによって、供給領域63に供給された薄板の材料23が浸漬領域62に移動することを防ぐとともに、薄板の材料23の供給に起因する供給領域63の融液24の温度変化が浸漬領域62の融液24に伝わることを防ぐことができる。したがって、前記浸漬引上作業と、薄板の材料を供給する供給作業とを、同時に並行して行うことができ、薄板形成設備22の稼動効率を向上させることができる。
供給領域63には、供給手段33によって薄板の材料23が供給される。薄板の材料23は、融液24の液面50よりも上方から供給される。薄板の材料23は、その融液24よりも密度が低いので、供給手段33によって供給された薄板の材料23は、供給領域63内で融液24の液面50に浮遊する。この浮遊する薄板の材料23を、沈下手段35によって融液24の液面50下に沈下させる。これによって、薄板の材料23が融液24の液面50上に堆積することを防ぐとともに、薄板の材料23の溶融を促進することができる。したがって、供給手段33による薄板の材料23の供給を長時間にわたって継続して行うことができる。
揺動部材56は、基端部56aから遊端部56bに向かって延びる複数の棒状部69を有し、各棒状部69は、供給手段33によって供給される薄板の材料23が通過可能な間隔をあけて離間する。しかも各棒状部69は、融液24からの離脱方向77の下流側に臨んで前記離脱方向77に進むにつれて各棒状部69の隙間が大きくなるように傾斜する案内面78が形成される。したがって揺動部材56が没入状態から離脱状態にわたって変化するとき、融液24の液面50に浮遊する薄板の材料23は、前記案内面78に沿って、各棒状部69の隙間に案内される。これによって、融液24の液面50に浮遊する薄板の材料23が、各棒状部69の離脱方向77への移動によって融液24の液面50の上方に押し上げられることを可及的に防ぐことができる。
また各棒状部69は、融液24への没入方向79の下流側に臨んで前記没入方向79に垂直な押さえ面80が形成される。したがって揺動部材56が離脱状態から没入状態にわたって変化するとき、前記押さえ面80によって、融液24の液面50に浮遊する薄板の材料23を押さえ込んで、その浮遊する薄板の材料23を効率よく、融液24の液面50下に沈下させることができる。このとき、融液24の液面50に浮遊する薄板の材料23の塊は、各棒状部69によって、ほぐされて分散される。
図7は、揺動部材56を水平な状態にしたときの図である。揺動部材56を水平な状態にしたとき、供給管46からの薄板の材料23は、矢符Dに示すように、揺動部材56の上方から落下する。薄板の材料23の一部は、各棒状部69に接触することなく各棒状部69の隙間を通過して、坩堝31に貯留される融液24の液面50上に直接、落下する。残余の薄板の材料23は、各棒状部69上に落下して、各棒状部69の案内面78に沿って滑り落ち、坩堝31に貯留される融液24の液面50上に落下する。
図8は、貯留空間37内に供給された薄板の材料23が溶融される前の状態を示す断面図である。薄板の材料23が間接的に加熱される場合、すなわち坩堝31が加熱され、坩堝31からの熱伝導によって薄板の材料23が加熱される場合、薄板の材料23が貯留空間37全体にわたってまんべんなく供給されていないと、加熱効率が低下する。また坩堝31は、薄板の材料23が接触していない部分の温度が異常に高くなり、焼け現象を起こす。これによって坩堝31の劣化、割れなどが生じる。したがって、薄板の材料23は、貯留空間37全体にわたってまんべんなく供給されることが好ましい。
本実施の形態では、最初に空の状態の貯留空間37内に薄板の材料23を供給するときは、可動部材57および揺動部材56を、水平な状態にして、貯留空間37から退避させておくことによって、可動部材57および揺動部材56が薄板の材料23に干渉することを防ぐことができる。これによって、薄板の材料23を容易に、貯留空間37全体にわたってまんべんなく供給することができる。また、可動部材57および揺動部材56が破損することを防ぐことができる。
薄板の材料23を貯留空間37全体にわたって供給した後、加熱手段32によって、薄板の材料23を加熱して溶融させる。薄板の材料23の溶融が完了すると、駆動部59によって、可動部材57を、退避状態から仕切り状態に変化させる。この後、浸漬引上手段51による浸漬引上作業を開始する。また供給手段33による薄板の材料23の供給を開始するとともに、揺動駆動部67による揺動部材56の揺動を開始する。
図9は、貯留空間37内の融液24が凝固した状態を示す断面図である。停電などの緊急時またはメンテナンス時に、加熱用コイル41に高周波電源42からの高周波電力が与えられなくなったとき、貯留空間37内の融液24の温度が低下して、前記融液24が凝固してしまう。
本実施の形態では、高周波電源42から加熱用コイル41への高周波電力が遮断される前、または遮断後に坩堝31の貯留空間37内の融液24が凝固する前に、駆動部59によって可動部材57を水平な状態にするとともに、揺動駆動部67によって揺動部材56を水平な状態にする。このようにして、図9に示すように、可動部材57および揺動部材56を貯留空間37から退避させる。したがって、貯留空間37内の融液24が凝固する過程における融液24の収縮によって、可動部材57および揺動部材56の変形、割れなどの破損が生じることが防がれる。これによって、可動部材57および揺動部材56を、繰り返し使用することができる。
坩堝31が破損した場合に、坩堝31を交換するときは、坩堝31の温度が十分に低下した後に、図9に仮想線90で示すように、坩堝31に対して、コイル保持体43を上方に退避させる。可動部材57および揺動部材56は、保持基板58、坩堝側蓋48および断熱板47を介して、コイル保持体43に設けられているので、コイル保持体43とともに上方に退避される。この後、坩堝31を取り出して、新たな坩堝31を設置する。坩堝31を取り出すときは、坩堝31を、コイル保持体43に対して下方に退避させてもよい。
可動部材57の遊端部57bが融液24に没入した状態で融液24が凝固した場合、融液24が凝固した凝固物85からの可動部材57の離脱が困難になる。揺動部材56についても同様である。この点を考慮して、本実施の形態では、貯留空間37内の融液24が凝固する前に、可動部材57および揺動部材56を貯留空間37から退避させておく。これによって、坩堝交換などのメンテナンス作業を迅速に行うことができる。
前述の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば加熱手段32は、高周波誘導加熱ではなく、抵抗加熱によって、坩堝31を加熱して、坩堝31の貯留空間37内に供給された薄板の材料23またはその融液24を加熱するように構成されてもよい。
薄板の材料23は、シリコンに限らない。薄板の材料23は、アルミニウム、ニッケルおよび鉄などの金属材料であってもよく、ゲルマニウム、ガリウム、砒素、インジウム、リン、硼素、アンチモン、亜鉛および錫などの半導体材料であってもよい。このような金属または半導体材料は、比較的に融点が高く、溶融しにくいので、融液24の液面50上に堆積しやすい。このような薄板の材料23が用いられても、前述のように、沈下手段35によって、融液24の液面50に浮遊する薄板の材料23を融液24の液面50下に沈下させるので、薄板の材料23が融液24の液面50上に堆積することを防ぐことができる。
本発明の実施の一形態の溶融装置21の構成を簡略化して示す断面図である。 仕切り手段34および沈下手段35を示す斜視図である。 揺動部材56を示す斜視図である。 可動部材57および揺動部材56の動きを説明するための断面図である。 図3の矢符B方向から見た揺動部材56を示す図である。 薄板形成設備22が薄板形成処理を行っている状態を示す断面図である。 揺動部材56を水平な状態にしたときの図である。 貯留空間37内に供給された薄板の材料23が溶融される前の状態を示す断面図である。 貯留空間37内の融液24が凝固した状態を示す断面図である。 第1の従来の技術の溶融装置1を示す断面図である。 坩堝3の貯留空間内に供給されたシリコンの固形片4が溶融される前の状態を示す断面図である。 坩堝3の貯留空間内で溶融シリコン2が凝固した状態を示す断面図である。
符号の説明
21 溶融装置
22 薄板形成設備
23 薄板の材料
24 融液
25 薄板形成面
26 基板
31 坩堝
32 加熱手段
33 供給手段
34 仕切り手段
35 沈下手段
37 貯留空間
50 融液24の液面
56 揺動部材
56a 揺動部材56の基端部
56b 揺動部材56の遊端部
57 可動部材
59 駆動部
61 角変位軸線
62 浸漬領域
63 供給領域
67 揺動駆動部
68 基部
69 棒状部
72 揺動軸線
78 案内面
80 押さえ面

Claims (7)

  1. 薄板の材料を溶融した融液に、薄板が形成されるべき薄板形成面を有する基板の前記薄板形成面を浸漬させて、融液を薄板形成面上に付着させ融液付着層を成長させた後、融液から基板を引き上げて、成長させた融液付着層を凝固させることによって、薄板形成面上に薄板を形成する薄板形成設備に用いる溶融装置であって、
    融液を貯留するための貯留空間が形成される耐熱性を有する容器と、
    容器の貯留空間内に供給された薄板の材料またはその融液を加熱する加熱手段と、
    容器の貯留空間を、基板の薄板形成面を融液に浸漬させるための浸漬領域と、薄板の材料を供給するための供給領域とに仕切る仕切り手段と、
    供給領域に、融液の液面よりも上方から薄板の材料を供給する供給手段と、
    供給領域内で融液の液面に浮遊する薄板の材料を、融液の液面下に沈下させる沈下手段とを含むことを特徴とする溶融装置。
  2. 仕切り手段は、
    貯留空間を浸漬領域と供給領域とに仕切る仕切り状態と、貯留空間から退避した退避状態とにわたって変化自在に設けられる可動部材と、
    可動部材を、仕切り状態と退避状態とにわたって変化させる駆動部とを含むことを特徴とする請求項1記載の溶融装置。
  3. 可動部材は、貯留空間内の融液の液面よりも上方の角変位軸線まわりに角変位自在に設けられ、
    駆動部は、可動部材が仕切り状態と退避状態とにわたって変化するように、可動部材を前記角変位軸線まわりに角変位させることを特徴とする請求項2記載の溶融装置。
  4. 沈下手段は、
    貯留空間内の融液の液面よりも上方の揺動軸線まわりに揺動自在に設けられる揺動部材と、
    揺動部材の遊端部が融液に没入した没入状態と、前記遊端部が融液から離脱した離脱状態とにわたって変化するように、揺動部材を前記揺動軸線まわりに揺動させる揺動駆動部とを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の溶融装置。
  5. 揺動部材は、基端部から遊端部に向かって延びる複数の棒状部を含み、
    各棒状部は、供給手段によって供給される薄板の材料が通過可能な間隔をあけて離間し、融液からの離脱方向の下流側に臨んで前記離脱方向に進むにつれて各棒状部の隙間が大きくなるように傾斜する案内面が形成されることを特徴とする請求項4記載の溶融装置。
  6. 各棒状部は、融液への没入方向の下流側に臨んで前記没入方向に垂直な押さえ面が形成されることを特徴とする請求項5記載の溶融装置。
  7. 前記薄板の材料は、金属または半導体材料であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の溶融装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009196830A (ja) * 2008-02-19 2009-09-03 Sharp Corp 析出板製造装置および析出板製造方法

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