以下に、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
本明細書において、「素子基体」という語は、シリコン半導体からなる単なる基材を指し示すものではなく、各素子、回路や配線などが設けられた基体を示すものである。なお、基体の形状としては、板状やチップ状の基板であってもよい。
さらに、「素子基体上」という表現は、単に素子基体の上を指し示すだけでなく、素子基体の表面、表面近傍の素子基体内部側をも示すものである。また、本発明でいう「作りこみ」とは、別体の各素子を単に素子基体上に配置することを指し示している言葉ではなく、各素子を半導体回路の製造工程などによって素子基体上に一体的に形成、製造することを示すものである。
(第1の実施形態)
本発明の記録ヘッドに係る第1の実施形態について説明する。図1は、M×N個のヒータをM個づつN回に時分割駆動するように、M個のデータを格納するレジスタの出力とN個のデコーダ信号出力であるブロック選択信号の論理積により任意のヒータを選択するマトリックス駆動を行う記録ヘッドの回路図であり、素子基体に作り込まれている。
図1において、101は記録素子としてのヒータ、102は各ヒータを駆動するトランジスタ、103、104は論理信号入力から論理積をとるAND回路、105はプリンタ本体から供給されるXビットのブロック制御信号をデコードしてN本のブロック選択線のうち1本を選択するXtoNデコーダ、106はプリンタ本体からシリアルで転送されるブロック制御信号を、CLK信号に同期して格納しLT信号により保持するシフトレジスタ及びラッチ回路である。
本実施形態においては、1グループ毎に1ビットずつのシフトレジスタとラッチを持つ構成を示し、このグループの単位は、同時に駆動されるヒータが1つであることを単位としている。ヒータ101、トランジスタ102、AND回路103、104は、N個づつで1つのグループG1を形成し、このN個づつの素子で形成されるグループG1〜GMのM個のグループに分割されている。108はプリンタ本体から供給されるクロック信号CLKに同期して、記録データをシリアル転送し格納する1ビットのシフトレジスタとラッチ信号LTに従ってシリアルデータを保持するシフトレジスタ及びラッチ回路である。シフトレジスタ及びラッチ回路108は、グループG1〜GMに対応してM個あり、第1のシフトレジスタ及びラッチ回路の出力が第2のシフトレジスタ及びラッチ回路の入力に接続され、第2のシフトレジスタ及びラッチ回路の出力が第3のシフトレジスタ及びラッチ回路の入力に接続され、以降同様に、M個のシフトレジスタ及びラッチ回路108がシリアルに接続されている。各グループの中で複数のヒータが同時に駆動されない構成となっている。
各シフトレジスタ及びラッチ回路108の出力は、対応するグループG1〜GMのそれぞれのAND回路104の入力に共通に接続されている。
N本のブロック選択線107は、グループG1〜GMを構成するN個のAND回路104の対応する入力にそれぞれ接続されている。
図1の回路において、シフトレジスタ及びラッチ回路108は、各グループに対応して1ビット分のデータを格納、保持し、各グループのM個のシフトレジスタは、互いに接続されていることにより、全体でMビットのシフトレジスタを構成している。
図15に図1の106の1ビット分のシフトレジスタおよびラッチ回路の回路構成の具体例を示す。
本例ではシフトレジスタおよびラッチ回路はインバータ回路、バッファ回路、アナログスイッチ回路から構成される。シフトレジスタはCLK信号の立上りに同期して、DATA端子より入力される信号を順次S/R OUT端子に出力するものである。S/R OUT端子にはラッチ回路の入力が接続され、EN端子が“High”となることでS/R OUTの信号をLT OUTに出力し、その後EN端子が“Low”となることでLT OUTの出力を保持するものである。
図1の駆動回路の動作を、図2のタイミングチャートを用いて説明する。図2のタイミングチャートは、先に説明したのと同様にM×N個のヒータから任意のヒータが1回駆動可能に選択される1シーケンス(1吐出周期)に対応している。
まず画像データに応じたMビット分のデータが、クロック信号CLKに同期してDATA信号としてシフトレジスタ及びラッチ回路108にシリアル転送される。続いてラッチ信号LTが“High”になると、入力されたシリアルデータが保持されシフトレジスタ及びラッチ回路108から出力される。M個のシフトレジスタ及びラッチ回路108の出力は、図2のDATAOUTに対応し、M本の出力線のうち画像データに応じた任意のデータ線が“High”になる。
同様に、Xビットのブロック制御信号もクロック信号CLKに同期してシフトレジスタ及びラッチ回路106にシリアル転送され、それに続きラッチ信号LTが“High”になりXビットのブロック制御信号がデコーダ105に保持される。デコーダ105からブロック選択線107に出力されるタイミングは、図8のBEのタイミングに対応し、Xビットのブロック制御信号により出力線107のN本の出力うちいずれか1つの出力が選択されて“High”となる。
ブロック選択線107の1本が共通に接続されているM個の駆動回路のうち、DATAOUTが“High”となる任意のヒータがAND回路104により選択される。選択されたヒータにはHE信号に従い電流Iが流れヒータが駆動される。
以上のような動作を順次N回繰り返すことで、M×N個のヒータをM個ずつN回のタイミングで時分割駆動することで全てのヒータを選択することができる。なお、M個のデータを時間分割して駆動する場合、N回のそれぞれを例えば偶数番目と奇数番目のヒータにさらに分けて駆動を行なってもよく、このような場合においてもデータをN回に分けて駆動を行う範疇に入るものとしている。
以上の図1及び図2に関して説明した回路の論理的動作は、従来例として図7及び図8に関して説明した回路の論理的動作と何ら変わらないものである。すなわち、本実施形態の回路構成は、図7のMビットのシフトレジスタ及びラッチ回路1001を、1ビットのシフトレジスタ及びラッチ回路108M個で構成したものであり、論理的動作は同様である。
図3は、図1の回路の素子基体上の実態レイアウトの例を示している。図示したレイアウトは、M×N個で構成されるヒータ群302を基板の長辺方向に沿って設けられた長穴形状のインク供給口301の両側に対称的に2列配置した場合を示している。
図3において、基板中央に設けられたインク供給口の両側に、供給口から順に、ヒータ群302、トランジスタ303、AND回路304、ブロック選択線306、シフトレジスタ及びラッチ回路305が、それぞれ基板の長辺方向に沿って配置されている。素子基体上のヒータ群302の配列方向と交差する方向の両側の辺(短辺側)に、装置本体との電気的接続のためのパッド部308、309を設け、パッド部と、ドライバトランジスタおよび駆動回路群303、304との間の一方にシフトレジスタ、ラッチおよびデコーダ回路307を配置する。ここでの308,309は複数のパッドを一括して示している。シフトレジスタ、ラッチ回路およびデコーダ回路307からのN本のブロック選択線306はヒータ群302の列に対して沿う方向(ここでは平行)に配置されている。
図1の回路図の各構成要素と図3のレイアウトにおける各領域との対応を説明すると、ヒータ101が302、トランジスタ102が303、AND回路103及び104が304、ブロック選択線107が306、シフトレジスタ及びラッチ回路106とデコーダ105が307、シフトレジスタ及びラッチ回路108が305にそれぞれ形成されている。
図1における1ビットのシフトレジスタ及びラッチ回路108は、グループG1〜GMそれぞれに対応して、各グループの回路領域に分散してそれぞれ配置されており、全部でM個配置されている。グループG1〜GMはそれぞれ、N個のヒータとトランジスタ、AND回路およびシフトレジスタおよびラッチ回路の駆動回路で構成されている。
通常、ヒータの配列ピッチとトランジスタ及びAND回路とを同じピッチで配列すると、各素子を接続する配線抵抗の点や占有する面積の点から最も効率がよい。ヒータの配列ピッチと駆動回路の配列ピッチが同じであるとすると、各グループのヒータの配列方向の長さは、ヒータの配列ピッチにNを乗じたものである。
例えば、ヒータの配列ピッチを42.3μm(600dpi相当)とし、グループを構成するヒータの数Nが16であると、各グループのヒータの配列方向の長さは約677μmとなる。この場合、各グループに対応した1ビットのシフトレジスタ及びラッチ回路108を形成する領域305の長辺方向の長さは677μmとなり、シフトレジスタ及びラッチ回路108を形成する領域305の素子基体の短辺方向における長さを非常に短くすることが出来る。
このため、従来は、ヒータ数の増加に対応してグループの数を増加すると、図9のデータ線の配線領域705の短辺方向における長さが増大していたが、本実施形態では、図3に示すようなレイアウトとしたので、グループ数が増えても各グループの短辺方向における長さを変更する必要がなく、素子基体の長辺方向における長さのみを長くすることで対応できる。
(第2の実施形態)
以下、本発明に係る記録ヘッドの第2の実施形態について説明する。以下の説明では上記第1の実施形態と同様な部分については説明を省略し、第2の実施形態の特徴的な部分を中心に説明する。
第2の実施形態の記録ヘッドの回路は、図1に示した第1の実施形態と同様であり、第2の実施形態は素子基体上のレイアウトが第1の実施形態と異なっている。
図4は、第2の実施形態の素子基体上の実態レイアウトを図3と同様に示す図である。図3に示した第1の実施形態のレイアウトでは、各グループのヒータの配列方向の長さと、対応する駆動回路の長辺方向の長さを同じピッチとする場合を示したが、第2の実施形態のレイアウトは、各グループのヒータの配列方向の長さに対して、対応する駆動回路の長辺方向の長さを狭くできる場合のレイアウト例を示す。
図4において、基板中央に基板の長辺方向に沿って設けられたインク供給口401の両側に、供給口から順に、M×N個で構成されるヒータ群402、トランジスタ403、AND回路404、ブロック選択線406が、それぞれ基板の長辺方向に沿って配置されている。素子基体上のヒータ群402の配列方向と交差する方向の両側の辺(短辺側)に、装置本体との電気的接続のためのパッド部408、409を設け、パッド部とドライバトランジスタおよび駆動回路群403、404との間の一方にシフトレジスタ、ラッチおよびデコーダ回路407を配置する。シフトレジスタ、ラッチ回路およびデコーダ回路407からのN本のブロック選択線406はヒータ群402に対して平行に配置されている。
図1の回路図の各構成要素と図4のレイアウトにおける各領域との対応を説明すると、ヒータ101が402、トランジスタ102が403、AND回路103及び104が404、ブロック選択線107が406、シフトレジスタ及びラッチ回路106とデコーダ105が407、シフトレジスタ及びラッチ回路108が405にそれぞれ形成されている。
本実施形態では、各グループにおけるヒータの配列方向の長さに対して、駆動回路の長辺方向の長さを短くし、余った領域を、シフトレジスタ及びラッチ回路108を形成する領域405としてヒータの配列方向と交差する方向(すなわち、短辺方向)に配置している。図4においては、シフトレジスタ及びラッチ回路405は、図3の配置とは垂直に配置されている。詳しくは、シフトレジスタ及びラッチ回路405の長手方向が素子基板の短辺方向に平行になるように配置され、異なるグループに属するトランジスタ403及びAND回路404の間に配置されている。
このようなレイアウトとすると、ヒータ数の増加に対応してグループの数を増加しても、各グループを構成する領域の面積はグループ数とは関係なく一定となり、素子基体の短辺方向の長さが増大しない。
(第3の実施形態)
以下、本発明に係る記録ヘッドの第3の実施形態について説明する。以下の説明では上記第1及び第2の実施形態と同様な部分については説明を省略し、第3の実施形態の特徴的な部分を中心に説明する。
図5は第3の実施形態を示す回路図で、デコーダ回路501をヒータ毎に対応して設けたものである。図1の第1の実施形態においては、N個のヒータで構成されるM個のグループ共通にXtoNデコーダ回路105が設けられ、デコーダ回路105の出力よりN本のブロック選択線が各グループのAND回路に接続され、グループ内に任意のヒータが選択される。これに対し図5ではXビットのシフトレジスタ106の出力よりX本のブロック制御信号線502が、グループ内の各ヒータ毎に設けられたデーコーダ回路501に接続され、グループ内のヒータが選択されるものである。図5のヒータの選択に関する論理動作は図1の第1の実施形態と何ら変わらないものである。
図5におけるグループ内のヒータを選択するためのブロック制御信号線502がX本であるのに対し、図1の場合のブロック選択線107がN本必要となる。例えばグループ内のヒータの数が16個である場合、図1の場合ブロック選択線107は16本必要であるのに対し、図5ではブロック制御信号線502は4本の配線になる。このため図5の構成ではヒータ選択に関わる配線を大幅に減少させることができ、特にグループ内のヒータの数が増加すると配線の減少の効果はさらに大きくなる。
図6は図5の回路の素子基体上の実態レイアウトの例を示したものである。図3におけるブロック選択線306がN本の配線で構成されているのに対し、図6ではXビットシフトレジスタ601のブロック制御信号線602のX本となり、配線に関わる面積のうち、ブロック選択に関わるレイアウト面積を減らせることができる。
上述の説明では1グループ毎に1ビットずつのシフトレジスタとラッチを持つ構成を示したが、このグループの単位は、同時に駆動されるヒータが1つであることを単位としている。
(第4の実施形態)
図16は、本発明に係る第4の実施形態の配置を示す図である。図示されたように、本実施形態では2ビット分のシフトレジスタおよび2ビット分のラッチをグループとグループの間に配置している。
図中、1601〜1609で示す部分は、第2の実施形態に関して説明した図4の401〜409で示す部分にそれぞれ対応しているが、シフトレジスタおよびラッチ回路1605のビット数は2である。上下に隣接する2つのグループ間に配置されたシフトレジスタおよびラッチ1605は、2ビット分のデータをもつため、これに隣接する上下2つのグループそれぞれに対して画像データを供給することができる。
図4の第2の実施形態では、各グループの駆動回路の片側にシフトレジスタとラッチ回路が配置されるのに対し、本実施形態では図中上下に隣接する2つのグループの間にシフトレジスタおよびラッチ回路をまとめて配置することのみが異なることから、電気的動作は第2の実施形態と全く同様である。2ビット分のシフトレジスタおよびラッチ回路の占める面積は、1ビット分のシフトレジスタおよびラッチ回路のレイアウト面積に比べ大きくなるものの、電源配線等を2ビット分まとめることで共通化できるレイアウト部分もあるため、1ビット分の回路の2倍以下に抑えることができ、面積的な効率が上がるというメリットが得られる。
(第5の実施形態)
上記第1の実施形態(図3)で示したような、1つのシフトレジスタおよびラッチ回路を対応するグループ近傍に配置した回路構成によれば、N個のヒータ配置に要した幅と同じだけの幅をシフトレジスタおよびラッチ回路のレイアウトに使うことが可能となる。
そのため、時分割数Nが多い場合には、シフトレジスタおよびラッチ回路のレイアウト面積は広く取ることができるが、Nが少ない場合はその面積は小さくなる。
本実施形態はこの関係に鑑みて、レイアウトの効率を一層高めたものである。図17は本実施形態に係る回路構成を示す図であり、図18は本実施形態の素子基体上の実態レイアウト例を示す図である。
本実施形態では、素子基体の略中央に長手方向に沿って設けられたインク供給口の両側にM×N個で構成されるヒータ群を対照的に2列配置しており、各グループに対応したドライバトランジスタ、ロジック回路、シフトレジスタ及びラッチ回路とデコーダ回路、並びにそれらの配線を、ヒータの並び方向と平行に素子基体の長手方向側の面に配置する。
図17において、101はヒータ、102はドライバトランジスタ、103および104はロジック回路、105’はデコーダ、106はXビットのシフトレジスタおよびラッチ回路、108は各グループに対応するシフトレジスタおよびラッチ回路をそれぞれ示している。また、図18は、素子基体上のレイアウト例を示す。
図18において図17の各部との対応を説明すると、1801にはインク供給口、1802にはヒータ101、1803にはドライバトランジスタ102、1804にはロジック回路103および104、1805には各グループに対応するシフトレジスタおよびラッチ回路108、デコーダ105’、ブロック選択信号およびブロック制御信号線、1808にはシフトレジスタおよびラッチ回路106がそれぞれ配置される。
上記第1の実施形態ではシフトレジスタおよびラッチ回路をヒータ並び方向と平行に、またそれぞれのシフトレジスタに対応するグループの近隣に配置していたが、本実施形態では図17のような回路構成とし、図18に示したように、各グループのシフトレジスタおよびラッチ回路108の間に従来素子基体の端部に配置していたデコーダ105’をヒータの並び方向と平行に配置する。
始めのMビットのDATAはCLKと同期してMビットあるシフトレジスタ108に入力され、LT信号が“High”になったタイミングで隣接している各グループのロジック回路103および104に送られ保持される。
残りのXビットのDATAは端部のXビットのシフトレジスタ106に入力され、LT信号が“High”になったタイミングで保持されてシフトレジスタ間に配置されたN個のデコーダ105’のそれぞれに送られる。
N個のデコーダ105’の出力は、N本あるブロック選択(BE)信号の配線の1本1本に、N個のデコーダ105’の1つ1つが、それぞれ対応している。デコーダN個のうち、同時にHighの信号を出力するデコーダは1個であるので、N本のうちの1本だけが“High”となる。
時分割数Nが多い場合は、上述したように各グループの幅が広くなりシフトレジスタおよびラッチ回路108用の配置面積1805を広く取ることが可能となるため、本実施形態では図18に示したように余ったスペース内にデコーダ105’を配置している。
以上のように、図17に示した回路構成とすると、図18に示したように、シフトレジスタおよびラッチに加えデコーダを一列に配置することが可能となる。このようなレイアウトとすることにより、素子基体上に、例えば、電圧や電流を安定化させるための機能回路等を配置するためのスペース1810を設けることができる。
しかしながら、上述のように時分割数Nが少ない場合にはシフトレジスタ用の配置面積1805は広く取ることができない。この分割数とシフトレジスタおよびラッチ回路用の配置面積1805との関係について検討する。
例えば、ピッチ600dpiでヒータが256個配置されており時分割数N=16である場合、グループ数M=16となり、1グループあたりのチップ長手方向の幅は約0.68mmとなる。しかしながら、時分割数Nが半分の8である場合、グループ数は32となり、1グループあたりの幅は半分の約0.34mmとなってしまう。
しかし、時分割数Nが半分の8であるということは、必要なデコーダの数も時分割数が16の場合の半分の8個となり、シフトレジスタ4個に対して1つのデコーダを挿入するだけでよくなるので、幅は小さくてもデコーダを配置面積1805内に配置することが可能となる。
このように、時分割数Nとグループ数M、ヒータ密度とヒータの数、シフトレジスタとデコーダのレイアウト面積比によってレイアウトの効率は大きく変わってしまう。
図19は、ヒータ数256個、ピッチ600dpiでシフトレジスタとデコーダのレイアウト面積比が2:1である場合に、時分割数Nとグループ数Mとを変化させたときのシフトレジスタ(SR)の数、デコーダ(DEC)の数、および総面積(比率)との関係を示す表である。また、図20は、図19のNおよびMと総面積との関係を示すグラフである。これらの図からわかるように、時分割数N=16,グループ数M=16が最も効率よくレイアウトできるNとMの割合であると言える。
従来の回路構成およびレイアウトでは、ヒータ数を増大して素子基体を長尺化しようとすると、チップ端部に設けるシフトレジスタのビット数及びデコーダ数、ならびに配線本数を増やさなくてはならないため、チップの短辺方向のサイズも広げる必要が生じる。しかしながら、本実施形態の回路構成およびレイアウトとすると、ヒータ数が増大して素子基体が長尺化しても長辺方向に回路のグループを増やすだけでよく、配線本数を変えることなく短辺方向にチップ幅を広げる必要がない。このため、従来の回路構成およびレイアウトと比べて、回路のレイアウトを効率的にすることが容易に可能であり、素子基体の低コスト化が可能となる。
図18のように本実施形態の素子基体のレイアウトでは、従来は基板の端部に配置されていたシフトレジスタ、デコーダ、ラッチなどの回路が全てヒータ列に沿って配置されているため、基板端部に広くスペースを作ることが可能となる。このスペースに機能回路を配置することによって、従来と同様の素子基体のサイズで一層の高機能化が実現可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、ヒータ数の多い基板においてもヒータ数の少ない場合と同様に基板端部に広いスペースを作ることができるため、付加的機能回路やヒータ駆動回路を生じたスペースに形成することが可能であり、素子基体上に形成される回路をより高機能とすることができ、コストダウンにもつながる。
また、図17ではデコーダを構成する回路を、デコーダ1、デコーダ2、…デコーダNと、分散して配置しているが、この分散して配置されたデコーダ105’の構成について説明する。
図29はデコーダの回路構成を示す図であり、図30はその真理値表を示している。ここでは一例として4to16(X=4,N=16)のデコーダについて示す。デコーダは、N個(16個)のAND回路とその入力部にそれぞれX個(0〜4個)のインバータが接続された構成をとる。このデコーダが、1個のAND回路とその入力部に接続されるインバータの構成を単位とする、N個(16個)の分散されたデコーダとして、図18に示されるように、各グループの駆動回路に隣接して配置される。各AND回路の入力部に接続されるインバータの数は、各AND回路によってそれぞれ異なり、図30に示したような真理値表に応じた接続となる。図30の真理値表において、LはLow信号、HはHigh信号を示す。このように、4ビットのデコーダ制御信号(code0〜3)に対して、16個のAND回路のうちの特定の1個だけHighが出力され、各ブロック選択線へ出力される。
次に、デコーダの回路構成の他の例として、図31を示す。ここでも一例として4to16(X=4,N=16)のデコーダについて示す。図31の構成では4ビットのデコーダ制御信号(code0〜3)の他にその反転信号が必要である。反転信号はシフトレジスタ出力近傍に、デコーダ制御信号毎に配置された、インバータにより生成する。このように、8ビットあるデコーダ制御信号から、図30に示した真理値表に応じた信号を、4入力(4ビット)のAND回路にそれぞれ接続する。そして、N個(16個)のAND回路のそれぞれが、分散されたデコーダの一部を構成する回路として、図18に示されるように、各グループの駆動回路に隣接して配置される。8ビットあるデコーダ制御信号のうち、各AND回路において、それぞれ接続する4入力信号線は異なる。
この構成の場合、図30のように各AND回路の入力付近でインバータを接続する必要がない。つまり、図17に示すように、デコーダを分散して配置した場合、基体上で引き回すデコーダ制御信号線数は、図29の構成の倍の8本になってしまうが、分散された各デコーダ105’の部分はAND回路のみで構成することが可能となる。よって、特にヒータ並び方向(供給口の長穴方向)と交差する、基体の辺の長さを狭くするようなレイアウトにしたい場合に有効である。さらに、基体全体の面積効率という観点でも、図31における構成のほうが、図29の構成と比べて、使用するインバータ数が断然少ないので、面積効率のよい回路レイアウトが可能となる。
(第5の実施形態の変形例)
図18に示した実態レイアウト例では、従来例および上記の実施形態と同様に、各ドライバトランジスタ及びロジック回路はヒータの配置間隔にあわせて配置されている。このとき、ドライバトランジスタ及びロジック回路がヒータ間隔よりも小さく配置可能であれば、各グループごとに間隔を詰めて新たに回路を配置するスペースを作ることが可能となる。
本変形例は、このような場合に、グループ間に生じるスペースを有効利用するものである。図21は本変形例の回路構成を示す図であり、図22は本変形例の素子基体上の実態レイアウト例を示す図である。図21および図22においては、上記第5の実施形態に関して説明した図17および図18との比較が容易となるように、同様な部分には同じ符号を付している。
図22に示すように、本変形例ではドライバトランジスタおよびロジック回路が配置される部分である1803および1804のグループ間に生じたスペース1805bに、図18では1805で示された部分に配置されていたデコーダ105’が配置される。つまり、図22における、デコーダ105’は、図18のデコーダの配置とは垂直に配置されており、詳しくは、デコーダの長手方向が、素子基板の短辺方向と平行になるように配置されている。このため1805aで示す部分のレイアウトや配線が容易となり、素子基体の短辺方向サイズを短縮することも可能となる。
このように本変形例によれば、グループ間に生じたスペースに分割したデコーダを挿入することにより、第5の実施形態と比較して一層効率のよい回路配置が可能となる。
(第6の実施形態)
従来のレイアウトでは、シフトレジスタおよびラッチ回路とデコーダとは共にチップ端部に配置されていたが、本実施形態では、シフトレジスタ及びラッチ回路のみを従来と同様に端部に配置し、デコーダをヒータ各グループ毎にヒータ列と直交する方向に配置する。
例えば、素子基体上に設ける機能回路のスペースが大きくなり、チップ端部の回路配置スペースが小さくなった場合や、シフトレジスタのビット数が多くて、端部にデコーダを配置するスペースがない場合などでは、本実施形態のようにデコーダを分割してヒータに沿った方向に配置することが有効となる。
図23は本実施形態の回路構成を示す図であり、図24は本実施形態の素子基体上の実態レイアウト例を示す図である。
本実施形態では、素子基体の略中央に長手方向に沿って設けられたインク供給口の両側にM×N個で構成されるヒータ群を対照的に2列配置しており、各グループに対応したデコーダ回路を、ヒータの並び方向と直交する方向(ドライバトランジスタ及びロジック回路の伸延する方向)に配置し、素子基体の長手方向の両端部にヒータ列と交差する方向に沿ってシフトレジスタ及びラッチ回路と機能回路とを配置する。
図23において、101はヒータ、102はドライバトランジスタ、103および104はロジック回路、105’はデコーダ、110はシフトレジスタおよびラッチ回路をそれぞれ示している。また、レイアウト例を示す図24において図23の各部との対応を説明すると、2401にはインク供給口、2402にはヒータ101、2403にはドライバトランジスタ102、2404にはロジック回路103および104、2405にはデータ線、ブロック制御信号線およびブロック選択線、2406にはデコーダ105’、2407にはシフトレジスタおよびラッチ回路110、2409には入出力用のパッド、2410には機能回路がそれぞれは位置される。
このように本実施形態によれば、グループ間に生じたスペースに分割したデコーダを挿入することにより、ヒータ数の多い基板においてもヒータ数の少ない場合と同様に基板端部に広いスペースを作ることができるため、付加的機能回路を基板端部に生じたスペースに形成することが可能であり、素子基体上に形成される回路をより高機能とすることができ、コストダウンにもつながる。
(第6の実施形態の変形例)
第6の実施形態では各グループ用の回路の間にデコーダ105’を配置しているが、このような配置は各グループの回路が長辺方向に詰めて配置可能な場合にのみ可能である。
本変形例は、各グループ間に回路を挿入する余地がない場合に、各グループに対応するデコーダをヒータ列に沿った方向に配置するものである。図25は本変形例の回路構成を示す図であり、図26は本変形例の素子基体上の実態レイアウト例を示す図である。図25および図26においては、上記第6の実施形態に関して説明した図23および図24との比較が容易となるように、同様な部分には同じ符号を付している。本変形例ではデコーダ105’がヒータ列2401に沿った方向に、データ線、ブロック制御信号線およびブロック選択線の配線領域2405の内部のブロック選択線とブロック制御信号線の間2406’に配置される。
本変形例によっても第6の実施形態と同様な効果が得られる。
(第7の実施形態)
第5の実施形態では、デコーダがシフトレジスタ間に挿入され、領域1805内に同一列に配置されているが、ヒータが一層高密度で配置される場合には、時分割数Nの数が同じでもグループの配置される幅が狭くなるため、デコーダをシフトレジスタ間に挿入することが困難となる。
また、半導体プロセス上の問題で素子のサイズが大きい場合にも、シフトレジスタ間にデコーダを挿入することは困難となる。
本実施形態は、このような場合にデコーダとシフトレジスタとを平行に2列で配置するものである。
図27は本実施形態の回路構成を示す図であり、図28は本実施形態の素子基体上の実態レイアウト例を示す図である。
本実施形態では、素子基体の略中央に長手方向に沿って設けられたインク供給口の両側にM×N個で構成されるヒータ群を対照的に2列配置しており、各グループに対応したドライバトランジスタ、ロジック回路、シフトレジスタ及びラッチ回路、デコーダ回路を、素子基体の短辺方向に沿って順番に配置し、素子基体の長手方向の両端部にシフトレジスタ及びラッチ回路と機能回路とを配置する。
図27において、101はヒータ、102はドライバトランジスタ、103および104はロジック回路、105’はデコーダ、106はXビットのシフトレジスタおよびラッチ回路、108は各グループに対応するシフトレジスタおよびラッチ回路をそれぞれ示している。また、レイアウト例を示す図28において図27の各部との対応を説明すると、2801にはインク供給口、2802にはヒータ101、2803にはドライバトランジスタ102、2804にはロジック回路103および104、2805にはシフトレジスタおよびラッチ回路108とデータ線、2806にはブロック制御信号線およびデコーダ105’、2807にはシフトレジスタおよびラッチ回路106、2809には入出力用のパッド、2810には機能回路がそれぞれは位置される。
このように、本実施形態は第5の実施形態に関して説明した図17と回路構成は同様であるが、デコーダ105’の配置される領域2806がシフトレジスタ108の配置される領域2805と平行に設けられている。
このようなレイアウトとすると、第5の実施形態と比較して、基板の短辺方向サイズが広がってしまうが、第5の実施形態と同様に、基板端部を広く空ける事ができるので付加的機能を持った機能回路を基板端部に効率よく形成することが可能となる。
また、第5の実施形態と同様にヒータ数が増加し基板が長尺化した場合、長尺化した方向に回路を増やすことができるため、従来の回路構成と比べ効率よく回路レイアウト配置が可能であり、低コスト化が可能となる。
[他の実施形態]
以上の実施形態は、いずれも記録素子として発熱体(ヒータ)を用いてインクを急激に加熱、気化させ、発生した気泡の圧力によりインク液滴をオリフィスから吐出させる、いわゆるバブルジェット(登録商標)方式のインクジェット記録ヘッドを例に挙げて説明したが、複数の記録素子からなる記録素子列を有する構成であれば、これ以外の方式によって記録を行う記録ヘッドに対しても本発明が適用できることは明らかであろう。
この場合、上記各実施形態におけるヒータの代わりに、各方式で使用する記録素子がそれぞれ設けられることとなる。
以上の実施形態は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
なお、本発明は、上記実施形態に示した記録ヘッド及び記録ヘッドの素子基体のみならず、そのような記録ヘッドと、該記録ヘッドに供給するインクを保持するインク容器とを有する記録ヘッドカートリッジ、さらには上述の記録ヘッドを搭載し、該記録ヘッドに対して記録データを供給する制御手段を有する装置(例えば、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置など)、並びにそのような装置を含む複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムにも適用できる。
以下、上述の記録ヘッドを有する記録装置、記録ヘッドの機械的構成、及び記録ヘッドカートリッジの例について図を参照して説明する。
<インクジェット記録装置の説明>
図10は本発明に係る記録ヘッドによって記録を行うインクジェット記録装置の構成の概要を示す外観斜視図である。
図10に示すように、インクジェット記録装置(以下、記録装置という)は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なう記録ヘッド3を搭載したキャリッジ2にキャリッジモータM1によって発生する駆動力を伝達機構4より伝え、キャリッジ2を矢印A方向に往復移動させるとともに、例えば、記録紙などの記録媒体Pを給紙機構5を介して給紙し、記録位置まで搬送し、その記録位置において記録ヘッド3から記録媒体Pにインクを吐出することで記録を行なう。
また、記録ヘッド3の状態を良好に維持するためにキャリッジ2を回復装置10の位置まで移動させ、間欠的に記録ヘッド3の吐出回復処理を行う。
記録装置のキャリッジ2には記録ヘッド3を搭載するのみならず、記録ヘッド3に供給するインクを貯留するインクカートリッジ6を装着する。インクカートリッジ6はキャリッジ2に対して着脱自在になっている。
図10に示した記録装置はカラー記録が可能であり、そのためにキャリッジ2にはマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロ(Y)、ブラック(K)のインクを夫々、収容した4つのインクカートリッジを搭載している。これら4つのインクカートリッジは夫々独立に着脱可能である。
さて、キャリッジ2と記録ヘッド3とは、両部材の接合面が適正に接触されて所要の電気的接続を達成維持できるようになっている。記録ヘッド3は、記録信号に応じてエネルギーを印加することにより、複数の吐出口からインクを選択的に吐出して記録する。特に、この実施形態の記録ヘッド3は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット方式を採用し、熱エネルギーを発生するために電気熱変換体を備え、その電気熱変換体に印加される電気エネルギーが熱エネルギーへと変換され、その熱エネルギーをインクに与えることにより生じる膜沸騰による気泡の発生後の気泡の成長、収縮によって生じる圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させる。この電気熱変換体は各吐出口のそれぞれに対応して設けられ、記録信号に応じて対応する電気熱変換体にパルス電圧を印加することによって対応する吐出口からインクを吐出する。
図10に示されているように、キャリッジ2はキャリッジモータM1の駆動力を伝達する伝達機構4の駆動ベルト7の一部に連結されており、ガイドシャフト13に沿って矢印A方向に摺動自在に案内支持されるようになっている。従って、キャリッジ2は、キャリッジモータM1の正転及び逆転によってガイドシャフト13に沿って往復移動する。また、キャリッジ2の移動方向(矢印A方向)に沿ってキャリッジ2の絶対位置を示すためのスケール8が備えられている。この実施形態では、スケール8は透明なPETフィルムに必要なピッチで黒色のバーを印刷したものを用いており、その一方はシャーシ9に固着され、他方は板バネ(不図示)で支持されている。
また、記録装置には、記録ヘッド3の吐出口(不図示)が形成された吐出口面に対向してプラテン(不図示)が設けられており、キャリッジモータM1の駆動力によって記録ヘッド3を搭載したキャリッジ2が往復移動されると同時に、記録ヘッド3に記録信号を与えてインクを吐出することによって、プラテン上に搬送された記録媒体Pの全幅にわたって記録が行われる。
さらに、図10において、14は記録媒体Pを搬送するために搬送モータM2によって駆動される搬送ローラ、15はバネ(不図示)により記録媒体Pを搬送ローラ14に当接するピンチローラ、16はピンチローラ15を回転自在に支持するピンチローラホルダ、17は搬送ローラ14の一端に固着された搬送ローラギアである。そして、搬送ローラギア17に中間ギア(不図示)を介して伝達された搬送モータM2の回転により、搬送ローラ14が駆動される。
またさらに、20は記録ヘッド3によって画像が形成された記録媒体Pを記録装置外ヘ排出するための排出ローラであり、搬送モータM2の回転が伝達されることで駆動されるようになっている。なお、排出ローラ20は記録媒体Pをバネ(不図示)により圧接する拍車ローラ(不図示)により当接する。22は拍車ローラを回転自在に支持する拍車ホルダである。
またさらに、記録装置には、図8に示されているように、記録ヘッド3を搭載するキャリッジ2の記録動作のための往復運動の範囲外(記録領域外)の所望位置(例えば、ホームポジションに対応する位置)に、記録ヘッド3の吐出不良を回復するための回復装置10が配設されている。
回復装置10は、記録ヘッド3の吐出口面をキャッピングするキャッピング機構11と記録ヘッド3の吐出口面をクリーニングするワイピング機構12を備えており、キャッピング機構11による吐出口面のキャッピングに連動して回復装置内の吸引手段(吸引ポンプ等)により吐出口からインクを強制的に排出させ、それによって、記録ヘッド3のインク流路内の粘度の増したインクや気泡等を除去するなどの吐出回復処理を行う。
また、非記録動作時等には、記録ヘッド3の吐出口面をキャッピング機構11によるキャッピングすることによって、記録ヘッド3を保護するとともにインクの蒸発や乾燥を防止することができる。一方、ワイピング機構12はキャッピング機構11の近傍に配され、記録ヘッド3の吐出口面に付着したインク液滴を拭き取るようになっている。
これらキャッピング機構11及びワイピング機構12により、記録ヘッド3のインク吐出状態を正常に保つことが可能となっている。
<インクジェット記録装置の制御構成>
図11は図10に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
図11に示すように、コントローラ900は、MPU901、後述する制御シーケンスに対応したプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納したROM902、キャリッジモータM1の制御、搬送モータM2の制御、及び、記録ヘッド3の制御のための制御信号を生成する特殊用途集積回路(ASIC)903、記録データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等を設けたRAM904、MPU901、ASIC903、RAM904を相互に接続してデータの授受を行うシステムバス905、以下に説明するセンサ群からのアナログ信号を入力してA/D変換し、デジタル信号をMPU901に供給するA/D変換器906などで構成される。
また、図11において、910は記録データの供給源となるコンピュータ(或いは、画像読取り用のリーダやデジタルカメラなど)でありホスト装置と総称される。ホスト装置910と記録装置との間ではインタフェース(I/F)911を介して記録データ、コマンド、ステータス信号等を送受信する。
さらに、920はスイッチ群であり、電源スイッチ921、プリント開始を指令するためのプリントスイッチ922、及び記録ヘッド3のインク吐出性能を良好な状態に維持するための処理(回復処理)の起動を指示するための回復スイッチ923など、操作者による指令入力を受けるためのスイッチから構成される。930はホームポジションhを検出するためのフォトカプラなどの位置センサ931、環境温度を検出するために記録装置の適宜の箇所に設けられた温度センサ932等から構成される装置状態を検出するためのセンサ群である。
さらに、940はキャリッジ2を矢印A方向に往復走査させるためのキャリッジモータM1を駆動させるキャリッジモータドライバ、942は記録媒体Pを搬送するための搬送モータM2を駆動させる搬送モータドライバである。
ASIC903は、記録ヘッド3による記録走査の際に、RAM902の記憶領域に直接アクセスしながら記録ヘッドに対して記録素子(吐出ヒータ)の駆動データ(DATA)を転送する。
<記録ヘッドの構成>
図12は、上述した記録装置に用いられる記録ヘッド3の機械的構成を示す分解斜視図である。
図中1101は、シリコン等の基板に後述する回路構成を一体的に作り込んだ素子基体が示されており、該素子基体上には、記録素子を構成する電気熱変換素子としての発熱抵抗体1112が形成され、該抵抗体を囲み基板の両側に向かって流路1111が形成されている。この流路を構成する部材としてはドライフィルム等の樹脂やSiN等を用いることができる。
図中1102で示したオリフィスプレートは、発熱抵抗体1112に対向する位置に対応し複数の吐出口1121を有し、流路を構成する部材に接合される。
図中1103で示した壁部材は、インクを供給するための共通液室を構成するためのものであり、この共通液室から各流路に素子基板1101の端部を回り込むようにインクが供給される。
なお、素子基体1101の両側には、記録装置本体からデータや信号を受け取るための接続端子1113が設けられている。
<記録ヘッドカートリッジ>
本発明は、上記で説明した記録ヘッドと、この記録ヘッドに供給するインクを保持するためのインクタンクとを有する記録ヘッドカートリッジにも適用することができる。このような記録ヘッドカートリッジの形態としては、インクタンクと一体的な構成や、インクタンクと分離可能な構成のいずれでもよい。
図13は、インクタンクと記録ヘッドとが一体的に構成された記録ヘッドカートリッジIJCの構成を示す外観斜視図である。ヘッドカートリッジIJC内部では、図13に示す境界線Kの位置でインクタンクITと記録ヘッドIJHとに分かれているが、個別には交換できない。ヘッドカートリッジIJCがキャリッジHCに搭載されたときには、キャリッジHC側から供給される電気信号を受け取るための電極(不図示)が設けられており、この電気信号によって、前述のように記録ヘッドIJHが駆動されてインクが吐出される。
なお、このヘッドカートリッジはインクタンク内にはインクが充填もしくは再充填されていることで構成されていても良い。
なお、図13において、500はインク吐出口列であり、ブラックノズル列と、カラーノズル列とを有している。また、インクタンクITにはインクを保持するために繊維質状もしくは多孔質状のインク吸収体が設けられている。
図14は、インクタンクと記録ヘッドとが分離可能に構成された記録ヘッドカートリッジの構成を示す外観斜視図である。記録ヘッドカートリッジH1000は、インクを貯留するインクタンクH1900と、このインクタンクH1900から供給されるインクを記録情報に応じてノズルから吐出させる記録ヘッドH1001とを有し、キャリッジに対して着脱可能に搭載される、いわゆるカートリッジ方式を採るものとなっている。
ここに示す記録ヘッドカートリッジH1000では、写真調の高画質なカラー記録を可能とするため、インクタンクとして、例えば、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ及びイエローの各色独立のインクタンクが用意されており、図示するように、それぞれが記録ヘッドH1001に対して着脱自在となっている。