JP5019448B2 - 易開栓合成樹脂製キャップ - Google Patents

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Description

本発明は、合成樹脂製キャップ、特に螺子式易開栓合成樹脂製キャップに関する。
従来、螺子式の合成樹脂製キャップの場合、筒壁外周面に開栓時の指の滑りを防止して開けやすくするために、ナ−ル又はローレットと称する縦筋状の凹凸(本願では以下これらをナールと称する)を施している。該ナールの高さが低すぎるとナール山間への指表面の食い込みが少なくその分滑り易くなり、特にタンパーエビデントバンド付キャップの場合、強い把持力での開栓を必要とし、把持力の弱い人や高齢者にとって開け難い。その上、冷蔵庫等低温保管区から取り出した飲料ボトルの場合、キャップ表面に結露が発生し、開栓の際に滑り易くなり、より大きな開栓力が必要となる。また、逆にナールの高さが高すぎると、指表面のナール間への食い込み量が増し接触抵抗が大きくなり、耐滑り性は向上するが、指表面への刺激が大きく違和感や痛みを感じるという欠点がある。
そこでそれらの問題点を解決する手段として、硬質合成樹脂で成形されたキャップ本体の摘み部の外周面に、軟質合成樹脂からなる滑り止め表層部を同時成形により一体的に形成したもの(特許文献1参照)や、キャップ本体のナールが形成された筒壁外周面にさらに開栓用すべり止めを周設したもの(特許文献2参照)等が提案されている。
特開2005−280750号公報 特開2004−196383号公報
上記提案されているものは、何れも開栓性を向上させるものではあるが、例えば特許文献1に記載のものはキャップ本体とナールを有する滑り止め表層部を別材料で形成しなければならず、また特許文献2に記載のものは開栓用すべり止めとして特別な構成を付加しなければならない等、従来の合成樹脂材料で形成されている合成樹脂キャップと比べて製造コストが高くなるなどの点で未だ解決すべき問題点がある。
そこで、本発明は、開栓に際して指の滑りが少なくて容易に開栓でき、且つ指への違和感や痛みがなく容易に開栓できる良好な開栓性を有し、しかも従来の合成樹脂製ネジキャップの構造を変えないで、製造コストを高騰させることなく安価に製造することができる易開栓合成樹脂キャップ及びその成形用の金型を提供することを目的とする。
本発明者は、上記問題点を解決するために、キャップ開栓時の指の滑りをなくし、開栓性を高める手段として、ナール表面にさらに微細な凹凸を形成して粗面にすることを着想し、種々実験を行なった結果、ナール表面への微細凹凸の形成、該微細凹凸の形成方法及びその表面粗さの状態を適正にコントロールすることによって、キャップに特別な構造や構成を付加することなく従来のキャップ成形ラインで、開栓に際して指の違和感や痛みがなく容易に開栓できる良好な開栓性を有する易開栓合成樹脂製キャップを得ることができることを見い出した。また、キャップの易開栓性は、ナール表面への微細凹凸を形成する粗面加工方法によって大きく相違し、ブラスト加工法で粗面を形成した場合に比べてエッチング加工法で粗面を形成した場合が、キャップ開栓に際して違和感が少なく且つ滑りが少なく開栓性が増すことを知得し、本発明に到達したものである。
即ち、請求項1の発明は、上記問題点を解決する本発明の易開栓合成樹脂製キャップであって、筒壁外周部にナールが形成された螺子式合成樹脂製キャップにおいて、前記ナールの表面全体又は一部に微細凹凸が形成され、該微細凹凸は、表面粗さ基準線から10μm以上の凹凸が11〜40個/10mmの分布で存在しており、前記微細凹凸がエッチング加工により形成されたものであることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、上記問題点を解決する本発明の易開栓合成樹脂製キャップであって、筒壁外周部にナールが形成された螺子式合成樹脂製キャップにおいて、前記ナールの表面全体又は一部に微細凹凸が形成され、該微細凹凸は、表面粗さ基準線から10μm以上の凹凸が11〜40個/10mmの分布で存在しており、前記微細凹凸は、金型のナール形成キャビティ面にエッチング処理により微細凹凸を施し、該ナール形成キャビティ面が転写されることにより形成されたものであることを特徴とするものである。
請求項の発明は、請求項1又は2に記載の易開栓合成樹脂製キャップにおいて、前記微細凹凸を施したナール表面の表面粗さは、最大高さRyが25〜100μmであることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、キャップのナール表面にさらに微細凹凸を表面粗さ基準線から10μm以上の凹凸数が11〜40個/10mmの分布で存在するように形成したため、開栓に際してナール表面と指表面との接触面積が増大し、その結果グリップ力の増大による易開栓性の向上と、指への応力集中の低減による刺激や違和感の低減を両立できる。また、ナール部表面に形成した微細凹凸が結露による水分を吸収し、低温保管区から取り出した飲料ボトルの場合でも、開栓時の滑りを防ぐことができる。さらに、従来のキャップを設計変更する必要がないので製造コストを増大させることなく易開栓合成樹脂製キャップを得ることができる。10μm以上の凹凸数が11個/10mm以下であると、指の滑り止め効果が少なく、逆に40個/10mm以上であると凹凸が密になりすぎて、指表面のナール面への食い込みが少なくなり滑り止め効果が少ない。
そして、微細凹凸をエッチング加工により形成することによって、ナール部表面をブラスト加工で粗面に形成した場合と比べて、粗面を形成する単位長あたりの山と谷の数を増大させることができ且つ高低差が大きくなり、加工面全体に安定した良好な粗面が得られ、接触面積を増大させる所望の微細凹凸を形成することができる。
請求項2の発明によれば、キャップのナール表面にさらに微細凹凸を表面粗さ基準線から10μm以上の凹凸数が11〜40個/10mmの分布で存在するように形成したため、開栓に際してナール表面と指表面との接触面積が増大し、その結果グリップ力の増大による易開栓性の向上と、指への応力集中の低減による刺激や違和感の低減を両立できる。また、ナール部表面に形成した微細凹凸が結露による水分を吸収し、低温保管区から取り出した飲料ボトルの場合でも、開栓時の滑りを防ぐことができる。さらに、従来のキャップを設計変更する必要がないので製造コストを増大させることなく易開栓合成樹脂製キャップを得ることができる。10μm以上の凹凸数が11個/10mm以下であると、指の滑り止め効果が少なく、逆に40個/10mm以上であると凹凸が密になりすぎて、指表面のナール面への食い込みが少なくなり滑り止め効果が少ない。
そして、金型に形成したナール形成面の微細凹凸がキャップ成形時に転写されることにより、自動的にナール面全体或いは一部に微細凹凸が形成されるので、微細凹凸形成のための加工工程を設ける必要がなく、安価に易開栓キャップを得ることができる。
また、請求項3の発明によれば、前記請求項1又は2の効果をより効果的に達成するのに望ましいナールの微細凹凸加工面が得られる。表面粗さRyが25μ以下であると微細凹凸による接触面積の増大効果が少なく、100μ以上であると粗すぎて握った感じに違和感を与えると共にキャップ成形後の離型性が悪くなるので上記範囲が望ましい。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る螺子式易開栓合成樹脂製キャップを示し、全体構成として筒壁外周面にナールが形成されている螺子式キャップであればよく、従来公知のキャップ構造が採用できる。本実施形態の易開栓合成樹脂製キャップ1は、天壁2から垂下し内周面に雄ネジが形成されている筒壁3の外周面にナール4が形成されている。ナール4は、図1に示すように筒壁上端部から筒壁下端リブ部5との間に周方向に等ピッチで形成されている。図1に示す実施形態のキャップは、アセプティック充填ボトル用キャップとして使用されるものである。ホットパック用と比べてナール数が少なくピッチが大きく、筒壁下端リブ部5の下端には複数本のブリッジ8を介してタンパーエビデントバンド(以下、TEバンドという)10が設けられている。ブリッジが形成されている筒壁下端リブ部5の下端とTEバンド上端との間の架橋部空間には、閉栓後のさらなる閉栓方向への回転に対して互いに係止関係にあり、開栓方向の回転に対してはカム作用関係にある筒壁側突起11及びTEバンド側突起12が形成されている。また、TEバンド10の内周面には開栓時にボトル顎部と係止するフラップ片等の係止部材が形成されている。
以上の構成は従来の合成樹脂製キャップと同様な構成であるが、本実施形態の合成樹脂製キャップは、前記筒壁3の外周面に形成されたナール表面に微細凹凸15を形成して、ナール面を粗面化処理している点に特徴を有している。該微細凹凸による粗面化処理は、ナール形成面全体に行ってもよいが、必ずしもナール形成面全体に施す必要はなく、開栓時に指が接触する必要部分のみに施せばよい。図1に示す実施形態では、ナール部の上端から筒壁下端リブ部5から上方にt(略1〜5mm)だけ離れたtの区間だけ施している。このように、粗面化処理をキャップの一部分に施すことによって、開栓時に指を当てる位置を積極的に誘導する効果があり、消費者は微細凹凸が形成されているところを視認して自然に該粗面化処理が施されているナール部を把持し、開栓時に掴むことが好ましくないTEバンド表面やブリッジ部及び筒壁下端リブ部を掴むことを積極的に防止することができる。
微細凹凸による粗面化処理は、ナール山面のみでも可能であるが、開栓時に指皮膚面の接触はナール山面のみならず谷面にも及ぶのでナールの谷面も粗面化処理を施すのが望ましい。開栓は、小径キャップの場合、通常キャップの筒壁を親指の指腹部、人差し指の指腹部、中指の第1関節近傍側部の3箇所で強く把持して捻って開栓するが、人間は通常指表面を物体表面に当てて滑らすことによってμmオーダの細かい凹凸の粗さを感覚的に知覚できるといわれ、僅かな凹凸の粗さの違いによって官能的に強い違和感や刺激感を受ける。このため、本発明者の実験によれば、ナール表面への粗面加工による開栓性に及ぼす効果は、単に一定程度の最大粗さや算術平均粗さ等の相違に限らず、特に基準面から所定高さ(谷)を有する微細凹凸の単位長さ当たりの分布状態が、開栓性に大きく影響することが分かった。そして、さらにナール面における微細凹凸の分布は、微細凹凸を形成するための微細加工法によって著しく異なることも分かった。すなわち、一般に金属面や樹脂表面の粗面化処理はブラスト加工により行なっている場合が多いが、多くの被験者の官能試験によれば、上記ナール面の粗面化処理をブラスト加工により行なった場合と、他の粗面化処理法であるエッチング処理によって行なった場合の両者を比較して、開栓時の指表面の接触感に特段の違いがあることが判明した。
即ち、後述する実施例及び比較例で示すように、ブラスト加工とエッチング加工の両方法でほぼ同程度の粗面を形成するように、ナール面に微細凹凸を施して官能試験を行なったところ、特殊な加工を施してない通常のものと比べ、ブラスト加工により粗面処理をしたものでは開栓性の優位性を見い出せなかったのに対し、エッチング処理により加工したものに対しては違和感を感じることなく容易に開栓することができる条件が確認された。その原因は後述するが、ブラスト加工では、一度形成した孔(山)が次のブラストで破壊されてしまう場合があり単位長さあたりの山(凹凸)の数が少なくなり、エッチング加工処理の場合と比べて山と谷がはっきりする良好な凹凸加工ができてないことにあるものと推察される。
ナール面へのキャップの粗面加工方法として、成形後のキャップのナール表面を直接粗面加工する方法と、金型のキャビティ面を部分的に粗面加工してそれを成形によって転写することによってキャップのナール面を粗面にする方法があるが、成形後に粗面加工を行う場合は、成形された個々のキャップに粗面加工を施さなければならず、工程数が増す。それに比べて、金型のキャビティ面を粗面加工するとキャップ成形と同時にナールの粗面加工ができ、粗面加工の工程を設ける必要がなく工程が短縮できるので、本実施形態では金型のキャビティ面のナール成形面の所定範囲を粗面加工する方法を採用した。即ち、本実施形態では、前記微細凹凸の形成処理を金型のキャビティ面のナール形成面をエッチング処理することによって形成した。エッチング処理は、金型のキャビティ面で粗面処理を施すのが好ましくないところ(本実施形態の場合は、キャップ天壁面、TEバンド表面、ブリッジ部、筒壁下端リブ部、及びナール下端の幅t部)を予めマスキングして行い、ナール形成面に所定幅tの範囲に微細凹凸を形成した。それにより、キャップ天壁面或いはTEバンド表面の印刷・印字特性を損なうことがない。
エッチングによる金型のナールキャビテイ面の粗面粗さは、成形して得られるキャップのナール面に形成する粗面粗さと同様に、粗さ測定における表面基準線から10μm以上の凹凸数が11〜40個/10mm分布で存在し、且つ形状のパラメータとして最大高さRy(基準長さ毎の最低谷底から最大山頂までの高さ)が、25μm≦Ry≦100μmの範囲となるのを目標にして、エッチング処理を行なった。前記表面基準線は、表面粗さ測定における粗さ曲線において、偏差の二乗和が最小となる直線である。10mmの範囲換算で10μm以上の凹凸数が11個以下であると、凹凸による指の滑り止め効果が少なく、逆に40個以上であると凹凸が密になりすぎて、同様に指表面のナール面への食い込みが少なく滑り止め効果が少なくなると共に、離型性が悪くなる。望ましくは、15〜30個/10mmである。表面粗さのパラメータRyは必ずしも上記範囲に限らず、凹凸数が上記範囲であれば、開栓性を向上させることができるが、さらに、最大粗さRyが上記範囲にあることがより望ましい。表面粗さの最大粗さRyが25μm以下であると粗面効果が少なく、100μm以上であると該金型により成形されたキャップのナール面の凹凸が粗すぎて開栓に際して強い違和感、或いは指に痛みを感じ、また成形後の金型からの離型性が悪くなるので上記範囲が望ましい。
図2は、本発明の他の実施形態に係る易開栓合成樹脂製キャップの正面図である。本実施形態の易開栓合成樹脂製キャップ20は、ホットパック充填用等に用いられるナール数が多くピッチが小さく形成されているキャップに適用した場合を示している。本実施形態では、筒壁21のナール部22の表面全体に微細凹凸23を形成した場合を示したが、必ずしもそれに関わらず前記実施形態のようにナール部に部分的に形成してもよい。微細凹凸は、前記実施形態と同様にキャビティ金型のナール形成面全体にエッチング加工により形成し、該金型を使用して合成樹脂製キャップを成形することにより、金型のキャビティ面に形成されている微細凹凸を転写することにより形成した。
上記各実施形態では、金型のナール形成面に微細凹凸を形成することにより、合成樹脂製キャップのナール部を粗面加工したが、直接合成樹脂製キャップのナール面に微細凹凸をエッチング加工により形成することも可能である。その場合も微細凹凸を形成する粗面加工は、ブラスト加工よりもエッチング加工によるのが望ましい。
[実施例]
28mm口径ボトル用の図1に示す形状の合成樹脂製キャップを成形するための金型のキャビテイ型において、筒壁外周面のナール形成面のtの範囲に相当する部分を除き他の部分をマスキングして、該金型のキャビティ面を次の条件で湿式エッチングを行なって、金型のナール形成キャビティ面に微細凹凸を形成した。
湿式エッチング:
マスキングを実施した金型のキャビティ型に耐酸系インクでエッチングパターンを転写した後、金型の前記ナール形成面のt1の範囲に、最大表面粗さRy=50μmを形成目標に、硝酸系腐食液に所定時間浸漬し、キャビティ型面の所定箇所に微細凹凸をエッチング処理により形成して、実施例の金型を得た。
合成樹脂キャップのナール面への微細凹凸の形成
以上のようにしてエッチングして粗面化処理した実施例の金型を用い、射出成形によりナール形成面のt1に示す範囲が微細凹凸加工された図1に示すような実施例の合成樹脂キャップを得た。
[比較例1]
比較例1として、金型に実施例と同範囲に湿式エッチング処理により微細凹凸加工を施した。但し、比較例1では、最大表面粗さ30μmを形成目標に、実施例より短い時間硝酸系腐食液に浸漬し、キャビティ型面の所定箇所に微細凹凸をエッチング処理により形成して比較例1の金型を得た。得られた比較例1の金型を用いて射出成形して比較例1の合成樹脂キャップを得た。
[比較例2、3]
比較例2、3として、実施例、比較例1と同様な形状の28mm口径ボトル用の合成樹脂キャップ成形用の金型のキャビティ型において、同様に非加工面をマスキングしてナール形成型面の同じ範囲をブラスト処理して微細の凹凸を形成した。ブラスト処理による加工も実施例の場合と同様に、金型のキャビティ面の最大表面粗さ50μmを目標にブラスト処理した比較例2の金型と、30μmを目標にブラスト処理した比較例3の金型を得た。得られた金型を用いて、合成樹脂キャップを射出成形して、スカート壁のナール形成面の所定範囲に微細な凹凸が形成された比較例2、3の合成樹脂キャップを得た。
以上のようにして得られた実施例及び比較例1〜3の合成樹脂キャップの微細凹凸加工されたナール形成面の表面粗さを、JISに規定する粗さ測定方法によって測定した。また、比較例4として、ナール形成面に微細の凹凸を形成していない従来の合成樹脂キャップを基準キャップに採用して、その表面粗さ及びその性状を測定すると共に、後述する官能試験に供して、前記実施例及び比較例1〜3の合成樹脂キャップと、比較例4の基準キャップとの開栓性の評価を官能試験によって行なった。
Figure 0005019448
(表面粗さの測定)
粗さの測定は、実施例及び比較例とも同様に、ミツトヨ社製「SURF TEST」(商品名)表面粗さ測定器を用い、キャップのナール山面をキャップ天面からみて周方向に0゜、90゜、180゜、270゜間隔で、軸方向10mmの範囲にわたって計4箇所で表面粗さを測定した。その測定結果を、実施例は図3に示し、比較例1〜4は図4〜図7に示している。なお、図示のグラフにおいて測定データの基準線(ゼロライン)は、粗さ曲線において偏差の二乗和が最小となる直線(最小二乗法)としている。その測定範囲における基準線から最も高い点までの高さと最も低い点までの深さの和を最大粗さ(Ry)と定義した場合、ナール形成面の周方向90゜毎の4箇所おいて10mmの範囲では、表1及び図3に示すように最大粗さ(Ry)は29.1〜37.8μmの範囲にあり平均が34.1μmであった。また、同様に比較例1では、最大粗さ(Ry)が19.1〜20.5μmの範囲にあり、平均が20.1μmであった。
そして、比較例2〜4の表面粗さの測定データは、それぞれ表1及び図5〜7に示す通りであり、比較例2では、最大粗さ(Ry)が15.4〜22.5μmの範囲にあり、平均が18.9μmであった。比較例3では、最大粗さ(Ry)が12.4〜20.3μmの範囲にあり、平均が15.8μmであった。また、基準キャップである比較例4では、最大粗さ(Ry)が11.3〜15.7μmの範囲にあり、平均が13.2μmであった。
また、上記図3〜図7に示す測定データを分析すると、実施例及び比較例の合成樹脂キャップの微細凹凸加工面の性状の違いは、ブラスト加工の場合は、エッチング加工の場合と比べてRyの値が小さい傾向にあるが、両者の特徴的な違いは、図3、図4と図5、図6を比べてみれば明らかなように実施例の場合は所定の高さ(低さ)以上の山(谷)の数が多く、且つ山と谷の差も大きく明確で凹凸の形成が明確である。これに対して、比較例の場合は、実施例の場合と比べて所定の高さ(低さ)以上の山(谷)の数が少なく、実施例の場合と比べて略平坦に近くなっていることがわかる。各実施例及び比較例において、前記4方向における軸方向10mmの範囲において、基準線から±10μm以上の高さを持つ山(谷)数をカウントし、単位長さあたりの山(谷)の数を確認した。その結果を表1に示す。
(官能試験)
前記実施例及び比較例1〜3の方法で製造した各合成樹脂キャップを比較例4(基準キャップ)との一対比較法によって開栓官能評価をおこなった。官能試験は、同一条件で、容量500mlのPETボトルに室温の内容液490mlを充填後、スタティックトルク150〜155N・cm、トップロード180N、ヘッド回転数200cpmで実施例及び比較例1〜4の各キャップを巻き締め、5℃の雰囲気で1週間保持したサンプルを、キャップ外面を濡らした状態で一般パネル24人に両者を開栓してもらい、明け易かった方を選択してもらう方式とした。最終的に得られた結果をサーストン・モステラー法(Thurston Mosteller法)を用いて有意差検定を行なった。
その結果を表1に示す。表1において、比較例4の基準キャップと比べて開栓し易いものに有意差を有するものには“有意差有り”、有意差がなかったものを“−”とした。その結果、実施例のキャップは基準キャップと比べ、24人中18人が明け易いと答えた。この結果は、上記有意差検定で危険率5%で「有意差有り」と検定される。したがって、実施例の場合は、基準キャップと比べて明らかに指滑りが少なく容易に開栓することができ、且つ指への違和感や痛みも生じない良好な開栓性を有していることが確認された。これに対して、比較例1〜3では、ナール面に微細凹凸を形成しているにも関わらず基準キャップとの有意差はなかった。
上記開栓官能試験において有意差の見られた実施例の合成樹脂キャップは、表1に示すように、比較例1〜3に比べて、単位長さ当たりの±10μm以上の山(谷)数が明らかに多く、一定の高さを持つ山(谷)が密に存在していることがわかる。すなわち、実施例の場合は、周方向4箇所における10mm単位あたりの山(谷)数が15〜28個、平均20.3個あるのに対し、比較例1では4〜10個、平均7.3個しかなく、また、ブラスト処理によって粗面加工した比較例2の場合は、3〜9個、平均で5.8個、比較例3では1〜7個、平均で3.5個しか存在していない。
したがって、この実施例及び比較例からして、上記官能試験において実施例のみが開栓性に有意差を有し、比較例1〜3がナール表面に実施例と同様に微細凹凸加工を施しているにも関わらず、基準キャップと比べて開栓性に有意差を有しないという差が生じる原因は、単に粗面であるばかりでなく単位当たりの所定高さ以上の山(谷)の本数が存在する微細凹凸の分布状態が開栓性に最も影響を及ぼしていることにあるものと推察される。
(成形性)
金型のキャビティ面に微細凹凸加工を施すことによって、キャップ成形において樹脂とキャビティ型面が微細凹凸嵌合状態となるので、成形後の型抜き抵抗が増大し離型性が悪くなることが予測される。そこで、実施例及び比較例において、成形後の離型性をナール成形型面に微細凹凸加工が施されていない従来の金型で比較例4の合成樹脂キャップを成形する場合との離型性を比較した。その結果、実施例および比較例1〜3いずれの場合も基準キャップを成形する場合と殆ど変わらず、上記範囲の粗面粗さでは離型性に影響を与えないことが確認された。
本発明の易開封合成樹脂製キャップは、易開栓性を有するので指の把持力が弱い子供や老人等広く一般を対象とする、ホットパック用あるいはアセプティック用に限らず通常の飲料ボトルのキャップとして好適でり、且つ広口容器及び狭口容器の何れのキャップとしても利用可能である。
本発明の実施形態に係る易開栓合成樹脂製キャップの正面図である。 本発明の他の実施形態に係る易開栓合成樹脂製キャップの正面図である。 図1に示す易開栓合成樹脂製キャップの実施例の表面粗さの測定結果を示す線図である。 比較例1の合成樹脂製キャップの表面粗さの測定結果を示す線図である。 比較例2の合成樹脂製キャップの表面粗さの測定結果を示す線図である。 比較例3の合成樹脂製キャップの表面粗さの測定結果を示す線図である。 比較例4の合成樹脂製キャップの表面粗さの測定結果を示す線図である。
符号の説明
1、20 易開栓合成樹脂製キャップ
2 天壁
3、21 筒壁
4、22 ナール
5 筒壁下端リブ部
8 ブリッジ
10 TEバンド
15、23 微細凹凸

Claims (3)

  1. 筒壁外周部にナールが形成された螺子式合成樹脂製キャップにおいて、前記ナールの表面全体又は一部に微細凹凸が形成され、該微細凹凸は、表面粗さ基準線から10μm以上の凹凸が11〜40個/10mmの分布で存在しており、前記微細凹凸がエッチング加工により形成されたものであることを特徴とする易開栓合成樹脂製キャップ。
  2. 筒壁外周部にナールが形成された螺子式合成樹脂製キャップにおいて、前記ナールの表面全体又は一部に微細凹凸が形成され、該微細凹凸は、表面粗さ基準線から10μm以上の凹凸が11〜40個/10mmの分布で存在しており、前記微細凹凸は、金型のナール形成キャビティ面にエッチング処理により微細凹凸を施し、該ナール形成キャビティ面が転写されることにより形成されたものであることを特徴とする易開栓合成樹脂製キャップ。
  3. 前記微細凹凸を施したナール表面の表面粗さは、最大高さRyが25〜100μmである請求項1又は2に記載の易開栓合成樹脂製キャップ。
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JP2008037498A (ja) * 2006-07-11 2008-02-21 Kirin Brewery Co Ltd プラスチックキャップ及びそれで密封された製品又は容器

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