JP5018897B2 - 苗移植機 - Google Patents

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Description

本発明は、後輪を備える苗移植機に関する。
従来、乗用型田植機の走行車輌では、例えば、左右の後輪を上下揺動自在に支持し、旋回時に機体後部の苗植付部を田面から所定の非作業位置まで上昇させると、この上昇操作に連動して左右の後輪を下降させることにより、機体の後部を持ち上げて機体を前下がり気味にすることで、機体の旋回が円滑に行えるようにしている(特許文献1参照。)。
特開2004−275059号公報
上記従来の機体後部の持ち上げは、植付部の上下に連動した構成であり、植付部を上昇させると、前後進に関係なく作動するため、後進しながら畦越えするときやアユミを登るとき、及び圃場の耕盤が深いときは、逆にバランスを悪くする問題があった。
また、植付部を下げ植付作業時は機体後部の持ち上げが不可能な為、機体が前上がり姿勢になったり、苗の植付姿勢が悪化したりする問題がある。
本発明の課題は、機体の前後傾斜姿勢を修正するために自動的に後輪を下降させる機構を、機体の重量アップやコストアップを抑えて簡単に構成することにある。
この発明は、上記課題を解決するべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、体(2)に左右の前輪(3)及び左右の後輪(4)を設け、該車体(2)の後方に苗植付部(7)を昇降可能に設け、該苗植付部(7)の前側で且つ車体(2)の後側に植付前の圃場を整地する整地ロータ(38)を設け、前記走行車体(2)の後部に圃場に肥料を供給する施肥装置(8)を設け、前記左右の後輪(4)を取り付ける後輪車軸(56)を備える左右の後輪伝動ケース(34)を設け、該左右の後輪伝動ケース(34)の入力軸(34b)に機体前側から駆動力を伝達する左右の後輪伝動軸(33)を設け、前記車体(2)の後部に後部フレーム(49)を設け、該後部フレーム(49)の左右方向内側に第一支持部材(50)を固定して設け、左右方向外側に第二支持部材(51)を着脱自在に設け、該第一支持部材(50)及び第二支持部材(51)で支持する左右方向の回動支点軸(54)を前記左右の後輪伝動ケース(34)に形成した孔(51a)に挿入して該左右の後輪伝動ケース(34)を該回動支点軸(54)回りに上下方向に回動可能に構成し、前記後部フレーム(49)から後方に向けて第三支持部材(55)を設け、該第三支持部材(55)の下面に後輪伝動ケース(34)に接触するクッションゴム(60)を設け、前記第三支持部材(55)に支持軸(59)を設け、該支持軸(59)回りに長孔(58a)を形成した規制用アーム(58)を回動自在に設け、該長孔(58a)に挿入して規制用アーム(58)の回動を規制する規制用ピン(57)を前記後輪伝動ケース(34)の機体内側に設け、該規制用アーム(58)の外周に後輪伝動ケース(34)の上下方向への回動を付勢する圧縮スプリングを巻回して設け、前記左側の後輪伝動ケース(34)の機体内側部にロータ用出力軸(35)を設け、該ロータ用出力軸(35)にロータ駆動用ケース(36)を上下回動自在に設け、該ロータ駆動用ケース(36)から前記整地ロータ(38)に駆動力を供給するロータ伝動軸(37)を設け、前記右側の後輪伝動ケース(34)の機体内側部に施肥用出力軸(39)を設け、該施肥用出力軸(39)に施肥装置(8)の施肥駆動軸(43)を往復回動させる駆動クランクアーム(40)を設け、該施肥駆動軸(43)に施肥装置(8)から肥料を繰り出す繰出部(10)内の繰出ロータを一方向へ所定角度ずつ回転させる施肥伝動機構(48)を設けたことを特徴とする苗移植機とした。
上記の発明より、機体前進させて越える時や、トラックへ積み込むあるいは耕盤が深い圃場で作業するなどにおいて、後輪(4)に所定以上の駆動負荷が生じたときには、駆動反力により後輪伝動ケース(34)が下側に回動して後輪(4)が下動状態となり、機体が前上がり姿勢になって前輪(3)が浮き上がることを防止できる。
また、後部フレーム(49)の左右方向外側に第二支持部材(51)を着脱可能に設けたことにより、第二支持部材(51)を取り外すだけで後輪伝動ケース(34)を着脱することができる。
そして、第三支持部材(55)の下面に後輪伝動ケース(34)に接触するクッションゴム(60)を設けたことにより、このクッションゴム(60)を後輪伝動ケース(34)に接触させて後輪(4)の振動を吸収することができる。
さらに、圧縮スプリングを規制用アーム(58)の外周に巻回したことにより、後輪(4)に所定以上の駆動負荷が生じると圧縮スプリングが伸張して後輪伝動ケース(34)を下方に付勢して回動させることができる。
また、左側の後輪伝動ケース(34)から整地ロータ(38)に駆動力を伝動し、右側の後輪伝動ケース(34)から施肥装置(8)の繰出部(10)に駆動力を伝動する構成としたことにより、左右の後輪伝動ケース(34)の伝動負荷の均一化を測ることができる。
さらに、整地ロータ(38)と施肥装置(8)の繰出部(10)への伝動機構が交わらない構成とすることができる。
請求項2に係る発明は、前記回動支点軸(54)を後輪(4)の外径内に配置したことを特徴とする請求項1記載の苗移植機とした。
上記の発明により、回動支点軸(54)を後輪(4)の外径内に配置したことにより、回動支点軸(54)と後輪車軸(56)との間隔を小さく設定することができる。
請求項1に係る発明によると、後輪伝動ケース(34)を回動支点軸(54)を中心として上下回動させることができるので、機体前進させて越える時や、トラックへ積み込むあるいは耕盤が深い圃場で作業するなどは、駆動反力により後輪(4)が下動状態となるため、機体が前上がり姿勢になって前輪(3)が浮き上がることや、植付部(7)の沈下による苗の植付姿勢が乱れることが止される。
また、後部フレーム(49)の左右方向外側に第二支持部材(51)を着脱自在に設けたことにより、第二支持部材(51)を取り外すと機体の左右方向外側から後輪伝動ケース(34)を取り外すことができる構成となるので、メンテナンス性が向上する。
そして後部フレーム(49)から後方に延びる第三支持部材(55)の下面に後輪伝動ケース(34)に接触するクッションゴム(60)を設けたことにより、クッションゴム(60)を後輪伝動ケース(34)に接触させて後輪(4)の振動を吸収することができる。
さらに、第三支持部材(55)に設ける支持軸(59)回りに回動する規制用アーム(58)の外周部に圧縮スプリングを巻回して設けたことにより、後輪(4)に所定以上の駆動負荷が生じると、圧縮スプリングが伸張して後輪伝動ケース(34)を下方に付勢して回動させることができるので、機体が前上がり姿勢になって前輪(3)が浮き上がることや、植付部(7)の沈下による苗の植付姿勢が乱れることが防止される。
また、左側の後輪伝動ケース(34)から整地ロータ(38)に駆動力を伝動し、右側の後輪伝動ケース(34)から施肥装置(8)の繰出部(10)に駆動力を伝動する構成としたことにより、左右の後輪伝動ケース(34)の伝動負荷の均一化を測ることができるので、左右の後輪(4)の駆動力が均一になり、走行性能や直進性能が向上する。
そして、整地ロータ(38)と施肥装置(8)の繰出部(10)への伝動機構が交わらないことにより、伝動機構を簡潔に構成することができる。
請求項2に係る発明によると、請求項1に係る発明の効果に加えて、回動支点軸(54)と後輪車軸(56)との間隔を小さく設定することができるので、後輪(4)に所定以上の駆動負荷が掛かると駆動反力によって後輪伝動ケース(34)が下側に回動するため、機体が前上がり姿勢になって前輪(3)が浮き上がることや、植付部(7)の沈下による苗の植付姿勢が乱れることが防止される。
田植機の側面図 田植機の平面図 前輪を示す側面図 施肥装置の一部及び後輪伝動ケースを示す背面図 後輪伝動ケースを示す側面図
この発明の実施の一形態の苗移植機を以下に説明する。
図1及び図2は、走行車輌を備える乗用型の4条植田植機(苗移植機)1を示すものであり、車体2の前後には走行車輪としての左右一対の前輪3及び後輪4が架設されている。車体上前部には操作ボックス5及びステアリングハンドル6等を有する操縦装置が設置され、また、車体2の後方には昇降可能な苗植付部7が装備されている。また、車体2の後部には施肥装置8が設けられ、肥料タンク9に貯留する肥料を各条の繰出部10で所定量づつ繰り出し、その繰り出した肥料をブロア11からの圧力風により各条の移送ホース12で苗植付部7に設けた吐出口13から吐出して施肥する構成となっている。操縦装置の後側に運転席14が設置され、運転席14の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジン15が搭載されている。
前記ステアリングハンドル6は、この回動操作によりステアリングポスト内のステアリング軸からステアリングケース内を経て減速回転される出力軸、ピットマンア−ム及び操向ロッド等を介して左右の前輪3を操向させ操舵するようになっている。
前輪3は、複数本(3本)のスポーク3aを備え、各スポーク3a間となる内部に空間を備えているため、機体の走行で該空間に入る泥土をスポーク3aが持ち上げて圃場を荒らすことがある。そこで、前記空間を遮るホイルデイスクを前輪2に取り付けてスポーク3aによる泥土の持ち上げを防止する構成が知られているが、ホイルデイスクに泥土が付着し、その泥土が落下して圃場を荒らしたり走行抵抗になるおそれがある。特に、前輪3の回転に伴うホイルデイスクの回転中心部は回転移動量が少ないため、泥土の付着量が多くなる。そこで、図3に示すホイルデイスク16は、中央部に円形の孔16aを設け、泥土の付着量の多いホイルデイスクの回転中心部を欠如した構成としたので、スポーク3aによる泥土の持ち上げを防止しつつ、ホイルデイスク16への泥土の付着を抑えることができ、ホイルデイスク16に泥土が付着して圃場を荒らしたり走行抵抗になったりするようなことを防止できる。
苗植付部7は、車体2の後部に昇降リンク機構17を介して昇降可能に装着され、昇降用油圧シリンダ18の伸縮作動により昇降する構成であり、本例では、油圧シリンダ18の引き側で苗植付部7を上昇させる構成としている。なお、19は植付昇降レバーを示す。
また、この苗植付部7には、左右に往復動する苗載タンク20、1株分の苗を切取って土中に植込む植込杆21を有する植付装置22、苗植付面を滑走しながら整地するフロ−ト(サイドフロ−ト)23、センタフロ−ト24等を備えている。
エンジン15の回転動力は、エンジン出力プーリ25からベルト26を介して油圧式無段変速装置(HST)27の入力プ−リ28、入力軸29に伝えられ、この入力軸29からこれと同一軸芯上に設けられた伝動軸を介して油圧ポンプを駆動するようになっており、更に、油圧式無段変速装置27の出力軸からミッションケ−ス30のミッション入力軸に伝えられるようになっている。
操作ボックスすなわちフロントカバー5の上部近傍には、該油圧式無段変速装置27を駆動する変速レバー31が配置され、この変速レバー31の前後方向の操作で油圧式無段変速装置27を駆動し機体の前進及び後進制御を司るように構成されている。運転席14の前方右側には、前輪3及び後輪4を制動するためのブレーキペダル32を設けている。また、このブレーキペダル32を踏み込み操作状態(制動状態)で保持できるペダル保持装置を設けている。
ミッションケース30内からの動力により、苗植付部7が作動すると共に、該ミッションケース30の左右両側に設けた前輪3が駆動する。また、ミッションケース30内からの動力が左右各々の後輪伝動軸33を介して左右の後輪伝動ケース34内へ伝動され、後輪4が駆動する。
左側の後輪伝動ケース34の左右方向内側(右側)には、該ケース34から出力される左右方向のロータ用出力軸35を設けている。このロータ用出力軸35から該軸35回りに上下回動自在のロータ駆動用ケース36及びロータ伝動軸37を介して車体2の後側で且つ苗植付部7の前側に設けた整地ロータ38へ伝動し、該整地ロータ38の駆動により植付前の圃場を整地する構成となっている。一方、右側の後輪伝動ケース34の左右方向内側(左側)には、該ケース34から出力される左右方向の施肥用出力軸39を設けている。この施肥用出力軸39から該軸39と一体回転する駆動クランクアーム40、駆動ロッド41及び従動アーム42を介して施肥駆動軸43へ該軸43が往復回動するよう伝動され、この施肥駆動軸43から各2条毎の入力アーム44、ロッド45、出力アーム46及び一方向クラッチ47等で構成される施肥伝動機構48を介して該施肥伝動機構48の左右に設けた各々の繰出部10へ伝動し、該繰出部10内の繰出ロータを一方向へ所定角度づつ回転させる構成となっている。このように、左右の後輪伝動ケース34から整地ロータ38及び施肥装置8の繰出部10へ伝動するにあたり、一方の後輪伝動ケース34から整地ロータ38へ伝動し、他方の後輪伝動ケース34から繰出部10へ伝動する構成として、それぞれの伝動出力を左右で振り分けた構成としたので、左右の後輪伝動ケース34内の伝動負荷の均一化が図れ、ひいては左右の後輪4の駆動力の均一化が図れて機体の走行性能及び直進性能が向上する。また、整地ロータ38及び施肥装置8の繰出部10への伝動機構を交錯させずに簡潔に構成できる。
車体の後部に設けた左右方向に延びる後部フレーム49の左右両端部には、プレートで構成される左右方向内側の第一支持部材50と左右方向外側の第二支持部材51とを各々設けている。前記第一支持部材50及び第二支持部材51は後部フレーム49から下側に延設され、第一支持部材50は後部フレーム49に溶接して固定され、第二支持部材51は後部フレーム49の端部に設けたブラケット52に前後上下計4本の取付ボルト53により着脱可能に装着されている。第一支持部材50の下端部には左右方向外側に延びる回動支点軸54を溶接して固定し、第二支持部材51の下端部には前記回動支点軸54の端部を挿入する孔51aを設けている。従って、回動支点軸54は、第一支持部材50と第二支持部材51とで両持ち支持されている。これにより、回動支点軸54の支持が安定し、該軸54のガタを抑えることができ、後述する後輪4の上下動を適正に且つ安定して行える。左右方向で第一支持部材50と第二支持部材51との間には、後部フレーム49から後方に延びる背面視U字型の第三支持部材55を設けている。前記取付ボルト53により第二支持部材51を後部フレーム49に対して着脱可能に構成しているので、第二支持部材51を取り外して第一支持部材50で片持ち支持される回動支点軸54に沿って機体の左右方向外側から後輪伝動ケース34の着脱を容易に行える。
後輪伝動ケース34は、回動支点軸54を挿入するための孔及び後輪車軸56を挟む位置で分割する上下の分割ケース34aからなる構成であり、左右の後輪伝動ケース34で共用化されている。尚、前記孔より後輪車軸56は後側に位置している。上側の分割ケース34aの左右内側には規制用ピン57を設け、該規制用ピン57が挿入される長孔58aを備える規制用アーム58が、前記第三支持部材55の側面に設けた支持軸59回りに回動自在に設けられている。従って、前記規制用ピン57の移動が前記長孔58a内で規制され、後輪伝動ケース34の上下回動域が規制される。従って、前記規制用ピン57及び規制用アーム58は、後輪伝動ケース34の上下方向の回動域を規制する規制部材となる。また、第三支持部材55の下面には弾性部材となるクッションゴム60を設けており、このクッションゴム60が後輪伝動ケース34に接触することにより、後輪4からの振動を吸収する構成となっている。
よって、後輪伝動ケース34は回動支点軸54回りに上下回動可能に構成され、後進時及び前進時でも後輪4の駆動負荷が小さい通常の走行時には、機体の自重で規制用アーム58の長孔58aの上端に規制用ピン57が当たる位置まで後輪伝動ケース34が上動して後輪4が最上状態となる。このとき、後輪伝動ケース34はクッションゴム60に当接し、機体の振動が抑えられる。一方、前進時で後輪4に所定以上の駆動負荷が生じたときには、その駆動反力により機体の自重に抗して後輪伝動ケース34が下側へ回動して後輪4が下動する。この後輪4の下動は、規制用アーム58の長孔58aの下端に規制用ピン57が当たることにより、最下位置が規制される。
尚、回動支点軸54は、後輪4の外径内に設定している。従って、回動支点軸54と後輪車軸56との間隔を小さく設定しているので、後輪4の駆動反力で後輪伝動ケース34を下側へ回動させることができるのである。
ところで、後輪伝動軸33は、ミッションケース30に近い前部と後輪伝動ケース34に近い後部とに自由な方向へ屈曲自在な継ぎ手(ユニバーサルジョイント)33aを備え、後輪伝動ケース34の上下回動による該後輪伝動ケース34の入力軸34bの移動に順応する構成となっている。そして、後輪伝動ケース34の回動で大きく屈曲変化する後側の継ぎ手33aにおいて、後輪車軸56が最上位置となるべく後輪伝動ケース34が上側に回動したとき前記継ぎ手33aが上側に凹となるよう屈曲し、後輪車軸56が最下位置となるべく後輪伝動ケース34が下側に回動したとき前記継ぎ手33aが下側に凹となるよう屈曲し、後輪伝動ケース34の上下回動において後輪伝動軸33の屈曲方向を互いに逆側にして上下に振り分けた構成としている。従って、後輪伝動ケース34の上下回動全域において、継ぎ手33aの屈曲角度を許容範囲内で極力小さく設定できるため、後輪伝動軸33による伝動ロスを低減できて後輪伝動ケース34ヘの伝動を良好にできる。また、後輪車軸56が最下となるときの後輪伝動軸33の継ぎ手33aの屈曲角度より後輪車軸56が最上となるときの後輪伝動軸33の継ぎ手33aの屈曲角度が小さくなる構成としたので、後進時や前進時でも後輪4の駆動負荷が小さい通常走行時には、機体の自重により後輪伝動ケース34が上側へ回動して後輪車軸56が最上位置となるため、継ぎ手33aの屈曲角度が小さく、該後輪伝動軸33による伝動ロスを低減できて後輪伝動ケース34ヘの伝動を良好にできる。
以上により、この田植機1により、直進植付時において、通常の走行負荷のときは後輪4が最上状態となり、耕盤が深くて過大な走行負荷がかかるようなときは、前輪3より車輪分担荷重の大きい後輪4が圃場に深く沈み込むことと後輪4の駆動反力との要因により、機体が前上がり姿勢になりやすいが、後輪4が下動状態となることで機体の前上がり姿勢が修正され、植付部7の沈下により苗植付姿勢が乱れたりするようなことを防止できる。一方、畦際での機体旋回時には、走行負荷が増大するので、自動的に後輪4が下動状態となることで機体が前下がり姿勢になり、機体旋回のために旋回内側の後輪4の駆動を断つことにより旋回外側しか駆動しない後輪4に対して左右両方を駆動させる前輪3の車輪分担荷重を増すことができ、ひいては前輪3の走行推進力を向上させることができ、旋回走行を円滑に行うことができる。また、前進での畦越え時や前進でのトラックへの積込時は、走行負荷が大きくなるため、後輪4が下動状態となって機体の前上がり姿勢が修正され、作業の安全性が図れる。また、畦越え時やトラックへの積込時でも機体が後上がり姿勢となる後進時は、後輪4が上動状態に維持され、後輪4が下動することにより機体が更に後上がり姿勢になることはなく、安全である。
尚、前述のクッションゴム60に代えて圧縮スプリングを設け、後輪伝動ケース34の上下回動全域において前記圧縮スプリングを作用させる構成とすることができる。そして、後進時及び前進時でも後輪4の駆動負荷が小さい通常の走行時には圧縮スプリングが全圧縮状態となり、前進時で後輪4に所定以上の駆動負荷が生じたときには圧縮スプリングが伸長して後輪伝動ケース34の下側への回動を付勢することができる。尚、この圧縮スプリングを設ける場合も、前述のようなクッションゴム60を併用してもよい。
尚、圧縮スプリングを設けるにあたり、前述の規制用アーム58の外周に巻回されるように設け、一端が第三支持部材55に当接して規制され、他端が規制用ピン57に当接して後輪伝動ケース34を下側に回動付勢する構成としてもよい。つまり、圧縮スプリングがその内部を通る規制用アーム58で支持され、圧縮スプリングの外れを防止できると共に、構成の簡略化が図れる。
尚、後輪4の上動又は下動を付勢する付勢手段となる圧縮スプリングを設けた構成において、その付勢力を可変させることにより、後輪4を下動させる負荷を任意に変更可能にし、変速レバー31の切り替えによる機体「移動」(路上走行)時には後輪4を下動させず、「植付作業」時には機体前部が浮き上がるような高負荷時のみ後輪4を下動させて機体の後部を上昇させるように構成することで、駆動反力の小さい路上走行では後輪4を上下動させず、駆動反力の大きい圃場走行では必要以上に後輪4が上下動しないように抵抗を与えることが可能となる。
また、上記のような構成において、油圧式無段変速装置27を駆動する変速レバー31の操作に起因する前後進低速時には後輪4を下動させず、中・高速時には機体前部が浮き上がるような高負荷時のみ後輪4を下動させるよう構成することもでき、駆動反力の小さい低速走行では後輪4を上下動させず、駆動反力の大きい高速走行では必要以上に後輪4が上下動しないように抵抗を与えることが可能となる。
更に、エンジン15のスロットル低回転時には後輪4を下動させず、中・高速時には機体前部が浮き上がるような高負荷時のみ後輪4を下動させて機体の後部を上昇させるように構成することもできる。
尚、前述のクッションゴム60を後進高負荷時には圧縮して撓むような弾力特性に設定し、後進高負荷時には逆に機体後部を下降させて機体の前下がり状態を緩和させ、前輪3の沈み込みを防止することもできる。これによれば、後進での畦越えやアユミ越えが容易にでき、走行抵抗の大きい湿田での後進性能が向上する。
また、ブレーキペダル32の操作に連動して左右の後輪伝動ケース34の上下回動を規制する規制具を設け、機体を走行停止させたときには後輪4が上下動しないように固定する構成とし、トラック等での運搬時にはペダル保持装置によりブレーキペダル32を踏み込み状態で保持しておけば、運搬時の振動等により無闇に後輪4が上下動するようなことを防止でき、後輪伝動ケース34の急激な上下動により後部フレーム49や後輪伝動ケース34が破損するようなことを防止でき、また荷台等に保持するために機体に掛けられたロープが引っ張られて緩んだり切れたりするようなことを防止できる。
1 4条植田植機(苗移植機)
2 車体
3 前輪
4 後輪
7 苗植付部
施肥装置
33 後輪伝動軸
34 後輪伝動ケース
34b 後輪伝動ケースの入力軸
35 ロータ用出力軸
36 ロータ駆動用ケース
37 ロータ伝動軸
38 整地ロータ
39 施肥用出力軸
40 駆動クランクアーム
48 施肥伝動機構
49 後部フレーム
50 第一支持部材
51 第二支持部材
51a
54 回動支点軸
55 第三支持部材
56 後輪車軸
57 規制用ピン
58 規制用アーム
58a 長孔
59 支持軸
60 クッションゴム

Claims (2)

  1. 体(2)に左右の前輪(3)及び左右の後輪(4)を設け、該車体(2)の後方に苗植付部(7)を昇降可能に設け、該苗植付部(7)の前側で且つ車体(2)の後側に植付前の圃場を整地する整地ロータ(38)を設け、前記走行車体(2)の後部に圃場に肥料を供給する施肥装置(8)を設け、前記左右の後輪(4)を取り付ける後輪車軸(56)を備える左右の後輪伝動ケース(34)を設け、該左右の後輪伝動ケース(34)の入力軸(34b)に機体前側から駆動力を伝達する左右の後輪伝動軸(33)を設け、
    前記車体(2)の後部に後部フレーム(49)を設け、該後部フレーム(49)の左右方向内側に第一支持部材(50)を固定して設け、左右方向外側に第二支持部材(51)を着脱自在に設け、該第一支持部材(50)及び第二支持部材(51)で支持する左右方向の回動支点軸(54)を前記左右の後輪伝動ケース(34)に形成した孔(51a)に挿入して該左右の後輪伝動ケース(34)を該回動支点軸(54)回りに上下方向に回動可能に構成し、
    前記後部フレーム(49)から後方に向けて第三支持部材(55)を設け、該第三支持部材(55)の下面に後輪伝動ケース(34)に接触するクッションゴム(60)を設け、前記第三支持部材(55)に支持軸(59)を設け、該支持軸(59)回りに長孔(58a)を形成した規制用アーム(58)を回動自在に設け、該長孔(58a)に挿入して規制用アーム(58)の回動を規制する規制用ピン(57)を前記後輪伝動ケース(34)の機体内側に設け、該規制用アーム(58)の外周に後輪伝動ケース(34)の上下方向への回動を付勢する圧縮スプリングを巻回して設け、
    前記左側の後輪伝動ケース(34)の機体内側部にロータ用出力軸(35)を設け、該ロータ用出力軸(35)にロータ駆動用ケース(36)を上下回動自在に設け、該ロータ駆動用ケース(36)から前記整地ロータ(38)に駆動力を供給するロータ伝動軸(37)を設け、前記右側の後輪伝動ケース(34)の機体内側部に施肥用出力軸(39)を設け、該施肥用出力軸(39)に施肥装置(8)の施肥駆動軸(43)を往復回動させる駆動クランクアーム(40)を設け、該施肥駆動軸(43)に施肥装置(8)から肥料を繰り出す繰出部(10)内の繰出ロータを一方向へ所定角度ずつ回転させる施肥伝動機構(48)を設けたことを特徴とする苗移植機。
  2. 前記回動支点軸(54)を後輪(4)の外径内に配置したことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
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