JP5018237B2 - 微量油潤滑深穴加工用鋼材 - Google Patents
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fn1=(P/3)+(N―0.52×Al)・・・(1)
fn2=C+(Mn/5)・・・(2)
ただし、(1)式および(2)式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。」
ここで、上記の「フェライト・パーライト組織」とは、全体の95%を超える部分がフェライトとパーライトの混合組織からなることを指す。
C:0.33〜0.70%
Cは、鋼の強度を高めて機械構造部品に所望の高い強度を付与するのに必須の元素である。加えてCには、微量油潤滑切削の場合の加工性に重要な役割を果たす後述のフェライト率に影響を及ぼす。Cの含有量が0.33%未満では所望の高い強度の確保が困難であるばかりか、フェライト・パーライト組織におけるフェライトの量(フェライト率)が多くなって400℃における引張試験での延性としての絞りが高くなるので、大きなバリが生じる。一方、その含有量が0.70%を超えるとフェライト・パーライト組織におけるフェライトの量が少なくなって、やはり400℃における引張試験での延性としての絞りが高くなるので、大きなバリが生じる。したがって、Cの含有量を0.33〜0.70%とした。なお、好ましいC含有量の範囲は0.35〜0.50%である。
Siは、強度を高める元素である。しかしながら、その含有量が0.1%未満ではその効果が期待できない。一方、Siを1.2%を超えて含有させると硬さが上昇し、特に、Siは軟質なフェライトに固溶しやすいので剪断変形抵抗を高め切削抵抗の上昇をもたらす。したがって、Siの含有量を0.1〜1.2%とした。Si含有量の好ましい上限は0.7%である。
Mnは、強度を高める作用を有する。なお、Mnはフェライト・パーライト組織におけるフェライトの量(フェライト率)に影響を及ぼすため、C含有量とのバランスを考慮することも重要であり、強度を確保するために、Mnは0.35%以上の含有量とする必要がある。しかしながら、その含有量が2.0%を超えるとフェライト・パーライト組織中のフェライトの量が低下し、その結果400℃の延性としての絞りが高くなり、大きなバリが生じる場合がある。したがって、Mnの含有量を0.35〜2.0%とした。なお、Mnの含有量は0.65%以上とすることが好ましい。また、Mn含有量の上限は、1.5%とすることが好ましい。
Pは、本発明において重要な元素である。その含有量が微量の場合、Pは主にフェライトとパーライトの粒界近傍に偏析して400℃における引張試験での延性としての絞り低下に効果があり、バリの大きさ低減に有効である。しかしながら、その含有量が0.008%未満では前記の効果が得られない。一方、Pの含有量が過剰になるとフェライトとパーライトの粒界近傍に偏析するPの量が飽和し、特に、0.2%を超えると、前記フェライトとパーライトの粒界近傍に偏析するPの量が飽和するばかりか、過剰なPがフェライト粒内に固溶することによって硬さ上昇とともに切削抵抗の上昇をもたらす。したがって、Pの含有量を0.008〜0.2%とした。なお、Pの含有量の上限は0.15%とすることが好ましい。
Sは、鋼中でMnSを形成して被削性を改善する作用を有する。その効果は、切り屑剪断域での変形の起点となることで剪断変形抵抗を小さくすることにある。しかしながら、その含有量が0.04%未満では前記の効果が得難い。一方、Sを多量に含有すると、MnSが粗大化するとともにその量も多くなるので靱性の異方性が顕著になり、さらに、靱性そのものが劣化する。特に、Sの含有量が0.2%を超えると、靭性の劣化が著しくなる。したがって、Sの含有量を0.04〜0.2%とした。なお、好ましいS含有量の範囲は0.04〜0.15%である。
Crは、鋼材の強度を確保させるために必要な元素でありる。こうした効果を確実に得るためには、Crの含有量は0.01%以上とする必要がある。しかしながら、その含有量が0.2%を超えると、Nのフェライトとパーライトの粒界近傍における偏析を抑制し、その結果400℃の延性としての絞りが高くなり、大きなバリが生じる。したがって、Crの含有量を0.01〜0.2%とした。なお、好ましいCr含有量の上限は0.15%である。
Alは、鋼の脱酸に有効な元素であり添加する。しかしながら、Alは窒化物を形成してフェライト中に固溶状態で存在する窒素の量を低減させ、その結果として400℃における引張試験での延性としての絞りが高くなり、大きなバリが生じ、さらに、Alの含有量が多くなると硬質な酸化物の量が高くなって工具の損傷をきたす場合がある。特に、Alの含有量が0.025%を超えると、大きなバリが生じたり工具の損傷をきたすことが多くなる。したがって、Alの含有量を0.025%以下とした。
Nは、本発明において重要な元素である。Nは、鋼中のフェライトおよび、フェライトとパーライトの粒界近傍に固溶し、400℃における引張試験での延性としての絞りを低下させてバリを抑制する効果がある。しかしながら、その含有量が0.012%以下では前記の効果が得難い。一方、Nを0.030%を超えて含有させてもその効果が飽和し、製造コストが嵩むだけである。したがって、Nの含有量を0.012%を超えて0.030%以下とした。なお、前記したNの効果を安定して確保するためには、その含有量は0.014〜0.026%とすることが好ましい。
fn1=(P/3)+(N―0.52×Al)で表される(1)式によって400℃における引張試験での延性を整理することができ、fn1の値が0.01以上を満たすとき、フェライトとパーライトの粒界近傍が脆化するので400℃における引張試験での延性としての絞りが低下し、このためバリが抑制される。逆に、上記fn1の値が0.01に満たないときは、400℃における引張試験での延性としての絞りが高くなって大きなバリが生じる。したがって、(1)式で表されるfn1の値が0.01以上を満たすことと規定した。
Vは、Nとともに窒化物を形成し、フェライト中に固溶状態で存在する窒素の量を低減させ、その結果として400℃における引張試験での延性としての絞りが高くなる。特に、Vの含有量が0.01%以上の場合には、400℃における引張試験での延性としての絞りが著しく高くなり、大きなバリが生じる。したがって、不純物中に含有されるVの含有量は0.01%未満でなければならない。
Tiは、Nとともに窒化物を形成し、フェライト中に固溶状態で存在する窒素の量を低減させ、その結果として400℃における引張試験での延性としての絞りが著しく高くなる。加えて、Tiの含有量が多くなると硬質な窒化物の量が増加して工具の損傷をきたす場合がある。特に、Tiの含有量が0.005%を超えると、大きなバリが生じたり工具の損傷をきたすことが多くなる。したがって、不純物中に含有されるTiの含有量は0.005%以下でなければならない。
本発明の微量油潤滑深穴加工用鋼材は、その組織を、フェライト率が7〜30%のフェライト・パーライト組織とする必要がある。
fn2=C+(Mn/5)・・・(2)。
ただし、(2)式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
Claims (1)
- 質量%で、C:0.33〜0.70%、Si:0.1〜0.7%、Mn:0.35〜2.0%、P:0.013〜0.2%、S:0.04〜0.2%、Cr:0.01〜0.2%、Al:0.025%以下およびN:0.014〜0.030%を含むとともに、下記(1)式で表されるfn1の値が0.01以上を満たし、かつ、下記(2)式で表されるfn2の値が0.60〜0.80を満たし、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中に含有されるVおよびTiがそれぞれ、V:0.01%未満およびTi:0.005%以下の化学組成を有し、フェライトの面積率が7〜30%のフェライト・パーライト組織からなることを特徴とする微量油潤滑深穴加工用鋼材。
fn1=(P/3)+(N―0.52×Al)・・・(1)
fn2=C+(Mn/5)・・・(2)
ただし、(1)式および(2)式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
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JP2007138738A JP5018237B2 (ja) | 2007-05-25 | 2007-05-25 | 微量油潤滑深穴加工用鋼材 |
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