JP5018041B2 - スラグの処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ(製鋼スラグ、高炉徐冷スラグの中から選ばれる1種以上のスラグ)に含まれるフッ素を固定化し、スラグからのフッ素の溶出を効果的に抑制することができるスラグ処理方法に関するものである。
従来、製鋼スラグや高炉徐冷スラグは、コンクリート骨材や路盤材料、港湾土木材料などの土木材料として広く利用されている。
鉄鋼製造プロセスの精錬工程では、CaOなどの精錬剤の滓化促進剤としてフッ化カルシウム(CaF)を主成分とするホタル石が使用されることがあり、このような精錬工程で発生するスラグはフッ素を含有している。また、スラグには、上記のようなフッ素源以外に、高炉装入原料を通じて不可避的にフッ素が混入することもある。
このようなフッ素含有スラグを骨材や土木材料として利用した場合、スラグが水(例えば、雨水、地下水など)に接するとスラグ中のフッ素が水に溶け出し、水質や土壌などを汚染する可能性がある。このような問題に対して、スラグからのフッ素の溶出を抑制するための方法が幾つか提案されている。
例えば、特許文献1には、製鋼スラグ融体にアルミニウム化合物を添加し、凝固過程において安定なCaO−Al23−F系化合物を生成させることでフッ素を固定するとともに、製鋼スラグの雨水や地下水などへの溶解に際して、製鋼スラグから溶出するカルシウムイオンやアルミニウムイオンを用いて、スラグから溶出するフッ素を捕捉する方法が提案されている。
また、特許文献2には、フッ素を含む製鋼スラグに、カルシウムアルミネートを含む粉末からなるフッ素固定剤と、高炉徐冷スラグなどからなる増容材を添加し、フッ素を固定化する方法が提案されている。
また、特許文献3には、フッ素を含有する製鋼スラグに、燐含有化合物や燐含有鉱物などのような燐含有物を添加し、スラグからのフッ素の溶出を抑制するようにした方法が提案されている。
特開2000−247694号公報 特開2000−335946号公報 特開2003−226906号公報
しかしながら、特許文献1の方法は、スラグの凝固プロセスにおける処理であるため、アルミニウム化合物を添加するための設備が必要となるほか、生成するスラグ量も増加するため、経済性やスラグ処理の面で問題がある。
また、特許文献2の方法は、フッ素固定剤(カルシウムアルミネートを含む粉末)をかなり多量に混合しないと、フッ素の溶出量を環境基準値以下に抑えることができず、経済性に大きな問題がある。
また、特許文献3の方法も、フッ素の溶出を十分に抑制することができない。また、効果を高めようとして多量の燐含有物を添加すると、本来の用途に必要な一軸圧縮強度などの性能が悪化するおそれがある。
一方、特に水処理の分野におけるフッ素処理技術として、フッ素を含有する廃液などにカルシウムを添加してフッ素を固定化する方法、さらには、カルシウムとともにリン酸を添加してフッ素を固定化する方法が知られているが、これらの方法をフッ素含有製鋼スラグなどに適用した場合、後述するように溶出液のpHが著しく上昇して環境悪化や固結などの問題を生じるため、これら方法は事実上、製鋼スラグなどには適用できないことが判った。
したがって本発明の目的は、製鋼スラグや高炉徐冷スラグからのフッ素溶出を効果的に抑制することができ、かつpHの上昇も抑えることができるスラグ処理方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の特徴は、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグにフッ素の溶出抑制処理を施す方法であって、高炉徐冷スラグにリン酸成分を含有する水溶液を散布し、前記リン酸成分と高炉徐冷スラグ中のフッ素及びカルシウムにより難溶性化合物を生成させることで、高炉徐冷スラグからのフッ素及びカルシウムの溶出が抑制されるようにするスラグの処理方法であり、
高炉徐冷スラグに冷却水としてリン酸成分を含有する水溶液を散布した後、3日間以上養生し、且つ、高炉徐冷スラグにリン酸成分を含有する水溶液を散布することで、環境告知第46号に準拠した溶出試験により測定される溶出水のpHが5〜11になるようにすることを特徴とするスラグの処理方法である。
本発明の処理方法によれば、製鋼スラグ、高炉徐冷スラグの中から選ばれる1種以上のスラグ(以下、単に「スラグ」という場合がある)と接触したリン酸成分が、スラグ中のフッ素及びカルシウムと反応して難溶性化合物が生成され、フッ素が固定される。この難溶性化合物は、Ca(POF(フルオロアパタイト)又はこれに類する化合物である。
本発明では、上記難溶性化合物を生成させるためのカルシウム成分として、スラグに元々含まれるカルシウムを利用するので、(i)スラグに対してカルシウムを添加しない、(ii)スラグに元々含まれるカルシウム成分も主にフルオロアパタイトやリン酸カルシウムなどとして固定される、という2つの理由で溶出可能なカルシウム量が少なく、このためスラグによる水や土壌のpH上昇が効果的に抑えられる。
特に本発明では、スラグにリン酸成分を含有する水溶液を散布するので、スラグ全体にまんべんなくリン酸成分を行き渡らせ、フッ素との反応サイトにリン酸を供給できるので、フッ素を効果的に固定化することができる。また、製鋼スラグや高炉徐冷スラグは粒径が大きく且つ結晶質で吸水性を持つが、リン酸成分を含有する水溶液を散布することにより、リン酸成分がスラグ内部まで十分に浸透し、この点からもフッ素との反応サイトにリン酸を確実に供給でき、フッ素を効果的に固定化することができる。
従来、特に水処理の分野におけるフッ素処理技術(フッ素の固定化処理技術)としては、フッ素含有廃液などにカルシウムを添加し、難溶性のフッ化カルシウムを生成させることでフッ素を固定する方法(カルシウム散布法)が広く行われている。しかし、この方法で生成するフッ化カルシウムの溶解度では、近年のフッ素の溶出基準を満足することは難しくなりつつある。このため、フッ素をより安定的に固定化できる処理方法として、フッ素含有廃液などに対してカルシウムとともにリン酸を添加し、フッ化カルシウムよりも難溶性のフルオロアパタイトを生成させ、フッ素を固定する方法(カルシウム+リン酸添加法)が開発され、一部で使用もされている。また、このカルシウム+リン酸添加法を汚泥や土壌などのフッ素含有固体廃棄物に適用したものとして、特開2002−331272号公報に記載された処理方法がある。
しかし、本発明者らがこれらの処理方法、特にフッ素固定効果が高いカルシウム+リン酸添加法をフッ素含有スラグに適用した場合について検討した結果、処理後のスラグが水や土壌のpHを上昇させるという問題があることが判った。このようなpH上昇は、高pH浸出水が公共用水(河川、湖沼、海域など)に流入するなどの環境汚染を引き起こす原因となるので、好ましくない。このためさらに検討を進めた結果、フッ素含有スラグにリン酸だけを添加した場合、フッ素の溶出量が上記カルシウム+リン酸添加法並みに抑えられる一方で、スラグによるpH上昇が効果的に抑制されるだけでなく、未処理スラグよりもむしろpHが低減することが判った。
このような結果が得られた理由について調査、検討した結果、フッ素を固定化する難溶性化合物(主にフルオロアパタイト)の生成にスラグ自身が持つカルシウムが利用されるためであることが判った。また、処理対象が製鋼スラグや高炉徐冷スラグの場合には、スラグにリン酸成分を添加する方法として、リン酸成分を含有する水溶液を散布することが必要であり、固体のリン酸化合物を添加する方法などの他の添加方法では十分な効果が得られないことも判った。
このため本発明の処理法では、製鋼スラグ、高炉徐冷スラグの中から選ばれる1種以上のスラグにリン酸成分を含有する水溶液を散布し、前記リン酸成分とスラグ中のフッ素及びカルシウムにより難溶性化合物を生成させることで、スラグからのフッ素及びカルシウムの溶出が抑制されるようにするものである。上記難溶性化合物は、Ca(POF(フルオロアパタイト)又はこれに類する化合物である。以下の説明では、難溶性化合物を便宜上「フルオロアパタイト」と呼ぶ。
本発明法では、スラグに外部からカルシウムを添加せず、その一方で、スラグに含まれているカルシウムは上記のようにフルオロアパタイト(或いは、一部はリン酸カルシウム)の生成に消費されるため、水に接した場合のカルシウム溶出が非常に少なくなる。これに対して、上述したカルシウム+リン酸添加法では、過剰なカルシウム分が残存するので、長期にわたって相当量のカルシウムが溶出し、高pH浸出水が生じる危険性がある。
環境告知第46号に準拠した溶出試験により測定されるフッ素溶出量が1.4mg/Lである製鋼スラグを処理対象とし、このスラグに対して種々の添加量で水酸化カルシウム粉を添加し且つ正リン酸水溶液(正リン酸の希釈倍率:50倍)を散布した試験体(比較例)と、同じく種々の添加量で正リン酸水溶液(正リン酸の希釈倍率:50倍)を散布した試験体(本発明例)を調製した。これら試験体の調製では、平型バットに入れられたスラグに上記添加剤(「水酸化カルシウム粉+正リン酸水溶液」又は「正リン酸水溶液」)を加えた後、ハンドスコップで混合した。
上記のように調製された試験体を、7日後に環境告知第46号に準拠した溶出試験に供し、フッ素溶出量及び溶出液のpHを測定した。それらの結果を図1(比較例の試験体)及び図2(本発明例の試験体)に示す。なお、図1及び図2に示す正リン酸水溶液の添加量(P換算量)、水酸化カルシウム粉の添加量は、いずれもスラグ100質量部に対する質量部である。
図1に示す水酸化カルシウム粉を添加し且つ正リン酸水溶液を散布した比較例の試験体では、それら添加成分が所定量以上になるとフッ素の溶出量が急激に低下し、フッ素溶出の顕著な抑制効果が得られている。しかし、それとともに溶出液のpHが非常に高くなり、水や土壌のアルカリ性を高めることになる。
これに対して、図2に示す正リン酸水溶液のみを添加(散布)した本発明例の試験体では、その添加成分が所定量以上になるとフッ素の溶出量が急激に低下し、図1とほぼ同等のフッ素溶出の抑制効果が得られている。また、それとともに溶出液のpHが低下している。これは、本発明例の試験体では、スラグ自身が持つカルシウムを利用してフルオロアパタイトが生成されるので、この生成物にフッ素が固定されることでフッ素溶出が効果的に抑制される一方で、(i)比較例の試験体のようにスラグに対してカルシウムを添加しない、(ii)スラグ自身が持つカルシウム成分がフルオロアパタイトなどとして固定される、という2つの面で、比較例の試験体に較べて溶出可能なカルシウム成分の量が大幅に少なくなるためである。
次に、環境告知第46号に準拠した溶出試験により測定されるフッ素溶出量が1.2mg/Lである高炉徐冷スラグを処理対象とし、このスラグに対して種々の添加量で正リン酸水溶液(正リン酸の希釈倍率:50倍)を散布した試験体(本発明例)を調製した。これら試験体の調製では、平型バットに入れられたスラグに上記正リン酸水溶液を加えた後、ハンドスコップで混合した。
上記のように調製された試験体を、7日後に上述した製鋼スラグの場合と同様の溶出試験に供した。その結果を図3に示す。なお、図3に示す正リン酸水溶液の添加量(P換算量)はスラグ100質量部に対する質量部である。
図3によれば、製鋼スラグの場合と同様に、フッ素溶出の抑制効果が得られているとともに、溶出液のpHが低下している。
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。
本発明において処理の対象とする製鋼スラグや高炉徐冷スラグは、相当量のカルシウムを含有している。一般に、製鋼スラグには20〜60mass%程度、高炉徐冷スラグには40〜45mass%程度のCaO(又はCaOが変化したCa(OH))が含まれている。
製鋼スラグとしては、溶銑予備処理、転炉吹錬、鋳造などの工程で発生する製鋼系スラグ(例えば、脱炭スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、造塊スラグなど)、鉱石還元スラグ、電気炉スラグなどを挙げることができる。
これらの製鋼スラグ、高炉徐冷スラグの中から選ばれる2種以上のスラグを混合したものを処理対象としてもよい。
また、処理の対象となるスラグのフッ素含有量に特別な制限はなく、本発明の効果はスラグのフッ素含有量に拘りなく得られる。但し、フッ素の含有量が0.05mass%未満のスラグはそのままでもフッ素溶出量が少なく、したがって、本発明はフッ素の含有量が0.05mass%以上のスラグに対して特に有用であると言える。なお、スラグが含有するフッ素には、スラグ粒子からその表面に存在(付着)する水に溶出したフッ素分も含まれる。
本発明法において、スラグにリン酸成分を添加するのに、スラグにリン酸成分を含有する水溶液(以下、便宜上「リン酸系水溶液」という)を散布する方法を採るのは、次のような理由による。
スラグにリン酸成分を添加する方法としては、リン酸カルシウムなどのリン酸化合物(固体)をスラグに添加する方法も考えられるが、この方法では、スラグとリン酸化合物を十分に混合したとしても、水を介さないとリン酸成分が溶解することができず、リン酸成分とフッ素との反応がほとんど生じないため、フッ素の固定化はほとんど進行しない。また、リン酸化合物を添加した上で散水などの手段で水分を供給した場合、この供給された水にリン酸がある程度溶解できたとしても、リン酸が十分均一に行き渡ることが難しいため、フッ素との反応サイトまで移動し、フッ素固定化に寄与できるリン酸は極く少量にとどまり、この場合も十分な効果が得られない。
これに対してスラグにリン酸系水溶液を散布する方法では、スラグ全体にまんべんなくリン酸成分を行き渡らせ、フッ素との反応サイトにリン酸を供給できるので、フッ素を効果的に固定化することができる。特に、製鋼スラグや高炉徐冷スラグは結晶質で吸水性を持つため、リン酸系水溶液を散布することにより、リン酸成分がスラグ内部まで十分に浸透し、フッ素を効果的に固定化することができる。また、製鋼スラグや高炉徐冷スラグは塊状のスラグ粒子を多く含む(路盤材として使用する場合、粒径40mm以下)が、粒径が大きいスラグほど内部に含まれているフッ素が経時的に溶出してくる可能性がある。これに対して、上記のようにリン酸系水溶液を散布すれば、スラグ内部までリン酸成分が浸透し、フッ素を確実に固定化できる。
本発明において水溶液に用いるリン酸類としては、例えば、正リン酸、次亜リン酸、メタ亜リン酸、ピロ亜リン酸、正亜リン酸、次リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、縮合リン酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのリン酸の1種以上を水で希釈し、水溶液として用いることができる。
また、リン酸化合物を水に溶解させた水溶液を用いることもでき、そのリン酸化合物としては、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウムなど(いずれもリン酸塩)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのリン酸化合物の1種以上を水に溶解させ、水溶液として用いることができる。
また、以上のようなリン酸とリン酸化合物を併用した水溶液を用いてもよい。
上記のリン酸類、リン酸化合物のなかでは、コストの観点からは、特に、正リン酸(H3PO4)、リン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)、リン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)及び縮合リン酸が好ましい。
スラグにリン酸系水溶液を散布する方法としては、例えば、(1)コンベアなどで搬送中のスラグにリン酸系水溶液を散布する、(2)磨鉱機や破砕機(地金回収や粒度調整のための破砕機)内で処理中のスラグにリン酸系水溶液を散布する、(3)スラグに冷却水としてリン酸系水溶液を散布する、(4)ヤードに山積みされたスラグにリン酸系水溶液を散布する、など種々の方法を採ることができる。
また、本発明ではスラグにリン酸系水溶液を散布しただけでも、リン酸系水溶液がスラグ全体に浸透して十分な効果が得られるが、さらに機械的な混合を行うことにより、より効果が高まる。
本発明では、スラグにリン酸系水溶液を散布することにより、環境告知第46号に準拠した溶出試験により測定される溶出水のpHが5〜11になるようにすることが好ましい。このようなpHに調整されることにより、スラグからアルカリ性の強い溶出水や酸性の強い溶出水が排出されることを防止できる。
また、本発明ではスラグにリン酸系水溶液を散布した後、スラグを3日間以上、望ましくは5日間以上養生することが好ましい。これは、リン酸成分がスラグ内部に浸透してフッ素と反応する期間を十分にとることで、より確実にフッ素を固定化できるからである。
図1及び図2の試験で用いた製鋼スラグを処理対象とし、これらのスラグに正リン酸水溶液(正リン酸の希釈倍率:50倍)を散布して試験体を調製し、試験を行うまでの期間(養生期間)を変えて溶出試験を実施した。なお、スラグに対する正リン酸水溶液の添加量は、各試験体ともスラグ100質量部に対してP換算で0.05質量部とした。これら試験体の調製では、平型バットに入れられたスラグに正リン酸水溶液を散布した後、ハンドスコップで混合した。
それらの結果を図4に示す。これによれば、正リン酸水溶液を散布してから2日目まではフッ素溶出量は基準値である0.8mg/Lを上回っているが、3日目以降では0.8mg/Lを下回っている。
また、本発明法では、リン酸成分を含有する水溶液を簡便かつ効率的に得るという観点からは、リン酸化合物を水に溶解させた水溶液よりも、リン酸の1種以上を水で希釈した水溶液(以下、便宜上「リン酸水溶液」という)を用いる方が好ましい。この場合のリン酸水溶液としては、リン酸を水で5〜300倍程度に希釈したものが好ましい。これは、リン酸水溶液は濃度が高いと粘ちょう性があり、流動性が悪いため散布しにくく、また散布しても隅々に行き渡らないためである。特に、製鋼スラグ、高炉徐冷スラグは粒径が比較的大きく、しかも表面に凹凸、亀裂(オープンポア)が多いため、希釈して流動性を向上させるとともに水量を増やすことにより、スラグの亀裂内部も含めてスラグ粒子全体に水溶液を到達させることが可能となる。また、低濃度でも効果があるためコスト面でも有利であるとともに、搬送ライン上などで散布すれば後の混合処理も不要となる。
したがって、スラグにリン酸水溶液を散布する方法では、処理すべきスラグ量に対して必要な量のリン酸を含有し、且つリン酸の希釈倍率をある程度高めたリン酸水溶液を用いることにより、スラグ全体にリン酸成分をまんべんなく付着させ、特に高いフッ素溶出抑制効果を得ることができる。
図1及び図2の試験で用いた製鋼スラグを処理対象とし、これらのスラグに、種々の希釈倍率でリン酸を添加した正リン酸水溶液を散布した試験体を調製した。この試験体の調製では、スラグに霧吹きで正リン酸水溶液を散布した。なお、スラグに対するリン酸成分の添加量は、各試験体ともスラグ100質量部に対してP換算で0.05質量部とした。この試験では、正リン酸水溶液を散布した後の混合は行わなかった。
このようにして得られた試験体と、正リン酸水溶液を散布していない比較例の試験体を、環境告知第46号に準拠した溶出試験に供し、フッ素溶出量及び溶出液のpHを測定した。それらの結果を図5に示すが、リン酸の希釈倍率を5〜300倍の範囲で変化させても、フッ素溶出やpH上昇の抑制効果はそれほど大きく変化しないことが判る。
また、図5の試験例は、正リン酸水溶液の散布後、ハンドスコップで混合しなかったものであるが、水溶液の希釈率が5〜300倍程度の場合には、フッ素溶出量は図2の試験例(正リン酸水溶液の散布後、ハンドスコップで混合したもの)と同等のレベルまで低下しているが、希釈率が2〜3倍と低い場合には、フッ素溶出量の低下は十分でない。
本発明法において、スラグに対するリン酸成分の添加量に特に制限はなく、スラグのフッ素含有量などに応じて適宜選択すればよいが、通常はスラグ100質量部に対してP換算で0.01〜1質量部程度が適当である。
本発明の処理法では、添加されたリン酸成分とスラグ中のフッ素及びカルシウムとにより難溶性化合物(フルオロアパタイト又はこれを主成分とする化合物)が生成し、この生成物の一部としてスラグ中のフッ素とカルシウムが固定される。これにより、スラグ成分であるフッ素及びカルシウムと、スラグに添加されたリン酸成分とにより生成した上記難溶性化合物を含有するフッ素溶出抑制処理スラグが得られる。
30mm以下に粒度調整された各々10tonの製鋼スラグ(脱燐スラグ)と高炉徐冷スラグを処理対象とした。
搬送用ベルトコンベアで搬送中のスラグに対して、ベルトコンベア上方に設置されたシャワー式のノズルから正リン酸水溶液(正リン酸の50倍希釈水溶液)を散布した。水溶液の散布量は、スラグ100質量部に対してP換算で0.05質量部とした。コンベア通過後、地上に山積みされたスラグから試料を採取し、本発明例1,2とした。
また、上記のように正リン酸水溶液を散布していないスラグから試料を採取し、比較例1,2とした。
また、ベルトコンベアで搬送中のスラグに対して、ベルトコンベア上方に設置されたシャワー式のノズルから、正リン酸水溶液(正リン酸の50倍希釈水溶液)に水酸化カルシウム粉を添加し分散させた懸濁液を散布した。水溶液の散布量は、スラグ100質量部に対してP換算で0.05質量部、水酸化カルシウム添加量:0.15質量部とした。コンベア通過後、地上に山積みされたスラグから試料を採取し、比較例3,4とした。
各試料を環境告知第46号に準拠した溶出試験に供し、フッ素溶出量及び溶出液のpHを測定した。それらの結果を表1に示す。
Figure 0005018041
製鋼スラグに水酸化カルシウム粉+正リン酸水溶液を散布した比較例の試験体を溶出試験に供し、フッ素溶出量及び溶出液のpHを測定した結果を示すグラフ 製鋼スラグに正リン酸水溶液のみを散布した本発明例の試験体を溶出試験に供し、フッ素溶出量及び溶出液のpHを測定した結果を示すグラフ 高炉徐冷スラグに正リン酸水溶液のみを散布した本発明例の試験体を溶出試験に供し、フッ素溶出量及び溶出液のpHを測定した結果を示すグラフ 製鋼スラグに正リン酸水溶液を散布した後、種々の養生期間を経た試験体を溶出試験に供し、フッ素溶出量を測定した結果を示すグラフ 製鋼スラグにリン酸の希釈倍率が異なる種々の正リン酸水溶液を散布した試験体を溶出試験に供し、フッ素溶出量と溶出水のpHを測定した結果を示すグラフ

Claims (1)

  1. 鉄鋼製造プロセスで発生するスラグにフッ素の溶出抑制処理を施す方法であって、
    高炉徐冷スラグにリン酸成分を含有する水溶液を散布し、前記リン酸成分と高炉徐冷スラグ中のフッ素及びカルシウムにより難溶性化合物を生成させることで、高炉徐冷スラグからのフッ素及びカルシウムの溶出が抑制されるようにするスラグの処理方法であり、
    高炉徐冷スラグに冷却水としてリン酸成分を含有する水溶液を散布した後、3日間以上養生し、且つ、高炉徐冷スラグにリン酸成分を含有する水溶液を散布することで、環境告知第46号に準拠した溶出試験により測定される溶出水のpHが5〜11になるようにすることを特徴とするスラグの処理方法。
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