JP4387659B2 - 高炉水砕スラグの処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉水砕スラグの処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高炉水砕スラグは、製銑工程において副産する高炉スラグに、加圧水を噴射して急冷、粒状化したもので、年間2000万t以上生産されている。
高炉水砕スラグは、水硬性を持つため、微粉砕し、セメント用原料に使われてきた。また、近年、天然砂が枯渇しつつあるなかで、資源保護の観点から、天然砂の代替として、土木工事用材料や、コンクリート用細骨材として、高炉水砕スラグそのもの、あるいは粉砕して粒度調整した粒度調製物として使用する機会が増えてきている。
【0003】
ところで、高炉水砕スラグは、そのまま用いられる場合も粒度調製物として用いられる場合も、出荷待ち、あるいは使用待ちのため野積み状態または貯槽内で長時間貯蔵されることが多く、さらに船舶等により長期間をかけて輸送される場合もある。高炉水砕スラグの水硬性は、セメント原料として使用する際には必要不可欠な性質であるが、使用前の長期間の貯蔵中あるいは輸送中に、スラグ粒子同士が水和生成物を媒体に強固に固結し塊状になると、もはや細骨材として使えなくなり、その結合強度も高いことから、もとの粒子状に破砕、整粒するのに極めて労力を要する。
【0004】
また、高炉水砕スラグを土木工事用材料として使用する場合、強固な地盤を形成させるという目的には水硬性が有利に働くが、軟弱地盤の表層処理工法のサンドマット材等に使用するには、経過日数によっては施工中に固結するため、次に、このサンドマット材にペーパードレインあるいはプラスチックドレイン等の垂直ドレイン材を打設、貫通させようとしても極めて困難になる。土木用途としては、盛土材、埋め戻し材、裏込め材などとして使用されることもあるが、この場合も、施工をした後に、数日から数年後に、その部分を掘り起こし新たに埋設物を埋める工事をしたり、植裁を施したり、さらに数十年が経過した後に再度掘り起こしたりするケースもある。これらの場合、水砕スラグの固結は、掘り起こし作業に大きな力を必要とし、さらに、配管工事などでは、既埋設物の破損を引き起こす危険性もある。したがって、従来は、この種の用途への高炉水砕スラグの使用が制約されてきた。
【0005】
かかる固結現象は、気温の高い夏季に特に顕著であり、以下のような機構で進行すると考えられる。まず、高炉水砕スラグの粒子内、粒子間隙に存在する水分に、高炉水砕スラグからカルシウムが溶出し、水分中のpHが上昇する。このアルカリ刺激によりシリコンやアルミニウム等の成分が溶出する。溶出した成分によって、高炉水砕スラグ粒子近傍の液相中のカルシウム、シリコン、アルミニウム等の成分濃度が、各種水和生成物の析出条件まで上昇すると水和物の生成が始まり、エトリンガイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)や、珪酸カルシウム水和物(C−S−H)等の水和物を生成し、次第に層厚を増し、粒子同士の固結へ至る。また、この水和物生成反応は、液相においてのみならず、高炉水砕スラグの表面近傍の粒子内部でも生じる。
【0006】
このため、高炉水砕スラグまたはその粒度調製物の貯蔵や輸送中の固結を防止するために、従来から固結防止剤が用いられている。このような固結防止剤として、特許文献1にはポリカルボン酸重合体が、特許文献2にはリグニンスルホン酸類やオキシカルボン酸類が、特許文献3には脂肪族オキシカルボン酸、脂肪族オキシカルボン酸塩またはこれらの2種以上の混合物が、さらには特許文献4にはオキシカルボン酸および/またはその塩のアルキレンオキサイド付加物がそれぞれ開示されている。また、固結防止作用を有する他の物質として炭酸水溶液が提案されている(特許文献5等)。
【0007】
【特許文献1】
特公昭58−2178号公報
【特許文献2】
特公昭58−9779号公報
【特許文献3】
特公昭58−35944号公報
【特許文献4】
特開2001−58855号公報
【特許文献5】
特開平10−95644号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らの検討結果によれば、高炉水砕スラグは、製造から長期間経過すると、固結原因となるCaの溶出が著しく進行するようになり、そのような場合に固結防止剤を添加しても十分な固結防止機能を発揮することができないことが判明した。
【0009】
本発明は、固結防止剤の能力を十分に発揮させることができ、高炉水砕スラグの固結を有効に防止することができる高炉水砕スラグの処理方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、高炉水砕スラグを製造後、容器に高炉水砕スラグを充填し、高炉水砕スラグの体積の20%の体積に相当する蒸留水を供給してスラグ粒子の間隙を蒸留水で満たし、スラグ粒子層にpH電極を挿入することにより測定した高炉水砕スラグの間隙水のpHが11以下のときに固結防止剤を接触させることを特徴とする高炉水砕スラグの処理方法を提供する。
【0014】
高炉水砕スラグからのカルシウムの溶出は、以下の(1)式の反応に従って、スラグ中のCaOが水分と反応し、Ca2+のカルシウムイオンが発生するとともに、OH−イオンが発生するために、高炉水砕スラグの周囲の水分、すなわち高炉水砕スラグ間隙水のpHが上昇する。
CaO+H2O=Ca(OH)2=Ca2++2(OH)− ……(1)
【0015】
本発明者らの検討結果によれば、製造直後の高炉水砕スラグ間隙水のpHは10以下であるが、経過日数とともにpHが上昇すること、pHが上昇してもその値が11以下であればCaの溶出が著しくなく固結防止剤を接触させ得ることが判明した。したがって、高炉水砕スラグの間隙水のpHを測定し、pHが11以下のときに固結防止剤を接触させるようにすれば、Caの溶出が著しく生じる前に固結防止剤が作用し、固結防止の能力を十分に発揮させることができる。したがって、高炉水砕スラグの固結を有効に防止することができる。
【0016】
本発明はさらに、高炉水砕スラグを製造後、BET法により高炉水砕スラグの比表面積を測定し、その値が0.4m2/g以下のときに固結防止剤を接触させることを特徴とする高炉水砕スラグの処理方法を提供する。
【0017】
上記(1)の式に従って、Ca2+のカルシウムイオンが発生するとともに、OH−イオンが発生する反応が進行するにつれ、間隙水のpHの上昇のみならず、高炉水砕スラグ自体の性状が経時的に変化し、多孔質化して比表面積が変化することも判明した。
【0018】
本発明者らの検討結果によれば、製造直後の高炉水砕スラグのBET法による比表面積は0.1m2/g程度であるが、経過日数とともにその値が上昇すること、比表面積が上昇してもその値が0.4m2/g以下であればCaの溶出が著しくなく固結防止剤を接触させ得ることが判明した。したがって、高炉水砕スラグ自体のBET法による比表面積を測定し、その値が0.4m2/g以下のときに固結防止剤を接触させるようにすれば、Caの溶出が著しく生じる前に固結防止剤が作用し、固結防止の能力を十分に発揮させることができる。したがって、高炉水砕スラグの固結を有効に防止することができる。なお、上記(1)式の反応性と高炉水砕スラグの比表面積との関係は、初期の粒径分布により多少変化するが、0.4m2/g以下であれば、固結防止の能力を十分に発揮させることができる。
【0019】
この場合に、前記固結防止剤は、リグニンスルホン酸や、オキシカルボン酸等の有機系物質や、炭酸水溶液、さらには炭酸塩、炭酸水素塩、炭酸アンモニウムおよび炭酸水素アンモニウムの少なくとも1種の水溶液を好適に用いることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明の高炉水砕スラグの処理方法は、高炉水砕スラグを製造後、Caの溶出が著しく生じるようになるまでの期間を予め把握し、その期間経過前に高炉水砕スラグに固結防止剤を接触させることを特徴とする。
【0021】
ここで、固結防止剤としては、リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩、オキシカルボン酸、オキシカルボン酸塩、オキシカルボン酸またはオキシカルボン酸塩のアルキレンオキサイド付加物、アクリル酸重合体、アクリル酸塩重合体、マレイン酸重合体、マレイン酸塩重合体等のカルボン酸重合体、カルボン酸塩重合体等の有機化合物を挙げることができる。これらは水溶液の状態で添加してもよいし、粉体として添加してもよい。この場合の添加量はその種類にもよるが、高炉水砕スラグに対して0.002〜0.3mass%が好ましく、0.01〜0.03mass%が一層好ましい。
【0022】
これら有機化合物の固結防止剤は、溶液として添加する場合、例えば、有効成分30%程度からなる固結防止剤溶液をさらに水で希釈して、スプレーノズルで高炉水砕スラグへ散布することにより添加する。実操業においては、水砕スラグに対し希釈液の散布量が0.5〜1%程度になるように、固結防止剤を希釈する水の添加量を調整する。水の希釈量が多すぎると固結防止剤が高炉水砕スラグから流出しやすく、少なすぎると高炉水砕スラグへの混合が不十分となる。また、粉体として添加する場合は、粉体供給フィーダーで高炉水砕スラグの搬送途中に定量切り出し、添加後混合することが望ましい。高炉水砕スラグの粒度調整物の場合、破砕機に混合機能を持たせてそこで混合するようにしてもよい。
【0023】
他の固結防止剤としては炭酸水溶液を挙げることができる。固結防止剤として炭酸水溶液を用いることにより、高炉水砕スラグに含まれるCaOと、炭酸水溶液中の炭酸(H2CO3)とが反応し、高炉水砕スラグの粒子表面に難溶性の炭酸カルシウム皮膜を形成することができ、これによって、高炉水砕スラグと接触する水のpHが上昇しなくなり、高炉水砕スラグからのCa等の溶出が起こらなくなり、固結を防止することができる。
【0024】
炭酸水溶液を高炉水砕スラグに接触させるためには、例えば、上記水溶液を高炉水砕スラグに散布してもよいし、炭酸水溶液に高炉水砕スラグを浸漬させてもよい。炭酸水溶液は簡易な設備により比較的容易に得られるため、これに高炉水砕スラグを浸漬させる場合でも大規模な設備が不要である。ただし、浸漬させる場合には高炉水砕スラグを浸漬させるのに足りるだけの大量の水溶液を調整する必要があるが、散布する場合には浸漬の場合よりもより少ない水溶液で高い水和反応を抑制して有効に固結を防止することができるので散布することがより好ましい。
【0025】
高炉水砕スラグは加圧水を噴射して急冷・粒状化したもので、製造直後には約30%の含水比(乾スラグに対する重量割合)を有し、脱水槽と野外貯蔵の間に含水比が通常10%以下になるが、貯蔵中に雨が降ると10数%まで上昇することもある。このように、高炉水砕スラグはもともと数%から30%程度の水分を含有するから、散布する場合には、散布する炭酸水溶液の量はもともと含有する水分に応じた量とすることが好ましい。つまり、最終的に高炉水砕スラグ周囲の必要な炭酸等の濃度を確保するためには、含水比が高くなるほど水溶液の量を増加させることが好ましい。そして、もともと含まれる初期含水比と同程度の水溶液の添加が適当である。ただし、水溶液の散布量が30%を超えても効果が飽和するばかりか、むだに流出する量が多くなり散布のメリットが減じられるため、水溶液の散布量は高炉水砕スラグの30%以下が好ましい。散布する場合には、浸漬する場合と比べて極めて少ない量の水溶液で十分に水和反応を抑制し、透水性を維持することができる。
【0026】
さらに他の固結防止剤としては、炭酸塩、炭酸水素塩、炭酸アンモニウムおよび炭酸水素アンモニウムを挙げることができる。炭酸塩、炭酸水素塩、炭酸アンモニウムおよび炭酸水素アンモニウムは、水溶液の状態では、炭酸イオン、炭酸水素イオンの少なくとも1種を生成するため、上記の少なくとも1種の水溶液を高炉水砕スラグに接触させることにより、その中に含まれるCaOと、水溶液中の炭酸イオンや炭酸水素イオンとが反応し、高炉水砕スラグの粒子表面に難溶性の炭酸カルシウム皮膜を形成することができ、これによって、高炉水砕スラグと接触する水のpHが上昇しなくなり、高炉水砕スラグからのCa等の溶出が起こらなくなり、固結を防止することができる。
【0027】
上記水溶液を高炉水砕スラグに接触させるためには、上記水溶液を高炉水砕スラグに散布してもよいし、上記水溶液に高炉水砕スラグを浸漬させてもよい。上記水溶液は上記炭酸塩等を水に溶解することにより比較的容易に得られるため、これに高炉水砕スラグを浸漬させる場合でも大規模な設備が不要である。ただし、浸漬させる場合には高炉水砕スラグを浸漬させるのに足りるだけの大量の水溶液を調整する必要があるが、散布する場合には浸漬の場合よりもより少ない水溶液で高い水和反応を抑制して有効に固結を防止することができるので散布することがより好ましい。
【0028】
これら水溶液を散布する場合にも炭酸水溶液と同様、高炉水砕スラグはもともと数%から30%程度の水分を含有するから、散布する上記水溶液の量はもともと含有する水分に応じた量とすることが好ましい。水溶液の散布量が30%を超えても効果が飽和するばかりか、むだに流出する量が多くなり散布のメリットが減じられるため、水溶液の散布量は高炉水砕スラグの30%以下が好ましい。
【0029】
上述したように、高炉水砕スラグは、製造から長期間経過すると、固結原因となるCaの溶出が著しく進行するようになり、そのような場合に固結防止剤を添加しても十分な固結防止機能を発揮することができない。このため、本発明では、そのようになるまでの期間を予め把握しておき、その期間が経過する前に高炉水砕スラグに固結防止剤を接触させるように管理する。
【0030】
具体的には、経時的に上記(1)式の反応が進行し、高炉水砕スラグの間隙水のpHが11を超えるとCaの溶出が著しく進行するようになることから、高炉水砕スラグの間隙水のpHを測定し、その値が11を超えるまでの期間を予め求めておき、その期間に達する前に高炉水砕スラグに固結防止剤を接触させる。これにより、常に、Caの溶出が著しく生じる前に固結防止剤を接触させることができるので、固結防止の能力を十分に発揮させることができ、高炉水砕スラグの固結を有効に防止することができる。
【0031】
また、経時的に上記(1)式の反応が進行して高炉水砕スラグの表面状態が変化し、高炉水砕スラグ自体のBET比表面積が0.4m2/gを超えるとCaの溶出が著しく進行するようになることから、高炉水砕スラグの比表面積を測定し、その値が0.4m2/gを超えるまでの期間を予め求めておき、その期間に達する前に固結防止剤を接触させることができるので、固結防止の能力を十分に発揮させることができ、高炉水砕スラグの固結を有効に防止することができる。
【0032】
なお、高炉水砕スラグの間隙水のpHは、容器に高炉水砕スラグを充填し、高炉水砕スラグの体積の20%の体積に相当する蒸留水を供給してスラグ粒子の間隙を蒸留水で満たし、スラグ粒子層にpH電極、好ましくは、電極の径が数mm程度と細い半導体タイプのpH電極(イオン感応電界効果トランジスタ(ISFET)電極)を挿入することにより測定することができる。
【0033】
上記のようなCaの溶出が著しく生じるようになるまでの期間は、温度によって変化する。これは、温度に応じてCaの溶出量が変化するためである。したがって、固結防止剤を接触させる期間を季節に応じて変化させることが好ましい。具体的には、冬季においては高炉水砕スラグを製造後14日以内に固結防止剤を添加するように管理し、夏季においては高炉水砕スラグを製造後10日以内に固結防止剤を添加するように管理することが好ましい。この場合に10〜3月までを冬季として14日で管理し、4〜9月を夏季として10日で管理するようにしてもよいし、その間の中間的な季節について10〜14日の間で適宜設定し、よりきめ細かく管理することもできる。
【0034】
本発明では、以上のように高炉水砕スラグを製造後、Caの溶出が著しく生じるようになるまでの期間を予め把握する代わりに、高炉水砕スラグの間隙水のpHを測定して、その値が11以下の場合に、固結防止剤を接触させるようにすることもできる。これにより、固結防止剤が有効に作用しない高炉水砕スラグに固結防止剤を接触させる無駄をなくすことができ、常に固結防止剤を有効に作用させることができるようになる。高炉水砕スラグの間隙水のpHが11を超えていた場合には、その水砕スラグは固結を防止しなければならない細骨材等へは適用されず、その他の用途へ適用される。
【0035】
また、同様に、高炉水砕スラグを製造後、Caの溶出が著しく生じるようになるまでの期間を予め把握する代わりに、高炉水砕スラグ自体の比表面積をBET法にて測定し、その値が0.4m2/g以下の場合に、固結防止剤を接触させるようにすることもできる。これによっても同様の効果を得ることができる。高炉水砕スラグ自体のBET比表面積が0.4m2/gを超えていた場合にも同様に、固結を防止しなければならない細骨材等以外の用途へ適用すればよい。
【0036】
なお、以上の説明では高炉水砕スラグをそのまま処理する場合について説明したが、粉砕して粒度調整した高炉水砕スラグを処理するようにしてもよい。
【0037】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
製造直後の高炉水砕スラグを一旦、屋外に積みつけ貯蔵した。表1、2に示すように高炉水砕スラグ製造後の期間を適宜変更した高炉水砕スラグを原料として、5mm高炉スラグ細骨材の粒度分布に破砕整粒する工程で、表1の種々の固結防止剤を散布した。具体的には、高炉水砕スラグをクラッシャで破砕し、その破砕物に水で希釈して所定濃度の水溶液とした表1に示す固結防止剤を表1に示す添加量をスプレーした後、スクリーンで篩分けして、それぞれ5mm高炉水砕スラグ細骨材の粒度に調整した高炉水砕スラグ粒度調整物を80トン得た。また、この際に、試料の一部について破砕前に、高炉水砕スラグの間隙水のpHおよび高炉水砕スラグのBET比表面積を測定した。なお、表1は夏季に行った実験を示し、表2は冬季に行った実験を示す。また、表1、2に示す固結防止剤の添加量は、固結防止剤の純分で示している。
【0038】
得られた固結防止剤添加高炉水砕スラグ粒度調整物を屋外に高さ3mの小山状にして貯蔵し、定期的に固結状況の測定を行った。固結防止性は、以下に示す方法により貫入抵抗係数を求めることによって評価した。ここで貫入抵抗係数が0.45以下の場合に固結による問題なし、0.45を超える場合に固結による問題ありと判定した。また、高炉水砕スラグの間隙水のpHおよび高炉水砕スラグのBET比表面積の値を表1、2に併記する。
【0039】
貫入抵抗係数
コンクリート・ライブラリー第76号 高炉スラグ骨材コンクリート施工指針P21 土木学会 1993、に記載の貫入抵抗測定機を野積みの小山に貫入し、下記の計算式により貫入抵抗係数を算出した。
貫入抵抗係数=100cm貫入時のばねばかりの荷重(kgf)/貫入長さ100(cm)
または、
貫入抵抗係数=ばねばかり最大荷重20kgf/ばねばかり最大荷重20kgf時の貫入長さ(cm)
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
表1に示すように、夏季においては、同じ固結防止剤で比較した場合に、固結防止剤散布前の高炉水砕スラグの製造後経過日数が10日以内の実施例のものが10日を超える比較例のものよりも、固結防止剤を散布してから固結するまでの時間を長くできることが確認された。また、その際のpHの値は実施例では11以下であり、BET比表面積の値は0.4m2/g以下であった。
【0043】
また、表2に示すように、冬季においては、同じ固結防止剤で比較した場合に、固結防止剤散布前の高炉水砕スラグの製造後経過日数が14日以内の実施例のものが14日を超える比較例のものよりも、固結防止剤を散布してから固結するまでの時間を長くできることが確認された。また、その際のpHの値は実施例では11以下であり、BET比表面積の値は0.4m2/g以下であった。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、Caの溶出が著しく生じるようになるまでの期間を予め把握しておき、その期間が経過する前に高炉水砕スラグに固結防止剤を接触させるように管理するので、常に、Caの溶出が著しく生じる前に固結防止剤を接触させることができる。したがって、固結防止の能力を十分に発揮させることができ、高炉水砕スラグの固結を有効に防止することができる。
Claims (5)
- 高炉水砕スラグを製造後、容器に高炉水砕スラグを充填し、高炉水砕スラグの体積の20%の体積に相当する蒸留水を供給してスラグ粒子の間隙を蒸留水で満たし、スラグ粒子層にpH電極を挿入することにより測定した高炉水砕スラグの間隙水のpHが11以下のときに固結防止剤を接触させることを特徴とする高炉水砕スラグの処理方法。
- 高炉水砕スラグを製造後、BET法により高炉水砕スラグの比表面積を測定し、その値が0.4m2/g以下のときに固結防止剤を接触させることを特徴とする高炉水砕スラグの処理方法。
- 前記固結防止剤は、有機系化合物を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高炉水砕スラグの処理方法。
- 前記固結防止剤は、炭酸水溶液であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高炉水砕スラグの処理方法。
- 前記固結防止剤は、炭酸塩、炭酸水素塩、炭酸アンモニウムおよび炭酸水素アンモニウムの少なくとも1種の水溶液であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高炉水砕スラグの処理方法。
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