JP5017525B2 - 赤外線ビーム出射量可変の防犯用センサ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、投光部から出射する赤外線ビームを受光部で常に受光し、この赤外線ビームを不法侵入者が遮断したとき警報を発する防犯用センサ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
防犯用センサ装置は、投光部と受光部を適宜の距離離れた位置に配置し、両者の光軸を正確に合わせることで、侵入者の検知能力を高めている。他方、投光部と受光部の設置距離が遠くなっても侵入者を検知できるように、投光部の投光パワーを大きくしている。このため投光部と受光部の設置距離が近いと受光部の受光量が過大となり、増幅器のAGC(自動ゲイン調整回路)が働いて検出信号レベルが飽和し、侵入者の遮断による入射光量の減少分の検出が困難になって侵入者を検知できない場合が生じる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記課題を解決して、光軸調整作業時に、投光部と受光部の設置間隔に関わりなく、受光部の受光量が不法侵入者を精度良く検知できる最適値になるように投光部の投光パワーを自動的に調整できる防犯用センサ装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る防犯用センサ装置は、赤外線ビームを出射する投光部と、前記赤外線ビームを受光する受光部とを備え、人体等による前記赤外線ビームの遮断により人体等を検知する防犯用センサ装置であって、光軸調整を行う調整モードと通常の警戒を行う通常モードとに切り換えるモード切換手段を備え、前記受光部は、受光量を検出する受光量検出器と、調整モード時に検出された受光量を示す受光レベル表示信号を前記投光部へ送信する送信手段と、調整モード時に検出された受光量が予め定めた規定値よりも大きいとき、投光パワー減少要求信号を投光部へ送信する要求信号出力部とを有し、前記投光部は、赤外線ビームの出射量が最大値に設定された状態で、投光部と受光部の目視による光軸調整によって得られた前記受光レベル表示信号に基づいて前記受光量が規定値に近づくように、前記出射量を調整して粗調整を行う投光パワー調整手段と、前記粗調整された状態から、受光部、投光部のそれぞれにつき、光軸が調整されたとき、前記投光パワー減少要求信号を受けるたびに、前記規定値となるように、前記赤外線ビームの出射量を所定量ずつ減少させて微調整を行う投光パワーステップ減少手段とを有している。
【0005】
上記構成によれば、投光部の投光パワー調整手段は、光軸粗調整時に、受光部からの受光レベル表示信号を受けて、受光量が規定値となるように投光パワー(出射量)を調整するので、投光部と受光部の設置距離に関わりなく、光軸粗調整終了時の受光部の受光量を規定値に近いレベルに設定できる。このため、通常モード時に、投光パワーの過大による検出誤動作が生じない。これとともに、受光部の要求信号出力部は、光軸の微調整時に、受光量が規定値よりも大きくなったとき投光パワー減少要求信号を投光部に送信し、投光部の投光パワーステップ減少手段は、粗調整された状態から前記投光パワー減少要求信号を受けたとき投光パワーを所定量減少させるので、光軸微調整時の調整が容易になるとともに、光軸微調整終了時の受光部の受光量を規定値に近い値に設定できる。したがって、通常モード時に投光パワーの過大による侵入者の検知不能(失報)が生じない。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この防犯用センサ装置は、赤外線ビームIRを出射する投光部1と、出射された赤外線ビームIRを受光する受光部2とを備えている。投光部1は壁などの取付面に取り付けられるベース9と、このベース9を覆うカバー10とを有し、受光部2も同様に、ベース19と、このベース19を覆うカバー20とを有している。
【0009】
図2に本実施形態に係る防犯用センサ装置のブロック図を示す。前記投光部1の投光器11は、図示していない赤外線発光ダイオード等の発光素子と、投光する赤外線ビームIRを形成するための投光レンズまたは反射ミラーのような送信側光学系と、発光素子および送信側光学系を手動で回転させて受光部2との間で光軸を調整するための光軸調整機構とを備えており、前記発光素子が、駆動回路12により所定周波数で発光駆動されて、パルス変調光からなる赤外線ビームIRを、投光部1の前面を覆うカバー10を通して出射する。
【0010】
投光部1にはさらに、後述する受光レベル表示信号を無線信号Rによって受信する受信手段13と、受信した受光レベルを表示する受光レベル表示器14と、受光レベルに応じて駆動回路12を制御して投光器11からの出射量(投光パワー)を調整する投光パワー調整手段15とが設けられている。投光パワー調整手段15は、手動による投光パワーの調整も可能になっている。図1のベース9には、後述するように回路要素が装着され、この回路要素がカバー10により覆われている。
【0011】
他方、前記受光部2の受光器21は、図示していない受光レンズまたは集光ミラーのような受信側光学系と、フォトダイオード等の受光素子と、投光部1との間で光軸を調整するための光軸調整機構とを備えており、前記受光素子が、受光部2の前面を覆うカバー20を通して入射した赤外線ビームIRを受光し、その受光量に応じた受光量信号Aを出力する。この受光量信号Aは、増幅器22で増幅されて検波器23に入力され、迷光成分を除去したパルス変調光のレベルに応じた信号Bが出力される。この出力信号Bは、判別回路24において予め設定された不法侵入者検知レベル以下であるか否かが判別され、前記検知レベル以下のとき検知信号Cが警報回路25に出力され、警報回路25から警報信号が警備センタ3に出力されて、不法侵入者があることを報知する。
【0012】
受光部2はさらに、光軸調整を行う光軸調整モードと通常の警戒を行う通常モードの切り換えを行う手動スイッチからなるモード切換手段30を有しており、カバー20を取り外してこのモード切換スイッチ30を操作する。この操作により、光軸調整モードに切り換えられたとき受光量検出器26を作動させるとともに、警備センタ3が光軸調整時と通常時を識別する。
【0013】
他方、前記受光量信号Aは受光量検出器26に入力され、受光量検出器26から受光量に応じた受光レベル表示信号Lが受光レベル表示器27に出力されて受光レベルが表示される。図1のベース19には、後述するように回路要素が装着され、この回路要素がカバー20により覆われている。
【0014】
つぎに、本実施形態の投光部1と受光部2を設置したときの、投光器11と受光器21の光軸粗調整および投光器11の投光パワーの調整動作を、図2のブロック図、図3のフローチャートおよび図4の投光パワー調整マップを参照しながら説明する。投光器11と受光部2の受光器21は、不法侵入者を検知しようとする領域を挟む位置に設置される。光軸調整にあたっては、まず、図2のカバー10、20を取り外してモード切換手段30を、光軸調整モードに設定する。つぎに、図3のフローチャートに示すように、ステップ1(以下、「S1」のように略記する)で投光部1の投光パワー調整手段15を手動で操作して、投光器11の投光パワーを最大値に設定し、S2で投光器11と受光器21の光軸を目視で調整する。次に、S3で受光部2の受光量検出器26が赤外線ビームIRの受光量を検出して受光レベル表示信号Lを出力すると、S4で受光レベル表示器27に受光レベルを表示し、S5でコード化した受光レベル表示信号を送信手段28から無線信号Rで投光部1に送信する。
【0015】
S6で無線信号Rを受信した投光部1の受信手段13は、S7でデコードした受光レベル信号Lを投光パワー調整手段15に出力するとともに、受光レベル表示器14に表示する。投光パワー調整手段15は、その記憶回路の中に、図4に示す投光パワー調整マップを記憶しており、S8でこのマップから入力された受光レベル信号Lに対応する投光パワーの調整割合(%)を読み出して、投光パワー調整信号Tを駆動回路12に出力する。駆動回路12はS9で投光パワーを投光パワー調整信号Tで指示された値に調整する。例えば、受光レベル信号Lが示す受光レベルが、図4に示した光軸調整時の規定値(5.0)よりも大きい6.0であるとき、投光パワー調整信号Tは投光パワーを83%に調整するよう駆動回路12を制御する。
【0016】
以上の動作で、投光器11と受光器21の光軸の目視による粗調整を行うと、自動的に投光器11の投光パワーは、受光器21の受光量がほぼ規定値になるように設定される。この規定値は、警戒を行う通常モードにおいて最適な受光量となるように決められる。一般に、光軸調整時にカバー10,20が外されるので、カバー10,20による赤外線ビームIRの吸収がなくなる分だけ受光量が増大する。したがって、前記規定値は、通常モードにおける受光量の最適値よりも若干大きく設定される。
【0017】
つぎに、光軸の微調整を行うための本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
図5は本実施形態に係る防犯用センサ装置のブロック図で、前記図2と同一構成部分にはそれぞれ同一符号を付してその説明を省略する。図5において、受光部2は、受光量検出器26から入力された受光レベル表示信号Lが規定値を超えているとき、投光パワー減少要求信号Mを送信手段28に出力する要求信号出力部31を有している。他方、投光部1は投光パワー減少要求信号Mを受信した受信手段13からこの信号Mが入力されたとき、駆動回路12に投光パワーを1ステップ減少させる投光パワー1ステップ減少信号Sを出力する投光パワーステップ減少手段16を有している。
【0018】
つぎに、本第2実施形態の投光部1の投光器11と受光部2の受光器21の光軸調整および投光器11の投光パワーの調整動作を図5のブロック図、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
図6(a)のS11において、投受光部1,2の光軸が予め粗調整された状態で、まず受光器21の光軸を回転させて微調整を行うと、S12で受光量検出器26は受光量を検出して受光レベル表示信号Lを出力する。受光レベル表示信号LはS13で受光レベル表示器27に表示され、S14において要求信号出力部31で受光量が規定値と比較されて、規定値より大きいとき(つまり光軸がより合致したとき)、S15で投光パワー減少要求信号Mが送信手段28から投光部1に送信される。
【0019】
S16で受信手段13により受信された投光パワー減少要求信号Mが投光パワーステップ減少手段16に入力されると、S17で投光パワーステップ減少手段16が投光パワーを所定量低減させる1ステップ減少信号Sを駆動回路12に出力し、駆動回路12が投光パワーを所定量、例えば図4の受光レベルの0.1だけ低減させてS11に戻る。このルーチンを、S14で受光量が規定値と同じ、ないし規定値より小さくなるまで繰り返し、受光器11の光軸を回転させても受光量が規定値と同じ、ないし規定値より小さくなると、回転前の位置で光軸が投光部1に合致していると考えられるので、S18で受光レベル表示器27の表示値が最大となる光の位置に受光器21の光軸を戻して、受光器21の光軸微調整を終了する。このときの受光量は前記規定値となる。
【0020】
つぎに、投光部1の光軸調整を行う。図6(b)のS21において、投光器11の光軸の微調整を行うと、S22で受光部2の受光量検出器26は受光量を検出して受光レベル表示信号Lを出力する。受光レベル表示信号LはS23で受光レベル表示器27に表示され、S24において要求信号出力部31で受光量が規定値と比較される。受光量が規定値より大きいとき、S25で投光パワー減少要求信号Mが受光レベル表示信号Lとともに送信手段28から投光部1に送信され、S26で受信手段13により受信された受光レベル表示信号Lは、S27で受光レベル表示器14に表示され、投光パワー減少要求信号Mは投光パワーステップ減少手段16に入力される。
【0021】
投光パワーステップ減少手段16は、S28で投光パワー減少要求信号Mが入力されると、投光パワーを所定量低減させる1ステップ減少信号Sを駆動回路12に出力し、駆動回路12は投光パワーを1ステップ低減させてS21に戻る。このルーチンを、前述の受光部2の微調整の場合と同様に、S24で受光量が規定値と同じ、ないし規定値より小さくなるまで繰り返し、受光量が規定値と同じ、ないし規定値より小さくなると、S29で受光レベル表示器14の表示値が最大となる元の位置に投光器11の光軸を戻して、投光器の光軸微調整を終了する。これにより、投光パワーは、受光量が前記規定値となる赤外線ビームの出射量に設定される。
【0022】
受光器21と投光器11の光軸調整が終了すると、モード切換手段30を通常モードに切り換えて、投受光部1,2のカバー10,20を装着する。
【0023】
前記投光部1の回路要素(投光器11,駆動回路12,受信手段13、受光レベル表示器14,投光パワーステップ減少手段16)は、図1のベース9に取り付けられており、前記受光部2の回路要素(受光器21,増幅器22,検波器23,判別回路24,警報回路25,受光量検出器26,受光レベル表示器27,送信手段28,モード切換手段30,要求信号出力部31)は、図1のベース19に取り付けられている。
【0024】
なお、前記第1実施形態と第2実施形態は組合わせて用いてもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の第1構成に係る防犯用センサ装置は、投光部に投光パワーを調整する投光パワー調整手段を設け、設置時に、受光部から送信された受光レベル表示信号に基づいて、受光量が規定値になるように投光部から出射する投光パワーを調整するので、自動的に受光部の受光量が規定値になるように投光パワーを設定できる。
【0026】
本発明の第2構成に係る防犯用センサ装置は、投光器と受光器の光軸調整時に、受光量が基準値を超えると受光部から投光パワー減少要求信号を投光部へ送信し、この投光パワー減少要求信号を受信したとき、投光パワーを所定量ずつ減少させる動作を、受光量が規定値になるまで繰り返すので、光軸調整終了時の受光量を、予め設定した侵入者を検知する最適な規定値になるように、投光パワーを設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る防犯用センサ装置を示す側面図である。
【図2】同実施形態に係る同装置の回路構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態の光軸調整時の動作を示すフローチャートである。
【図4】同実施形態の投光パワー調整マップを示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る防犯用センサ装置の回路構成を示すブロック図である。
【図6】(a)は同実施形態の受光部の光軸調整時の動作を示すフローチャート、(b)は同実施形態の投光部の光軸調整時の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…投光部、2…受光部、3…警備センタ、9,19…ベース、10,20…カバー、11…投光器、12…駆動回路、13…受信手段、14,27…受光レベル表示器、15…投光パワー調整手段、16…投光パワーステップ減少手段、21…受光器、22…増幅器、23…検波器、24…判別回路、25…警報回路、26…受光量検出器、28…送信手段、30…モード切換手段、31…要求信号出力部。
Claims (1)
- 赤外線ビームを出射する投光部と、前記赤外線ビームを受光する受光部とを備え、人体等による前記赤外線ビームの遮断により人体等を検知する防犯用センサ装置であって、
光軸調整を行う調整モードと通常の警戒を行う通常モードとに切り換えるモード切換手段を備え、
前記受光部は、受光量を検出する受光量検出器と、調整モード時に検出された受光量を示す受光レベル表示信号を前記投光部へ送信する送信手段と、調整モード時に検出された受光量が予め定めた規定値よりも大きいとき、投光パワー減少要求信号を投光部へ送信する要求信号出力部とを有し、
前記投光部は、赤外線ビームの出射量が最大値に設定された状態で、投光部と受光部の目視による光軸調整によって得られた前記受光レベル表示信号に基づいて前記受光量が規定値に近づくように、前記出射量を調整して粗調整を行う投光パワー調整手段と、前記粗調整された状態から、受光部、投光部のそれぞれにつき、光軸が調整されたとき、前記投光パワー減少要求信号を受けるたびに、前記規定値となるように、前記赤外線ビームの出射量を所定量ずつ減少させて微調整を行う投光パワーステップ減少手段とを有する防犯用センサ装置。
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