JP4761339B2 - 防犯用センサ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、投光部から出射する赤外線ビームを受光部で常に受光し、この赤外線ビームを不法侵入者が遮断したとき警報を発する防犯用センサ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
防犯用センサ装置は、投光部と受光部を適宜の距離離れた位置に配置し、両者の光軸を正確に合わせることで、壁面や地面等で反射された赤外線ビームの迷光量を少なくして、侵入者の検知能力を高めている。しかし、投光部と受光部の距離が遠くなると、両者の光軸調整作業が難しくなり、作業時間が長くなる。従来の防犯用センサ装置では、検知動作の妨害行為を検出するため、投光部の投光器や受光部の受光器の前面を覆っているカバーが取外されたとき、投光動作および受光動作を停止して、警報を送出するように構成されている。
【0003】
このため、カバーを外して行う光軸調整作業時には、作業者の手動操作によりタイマーを作動させ、タイマーで計時している間は、投光動作および受光動作を継続し、光軸調整に必要な赤外線ビームの出射を継続するようにしている。しかし、タイマーで計時している間だけ赤外線ビームの出射を継続する構成では、調整作業者に、「一定時間内に光軸調整を済ませなければならない」という意識を持たせるため、光軸調整が正確に行われないおそれがあった。
また、投光部と受光部の設置距離が遠くなると、光軸調整が難しくなって作業時間も長くなる。このため、途中でタイマー計時が終了すると赤外線ビームの出射が停止するので、再度タイマーを作動させて赤外線ビームを出射させる操作が必要となり、調整作業が一時中断するために調整作業の連続性が損なわれ、作業効率が低下するとともに、光軸調整精度も低下するおそれがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記課題を解決して、光軸調整作業を必要な時間継続して行うことのできる防犯用センサ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1構成に係る防犯用センサ装置は、赤外線ビームを出射する投光部と、前記投光部からの赤外線ビームを受光する受光部とを備え、人体等による前記赤外線ビームの遮断により人体等を検知する防犯用センサ装置であって、前記投光部のカバーが外されたとき、投光部からの赤外線ビームの出射が継続されるとともに、前記投光部に、投光部のカバーが外されたとき作動し、その状態を示す識別信号を出力する自動作動スイッチと、前記識別信号を投光部から受光部に送出させる送信回路とが設けられ、前記受光部に、前記送信回路からの前記識別信号を受信する受信回路と、光軸調整作業時に前記送信回路と前記受信回路とが接続された状態で前記識別信号を受信して前記カバーの取外しを報知するための信号を出力する認識回路が設けられている。
【0006】
上記構成によれば、投光部のカバーが外されると、自動作動スイッチが作動してカバーが外されたことを示す識別信号が受光部に送出されるとともに、投光部からの赤外線ビームの出射は継続される。したがって、光軸調整作業が容易となる。受光部の認識回路は、受信した識別信号から、投光部のカバーが外されていることを報知する信号を送出するので、受光部側で投光部のカバーが外されていることを認知して、警報を発することもできる。
【0007】
本発明の第2構成に係る防犯用センサ装置は、赤外線ビームを出射する投光部と、前記投光部からの赤外線ビームを受光する受光部とを備え、人体等による前記赤外線ビームの遮断により人体等を検知する防犯用センサ装置であって、前記投光部のカバーが外されたとき、投光部からの赤外線ビームの出射が継続されるとともに、前記投光部に、投光部のカバーが外されたとき手動操作により作動し、光軸調整作業時であることを示す識別信号を出力する手動作動スイッチと、前記識別信号を投光部から受光部に送出させる送信回路とが設けられ、前記受光部に、前記送信回路からの前記識別信号を受信する受信回路と、光軸調整作業時に前記送信回路と前記受信回路とが接続された状態で前記識別信号を受信して前記カバーの取外しを報知するための信号を出力する認識回路が設けられている。
【0008】
上記構成によれば、光軸調整作業者が投光部のカバーを外したとき、作業者が手動作動スイッチを操作すると、光軸調整作業時であることを示す識別信号が受光部に送出されるとともに、投光部からの赤外線ビームの出射は継続される。したがって、光軸調整作業が容易となる。受光部の認識回路は、受信した識別信号から、投光部のカバーが外されていることを報知する信号を送出するので、受光部側で投光部のカバーが外されていることを認知して、警報を発することもできる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態においては、前記送信回路は、前記投光部から出射される赤外線ビームに前記識別信号を重畳させるものであり、前記認識回路は前記受光部の受光信号から前記識別信号を弁別するものである。
上記構成によれば、投光部から出射される赤外線ビームに識別信号が重畳されて受光部に送出され、受光部の認識回路で前記識別信号が弁別されるので、識別信号のみを送受信するための装置を設ける必要がなく、装置の構成を簡素化できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この防犯用センサ装置は、赤外線ビームIRを出射する投光部1と、出射された赤外線ビームIRを受光する受光部2とを備えている。投光部1は壁などの取付面に取り付けられるベース9と、このベース9を覆うカバー10とを有し、受光部2も同様に、ベース19と、このベース19を覆うカバー20とを有する。
【0011】
図2に本発明の第1実施形態に係る防犯用センサ装置のブロック図を示す。前記投光部1の投光器11と受光部2の受光器21は、不法侵入者を検知しようとする領域を挟む位置に、互いの光軸が一致する向きで設置される。前記投光器11は、図示していない赤外線発光ダイオード等の発光素子と、投光する赤外線ビームIRを形成するための投光レンズまたは反射ミラーのような送信側光学系および光軸調整機構とを備えており、発光素子が、投光器駆動回路12により所定周波数で発光駆動されて、図3(A)に示すパルス変調光からなる赤外線ビームIRが、投光部1の前面を覆うカバー10を通して出射される。図1のベース9には、後述するようにセンサ回路要素が装着され、このセンサ回路要素がカバー10により覆われる。
【0012】
一方、前記受光部2の受光器21は、図示していない受光レンズまたは集光ミラーのような受信側光学系と、フォトダイオード等の受光素子および光軸調整機構とを備えており、受光素子は、受光部2の前面を覆うカバー20を通して入射した赤外線ビームIRを受光し、その赤外線受光量に応じたレベルの電気信号を出力する。この電気信号は、増幅器22で増幅されて検波器23に入力され、迷光成分を除去したパルス変調光のレベルに応じた信号Aが出力される。この出力信号Aは、判別回路24において予め設定された侵入検知レベル以下であるか否かが判別され、前記検知レベル以下のとき検知信号が警報回路25に出力され、警報回路25から警報信号が図1の警備センタ30に出力されて、不法侵入者があることを報知するように構成されている。図1のベース19には、後述するようにセンサ回路要素が装着され、このセンサ回路要素がカバー20により覆われる。
【0013】
本実施形態の投光器11と受光器21の光軸調整機構は、カバー10およびカバー20を取外した状態で行うように構成されており、投光器11は、カバー10を取外したときも赤外線ビームIRの出射を継続する。また、投光器11と受光器21の光軸調整は、通常、投光器11の光軸調整を行ったのち、受光器21の光軸調整を行い、必要に応じてこの光軸調整を繰り返す。
【0014】
光軸調整にあたっては、まず、警備センタ30で光軸調整モードに設定しておき、投光器11および受光器21のカバー10,20を取り外し、投光器11の光軸の向きを、投光器11に組み込まれた光学的な照準器(図示せず)を用いて、目測で受光器21に対向させる。ここで、投光器11の光軸調整のためにカバー10が取外されると、機械式または磁気式等の自動作動スイッチである第1スイッチ16が作動し、識別信号送信回路17から図3(B)に示す高周波パルス信号であるカバー取外し識別信号Bを投光器駆動回路12に出力し、投光器11から図3(C)に示す、侵入者検知用のパルス状の赤外線ビームIRに識別信号Bを重畳した波形の赤外線ビーム(IR+B)を出射する。受光部2では、検波器23で識別信号Bが分離され、識別信号認識回路28で識別信号Bが認識されると、投光部1のカバー10が取外されていることを示す報知信号が送出され、これによって、受光部2側で、投光部1が光軸調整作業中であることを認識することができる。
【0015】
投光器11の光軸調整は、受光部2に設けられた光軸調整信号送信部27と、投光部1の光軸調整信号受信部14とを通信線3もしくは無線で接続し、受光部2のレベルメータ26の表示を投光部1の光軸調整信号受信部14に接続されたレベルメータ15でモニターしながら、レベルメータ15の指示値が最大となるように、投光器11の水平方向および垂直方向の光軸を微調整することで行う。
【0016】
受光器21側では、図2の検波器23の出力信号Aのレベルを表示するレベルメータ26の振れが最大となるように、受光器21の水平方向および垂直方向の光軸を、受光器21に組込まれた照準器(図示せず)を用いて調整する。
【0017】
なお、投光部1のセンサ回路要素(投光器11,投光器駆動回路12,光軸調整信号受信部14,レベルメータ15,第1スイッチ16,識別信号送信回路17)は、図1のベース9に取り付けられており、図2の受光部2のセンサ回路要素(受光器21,増幅器22,検波器23,判別回路24,警報回路25,レベルメータ26光軸調整信号送信部27,識別信号認識回路28)は、図1のベース19に取り付けられている。
【0018】
光軸調整が終了したのち、カバー10,20を装着する。このカバー10の装着により第1スイッチ16がOFFになり、識別信号Bの送出が停止する。つぎに通信線3を取外し、不法侵入者検知モードに移行する。
【0019】
本実施形態によれば、投光器11の光軸調整のために、カバー10を取外しても、赤外線ビームIRの出射が停止しないので、光軸調整を時間の制限を受けることなく続行することができ、作業能率が向上するとともに、調整精度も向上する。
他方、受光部2において、投光部1の投光器11の光軸調整が行われていることを認識できるので、光軸調整時の受光レベルの低下に伴って警報信号が送出されても、不法侵入者検知と誤認することがない。また、不法侵入者検知モード時は、投光部1のカバー10が取外されると識別信号Bが受光部2で受信されて認識されるので、警報を発することができる。
【0020】
図4は、本発明の第2実施形態に係る防犯用センサ装置のブロック図を示す。図4において、図2と同一符号はそれぞれ同一構成部分を示しているので、その詳しい説明を省略する。本実施形態が前記第1実施形態と相違する点は、図1の自動作動スイッチである第1スイッチ16に代えて、光軸調整作業者の手動操作によって作動し、識別信号送信回路17から識別信号Bを送出し、次の操作によって送出を停止させる手動作動スイッチである第2スイッチ18を設けた点である。
【0021】
本実施形態によれば、投光器11の光軸調整時に、カバー10を取外したとき、第2スイッチ18をONにして識別信号Bを重畳した赤外線ビーム(IR+B)を受光部2に送信し、投光器11の光軸調整が終了すると、カバー10を装着したのち第2スイッチ18をOFFにして識別信号Bの送出を停止することで、不法侵入者検知モードに移行する。したがって、前記第1実施形態と同様に時間の制限なく、投光器11の光軸調整を行うことができる。
【0022】
なお、前記各実施形態では、赤外線ビームに識別信号を重畳して受光部に送出し、受光部で識別信号を検出してカバーが取外されていることを報知するように構成したが、識別信号を無線の電波信号で送受信する構成としてもよく、また、光軸調整時のみ接続する通信線を介して識別信号を送受信する構成としても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の防犯用センサ装置は、光軸調整のために投光部のカバーが取外されたとき作動する第1スイッチ、または手動操作によって作動する第2スイッチを設け、前記スイッチが作動したとき前記投光部から前記受光部に向かって投光部のカバーが取外されたことを示す識別信号を送出し、受光部において、送られてきた識別信号を検出してカバーが取外されたことを報知する信号を出力するように構成する。投光部のカバーを外しても赤外線ビームは出射され続けるので、カバーを外して行う投光部の光軸調整作業中は、時間の制限を受けることなく光軸調整を行うことができる。したがって、光軸調整作業の能率向上と、光軸調整精度の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る防犯用センサ装置を示す側面図である。
【図2】同装置の回路構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態の赤外線ビームと識別信号の波形を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る防犯用センサ装置の回路構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…投光部、2…受光部、3…通信線、9,19…ベース、10,20…カバー、11…投光器、12…投光器駆動回路、14…光軸調整信号受信部、15,26…レベルメータ、16…第1スイッチ、17…識別信号送信回路、18…第2スイッチ、21…受光器、22…増幅器、23…検波器、24…判別回路、25…警報回路、27…光軸調整信号送信部、28…識別信号認識回路。

Claims (3)

  1. 赤外線ビームを出射する投光部と、前記投光部からの赤外線ビームを受光する受光部とを備え、人体等による前記赤外線ビームの遮断により人体等を検知する防犯用センサ装置であって、
    前記投光部のカバーが外されたとき、投光部からの赤外線ビームの出射が継続されるとともに、
    前記投光部に、投光部のカバーが外されたとき作動し、その状態を示す識別信号を出力する自動作動スイッチと、前記識別信号を投光部から受光部に送出させる送信回路とが設けられ、
    前記受光部に、前記送信回路からの識別信号を受信する受信回路と、光軸調整作業時に前記送信回路と前記受信回路とが接続された状態で前記識別信号を受信して前記カバーの取外しを報知するための信号を出力する認識回路が設けられている防犯用センサ装置。
  2. 赤外線ビームを出射する投光部と、前記投光部からの赤外線ビームを受光する受光部とを備え、
    人体等による前記赤外線ビームの遮断により人体等を検知する防犯用センサ装置であって、
    前記投光部のカバーが外されたとき、投光部からの赤外線ビームの出射が継続されるとともに、
    前記投光部に、投光部のカバーが外されたとき手動操作により作動し、光軸調整作業時であることを示す識別信号を出力する手動作動スイッチと、前記識別信号を投光部から受光部に送出させる送信回路とが設けられ、
    前記受光部に、前記送信回路からの前記識別信号を受信する受信回路と、光軸調整作業時に前記送信回路と前記受信回路とが接続された状態で前記識別信号を受信して前記カバーの取外しを報知するための信号を出力する認識回路が設けられている防犯用センサ装置。
  3. 請求項1または2において、前記送信回路は、前記投光部から出射される赤外線ビームに前記識別信号を重畳させるものであり、前記認識回路は前記受光部の受光信号から前記識別信号を弁別するものである防犯用センサ装置。
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