本発明は、医療分野における病院情報システム技術に係り、特に、 標準的な診療計画と実際の診療との差異であるバリアンスの原因候補をフィルタリングするシステムに関する。
医療の質の向上と効率化を推進する社会情勢の中で、診療の標準化を実現して医療の質の改善を図るために、標準的な診療計画を表したクリニカルパス(クリティカルパスとも呼ばれる)が重要視されている。クリニカルパスを用いて医療の質の改善を図るためには、蓄積した診療データから抽出した根拠に基づいてクリニカルパスを改善する必要があるとされている。特に、クリニカルパスで記述された標準的な診療計画と実際の診療との差異であるバリアンスを収集して分析することで、バリアンスの発生頻度が低く診療効果が高いクリニカルパスの作成が実現できると考えられている。具体的には、在院日数・治療成績・コストなどの観点から、標準的な診療計画と異なる診療行為と臨床上望ましい成果および目標であるアウトカムが達成されなかったものをバリアンスとして抽出して分析を行う。バリアンスの収集および分析方法として、バリアンスの粒度に応じて、退院時バリアンス方式、ゲートウェイバリアンス方式、センチネル方式、オールバリアンス方式が提案されている(「特許文献1」)。この中で、オールバリアンス方式は、バリアンスを詳細に分析するためにクリニカルパスで記載されている全ての診療行為やアウトカムとの差を分析する方式であり、クリニカルパスの改善効果が顕著になると考えられている。電子カルテの普及に伴い、大量のデータ収集が可能になったため、オールバリアンス分析の実現への期待が高まっている。特に、クリニカルパスの改善効果が高いと考えられているバリアンスの発生原因分析の実現に対する期待が高まっている。その理由は、現在広く行われているバリアンスの発生原因分析を人手で行う方式では、バリアンスが発生する表面的な原因しか発見できないケースが多いためである。バリアンスの発生原因分析を実現するため、データマイニング技術に代表されるパターン抽出技術の適用が検討されている。
次に、バリアンス分析およびバリアンスの発生頻度が低く診療効果が高いクリニカルパスの作成を支援するシステムに関連した従来例を示す。「非特許文献1」に記載されている方法(従来例1)では、まず、手術やICU(Intensive Care Unit)から一般病棟への移動など特定のイベントを予め設定する。次に、設定したイベントに対して、バリアンスの発生要因別など様々にスライシングしたバリアンスの発生頻度をグラフ表示する。「特許文献1」(従来例2)に記載されているシステムは、疾患の名称や術後の経過日毎に、臨床上望ましい成果および目標であるアウトカムや、アウトカムが達成されたかどうかの判断基準であるアセスメントを記述したファイルをデータベースとして備えた電子医療記録システムである。
次に、医療以外におけるイベントの発生原因分析に関連した従来例を示す。「特許文献2」(従来例3)に記載されているシステムは、ユーザが登録した災害事例を典型、類似、特殊または研究課題の各事例に分類し、所定のデータ形式でデータベースに登録する手段と、労働災害の直接原因に関連する因子を「設備」「作業方法」「人」「管理」に分類し利用者が災害の根本原因を究明するための根本原因の究明手段を備えた労働災害を対象とした安全設計支援システムである。根本原因の究明手段には、労働災害の直接原因に関連する因子リストと、事例に相当する典型的災害事例が選択されたときに、当該事例に関して最も関連性の高い直接原因のリストのそれぞれについて重要度の高い順番に出力する直接原因の提示手段などを備えた事を特徴としている。
次に、医療以外におけるパターン抽出技術に関連した従来例を二つ示す。一つ目のパターン抽出技術である「特許文献3」(従来例4)に記載されている方法は、大量文章から知識抽出を行うために、文章データから文書依存辞書を作成し、言語解析装置によって共起関係と係り受けを考慮した構文木を作成し、パターン抽出装置がこの構文木を用いることによって適切な頻出パターンを抽出する方法である。次に、二つ目のパターン抽出技術について述べる。相関ルールマイニング技術を用いてパターン抽出をするためには、大量のデータが必要である事が知られている。しかし、バリアンスの発生原因候補となりうる診療行為数に比べて症例数が少ないため、確信度など一般的な指標だけで相関ルールの相違を見出すには経験が必要であり、有用な知見を得るのは難しい。この問題を解決するのが「特許文献4」(従来例5)に記載されている方法である。具体的には、複数のデータ群による相関ルールの相違を発見するために、元データを比較対象であるデータ群Diに分割し、データ群Diからそれぞれ相関ルールを抽出し、データ群Diを被説明変数、条件部アイテムと結果部アイテムを説明変数として統計処理することにより、データ群Diの傾向の相違を視角化する方法である。
バリアンスマネジメントシステム(ビイング・ネット・プレス)pp.26-27,pp.41-42
オールインワンパス(日総研)pp.194-215,pp.218-222
特開2004−86506号公報
特開2004−318845号公報
特開2001−84250号公報
特開2002−259127号公報
まず、前記従来技術におけるバリアンス分析の課題について述べる。従来のバリアンス分析では、バリアンスの収集や管理に重点が置かれていた。そのため、バリアンスの発生頻度が低く診療効果が高いクリニカルパスの作成や改善を目的としたバリアンス分析方法は十分考慮していなかった。特に、バリアンスが発生した原因を効率的に分析することは考慮されていなかった。また、オールバリアンス分析の場合、バリアンスが発生した原因候補は膨大になるため、全てのバリアンスを取得したとしてもその分析には多大な労力が必要であるという問題もあった。
従来例1では、バリアンスの発生状況把握に留まっており、発生したバリアンスの対策を立案するためには、個々の事例について更に詳細な検討が必要であった。また、バリアンスの状況把握において発生頻度に着目している。そのため、頻度は少ないが死亡につながるような重大なバリアンスの発見のためには、治療成績や在院日数への影響度の比較など、別のアプローチが必要であった。従来例2では、定量的なバリアンス分析を行うためのバリアンス収集に着眼しているが、収集したバリアンスの分析方法については十分な検討はされていない。また、オールバリアンス分析などバリアンス分析の対象数が莫大になることは考慮していない。
次に、前記従来技術における医療以外のイベント発生原因分析の課題について述べる。従来例3では、分析対象事例と関連が高い典型的災害事例を利用者が選択し、「なぜ」等のキーワード群を用いた繰り返し質問することで災害事例の根本原因を追究するものである。しかし、利用者が予め関連が高い典型的災害事例を選択する必要があり、利用者の分析負荷の軽減については言及されていない。
次に、前記従来技術におけるパターン抽出技術の課題について述べる。従来例4では、ある個別事象を、個別事象の上位概念である属性に置き換えて集約し、属性毎の出現順序パターンを集計する手法である。しかし、事象間の因果関係の抽出は考慮されていない。また従来例5では、データ群Diの被説明変数間における類似した相関ルールを抽出して、相関ルールの相違を抽出する手法である。しかし、データ群Di間の相違を定量的には示していないため、大量に発生した相関ルールの相違を見出して効果的に絞り込む事は考慮されていない。
以上のように、収集した大量のバリアンスの効果的な分析と、クリニカルパスの改善効果が高いバリアンスの発生原因を効率的に分析するためには、上述した従来例では十分な効果を得ることが困難であった。特に、抽出した膨大な相関ルールの中から有用な知見を得るためには、医療従事者の経験に頼る必要があった。
そこで本発明の目的は、バリアンスの発生原因候補となりうる診療行為数に比べて少ない症例数でも、膨大な相関ルールから有用な相関ルールを段階的に絞り込んで抽出する事を支援するバリアンス原因フィルタリングシステムを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のバリアンス原因フィルタリングシステムは、入力手段及び出力手段及び処理装置を備えており、前記処理装置は、患者に対して実施した診療行為の履歴や患者状態に関する経過記録を記述した実施記録データと、診療行為の種類を記述したオーダ属性を含むクリニカルパスデータが蓄積されている電子カルテデータベースからデータを取得する電子カルテ連携手段と、バリアンス、バリアンスの種類に対応するバリアンスコードの組合せから構成されるデータを蓄積するバリアンスコード蓄積手段と、前記電子カルテ連携手段により取得した前記実施記録データと前記クリニカルパスデータと、前記バリアンスコード蓄積手段のデータとから、前記バリアンスと前記バリアンスコードの組合せと、前記オーダ属性との共起関係を求める原因オーダ属性抽出手段と、前記電子カルテ連携手段により取得した前記実施記録データから、相関ルールマイニングによって、結論部にバリアンスを含む相関ルールを生成する相関ルール生成手段と、前記原因オーダ属性抽出手段にて算出した前記共起関係に対して、当該前記オーダ属性毎に、前記相関ルール生成手段で生成された前記相関ルールの前提部を対応付ける相関ルール抽象化手段とを有し、前記出力手段は、分析対象バリアンスと前記分析対象バリアンスの該バリアンスコードの組合せと、前記相関ルール抽象化手段にて対応付けられた前記相関ルールを出力することを特徴とする。
また、前記記載のバリアンス原因フィルタリングシステムにおいて、前記バリアンスコードは、患者要因、職員要因、施設要因、社会要因の少なくともいずれかを表したコードであることを特徴とする。
さらに、前記記載のバリアンス原因フィルタリングシステムにおいて、前記原因オーダ属性抽出手段では、前記バリアンスと前記バリアンスコードの組合せと、前記オーダ属性との相互情報量を前記共起関係として算出し、前記出力手段では、前記原因オーダ属性抽出手段にて算出した相互情報量を出力することを特徴とする。
また、前記記載のバリアンス原因フィルタリングシステムにおいて、前記処理装置は、前記原因オーダ属性抽出手段にて算出した相互情報量をオーダ属性毎に表示する画面を構成する画像構成処理手段を備え、前記画面構成処理手段は、前記入力手段を介してユーザが選択したオーダ属性に基づいて前記相関ルール抽象化手段にて対応付けられた前記相関ルールを表示する画面を構成して前記出力手段に表示することを特徴とする。
さらに、前記記載のバリアンス原因フィルタリングシステムにおいて、前記電子カルテデータベースに蓄積されている前記オーダ属性は、階層構造であり、前記原因オーダ属性抽出手段では、当該バリアンスと当該バリアンスコードの組合せにおいて、前記オーダ属性毎に算出した相互情報量の値に基づいて適合度検定を行い、全てのオーダ属性の相互情報量に差が無いという帰無仮説が棄却されるまで前記オーダ属性を親ノードに変換して適合度検定を行い、前記出力手段では、前記帰無仮説を棄却した場合の前記相互情報量と前記オーダ属性とを出力することを特徴とする。
また、前記記載のバリアンス原因フィルタリングシステムにおいて、前記処理装置は、前記バリアンスコード蓄積手段のデータは、前記入力手段によって取得され、前記入力手段を通じて取り込まれたバリアンスの結果、前記結果の原因の組合せから構成されるバリアンス発生原因分析の履歴データから、前記履歴データの頻度情報を原因候補評価値として付加した因果関係候補を蓄積する原因候補辞書を生成する原因候補辞書構築手段を有し、前記相関ルール抽象化手段では、前記原因オーダ属性抽出手段にて算出した前記共起関係に対して、前記オーダ属性毎に前記因果関係候補も対応付けることを特徴とする。
さらに、前記記載のバリアンス原因フィルタリングシステムにおいて、前記処理装置は、前記電子カルテデータベースに蓄積されている標準的な診療計画であるクリニカルパスの類似度であるパス類似度を、(数1)から算出するパス類似度算出手段を有し、前記原因候補辞書構築手段では、前記パス類似度と前記使用頻度から算出した原因候補評価値を因果関係候補に付加することを特徴とする。
また、前記記載のバリアンス原因フィルタリングシステムにおいて、前記処理装置は、前記相関ルール抽象化手段からの前記相関ルールを入力として、ある事象を親ノード、前記ある事象の原因を子ノードとする階層構造を記述した階層構造テーブルを、前記相関ルール毎に逐次的に生成する階層構造生成手段を有し、前記階層構造生成手段では、当該相関ルールの結論部と前記階層構造テーブルの全てのレコードを比較し、前記階層構造テーブルと一致するレコードが存在する場合は、当該相関ルールの前提部を、階層構造テーブルの当該レコードの子ノードとして、新たに前記階層構造テーブルに蓄積し、前記階層構造テーブルと一致するレコードが存在しない場合は、当該相関ルールの前提部を、前記階層構造テーブルのルートの子ノードとして、新たに前記階層構造テーブルに蓄積し、出力手段に出力することを特徴とする。
本発明によれば、バリアンスの発生原因候補となりうる診療行為数に比べて少ない症例数でも、膨大な相関ルールから有用な相関ルールを段階的に絞り込んで抽出する事を支援するバリアンス原因フィルタリングシステムを提供することが可能になる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照して詳述する。
図1は、電子カルテシステムと、本発明におけるバリアンス原因フィルタリングシステムの構成図である。図1に示す電子カルテシステムは、電子カルテ入出力手段100と、電子カルテ制御手段101と、電子カルテデータベース102から構成される。バリアンス原因フィルタリングシステムは、電子カルテ連携手段103と、バリアンスコードデータベース104と、原因オーダ属性抽出手段105と、原因オーダ属性データベース106と、相関ルール生成手段107と、相関ルールデータベース108と、相関ルール抽象化手段109と、画面構成処理手段110と、出力手段111と、入力手段112から構成される。
本構成のハードウエア構成について述べる。図2に、バリアンス原因フィルタリングシステムを実現するハードウエア構成図を示す。電子カルテデータベース102は、HDD(Hard Disk Drive)装置に代表される外部記憶装置2014などにより構成される。同様に、バリアンスコードデータベース104と原因オーダ属性データベース106と相関ルールデータベース108は、外部記憶装置2024などにより構成される。電子カルテ制御手段101は、中央処理装置2013やメモリ2012などにおいて、所定のプログラムが展開・起動することで各種の処理を実現することができる。同様に、電子カルテ連携手段103と原因オーダ属性抽出手段105と相関ルール生成手段107と相関ルール抽象化手段109と画面構成処理手段110は、中央処理装置2023やメモリ2022などにおいて、所定のプログラムが展開・起動することで各種の処理を実現することができる。出力手段111は、液晶ディスプレイ2021やCRT(Cathode−Ray Tube)などを利用したモニタにより実現することができる。また、紙などの媒体に出力してもよい。入力手段112は、キーボード2020やマウスやペンタブレットにより実現することができる。同様に、電子カルテ入出力手段100は、液晶ディスプレイ2011とキーボード2010などにより実現することができる。ここでは、電子カルテシステムとバリアンス原因フィルタリングシステムを異なるハードウエアで構成した図を示したが、キーボード2010とキーボード2020のように共通するハードウエアを、同一資源を用いて実現してもよい。
図3に、バリアンス原因フィルタリングシステムの概要を示したフローチャートを示す。まず始めに、入力手段112を介してルール更新ボタンをユーザが押下すると(S301)、電子カルテデータベース102に蓄積されたデータを、電子カルテ連携手段103を介して取得する(S302)。次に、取得したデータとバリアンスコードデータベース104に蓄積されたデータを用いて、バリアンスの原因となるオーダ属性である原因オーダ属性を、原因オーダ属性抽出手段105にて抽出する(S303)。オーダ属性とは、処方や注射やアセスメントなど、後述する相関ルールのアイテム集合である診療行為の上位概念である。このオーダ属性は、例えば病院情報システムの一つであるオーダリングシステムにおける、処方オーダシステムや注射オーダなどの業務システムに対応させて設定すればよい。また、バリアンスコードについては、後述する。同時に、電子カルテ連携手段103を介して取得したデータを用いて、バリアンスの原因を記述した相関ルールを、相関ルール生成手段107にて生成する(S304)。次に、原因オーダ属性抽出手段105にて抽出した原因オーダ属性を用いて、相関ルール生成手段107にて生成した相関ルールの抽象化を、相関ルール抽象化手段109にて処理する(S305)。最後に、抽象化した相関ルールと相関ルールを用いて因果関係を表示する(S306)。本発明の特徴は、オーダ属性とバリアンスコードを用いて、バリアンスに関する相関ルールの抽象化を実現することである。
以下、本システムの構成要素である電子カルテ連携手段103と原因オーダ属性抽出手段105と相関ルール生成手段107と相関ルール抽象化手段109について述べる。特に、重要な構成要素である原因オーダ属性抽出手段105と相関ルール抽象化手段109は、詳細な処理の流れも示しながら説明する。
電子カルテ連携手段103について述べる。電子カルテ連携手段103では、電子カルテデータベース102から、クリニカルパスデータや実施記録データを取得する。クリニカルパスデータとは、クリニカルパス毎に実施すべき診療行為や実施予定日を記したデータである。図4にクリニカルパスデータを記したクリニカルパスデータテーブルを示す。本実施例では、パスコード001の心臓カテーテルパスの1日目の診療行為が、教育のオーダ属性を持つオリエンテーションと、アセスメントのオーダ属性を持つバイタルチェックである様子を示している。実施記録データとは、患者に対して実施した診療行為の履歴や患者状態に関する経過記録や、患者の基本情報などに関するデータである。図5に実施記録データを記した実施記録テーブルと患者テーブルを示す。本実施例では、実施記録テーブルでは、患者コードP0に対して、4月5日に動脈マーキングをA1が実施している様子が記録されている。また、患者テーブルでは、患者コードP0に対して、パスコード001に対応するパスが行われていることが、患者の氏名・性別・年齢といった基本情報と共に記録されている。
次に、原因オーダ属性抽出手段105について述べる。原因オーダ属性抽出手段105では、バリアンスとバリアンスコードの組合せと、オーダ属性との共起関係を求める事で、バリアンスの原因となるオーダ属性である原因オーダ属性を抽出する。入力データは、電子カルテ連携手段103を介して取得したデータと、ユーザが入力してバリアンスコードデータベース104に蓄積されたバリアンスコードである。図6に、バリアンスコードを示したバリアンスコードテーブルとバリアンスコードマスタテーブルを示す。バリアンスコードテーブルでは、発生したバリアンス、バリアンスコード、バリアンス発生日などが、患者コードと診療行為と共に記されている。バリアンスコードとは、バリアンスが発生した原因に関するコードであり、予め決められているものであって患者要因、職員要因、施設要因、社会要因から構成されることが多い。これらバリアンスコードのコードの意味は、バリアンスコードマスタテーブルで管理される。
図7に、原因オーダ属性抽出手段105の詳細なフローチャートを示す。クリニカルパスP毎(S701、S714、S715)に、次に示す処理を行う(S702−S713)。まず、電子カルテ連携手段103を介して取得した患者テーブルから、パスコードPの症例数(=NUM)を算出する(S702)。次に、バリアンスYiとバリアンスコードVj毎(S703、S710−S713)に、次に示す処理を行い(数2)に従って相互情報量を算出する(S704−S709)。
まず始めに、バリアンスYiとバリアンスコードVjの結合エントロピーH[YiVj]を算出する(S704)。結合エントロピーH[YiVj]の算出方法の詳細は後述する。次に、全てのオーダ属性Xk(S705、S708、S709)について、バリアンスYiとバリアンスコードVjに関するオーダ属性Xkの条件付結合エントロピーH[YiVj/Xk]を算出する(S706)。条件付結合エントロピーH[YiVj/Xk]の算出方法の詳細は後述する。最後に、結合エントロピーH[YiVj]と条件付結合エントロピーH[YiVj/Xk]を用いて、相互情報量I[YiVj/Xk]を算出する(S707)。
ここで、図8に示したフローチャートを用いて、結合エントロピーH[YiVj]の算出方法(S704)の詳細な処理手順を示す。まず始めに、バリアンスYiとバリアンスコードVjが共出現する頻度C(YiVj)を、バリアンスコードテーブルから取得する(S7041)。次に、バリアンスYiとバリアンスコードVjの結合確率P(YiVj)を、バリアンスYiとバリアンスコードVjが共出現する頻度C(YiVj)とパスコードPの症例数(=NUM)から算出する(S7042)。最後に、バリアンスYiとバリアンスコードVjの結合エントロピーH[YiVj]を算出する(S7043)。
次に、図9に示したフローチャートを用いて、条件付結合エントロピーH[YiVj/Xk]の算出方法(S706)の詳細な処理手順を示す。まず始めに、オーダ属性Xkに属する診療行為の集合{xkl}を、クリニカルパステーブルから取得する(S7061)。次に、診療行為集合{xkl}と実施記録テーブルから、オーダ属性Xkを実施した頻度C(Xk)を取得する(S7062)。次に、オーダ属性Xkの頻度C(Xk)とパスコードPの症例数(=NUM)から、オーダ属性Xkの発生割合P(Xk)を求める(S7063)。次に、オーダ属性Xkを実施した患者の集合{Pkn}を、診療行為集合{xkl}と実施記録テーブルから取得する(S7064)。次に、患者集合{Pkn}とバリアンスコードテーブルから、オーダ属性XkとバリアンスYiとバリアンスコードVjの共出現する頻度C(XkYiVj)を取得する。(S7065)。次に、オーダ属性XkとバリアンスYiとバリアンスコードVjの共出現する頻度C(XkYiVj)とパスコードPの症例数(=NUM)から、オーダ属性XkとバリアンスYiとバリアンスコードVjの結合確率P(XkYiVj)を求める(S7066)。最後に、バリアンスYiとバリアンスコードVjに関するオーダ属性Xkの条件付結合エントロピーH[YiVj/Xk]を算出する(S7067)。
このようにして算出した相互情報量I[YiVj/Xk]は、原因オーダ属性データベース106に蓄積される。図10に、原因オーダ属性データベース106に相互情報量I[YiVj/Xk]を蓄積した原因オーダ属性テーブルを示す。本実施例では、バリアンスYiが出血、バリアンスコードVjがV0、オーダ属性XkがAである時の相互情報量が3.2である様子を示している。また、バリアンスYiが出血、バリアンスコードVjがV0、オーダ属性XkがEである時の相互情報量が2.2である様子を示している。このことから、バリアンスコードがV0、つまり患者要因の出血のバリアンスが発生した場合は、オーダ属性E(処置)よりもオーダ属性A(アセスメント)の方が原因となる可能性が高い様子も示している。このように、相互情報量I[YiVj/Xk]は、オーダ属性Xkがバリアンスの原因となる可能性を数値で表現したと解釈することができる。
次に、相関ルール生成手段107について述べる。相関ルール生成手段107では、実施記録テーブルなどから、アプリオリアルゴリズムに代表される相関ルールマイニング技術を用いて、バリアンスを結論部に持つ相関ルールを生成する。生成した相関ルールは、相関ルールデータベース108に蓄積される。図11に、相関ルール生成手段107にて生成される知識を示すテーブルの一例を示す。本実施例では、「穿刺」という診療行為に対して「出血」というバリアンスの発生と相関が高い事象を相関ルールとして記録しており、二つの相関ルールを示している。一つ目は、「38度以上」の熱かつ「動脈触知なし」な状態になった場合「出血」が起きるという相関ルールの確信度は90%であることを表している。二つ目は、「血圧異常」な状態なった場合、「動脈触知なし」な状態になるという相関ルールの確信度は85%であることを表している。三つ目は、「SpO2」が低下かつ「ECGモニタ異常」な患者の場合「出血」が起きるという相関ルールの確信度は80%であることを表している。
次に、相関ルール抽象化手段109について述べる。入力データは、原因オーダ属性データベース106に蓄積された原因オーダ属性テーブルのデータと相関ルールデータベース108に蓄積された相関テーブルのデータである。図12に、相関ルール抽象化手段109の詳細なフローチャートを示す。バリアンスYiとバリアンスコードVj毎(S1201、S1210)に、次に示す処理を行い、相関ルールの抽象化を行う(S1202−S1209)。相関テーブルから、バリアンスYiに関する相関ルールを抽出し、相関ルールIDk毎(S1202、S1209)に次に示す処理を行う(S1203−S1208)。まず、クリニカルパスデータテーブルと相関テーブルから、相関ルールIDkの原因知識条件のオーダ属性ROkを取得する(S1203)。次に、原因オーダ属性テーブルから、バリアンスYiとバリアンスコードVjに関するレコードm毎(S1204、S1208)に次に示す処理を行う(S1205−S1207)。まず、原因オーダ属性テーブルから、レコードmの原因オーダ属性VOmを取得する(S1205)。次に、ROkとVOmを比較して値が同じ場合のみ(S1206)、レコードmに相関ルールIDkを対応付ける(S1207)。相関ルールIDkのレコードmへの対応付けによって、相関ルールの抽象化を実現している。
図13に、相関ルール抽象化手段109にて生成した抽象化された相関ルールを示した原因オーダ属性付相関ルールテーブルを示す。本実施例では、血腫ありというバリアンスが患者要因を示すバリアンスコードV0であり原因オーダ属性A(アセスメント)である場合、ルールIDが1と2であり、相互情報量の値が3.2である様子を示している。これら二つの具体的なルールは、相関テーブルから取得する。また、血腫ありというバリアンスが患者要因を示すバリアンスコードV0であり原因オーダ属性E(処置)である場合、ルールIDが5であり、相互情報量の値が2.2である様子を示している。これらのことから、血腫ありというバリアンスが患者要因を示すバリアンスコードV0であるケースの場合、ルールIDが5よりもルールID1又は2の方が、今回の分析対象ケースとの関連性が高いことがわかる。
最後に、相関ルール抽象化手段109にて生成した抽象化された相関ルールを示した原因オーダ属性付相関ルールテーブルを活用した分析例について示す。画面構成処理手段110では、入力手段112にてユーザが選択した情報を基に、原因オーダ属性付相関ルールテーブルの適切なレコードを基に画面レイアウトを構成し、出力手段111にデータを受け渡す。
ここで、出力手段111に表示する画面について図14から図17を用いて詳細に述べる。まず、各画面の構成を説明する。図14と図17は、データ遷移ボタン部1401と、相関ルール表示ボタン14011と、分析結果登録ボタン14012と、分析対象選択部1402と、バリアンス原因提示部1403から構成される。図15と図16は、バリアンス原因フィルタリング基本情報提示部1501と、バリアンス原因フィルタリング反映ボタン15011と、フィルタリング設定部1502と、フィルタリングボタン15021と、ルール更新ボタン15022と、相関ルール提示部1503から構成される。
次に、各画面遷移の流れについて説明する。図14は、バリアンス発生原因を分析する画面レイアウトの初期画面例である。まず、分析対象選択部1402にて分析対象のバリアンスと分析対象患者を選択する。本実施例では、P8という患者に発生した血腫ありというバリアンスの原因分析を試みている様子を示している。このように分析対象を選択した後、相関ルール表示ボタン14011を押下すると、図15に示すバリアンス原因フィルタリング画面に遷移する。本実施例では、分析対象患者など図14にて選択した基本的な情報をバリアンス原因フィルタリング基本情報提示部1501に提示し、分析対象バリアンスに関連が深い1000個の相関ルールを相関ルール提示部1503に提示している。図15に示すバリアンス原因フィルタリング画面の役割は、提示された相関ルールの中から、ユーザが特に関連が深いと考えた相関ルールを選択して、バリアンス原因提示部1403に反映するものである。しかし、相関ルールが1000個もあると、関連が深い相関ルールの抽出には多くの経験が必要である。そのため、フィルタリング設定部1502を用いて、さらに関連が深い相関ルールのフィルタリングを実現する。フィルタリングの具体的な手順を以下に示す。本実施例では、図10に示した原因オーダ属性テーブルから、バリアンスコードがV0で血腫ありのバリアンスであるレコードを抽出して、原因オーダ属性毎に相互情報量を提示した様子を示している。ここでユーザが相互情報量の値が最も高いアセスメントのみをフィルタリング設定部1502にて選択し、フィルタリングボタン15021を押下すると、図16に遷移して、図13に示した原因オーダ属性付相関ルールテーブルからバリアンスとバリアンスコードと原因オーダ属性の条件に一致する相関ルールのみを提示する。図16は、条件に一致した20個の相関ルールのみ提示している様子を示す。ここで表示された20個の相関ルール全てを、バリアンスの原因とユーザが考えて、バリアンス原因フィルタリング反映ボタン15011を押下すると、図17に遷移して相関ルールの原因候補がバリアンス原因提示部1403に反映される。また、ルール更新ボタン15022を押下すると、図3に基づいて原因オーダ属性付相関ルールテーブルを更新することができる。
このように相関ルールのアイテム集合の上位概念であるオーダ属性とバリアンスの発生要因の概略を示すバリアンスコードを活用する事で、少ない症例数でも、バリアンスの発生に関する有用な共起関係を得る事ができる。例えば、非特許文献2に記載のパスでは、相関ルールのアイテム集合(診療行為やアウトカム)とオーダ属性の比率は、白内障手術パスで約0.05倍、腹腔鏡下胆嚢摘出術で約0.12倍となっており、症例数が少なくてもバリアンスの発生に関する有用な共起関係が得られる。この共起関係を用いてバリアンスの発生に関するオーダ属性を絞り込み、絞り込んだオーダ属性と関連する相関ルールを提示することで、大量の相関ルールを効率よく絞り込むことが可能になる。
本実施例では、階層構造のオーダ属性がある場合、症例数が多い場合は細かなオーダ属性との共起関係を用いた方が、相関ルールの効果的なフィルタリングが可能になる。しかし、症例数が十分では無い場合、細かなオーダ属性との共起関係が効果的ではないケースがある。そのため、症例数に応じてオーダ属性の粒度を制御することができれば、相関ルールの効果的なフィルタリングが可能になる。
このようなフィルタリングのシステム構成図は図1と同じであり、データ処理のフローチャートも図3と同じであるが、S303の詳細な処理が異なる。以下、階層構造のオーダ属性のデータについて述べ、S303に対応する症例数に応じてオーダ属性の適切な粒度を制御する処理について詳細に述べる。
図18は、階層構造のオーダ属性を示した階層オーダ属性テーブルを示したものである。図18では、深さ1のノードが患者アウトカムと介入アウトカムであり、患者アウトカムの子ノードがアウトカムとアセスメントであり、介入アウトカムの子ノードが指示と説明であり、指示の子ノードが看護と検査と投薬である様子を示している。また、アウトカムとアセスメントとその他は葉ノードである様子も示しており、実施例1でも示した通常用いられるオーダ属性は階層構造の終端である葉ノードに、葉ノード以外はこれらの葉ノードのオーダ属性を集約した形式となっている。
図19は、症例数に応じてオーダ属性の適切な粒度を制御する処理を示したものであり、図3のS303の詳細な処理に対応している。まず始めに、クリニカルパスPとバリアンスYiとバリアンスコードVj毎(S1901、S1906−S1908)に、適切な粒度のオーダ属性との共起関係を算出する(S1902−S1905)。まず始めに、深さdをオーダ属性の葉ノードを示す深さの最大値DMAXに設定する(S1902)。次に、深さdのオーダ属性全てに対して、(数2)に従って相互情報量を算出する(S1903)。ただし、深さdのオーダ属性が存在しない場合、深さdに最も近い深さのオーダ属性に対して相互情報量を算出する。例えば図19の場合、深さ2のオーダ属性に対しては、その他、アウトカム、アセスメント、指示、説明に対して相互情報量を算出する。次に、深さdの全てのオーダ属性の相互情報量に差が無いという帰無仮説に関する適合度検定の検定量を算出する(S1904)。S1904にて算出した検定量を基に帰無仮説が棄却されるまで(S1905)、深さdの値を小さくして相互情報量を算出して適合度検定を行う。帰無仮説が棄却されると、全てのオーダ属性の相互情報量に差があると考えられるため、オーダ属性の適切な粒度との共起関係を算出したとみなすことができる。
このように症例数に応じて、オーダ属性毎に算出した相互情報量に差があるような適切な粒度のオーダ属性を設定する事できる。そのため、本手法を用いる事で、相関ルールの効果的なフィルタリングが可能となる。
図20は、本発明におけるバリアンス原因フィルタリングシステムの構成図である。特に、不慣れなユーザでもバリアンス分析が可能になる事を目的に、過去にユーザがバリアンス分析した結果を再利用するため、図1に示した構成図に原因候補辞書構築手段113を新たに追加したものである。原因候補辞書構築手段113は、図2に示す中央処理装置2023やメモリ2022などにおいて、所定のプログラムが展開・軌道することで各種の処理を実現することができる。
図21に、原因候補辞書構築手段113のフローチャートを示す。原因候補辞書構築手段113では、過去にユーザがバリアンスを分析した結果を基に、診療行為や患者状態などの事象間の因果関係の出現頻度を記述したテーブルを生成する。まず、ユーザがバリアンスの発生原因を分析した結果を登録し、登録情報を後述する発生原因テーブルに蓄積する(S2101)。次に、発生原因テーブルから因果関係を抽出し、後述する因果候補辞書テーブルと因果候補詳細テーブルに蓄積する(S2102)。次に、発生原因テーブルから抽出した因果関係の出現頻度を原因候補評価値として、因果候補辞書テーブルに蓄積する(S2103)。最後に、因果候補辞書テーブルと因果候補詳細テーブルを、相関テーブルに変換する。(S2104)。
図22に、ユーザがバリアンスの発生原因を分析した結果を蓄積したテーブルである発生原因テーブルを示す。本例では、「穿刺」という診療行為に対して「出血」というバリアンスが発生したケースの分析を行っている。ノードIDは、因果関係を表している。例えば、「出血」の原因は、このノードである「シース自然抜去」と「カテーテル挿入失敗」である様子を記述している。
図23に、発生原因テーブルを原因候補辞書構築手段113に入力した後に出力する因果候補辞書テーブルと因果候補詳細テーブルを示す。因果候補詳細テーブルには、診療行為や患者状態などの事象間の因果関係を記述している。例えば、出血が起きた原因は、シース抜去とカテーテルの挿入を失敗した時である様子を示している。また、因果候補辞書テーブルには、過去にユーザがバリアンスを分析した際に、因果候補詳細テーブルにて記述した因果関係の出現頻度を原因候補評価値として記述している。本例では、過去に発生した様々なバリアンスにおいて、因果候補詳細テーブルの因果候補群が「出血1」で表されている因果関係が成り立つものが17件あった事を示している。また、この因果候補辞書テーブルと因果候補詳細テーブルは原因と結果の組合せになっており、原因を前提部、結果を結論部とする相関ルールのデータ構造に類似している。この事に着目して、因果候補辞書テーブルと因果候補詳細テーブルを、図12に示す相関テーブルに変換する。
このように原因候補辞書構築手段113により、過去にユーザがバリアンスを分析した結果を基に、診療行為や患者状態などの事象間の因果関係を用いる事で、過去にユーザがバリアンス分析した結果を再利用することが可能になる。これにより不慣れなユーザでもバリアンス分析が可能になる。
図24は、本発明におけるバリアンス原因フィルタリングシステムの構成図である。特に、症例数が少ない場合に、類似症例のバリアンス分析の活用を可能とするため、図20に示した構成図にパス類似度算定手段114を新たに追加したものである。パス類似度算定手段114は、図2に示す中央処理装置2023やメモリ2022などにおいて、所定のプログラムが展開・軌道することで各種の処理を実現することができる。
図25に、原因候補辞書構築手段113とパス類似度算定手段114のフローチャートを示す。図21に示したフローチャートとの違いは、類似症例を活用した分析を支援するために、パス類似度算定手段114にて算出したパス類似度を用いて(S2503)、原因候補評価値を算出することである(S2504)。
そこで、これら二つの処理について詳細に述べる。S2503では、パス類似度テーブルから、パス類似度を抽出する。パス類似度テーブルとは、図26に示すように、クリニカルパス間の類似度を記述したものである。ここで、クリニカルパスP1とクリニカルパスP2との類似度を(数1)に示す計算式を用いて算出する。S2504では、発生原因テーブルから抽出した因果関係の出現頻度とパス類似度から、原因候補評価値を算出して、因果候補辞書テーブルに蓄積する。原因候補評価値は、パス類似度の逆数と出現頻度の二乗和として算出する方法があるが、これに限定されない。
このようにパスの類似度を加味した発生原因候補の抽出を行う事で、症例数が少ない場合でも、類似症例のバリアンス分析結果の活用ができるため、分析経験が少ないユーザでもバリアンスの発生原因を探索することが可能となる。
図27は、本発明におけるバリアンス原因フィルタリングシステムの構成図である。特に、分析対象のバリアンスが発生した因果関係を、バリアンスなどの問題とする特性を親ノード、それに影響を及ぼす要因を子ノードとする階層構造を構築するため、図20に示した構成図に階層構造生成手段115を追加したものである。階層構造生成手段115は、図2に示す中央処理装置2023やメモリ2022などにおいて、所定のプログラムが展開・起動することで各種の処理を実現することができる。
図28に、バリアンス原因フィルタリングシステムの概要を示したフローチャートを示す。特に、因果関係の階層構造を構築するため、原因候補群から因果関係の階層構造を構築する処理(S2806)を、図3のフローチャートに追加した。
ここで、因果関係の階層構造の構築(S2806)について詳細に述べる。図29に、因果関係の階層構造の構築(S2806)の詳細なフローチャートを示す。本フローチャートでは、分析対象のバリアンスが発生した原因に関して、図22に示す発生原因テーブルと同じデータ構造をもつ階層構造テーブルを自動的に作成することが目的である。本フローチャートでは、図11に示す相関テーブルのレコード毎に、当該レコードの結果知識条件と一致する階層構造テーブルの根本原因テキストが存在するか否かを判断する。存在する場合は、当該レコードの原因知識条件を、該根本原因テキストのレコードの子ノードとして階層構造テーブルに登録する。存在しない場合は、当該レコードの原因知識条件を、分析対象バリアンスの子ノードとして階層構造テーブルに登録する。なお、図29に示すフローチャートでは、図11に示す相関テーブルから階層構造テーブルを作成したが、図23に示す原因候補群テーブルから階層構造テーブルを作成してもよい。この処理を繰り返すことにより、バリアンスが発生した因果関係を示す階層構造を生成することができ、さらにはバリアンスの根本原因を探索する事が可能となる。
ここで、出力手段111にて提示する画面遷移の流れについて説明する。図30は、画面レイアウトの初期画面例である。本例は、バリアンス分析対象部3001と相関ルール表示ボタン30011とバリアンス発生原因分析構築部3002から構成される。まず、バリアンス分析対象部3001にて分析対象のバリアンスと分析対象患者を選択する。本実施例では、患者Bという患者に発生した血腫ありというバリアンスの原因分析を試みている様子を示している。また、ユーザは、血腫ありの原因がカテーテル挿入失敗であり、カテーテル挿入失敗の原因が深部体温の低下とリアルタイムUSガイド無しであると考え、記述している様子も示している。このように分析対象を選択した後、相関ルール表示ボタン30011を押下すると、図31に示すバリアンス原因フィルタリング画面に遷移する。本実施例では、分析対象患者や分析対象バリアンスなど、図30にて選択した基本的な情報をバリアンス原因フィルタリング基本情報提示部1501に提示している。また、相互情報量の値が最も高いアセスメントのみをユーザが選択してフィルタリングボタン15021を押下した結果、分析対象バリアンスに関連が深い20個の相関ルールを相関ルール提示部1503に提示している様子も示している。ここで表示された20個の相関ルールの中で上位2個の相関ルールをバリアンスの原因とユーザが考えて、バリアンス原因フィルタリング反映ボタン15011を押下すると、図32に遷移して相関ルールの原因候補がバリアンス発生原因分析構築部3002に反映される。図32では、図右部の特性要因図で記述した同じ内容が、木構造の形式で図左部に表示されている。このようにバリアンスの発生原因を自動的に構築し提示することで、不慣れなユーザでもバリアンス分析が可能になる。
これらにより、膨大なデータの中からバリアンスが発生した原因を効率よく探索することができる。また、因果関係の階層構造化により、因果関係を視覚的にわかりやすく表示する事ができ、バリアンスの根本原因分析が効果的に実施する事が可能になる。このように発生原因を把握することで、バリアンスの発生頻度が低く診療効果が高いクリニカルパスへの改善が実現できると考えられる。
本発明におけるバリアンス原因フィルタリングシステムの第一の構成図である。
本発明におけるバリアンス原因フィルタリングシステムのハードウエアの構成図である。
本発明においてバリアンス原因フィルタリングシステムに関する第一のフローチャートである。
本発明において電子カルテシステムにおけるクリニカルパスデータテーブルを表す図である。
本発明において電子カルテシステムにおける実施記録テーブルと患者テーブルを表す図である。
本発明においてバリアンス原因フィルタリングシステムにおけるバリアンスコードテーブルとバリアンスコードマスタテーブルを表す図である。
本発明における原因オーダ属性抽出手段に関する第一のフローチャートである。
本発明における原因オーダ属性抽出手段に関する第二のフローチャートである。
本発明における原因オーダ属性抽出手段に関する第三のフローチャートである。
本発明においてバリアンス原因フィルタリングシステムにおける原因オーダ属性テーブルを表す図である。
本発明においてバリアンス原因フィルタリングシステムにおける相関テーブルを表す図である。
本発明における相関ルール抽象化手段に関する第一のフローチャートである。
本発明においてバリアンス原因フィルタリングシステムにおける原因オーダ属性付相関ルールテーブルを表す図である。
本発明におけるバリアンス原因フィルタリングシステムにおける画面を示す第一の例である。
本発明におけるバリアンス原因フィルタリングシステムにおける画面を示す第二の例である。
本発明におけるバリアンス原因フィルタリングシステムにおける画面を示す第三の例である。
本発明におけるバリアンス原因フィルタリングシステムにおける画面を示す第四の例である。
本発明において電子カルテシステムにおける階層オーダ属性テーブルを表す図である。
本発明における原因オーダ属性抽出手段に関する第四のフローチャートである。
本発明におけるバリアンス原因フィルタリングシステムの第二の構成図である。
本発明における原因候補辞書構築手段に関する第一のフローチャートである。
本発明において電子カルテシステムにおける発生原因テーブルを表す図である。
本発明において電子カルテシステムにおける因果候補辞書テーブルを表す図である。
本発明におけるバリアンス原因フィルタリングシステムの第三の構成図である。
本発明における原因候補辞書構築手段に関する第二のフローチャートである。
本発明において電子カルテシステムにおけるパステーブルとパス類似度テーブルを表す図である。
本発明におけるバリアンス原因フィルタリングシステムの第四の構成図である。
本発明においてバリアンス原因フィルタリングシステムに関する第二のフローチャートである。
本発明における階層構造生成手段に関する第二のフローチャートである。
本発明におけるバリアンス原因フィルタリングシステムにおける画面を示す第五の例である。
本発明におけるバリアンス原因フィルタリングシステムにおける画面を示す第六の例である。
本発明におけるバリアンス原因フィルタリングシステムにおける画面を示す第七の例である。
符号の説明
100…電子カルテ入出力手段、101…電子カルテ制御手段、102…電子カルテデータベース、103…電子カルテ連携手段、104…バリアンスコードデータベース、105…原因オーダ属性抽出手段、106…原因オーダ属性データベース、107…相関ルール生成手段、108…相関ルールデータベース、109…相関ルール抽象化手段、110…画面構成処理手段、111…出力手段、112…入力手段、113…原因候補辞書構築手段、114…パス類似度算定手段、115…階層構造生成手段、2010…キーボード、2011…ディスプレイ、2012…メモリ、2013…中央処理装置、2014…外部記憶装置、2020…キーボード、2021…ディスプレイ、2022…メモリ、2023…中央処理装置、2024…外部記憶装置、1401…データ遷移ボタン部、14011…相関ルール表示ボタン、14012…分析結果登録ボタン、1402…分析対象選択部、1403…バリアンス原因提示部、1501…バリアンス原因フィルタリング基本情報提示部、15011…バリアンス原因フィルタリング反映ボタン、1502…フィルタリング設定部、15021…フィルタリングボタン、15022…ルール更新ボタン、1503…相関ルール提示部、3001…バリアンス分析対象部、30011…相関ルール表示ボタン、3002…バリアンス発生原因分析構築部。