以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、光学フィルム上に粘着剤層が設けられている粘着型光学フィルムにおいて、
前記粘着剤層が、重量平均分子量500〜4000のポリオール化合物(a−1)およびイソシアネート化合物(a−2)を反応して得られるポリウレタンポリマー(A)をベースポリマーとするものであり、かつ、前記ウレタンポリマー(A)100重量部に対してシランカップリング剤(B)0.01〜0.5重量部含有することを特徴とする。
前記粘着剤層のベースポリマーとしては、上記の他、重量平均分子量500〜4000のポリオール化合物(a−1)およびイソシアネート化合物(a−2)の他に、さらに鎖延長剤として水酸基を有しないポリアミノ化合物(a−3)を反応して得られるポリウレタンポリマー(A)を用いることができる。
前記粘着剤層のベースポリマーとしては、上記の他、重量平均分子量500〜4000のポリオール化合物(a−1)およびイソシアネート化合物(a−2)の他に、さらに一分子中にラジカル重合性を有するC=C結合を2以上有するポリオール化合物(a−4)を反応して得られるポリウレタンポリマー(A)を用いることができる。
また、前記粘着剤層のベースポリマーとしては、上記の他、重量平均分子量500〜4000のポリオール化合物(a−1)、イソシアネート化合物(a−2)、鎖延長剤として水酸基を有しないポリアミノ化合物(a−3)および一分子中にラジカル重合性を有するC=C結合を2以上有するポリオール化合物(a−4)を反応して得られるポリウレタンポリマー(A)を用いることができる。
以下本発明を、図面を参照しながら説明する。図1乃至3は、前記光学フィルムが、透明基材フィルムの片面にディスコティック液晶層を有する場合である。図1の粘着型光学フィルムは、透明基材フィルム1の片面に、ディスコティック液晶層3を有し、ディスコティック液晶層3上には粘着剤層5が設けられている。図1では、透明基材フィルム1とディスコティック液晶層3との間に配向膜2を設ける場合を例示しているが、配向膜2の代わりに、透明基材フィルム1の片面を、ラビング処理したものを用いることができる。
また、図2では、ディスコティック液晶層3上に、下塗り層4を介して、粘着剤層5が設けられた粘着型光学フィルムが例示されている。
図3は、図2の粘着型光学フィルムにおいて、ディスコティック液晶層3が形成されない側の、透明基材フィルム1の片面には偏光子6、次いで、透明保護フィルム7が積層されているものを用いた場合である。図3では、透明基材フィルム1は、偏光子6の透明保護フィルムも兼ねている。なお、図3の態様は、図1の粘着型光学フィルムについても同様に適用できる。
透明基材フィルムとしては、各種の透明材料を用いることができる。たとえば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記透明基材フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
透明基材フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性などの点より1〜500μm程度である。特に、5〜200μmが好ましい。
また、透明基材フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=(nx−nz)・d(ただし、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、透明基材フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)はほぼ解消することができる。厚み方向位相差(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
透明基材フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーやノルボルネン系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。
ディスコティック液晶層は、通常、重合性不飽和基を有するディスコティック液晶化合物の配向、硬化により形成される。ディスコティック液晶層は、光学補償層として有用であり、視野角、コントラスト、明るさ等を向上させうる。ディスコティック液晶層は、ディスコティック液晶化合物が傾斜配向しているものが好適である。ディスコティック液晶層の厚さは、通常、0.5〜10μm程度である。
ディスコティック液晶化合物とは、負の屈折率異方性(一軸性)を有するものであり、たとえば、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されている、ベンゼン誘導体や、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどがあげられ、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的にディスコティック液晶と呼ばれるものが含まれる。ただし、分子自身が負の一軸性を有し、一定の配向を付与できるものであれば上記記載に限定されるものではない。また、本発明において、ディスコティック液晶化合物は、熱、光等で硬化反応する重合性不飽和基(たとえば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基等があげられる)を有するものが通常用いられる。なお、ディスコティック液晶層は、最終的にできた物が前記化合物である必要はなく、重合性不飽和基の反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものも含まれる。
またディスコティック液晶化合物は、種々のディスコティック液晶化合物、および他の低分子化合物やポリマーとの反応により、もはや液晶性を示さなくなったディスコティック液晶の反応生成物等のように、分子自身が光学的に負の一軸性を有する化合物全般を意味する。
ディスコティック液晶の配向処理には、透明基板フィルム表面をラビング処理したり、または配向膜を用いる。配向膜としては、無機物斜方蒸着膜、或いは特定の有機高分子膜をラビングした配向膜があげられる。アゾベンゼン誘導体からなるLB膜のように光により異性化を起こし、分子が方向性を持って均一に配列する薄膜などもある。有機配向膜としては、ポリイミド膜や、アルキル鎖変性系ポバール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、など疎水性表面を形成する有機高分子膜があげられる。その他、無機物斜方蒸着膜として、SiO斜方蒸着膜があげられる。
ディスコティック液晶化合物を、傾斜配向させる手段としては、たとえば、透明基材フィルムに、配向膜を形成し、次いで、ディスコティック液晶化合物(重合性液晶化合物)を塗布し、傾斜配向状態にし、その後、紫外光等の光照射や熱により固定化する等の方法を用いることができる。また、他の配向基材上にディスコティック液晶を傾斜配向させた後、透明支持体上に光学的に透明な接着剤又は感圧性接着剤を利用して転写することにより形成することも可能である。
かかるディスコティック液晶層としては、特許文献1、2に記載のものが好適に用いられる。このようなディスコティック液晶の傾斜配向層をセルロース系高分子フィルム上に形成させたものとして富士写真フィルム社製のワイドビューフィルムがある。
下塗り層を形成する材料は粘着剤層とディスコティック液晶層のいずれにも良好な密着性を示し、凝集力に優れる皮膜を形成するものが望ましい。このような性質を示すものには、各種ポリマー類、金属酸化物のゾル、シリカゾル等を使用できる。これらのなかでも特にポリマー類が好ましく用いられる。
前記ポリマー類としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、分子中にアミノ基を含むポリマー類があげられる。ポリマー類の使用形態は溶剤可溶型、水分散型、水溶解型のいずれでもよい。たとえば、水溶性ポリウレタン、水溶性ポリエステル、水溶性ポリアミド等や水分散性樹脂(エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン、(メタ)アクリル系エマルジョンなど)があげられる。また、水分散型は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド等の各種の樹脂を乳化剤を用いてエマルジョン化したものや、前記樹脂中に、水分散性親水基のアニオン基、カチオン基またはノニオン基を導入して自己乳化物としたもの等を用いることができる。またイオン高分子錯体を用いることができる。
かかるポリマー類は粘着剤層に、たとえば、イソシアネート系化合物を含む場合には、イソシアネート系化合物と反応性を有する官能基を有するものが好ましい。前記ポリマー類としては、分子中にアミノ基を含むポリマー類が好ましい。特に、末端に1級アミノ基を有するものが好ましく用いられ、イソシアネート系化合物との反応により強固に密着する。
分子中にアミノ基を含むポリマー類としては、ポリエチレンイミン系、ポリアリルアミン系、ポリビニルアミン系、ポリビニルピリジン系、ポリビニルピロリジン系、ジメチルアミノエチルアクリレート等の含アミノ基含有モノマーの重合体などをあげることができる。これらのなかでもポリエチレンイミン系が好ましい。ポリエチレンイミン系材料としては、ポリエチレンイミン構造を有しているものであればよく、たとえば、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸エステルへのエチレンイミン付加物および/またはポリエチレンイミン付加物があげられる。
ポリエチレンイミンは、特に制限されず、各種のものを使用できる。ポリエチレンイミンの重量平均分子量は、特に制限されないが、通常、100〜100万程度である。たとえば、ポリエチレンイミンの市販品の例としては、株式会社日本触媒社製のエポミンSPシリーズ(SP−003、SP006、SP012、SP018、SP103、SP110、SP200等)、エポミンP−1000等があげられる。これらのなかでも、エポミンP−1000が好適である。
ポリアクリル酸エステルへのエチレンイミン付加物および/またはポリエチレンイミン付加物のポリアクリル酸エステルは、後述のアクリル系粘着剤のベースポリマー(アクリル系ポリマー)を構成するアルキル(メタ)アクリレートおよびその共重合モノマーを常法にしたがってエマルジョン重合することにより得られる。共重合モノマーとしては、エチレンイミン等を反応させるためにカルボキシル基等の官能基を有するモノマーが用いられる。カルボキシル基等の官能基を有するモノマーの使用割合は、反応させるエチレンイミン等の割合により適宜に調整する。また、共重合モノマーとしては、スチレン系モノマーを用いるのが好適である。また、アクリル酸エステル中のカルボキシル基等に、別途合成したポリエチレンイミンを反応させることにより、ポリエチレンイミンをグラフト化した付加物とすることもできる。たとえば、市販品の例としては、株式会社日本触媒社製のポリメントNK−380、があげられる。
またアクリル系重合体エマルジョンのエチレンイミン付加物および/またはポリエチレンイミン付加物等を用いることができる。たとえば、市販品の例としては、株式会社日本触媒社製のポリメントSK−1000、があげられる。
また下塗り層の形成にあたっては、アミノ基を含むポリマー類に加えて、アミノ基を含むポリマー類と反応する化合物を混合して架橋して、下塗り層の強度を向上させることができる。アミノ基を含むポリマー類と反応する化合物としては、エポキシ化合物等を例示できる。
下塗り層を設ける場合には、前記光学フィルム上に下塗り層を形成した後に、粘着剤層を形成する。たとえば、ポリエチレンイミン水溶液の如き下塗り溶液を、コーティング法、ディッピング法、スプレー法などの塗工法を用いて、塗布、乾燥し、下塗り層を形成させる。下塗り層の厚みとしては10〜5000nm程度、さらには50〜500nmの範囲にあることが好ましい。下塗り層の厚みが薄くなると、バルクとしての性質を有さず、十分な強度を示さなくなり、十分な密着性が得られない場合がある。また、厚すぎると光学特性の低下を招くおそれがある。
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤は、重量平均分子量500〜4000のポリオール化合物(a−1)およびイソシアネート化合物(a−2)を反応して得られるポリウレタンポリマー(A)をベースポリマーとするものである。
また、本発明の粘着剤層を形成する粘着剤は、重量平均分子量500〜4000のポリオール化合物(a−1)およびイソシアネート化合物(a−2)に加えて、鎖延長剤として水酸基を有しないポリアミノ化合物(a−3)、および/または一分子中にラジカル重合性を有するC=C結合を2以上有するポリオール化合物(a−4)を反応して得られるポリウレタンポリマー(A)をベースポリマーとすることができる。
本発明におけるポリウレタンポリマー(A)は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応物である。より具体的には、一分子中にラジカル重合性を有するC=C結合を2以上有するポリオール化合物(a−4)を用いる場合には、上記ポリウレタンポリマー(A)は、たとえば、分子量500〜4000のポリオール化合物(a−1)および一分子中にラジカル重合性を有するC=C結合を2以上有するポリオール化合物(a−4)の混合物(ポリオール組成物)に、イソシアネート化合物(a−2)を反応させてポリウレタンポリマー(A)を合成することができる。鎖延長剤として水酸基を有しないポリアミノ化合物(a−3)を用いる場合には、前記反応中または反応後に鎖延長剤として水酸基を有しないポリアミノ化合物(a−3)を反応させてポリウレタンポリマー(A)を合成することができる。また、市販品を入手して使用してもよい。
本発明のポリオール化合物(a−1)は、重量平均分子量500〜4000であって、1分子中に水酸基を2個またはそれ以上有するもので、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどが用いられる。
上記ポリオール化合物(a−1)としては、重量平均分子量が600〜3500であることが好ましく、1000〜3000であることがより好ましい。また、上記ポリオール化合物(a−1)の水酸基が0.0005〜0.003当量/gであるものが好ましく用いられる。
ポリエーテルポリオールとしては、脂肪族ポリエーテルポリオールや芳香族ポリエーテルポリオールがあげられる。より具体的には、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの2価アルコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価アルコールなどの低分子ポリオールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどを付加重合させてなるポリエーテルが用いられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
ポリエステルポリールとしては、脂肪族ポリエステルポリオールや芳香族ポリエステルポリオールがあげられる。より具体的には、上記の2価アルコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルコールと、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸などの2塩基酸との重縮合物からなるポリエステルが用いられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、分子の両末端に水酸基を有する、ポリブタジエン、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、ポリイソプレンなどのポリジエン系ポリオール類、分子の両末端に水酸基を有する、ポリブタジエン水添物、ポリイソプレン水添物、ポリイソブチレンなどのポリオレフィン系ポリオール類などもあげられる。
また、本発明のポリアミノ化合物(a−3)は、鎖延長剤として用いられ、水酸基を有しないものが用いられる。
上記ポリアミノ化合物(a−3)としては、脂肪族ポリアミノ化合物や芳香族ポリアミノ化合物があげられる。より具体的には、たとえば、エチレンジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)、44’−ビス−(sec−ブチル)ジフェニルメタン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ヘキサンジアミン、イソホロンジアミンなどがあげられる。なかでも、エチレンジアミンなどが好ましい。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
上記ポリアミノ化合物(a−3)は、上記ポリオール化合物(a−1)100重量部に対して0.1〜10重量部用いられることが好ましく、0.5〜7重量部用いられることがより好ましく、1〜5重量部用いられることがさらに好ましい。ポリアミノ化合物の使用により、十分に分子量をあげて、耐久性を向上させることができる。一方、ポリアミノ化合物の使用が多すぎると、未反応のポリアミノ化合物が残存してしまい、貯蔵安定性が低下する。
また、本発明のポリオール化合物(a−4)は、一分子中にラジカル重合性を有するC=C結合を2以上有するものであって、かつ1分子中に水酸基を2個またはそれ以上有するものである。
上記ポリオール化合物(a−4)としては、放射線重合性のC=C結合を有する不飽和化合物であるが、その放射線重合性のC=C結合としては、たとえば、アクリル酸系アルキルエステルやエポキシ樹脂アクリレートのなどアクリル酸やメタクリル酸に基づく不飽和結合(アクリル変性体)などをあげることができる。
上記ポリオール化合物(a−4)を用いた粘着剤層が上記耐久性や表示ムラ抑制特性を発現する理由は明らかではないが、乾燥時に上記二重結合が開裂し、ポリウレタン鎖同士を架橋する架橋点として働くことが関与していると推測している。この二重結合が架橋点となる架橋形態は、水酸基とイソシアネート基とのウレタン結合架橋に比べルーズな架橋となると考えられ、その結果、耐久性と表示均一性とをバランスよく並立することが可能になるものと推測している。一方、実用上の耐久性を満たすためには、鎖延長剤により分子量をある程度大きくすることが好ましいが、従来のポリウレタンポリマーに常用されている水酸基を有する鎖延長剤を用いると、イソシアネート化合物との反応により架橋密度が高くなり、表示均一性とのバランスがとれなくなってしまう。
上記ポリオール化合物(a−4)として、具体的には、アクリル酸ヒドロキシエチルなどのアクリル酸ヒドロキシアルキルエステルや、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸変性体などの、反応性の高いアクリル系不飽和結合を有するものなどがあげられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、前記ポリオール(a−1)と前記ポリオール化合物(a−4)との合計量に対する前記ポリオール化合物(a−4)の配合量が0.1〜10重量%であることが好ましく、0.2〜5重量%であることがより好ましく、0.3〜3重量%であることがより好ましい。
また、上記ポリオール組成物には、公知の架橋剤、連鎖移動剤、反応触媒、可塑剤、充填剤、反応溶媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、充填剤、難燃剤、可塑剤、着色剤、消泡剤、防黴・防菌剤等の各種添加剤を、必要に応じて添加することもできる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
本発明のイソシアネート化合物(a−2)は、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート(イソシアネート化合物)である。ポリイソシアネートとしては、粘着剤に公知のいずれのものも用いることができる。
ポリイソシアネートには、たとえば、芳香族、脂肪族、脂環族のポリイソシアネートが用いられる。ポリオール組成物に対する速やかな反応および水との反応の抑制の観点から、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートが、特に好ましく用いられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、ポリイソシアネートは加熱保存により黄変してしまうことがあるため、本発明の用途では無黄変タイプのポリイソシアネートが好ましい。従来のポリウレタンポリマーでは、上述のような耐久性などの物性のバランスをとるのが困難であったことに加えて、アクリル系粘着剤に比べ加熱試験での黄変しやすい面があり、光学分野での適用が行われてこなかった。具体的には、芳香環に直接イソシアネート基が結合していないポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートや芳香脂肪族ポリイソシアネートなどが好ましい。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
より具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,3−ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン(H6XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)などの脂肪族イソシアネート化合物や、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、m−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジルイソシアネート(TMI)などの芳香脂肪族イソシアネート化合物などが特に好ましいものとしてあげられる。
上記イソシアネート化合物(a−2)は、ポリオール組成物の水酸基の全量に対し、0.6〜1.5倍当量となる割合、つまり当量比(NCO/OH比)が0.6〜1.5となる割合、とくに好ましくは0.7〜1.2となる割合で用いられる。
また、これらポリイソシアネートのイソシアネート基と水酸基とを反応させるため、触媒として、ジブチル錫ジラウレート、オクトエ酸錫、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンなどを用いるのが望ましい。
また、ポリウレタンポリマーの重量平均分子量は、3万〜20万であることが好ましく、4〜15万であることがより好ましく、5〜13万であることがさらに好ましい。分子量が大きすぎると、接着力が低下したり、塗工性が悪化するなどの不具合が発生する場合がある。一方、分子量が低すぎると、耐久性やリワーク性が低下する。
本発明の粘着剤層を形成する粘着剤は、ベースポリマーである前記ウレタンポリマーに加えて、適宜架橋剤を含有することができる。架橋剤により、光学フィルムとの密着性や耐久性を向上でき、また高温での信頼性や粘着剤自体の形状の保持をより確実に図ることができる。架橋剤としては、イソシアネート系、エポキシ系、過酸化物系、金属キレート系、オキサゾリン系などを適宜に使用可能である。これら架橋剤は1種を、または2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤としては、ヒドロキシル基と反応性を示す官能基を含有する架橋剤が好適であり、特に、イソシアネート化合物(C)(イソシアネート系架橋剤)が好適である。
本発明のイソシアネート化合物(C)としては、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマーおよびこれらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンなどと付加したアダクト系イソシアネート化合物;イソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、さらには公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどを付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネートなどがあげられる。なかでもトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体であることが好ましい。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
エポキシ系架橋剤としては、たとえば、ビスフェノールAエピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂があげられる。また、エポキシ系架橋剤としては、たとえば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、m−N,N−ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルトルイジン、およびN,N−ジグリシジルアニリンなどがあげられる。
架橋剤の使用量は、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.02〜3重量部である。架橋剤の使用割合が、10重量部を超えると架橋が進みすぎて接着性が低下するおそれがある点で好ましくない。
特に、前記粘着剤層において、前記ポリウレタンポリマー(A)100重量部に対し、イソシアネート化合物(C)0.01〜5重量部含有することが好ましく、0.1〜4重量部含有することがより好ましく、0.5〜3重量部含有することがさらに好ましい。
また、上記粘着剤層においては、前記ウレタンポリマー(A)100重量部に対してシランカップリング剤(B)が含まれる。
シランカップリング剤(B)としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するシランカップリング剤;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤;3−クロロプロピルトリメトキシシラン;アセトアセチル基含有トリメトキシシランなどがあげられる。
シランカップリング剤(B)は、1種を単独で使用しても良く、また2種以上を混合して使用しても良いが、シランカップリング剤の配合量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.01〜0.5重量部用いられるが、0.03〜0.3重量部含有することが好ましく、0.05〜0.1重量部含有することがより好ましい。
さらには、本発明の光学用粘着剤には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等を、また本発明の目的を逸脱しない範囲で各種の添加剤を適宜に使用することもできる。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層などとしても良い。
以上は、本発明の粘着型光学フィルムとして、前記透明基材フィルム上に設けた前記ディスコティック液晶層上に、前記粘着剤により、粘着剤層を形成した場合である。なお、前記ディスコティック液晶層上に、下塗り層を有する場合には、当該下塗り層に粘着剤層が形成される。
粘着剤層の形成法は、特に制限されず、前記ディスコティック液晶層(または下塗り層)上に粘着剤溶液を流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で塗布し乾燥する方法、粘着剤層を設けた離型シートにより転写する方法等があげられる。塗布法は、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法などを採用できる。粘着剤溶液を塗布後、乾燥工程で溶剤や水を揮発することで所定の厚みの粘着剤層を得る。
粘着剤層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般的には、1〜500μmであり、好ましくは1〜50μmである。さらには1〜40μmが好ましく、さらには5〜30μmが好ましく、特に10〜25μmが好ましい。1μmより薄いと耐久性が悪くなり、厚くなると発泡などによる浮きや剥がれが生じやすく外観不良となりやすい。
また、粘着剤層の形成は、ウレタン系粘着剤に用いられる公知の手法を適宜用いることができる。たとえば、ポリウレタンポリマーを含む粘着剤組成物(粘着剤溶液やシロップ)を離型フィルム上に塗布し、加熱乾燥や電子線やUV等の放射線を照射することで前記ポリウレタンポリマーを含有する粘着剤層を形成できる。この際、粘着剤には、架橋剤を含有させている場合、高温での信頼性や粘着剤自体の形状の保持をより確実に図ることができる。
なお、粘着剤層の架橋は、前記乾燥工程やUV照射工程で行うことができる他、乾燥後に、加温状態や室温放置によるエージングにより、架橋が促進するような架橋形態も選択できる。
離型シートの構成材料としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体等があげられる。離型シートの表面には、粘着剤層からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの低接着性の剥離処理が施されていても良い。
なお、本発明の粘着型光学フィルムの光学フィルムや粘着剤層などの各層には、たとえば、サリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
粘着型光学フィルムには、帯電防止性を付与するために、帯電防止剤を用いることもできる。帯電防止剤は、各層に含有させることができ、また、別途、帯電防止層を形成することができる。帯電防止剤としては、イオン性界面活性剤系;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリキノキサリン等の導電ポリマー系;酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム等の金属酸化物系などがあげられるが、特に光学特性、外観、帯電防止効果、および帯電防止効果の熱時、加湿時での安定性という観点から、導電性ポリマー系が好ましく使用される。この中でも、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの水溶性導電性ポリマー、もしくは水分散性導電性ポリマーが特に好ましく使用される。これは、帯電防止層の形成材料として水溶性導電性ポリマーや水分散性導電性ポリマーを用いた場合、塗布工程に際して有機溶剤による光学フィルム基材の変質を抑える点で好ましい。
本発明の粘着型光学フィルムは、前記図1、図2に例示の他、例えば、偏光子を有するものに適用できる。偏光子をそのまま光学フィルムとして用いることもできるが、偏光子は、通常、偏光子の片面または両面に透明保護フィルムを設けた偏光板として用いられる。また、図3に示すように、ディスコティック液晶層3が形成されない側の、透明基材フィルム1の片面には偏光子6、次いで、透明保護フィルム7が積層されているものを用いることができる。
偏光子6は、接着剤を用いて、透明基材フィルム1に貼り合せられる。なお、図2、図3では、透明基材フィルム1は、偏光子6の透明保護フィルムを兼ねているが、透明基材フィルム1には、偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有する偏光板を積層することもできる。
偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作成することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液や水浴中でも延伸することができる。
前記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。透明保護フィルムは、透明基材フィルムと同様の材料を用いることができる。また厚みについても同様である。
なお、透明基材フィルムと透明保護フィルムは、同じポリマー材料を用いても良く、異なるポリマー材料等を用いても良い。
前記偏光子と、透明基材フィルムおよび透明保護フィルムとは、通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。なお、偏光子と、透明基材フィルムおよび透明保護フィルムとの貼り合せにあたり、透明基材フィルムおよび透明保護フィルムには活性化処理を施すことができる。活性化処理は各種方法を採用でき、たとえばケン化処理、コロナ処理、低圧UV処理、プラズマ処理等を採用できる。活性化処理は、透明基材フィルムが、特にトリアセチルセルロース、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート、ポリオレフィン系樹脂等の場合に有効である。
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであっても良い。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、たとえばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は他の部材の隣接層との密着防止を目的に施される。
また、アンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、たとえばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、たとえば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性の場合もある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子(ビーズを含む)などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視覚などを拡大するための拡散層(視覚拡大機能など)を兼ねるものであっても良い。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
また、前記偏光板を積層した光学フィルムの他に、本発明の粘着型光学フィルムに使用される光学フィルムとしては、液晶表示装置等の画像表示装置の形成に用いられ光学層を積層することができる。たとえば反射板や反透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層となるものがあげられる。これらは単独で光学フィルムとして用いることができる他、前記偏光板に、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
特に、偏光板にさらに反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板にさらに位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、あるいは偏光板にさらに輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また、前記透明保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の保護フィルムは、入射光およびその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、たとえば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
反射板は前記の偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵電源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵電源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
偏光板にさらに位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。さらに、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、たとえば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板の厚さも特に制限されないが、20〜150μm程度が一般的である。
高分子素材としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、ノルボルネン系樹脂、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これらの高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
液晶ポリマーとしては、たとえば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどをあげられる。主鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサー部でメソゲン基を結合した構造の、たとえばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート又はポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサー部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これらの液晶ポリマーは、たとえば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化ケイ素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
位相差板は、たとえば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視覚等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであって良く、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであっても良い。
また、上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合せた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光をさらにその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性よっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一反反射させ、さらにその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
前記の輝度向上フィルムとしては、たとえば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
したがって、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を、位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
可視光域等の広い波長で1/4波長板として機能する位相差板は、たとえば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差板と他の位相差特性を示す位相差層、たとえば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。したがって、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層または2層以上の位相差層からなるものであってよい。
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組合せにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていても良い。したがって、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであっても良い。
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板と他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
なお、本発明の粘着型光学フィルムの光学フィルムや粘着剤層などの各層には、たとえばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明の粘着型光学フィルムは液晶表示装置等の各種画像表示装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと粘着型光学フィルム、および必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による粘着型光学フィルムを用いる点を除いて特に限定は無く、従来に準じうる。液晶セルについても、たとえばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側又は両側に粘着型光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、たとえば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。本発明の光学フィルム(偏光板等)は、有機EL表示装置においても適用できる。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、たとえばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組合せをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。