JP5015944B2 - 容器へバリヤ層をプラズマ蒸着するための、冷却された装置 - Google Patents

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Description

本発明は、バリヤ材料を有する層が製造中に内壁に被覆される容器の製造に関する。
プラズマによるバリヤ材料の蒸着は公知である。この技術は、本願出願人の出願による欧州特許出願公開第1068032号明細書、または米国特許第5522351号明細書に詳細に説明されている。
このような蒸着に用いる装置も、上記欧州特許出願公開第1068032号明細書に記載されている。この装置は、電磁波発生器と、電磁波発生器に接続され、導電性材料(一般に金属)で作られたキャビティと、キャビティ内に配置され電磁波発生器からの電磁波を透過させる材料(一般に石英)で作られたチャンバと、を有している。
容器がチャンバ内に導入された後、中程度の真空(約30ミリバールから100ミリバール)をチャンバ内で発生させると共に、高真空(数マイクロバール)を容器内で発生させる。前駆気体(アセチレンなど)が容器内に導入され、電磁衝撃(一般に2.45GHzの低出力UHFマイクロ波)によって活性化される。この結果、前駆気体は低温プラズマ状態に転換され、容器の内壁に薄膜(約60nmから200nm)として蒸着される炭化水素(CH、CH2、CH3を含む)を含む核種が発生する。
処理される容器は一般に、20℃で電磁波を透過させるPET(テレフタル酸ポリエチレン)などの、熱可塑性ポリマーで作られている。石英も同様である。その誘電性は電磁波の(約20℃の温度での)透過にとって好ましく、石英は容器を取り囲むチャンバの製造に特に魅力的である。
実験室の条件下では、材料の準備とその後の(特に温度と圧力に関する)条件設定を含む容器の処理には、数分から数時間かかることさえある。
工業的な製造のためには、上述の種類の(たとえば20基程度の)装置のセットが回転台上に取り付けられ、数千の容器が、スケジュールに従って処理するために連続的に動作する。単位(つまり装置あたりの)サイクル時間は数秒である。
この周期では、実験室の作業者が一般には遭遇しない問題が発生する。そして、発明者らは、工業的なプロセスにおいては、バリヤ層の厚さの不揃いとPET容器の変形が発生することに気付いた。
本発明は、プラズマ処理中にバリヤ層をより均一に分布させ容器の変形を低減することを可能にする解決策を提案することによって、特にこの問題を解決することを目的とする。
そのために、本発明は、容器の内壁にバリヤ材の薄膜をプラズマ蒸着する装置であって、電磁波発生器と、電磁波発生器に接続され、導電性材料で作られているキャビティと、キャビティ内に配置され、電磁波発生器からの電磁波を透過させる材料で作られているチャンバと、チャンバの冷却手段と、を有する装置を提案する。
詳細な研究の結果、発明者らは、バリヤ層の不揃いは、同一の原因に基づく2つの現象に起因するのではないかという仮説を立てた。
第1の現象:工程中の不適切なタイミングでの容器の加熱。マイクロ波のPETの透過は、実際には材料温度についての減少関数となる。PETは約20℃ではマイクロ波を完全に透過させると考えられるが、この透過性は、約50℃ではもはや十分ではなく、その結果、ある程度のプラズマの不均一性が発生する。石油化学工業から供給される原材料(PET)の価格の上昇に伴って現在その数が増加傾向にある薄肉容器(約200μm以下)と呼ばれる容器の場合には、容器の加熱が別の結果をもたらすことがある。つまり、薄肉容器の延伸ブローでは、実際には、成形される容器に残留応力が発生する。以降の処理がない場合は、この応力は問題とならない。しかし、容器がプラズマ処理の際に加熱される場合、加熱によって解放された残留応力が容器の局所的な変形の原因となる(ガラス転移温度に近い場合、なおさら顕著である)。そのため、容器の処分が必要となる。
発明者らは、この加熱は、実際には石英チャンバの加熱によってもたらされ、チャンバから容器への熱伝達は対流によって生じている可能性があると考えた。チャンバ壁と容器間の圧力は大気圧に比べて非常に低い(約30ミリバールから100ミリバール)ため、この仮説は大胆である。
第2の現象は、電磁マイクロ波に対するチャンバの透過性の減少である。これは前駆気体の不均一な衝撃をもたらす。発明者らは、チャンバの相対的な不透明性は、その温度の上昇によるものであり、選択した材料(この場合は石英)内に不純物が存在していれば、電磁マイクロ波の作用によるチャンバの加熱が十分に引き起こされると考えた。発明者らの知るところによれば、マイクロ波に対して完全に透過的と考えられる材料温度がわずかに上昇(この場合、チャンバの温度は工業的な生産の場合60℃であるのに対して、実験室の状態ではこの温度は20℃である。)することが問題になるとはこれまで考えられていなかったので、この仮説も大胆に思える。
発明者らによって立てられた仮説の妥当性は、提案された解決策を実施することによって立証された。すなわち、(約30℃未満の温度に維持するように)チャンバを冷却することによって、ボトルの変形が抑えられると共に、バリヤ層のより均一な分布が効果的に得られた。
一実施態様によれば、冷却手段はキャビティ内に形成された複数の開口を有している。この開口は、好ましくは互いに平行な方向を向いており、たとえば、装置の軌線に対してある角度をなす方向に向けられている。これらの開口によって、装置が移動したときに、チャンバを冷却する空気流がもたらされる。
装置の軌線に対して開口の軸線のなす角度は、たとえば5°から45°の間である。
さらに、キャビティ内のチャンバの周りの空気の循環を助けるように、ファンを、キャビティの上流に位置し、キャビティに面するように設けてもよい。
複数の開口はキャビティの実質的に全周にわたって、および/または、キャビティの実質的に全高にわたって分布していることが好ましい。さらに、複数の開口のキャビティ全体における分布密度は、たとえば、1/cm2から10/cm2の間である。
冷却手段は、複数の開口に加えてまたは複数の開口に代えて、チャンバ内で空気を循環させるのに適した装置を有していてもよい。装置は、たとえば、チャンバの下または上に位置するファン、または、チャンバに接続された空気供給管路及び真空ポンプを、有している。
本発明のその他の目的及び利点は、添付図面を参照する以下の説明から明らかになるであろう。
図1は、PETなどの熱可塑性材料からなる予備成型品をブロー成形または延伸ブロー成形することによって事前に形成された容器2の内壁へバリヤ層をプラズマ蒸着する装置1を示している。
この装置1は、使用されている工業用語に合わせて以降リアクタと呼ぶが、周波数2.45GHzの低出力電磁マイクロ波の発生器3を有している。発生器3は、導波器4によって、鋼や(好ましくは)アルミニウムまたはアルミニウム合金などの導電性材料で作られたキャビティ5に接続されている。キャビティ5内には、石英などの電磁マイクロ波の透過に適した材料で作られたチャンバ6が配置されている。なお、キャビティ5の壁厚は約5mmであり、チャンバ6の壁厚は2mmから3mmの間である。
リアクタ1は、1つ以上のローディングステーションと1つ以上のアンローディングステーションの間で、回転する回転台7に、いくつかの容器2を同時に処理できるように同様の一組のリアクタと共に取り付けられている。この回転台7は、図2,3において、複数のキャビティ5の軸線Xを通る円形の軌線によって示されている。
キャビティ5とチャンバ6は共に、容器2がチャンバ6内で密封されるように、取り外し可能なカバー8によって覆われている。アセチレンなどの前駆気体を容器2内に導入するインジェクタ9がカバー8を貫通している。容器2が懸架される支持部10がカバー8に取り付けられている。この支持部10は、反応の終了時に残留核種が通過する排出後チャンバ12に開口する孔11を有している。排出後チャンバ12は残留核種排出回路13に連通しており、残留核種排出回路13は、前駆気体の導入前に容器内2に(数ミリバールの)高真空を発生させる役割と、反応の終了時に残留核種を排出する役割の両方を持つポンプ(不図示)に連結されている。
チャンバ6は、容器2の導入後チャンバ6を容器2の内部から隔離し、チャンバ6内に(30ミリバールから100ミリバールの間の)中程度の真空を発生させることができる弁によっても、回路13に連結されている。チャンバ6内の圧力は容器2の厚さに依存する。100ミリバール程度の真空は、通常の厚さ(約0.35mm)の容器には適しているが、薄い(約0.2mm)容器には適しておらず、内外の圧力差は容器が潰れるのに十分であろう。このような薄い容器に対しては、30ミリバール程度の真空をチャンバ内で発生させる。
導入部で述べた、チャンバ6の加熱と加熱によって発生するすべての欠点とを回避するため、各リアクタ1には、チャンバ6の冷却手段が設けられている。
この冷却手段はさまざまな形態を取ることができる。
第1の実施形態によれば、チャンバ6は外部から冷却される。キャビティ5は、好ましくはキャビティ5の周囲全体にわたって(または、その一部だけでもよい。)、かつ、その高さ全体にわたって(または、その一部だけでもよい。)分布する複数の開口14を有している。回転台7が回転すると、図4に示すように、キャビティ5内に空気流(図4では場の曲線Lで示している。)が発生し、一方の側から他方の側へとキャビティを通過してチャンバ6を冷却する。この結果、チャンバ6は、マイクロ波の透過に影響せず、かつチャンバ6と容器2との間の熱伝導が容器の顕著な加熱につながらないような十分に低い温度(30℃以下)に維持される。
開口14の断面は円形であっても矩形であってもよい。開口14の直径(または辺長)は1mmから10mmの間であることが好ましく、分布密度は、回転台7の回転速度と所望の冷却効果とに依存して、1/cm2から10/cm2の間であることが好ましい。
開口14の分布パターンの2つの例を図6,7に示している。
第1の例(図6)によれば、直径3mmの開口14が、さいころの「5」の目状に重なった複数の列となって配置されている。同一列内の2つの開口14間の間隔Eは約5mmであり、隣接する2つの列の離間距離Hは4.3mmである(言い換えれば、同一列内の開口14の中心を結ぶ直線と、隣接する列内の隣接する2つの開口の中心を結ぶ線との間の角度は約60°である。)。
第2の例(図7)によれば、直径が約4mmの複数の開口14が市松模様に配置されている。同一列内の隣接する2つの開口14間の距離E′は約9mmであり、隣接する2つの列の離間距離は約8mmである。
開口14は半径方向を向いていてもよい。しかし、気流を最適化するには、開口14は互いに平行な方向を向いていることが好ましい。そして、開口14は、(開口14の軸線を表す複数の点線が引かれた図2に示すように、)回転台7の軌線に対する局所的な接線Tと平行な方向を向いていてもよいし、隣接しているキャビティ5′から高温の空気を引き込むのを避けつつ、とりわけキャビティ5内に新鮮な空気を引き込むように、(図3に示すような)回転方向を考慮して、回転台7の外側を向くように、接線Tに対してある角度をなしていてもよい。
空気の強制循環がない場合、開口14の軸線の傾斜角度は5°から45°の間であることが好ましい。
しかし、各リアクタ1に、開口14の軸線上の位置に、キャビティ5に面し、かつキャビティ5の前面に(つまり、回転台の回転方向を考慮してキャビティ5の上流に)位置するようにファン15を設けることが可能である。この場合、開口14の軸線の傾斜角度の重要性は低くなるが(たとえば、開口14の軸線を、軌線に対する局所的な接線Tに対して垂直に向けることができる。)、先行しているキャビティ5からの高温の空気流を引き込むのを避けるために、この角度は5°を超えていることが好ましい。
変形例では、空気流はチャンバ6自体の中で発生させられる。この空気流は、(チャンバ内の圧力が30ミリバールから100ミリバールの間であることを考慮して、)チャンバ6の下に配置されたファン16であって、電磁波の影響からファン16を保護する(たとえば金属製の)絶縁グリッド17によってチャンバ6から分離されたファン16によって作ることができる。図5に示すように、ファン16は、容器2の周囲にループ状に空気を循環させるようにチャンバ6の外周側にずれていることが好ましい。図示しないが、他の実施形態では、ファン16は、チャンバ6の上部に位置していてもよい。上述の圧力においても、このような空気の循環は、チャンバ6と容器2との間の対流熱伝達を制限し、チャンバ6と容器2を、良好なマイクロ波の透過を確保し、かつ容器2内に存在している可能性のある残存応力が開放されない温度に維持するのに十分であろう。
変形例では、一方の端部から外気(または任意の他の不活性気体)を注入し、同時に他方の端部で空気を吸い出すことによって、チャンバ6内に強制的な循環を発生させ、これによって、冷却を行いながらチャンバ6内の中程度の真空を安定に維持することが可能である。実際には、たとえば、チャンバ6の一部(たとえば基部)を空気供給管路に接続し、他の一部(たとえば上部)を真空ポンプに接続し、供給流量と吸い出し流量の調整を、たとえば、圧力センサを用いて計測可能なチャンバ6内の圧力に応じてフィードバック制御することが考えられる。
前述のさまざまな構成を組み合わせることが可能である。従って、ファンと組み合わせまたは組み合わせずに、キャビティ5内の開口によって外部からチャンバ6を冷却し、これと同時に、ファンまたは注入/吸い出し結合装置のいずれかによって発生させた空気の循環によって、内部からチャンバ6を冷却することができる。
どのような構成が採用されても、チャンバ6の外部および/または内部からの冷却によって、容器2の内壁上におけるバリヤ層の分布不良という前述の問題が解消されることがわかった。この分布は、これまでの分布よりも少なくともより一様であって、軽量容器の機械的挙動が改善されることがわかった。
容器の内壁にバリヤ層をプラズマ蒸着する装置の、高さ方向の断面図である。 同一の回転台に取り付けられた2つの隣接した装置を示す模式図である。 変形例の、図2と同様の模式図である。 空気流が通過している状態の装置を示す部分断面図である。 変形例の装置を示す、高さ方向の部分断面図である。 キャビティ全体における開口の分布を示す一構成例の詳細図である。 キャビティ全体における開口の分布を示す一構成例の詳細図である。

Claims (12)

  1. 容器(2)の内壁にバリヤ材の薄膜をプラズマ蒸着する装置(1)であって、
    電磁波発生器(3)と、
    前記電磁波発生器(3)に接続され、導電性材料で作られているキャビティ(5)と、
    前記キャビティ(5)内に配置され、前記電磁波発生器(3)からの電磁波を透過させる材料で作られているチャンバ(6)と、
    を有し、
    前記容器の内壁にバリヤ材の薄膜を蒸着している間、前記チャンバ(6)を冷やす冷却手段(14、15;16)を備えていることを特徴とする、装置(1)。
  2. 前記冷却手段は、前記キャビティ(5)に形成された複数の開口(14)を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
  3. 前記複数の開口(14)は互いに平行な方向を向いていることを特徴とする、請求項2に記載の装置(1)。
  4. 前記複数の開口(14)は前記装置(1)の軌線に対してある角度をなす方向に向けられていることを特徴とする、請求項3に記載の装置(1)。
  5. 前記角度は5°から45°の間であることを特徴とする、請求項4に記載の装置(1)。
  6. 前記キャビティ(5)の上流に位置し、前記キャビティ(5)に面するファン(15)を有することを特徴とする、請求項2から5のいずれか1項に記載の装置(1)。
  7. 前記複数の開口(14)は前記キャビティ(5)の実質的に全周にわたって分布していることを特徴とする、請求項2から6のいずれか1項に記載の装置(1)。
  8. 前記複数の開口(14)は前記キャビティ(5)の実質的に全高にわたって分布していることを特徴とする、請求項2から7のいずれか1項に記載の装置(1)。
  9. 前記複数の開口(14)の前記キャビティ(5)全体における密度は1/cm2から10/cm2の間であることを特徴とする、請求項2から8のいずれか1項に記載の装置(1)。
  10. 前記冷却手段は、前記チャンバ(6)内で空気を循環させるのに適した装置を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の装置(1)。
  11. 前記装置は、前記チャンバ(6)の下に位置するファン(16)を有することを特徴とする、請求項10に記載の装置(1)。
  12. 前記装置は、前記チャンバ(6)に接続された空気供給管路及び真空ポンプを有することを特徴とする、請求項10に記載の装置(1)。
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