JP5015460B2 - 燃料電池の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、燃料電池の製造方法に関し、特に、燃料電池内のガス流路に多孔体を設けた燃料電池に適用して好適である。
燃料電池は、アノードに供給した水素とカソードに供給した酸素とを反応させて電力を発生する。このような燃料電池において、例えば特開2004−87318号公報には、微細孔を有する多孔体によって構成されたガス流路を有する燃料電池が開示されている。
特開2004−87318号公報 特開2005−30808号公報 特開2004−93187号公報 特開2003−335515号公報
しかしながら、多孔体でガス流路を構成した場合、多孔体の全体積に占める微細孔の容積の割合(多孔率)にバラツキが発生するという問題がある。これは、多孔体の製造過程において、内部に均一に微細孔を形成することが困難であることに起因しており、多孔体の生産工程では多孔率に数十%のバラツキが発生することもある。そして、燃料電池内の各流路において、多孔体の多孔率にバラツキが発生すると、各単位セルのガス流路の圧力損失にバラツキが生じ、ガスの供給量が不均一となり、ガスの供給が不足する領域が発生する。このため、発電効率が低下するという問題が発生する。
また、この場合、最もガスの供給が不足している単位セルを基準として全単位セルへのガス供給量を増加する必要が生じ、ガスを供給するためのポンプ等の駆動負荷が増大するため、システムの効率低下という問題も発生する。
このため、燃料電池内は圧力損失が一定となるように多孔体を設けることが望ましいが、多孔体の通気抵抗が所定の範囲内にあるか否かを判定するためには、多孔体を燃料電池に組み込み、シール等の処置を施した後、通気抵抗を計測する必要があり、生産管理上コストがかかるという問題が生じていた。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、燃料電池内のガス流路に設けられる多孔体の通気抵抗を均一化することで、燃料電池の発電効率を向上させることを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、燃料電池内のガス流路に組み込まれる複数の多孔体を準備する第1の工程と、前記多孔体を重量に基づいて選別する第2の工程と、選別した前記多孔体を用いて燃料電池を製造する第3の工程と、を有することを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記第2の工程において、重量が所定の上限値以下の多孔体を選別することを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明において、前記第2の工程において、重量が前記上限値以下であり、且つ所定の下限値以上の前記多孔体を選別することを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明において、前記第3の工程において、選別した前記多孔体を重量に基づいて分類し、所定の重量区分毎に異なる燃料電池に組み込むことを特徴とする。
第5の発明は、第1〜第4の発明のいずれかにおいて、前記第2の工程の後、選別されなかった前記多孔体を修正する第4の工程を更に有し、前記第3の工程において、選別した前記多孔体及び修正された前記多孔体を用いて燃料電池を組み立てることを特徴とする。
第6の発明は、第5の発明において、前記第4の工程において、重量が前記下限値未満の前記多孔体に圧延加工を行って、当該多孔体の厚さを減少させることを特徴とする。
第7の発明は、第5の発明において、前記第4の工程において、重量が前記上限値を超える前記多孔体の表面に切り欠きを形成することを特徴とする。
第1の発明によれば、多孔体の重量と多孔体を流れるガスの通気抵抗には相関があるため、重量に基づいて多孔体を選別することで、ガスの通気抵抗を均一化することが可能となる。これにより、燃料電池のガス流路におけるガス流量を均一化することができ、発電効率を向上することが可能となる。
第2の発明によれば、重量が重い多孔体は多孔率が低く、通気抵抗が大きいため、重量が所定の上限値以下の多孔体を選別して燃料電池を製造することで、ガス流路における通気抵抗が増大してしまうことを抑えることができ、ガスの供給不足を回避できる。
第3の発明によれば、重量が所定の上限値以下であり、且つ所定の下限値以上の多孔体を選別するため、多孔体の通気抵抗のバラツキを抑えることが可能となる。従って、流路におけるガス流量を均一化することができ、発電効率を向上することが可能となる。
第4の発明によれば、選別された多孔体を重量に基づいて分類し、所定の重量区分毎に異なる燃料電池に組み込むため、燃料電池毎の多孔体の通気抵抗のバラツキを最小限に抑えることが可能となる。
第5の発明によれば、選別されなかった多孔体を修正するため、多孔体を再利用することができ、多孔体の利用効率を向上することが可能となる。
第6の発明によれば、重量が下限値未満の多孔体に圧延加工を行って、当該多孔体の厚さを減少させるため、多孔体の多孔率を減少させることができ、多孔体の通気抵抗を所望の範囲に収めることが可能となる。
第7の発明によれば、重量が上限値を超える多孔体の表面に切り欠きを形成するため、多孔体の多孔率を増加することができ、多孔体の通気抵抗を所望の範囲に収めることができる。
以下、図面に基づいてこの発明のいくつかの実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の各実施形態に係る燃料電池スタック10を構成する単位セルの断面図である。燃料電池スタック10は、例えば発電を行う際に水(水蒸気)を生成する種類のものであり、ここでは固体高分子型(PEM)の燃料電池を例示する。図1は、燃料電池スタック10を構成する複数の単位セルの1つを示しており、燃料電池スタック10は図1の単位セルを積層して構成される。
図1は、積層方向に沿った単位セルの断面を示す模式図である。単位セルは、電解質膜12、電解質膜12の両側にそれぞれ配置される触媒層14、拡散層16、およびセパレータ18,20を有して構成される。図1において、セパレータ18はアノード側に配置され、セパレータ20はカソード側に配置されている。
電解質膜12は、フッ素系樹脂などの固体高分子材料で形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜である。触媒層14は、白金(Pt)を担持したカーボンペーストを電解質膜12の表面に塗布することで形成されている。拡散層16は、カーボン繊維を織成したカーボンクロス、またはカーボン繊維、カーボンペーストを素材とするペーパーにより形成されている。セパレータ18,20は、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンなどガス不透過の導電性部材により形成されている。
セパレータ18と拡散層16との間はリブ22によって仕切られており、アノードガス(水素ガス)の流路26が形成されている。また、セパレータ20と拡散層16との間はリブ24によって仕切られており、カソードガス(酸素ガス)の流路28が形成されている。
流路26、流路28内には、多孔体30が設けられている。多孔体30は、チタン、ニッケルなどの金属をウレタン発泡法などの方法で成形したものであり、多数の微細孔を備えている。従って、流路26、流路28内において、アノードガス、カソードガスは、多孔体30の微細孔を通って流れる。
このように、流路26、流路28に金属製の多孔体30を設けることで、セパレータ18,20と拡散層16との接触面積を拡大することができ、各単位セルにおける集電効率を向上することが可能となる。
アノードガスが流路26へ供給されると、アノードガス中の水素が拡散層16および触媒層14を通過する過程でイオン化され、水素イオンとなる。同様に、カソードガスが流路28へ供給されると、カソードガス中の酸素が拡散層16および触媒層14を通過する過程でイオン化され、酸素イオンとなる。
そして、これらの水素イオン、酸素イオンが電解質膜12に供給されると、電解質膜12における反応で電力が発生する。また、これと同時にカソード側において、上記の水素イオンと酸素イオンとから水が生成される((1/2)O+2H+2e→HO)。
アノードガス、カソードガスの流路26,28を多孔体30で構成した場合、流路26、流路28内をアノードガス、カソードガスが流れる際の通気抵抗は、多孔体30の多孔率によって影響を受ける。ここで、多孔率は、多孔体30の全体積に占める微細孔の容積の割合である。
例えばアノードガスの流路26において、単位セル毎に多孔体30の多孔率が変化すると、アノードガスが多孔体30を通過する際の通気抵抗が各単位セル毎に相違してしまう。このため、通気抵抗を均一にするためには、燃料電池スタック10の全単位セルで流路26内の多孔体30の多孔率を均一とすることが望ましい。これにより、各単位セルにおけるアノードガスの圧力損失のバラツキを抑えることができるため、各単位セルへのアノードガス流量を均一にすることができ、発電効率を向上することが可能となる。カソードガスの流路28においても同様に、カソードガスの通気抵抗を均一にするためには、全単位セルで流路28内の多孔体30の多孔率を均一とすることが望ましい。これにより、各単位セルにおけるカソードガスの圧力損失のバラツキを抑えることができるため、各単位セルへのカソードガス流量を均一にすることができ、発電効率を向上することが可能となる。
図2は、多孔体30の重量と通気抵抗との関係を示す特性図であって、多孔体30の体積(形状)を同一とし、重量を変化させた場合の通気抵抗の変化を示している。図2に示すように、多孔体30の体積を同一とした場合、多孔体30の重さ(密度)と通気抵抗との間には相関があり、多孔体30の重量(密度)が増加するほど通気抵抗は増加する。これは、多孔体30の重量(密度)の変化によって、多孔率が変化することに起因している。多孔体30の重量(密度)が増加すると微細孔以外の部分の体積が増加するため、多孔体30の全体積に対する微細孔の容積の割合が小さくなる。このため、多孔率が低下し、多孔体30におけるガスの経路が縮小されるため、通気抵抗が増加する。従って、多孔体30の重量に基づいて、多孔率、通気抵抗のレベルを判定することができる。
特に、多孔体30は金属によって構成されるため、多孔体30の幅、長さ、厚さは高精度に加工することができ、重さのバラツキは密度、多孔率のバラツキとなる。従って、多孔体30の通気抵抗の大小のレベルは、多孔体30の重さ、密度に基づいて判定することが可能となる。
このため、本実施形態では、各単位セルの流路26、流路28に設けられる多孔体30の重量を計測し、重量が所定の範囲内となる多孔体30を選別し、選別された多孔体30のみを用いて燃料電池スタック10を構成するようにしている。
図3は、燃料電池スタック10に組み込むために用意された複数の多孔体30の重量の分布を示す特性図である。ここでは、流路26に設けられる多孔体30の重量を例示しており、流路26の形状は全単位セルで同一であるものとする。以下、主としてアノードガスの流路26に設けられる多孔体30の選別について説明するが、カソードガスの流路28に設けられる多孔体30についても同様の方法で選別することができる。
流路26の形状を全単位セルで同一とした場合、全ての流路26に設けられる各多孔体30の形状は同一となる。従って、全ての流路26に設けられる各多孔体30の体積は同一となり、図3に示される個々の多孔体30の重量の違いは、多孔率、および通気抵抗の違いを表すことになる。
図3に示すように、流路26に挿入される多孔体30の重量は、中央値Cを中心に分布している。そして、多孔体30の重量には、上限値、下限値が設定されている。本実施形態では、重量が上限値と下限値の間の範囲に属する多孔体30のみを用いて燃料電池スタック10が構成される。これにより、各単位セルの流路26に設けられる多孔体30の多孔率のバラツキを抑えることができ、流路26をアノードガスが流れる際の通気抵抗を全単位セルで均一化することができる。従って、燃料電池スタック10の発電効率を向上することが可能となる。
アノードガスは、通常、水素ボンベに貯蔵された水素ガスをレギュレータで減圧して燃料電池スタック10へ送られる。また、カソードガスは、通常、エアポンプの駆動によって燃料電池へ送られる。多孔体30の通気抵抗にバラツキが生じていると、最も通気抵抗の大きい単位セルに合わせて、アノードガスの圧力を決定する必要があり、またはカソードガスを送るためのポンプの駆動量を決定する必要があり、システムの効率低下を招来することがある。
本実施形態の手法によれば、各単位セルの多孔体30の多孔率のバラツキを抑えることができるため、アノードガスの圧力、カソードガスを送るためのポンプの駆動量を必要以上に増加する必要がなく、システム効率を向上することが可能である。
図4は、多孔体30を選別する際の処理を示すフローチャートである。先ず、ステップS1では、多孔体30を所定の大きさに加工する。ここでは、流路26の形状に多孔体30を加工する。
次のステップS2では、ステップS1で所定の形状に加工された多孔体30の重さを計測する。次のステップS3では、多孔体30の重さが所定の範囲内であるか否かを判定する。ここでは、多孔体30の重さが図3の下限値以上、上限値以下であるか否かを判定する。
ステップS3で多孔体30の重さが所定の範囲内の場合は、ステップS4へ進む。この場合、多孔体30の重さが所定の範囲内であるため、このような多孔体30を燃料電池スタック10に組み付けることによって、各流路26内における多孔体30の通気抵抗のバラツキを抑えることができる。従って、ステップS4では、多孔体30を燃料電池スタック10へ組付けるため、多孔体30を組付け工程へ送る。ステップS4の後は処理を終了する(END)。
一方、ステップS3で多孔体30の重さが所定の範囲を外れている場合は、ステップS5へ進む。この場合、このような多孔体30を燃料電池スタック10に組み付けると、流路26内における通気抵抗にバラツキが生じてしまうため、ステップS5では、この多孔体30を組付け工程から排除する。ステップS5の後は処理を終了する(END)。
図4の処理によれば、多孔体30の通気抵抗を直接計測することなく、通気抵抗を所定の範囲内に管理することが可能となる。従って、簡素な工程で燃料電池スタック10の発電効率を向上することが可能となる。
以上説明したように実施の形態1によれば、重量に基づいて多孔体30を選別することで、燃料電池スタック10の流路26、流路28に組み込まれる多孔体30の多孔率を均一化することができる。従って、流路26、流路28を流れるアノードガス、カソードガスの通気抵抗を均一化することができ、燃料電池スタック10の発電効率を向上することが可能となる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図5は、実施の形態2において、多孔体30を選別する方法を示す模式図であって、実施の形態1の図3と同様に、燃料電池スタック10に組み込まれる複数の多孔体30の重量の分布を示す模式図である。
多孔体30の通気抵抗がガスの供給に影響を与えるのは、主として多孔体30の重量が重く、通気抵抗が大きい場合であり、この場合、ガスの供給が不足する単位セルが発生する。一方、多孔体30の重量が軽い場合は、多孔体30が組み込まれた単位セルの流量が増加するため、反応効率が低下することはなく、通気抵抗が高い場合に比べて大きな問題は生じない。
このため実施の形態2では、図5に示す上限値を超える重量の多孔体30のみを組付け工程から排除するようにしている。
これにより、実施の形態1と比較すると、組付け工程から排除される多孔体30の数を減少させることができ、多孔体30の利用効率を高めることができる。また、多孔体30の重量と上限値を比較するのみで多孔体30を選別することができるため、個々の多孔体30の重量を計測しなくても、個々の多孔体30と上限値に相当する錘とを天秤等で比較することで選別を行うことができる。従って、選別工程を簡素化することが可能となる。
図6は、実施の形態2において、多孔体30を選別する際の処理を示すフローチャートである。先ず、ステップS11では、多孔体30を所定の大きさに加工する。ここでは、流路26の形状に多孔体30を加工する。
次のステップS12では、ステップS11で所定の形状に加工された多孔体30の重さが所定の値以下であるか否かを判定する。ここでは、多孔体30の重さが図5に示す上限値以下であるか否かを判定する。
ステップS12で多孔体30の重さが上限値以下の場合は、ステップS13へ進む。この場合、多孔体30の重さが上限値以下であるため、このような多孔体30を燃料電池スタック10に組み付けることによって、流路26の通気抵抗が過度に大きくなることを抑止できる。従って、ステップS13では、選別された多孔体30を燃料電池スタック10へ組付けるため、多孔体30を組付け工程へ送る。ステップS13の後は処理を終了する(END)。
一方、ステップS12で多孔体30の重さが上限値を超えている場合は、ステップS14へ進む。この場合、このような多孔体30を燃料電池スタック10に組み付けると、流路26内の通気抵抗が過度に大きくなり、ガスの供給不足が生じてしまうため、ステップS14では、この多孔体30を組付け工程から排除する。ステップS14の後は処理を終了する(END)。
以上説明したように実施の形態2によれば、通気抵抗が所定値よりも大きい多孔体30を排除して燃料電池スタック10を構成するため、流路26、流路28を流れるアノードガス、カソードガスの通気抵抗の増加を抑制することができる。従って、アノードガス、カソードガスの供給不足を抑えることができ、燃料電池スタック10の発電効率を向上することが可能となる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。図7は、実施の形態3において、多孔体30を選別する方法を示す模式図であって、実施の形態1の図3と同様に、燃料電池スタック10に組み込まれる複数の多孔体30の重量の分布を示す模式図である。
実施の形態3では、実施の形態1と同様に重量が上限値と下限値の間の範囲内の多孔体30が選別される。そして、実施の形態3では、選別した多孔体30をその重量に応じて更に細かく分類し、重量別に異なる燃料電池スタック10(スタックA〜D)へ組み込むようにしている。
図7に示すように、重量がW1(下限値)〜W2の多孔体30はスタックAへ組み込まれる。また、重量がW2〜W3の多孔体30はスタックBへ組み込まれる。同様に、重量がW3〜W4の多孔体30はスタックCへ、重量がW4〜W5(上限値)の多孔体30はスタックDへ、それぞれ組み込まれる。これにより、各スタックA,B,C,Dのそれぞれにおいて、多孔体30の通気抵抗を更に均一化することができ、通気抵抗のバラツキを最小限に抑えることが可能となる。
上述したように、多孔体30の通気抵抗にバラツキが生じていると、最も通気抵抗の大きい単位セルに合わせてアノードガスの圧力を決定する必要があり、また最も通気抵抗の大きい単位セルに合わせてカソードガスを送るためのポンプの駆動量を決定する必要があるため、システムの効率低下を招来することがある。
本実施形態の手法によれば、選別された多孔体30を重量に基づいて分類し、重量毎に多孔体30を異なる燃料電池スタック10に組み込むようにしたため、各スタックA,B,C,Dにおける通気抵抗のバラツキを最小限に抑えることができる。従って、各スタックA,B,C,Dの発電効率を向上するとともに、ポンプの駆動負荷等を低下させることができ、システム効率を向上することが可能となる。
図8は、実施の形態3における処理の手順を示すフローチャートである。先ず、ステップS21では、多孔体30を所定の大きさに加工する。ここでは、流路26の形状に多孔体30が加工される。
次のステップS22では、ステップS21で所定の形状に加工された多孔体30の重さを測定する。次のステップS23では、多孔体30の重さが所定の範囲内であるか否かを判定する。ここでは、多孔体30の重さが図7の下限値以上、上限値以下であるか否かを判定する。
ステップS23で多孔体30の重さが所定の範囲内の場合は、ステップS24へ進む。この場合、ステップS24では、選別された多孔体30を重量別に分類し、重量に応じてスタックA〜Dの組付け工程へ送る。ステップS24の後は処理を終了する(END)。
一方、ステップS23で多孔体30の重さが所定の範囲を外れている場合は、ステップS25へ進む。この場合、このような多孔体30を燃料電池スタック10に組み付けると、流路26内における通気抵抗が許容範囲から外れてしまうため、ステップS25では、この多孔体30を組付け工程から排除する。ステップS25の後は処理を終了する(END)。
以上説明したように実施の形態3によれば、重量に基づいて多孔体30を選別し、選別された多孔体30を更に重量毎に異なるスタックA〜Dへ組み込むようにしたため、各スタックにおける流路26,28の通気抵抗のバラツキを最小限に抑えることができる。従って、燃料電池スタック10の発電効率を向上することが可能となる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。実施の形態4は、重量に基づいて多孔体30を選別した後、下限値未満の重量の多孔体30を圧延加工して、多孔率を修正するものである。
図9は、実施の形態4において、多孔体30を選別し、重量が下限値未満の多孔体30を修正する方法を示す模式図である。実施の形態1と同様に、重量が上限値と下限値の範囲に属する多孔体30が選別される。そして、重量が下限値未満の多孔体30には、圧延加工による修正が施される。
実施の形態1で説明したように、多孔体30は、チタン、ニッケルなどの金属をウレタン発泡法等の方法で発泡させて微細孔を形成したものである。従って、圧延加工を施すことで多孔体30の厚さを薄くすることができ、この結果、多孔体30の体積が縮小し、密度が増加する。これにより、多孔率が減少し、通気抵抗を増大させることができる。この結果、修正された多孔体30の通気抵抗は、選別された多孔体30の通気抵抗と同等になる。従って、修正された多孔体30を燃料電池スタック10に組み込むことで、選別されなかった多孔体30を再利用することができ、多孔体30の利用効率を高めることができる。
単位セルのアノード側において、セパレータ18とリブ22の接合部にはシール材が設けられている。また、リブ22と拡散層16の接合部にもシール材が設けられている。多孔体30に圧延加工を施して多孔体30の厚みを減少させた場合、これらのシール材の厚みを調整することで、多孔体30の厚さを流路26に適合させることができる。カソード側も同様にシール材が設けられており、多孔体30の厚さを流路28に適合させることが可能である。
図10は、実施の形態4における処理の手順を示すフローチャートである。先ず、ステップS31では、多孔体30を所定の大きさに加工する。ここでは、流路26の形状に多孔体30を加工する。
次のステップS32では、ステップS31で所定の形状に加工された多孔体30の重さを計測する。次のステップS33では、多孔体30の重さが所定の範囲内であるか否かを判定する。ここでは、多孔体30の重さが図9の下限値以上、上限値以下であるか否かを判定する。
ステップS33で多孔体30の重さが所定の範囲内の場合は、ステップS34へ進む。この場合、多孔体30の重さが所定の範囲内であるため、このような多孔体30を燃料電池スタック10に組み付けることによって、各流路26内における多孔体30の通気抵抗のバラツキを抑えることができる。従って、ステップS34では、多孔体30を燃料電池スタック10へ組付けるため、多孔体30を組付け工程へ送る。ステップS34の後は処理を終了する(END)。
一方、ステップS33で多孔体30の重さが所定の範囲を外れている場合は、ステップS35へ進む。ステップS35では、多孔体30の重さが図9の下限値未満であるか否かを判定する。
ステップS35で多孔体30の重さが下限値未満の場合は、ステップS36へ進む。ステップS36では、多孔体30に圧延加工を行い、多孔体30の厚さを減少させる。これにより、通気抵抗が増加し、多孔体30の通気抵抗をステップS33で選別された多孔体30と同等にすることができる。
一方、ステップS35で多孔体30の重さが下限値以上の場合は、ステップS37へ進む。この場合、多孔体30の重さが上限値を超えているため、ステップS37では、この多孔体30を組付け工程から排除する。ステップS37の後は処理を終了する(END)。
以上説明したように実施の形態4によれば、多孔体30の重さが下限値未満の場合は、多孔体30に圧延加工を施して修正するようにしたため、多孔体30の通気抵抗を増加することができる。従って、修正後の多孔体30を燃料電池スタック10に組み込むことができ、多孔体30の利用効率を高めることが可能となる。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5について説明する。実施の形態5は、重量に基づいて多孔体30を選別した後、上限値を超える重量の多孔体30を切削加工して空隙を設け、多孔率が許容範囲内となるように修正するものである。
図11は、実施の形態5において、多孔体30を選別し、重量が上限値を超える多孔体30を修正する方法を示す模式図である。実施の形態1と同様に、重量が上限値と下限値の範囲に属する多孔体30が選別される。そして、重量が上限値を超える多孔体30には、切削加工が施される。
図11に示すように、多孔体30には、切削加工により表面に空隙(切り欠き)30aが形成される。この場合、多孔体30が流路26、流路28に組みつけられると、流路26、流路28内を流れるガスは空隙30aを通って流れることができる。従って、空隙30aは微細孔と同様にガスを通過させる機能を有しており、空隙30aを形成することで多孔体30の多孔率を増加することができる。この結果、修正された多孔体30の通気抵抗は、選別された多孔体30の通気抵抗と同等になり、修正された多孔体30を燃料電池スタック10に組み込むことで、選別されなかった多孔体30を再利用することができ、多孔体30の利用効率を高めることができる。
従って、多孔体30の重量が上限値を超えている場合であっても、多孔体30を廃棄することなく、燃料電池スタック10に組み込むことが可能となる。なお、空隙30aは圧延加工によって形成しても良い。
図12は、実施の形態5における処理の手順を示すフローチャートである。先ず、ステップS41では、多孔体30を所定の大きさに加工する。ここでは、流路26の形状に多孔体30を加工する。
次のステップS42では、ステップS41で所定の形状に加工された多孔体30の重さを測定する。次のステップS43では、多孔体30の重さが所定の範囲内であるか否かを判定する。ここでは、多孔体30の重さが図11の下限値以上、上限値以下であるか否かを判定する。
ステップS43で多孔体30の重さが所定の範囲内の場合は、ステップS44へ進む。この場合、多孔体30の重さが所定の範囲内であるため、このような多孔体30を燃料電池スタック10に組み付けることによって、各流路26内における多孔体30の通気抵抗のバラツキを抑えることができる。従って、ステップS44では、多孔体30を燃料電池スタック10へ組付けるため、多孔体30を組付け工程へ送る。ステップS44の後は処理を終了する(END)。
一方、ステップS43で多孔体30の重さが所定の範囲を外れている場合は、ステップS45へ進む。ステップS45では、多孔体30の重さが図11の上限値を超えているか否かを判定する。
ステップS45で多孔体30の重さが上限値を超えている場合は、ステップS46へ進む。ステップS46では、多孔体30に切削加工を行い、多孔体30の表面に空隙30aを形成する。これにより、多孔体30の多孔率が増加し、通気抵抗を減少させることができる。従って、多孔体30の通気抵抗をステップS43で選別された多孔体30と同等にすることができる。
一方、ステップS45で多孔体30の重さが上限値以下の場合は、ステップS47へ進む。この場合、多孔体30の重さが下限値未満であるため、ステップS47では、この多孔体30を組付け工程から排除する。ステップS47の後は処理を終了する(END)。
以上説明したように実施の形態5によれば、多孔体30の重さが上限値を超えている場合は、多孔体30に切削加工を施して表面に空隙30aを形成するようにしたため、多孔体30の通気抵抗を減少させることができる。従って、切削加工後の多孔体30を燃料電池スタック10に組み込むことができ、多孔体30の利用効率を高めることが可能となる。
本発明の各実施形態に係る燃料電池を構成する単位セルの断面図である。 多孔体の重量と通気抵抗との関係を示す特性図である。 複数の多孔体の重量の分布を示す特性図である。 実施の形態1において、多孔体を選別する際の処理を示すフローチャートである。 実施の形態2において、多孔体を選別する方法を示す模式図である。 実施の形態2において、多孔体を選別する際の処理を示すフローチャートである。 実施の形態3において、多孔体を選別する方法を示す模式図である。 実施の形態3における処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態4において、多孔体を選別し、重量が下限値未満の多孔体を修正する方法を示す模式図である。 実施の形態4における処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態5において、多孔体を選別し、重量が上限値を超える多孔体30を修正する方法を示す模式図である。 実施の形態5における処理の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
10 燃料電池スタック
26,28 流路
30 多孔体
30a 空隙(切り欠き)

Claims (4)

  1. 燃料電池内のガス流路に組み込まれる複数の多孔体を準備する第1の工程と、
    前記多孔体を、その重量が所定の下限値以上かつ所定の上限値以下にある範囲内多孔体と、前記上限値を超えるまたは前記下限値未満にある範囲外多孔体とに分別する第2の工程と、
    前記範囲内多孔体と前記範囲外多孔体とを用いて燃料電池を製造する第3の工程と、
    前記第2の工程の後、前記第3の工程の前に、前記範囲外多孔体の重量が前記下限値以上かつ前記上限値以下となるように修正する第4の工程と、
    を有することを特徴とする燃料電池の製造方法。
  2. 前記第3の工程において、前記範囲内多孔体を重量に基づいて分類し、所定の重量区分毎に異なる燃料電池に組み込むことを特徴とする請求項1記載の燃料電池の製造方法。
  3. 前記第4の工程において、重量が前記下限値未満にある範囲外多孔体に圧延加工を行って、当該多孔体の厚さを減少させることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池の製造方法。
  4. 前記第4の工程において、重量が前記上限値を超える範囲外多孔体の表面に切り欠きを形成することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池の製造方法。
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