JP5013869B2 - 遺伝子座コピー数の変化を検出するのに有用な方法およびキット - Google Patents

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Description

本発明は、トリソミーなどの染色体異常を生じさせる遺伝子座コピー数異常(例えば、増幅)を検出するのに有用な方法およびキットに関連する。
遺伝的成分が環境的要因よりも優位である疾患状態は遺伝病と呼ばれており、典型的には下記の3つのカテゴリーの1つに分類にされる:(i)1つ以上の染色体の非存在、過剰または異常な配置によって特徴づけられる障害;(ii)1つだけの変異遺伝子によって主に引き起こされ、常染色体優性型、常染色体劣性型またはX連鎖型にさらに分類されるメンデル型障害または単純に遺伝する障害;および(iii)多数の遺伝子および環境的要因の相互作用によって引き起こされる多因子性障害。
異数性症は、流産児の中では50%を超えて見出される非常に一般的な染色体異常である[McConnell HD、Carr DH、ヒトの自然流産の細胞遺伝学研究における近年の進歩、Obstet Gynecol.、1975(5月)、45(5):547〜52]。トリソミーは胎児または胚の状態では致死的であり、その一方で、常染色体トリソミーは、出生後も胎児の生存を可能にするトリソミーである。
ダウン症候群は、21トリソミーとしても知られており、出生前に診断することができる非常に一般的な遺伝病の1つである。ダウン症候群は、この障害を伴って生まれた子供における精神遅延ならびに多くの身体的および生理学的な異常の原因である。多くの子供が、先天性心臓欠陥および胃腸の異常(これらは手術によって是正することができる)を伴って生まれる。身体的特徴には、後部が平らな頭、ならびに、傾斜した眼、くぼんだ鼻梁、小さい手足、出生時における頸の後部における過度な皮膚、低下した筋緊張、および、手の掌におけるサルのようなしわが含まれる[Down syndrome(1994)、National Down Syndrome Congress、Atlanta、GA:NDSC]。
ダウン症候群の罹患率は米国では10000人の生出産あたり9.2例である。ダウン症候群発生についての原因は依然としてほとんど理解されていないが、母体の高齢が1つの要因として働くことが広く明らかにされている。従って、21トリソミーを有する胎児を妊娠している危険性は、35歳を超える母親については指数的に増大する。出産する母親の母体年齢が米国では高くなっているため、子供がダウン症候群と子宮内で診断されることについて危険性のある母親の罹患率が以前よりもはるかに大きくなっている。従って、35歳を超える潜在的にすべての母親はダウン症候群について高リスクであると見なされ、そのような母親には、検査することが勧められることが望ましい。
ダウン症候群について出生前スクリーニングするための現在の方法は多様であり、これらには、血液血清スクリーニング、超音波検査、浸襲的検査、遺伝学的カウンセリングおよび染色体研究が含まれる。多くの研究が、特に妊娠第一期においてダウン症候群の出生前診断を改善するために行われているが、今日まで、どの検査も、ダウン症候群を診断することにおいて100%正確であることが立証されていない。
下記には、ダウン症候群の出生前スクリーニングおよび出生前診断のための現在の方法がまとめられる。
非浸襲的検査
胎児の超音波画像化。この検査は妊娠の第12週〜第18週の間で行われる。この検査では、後頸部半透明性(すなわち、後頸部の増大した肥厚または腫脹)、長骨の短化、および、第1足指と第2足指との間のサンダルギャップが探される。だが、胎児のトリソミー状態を検出するための超音波検査法の感度は、染色体異常のタイプ、超音波検査時の妊娠週齢、照会理由、陽性の超音波検査知見についての判断基準、および超音波検査法の質により変化することが理解される。推測として、1つ以上の超音波検査知見が、21トリソミー(ダウン症候群)を有する胎児の50%〜70%において特定され得る。従って、超音波検査マーカーの存在または非存在により、胎児のダウン症候群の危険性を実質的に修正することができ、超音波検査マーカーの存在または非存在が遺伝学的音波検査図の基礎である。母体の生化学的マーカーおよび超音波検査マーカーは大部分が独立しているので、組み合わせた危険性推測は、いずれか単独よりも大きい検出率をもたらす。
母体の血清スクリーニング。母体の血清スクリーニングはまた、血清α−フェトタンパク質(AFP、低濃度であることにより、ダウン症候群が示される)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hGC、高濃度であることにより、ダウン症候群が示される)、および非共役型エストリオ−ル(uE3、低濃度であることにより、ダウン症候群が示される)を見る三重マーカー試験をはじめとする多重マーカースクリーニング検査として知られている。四番目のマーカーとして、近年、インヒビンAが加えられており、高濃度であることにより、ダウン症候群の診断が示される[Wald、WattおよびHackshaw(1999)、The New England Journal of Medicine、第341巻、第7号、461〜469]。インヒビンAを加えた三重マーカー検査は現在では、四重マーカー検査になっている。これらのマーカーは、母胎年齢パラメーターと一緒になって、約70%の検出率および約5%の偽陽性率を伴ってダウン症候群を診断するために使用することができる。これらのマーカーは、妊娠第二期においてダウン症候群を診断するために使用することができ、一方、AFP検査および超音波は妊娠第一期において使用される。
この四重検査は、今では、後頸部半透明性超音波検査法、および、妊娠に関連した血清タンパク質−A(PAPP−A)についての検査と一緒に使用されている。この方法は、5%の偽陽性率を伴うが、検出率を85%に増大させることができ、それにより、現在利用できる、ダウン症候群のための最も信頼できる非浸襲的な検出検査を提供している[Wald、Kennard、HackshawおよびMcGuire(1998)、Health Technology Assessment、第2巻、第1号、1〜124]。しかしながら、現在利用できる血清マーカーは統計学的結果を提供しており、そのような統計学的結果は不明確であり、また、多くの場合、解釈することが困難であることに留意にしなければならない。
浸襲的検査
羊水穿刺。羊水穿刺は、胎児の異常を妊娠第二期において検出するのに羊水が吸引される浸襲的手法である。この検査は、ダウン症候群などの遺伝的異常の子供を有することについて危険性がより大きい母体年齢が高くなった女性について勧められる。羊水穿刺のための照会には、異常に低濃度または異常に高濃度のAFPが含まれ得る。羊水穿刺は通常の場合には妊娠第二期において行われるが、妊娠第11週という早期において行うことができる。羊水のサンプルが妊娠の約16週間で採取される。わずかに20%の羊膜細胞が検査のために適するだけであるので、サンプルは、中期分析のための十分な分裂細胞を得るために培養する必要がある。従って、結果は1週間後〜3週間後に得ることができ、このことは母体の不安の増大をもたらし得るし、また、妊娠第二期〜第三期の中絶の検討をもたらし得る。核型決定により、ダウン症候群以外の染色体障害が検出される。しかしながら、妊婦200人においておよそ1人が羊水穿刺のために流産する。
絨毛生検(cvs)。絨毛生検では、胎盤を形成し、胎児によって形成され、従って、胎児の細胞を含有する絨毛膜のサンプルを採取することを伴う。この検査は妊娠第一期の終期(すなわち、10週間〜12週間)で行うことができる。この手法は経子宮頸的または経腹膜的に行われる。両方の方法は同等に安全かつ有効である。この手法は迅速であり(結果を24時間以内に得ることができ)、また、痛みを伴うことがほとんどない。サンプル(すなわち、未培養サンプル)は、その後、特に染色体異常に注目して、顕微鏡下で分析される。CVSの利点は、妊娠第一期における早期検査であり、また、低下した母体細胞汚染の危険性である。欠点は、流産の危険性の増大と費用である。母体の血清マーカーに注目することはさらに重要である。だが、AFPが注目される頃には、そのときは遅すぎて、CVSを行うことができない。陽性の結果から、ダウン症候群などの遺伝病が60%〜70%の割合で検出される。CVSの1%が、直接的CVSまたは培養CVSから得られる結果が胎児の結果とは異なる限定された胎盤モザイク現象を示していることが理解される。培養CVSは、胎盤のより近いところに位置する直接的CVSよりも、胎児系統に近い関係の細胞から成長させられる。流産の危険性が羊水穿刺の場合よりも高い。その上、CVS時に手足を切断する危険性が比較的高い。
未培養羊膜細胞の分裂中期蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)。羊水のスライド標本を、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を使用して分析することができる。この検査は、培養されていない中期細胞に対して行われ、多数の染色体異常を検出することができる。結果が24時間以内に得られる。第21染色体の重要な領域に由来するプローブが、ダウン症候群を診断するために使用される。別のプローブが、倍数性を調べるために使用される。プローブの位置により、2つのシグナルが重なり得るので、いくつかの転座の場合には、偽陰性の結果がもたらされることがある。
定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)診断。この手法は、ダウン症候群における不分離の研究において有用であることが立証されている。典型的には、第21染色体内における(GT)n反復およびAlu配列の多型が使用される[Petersen(1991)、Am J Hum Genet、48:65〜71;Celi(1994);Messari(1996)、Hum Genet、97:150〜155]。従って、例えば、子宮頸管内の管洗浄によって妊娠の7週間〜9週間の間で得られる経子宮頸細胞(TCC)サンプルに由来する胎児DNAを使用することができる。栄養芽層の回収がY染色体特異的なDNA配列のPCR増幅および父系特異的なマイクロサテライト対立遺伝子の検出のために十分である。この方法は胎児の性別を正確に予測することができる。21トリソミーの胎児が、スーパーオキシドディスムターゼ−1(SOD1)の蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)および定量的PCR分析を使用してTCCにおいて診断された。その後、定量的蛍光ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が、X染色体およびY染色体に由来するDNA配列の検出と一緒に21トリソミーおよび18トリソミーの同時診断のために実証された。羊水、胎児の血液または組織から抽出されたDNAサンプルが、第21染色体および第18染色体のそれぞれにおける2つの遺伝子座について特異的な多型の小さいタンデム反復(STR)を検出するのに、定量的蛍光PCRによって増幅された。増幅生成物の定量的分析は21トリソミーおよび18トリソミーの診断を可能にし、一方で、性別判定が、X染色体およびY染色体に由来するDNA配列のPCR増幅を使用して同時に行われた。2組のSTRマーカーを第21染色体トリソミーの検出のために使用することにより、選択された染色体異常の迅速な出生前診断のための定量的蛍光多重PCRの有用性が確認された[Pertl、Obstet Gynecol.(2001)Sep、98(3):483〜90]。
別の研究では、DNAが、残りの羊水から抽出され、第21染色体に存在する3つの小さいタンデム反復マーカーを用いて、蛍光に基づくPCR反応で増幅された。反応生成物が、2コピーまたは3コピーの第21染色体の存在を特定するために、DNAシーケンサーで分析された。この方法を使用して、合計で99.6%の有益な結果が3つのマーカーにより達成された(Verma、1998)。蛍光性のPCR生成物による染色体定量分析が非多型の標的遺伝子に対してもまた行われた。DSCR1(ダウン症候群重要領域1)、DCC(直腸結腸ガンでは欠失する)およびRB1(網膜芽細胞腫1)の一部分の、Rahil他(2002)により設定された同時増幅は、第21染色体、第18染色体および第13染色体について異倍数性の分子的検出をそれぞれ可能にした。定量的分析が、400の羊水の盲検的予測研究において行われた。連続したその後の核型分析がすべてのサンプルに対して行われ、分子的結果は、偽陽性または偽陰性の結果を伴うことなく、細胞遺伝学データと一致していた。従って、胎児DNAに対するPCRを使用する染色体定量による異倍数性の診断は有効かつ信頼できる方法である。しかしながら、母体DNAが染色体定量を妨げることがあるので、これらの方法は、胎児DNAの純度に対して非常に敏感である。
単一細胞における異倍数性の検出。この方法は着床前遺伝子診断で使用される。DNAが、溶解された単一細胞から得られ、縮重オリゴヌクレオチドプライマーによるPCR(DOP−PCR)を使用して増幅される。生成物が、ニックトランスレーションを使用して標識され、正常な参照ゲノムDNAと一緒にハイブリダイゼーションに供される。比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)の蛍光比プロフィルが、0.75および1.25のカットオフ閾値を用いて異倍数性を明らかにするために使用される。第13染色体、第18染色体または第21染色体についてトリソミーであることが知られている単一細胞が、この技術を使用して分析された[Voullaire他(1999);Tabet(2001);Rigola他(2001)]。
フィンガープリントシステムは、着床前遺伝子診断を行う別の方法である。大きいヘテロ接合性、既知の対立遺伝子サイズ範囲、および、最小限のPCRスタッター人工物を有するテトラヌクレオチドのマイクロサテライトマーカーが、X染色体、第13染色体、第18染色体および第21染色体について選択され、多重蛍光(FL)PCR形式において最適化される[Katz他(2002)、Hum Reprod.、17(3):752〜9]。しかしながら、胎児細胞の純粋な一部分を母親の血清から単離するために、未だ利用することができない技術的手法が要求されるので、これらの方法は体外受精について限定される。
母体循環における胎児細胞。この技術の大きな利点は、この技術が非浸襲的であり、従って、手法自体が妊娠に対する危険性を全く有しないということである。胎児DNAが5週間で検出されているので、潜在的には、CVSよりも早期に行うことができる。
ほんのわずかな胎児細胞(栄養芽層、リンパ球および有核赤血球)が母体循環に見出されるだけであり、従って、これらの細胞について選択し、かつ濃縮する必要がある。濃縮技術には、フロー/磁気分取および二重密度遠心分離が含まれる。1000万個の母体細胞についておよそ1個〜2個の胎児細胞が存在し、その胎児細胞の50%は核型決定のためには適していない。特に、リンパ球はこの技術における使用には適していない。これは、そのような細胞は数年の持続期間にわたって母体循環に留まっており、従って、結果が以前の妊娠によって影響され得るからである。この方法は、従来の核型決定と比較して、1つの染色体を調べるだけである。
a)FISHを、3つのシグナルを伴う細胞の割合を得るために可能な限り多くの細胞においてシグナル/細胞の数を観察するために使用することができる。プローブのハイブリダイゼーション効率は、認められるシグナルの数に劇的な影響を与え(それにより、結果を歪曲し)得る。
b)プライマーによるin situ標識化(PRINS)は、相補的なゲノム部位に対する、特異的な未標識DNAプライマーのin situアニーリング、および、標識されたヌクレオチドを取り込むPCRによるその後の伸長に基づいている。
ダウン症候群を診断する他の方法には、10週間で採取され、培養および核型決定を必要とする体腔液、ならびに子宮腔洗浄/経子宮頸細胞サンプリングが含まれる。後者は羊水穿刺またはCVSよりも浸襲的ではない。後者は7週間〜9週間で行われ、胎盤から離れた細胞を集めることを伴い、従って、直接的CVSと類似する。しかしながら、この方法は母親を汚染および感染にさらす。
このように、一般には染色体異常(すなわち、トリソミー)の出生前診断、具体的にはダウン症候群の出生前診断は複雑であり、未解決の技術的技能を要求し、完全に効果的ではなく、また、流産を生じさせることがある。ダウン症候群のための出生前検査は確定的でないという事実のために、健康な胎児の妊娠を中断させる危険性が高い。
従って、上記の制限を有しない、染色体異常をもたらす遺伝子座増幅を検出する方法が必要であることが広く認められており、また、そのような方法を有することは非常に好都合である。
本発明の1つの態様によれば、遺伝子座コピー数の変化を特定する方法が提供され、この場合、この方法は、遺伝子座内における少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を明らかにすることを含み、この方法では、この少なくとも1つの遺伝子の所定のメチル化状態とは異なるメチル化状態により、遺伝子座コピー数の変化が示される。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、遺伝子座コピー数の変化は、異倍数性および多倍数性からなる群から選択される染色体異常に由来する。
本発明の別の態様によれば、対象における遺伝子座コピー数の変化を特定する方法が提供され、この場合、この方法は、(a)対象の染色体DNAを得ること、および(b)染色体DNAのこの遺伝子座における少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を明らかにすることを含み、この方法では、この少なくとも1つの遺伝子の所定のメチル化状態とは異なるメチル化状態により、遺伝子座のコピー数の変化が示され、それにより、対象における遺伝子座コピー数の変化が特定される。
本発明のさらに別の態様によれば、遺伝子座コピー数の変化を出生前に特定する方法が提供され、この場合、この方法は、(a)この遺伝子座を含む胎児または胚の染色体DNAを得ること、および(b)この遺伝子座を含む胎児または胚の染色体DNAにおける少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を明らかにすることを含み、この方法では、この少なくとも1つの遺伝子の所定のメチル化状態とは異なるメチル化状態により、遺伝子座コピー数の変化が示され、それにより、遺伝子座コピー数の変化が出生前に特定される。
記載された実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、胎児または胚の染色体DNAを得ることは、(i)羊水穿刺;(ii)胎児生検;(iii)絨毛生検;および/または母体生検によって行われる。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を明らかにすることは、(i)制限酵素消化によるメチル化検出;(ii)重硫酸塩に基づくメチル化検出;(iii)質量分析法による分析;(iv)配列分析;および/または(v)マイクロアレイ分析によって行われる。
本発明のさらに別の態様によれば、ダウン症候群を出生前に診断する方法が提供され、この場合、この方法は、(a)胎児または胚の第21染色体を得ること;および(b)胎児または胚の第21染色体における少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を明らかにすることを含み、この方法では、ダウン症候群において増幅されていない少なくとも1つの遺伝子が選択され、一方、所定のメチル化状態とは異なるメチル化状態により、胎児または胚の第21染色体の増幅が示され、それにより、ダウン症候群が出生前に診断される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、少なくとも1つの遺伝子は、APPおよびシスタチオニン−β−シンターゼからなる群から選択される。
本発明のさらなる態様によれば、「生存と両立し得る」遺伝子を特定する方法が提供され、この場合、この方法は、(a)増幅された染色体配列領域における多数の遺伝子のメチル化状態を明らかにすること;および(b)この多数の遺伝子のうち、所定のメチル化状態とは異なるメチル化状態を示す遺伝子を特定し、それにより、「生存と両立し得る」遺伝子を特定することを含む。
本発明のさらにさらなる態様によれば、「生存と両立し得る」遺伝子を特定する方法が提供され、この場合、この方法は、(a)増幅された染色体配列領域における多数の遺伝子の発現レベルを明らかにすること;および(b)この多数の遺伝子のうち所定の閾値よりも低い発現レベルを示す遺伝子を特定し、それにより、「生存と両立し得る」遺伝子を特定することを含む。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、多数の遺伝子の発現レベルを明らかにすることがmRNAレベルで行われる。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、多数の遺伝子の発現レベルを明らかにすることがタンパク質レベルで行われる。
本発明のなおさらなる態様によれば、包装材と、包装材に含有されている、遺伝子座コピー数の変化を検出するのに特定された試薬とを含む製造物が提供され、この場合、試薬は、遺伝子座における少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を明らかにすることができ、一方、この少なくとも1つの遺伝子の所定のメチル化状態とは異なるメチル化状態により、遺伝子座コピー数の変化が示される。
本発明のさらなる態様によれば、遺伝子座コピー数の変化を特定するためのキットが提供され、この場合、キットは、APPおよびシスタチオニン−β−シンターゼからなる群から選択される、この遺伝子座における少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を明らかにするための試薬を含み、このキットでは、この少なくとも1つの遺伝子の所定のメチル化状態とは異なるメチル化状態により、遺伝子座コピー数の変化が示される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、遺伝子座コピー数の変化は、異倍数性および多倍数性からなる群から選択される染色体異常に由来する。
本発明は、遺伝子座増幅を特定するための方法およびキットを提供することによって、現在知られている形態の欠点を対処することに成功している。
本明細書で使用される技術用語と科学用語はすべて、特に断らない限り、本発明の属する技術分野の当業者が共通して理解しているのと同じ意味を持っている。本明細書に記載されているのと類似の又は均等の方法と材料は本発明を実施又は試験するのに使用できるが、適切な方法と材料は以下に述べる。争いが生じた場合、定義を含めて本特許明細書が基準である。さらに、本明細書の材料、方法及び実施例は例示することだけを目的とし本発明を限定するものではない。
図面の説明
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
図1aは、ヒトAPP領域のプロモーター領域から第1エキソンに及ぶAPPプロモーターの増幅された生成物のヌクレオチド配列である。+1は転写開始部位を示す。プライマー1のために使用された配列(配列番号1)およびプライマー2のために使用された配列(配列番号2)には二重下線が付される。長さが9bpのGCリッチなエレメントの6コピーには下線が付される。Cの上のドットは、増幅されたプロモーター領域(−251〜+22)におけるCpGダブレットでのシトシンを示す。図1bは、図1aに示されるDNA配列のメチル化状態を検出するのに使用されたプライマーのヌクレオチド配列である。プライマー1(a〜b)はスルホン化後またはスルホン化前のプライマー1の配列(配列番号1、APP−F)をそれぞれ表す。プライマー2(c〜e)はスルホン化後(c)のプライマー2の配列(配列番号2、APP−R)をそのアンチセンス配向(d)で表すか、または、スルホン化前(e)のその配列を表す。
図2はアンドロゲン受容体エキソン1の生来的な配列のヌクレオチド配列(図2a)および重亜硫酸塩修飾された配列のヌクレオチド配列(図2b)である。図2a−#はフォワードプライマーの位置を示し、##はリバースプライマーの位置を示し、はHpaII部位を示し、**はHhaI部位を示す。図2b−緑色の強調はCpGアイランドを示し、ピンク色の下線はCpG部位を示し、(#)はAR−F−1(配列番号60)の位置を示し、()はAR−F−34プライマー(配列番号61)の位置を示し、(**)はAR−R−282プライマー(配列番号62)の位置を示す。
図3は男性、女性およびクラインフェルター症候群罹患の被験体におけるアンドロゲン受容体のメチル化状態の、制限酵素に基づく分析の生成物を可視化するアガロースゲルの写真である。レーン1−DNAマーカー;レーン2−陰性コントロール;レーン3−XX非切断;レーン4−XY非切断;レーン5−XY非切断;レーン6−Xトリソミー非切断;レーン7−XX切断;レーン8−XY切断;レーン9−XY切断;レーン10−Xトリソミー切断。
図4は生来的なDSCAMプロモーターのヌクレオチド配列(図4a)および重亜硫酸塩修飾されたDSCAMプロモーターのヌクレオチド配列(図4b)である。(#)はフォワードプライマーの位置を示し、($)はリバースプライマーの位置を示す。緑色の強調はCpGアイランドを示す。
図5は生来的なIFNAR1プロモーターのヌクレオチド配列(図5a)および重亜硫酸塩修飾されたIFNAR1プロモーターのヌクレオチド配列(図5b)である。緑色の強調はCpGアイランドを示す。()はIFNR−f4−bis(配列番号247)の位置を示し、(**)はIFNR−nes−f−bis(配列番号249)の位置を示し、(***)はIFNR−r4−bis(配列番号248)の位置を示す。
本発明は、染色体異常を生じさせる遺伝子座コピー数異常を特定するのに使用されることができる方法およびキットの発明である。特に、本発明はトリソミーなどの遺伝子座増幅を出生前に検出するのに使用されることができる。
本発明の原理および操作は、図面および添付された説明を参照してより良く理解することができる。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示される細部または実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施することができ、または様々な方法で実施される。また、本明細書中で用いられる表現および用語は説明のためであり、従って限定として見なされるべきではないことを理解しなければならない。
遺伝病は、異倍数性、正倍数性および多倍数性などの染色体数の変化によって最も頻繁に引き起こされる病理学的状態である。染色体数またはその一部におけるそのような変化は、通常、胚または胎児にとって致死性である。21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトー症候群)および性染色体が唯一の生きて生まれる常染色体トリソミーである。21トリソミーとは対照的に、13トリソミーおよび18トリソミーの障害は、より重篤な臨床的症状発現を有する傾向があり、また、罹患した新生児がその最初の5年間を生き延びることはほんの希である。多数の異常がトリソミー障害の胎児には存在しているが、特定のトリソミーについて典型的な異常は1つだけではない。むしろ、特異的な診断を示唆する特徴的な一群の臨床的知見が存在する。その上、これらの患者の一部はトリソミー細胞株についてモザイク状であり得るので、様々な表現型が可能である。
今日まで、どのトリソミー障害についても特異的な処置、治療または治療薬はない。これらの理由から、一般には染色体異常の早期出生前診断、具体的にはトリソミーの早期出生前診断が非常に求められている。
トリソミーの出生前診断を行うための現在利用可能な方法には、超音波検査、および、羊膜細胞または絨毛膜細胞の細胞遺伝学的分析が含まれる。超音波検査は高い偽陽性率によって制限される一方で、浸襲性検査は完全に有効ではなく、高い技術的技能を要求し、また、流産をもたらす場合がある。あるいは、母体血清中の循環している胎児DNAの診断的使用は、現在、母親ではなく、胎児に見出される遺伝子または変異に限定される。
下記の実施例の節においてさらに記載されるように、染色体異常についての新しい診断様式を探し求めているとき、本発明者らは、常染色体のトリソミーまたはモノソミーが、その過剰発現が生存と両立しない遺伝子のサイレンシングのために出生後の生存を可能にしていることを発見した。
DNAメチル化は、遺伝子発現が原核生物および真核生物の両方でサイレンシングされる可逆的機能である。このレベルの遺伝子発現制御が、特にプロモーター配列領域においてメチル基をシトシンのピリミジン環の5番目の炭素位置に付加することができるメチルトランスフェラーゼの能力によって達成される[Adams(1995)、Bioessays、17(2):139〜45]。真核生物細胞におけるメチル化された配列は、通常、不活性である[GoldおよびPedersen(1994)]。
異常なDNAメチル化がガンにおける広範囲に及ぶ現象であり、また、ガン発生時に生じる最も初期の変化の1つであり得ることが明確に明らかにされている[Stirzaker(1997)、Cancer Res.、57(11):2229〜37]。DNAメチル化はまた、遺伝子刷り込み、胚発達、X染色体サイレンシングおよび細胞周期調節において中心的な役割を果たすことが示されている[Costello(2001)、J.Med.Genet.、38(5):285〜303]。遺伝子メチル化の正常なパターンを明らかにすることができないことが、レット症候群(精神遅延の主要な形態)、プラーダー・ヴィリ症候群、アンゲルマン症候群、ICF症候群およびベックウィズ・ヴィーデマン症候群をはじめとする数多くの遺伝病についての原因である。
DNAメチル化が遺伝子サイレンシングにおいて果たす中心的な役割を考慮すると、同じ機構が、その過剰発現が致死的である(すなわち、生存と両立しない)遺伝子のサイレンシングを生じさせるために用いられることが非常に考えられる。このことは、遺伝子座増幅を検出するのに、遺伝子メチル化状態の決定が使用され得ることを示唆している。
実際、ダウン症候群の臨床的表現型(すなわち、精神遅延、先天性の心臓疾患およびその他)に関係している第21染色体上の様々な遺伝子がDS患者ではトリソミーレベルで発現しているが、ダウン症候群患者における第21染色体からの遺伝子の全体的な遺伝子発現には、マイクロアレイ分析によって明らかにされるように、著しい違いがない[Gross SJ、Ferreira JC、Morrow B、Dar P、Funke B、Khabele D、Merkatz I、21トリソミーの胎盤の遺伝子発現プロフィル:出生前診断の非浸襲的技術を設計するための潜在的方法、Am J Obstet Gynecol.、2002(8月)、187(2):457〜62]。
これらの知見は、DNAメチル化が、第21染色体の余分なコピー体における生命に関わる遺伝子のサイレンシングをもたらすように作用することを示唆している。この仮定は、ダウン症候群患者における第21染色体のh2−カルポニン遺伝子が第21染色体の3つのコピー体のうちの1つにおけるメチル化のために過剰発現していないことを示したKuramitsuおよび共同研究者らによってさらに立証されている[Kuromitsu(1997)、Mol.Cell Biol.、2:707〜12]。
遺伝子座コピー数の変化と、メチル化状態との間でのこの新しく特定された連関は、実行することが簡便であり、費用効果的であり、かつ、個体に対する最小限の危険性をもたらすか、または、個体に対する危険性を全くもたらさない分子生物学的技術を使用して染色体異常を効果的に検出することを初めて可能にしている。
従って、本発明の1つの態様によれば、遺伝子座コピー数の変化を特定する方法が提供される。
本明細書中で使用される用語「遺伝子座」は、染色体上の遺伝子の場所または存在位置を示す。本発明のこの態様によるこの方法では、第1染色体〜第22染色体、X染色体およびY染色体に存在する遺伝子座の増大(以降、遺伝子座増幅)または喪失を検出することができる。
本明細書中で使用される表現「遺伝子座増幅」は遺伝子座コピー数の増加を示す。本発明のこの態様による遺伝子座増幅および遺伝子座欠損は、染色体構造における変化(例えば、重複化、反転、転座、欠失、挿入)から、かつ/あるいは、染色体数またはその一部(これはまた染色体マーカーとも呼ばれる)における増加または減少(>2n)から生じ得る。染色体数の変化は、完全な1組の染色体ではなく、1つ以上の染色体の増大または喪失を伴う異倍数性である場合がある(例えば、トリソミーおよびテトラソミー)。あるいは、遺伝子座増幅は、完全な3組以上の染色体が存在する多数倍性から生じる場合がある。
身体の特定の細胞タイプにのみ存在する染色体数の変化(すなわち、モザイク現象)もまた本発明のこの態様に従って検出され得ることが理解される[Modi D、Berde P、Bhartiya D、ダウン症候群:染色体モザイク現象の研究、Reprod Biomed Online、2003(Jun)、6(4):499〜503]。
本発明のこの態様によるこの方法は、遺伝子座における少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態(すなわち、メチル化のパターンおよび/またはレベル)を明らかにすることによって行われる。そのような少なくとも1つの遺伝子の所定のメチル化状態とは異なるメチル化状態により、遺伝子座コピー数の変化が示される。
本明細書中で使用される「メチル化の所定の状態」は、好ましくは同じ発達状態の、増幅されていない遺伝子座から得られる同一遺伝子のメチル化状態を示す。
従って、上記遺伝子座における少なくとも1つの遺伝子の少なくとも1つの対立遺伝子のメチル化状態の変化により、本発明のこの態様に従って、遺伝子座コピー数の変化が示される。
典型的には、ヒトDNAのメチル化は、隣接するグアニンおよびシトシンを含み、シトシンがグアニンの5’側に存在するジヌクレオチド配列(これはまたCpGジヌクレオチド配列とも呼ばれる)において生じる。CpGジヌクレオチド内のほとんどのシトシンがヒトゲノムではメチル化されており、しかしながら、一部は、CpGジヌクレオチドが多い特定のゲノム領域(これはCpGアイランドとして知られている)ではメチル化されないままである[Antequera,F.他、Cell、62:503〜514(1994)を参照のこと]。「CpGアイランド」は、CpGジヌクレオチドがDNA配列の少なくとも50%を構成するCpGジヌクレオチドリッチ領域である。
従って、本発明のこの態様によるメチル化状態は、典型的には、好ましくはプロモーター領域におけるCpGアイランドにおいて明らかにされる。だが、ヒトゲノムにおける他の配列もDNAメチル化を受けやすいことが理解される(例えば、CpAおよびCpTなど)[Ramsahoye(2000)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、97:5237〜5242;SalmonおよびKaye(1970)、Biochim.Biophys.Acta.、204:340〜351;Grafstrom(1985)、Nucleic Acids Res.、13:2827〜2842;Nyce(1986)、Nucleic Acids Res.、14:4353〜4367;Woodcock(1987)、Biochem.Biophys.Res.Commun.、145:888〜894を参照のこと]。
本明細書中上記で述べられたように、遺伝子座内における少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態が明らかにされる。実施例の節の実施例1〜実施例4には、X染色体、第9染色体および第21染色体の増幅を明らかにするために使用することができる数多くの遺伝子が列挙される。
好ましくは、そのような少なくとも1つの遺伝子はその発現パターンに従って選択される。従って、その遺伝子座が増幅されるが、発現における変化を示さない、すなわち、2つだけの遺伝子コピー体と矛盾しない発現パターンを示す遺伝子のメチル化が明らかにされる。そのような遺伝子の例が下記の表1に列挙される。
遺伝子発現を明らかにする様々な方法がこの分野では広く知られている。例には、オリゴヌクレオチドを使用するハイブリダイゼーションに基づく技術をはじめとするRNAに基づく方法(例えば、ノーザンブロッティング、PCR、RT−PCR、RNase保護、in situハイブリダイゼーション、プライマー伸長、マイクロアレイ分析およびドットブロット分析)、または、特異的な抗体を使用して行うことができるタンパク質に基づく方法(例えば、クロマトグラフィー、電気泳動、免疫検出アッセイ(例えば、ELISAおよびウエスタンブロット分析など)、免疫組織化学およびその他など)が含まれるが、これらに限定されない。さらなる技術的詳細については、http://www.protocol−online.org/において入手可能な実験室参考図書、および、下記の実施例の節において引用される他の参考文献を参照のこと。
遺伝子メチル化を明らかにするための数多くの方法がこの分野では広く知られており、そのような方法には、制限酵素消化に基づくメチル化検出、および、重硫酸塩に基づくメチル化検出が含まれる。いくつかのそのような方法が、下記において、また、下記の実施例の節の実施例1においてまとめられている(メチル化を検出するのに有用な技術に関するさらなる詳細が、Ahrendt(1999)、J.Natl.Cancer Inst.、91:332〜9;Belinsky(1998)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95:11891〜96;Clark(1994)、Nucleic Acids Res.、22:2990〜7;Herman(1996)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:9821〜26;XiongおよびLaird(1997)、Nuc.Acids Res.、25:2532〜2534に開示される)。
制限酵素消化メチル化検出アッセイ
このアッセイは、一部の酵素はメチル化DNAを切断することができないことに基づいている。CCGGの認識モチーフを含むHpaII−MspIの酵素対、および、CCCGGGのより低い頻度の認識モチーフを有するSmaI−XmaIの酵素対が典型的には使用される。従って、例えば、HpaIIは、内部のシトシンがメチル化されているときにはDNAを切断することができず、このことがHpaII−MspIを迅速なメチル化分析のための有益なツールにしている。この方法は、通常、サザンブロット分析と一緒に行われる。解釈することが困難な結果を与えない対策が、遺伝子配列を分析するために取られる。従って、CGメチル化非感受性酵素(例えば、BamHI)に対する制限部位が隣接する目的とする領域が最初に選択される。そのような配列は、HpaIIに対する部位が5個〜6個よりも多く含まれないように選択される。サザンブロットまたはPCRのために使用されるプローブはこの領域内に存在しなければならず、また、この領域を完全または部分的に覆わなければならない。この方法は、Bullerおよび共同研究者ら(1999)(卵巣ガン患者の生殖系列DNAにおける非ランダムなX染色体不活性化とBRCA1変異との関連、J.Natl.Cancer Inst.、91(4):339〜46)によって用いられ、成功している。
メチル化感受性酵素(例えば、HpaII)による消化は多くの場合には部分的であるので、メチル化されたCpG部位のみを切断するMcrBCまたは他の酵素を用いた補完的分析が、様々なメチル化パターンを検出するのに好ましい[Yamada他、Genome Research、14:247〜266、2004]。
重硫酸塩に基づくメチル化検出
ゲノム配列決定。ゲノム配列決定技術[Clark他(1994)、上掲]は、100個未満の細胞から単離されたDNAを使用して、任意の標的配列の両方の鎖におけるすべてのメチル化シトシンを検出することができる。この方法では、重亜硫酸ナトリウムが、5−メチルシトシンが未反応のままである条件のもとで、一本鎖DNAにおいてシトシン残基をウラシル残基に変換するために使用される。変換されたDNAが特異的なプライマーにより増幅され、配列決定される。配列に残留するシトシン残基のすべてが、ゲノムにおける以前にメチル化されたシトシンを表す。この方法では、生殖細胞および初期の発生段階から容易に得ることができる少量のゲノムDNAに由来する1つだけの遺伝子のメチル化マッピングを可能にするために、変性、重亜硫酸塩変換および増幅の効率を最大にする規定された手順が利用される。
メチル化特異的PCR(MSP)。これは、メチル化の高感度検出のための最も広く使用されているアッセイである。簡単に記載すると、増幅の前に、DNAが、すべての非メチル化シトシンをウラシル変換するために重亜硫酸ナトリウムで処理される。重亜硫酸塩との反応により、メチル化情報が配列の違いに効果的に変換される。DNAが、DNAの1つの特定のメチル化状態(例えば、DNAがすべてのCpGでメチル化されている状態など)と一致するプライマーを使用して増幅される。このメチル化状態がDNAサンプルに存在するならば、生じたPCR生成物をゲル上で可視化することができる。
だが、方法特異的なプライマー伸長は、プライマー結合部位内のすべてのCpGが同時にメチル化されることを要求することが理解される。従って、同時メチル化が存在するとき、増幅生成物がゲル上で認められる。CpGの1つ以上がメチル化されていないときには、生成物が認められない。従って、この方法は、メチル化の部分的なレベルと、メチル化の完全な非存在とを区別することができない[米国特許第5786146号;Herman他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:9821〜9826(1996)を参照のこと]。第21染色体の増幅を示すメチル化を検出するための例示的なプライマーが下記の実施例の節の実施例2に示される。
リアルタイム蛍光MSP(MethyLight)。蛍光プローブをMSPと一緒に用いるリアルタイムPCRの使用は、処理能が大きい均一反応を可能にする。プローブがCpGを含まないならば、反応は本質的にはMSPの定量的な形態である。しかしながら、蛍光プローブは、典型的には、1つ以上のCpGを含有する部位にアニーリングするように設計され、また、この第3のオリゴヌクレオチドにより、完全にメチル化された標的鎖についてのアッセイの特異性が増大する。増幅の検出がリアルタイムで行われるので、二次的な電気泳動工程は必要でない。サンプルのPCR後の操作がないので、汚染の危険性が低下している。MethyLightプローブは、Taqmanプローブ対またはLightCyclerハイブリダイゼーションプローブ対(これらに限定されない)をはじめとする任意の形式が可能であり、また、多数のレポーター色素が使用されるならば、数個のプローブを同時に行うことができる[Eads(1999)、Cancer Res.、59:2302〜2306;Eads(2000)、Nucleic Acids Res.、28:E32;Lo(1999)、Cancer Res.、59:3899〜390]。MethyLightによる定量的分析の利点が、前立腺ガンにおけるグルタチオン−S−トランスフェラーゼ−P1(GSTP1)のメチル化を用いて明らかにされた[Jeronimo(2001)、J.Natl.Cancer Inst.、93:1747〜1752]。この方法を使用したとき、良性の前立腺肥大サンプル、前立腺の上皮内新生物領域、および局在化した前立腺腺ガンにおいてメチル化を示すことが可能であった。
重亜硫酸塩修飾されたDNAの制限分析。COBRA(Xiong他、1997、上掲)とも呼ばれるこの定量的技術は、少量のゲノムDNAにおいて特定の遺伝子の遺伝子座におけるDNAメチル化レベルを明らかにするために使用することができる。制限酵素消化が、重亜硫酸ナトリウムで処理されたDNAのPCR生成物におけるメチル化に依存した配列の違いを解明するために使用される。元のDNAサンプルのメチル化レベルが、広範囲のDNAメチル化レベルの全域で直線的に定量的な様式で、消化されたPCR生成物および消化されていないPCR生成物の相対的な量によって表される。この技術は、顕微解剖されたパラフィン包埋組織サンプルから得られるDNAに対して信頼性よく適用することができる。従って、COBRAは、使用が容易なこと、定量的正確性、およびパラフィン切片との適合性の強力な特徴を併せ持つ。
示差的メチル化ハイブリダイゼーション(DMH)。DMHは、メチル化されたCpGジヌクレオチドのゲノムフラグメントの存在または非存在を検出するのに、高密度のマイクロアレイに基づくスクリーニング法を統合したものである[Schena他、Science、270:467〜470(1995)を参照のこと]。アレイに基づく技術が、1つだけの領域における数多く(例えば、>3)のメチル化部位が分析されるときに使用される。最初に、ゲノムライブラリー由来のCpGジヌクレオチド核酸フラグメントを作製し、増幅し、固体支持体に固定して、CpGジヌクレオチドが多いスクリーニング用アレイを作製する。アンプリコンが、DNAをフラグメントに消化するが、メチル化されたCpGアイランドを無傷のままに残す制限エンドヌクレアーゼを用いてサンプル由来のDNAを消化することによって作製される。このようなアンプリコンが、スクリーニング用アレイに固定されたCpGジヌクレオチドリッチフラグメントをプローブして、DNAサンプルのCpGジヌクレオチドリッチ領域におけるメチル化パターンを特定するために使用される。一度に1つの遺伝子を分析することに限定される他のメチル化分析方法(例えば、サザンハイブリダイゼーション、重亜硫酸塩DNA配列決定、およびメチル化特異的PCRなど)とは異なり、DMHでは、ゲノムにおける多数のメチル化関連遺伝子の同時分析を可能にするために特に設計された、CpGジヌクレオチドが多い数多くのゲノムフラグメントが利用される(さらなる詳細については米国特許第6605432号を参照のこと)。
DNAメチル化を分析するためのさらなる詳細およびさらなる手法(例えば、質量分析法による分析)が下記において得られる:Tost J、Schatz P、Schuster M、Berlin K、Gut IG、MALDI質量分析法によるCpGメチル化の分析および正確な定量、Nucleic Acids Res.、2003(5月1日)、31(9):e50;Novik KL、Nimmrich I、Genc B、Maier S、Piepenbrock C、Olek A、Beck S、エピゲノミクス:メチル化現象の全ゲノム研究、Curr Issues Mol Biol.、2002(10月)、4(4):111〜28。総説:Beck S、Olek A、Walter J、ゲノミクスからエピゲノミクスへ:生命のより高尚な見解、Nat.Biotechnol.、1999(12月)、17(12):1144;Fan(2002)、Oncology Reports、9:181〜183;http://www.methods−online.net/methods/DNAmethylation.html;Shi(2003)、J.Cell Biochem.、88(1):138〜43;Adoryian(2002)、Nucleic Acids Res.、30(5):e21。
数多くの市販のキットが、遺伝子のメチル化状態を検出するのに使用され得ることが理解される。例には、EZ DNAメチル化キットTM(これはZymo Research(625 W Katella Ave、Orange、CA 92867、米国)から入手することができる)が含まれるが、これに限定されない。
典型的には、本明細書中上記に記載された、重硫酸塩に基づくメチル化検出方法のためのオリゴヌクレオチドが、選択された技術に従って設計される。
本明細書中で使用される用語「オリゴヌクレオチド」は、リボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)またはそれらの模倣体の一本鎖または二本鎖のオリゴマーまたはポリマーを示す。この用語は、天然に存在する塩基、糖、および共有結合のヌクレオチド間連結(例えば、骨格)から構成されるオリゴヌクレオチド、ならびに、それぞれの天然に存在する部分と類似した機能を有する天然に存在しない部分を有するオリゴヌクレオチド(例えば、米国特許第4469863号、同第4476301号、同第5023243号、同第5177196号、同第5188897号、同第5264423号、同第5276019号、同第5278302号、同第5286717号、同第5321131号、同第5399676号、同第5405939号、同第5453496号、同第5455233号、同第5466677号、同第5476925号、同第5519126号、同第5536821号、同第5541306号、同第5550111号、同第5563253号、同第5571799号、同第5587361号および同第5625050号に開示されるオリゴヌクレオチド)を包含する。
従って、例えば、メチル化特異的PCRの特異性に影響を及ぼす最も重要なパラメーターがプライマー設計によって決定される。重亜硫酸塩によるDNAの修飾は鎖の相補性を破壊するので、どちらの鎖もその後のPCR増幅のためのテンプレートとして役立たせることができ、その後、それぞれの鎖のメチル化パターンを明らかにすることができる。だが、一本鎖(例えば、センス鎖)を増幅することが実際には好ましいことが理解される。様々なプライマーが、修飾されていないDNAがプライマーのためのテンプレートとして役立たないことを確実にするために元の鎖に十分なシトシンを取り込む長さが80bp〜250bpである領域を増幅するために設計される。加えて、CpGジヌクレオチド内におけるシトシンの数および位置により、メチル化テンプレートおよび非メチル化テンプレートについてのプライマーの特異性が決定される。典型的には、1個〜3個のCpG部位が各プライマーに含まれ、各プライマーの3’領域に集中する。これにより、最適な特異性がもたらされ、かつ、誤ったプライマー伸長に起因する偽陽性が最小限に抑えられる。同じサーモサイクラーにおける所与遺伝子のプライマーのそれぞれの同時分析を容易にするために、プライマーの長さは、ほぼ等しい融解温度/アニーリング温度を与えるように調節される。
その上、MSPでは、特異的なプライマー認識が、メチル化された対立遺伝子と、メチル化されていない対立遺伝子とを区別するために利用されるので、厳しいアニーリング条件が増幅期間中において維持される。本質的には、アニーリング温度が、アニーリングおよびその後の増幅を可能にするために最大限に選択される。好ましくは、計算された融解温度よりも5度〜8度低いアニーリング温度を有するプライマーが設計される。さらなる詳細については、HermanおよびBaylin(1998)、メチル化特異的PCR(Current Protocols in Human Genetics)を参照のこと。
本発明の教示に従って設計されるオリゴヌクレオチドを、この分野で知られている任意のオリゴヌクレオチド合成法(例えば、酵素的合成または固相合成など)に従って作製することができる。固相合成を実行するための装置および試薬が、例えば、Applied Biopsystemsから市販されている。そのような合成のための任意の他の手段もまた用いることができる:オリゴヌクレオチドの実際の合成は十分に当業者の能力の範囲内であり、固相化学を利用して、例えば、シアノエチルホスホルアミダイト、その後の脱保護、脱塩、および、例えば、自動化されたトリチル−オン法またはHPLCによる精製を利用して、例えば、「Molecular Cloning:A laboratory Manual」(Sambrook他、1989);「Current Protocols in Molecular Biology」、第I巻〜第III巻、Ausubel,R.M.編(1994);Ausubel他、「Current Protocols in Molecular Biology」(John Wiley and Sons、Baltimore、Maryland、1989);Perbal、「A Practical Guide to Molecular Cloning」(John Wily&Sons、New York、1988)、および、「Oligonucleotide Synthesis」(Gait,M.J.編、1984)に詳しく記載されるような確立された方法論によって達成することができる。
本明細書中上記の方法論は、(上記の)遺伝子座コピー数の変化に関連する様々な病理を検出するのに使用することができる。
そのような病理の例には、様々なトリソミー、これには、1トリソミー、2トリソミー、3トリソミー、4トリソミー、5トリソミー、6トリソミー、7トリソミー、8トリソミー、9トリソミー、10トリソミー、11トリソミー、12トリソミー、13トリソミー(パトー症候群)、14トリソミー、15トリソミー、16トリソミー、17トリソミー、18トリソミー(エドワーズ症候群)、19トリソミー、20トリソミー、21トリソミー(ダウン症候群)、22トリソミー、超女性症候群(クラインフェルター症候群)、三重Y症候群、部分的な6qトリソミー、9pトリソミー、11qトリソミー、モザイク状14トリソミー、モザイク状22トリソミーが含まれる;モノソミー、例えば、1モノソミーおよびXモノソミー(ターナー症候群)など、テトラソミー、例えば、18pテトラソミーなど;三倍体性、例えば、三倍数性症候群(希な疾患についての全国組織(http://www.rarediseases.org/)および染色体モザイク現象(http://www.medgen.ubc.ca/wrobinson/mosaic/contents.html)を参照のこと)など;および、ガン、例えば、慢性骨髄性白血病などが含まれるが、これらに限定されない。
被験体における遺伝子座コピー数の変化を特定するために、DNAサンプルが個体被験体(すなわち、哺乳動物)から得られ、本明細書中上記に記載されたように分析される。本発明のこの態様による好ましい被験体は任意の発達段階のヒトである(例えば、着床前胚の被験体、胚の被験体、胎児の被験体、新生児の被験体、および出生後の被験体)。
出生後検査が、典型的には、古典的な染色体症候群を除外するために行われ、また、多重的な先天性異常(MCA)を有する個体、染色体異常を有する個体の両親または兄弟姉妹、平衡した染色体異常または構造的染色体異常を有する個体の子供、2回以上の流産の病歴を有する夫婦、不妊問題を有する夫婦、生殖器形成不全の個体、原発性無月経の女性、精神遅延者、および、思春期不全の男女を核型決定して行われる。
DNAが、個体被験体(すなわち、出生前、出生後の被験体)の生物学的サンプルから得られる。本明細書中で使用される場合、生物学的サンプルの表現は、例えば、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、尿、ならびに、皮膚、気道、腸管および泌尿生殖管の外側切片、涙液、唾液、乳汁、血液細胞、腫瘍、器官(これらに限定されない)をはじめとする個体から単離される組織または体液のサンプルを示し、また、インビボ細胞培養構成成分のサンプルをも示す。好ましくは、組織生検物、血液または骨髄サンプルが使用される。
血液が、好ましくは、ヘパリンナトリウムまたはEDTAで被覆された試験管に集められる。新生児は少なくとも1ml〜2mlの血液が必要であり、子供または成人は少なくとも3ml〜5mlの血液が必要である。白血球分析のためには、細胞は、10%の未成熟な細胞を伴う10000個以上でなければならない。
骨髄(0.5cc〜2ccの骨髄)が骨髄輸送培地またはヘパリンナトリウム試験管に集められる。
組織生検物[3mmの標本、例えば、胎盤、臍帯、皮膚(これは典型的には、モザイク現象の程度を試験するために使用される)]が無菌の生理学的食塩水または無菌の組織培養培地に集められる。
典型的には、末梢血由来のDNAが使用される。正常な循環しているリンパ球は培養条件下では分裂しないので、リンパ球が得られ、細胞分裂(すなわち、有糸分裂)を誘導するために外部刺激因子(すなわち、分裂促進因子)にさらされる。刺激された細胞は、45時間〜96時間のインキュベーションの後の任意の時間で集めることができる。
サンプルが得られると、ゲノムDNAが、好ましくは、例えば、Qiagen(28159 Avenue Stanford、Valecia、CA 91355)から入手可能なQIAamp血液キットを使用することなどによって抽出され、上記で記載されたように分析される。
染色体異常は流産および先天的欠損症の主要な原因であるので、上記の方法論は、好ましくは、出産前の子供における遺伝子座増幅を特定するために使用される。母親の血液から得られた胎児DNAのメチル化が、出生前スクリーニングにおける本発明のエピジェネティクマーカーの使用を可能する重亜硫酸塩修飾を使用して検出され得ることが十分に明らかにされている[Poon他(2000)、Clin.Chem.、48:35〜41を参照のこと]。
DNAを胚(すなわち、受胎から発達の8週間までの発達中の乳児)または胎児(すなわち、発達の9週間から出産までの発達中の乳児)の細胞から得る様々な方法がこの分野で広く知られている。例には、母体生検(例えば、子宮頸サンプリング、羊水穿刺サンプリング、血液サンプリング)、胎児生検(例えば、肝生検)および絨毛生検が含まれるが、これらに限定されない(背景の節および米国特許第6331395号を参照のこと)。
母体血液からの胎児DNAの単離は、発達中の乳児に危険性を何らもたらさない非浸襲的手法であるので、本発明のこの態様に従って使用されることが好ましい[Lo(1998)、Am.J.Hum.Genet.、62(4):768〜75を参照のこと]。
細胞を含まない胎児DNAを母体の循環から集め、上記に記載されるように分析することができる[Bauer(2002)、Am.J.Obstet.Gynecol.、186:117〜20;Bauer(2001)、Ann.NY Acad.Sci.、945:161〜3;Pertl(2001)、Obstet.Gynecol.、98:483〜90;Samura(2000)、Hum.Genet.、106:45〜9を参照のこと]、
あるいは、胎児細胞を、固定化された抗体が胎児細胞に結合し、その濃縮を容易にするために胎児細胞を捕獲する抗体捕獲技術を使用して母体血液から濃縮することができる[Mueller他、「妊婦の末梢血からの胎児栄養膜細胞の単離」、The Lancet、336:197〜200(1990);Ganshirt−Ahlert他、「母体血液からの出生前診断の潜在的手段としての磁気細胞分取および移送受容体」、Am.J.Obstet.Gynecol.、166:1350〜1355(1992)]。
胎児細胞はまた、フローサイトメトリーなどの細胞分取手法を容易にするために、抗体および他の特異的な結合性成分により標識することができる[Herzenberg他、「妊婦の血液における胎児細胞:蛍光活性化細胞分取による検出および濃縮」、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、76:1453〜1455(1979);Bianchi他、「母体血液中の有核赤血球からの胎児DNAの単離」、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、87:3279〜3283(1990);Bruch他、「フローサイトメトリーを使用して末梢の母体血液から分取された栄養膜様細胞:透過電子顕微鏡および胎児DNA増幅を伴うマルチパラメーター研究」、Prenatal Diagnosis、11:787〜798(1991);Price他、「マルチパラメーターフローサイトメトリーによって母体血液から単離された胎児細胞を用いた出生前診断」、Am.J.Obstet.Gynecol.、165:1731〜1737(1991)]。
PCR技術が、典型的には、胎児DNAの相対量を増大させ、従って、分析を可能にするために一緒に使用される[Bianchi他、「母体血液中の有核赤血球からの胎児DNAの単離」、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、87:3279〜3283(1990);Adkinson他、「ポリメラーゼ連鎖反応による母体血液由来の胎児細胞の改善された検出」、Am.J.Obstet.Gynecol.、170:952〜955(1994);Takabayashi他、「母体血液からの非浸襲的胎児DNA診断の開発」、Prenatal Diagnosis、15:74〜77(1995)]。
母体循環における胎児細胞を使用する出生前診断の具体的な形態が米国特許第6331395号に開示される。
例えば、血液(50ml)を妊娠8週間〜20週間の妊婦から得ることができる。単核細胞(MNC)画分がFicoll−hypaqueでの遠心分離によって単離され、SCF(100ng/ml)、IL−3(100ng/ml)およびIL−6(100u/ml)を使用して、10%FCSを含むアルファ培地において5・10/mlで7日間培養される。その後、非接着細胞が回収され、SCF(100ng/ml)、IL−3(100ng/ml)およびIL−6(100mu/ml)だけでなく、30%FCS、1%BSA、10−4Mβ−メルカプトエタノール、ならびにペニシリンおよびストレプトマイシンを含むアルファ培地において3・10/mlで再置床される。すべてのインキュベーションが、5%CO、および、大気または5%酸素のいずれかとともに加湿インキュベーターにおいて行われる。21日後、細胞が回収される。上記に記載されるようなメチル化分析のために、細胞が遠心分離され、DNAが、標準的な方法を使用して抽出される。
胎児細胞を母体血液から濃縮するためのキットを、AVIVA Biosciences Corporation(San Diego、CA、http://www.avivabio.com/Technology/fetal_cell_isolation.html)から入手することができる。
胚または胎児のDNAはまた胎児死亡または流産の後でも得ることができることが理解される。この場合、培養が、酵素的に解離させた細胞および組織片(外植片)を使用して胚または胎児の組織から開始される。組織が適切な培養条件に置かれたとき、細胞は表面に接着し、単層物として成長する。
本発明の方法論を使用して得られる染色体情報は、この分野で広く知られている数多くの細胞学的技術(例えば、ギムザ染色)およびハイブリダイゼーションに基づく技術(例えば、FISH)を使用して、妥当性をさらに確認することができる(例えば、米国特許第5906919号および同第5580724号を参照のこと)。
上記に記載されるような遺伝子座増幅を明らかにするための試薬は、パックまたはディスペンサーデバイスで、例えば、診断キットなどで提供され得る。パックは、例えば、金属ホイルまたはプラスチックホイル(例えば、ブリスターパックなど)を含むことができる。パックまたはディスペンサーデバイスには、診断のための説明書が伴い得る。
本発明はまた、上記で記載されたように、異常なメチル化をもたらす異常なDNAメチル化機構に関連する様々な病理を検出するのに使用され得ることが理解される。例には、プラーダー・ヴィリ症候群、アンゲルマン症候群、ベックウィズ・ヴィーデマン症候群、レット症候群およびICF症候群が含まれるが、これらに限定されない。例えば、ICF症候群は、Dnmt3bと呼ばれるDNAメチルトランスフェラーゼ酵素の異常な機能によって引き起こされる。同様に、mC(これはMeCP2と呼ばれる)を認識し、これに結合するタンパク質の1つにおける異常は、レット症候群(若年の女性を冒す精神遅延の一形態)を引き起こす。
女性のX染色体のもう一方のコピー体における遺伝子はDNAメチル化によって抑制される[Goto(1998)、Microbiol.Mol.Biol.Rev.、62(2):362〜78]ので、性別決定(例えば、出生前の性別決定)もまた、本発明によって意図されることがさらに理解される。
本発明は、生存と両立し得る遺伝子(生命に関わる遺伝子)の特定を可能にすることがさらに理解される。
従って、本発明の別の態様によれば、「生存と両立し得る」遺伝子を特定する方法が提供される。
この方法は、上記で記載されたように、増幅された染色体配列領域における多数の遺伝子のメチル化状態を明らかにすることによって行われる。
その後、多数の遺伝子のうち、所定のメチル化状態とは異なるメチル化状態を示す遺伝子が特定され、それにより、「生存と両立し得る」遺伝子が特定される。
そのような方法は、遺伝子に注釈を付けるために、また、新規な治療標的を特定するために効果的に用いることができる。
本発明の追加の目的、利点及び新規な特徴は、下記実施例を考察すれば、当業技術者には明らかになるであろう。なおこれら実施例は本発明を限定するものではない。さらに、先に詳述されかつ本願の特許請求の範囲の項に特許請求されている本発明の各種実施態様と側面は各々、下記実施例の実験によって支持されている。
上記説明とともに、以下の実施例を参照して本発明を例示する。なおこれら実施例によって本発明は限定されない。
本願で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子生化学、微生物学及び組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている[例えば以下の諸文献を参照されたい。「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrookら1989年;Ausubel, R.M.編1994年「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻;Ausubelら著1989年「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley and Sons,米国メリーランド州バルチモア;Perbal著「A Practical Guide to Molecular Cloning」John Wiley & Sons,米国ニューヨーク1988年;Watsonら、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birrenら編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク1998年;米国特許の4666828号、4683202号、4801531号、5192659号及び5272057号に記載される方法;Cellis, J.E.編「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻1994年;Coligan, J.E.編「Current Protocols in Immunology」I〜III巻1994年;Stitesら編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク1994年;MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク1980年;また利用可能な免疫検定法は、例えば以下の特許と科学文献に広範囲にわたって記載されている。米国特許の3791932号、3839153号、3850752号、3850578号、3853987号、3867517号、3879262号、3901654号、3935074号、3984533号、3996345号、4034074号、4098876号、4879219号、5011771号及び5281521号;Gait,M.J.編「Oligonucleotide Synthesis」1984年;Hames, B.D.及びHiggins S.J.編「Nucleic Acid Hybridization」1985年;Hames,B.D.及びHiggins S.J.編「Transcription and Translation」1984年;Freshney, R.I.編「Animal Cell Culture」1986年;「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press 1986年;Perbal, B.著「A Practical Guide to Molecular Cloning」1984年及び「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ1990年;Marshakら、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」、CSHL Press、1996年;なおこれらの文献類は、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである]。その外の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。本明細書に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。本明細書に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
材料および実験手法
DNA抽出。DNAを、QIAamp血液キット(Qiagen、28159 Avenue Stanford、Valencia、CA、91355)を使用して血漿サンプルおよび羊水サンプルから抽出する。800μlの血漿または羊水を1個のカラムについてDNA抽出のために使用する。DNAを、50μl〜110μlの溶出緩衝液を使用して溶出する。Nucleon DNA抽出キット(Scotlabs Woburn、MA)を製造者の説明書に従って使用して白血球の軟膜からDNAを抽出する。
DNAの重亜硫酸塩処理。DNA(2μgまで)を50μlの蒸留水に希釈し、これに5.5μlの2M NaOHを加える。その後、5μgのサケ精子DNAを反応混合物に加える。
溶液を50℃で10分間インキュベーションし、それにより一本鎖DNAを生じさせる。ハイドロキノン[10mMハイドロキノン(Sigma)の30μl、55mgのハイドロキノンを50mlの水に加えることによって新たに調製されたもの]を各チューブに加える。その後、520μlの新たに調製された3M重亜硫酸ナトリウム(Sigma、S−8890;1.88gmの重亜硫酸ナトリウムを5mlのHOあたり加え、pHをNaOHで5.0に調節することによって調製されたもの)を溶液に加える。DNA溶液が均一に混合されることを確実にするための手段が取られる。DNA溶液をミネラルオイルで覆い、50℃で16時間または70℃で1時間〜2時間インキュベーションする。より長いインキュベーション期間は、メチル化シトシンがチミジンに変換することを回避するために避けられる。インキュベーションが終了したら、オイルを除く。1mlのDNA Wizardクリーンアップ(Promega A7280)溶液を各チューブに加え、溶液をキット内のミニプレップカラムに加える。真空を適用し、カラムを2mlの80%イソプロパノールで洗浄する。DNAを、50μlの温水(すなわち、80℃)を加えることによって清浄な標識された1.5mlチューブに溶出する。チューブを1分間遠心分離し、5.5μlの3M NaOHを各チューブに加える。スルホン化DNAの溶液を室温で5分間インキュベーションする。
1μlのグリコーゲンをキャリアとして加え(Boehringer Ingelheim GmbH、ドイツ)、33μlの10M NHAcおよび3体積のエタノールを加える。DNAを、少なくとも1時間から一晩、−20℃で沈殿させ、70%エタノールで洗浄する。乾燥したペレットを20μlの水に再懸濁し、−20℃で貯蔵する。
増幅反応。1μl量のスルホン化DNA溶液を、1XGC緩衝液2(TaKaRa Shuzo、Kyoto、日本)、各2.5mMのdNTP、5UのTaKaRa LA Taqe(TaKaRa Shuzo、Kyoto、日本)、および50pmolのアンチセンスプライマーを含有する50μlのPCR反応混合物に加える。反応混合物を94℃の温度で5分間インキュベーションする。
予備加熱の後、重亜硫酸塩処理されたDNAのセンス配列の相補鎖を下記のように2サイクルについて伸長させる:94℃で1分間、60℃で3分間および72℃で3分間。
その後、50pmolのセンスプライマーを加え、混合物を94℃に加熱する。
DNAを、94℃で1分間、60℃で1.5分間および72℃で2分間の8サイクルについて増幅する。
94℃で1分間、55℃で1.5分間および72℃で2分間の30サイクルによるさらなる増幅を行う。
得られたPCR生成物におけるメチル化を制限酵素分析または直接的な配列決定によって検出する。
制限酵素によるメチル化部位の検出。上記に記載されるようなチミンへのメチルシトシンの化学的修飾はHpaIIおよびHahIの制限酵素部位を変化させ、その結果、これらの酵素がDNAをそれらのそれぞれの部位で消化することができないようにする。シトシンのメチル化により、メチル化感受性酵素はこれらの部位で消化することができなくなり、一方、他の酵素(例えば、メチル化に寛容であるMspIなど)は一定の制限パターンをもたらす。重硫酸塩で処理されたDNAに対するそのような酵素の使用により、特定の制限酵素を使用してメチル化部位を区別することができる(下記の実施例3におけるさらなる詳細を参照のこと)。
McrBCによるメチル化。McrBCはNew England Biolabsから得られる。この酵素を5μgのゲノムDNAに加え、反応液を、製造者の説明書に従って37℃で一晩インキュベーションする。酵素を65℃での20分間のインキュベーションによって不活性化する。50μgの消化されたDNAをPCR反応のためのテンプレートとして使用する。プロモーター特異的なプライマーを使用する。生成物をアガロースゲル分離によって分析する。
PCR生成物の直接的な配列決定。得られたPCR生成物を、市販のキット(例えば、Genecleanなど)を使用して精製し、市販の自動シーケンサーによって配列決定する。
対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション。このアッセイでは、目的とする遺伝子におけるすべての候補メチル化部位を含有する大きいフラグメントが増幅される。PCR生成物は、フルオレセインまたは他の蛍光体(Cy3、Cy5)による1つのヌクレオチド標識を含有する。生成物を標識するための第2の方法は、PCR生成物に取り込む放射性ヌクレオチド(32P、33P、35S、Hまたは14C)による方法である。PCR生成物を、その後、シトシンに対してメチル化シトシン(すなわち、チミン)についての特異的なオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションさせる。そのようなオリゴヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションは、マイクロアレイ法を使用してガラス上またはニトロセルロース上で行うことができる。
変異(またはSNP)を検出するための市販のキット。メチル化部位の検出を「Gamidagene」社の市販されているいくつかの「Pronto」キットによって行うことができる。これらのキットは、目的とするメチル化部位を認識するために設計および構成された特異的なプローブと併せて変異および/または単一ヌクレオチド多型(SNP)を検出するのに設計されている。同様に、ヌクレオチド配列における変異を認識することができる他の方法もまた使用することができる。例えば、増幅不応性変異システム(ARMS)。この方法では、2つの補完的反応が使用される。一方が、正常な対立遺伝子について特異的なプライマーを含有し、もう一方が変異対立遺伝子を含有する(両方とも、共通する第2のプライマーを有する)。このPCRプライマーは変化DNAと完全に一致するので、核型決定している完全に一致した対立遺伝子の優先的な増幅が確認される。上記で記載されたように、重亜硫酸塩によってチミンに変換されるメチルシトシンがこの方法によって検出可能である。
実施例1
第21染色体の遺伝子
下記の表2には、GardinerおよびDavisson(Genome Biology、2000、1(2):再検討0002.1〜0002.9)によって注記されるような第21染色体の122個の遺伝子の帰属された機能が示される。その大部分は完全なcDNA配列または推定上の完全なcDNA配列を有する。機能的注記は、直接的な実験の文献報告に基づいて、または、他のタンパク質に対する類似性からの推定に基づいて帰属された。部分的な構造情報のみを有する遺伝子の注記は、それにおける特定の機能的ドメインに基づいており、()によって示される(Gardiner K、http://www.genomebiology.com/2000/1/2/reviews/0002.1)。
様々な機能的カテゴリーが、広範囲に記述するために選ばれた。各遺伝子が1つだけのカテゴリーに現れる。
実施例2
21トリソミーの遺伝子、およびそのメチル化状態を検出するのに使用することができるプライマー
背景
原線維アミロイドタンパク質がニューロン内に神経原線維錯綜として、細胞外にプラークとして、また血管内に沈着することは、アルツハイマー病(AD)患者および加齢したダウン症候群患者の両方の特徴である。これらの沈着物の中に見出される主要なタンパク質は、その前駆体(第21染色体(21q21.2)に突き止められているアミロイドタンパク質前駆体)の異常な異化に由来すると考えられる不溶性かつ非常に凝集している小さいポリペプチドa4である。
実験手法
APP(GenBankアクセション番号X127522)の増幅を検出するのに、APPプロモーター領域のメチル化を重亜硫酸塩配列決定によって明らかにする。
下記の表4は好ましいPCR条件を示す。
得られたPCR生成物を配列決定し、それによりチミンへのシトシン置換を特定する。APPプロモーターからの増幅されたPCR生成物(APP−FおよびAPP−Rのプライマーを使用する;図1b)を図1aに示す。
あるいは、得られたPCR生成物をオリゴヌクレオチドマイクロアレイにハイブリダイゼーションさせることができる。
下記の表5および表6には、上記で記載されたように、重亜硫酸塩によるDNA処理の後で、ヒトの第21染色体におけるメチル化されたDNA部分を特定するために使用することができるいくつかのオリゴヌクレオチド形態が示される。
実施例3
Xトリソミーの遺伝子、およびそのメチル化状態を検出するのに使用することができるプライマー
女性において、重複しているX染色体のほとんどの遺伝子の1組はサイレンシングを受けている。サイレンシングは、典型的には、そのような遺伝子のプロモーターのCpGメチル化によって生じている。いくつかのメチル化分析手法を、男性、女性およびクラインフェルター症候群罹患の被験体におけるアンドロゲン受容体(GenBankアクセション番号NM_00044)のメチル化状態を検出するのに用いた。
実験手法
細胞。男性、女性およびクラインフェルター症候群罹患の胚の12日間培養された羊膜細胞をCoriell Institute(NJ)から得た。クラインフェルター細胞、カタログ番号:GMO3102。正常細胞、カタログ番号。
DNA抽出。細胞を2500rpmで10分間遠心分離した。細胞ペレットを、75mMのNaClおよび25mMのEDTAを含む溶解緩衝液に再懸濁し、十分にボルテックス処理して、形質膜を崩壊させた。その後、10%SDS溶液(最終体積の1/10)を混合物に加え、溶液を反転によって混合した。溶液を、プロテイナーゼK(10mg/ml、最終体積の1/10)の存在下、55℃で一晩インキュベーションした。等体積のフェノール:クロロホルム(1:1)を溶液に加え、反転によって(5分間)十分に混合し、14000xgで15分間遠心分離して相分離させた。クロロホルムを上部相に加え、溶液を、5分間、反転によって十分に混合し、14000xgで5分間遠心分離して相分離させ、上部相を集め、これに3M酢酸ナトリウム(最終体積の1/10)を加え、反転によって十分に混合した。DNAを一晩のエタノール沈殿(70%)に供し、その後、濃度および純度を測定した。
制限酵素に基づく分析
0.5μgのDNA分子(すなわち、重亜硫酸塩処理物または重亜硫酸塩非処理物)をHpaII(30ユニット、NEB酵素、New England Biolabs,Inc.、Beverly、MA、01915−5599、米国)により消化した。完全な消化を確実にするために、インキュベーションを、新しい酵素を8時間のインキュベーションの後でさらに加えることを含めて一晩行わせた。
消化後、消化混合物からの2μlのDNAを、下記の表7に示されるプライマーを使用し、かつ、下記の表8〜表9に記載される条件のもとでのPCRのためのテンプレートとして使用した。
約300bpの得られたPCR生成物を2.5%アガロースゲルで分離し、可視化した。
メチル化特異的PCR(MSP)
DNAを、本明細書中上記の実験手法において記載されたように重亜硫酸塩処理した。
プライマーおよびPCR条件を、表10、表11および表12にそれぞれ示す。
生成物の同一性を2段階のネスティングPCR反応によって確認した。そのプライマーを下記の表13に示し、PCR条件を下記の表14〜表16に示す。最初のPCRのDNAテンプレートを重亜硫酸塩修飾のために使用した(約50ng)。PCR生成物を2回目のPCR反応のためのテンプレートとして使用した(最終体積の1/20)。反応生成物を配列決定した。
重亜硫酸塩修飾されたDNAからアンドロゲン受容体の第1エキソンを増幅するためのPCR条件を下記の表15および表16に示す。
工程IIのPCR生成物を2.5%アガロースゲルにおいて分離し、市販の精製キット(GFX PCRカタログ番号27−9602−01、Amersham Bioscience Piscataway Bioscience、NJ、08855、米国)によって精製し、その後、pGEMプラスミド(pGEM−T Easy VectorベクターシステムI(カタログ番号A1360)またはpGEM−T VectorベクターシステムI(カタログ番号A3600)、Promega Corporation、Madison、WI、米国)にサブクローン化した。正確な配列決定を、各PCR生成物の5個〜10個のクローンを配列決定することによって確認した。配列決定をABIシーケンサー装置によって行った。
結果
HpaIIおよびHhaIの制限部位とともにアンドロゲン受容体の第1エキソンの生来的な配列を図2aに示す。重亜硫酸塩修飾の後で得られる推定される配列を図2bに示す。
図3および図4は、制限酵素に基づく分析およびメチル化特異的PCR(MSP)によって明らかにされたときの、男性、女性およびクラインフェルター症候群罹患の被験体におけるアンドロゲン受容体のメチル化状態の結果を示す。
図3に示されるように、XY(すなわち、男性)被験体から得られたHpaII処理DNAサンプルのPCR増幅は生成物をもたらさなかった。しかしながら、XX被験体およびXXY被験体から得られたHpaII処理DNAサンプルを使用した同じ反応は280bpの明らかなバンド(アンドロゲン受容体エキソン1の第1エキソンの生成物)をもたらした。
男性およびクラインフェルター症候群罹患の被験体に由来するアンドロゲン受容体の第1エキソンのメチル化状態のMSP分析は、メチル化されたプライマーを使用するDNA増幅が、クラインフェルター症候群罹患の被験体(すなわち、46XXY)から得られたDNAでのみ生じたことを示していた。
まとめると、これらの結果は、クラインフェルター症候群罹患の被験体におけるアンドロゲン受容体のDNAメチル化媒介による遺伝子サイレンシングを明瞭に裏付けており、また、本発明をこの病理のための有益な診断ツールであるとして示唆している。
MSPは部分的なメチル化(すなわち、所与の対立遺伝子における必ずしもすべてのメチル化部位が実際にはメチル化されていない)を効率的に検出しないので、オリゴヌクレオチドマイクロアレイの使用が好都合であり得ることが理解される。
そのようなマイクロアレイにおいて効率的に使用することができるオリゴヌクレオチドを下記の表17に示す。
実施例4
本発明の教示に従って特定された第21染色体の常染色体トリソミーのための推定されるマーカー
本明細書中上記で述べられたように、増幅された染色体または染色体領域に存在する遺伝子は、おそらくは、特異的な遺伝子サイレンシングをもたらす上流のプロモーター領域のメチル化のために、通常の場合には過剰発現していない。
下記の表18には、正常な被験体から得られた羊膜細胞に対する、ダウン症候群罹患の被験体から得られた羊膜細胞における第21染色体の遺伝子発現の比率が示される。X<1.5の比率は遺伝子サイレンシングを示す(www.hgu.mrc.ac.uk/Research/Cellgen/Supplements/Unigene/t21all.html)。
上記の表18から、トリソミー状態において、第21染色体の遺伝子の発現における変動性が存在することが明らかである;いくつかの遺伝子は非常に過剰発現しており(すなわち、X=1.5の比率;例えば、PDXK)、一方、他の遺伝子は過小発現している(すなわち、X<1の比率;例えば、DSCAM)。この変動性に対する理由は、メチル化されているCpG部位の数が考えられる。従って、例えば、1.2の比率は、過剰な対立遺伝子における必ずしもすべてのCpG部位がメチル化を受けておらず、一方、依然としてメチル化されているCpG部位は1.5倍の過剰発現(すなわち、3つの対立遺伝子の最大の過剰発現)を妨げていることを示唆する。
実施例5
第21染色体のDSCAM遺伝子およびIFNAR1遺伝子は第21染色体トリソミーでは部分的にメチル化されている
(実施例5a)
DSCAM
ダウン症候群細胞接着分子(DSCAM)遺伝子(GenBankアクセション番号AF217525)を、第21染色体トリソミーにおける部分的にサイレンシングされた遺伝子(すなわち、X<1.5)のメチル化パターンを示すために選んだ。
DSCAMの第1エキソンの上流側のCpGアイランドのメチル化がDS患者におけるこの遺伝子の過剰発現を阻害しているかもしれないという仮説が立てられた。DSCAMプロモーターの生来的な配列が図4aに示される。重亜硫酸塩処理の後で得られた推定される配列が図4bに示される。
実験手順
細胞。健康な胚およびDS罹患の胚に由来する12日間培養された羊膜細胞をCoriell Institute(NJ)から得た。DS細胞、カタログ番号GMO2067。正常細胞、カタログ番号。DNA抽出。上記の実施例3を参照のこと。
DSCAMメチル化の配列決定に基づく分析。下記の表19〜表21には、健康な被験体およびダウン症候群罹患の被験体に由来する組織および細胞からDSCAMを増幅するために使用されたプライマーおよびPCR条件が示される。
PCR反応を、下記の表19に示されるプライマーと、上記の表14に記載される反応混合物試薬および濃度とを使用して行った。
得られたPCR生成物は142bpであった。
PCR生成物を2回目のPCR反応のためのテンプレートとして使用した(最終体積の1/20)。
得られたPCR生成物は135bpであった。PCR反応混合物を3%アガロースゲルに負荷し、135bpの生成物を、上記の実施例3に記載されるように精製した。生成物の配列同一性を、これもまた本明細書中上記に記載されるように配列決定によって確認した。
結果
DSの胚に由来する羊膜細胞におけるDSCAMのメチル化状態の配列分析は、2例において、クローンの25%がCpG部位におけるメチル化を呈することを示した。これらの結果はDSCAMのほんの部分的なメチル化を示しており、このことから、DSCAMのメチル化を検出するためのオリゴヌクレオチドマイクロアレイの使用が好ましいことが示唆される。DSCAMのメチル化を検出するのに好適なオリゴヌクレオチドが下記の表22に示される。
(実施例5b)
IFNAR1
上記の表18から、インターフェロン(α、βおよびω)受容体1(IFNAR1、GenBankアクセション番号AU137565)が第21染色体トリソミーでは部分的にサイレンシングされていることは明らかである。IFNAR1のメチル化パターンを、実施例5aに記載されるように細胞および組織において調べた。IFNAR1プロモーターの生来的な配列が図5aに示される。重亜硫酸塩処理の後で得られた推定される配列が図5bに示される。
実験手順
細胞。上記参照。
DNA抽出。上記の実施例3を参照のこと。
DSCAMメチル化の配列決定に基づく分析。下記の表23〜表25には、健康な被験体およびダウン症候群罹患の被験体に由来する組織および細胞からIFNAR1を増幅するために使用されたプライマーおよびPCR条件が示される。
PCR反応を、下記の表23に示されるプライマーと、上記の表14に記載される反応混合物試薬および濃度とを使用して行った。
得られたPCR生成物は231bpであった。
PCR生成物を2回目のPCR反応のためのテンプレートとして使用した(最終体積の1/20)。
得られたPCR生成物は186pであった。
PCR反応生成物を2.5%アガロースゲルで分離し、186bpの生成物を、上記の実施例3に記載されるように精製した。生成物の配列同一性を、これもまた本明細書中上記に記載されるように配列決定によって確認した。
結果
IFNAR1対立遺伝子のメチル化がDSサンプルにおいて認められた。
上記から、DSCAMおよびIFNAR1のメチル化状態は第21染色体トリソミーのための有益な診断マーカーとして役立ち得ることが考えられる。これらの結果はまた、第21染色体トリソミーにおいてアップレギュレーションされていない他の遺伝子もまた染色体増幅のためのマーカーとして役立ち得ることを示している。
実施例6
第13染色体の常染色体トリソミーのための推定されるマーカー
下記の表26には、正常な被験体から得られた羊膜細胞に対する、13トリソミーの遺伝子型決定された被験体から得られた羊膜細胞における第13染色体の遺伝子発現が示される(www.hgu.mrc,ac.uk/Research/Cellgen/Supplements/Unigene/t13all.thml)。興味深いことに、ほとんどの遺伝子がサイレンシングを受けている(RNAはむしろ定常レベルである)第21染色体トリソミーとは対照的に、第21染色体の増幅の生存性を説明する遺伝子発現のこのプロフィルが第13染色体には存在しない。
実施例7
9トリソミーの遺伝子、およびそのメチル化状態を検出するのに使用することができるプライマー
9トリソミーは希な染色体障害である。特徴的な特徴には、胎児の遅れた成長、出生時に存在する心臓欠陥、顔の異常(例えば、低い位置および/または奇形の耳)、異常に小さい頭、腎臓および/または生殖器の異常、骨格異常(例えば、動かない関節および/または脱臼した関節)、ならびに/あるいは、脳の奇形が含まれる。
第9染色体上のp16が、細胞周期および多くの病変(メラノーマ、膀胱ガンおよび肺ガンを含む)における中心的な役割を果たしている。p16(腫瘍抑制因子遺伝子)の発現が様々なガン(例えば、膀胱ガン、結腸ガンおよび網膜芽細胞腫など)では抑制されている。p16プロモーターにおけるCpGアイランドのメチル化が特定の場合においてこの遺伝子の不活性化の原因であることが示されている[Sharpless(2003)、Oncogene、22(20):3092〜8;Virmani(2003)、Methods Mol Biol.、2003、222:97〜115]。
CpG WIZ(登録商標)p16増幅キット(Chemicon International,Inc.)を、メチル化特異的PCR(MSP)によってp16プロモーターのメチル化状態を明らかにするために使用する。このキットは、配列が重亜硫酸塩処理の後で最も異なる、プロモーターの様々な領域に標的化されるプライマーを含有する。PCRパラメーターは、キット内のすべてのプライマー組が同じ条件のもとで増幅するように特定されている。p16についてのコントロールのゲノムDNAサンプル(メチル化体および非メチル化体)もまた含まれる。
実験手順
重亜硫酸塩による変換を、CpGenome DNA修飾キット(Intergen、New York、NY)を使用して行う。1μgのDNAを製造者の推奨法に従って重亜硫酸ナトリウムで処理する。変換後、重亜硫酸塩処理DNAを25μlの総体積で再懸濁する。
下記の表27には、上記遺伝子のメチル化状態を検出するのに使用される方法がまとめられている。
明確にするため別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更及び変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更及び変形すべてを包含するものである。本願で挙げた刊行物、特許及び特許願はすべて、個々の刊行物、特許及び特許願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用又は確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
図1aは、ヒトAPP領域のプロモーター領域から第1エキソンに及ぶAPPプロモーターの増幅された生成物のヌクレオチド配列である。図1bは、図1aに示されるDNA配列のメチル化状態を検出するのに使用されたプライマーのヌクレオチド配列である。 アンドロゲン受容体エキソン1の生来的な配列のヌクレオチド配列(図2a)および重亜硫酸塩修飾された配列のヌクレオチド配列(図2b)である 男性、女性およびクラインフェルター症候群罹患の被験体におけるアンドロゲン受容体のメチル化状態の、制限酵素に基づく分析の生成物を可視化するアガロースゲルの写真である。 生来的なDSCAMプロモーターのヌクレオチド配列(図4a)および重亜硫酸塩修飾されたDSCAMプロモーターのヌクレオチド配列(図4b)である。 生来的なIFNAR1プロモーターのヌクレオチド配列(図5a)および重亜硫酸塩修飾されたIFNAR1プロモーターのヌクレオチド配列(図5b)である。
配列番号1〜249は一本鎖DNAオリゴヌクレオチドの配列である。

Claims (5)

  1. 遺伝子座増幅を出生前に特定する方法であって、前記方法は、遺伝子座を含む出生前の染色体DNA中の前記遺伝子座における少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を明らかにすることを含み、前記少なくとも1つの遺伝子は、2倍体の状態の発現パターンを有するように選択され、2倍体の状態における前記少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態と比較した前記遺伝子座における前記少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態の増加により、出生前の対象における遺伝子座増幅が示される方法。
  2. ダウン症候群を出生前に検出する方法であって、前記方法は、出生前の第21染色体における少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を明らかにすることを含み、前記少なくとも1つの遺伝子は、2倍体の状態の発現パターンを有するように選択され、2倍体の状態における前記少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態と比較した前記少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態の増加により、前記少なくとも1つの遺伝子の増幅が示され、それにより、ダウン症候群が出生前に検出される方法。
  3. 前記少なくとも1つの遺伝子のメチル化状態を明らかにすることは、(i)制限酵素消化によるメチル化検出;(ii)重硫酸塩に基づくメチル化検出;(iii)質量分析法による分析;(iv)配列分析;および/または(v)マイクロアレイ分析によって行われる請求項1または2に記載の方法。
  4. 遺伝子座は、第1染色体、第2染色体、第3染色体、第4染色体、第5染色体、第6染色体、第7染色体、第8染色体、第9染色体、第10染色体、第11染色体、第12染色体、第13染色体、第14染色体、第15染色体、第16染色体、第17染色体、第18染色体、第19染色体、第20染色体、第21染色体、第22染色体、X染色体、及びY染色体からなる群から選択される染色体上に位置する請求項1に記載の方法。
  5. 出生前の染色体DNAは、(i)羊水穿刺;(ii)胎児生検;(iii)絨毛生検;(iv)母体生検;(v)血液サンプル採取;(vi)子宮頸サンプル採取;および/または(vii)尿サンプル採取によって得られる請求項1または2に記載の方法。
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