JP5013756B2 - セラミック積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、上記の製造方法では、各セラミックシートの焼成収縮率が異なると、焼成時のセラミックシートに反りや剥離が発生するという問題がある。これにより、セラミック積層体の寸法精度や品質が低下するおそれがある。
また、ガスセンサ素子の各層を構成するセラミック成分を同種のものとすることによって、各層の焼成収縮率及び焼結挙動が略同じとなるようにし、焼成時における反りや剥離を抑制することが提案されている(特許文献3参照)。ところが、この方法は、各層のセラミック成分や求められる気孔率が異なる場合には適用することができない。
上記各セラミックシートについて、セラミック原料に所定量の有機物を混合してなるシート原料を成形して上記セラミックシートを作製し、該セラミックシートを所定温度で焼成した場合における、上記セラミックシート中に含有される有機物の体積割合を表す有機物体積割合と上記セラミックシートの焼成収縮率との関係を求める収縮率測定工程と、
該収縮率測定工程において求めた有機物体積割合と焼成収縮率との関係から、すべての上記セラミックシートが所望の略同じ焼成収縮率となるように、上記各セラミックシートについて有機物体積割合を選定する有機物体積割合選定工程と、
該有機物体積割合選定工程において選定した有機物体積割合に基づいて、上記セラミック原料に有機物を混合して上記シート原料を作製し、該シート原料を成形して上記複数種のセラミックシートを作製するシート成形工程と、
上記複数種のセラミックシートを積層して一体焼成し、上記セラミック積層体を作製する焼成工程とを有し、
上記有機物体積割合選定工程後に、上記複数種のセラミックシートのうち、焼成時の焼成収縮率の挙動を表す焼成収縮率プロファイルを調整すべきプロファイル調整シートについて、上記セラミック原料を造粒させたセラミック造粒粉を所定時間解砕してなるセラミック解砕原料を用いて作製した上記プロファイル調整シートを焼成した場合における、焼成温度と焼成収縮率との関係によって表される焼成収縮率プロファイルを上記セラミック造粒粉の解砕時間別に求める解砕時間別プロファイル測定工程と、
該解砕時間別プロファイル測定工程において求めた焼成収縮率プロファイルと解砕時間との関係から、上記プロファイル調整シートの焼成収縮率プロファイルが、上記プロファイル調整シート以外の任意に選択したセラミックシートの焼成収縮率プロファイルに最も近くなるように、上記セラミック造粒粉の解砕時間を選定する解砕時間選定工程と、
該解砕時間選定工程において選定した解砕時間に基づいて、上記セラミック原料を造粒させた上記セラミック造粒粉を解砕し、上記セラミック解砕原料を作製するセラミック解砕原料作製工程とを行い、
その後の上記シート成形工程では、上記プロファイル調整シートの上記セラミック原料として、上記セラミック解砕原料作製工程において作製した上記セラミック解砕原料を用いることを特徴とするセラミック積層体の製造方法にある(請求項1)。
したがって、セラミックシートの焼成収縮率は、焼成前のセラミックシートに含まれる、焼成時に焼失して空孔をつくる有機物の体積量が関係していると考えることができる。
その後、上記シート成形工程において、上記有機物体積割合選定工程において選定した有機物体積割合に基づいて複数種のセラミックシートを作製し、上記焼成工程において、複数種のセラミックシートを積層して一体焼成し、セラミック積層体を作製する。
かつ、上記収縮率測定工程前に、上記気孔率調整シートについて、上記セラミック調整原料を用いて任意に選定した有機物体積割合で作製した上記気孔率調整シートを焼成した場合における、上記セラミック調整原料における上記2種類の調整用原料の混合比率と上記気孔率調整シートの気孔率との関係を求める気孔率測定工程と、
該気孔率測定工程において求めた混合比率と気孔率との関係から、上記気孔率調整シートが焼成後に所望の気孔率となるように、上記調整用原料の混合比率を選定する混合比率選定工程と、
該混合比率選定工程において選定した混合比率に基づいて、上記2種類の調整用原料を混合し、上記セラミック調整原料を作製するセラミック調整原料作製工程とを行い、
その後、上記収縮率測定工程を行い、さらにその後の上記有機物体積割合選定工程では、すべての上記セラミックシートの焼成収縮率が、上記任意に選定した有機物体積割合で作製した上記気孔率調整シートと略同じとなるように、上記各セラミックシートについて有機物体積割合を選定することが好ましい(請求項2)。
具体的には、上記気孔率測定工程及び上記混合比率選定工程を行うことにより、上記気孔率調整シートが焼成後に所望の気孔率となるように、セラミック調整原料における調整用原料の混合比率を予め選定しておく。そして、上記セラミック調整原料作製工程において、選定した混合比率に基づいてセラミック調整原料を作製し、これを上記気孔率調整シートのセラミック原料として用いる。
なお、上記有機物体積割合選定工程では、上記セラミック調整原料作製工程において作製したセラミック調整原料を用いて、上記任意に選定した有機物体積割合で作製した上記気孔率調整シートを基準にして、各セラミックシートの有機物体積割合を選定する。これは、上記気孔率調整シートの焼成後の気孔率を調整した上で、各セラミックシートの焼成収縮率を合わせるからである。
上記有機物体積割合選定工程後に、上記プロファイル調整シートについて、上記セラミック原料を造粒させたセラミック造粒粉を所定時間解砕してなるセラミック解砕原料を用いて作製した上記プロファイル調整シートを焼成した場合における、焼成温度と焼成収縮率との関係によって表される焼成収縮率プロファイルを上記セラミック造粒粉の解砕時間別に求める解砕時間別プロファイル測定工程と、
該解砕時間別プロファイル測定工程において求めた焼成収縮率プロファイルと解砕時間との関係から、上記プロファイル調整シートの焼成収縮率プロファイルが、上記プロファイル調整シート以外の任意に選択したセラミックシートの焼成収縮率プロファイルに最も近くなるように、上記セラミック造粒粉の解砕時間を選定する解砕時間選定工程と、
該解砕時間選定工程において選定した解砕時間に基づいて、上記セラミック原料を造粒させた上記セラミック造粒粉を解砕し、上記セラミック解砕原料を作製するセラミック解砕原料作製工程とを行い、
その後の上記シート成形工程では、上記プロファイル調整シートの上記セラミック原料として、上記セラミック解砕原料作製工程において作製した上記セラミック解砕原料を用いる。
具体的には、上記解砕時間別プロファイル測定工程及び上記解砕時間選定工程を行うことにより、上記プロファイル調整シートの焼成収縮率プロファイルが、任意に選択したセラミックシートの焼成収縮率プロファイルに最も近くなるように、セラミック造粒粉の解砕時間を予め選定しておく。そして、上記セラミック解砕原料作製工程において、選定した解砕時間に基づいてセラミック調整原料を作製し、これを上記プロファイル調整シートのセラミック原料として用いる。
なお、上記セラミック造粒粉の解砕は、ボールミル等の装置を用いて行うことができる。このとき、上記セラミック造粒粉に溶剤のみを混合して行ってもよいし、さらにバインダ等の有機物を混合して行ってもよい。
上記有機物体積割合選定工程後に、上記プロファイル調整シートについて、上記セラミック原料を造粒させたセラミック造粒粉を所定時間解砕してなるセラミック解砕原料を用いて作製した上記プロファイル調整シートを焼成した場合における、焼成温度と焼成収縮率との関係によって表される焼成収縮率プロファイルを上記セラミック造粒粉の解砕時間別に求める解砕時間別プロファイル測定工程と、
該解砕時間別プロファイル測定工程において求めた焼成収縮率プロファイルと解砕時間との関係から、上記プロファイル調整シートの焼成収縮率プロファイルが、上記気孔率調整シートの焼成収縮率プロファイルに最も近くなるように、上記セラミック造粒粉の解砕時間を選定する解砕時間選定工程と、
該解砕時間選定工程において選定した解砕時間に基づいて、上記セラミック原料を造粒させた上記セラミック造粒粉を解砕し、上記セラミック解砕原料を作製するセラミック解砕原料作製工程とを行い、
その後の上記シート成形工程では、上記プロファイル調整シートの上記セラミック原料として、上記セラミック解砕原料作製工程において作製した上記セラミック解砕原料を用いることが好ましい(請求項2)。
具体的には、上記解砕時間別プロファイル測定工程及び上記解砕時間選定工程を行うことにより、上記プロファイル調整シートの焼成収縮率プロファイルが、上記気孔率調整シートの焼成収縮率プロファイルに最も近くなるように、セラミック造粒粉の解砕時間を予め選定しておく。そして、上記セラミック解砕原料作製工程において、選定した解砕時間に基づいてセラミック調整原料を作製し、これを上記プロファイル調整シートのセラミック原料として用いる。
なお、上記解砕時間選定工程では、上記気孔率調整シートの焼成収縮率プロファイルを基準にして、上記プロファイル調整シートにおける上記セラミック造粒粉の解砕時間を選定する。これは、上記気孔率調整シートの焼成後の気孔率を調整した上で、各セラミックシートの焼成収縮率プロファイルを合わせるからである。
この場合には、スプレードライ法を用いることにより、セラミック原料を容易に造粒させることができる。また、セラミック造粒粉におけるセラミック原料の凝集度合いを調整することができる。これにより、セラミックシートの焼成収縮率プロファイルを精度よく調整することができる。
なお、上記セラミック造粒粉の作製は、上記セラミック原料の凝集度合いを制御することができる方法であれば、どのような方法を用いてもよい。
この場合には、焼成後のセラミックシートにおけるボイド等の欠陥を低減させることができる。これにより、焼成後のセラミックシートの強度を向上させることができ、得られるセラミック積層体の耐久性を向上させることができる。
この場合には、焼成時におけるセラミックシートの反り、剥離、亀裂等を充分に抑制することができる。これにより、得られるセラミック積層体は、より一層寸法精度がよく、品質が高いものとなる。
この場合には、寸法精度がよく、品質が高いという上記セラミック積層体の優れた特性をより顕著に発揮することができる。すなわち、ガスセンサにおいては、近年ますます小型化が進み、より高温の環境下で使用される。そのため、より高い寸法精度や耐久性が要求される。そこで、寸法精度がよく、品質が高い上記セラミック積層体をガスセンサ素子に適用すれば、ガスセンサの小型化を実現することができると共に、耐久性に優れたガスセンサを得ることができる。
本例は、本発明のセラミック積層体の製造方法を、例えば自動車等のエンジンの空燃比制御等に利用される空燃比センサに内蔵されるガスセンサ素子の製造方法に適用した例である。
ガスセンサ素子1は、図8に示すごとく、遮蔽層11、拡散層12、センサ層13、ダクト層14、ヒータ層15の順に複数のセラミック層を積層して構成されている。
また、ヒータ層15には、ダクト層14と対面する面に、通電により発熱する発熱体19と該発熱体19に通電するためのリード部191とが設けてあり、これら発熱体19やリード部191を設けた面とは反対側の面に、端子部192が設けてある。端子部192とリード部191との間は、導体を充填したスルーホール150により導通している。
また、センサ層13は、酸素イオン伝導性の固体電解質体であり、気孔率が2%以下の緻密なジルコニアセラミックよりなる。
また、ダクト層14は、気孔率が2%以下の緻密なアルミナセラミックよりなる。
また遮蔽層11及びヒータ層15は、ダクト層14と実質的に同材料よりなる。
ガスセンサ素子1を作製するに当たっては、セラミック原料にバインダ、分散剤、可塑剤等の有機物を混合してなるシート原料を成形して、各層を構成するセラミックシート11〜15を作製する。すなわち、本例では、遮蔽層となる遮蔽シート11、拡散層となる拡散シート12、センサ層となるセンサシート13、ダクト層となるダクトシート14、及びヒータ層となるヒータシート15を作製する。
そして、セラミック成分や焼成後に求められる気孔率が異なる複数種のセラミックシート11〜15を積層して一体焼成し、ガスセンサ素子1を作製する。
収縮率測定工程S21では、各セラミックシート11〜15について、所定温度で焼成した場合における、セラミックシート11〜15中に含有される有機物の体積割合を表す有機物体積割合とセラミックシート11〜15の焼成収縮率との関係を求める。
有機物体積割合選定工程S22では、収縮率測定工程において求めた有機物体積割合と焼成収縮率との関係から、すべてのセラミックシート11〜15が所望の略同じ焼成収縮率となるように、セラミックシート11〜15について有機物体積割合を選定する。
シート成形工程S41では、有機物体積割合選定工程において選定した有機物体積割合に基づいて、セラミック原料に有機物を混合してシート原料を作製し、該シート原料を成形してセラミックシート11〜15を作製する。
焼成工程S42では、セラミックシート11〜15を積層して一体焼成し、セラミック積層体1を作製する。
以下、これを詳説する。
そこで最初に、図1に示すごとく、拡散シート12の焼成後の気孔率を調整するための気孔率調整ステップS1を行う。気孔率調整ステップS1では、気孔率測定工程S11、混合比率選定工程S12、セラミック混合原料作製工程S13を順に行う。そして、拡散シート12のセラミック原料を予め調整し、拡散シート12の焼成後の気孔率を所望の値に制御することを考える。
まず、焼成後の気孔率を調整する拡散シート12のセラミック原料を準備する。
本工程においては、拡散シート12のセラミック原料として、粒径及びタップ密度の異なる2種類のアルミナ粉末a、b(調整用原料)を混合してなるアルミナ混合粉末(セラミック調整原料)を用いる。本例のアルミナ粉末aは、平均粒径0.3μm、タップ密度1.40g/ccであり、アルミナ粉末bは、平均粒径0.4μm、タップ密度0.81/ccである。
なお、本例では、粒径及びタップ密度の両方が異なる2種類の調整用原料を用いたが、粒径又はタップ密度のいずれか一方が異なる2種類の調整用原料を用いてもよい。
これにより、図2に示すごとく、拡散シート12におけるアルミナ粉末a、bの混合比率と気孔率との関係を求める。
次に、気孔率測定工程S11において求めた混合比率と気孔率との関係(図2)から、拡散シート12の焼成後の気孔率が14.6±0.6%の範囲内となるように、アルミナ粉末a、bの混合比率を選定する。
図2から知られるように、混合比率を2:8とすれば、気孔率が上記の範囲内となる。よって、本例では、アルミナ混合粉末におけるアルミナ粉末a、bの混合比率を2:8に選定した。
次に、混合比率選定工程S12において選定した混合比率に基づいて、アルミナ粉末a、bを2:8の割合で混合し、アルミナ混合粉末M12(セラミック調整原料)を作製する。
なお、その後の工程においては、拡散シート12のセラミック原料として、本工程で作製したアルミナ混合粉末M12を用いる。
なお、遮蔽シート11及びヒータシート15は、ダクトシート14と実質的に同材料のセラミックシートであるため、本例の焼成収縮率調整ステップS2においては、拡散シート12、センサシート13、及びダクトシート14の焼成収縮率を合わせる。
まず、各セラミックシート12〜14のセラミック原料を準備する。
本工程においては、拡散シート12のセラミック原料として、セラミック調整原料作製工程S13において作製したアルミナ混合粉末M12を用いる。また、センサシート13のセラミック原料として、イットリア等を固溶させたジルコニア粉末を用いる。また、ダクトシート14のセラミック原料として、平均粒径が小さく、タップ密度が高いアルミナ粉末cを用いる。
これにより、図3に示すごとく、セラミックシート12〜14における有機物体積割合と焼成収縮率との関係を求める。なお、図中には、測定値の近似直線を各セラミックシートについて示してある。
次に、収縮率測定工程S21において求めた有機物体積割合と焼成収縮率との関係(図3)から、すべてのセラミックシート12〜14が所望の略同じ焼成収縮率となるように、各セラミックシート12〜14について有機物体積割合を選定する。
本例では、アルミナ混合粉末M12を用いて作製した有機物体積割合50%の拡散シート12を基準にし、その他のセンサシート13、ダクトシート14の焼成収縮率を合わせる。これは、拡散シート12の焼成後の気孔率を調整した上で、焼成収縮率を合わせるからである。
図3から知られるように、基準となる拡散シート12の焼成収縮率は18%である。したがって本例では、焼成収縮率が18%となるように、センサシート13の有機物体積割合を38.5%、ダクトシート14の有機物体積割合を39%に選定した。言うまでもなく、拡散シート12の有機物体積割合は50%とする。
なお、プロファイル調整ステップS3においても、焼成収縮率調整ステップS2と同様に、拡散シート12、センサシート13、及びダクトシート14の焼成収縮率プロファイルを合わせる。また、アルミナ混合粉末M12を用いて作製した有機物体積割合50%の拡散シート12を基準とし、その他のセンサシート13、ダクトシート14の焼成収縮率プロファイルを合わせる。
まず、センサシート13及びダクトシート14のセラミック原料を準備する。
本工程においては、センサシート13、ダクトシート14のセラミック原料として、それぞれジルコニア粉末、アルミナ粉末cをスプレードライ法により造粒させたジルコニア造粒粉、アルミナ造粒粉(セラミック造粒粉)を粉脱脂した後、溶剤を混合し、ボールミルで解砕したジルコニア解砕粉末、アルミナ解砕粉末(セラミック解砕原料)を用いる。
これにより、図4に示すごとく、センサシート13の焼成収縮率プロファイルとジルコニア造粒粉の解砕時間(24、48時間)との関係を求める。また、図5に示すごとく、ダクトシート14の焼成収縮率プロファイルとアルミナ造粒粉の解砕時間(8、48時間)との関係を求める。
次に、解砕時間別プロファイル測定工程S31において求めた焼成収縮率プロファイルと解砕時間との関係(図4、図5)から、センサシート13、ダクトシート14の焼成収縮率プロファイルが、基準となる拡散シート12の焼成収縮率プロファイルに最も近くなるように、ジルコニア造粒粉、アルミナ造粒粉の解砕時間を選定する。
図4、図5から知られるように、本例では、ジルコニア造粒粉の解砕時間を24時間、アルミナ造粒粉の解砕時間を8時間に選定した。
次に、解砕時間選定工程S33において選定した解砕時間に基づいて、ジルコニア粉末、アルミナ粉末cを造粒させたジルコニア造粒粉、アルミナ造粒粉をそれぞれ24時間、8時間解砕して、ジルコニア解砕粉末M13、アルミナ解砕粉末M14(セラミック解砕原料)を作製する。
なお、その後の工程においては、センサシート13及びダクトシート14のセラミック原料として、本工程で求めたジルコニア解砕粉末M13及びアルミナ解砕粉末M14を用いる。
まず、セラミックシート11〜15(図7参照)を作製する。
拡散シート12を作製するに当たっては、アルミナ粉末a、bを2:8の割合で混合してなるアルミナ混合粉末M12を準備し、このアルミナ混合粉末M12にバインダ、分散剤、可塑剤等の有機物を混合して、拡散シート原料を作製する。そして、拡散シート原料をドクターブレード法により成形して、拡散シート12を作製する。このとき、拡散シート12の有機物体積割合が予め選定した50%となるように、アルミナ混合粉末M12に混合する有機物の量を調整しておく。
また、作製したセンサシート13には、被測定ガス側電極16、基準ガス側電極17、リード部161、171、端子部162、171、172、173を設けておく。また、スルーホール130を形成し、導体を充填しておく。
また、ヒータシート15には、発熱体19、リード部191、端子部192を設けておく。また、スルーホール150を形成し、導体を充填しておく。
次に、図7に示すごとく、作製したセラミックシート11〜15を、遮蔽シート11、拡散シート12、センサシート13、ダクトシート14、ヒータシート15の順に積層する。このとき、各セラミックシート同士を熱圧着等により圧着する。その後、最高温度1460℃で一体焼成する。
なお、本例の焼成時における拡散シート12、センサシート13、ダクトシート14(遮蔽シート11、ヒータシート15)の焼成収縮率プロファイルを図6に示す。最終的な焼成収縮率は、拡散シート12が18.02%、センサシート13が17.65%、ダクトシート14が17.87%であり、最大値と最小値との差が1%以下である。
本例の製造方法は、セラミックシート11〜15の焼成収縮率を合わせるための焼成収縮率調整ステップS2を行う。具体的には、収縮率測定工程S21において、各セラミックシート11〜15を焼成した場合における有機物体積割合と焼成収縮率との関係を求める。すなわち、セラミックシート11〜15における有機物体積割合によって、焼成収縮率がどのように変化するかを調べる。そして、有機物体積割合選定工程S22において、前工程で求めた有機物体積割合と焼成収縮率との関係から、すべてのセラミックシート11〜15が所望の略同じ焼成収縮率となるように、各セラミックシート11〜15について有機物体積割合を予め選定しておく。
また、セラミックシート11〜15の焼成収縮率プロファイルを調整するためのプロファイル調整ステップS3を行う。そのため、すべてのセラミックシート11〜15の焼成収縮率プロファイルをより近いものとすることができる。これにより、焼成時におけるセラミックシート11〜15の反り、剥離、亀裂等をさらに抑制することができ、得られるセラミック積層体1は、より一層寸法精度がよく、品質が高いものとなる。
また、複数種のセラミックシートの焼成収縮率及び焼成収縮率プロファイルを合わせるのであれば、図9(b)に示すごとく、焼成収縮率調整ステップS2、プロファイル調整ステップS3を順に行った後、積層体作製ステップS4を行えばよい。
また、複数種のセラミックシートの中に気孔率を調整すべきセラミックシートが含まれており、かつ、各セラミックシートの焼成収縮率を合わせるのであれば、図9(c)に示すごとく、気孔率調整ステップS1、焼成収縮率調整ステップS2を順に行った後、積層体作製ステップS4を行えばよい。
11 遮蔽シート(遮蔽層)
12 拡散シート(拡散層)
13 センサシート(センサ層)
14 ダクトシート(ダクト層)
15 ヒータシート(ヒータ層)
S1 気孔率調整ステップ
S2 収縮率調整ステップ
S21 収縮率測定工程
S22 有機物体積割合選定工程
S3 プロファイル調整ステップ
S4 積層体作製ステップ
S41 シート成形工程
S42 焼成工程
Claims (6)
- 複数種のセラミックシートを積層して一体焼成してなるセラミック積層体を製造する方法において、
上記各セラミックシートについて、セラミック原料に所定量の有機物を混合してなるシート原料を成形して上記セラミックシートを作製し、該セラミックシートを所定温度で焼成した場合における、上記セラミックシート中に含有される有機物の体積割合を表す有機物体積割合と上記セラミックシートの焼成収縮率との関係を求める収縮率測定工程と、
該収縮率測定工程において求めた有機物体積割合と焼成収縮率との関係から、すべての上記セラミックシートが所望の略同じ焼成収縮率となるように、上記各セラミックシートについて有機物体積割合を選定する有機物体積割合選定工程と、
該有機物体積割合選定工程において選定した有機物体積割合に基づいて、上記セラミック原料に有機物を混合して上記シート原料を作製し、該シート原料を成形して上記複数種のセラミックシートを作製するシート成形工程と、
上記複数種のセラミックシートを積層して一体焼成し、上記セラミック積層体を作製する焼成工程とを有し、
上記有機物体積割合選定工程後に、上記複数種のセラミックシートのうち、焼成時の焼成収縮率の挙動を表す焼成収縮率プロファイルを調整すべきプロファイル調整シートについて、上記セラミック原料を造粒させたセラミック造粒粉を所定時間解砕してなるセラミック解砕原料を用いて作製した上記プロファイル調整シートを焼成した場合における、焼成温度と焼成収縮率との関係によって表される焼成収縮率プロファイルを上記セラミック造粒粉の解砕時間別に求める解砕時間別プロファイル測定工程と、
該解砕時間別プロファイル測定工程において求めた焼成収縮率プロファイルと解砕時間との関係から、上記プロファイル調整シートの焼成収縮率プロファイルが、上記プロファイル調整シート以外の任意に選択したセラミックシートの焼成収縮率プロファイルに最も近くなるように、上記セラミック造粒粉の解砕時間を選定する解砕時間選定工程と、
該解砕時間選定工程において選定した解砕時間に基づいて、上記セラミック原料を造粒させた上記セラミック造粒粉を解砕し、上記セラミック解砕原料を作製するセラミック解砕原料作製工程とを行い、
その後の上記シート成形工程では、上記プロファイル調整シートの上記セラミック原料として、上記セラミック解砕原料作製工程において作製した上記セラミック解砕原料を用いることを特徴とするセラミック積層体の製造方法。 - 請求項1において、上記複数種のセラミックシートのうち、焼成後の気孔率を調整すべき気孔率調整シートについては、上記セラミック原料として、粒径又は/及びタップ密度の異なる2種類の調整用原料を混合してなるセラミック調整原料を用い、
かつ、上記収縮率測定工程前に、上記気孔率調整シートについて、上記セラミック調整原料を用いて任意に選定した有機物体積割合で作製した上記気孔率調整シートを焼成した場合における、上記セラミック調整原料における上記2種類の調整用原料の混合比率と上記気孔率調整シートの気孔率との関係を求める気孔率測定工程と、
該気孔率測定工程において求めた混合比率と気孔率との関係から、上記気孔率調整シートが焼成後に所望の気孔率となるように、上記調整用原料の混合比率を選定する混合比率選定工程と、
該混合比率選定工程において選定した混合比率に基づいて、上記2種類の調整用原料を混合し、上記セラミック調整原料を作製するセラミック調整原料作製工程とを行い、
その後、上記収縮率測定工程を行い、さらにその後の上記有機物体積割合選定工程では、すべての上記セラミックシートの焼成収縮率が、上記任意に選定した有機物体積割合で作製した上記気孔率調整シートと略同じとなるように、上記各セラミックシートについて有機物体積割合を選定し、上記解砕時間選定工程では、上記プロファイル調整シートの焼成収縮率プロファイルが、上記気孔率調整シートの焼成収縮率プロファイルに最も近くなるように、上記セラミック造粒粉の解砕時間を選定することを特徴とするセラミック積層体の製造方法。 - 請求項1又は2において、上記セラミック造粒粉は、上記セラミック原料をスプレードライ法により造粒させて作製することを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項において、上記シート成形工程では、上記シート原料をドクターブレード法により成形して上記セラミックシートを作製することを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項において、上記焼成工程において一体焼成された上記複数種のセラミックシートの焼成収縮率のうち、最大値と最小値との差が1%以下であることを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項において、上記セラミック積層体は、ガスセンサ素子に用いられることを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
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