JP5013745B2 - 色素化合物及びその製造方法、並びに該色素化合物を含有するインク - Google Patents

色素化合物及びその製造方法、並びに該色素化合物を含有するインク Download PDF

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Description

本発明は、色素化合物及びその製造方法、並びに該色素化合物を含有するインクに関する。
近年の記録技術の発展により、非常に簡便に高品質なフルカラー記録、画像出力が可能になっている。これに伴い、特にインクジェット記録には、銀塩写真に匹敵する高画質な画像を提供することが求められている。インクジェット記録では、フルカラーの画像を形成する際、減法混色に基づき画像を形成する。つまり、印刷の三原色インクであるイエローインク、マゼンタインク及びシアンインクを用いた色再現が行われている。このため、高画質なインクジェット画像を実現するためには、これらの三原色インクである、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクの何れもが、高明度、高彩度であることが必要とされる。
しかし、三原色インクで色相の全領域を表現しようとすると、発色性の良好な三原色インクを用いた場合であっても、三原色インクの混色によって表現される色領域においては、彩度が十分でなく、表現できる色再現領域が不十分となる場合がある。そこで、上記三原色インクに加え、色相空間においてそれぞれの三原色インクの中間にあたる色相角を持つ、いわゆる特色インクを用いて画像形成を行う方法が提案されている。三原色インクの中間にあたる色相角を持つ色のインクとしては、例えば、レッドインク、オレンジインク、グリーンインク、バイオレットインク及びブルーインク等の利用が提案されている。
一方、近年の使用の拡大に伴い、インクジェット記録によって得られた印刷物に対しては、長期保存が可能であることも要望される重要な特性の一つになっている。つまり、太陽光や各種照明光等による画像の変褪色(耐光性)や、大気中に微量に含まれる酸化性ガス(オゾン、NOX、SOX等)に対する画像の変褪色(耐ガス性)が、高度に抑制された耐候性に優れた画像が求められている。このため、上述したカラー画像の形成に用いられる色素化合物には、それ自身が良好な発色性を有していることに加え、他の複数の色素化合物を組み合わせたときに良好な中間色を発色することができること、更には得られる記録物が保存中に変褪色しないこと等が求められる。
これらの問題を解決すべく、高発色水溶性イエロー染料としてピリドンアゾ系色素化合物が提案され、フタロシアニン型色素化合物と組み合わせたグリーン用インクの製造方法が開示されている(特許文献1参照)。
又、ピリドンアゾ系色素化合物の耐光性を向上させる目的で、ジアゾ成分のアゾ基のオルト位にカルボン酸基を有する色素化合物が提案されている(特許文献2参照)。しかし、本発明者らの検討によれば、開示されている色素化合物においては、十分な耐候性、特に耐ガス性を有しないという問題があった。又、湿潤堅牢度に関しても十分な性能が得られていなかった。
一方、特許文献3においては、3位にアシル基が置換したピリドン化合物の製造方法が開示されている。しかし、本発明者らの検討によれば、この製造方法は、原料の入手性、適用範囲の制約、低収率である場合がしばしばである等の問題を有していた。又、水溶性化合物についての開示もされていない。
以上のように、色素自身が高発色で、高い耐候性を有し、他の色素化合物を組み合わせたときに良好な中間色を示し、更に得られる記録物が保存中に変褪色しないピリドンアゾ系色素化合物については、これまで知られていない。更には、このように優れたピリドンアゾ系色素化合物を、容易に入手或いは製造可能な原料から高収率で製造する方法はこれまで知られていない。
特開2001−288393公報 特表2003−510398公報 特開昭53−98972号公報
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、彩度、耐光性、耐ガス性及び耐湿堅牢度の高い黄色の色素化合物を提供するとともに、該色素化合物の工業的に有利な製造方法を提供することである。又、本発明の別の目的は、インク、特にインクジェット用インクとした場合に良好な色調を有し、しかも保存安定性に優れた画像を与えるインクを提供することである。更に、本発明の別の目的は、該色素化合物を銅フタロシアニン型色素化合物とともに用いることにより、良好なインク特性をもつグリーン用インクを提供することである。
上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち本発明は、下記一般式(1)で表わされることを特徴とする色素化合物である。
Figure 0005013745
[式(1)中、R1は、水素原子、エチル基、フェニル基の何れかを表わし、R2は、エチル基、水素原子の1つがメトキシ基に置換されたフェニル基、水素原子の1つがメトキシ基に置換され、且つ、水素原子の別の1つがスルホン酸基に置換されたフェニル基の何れかを表わし、R3は、メチル基又はフェニル基を表わし、Z1 は、水素原子を表わし、Z 2 は、水素原子、フッ素原子、スルホン酸基の何れかを表わし、Z 3 は水素原子を表わし、Yは、酸素原子又はイミノ基を表わし、Mはカウンターイオンを表わす。]
尚、上記のYにおけるイミノ基とは、NH、NH2 +、及びその塩(イミニウム塩)を含むものであり、後述する一般式(2)においても同様である。又、下記一般式(5)、(7)におけるNHは、NH及びその塩を含むものである。
又、本発明は、下記一般式(7)で表わされるイミン型色素化合物又はそのイミニウム塩を得る製造方法において、
Figure 0005013745
[式(7)中、R1 は、水素原子を表わし、R 2 は、エチル基又は水素原子のうちの1つがメトキシ基に置換されたフェニル基を表わし、R 3 は、メチル基を表わし、Z 1 は、水素原子を表わし、Z 2 は、スルホン酸基を表わし、Z 3 は、水素原子を表わし、Mはカウンターイオンを表わす。]
[1]下記一般式(3)で表わされるニトリル化合物を、下記一般式(4)で表わされるGrignard試薬と反応させて、下記一般式(5)で表わされるイミン型化合物又はそのイミニウム塩を得る第1の工程と、
[2]次いで、下記一般式(6)で表わされるアニリン誘導体のジアゾ成分とのカップリングを行う第2の工程とを有するイミン型色素化合物及びそのイミニウム塩の製造方法である。
Figure 0005013745
[式(3)中、R1 は、水素原子を表わし、R3は、メチル基を表わす。]
Figure 0005013745
[式(4)中、R2は、エチル基又は水素原子のうちの1つがメトキシ基に置換されたフェニル基を表わし、Xは臭素原子を表わす。]
Figure 0005013745
[式(5)中、R1 は、水素原子を表わし、R 2 は、エチル基又は水素原子のうちの1つがメトキシ基に置換されたフェニル基を表わし、R 3 は、メチル基を表わす。]
Figure 0005013745
[式(6)中、Z1 は、水素原子を表わし、Z 2 は、スルホン酸基を表わし、Z 3 は、水素原子を表わし、Mはカウンターイオンを表わす。]
又、本発明は、下記一般式(8)で表わされるカルボニル型色素化合物の製造方法であって、
Figure 0005013745
[式(8)中、R1 は、水素原子、エチル基、フェニル基、ベンジル基の何れかを表わし、R 2 は、エチル基、水素原子の1つがメトキシ基に置換され、且つ、水素原子の別の1つがスルホン酸基に置換されたフェニル基、1−プロピニル基、ビニル基、ヘキシル基、水素原子の一つがスルホン酸基に置換され、且つ、水素原子の別の1つがN,N−ジメチルアミノ基に置換されたフェニル基の何れかを表わし、R 3 は、メチル基、フェニル基、ベンジル基の何れかを表わし、Z 1 は、水素原子又はカルボキシル基を表わし、Z 2 は、水素原子、フッ素原子、スルホン酸基の何れかを表わし、Z 3 は、水素原子を表わし、Mはカウンターイオンを表わす。]
[1]前記一般式(7)で表わされるイミン型色素化合物又はそのイミニウム塩を得る製造方法の中間段階で得られる前記一般式(5)で表わされるイミン型化合物又はそのイミニウム塩を、加水分解して下記一般式(9)で表わされるカルボニル型化合物を得る工程と、
[2]次いで、得られた下記一般式(9)で表わされるカルボニル型化合物と前記一般式(6)で表わされるアニリン誘導体のジアゾ成分とをカップリングさせるカップリング工程とを有することを特徴とするカルボニル型色素化合物の製造方法である。
Figure 0005013745
[式(9)中、R1 は、水素原子、エチル基、フェニル基、ベンジル基の何れかを表わし、R 2 は、エチル基、水素原子の1つがメトキシ基に置換され、且つ、水素原子の別の1つがスルホン酸基に置換されたフェニル基、1−プロピニル基、ビニル基、ヘキシル基、水素原子の一つがスルホン酸基に置換され、且つ、水素原子の別の1つがN,N−ジメチルアミノ基に置換されたフェニル基の何れかを表わし、R 3 は、メチル基、フェニル基、ベンジル基の何れかを表わす。]
又、本発明は、少なくとも水性媒体及び色素化合物を含有するインクであって、上記色素化合物の少なくとも一つが、上記何れかに記載の色素化合物であることを特徴とするインクである。
又、本発明は、前記一般式(1)で表わされる色素化合物に加えて、更なる色素化合物として、銅フタロシアニン型色素化合物、特に、下記一般式(10)又は下記一般式(11)で表わされる銅フタロシアニン型色素化合物を含有してなることを特徴とするインクである。
Figure 0005013745
[式(10)中、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、−SO3M、−COOMを表わし(但しR4及びR5が同時に水素原子となる場合を除く)、Wは、塩素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基の何れかを表わす。フタロシアニン環への置換基の置換位置は、β位であり、Mはカウンターイオンを表わす。lは0乃至2、mは1乃至3、nは1乃至3の整数値を表わし、l+m+n=3又は4の整数値である。]
Figure 0005013745
[式(11)中、フタロシアニン環への置換基の置換位置は、β位であり、Mはカウンターイオンを表わす。]
本発明によれば、それ自身が高い彩度を有し、しかも、耐光性、耐ガス性及び耐湿堅牢度が高く、優れた耐候性を示す色素化合物が提供される。又、本発明によれば、上記の優れた色素化合物を工業的に有利に得ることができる色素化合物の製造方法が提供される。又、本発明によれば、上記の色素化合物をインクの色材として用いることで、高彩度で、しかも耐候性に優れる画像を与えることができる良好なインク、特に、有用なインクジェット記録用インクが提供される。更に、上記の色素化合物に加えて更なる色素化合物として銅フタロシアニン型色素化合物を用いたインクとすることで、特に、インクジェット記録用として有用なグリーンインクが提供される。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
[色素化合物]
本発明者らは、前記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、下記一般式(1)で表わされる色素化合物は、高い彩度を有し、しかも、耐光性、耐ガス性及び耐湿堅牢度が良好な画像を与えることのできる優れた色素であることを見出して本発明に至った。
Figure 0005013745
[式(1)中、R1は、水素原子、置換してもよいアルキル基、置換してもよいアリール基、置換してもよいアラルキル基の何れかを表わし、R2は、置換してもよいアルキル基、置換してもよいアリール基、置換してもよいアラルキル基、置換してもよいシクロアルキル基、置換してもよいアルケニル基、置換してもよいアルキニル基の何れかを表わし、R3は、置換してもよいアルキル基、置換してもよいアリール基、置換してもよいアラルキル基の何れかを表わし、Z1乃至Z3は、それぞれ独立して、水素原子又は任意の置換基を表わし、Yは、酸素原子又はイミノ基を表わし、Mはカウンターイオンを表わす。]
先ず、上記一般式(1)で表わされる色素化合物について詳述する。尚、本明細書では、各一般式(1)〜(9)で使用する記号は、上記一般式(1)で使用する各記号と同意義を有する。本明細書中の各一般式におけるR1、R2及びR3のアルキル基としては、特に限定されるものではないが、炭素数が1乃至8のアルキル基であることが好ましい。これは、炭素数が9以上のアルキル基である場合は、かかる構造を有する色素化合物が水に溶け難くなるためである。上記アルキル基の好ましい例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
又、上記したアルキル基に置換していてもよい基としては、本発明の色素化合物を工業的に有利に製造する場合に使用する後述する一般式(4)で表わされるGrignard試薬に対して不活性であれば特に限定されるものではない。例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ニトロ基及びイオン性基等が挙げられる。
本明細書中の各一般式におけるR1、R2及びR3のアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。又、これらのアリール基に置換していてもよい基としては、後述する一般式(4)で表わされるGrignard試薬に対して不活性であれば特に限定されるものではない。例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ニトロ基及びイオン性基等が挙げられる。特に、一般式(1)におけるR2が、少なくとも一つのイオン性基で置換されているアリール基であると、一般式(1)で表わされる色素化合物を画像形成に用いた場合に、優れた彩度を示すとともに、湿潤堅牢度に優れた画像を与えることから、特に好ましい。
本明細書中の各一般式におけるR1、R2及びR3のアラルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンジル基、2−フェネチル基等が挙げられる。又、これらのアラルキル基に置換していてもよい基としては、後述する一般式(4)で表わされるGrignard試薬に対して不活性であれば特に限定されるものではない。例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ニトロ基、イオン性基等が挙げられる。
本明細書中の各一般式におけるR2のシクロアルキル基としては、特に限定されるものではないが、炭素数が5乃至12のシクロアルキル基が好ましい。これは、R2が炭素数が13以上のシクロアルキル基である場合は、一般式(1)で表わされる色素化合物が水に溶け難くなるためである。
本明細書中の各一般式におけるR2のアルケニル基としては、特に限定されるものではないが、炭素数が1乃至8のアルケニル基が好ましい。これは、R2が炭素数が9以上のアルケニル基である構造の色素化合物である場合は、一般式(1)で表わされる色素化合物が水に溶け難くなるためである。R2におけるシクロアルキル基の好ましい例としては、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基等が挙げられる。
本明細書中の各一般式におけるR2のアルキニル基としては、特に限定されるものではないが、炭素数が1乃至8のアルキニル基が好ましい。これは、炭素数が9以上のアルキニル基とした場合は、色素化合物が水に溶け難くなるためである。好ましいアルキニル基の例としては、アセチレニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
又、本明細書中の各一般式のR2における上記で説明した、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基に置換していてもよい基としては、後述する一般式(4)で表わされるGrignard試薬に対して不活性であれば特に限定されるものではない。例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ニトロ基及びイオン性基等が挙げられる。
上記した前記一般式(1)で表わされる本発明の色素化合物において特に重要なものは、該一般式(1)におけるR1が水素原子であり、R3がメチル基である構造の下記一般式(2)で表わされる化合物である。
Figure 0005013745
これは、上記したような構造の前記一般式(2)で表わされる色素化合物を用いて画像を形成した場合には、画像の耐候性、特に耐オゾン性が向上するためである。
本明細書中の各一般式におけるZ1乃至Z3は、任意の置換基を表わす。任意の置換基とは、特に限定されるものではないが、下記のような置換基が挙げられる。例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アルキルエステル基及びイオン性基が挙げられる。中でも、各一般式におけるZ1乃至Z3の少なくとも一つがイオン性基であることが好ましい。これは、Z1乃至Z3の少なくとも一つをイオン性基とすることにより、該一般式(1)で表わされる色素化合物を画像形成に用いた場合に、耐候性、特に耐オゾン性が向上するため好ましい。
本明細書中におけるイオン性基とは、陽イオン性基と陰イオン性基の両方を含む。陽イオン性基としては、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アミノ基、イミノ基、ピリジニル基等が挙げられる。陰イオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、りん酸基等が挙げられる。
本明細書中の一般式(1)及び(2)におけるYは、酸素原子又はイミノ基を表わす。本明細書中のYにおけるイミノ基とは、NH、NH2 +、及びその塩(イミニウム塩)を含む。イミニウム塩の場合、そのカウンターイオンとしては、陰イオンを形成するものであれば特に限定されるものではない。しかし、合成の容易性から、本発明の色素化合物を工業的に有利に製造する場合に使用する後述する一般式(4)で表わされるGrignard試薬におけるXであることが好ましい。
本明細書中の各一般式におけるMはカウンターイオンを表わす。カウンターイオンとしては、陽イオンを形成するものであれば特に限定されるものではないが、下記のものが挙げられる。例えば、水素原子;
リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のイオン;
アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム;
エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム;
n−プロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム;
n−ブチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、イソブチルアンモニウム;
モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等のアンモニウム又は有機アンモニウムが挙げられる。上記した中でも特に好ましいのは、水素原子、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びアンモニウムである場合である。
尚、式中のMは、例えば、本発明の色素化合物を用いてインクジェット記録用の水性インクとした場合には解離してカウンターイオンとなると考えられるため「カウンターイオンを表わす」としたが、インク中で解離していないものを排除する意味ではない。他の色素化合物における「カウンターイオンを表わす」の語も同様である。
後述するように、本発明の色素化合物を工業的に有利に製造するためには、下記一般式(4)で表わされるGrignard試薬を使用する方法が有効である。下記一般式(4)において、R2は、先に述べた通りであるが、下記一般式(4)中のXは、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を表わす。
Figure 0005013745
[色素化合物の製造方法]
次に、上記したような構造を有する本発明の色素化合物の製造方法について説明する。本発明の色素化合物を工業的に有利に得ることができる製造方法としては、下記に述べる3種の方法がある。以下、これらの方法を、第1〜第3の製造方法として説明する。
(第1の製造方法)
本発明の色素化合物を得る方法の一つは、下記の2工程によって、下記一般式(7)で表わされるイミン型色素化合物又はそのイミニウム塩を製造する方法が挙げられる。尚、各一般式における各符号は先に説明した通りであるので、以下省略する。
Figure 0005013745
即ち、第1の工程では、先ず、下記一般式(3)で表わされるニトリル化合物を、前記した一般式(4)で表わされるGrignard試薬と反応させて、下記一般式(5)で表わされるイミン型化合物又はそのイミニウム塩を得る。
Figure 0005013745
次いで行う第2の工程では、上記第1の工程で得られたイミン型化合物又はそのイミニウム塩を、下記一般式(6)で表わされるアニリン誘導体のジアゾ成分とカップリングさせる。そして、該カップリング工程により、前記した一般式(7)で表わされるイミン型色素化合物又はそのイミニウム塩を製造する。
Figure 0005013745
上記した製造方法で使用する前記一般式(4)で表わされるGrignard試薬は、市販の試薬溶液をそのまま用いることもでき、又、調製して使用することもできる。前記一般式(4)のGrignard試薬を調製する場合には、対応する有機ハライド(R2X)とマグネシウム金属とから、一般的に知られた公知の方法で反応させて調製する。得られたGrignard試薬は、公知の手法に則り含有濃度の定量を行い、反応に使用する。
前記一般式(4)で表わされるGrignard試薬の使用量は、前記一般式(3)で表わされるニトリル化合物1.0モルに対して、通常、1.0モル以上20.0モル以下、好ましくは1.0モル以上10.0モル以下である。Grignard試薬の使用量が上記範囲よりも多い場合、経済的に不利になるだけでなく、過剰に残ったGrignard試薬が副反応を引きおこす可能性があるので好ましくない。
上記した第1の工程において、前記一般式(3)で表わされるニトリル化合物と、前記一般式(4)で表わされるGrignard試薬との反応に用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限されない。例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;
ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒等;
の単独又は混合溶媒が挙げられる。かかる溶媒の使用量は特に制限されないが、通常、前記一般式(3)で表わされるニトリル化合物に対して100質量倍以下であるのが好ましい。前記一般式(3)で表わされるニトリル化合物と、前記一般式(4)で表わされるGrignard試薬との反応温度は、通常−76℃〜反応液の還流温度の範囲、好ましくは0℃〜反応液の還流温度の範囲である。
上記した第2の工程において行うカップリング工程は、公知の方法により行うことができる。即ち、第2の工程では、前記一般式(5)で表わされるイミン型化合物又はそのイミニウム塩と、前記一般式(6)で表わされるアニリン誘導体のジアゾ成分とをカップリングさせて、前記一般式(7)で表わされるイミン型色素化合物又はそのイミニウム塩を得る。具体的なカップリング方法としては、例えば、下記のような方法が挙げられる。先ず、水溶媒中、前記一般式(6)で表わされるアニリン誘導体を、塩酸又は硫酸等の無機酸の存在下、亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩と反応させて、対応するジアゾニウム塩に変換する。次に、このジアゾニウム塩を前記一般式(5)で表わされるイミン型化合物又はそのイミニウム塩とカップリング反応させ、前記一般式(7)で表わされるイミン型色素化合物又はそのイミニウム塩を製造する。
(第2の製造方法)
本発明の色素化合物を得る他の方法としては、下記の方法によって、下記一般式(8)で表わされるカルボニル型色素化合物を製造する方法が挙げられる。即ち、前記のようにして得た一般式(7)で表わされるイミン型色素化合物又はそのイミニウム塩を加水分解して、下記一般式(8)で表わされるカルボニル型色素化合物を製造する。
Figure 0005013745
前記一般式(7)で表わされるイミン型色素化合物及びそのイミニウム塩を加水分解して前記一般式(8)で表わされるカルボニル型色素化合物を得る反応は、通常、塩酸、硫酸等の無機酸を用いて行うのが好ましい。酸の濃度は特に限定されないが、前記一般式(7)で表わされるイミン型色素化合物及びそのイミニウム塩1.0モルに対し、0.1モル以上50.0モル以下が好ましい。反応は、0℃乃至反応液の還流温度の範囲で行うことが好ましい。
(第3の製造方法)
本発明の色素化合物を得る他の方法としては、下記の方法によって、下記一般式(8)で表わされるカルボニル型色素化合物を製造する方法が挙げられる。即ち、前記の方法により得た前記一般式(5)で表わされるイミン型化合物又はそのイミニウム塩を加水分解して前記一般式(9)で表わされるカルボニル型化合物を得る。次いで、前記一般式(6)で表わされるアニリン誘導体のジアゾ成分とのカップリングを行う。そして、該カップリング工程により、前記一般式(8)で表わされるカルボニル型色素化合物を製造する。
Figure 0005013745
前記一般式(5)で表わされるイミン型化合物又はそのイミニウム塩を加水分解して前記一般式(9)で表わされるカルボニル型化合物を得る反応は、通常、塩酸、硫酸等の無機酸を用いて行うのが好ましい。酸の濃度は特に限定されないが、前記一般式(5)で表わされるイミン型化合物及びそのイミニウム塩1.0モルに対し、0.1モル以上50.0モル以下が好ましい。反応は、0℃〜反応液の還流温度の範囲で行うことが好ましい。
前記一般式(9)で表わされるカルボニル型化合物と、前記一般式(6)で表わされるアニリン誘導体のジアゾ成分とをカップリングさせることによって、前記一般式(8)で表わされるカルボニル型色素化合物を製造する反応は、公知の方法により行うことができる。例えば、先ず、水溶媒中で前記一般式(6)で表わされるアニリン誘導体を塩酸又は硫酸等の無機酸の存在下、亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩と反応させて、対応するジアゾニウム塩に変換する。次に、このジアゾニウム塩を前記一般式(9)で表わされるカルボニル型化合物とカップリング反応させ、前記一般式(8)で表わされるカルボニル型色素化合物を製造する。
[同定方法]
上記したような反応によって得られる最終生成物は、通常の有機合成反応の後処理方法に従って処理した後、精製を行うことで目的の用途に用いる。又、得られた反応生成物の同定は、下記に挙げる装置を用いた複数の分析方法によって行った。即ち、使用した分析装置は、1H及び13C核磁気共鳴分光分析(ECA−400、日本電子(株)製)、高速液体クロマトグラフィー(LC−20A、(株)島津製作所製)、LC/TOF MS(LC/MSD TOF、Agilent Technologies社製)、UV/Vis分光光度計(U−3310形分光光度計、(株)日立製作所製)である。
[インク]
以上説明した本発明の色素化合物は、鮮やかな色調を有し、その優れた分光特性により、着色剤、好ましくは画像情報の記録用材料として用いることができる。具体的には、以下に詳述する、インクジェット用インクを始めとして、その他、印刷用インク、塗料又は筆記具用インクの材料(色材)として好適に用いることができる。
次に、インクジェット用インクとして好適に用いることができる、本発明の色素化合物を含有するインクの製造方法について説明する。前記一般式(1)で表わす色素化合物は、液媒体に溶解又は(及び)分散させることで、インクとして利用可能なインク組成物を作製できる。特に好ましくは、液媒体として水性媒体を用いる場合である。インクジェット用インクとする場合は、インク100質量部中に、上記色素化合物を0.2質量部以上10質量部以下の範囲で含有させるようにすることが好ましい。
上記の場合に使用する水性媒体としては、水、又は水と水溶性有機溶剤との混合媒体を使用できる。この際に使用する水溶性有機溶剤は、水溶性を示すものであれば特に制限はなく、例えば、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶剤、含硫黄極性溶剤等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、インクの保湿性維持や色材の溶解性向上、インクの記録紙への効果的な浸透等を考慮すると、水溶性有機溶剤のインク中における含有量は、インク全体の1質量%以上40質量%以下の範囲とすることが好ましい。より好ましくは3質量%以上30質量%以下の範囲とする。又、インク中の水の含有量は、インク全体の30質量%以上95質量%以下の範囲とすることが好ましい。このようにすれば、本発明の色素化合物を含む色材のインク中における分散性、或いは溶解性を良好なものとできる。特に、インクジェット記録用とした場合に安定したインク吐出のための粘度を有し、且つ、ノズル先端における目詰まりを生じさせないようにすることができる。
本発明の色素化合物を含むインクの構成成分としては、イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤のような化学合成された界面活性剤を用いることができる。その他、天然物由来及びこれを酵素等により改質したものも用いることができる。これらの界面活性剤は、単独若しくは併用して用いることができる。インク中における界面活性剤の総含有量は、本発明の色素化合物の分散安定性を良好に保つ目的から、インク全体の0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
上記界面活性剤としてはその種類に特に制限はない。イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩;
N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩;
アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、直鎖又は分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩;
N−メチル−N−アシルタウリン塩;
アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、油脂硫酸エステル塩;
アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩等のアニオン性界面活性剤や;
アルキルアミン塩類、塩化、臭化又はヨウ化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化、臭化又はヨウ化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウム、塩化アルキルピリジニウム等のカチオン性界面活性剤;
アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキル又はジアルキルジエチレントリアミノ酢酸、アルキルアミンオキシド等の両性界面活性剤が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル;
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール;
脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
又、高分子界面活性剤としては、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合物塩、スチレン−マレイン酸共重合物塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物塩、ポリリン酸等の陰イオン性高分子;
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール等の非イオン性高分子等が挙げられる。
一方、天然物由来及びこれを酵素等により改質した界面活性剤としては、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質;
アラビアゴム等の天然ゴム;
サポニン等のグルコキシド、アルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース誘導体;
リグニンスルホン酸塩;
セラック等の天然高分子や、レシチン、酵素分解レシチンといった食品用界面活性剤が挙げられる。
本発明の色素化合物を用いてインクを製造する場合におけるインクのpHは特に限定されるものではないが、安全性等の面を考慮すると、pH4.0乃至11.0の範囲内のものが好ましい。又、インクジェット用インクを作製する場合には、インクの保湿性維持のために、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等の保湿性固形分もインク成分として用いてもよい。尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等、保湿性固形分のインク中の含有量は、一般には、インクに対して0.1質量%以上20.0質量%以下の範囲が好ましく、より好ましくは3.0質量%以上10.0質量%以下の範囲である。
更に、インクとする場合には、上記成分以外にも、必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー等、種々の添加剤を含有させてもよい。
本発明の別の一実施態様にかかる記録用インクは、上記した本発明の色素化合物に加えて、更に、銅フタロシアニン型色素化合物を含有するインクが挙げられる。特に好ましくは、前記一般式(1)で表わされる色素化合物と、銅フタロシアニン型色素化合物が、両者の質量比で、10:1乃至1:10の範囲で含有されて、グリーン色色調用に調製されている記録用インクである。
銅フタロシアニン型色素化合物としては、既存のものも含めて何でも使用可能であるが、特に好ましくは、前記した構造の一般式(10)或いは一般式(11)で表わされる化合物が挙げられる。これらの化合物は特に、耐候性、発色性に優れており、本発明のピリドンアゾ系染料と混合した際の効果が大きいためである。これらの着色剤の使用に関しては、前記した一般式(10)或いは一般式(11)で表わされる銅フタロシアニン型色素化合物から選択して1種単独で又は2種以上を混合して用いることも可能である。
以上説明したようにして、本発明の色素化合物を用いて調製されたインクは、熱エネルギーの作用により液滴を吐出させて記録を行うインクジェット記録方式にとりわけ好適に用いられる。本発明の色素化合物は、他のインクジェット記録方法に適用するインクや、一般の筆記用具等の材料としても使用できることはいうまでもない。又、本発明の色素化合物は、着色剤としての用途にとどまらず、光記録用色素やカラーフィルター用色素等の電子材料への応用にも十分に適用できる。
[インクジェット記録方法及び装置]
次に、本発明のインクジェット記録方法に用いることができる記録装置について説明する。本発明のインクを用いて記録を行うのに好適な記録装置としては、これらのインクが収容されるインク収容部を有する記録ヘッドの室内のインクに、記録信号に対応した熱的又は力学的エネルギーを与え、該エネルギーによりインク液滴を発生させる装置が挙げられる。
図3に、このヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示した。図3において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端は、ブレード保持部材によって保持されて、固定端となりカンチレバーの形態をなす。ブレード61は、記録ヘッドによる記録領域に隣接した位置に配設され、又、図3に示した例の場合は、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持される。62はキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配設され、記録ヘッドの移動方向と垂直な方向に移動して、吐出面と当接しキャッピングを行う構成を具える。更に、図3中の63は、ブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持される。
上記ブレード61、キャップ62、吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及び吸収体63によってインク吐出口面の水分、塵やほこり等の除去が行われる。65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は、記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモータ68によって駆動されるベルト69と接続している。これにより、キャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
51は、記録媒体を挿入するための給紙部、52は不図示のモータにより駆動される紙送りローラである。これらの構成によって記録ヘッドの吐出口面と対向する位置へ記録媒体が給紙され、記録が進行するにつれて、排紙ローラ53を配した排紙部へ排紙される。
上記構成において、記録ヘッド65が記録終了等でホームポジションに戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。この結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中へ突出するように移動する。
記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上記したワイピング時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても、記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。上記した記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って、上記ワイピングが行われる。
図4は、ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ45の一例を示す断面図である。ここで40は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能にできる。44は廃インクを受容するインク吸収体である。
本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、上記の如きヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図5に示すようにそれらが一体になったものも好適に用いられる。図5において、70は記録ユニットであって、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数のオリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。72は記録ユニット内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は、図3で示す記録ヘッド65に代えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
図6に、上述のインクジェット記録装置に搭載可能なインクジェットカートリッジの一例を示した。本例におけるカートリッジ1012は、シリアルタイプのものであり、インクジェット記録ヘッド100と、インク等の液体を収容するための液体タンク1001とで主要部が構成されている。インクジェット記録ヘッド100は、液体を吐出するための多数の吐出口832が形成されており、インク等の液体は、液体タンク1001から図示しない液体供給通路を介して液体吐出ヘッド100の共通液室へと導かれるようになっている。図6に示したカートリッジ1012は、インクジェット記録ヘッド100と液体タンク1001とを一体的に形成し、必要に応じて液体タンク1001内に液体を補給できるようにしたものであるが、この液体吐出ヘッド100に対し、液体タンク1001を交換可能に連結した構造を採用するようにしてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、文中「部」及び「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[実施例1]
下記のようにして、前記した一般式(1)で表わされる色素化合物(14)、色素化合物(16)、更には、色素化合物(17)〜(33)を得た。
<合成例1>
合成例1では、下記のようにして、前記一般式(5)において、R1が水素原子、R2がエチル基、R3がメチル基である下記の構造を有する化合物(12)を製造した。
Figure 0005013745
2,6−ジヒドロキシ−4−メチル−3−ピリジンカルボニトリルを10gと、臭化エチルマグネシウム1.0Mのテトラヒドロフラン溶液200mLとを10時間還流した。この溶液を冷却し、析出した結晶を濾別した。結晶を水200mLに分散させ、1.0Mの水酸化ナトリウム水溶液で中和、溶解した。これを、電気透析により脱塩した後、乾燥させることによって、上記構造を有する化合物(12)を白色粉末の粗体として10.5g得た。この粗体は、分離せずに以下の合成例2の工程に使用した。
<合成例2>
合成例2では、下記のようにして、前記一般式(9)において、R1が水素原子、R2がエチル基、R3がメチル基である下記の構造を有する化合物(13)を製造した。
Figure 0005013745
先に、合成例1で得た化合物(12)の粗体10.5gを2.0Mの塩酸溶液200mLに分散し、60℃で3時間加熱した。この溶液を冷却し、析出した結晶を濾別した。次に、得られた結晶を水200mLに分散させ、1.0M水酸化ナトリウム水溶液で中和、溶解した。これを電気透析により脱塩した後、乾燥させることにより、上記構造を有する化合物(13)を白色粉末の粗体として10.0g得た。この粗体は分離せずに、以下の合成例3の工程に使用した。
<合成例3>
(下記色素化合物(14)の製造)
合成例3では、前記一般式(1)において、R1が水素原子、R2がエチル基、R3がメチル基、Yが酸素原子、Z1及びZ3が水素原子、Z2が−SO3M、Mがナトリウムである下記の構造を有する色素化合物(14)を製造した。
Figure 0005013745
5−スルホアントラニル酸を13.0g、水を100mL、及び35%の塩酸溶液5.0mLを混合し、混合溶液を5℃以下まで冷却した。これに亜硝酸ナトリウム4.2gを添加して1時間撹拌してジアゾ化液を得た。別途、合成例2で得た化合物(13)の白色粉末を10.0g、メタノール100mLを混合し、溶液を5℃以下まで冷却した。そして、得られたこの化合物(13)を含有する溶液に、先に得たジアゾ化液をゆっくりと滴下し、10時間撹拌した。その後、析出した結晶を濾別し、充分な水で洗浄した。更に、得られた結晶を500mLの水に分散させ、1.0M水酸化ナトリウム水溶液で中和、溶解した。この水溶液を電気透析により脱塩した後、乾燥させることによって前記した構造の化合物(14)の黄色粉末21.2gを得た。得られたものが上記の構造を有することは、先に述べた装置及び条件で、NMR分析、質量分析、HPLC分析及びUV/Vis分光分析を行って確認した。以下に、得られた各分析結果を示した。
[化合物(14)についての分析結果]
[1]1H NMR(400MHz、DMSO−d6、室温)の結果[図1]:
δ[ppm]=1.02(t、3H)、2.73(q、2H)、7.60(d、1H)、7.60(dd、1H)、7.73(d、1H)、8.29(s、1H)、7.60−7.69(m、2H)、8.00(d、1H)
[2]13C NMR(100MHz、D2O、室温)の結果:
δ[ppm]=8.7、15.4、39.2、117.8、124.9、127.8、129.7、130.1、130.6、139.5、145.9、150.8、165.1、168.8、173.9、213.2
[3]質量分析(ESI−TOF)の結果:
m/z=430.03(M−Na)-
[4]HPLCの結果:
純度=93.9面積%、保持時間12.1分(0.1mM TFA溶液−MeOH)
[5]UV/Vis分光分析の結果:
λmax=430.5nm、ε=38993M-1cm-1(溶剤:H2O、室温中)
<合成例4>
(別法による前記色素化合物(14)の製造)
5−スルホアントラニル酸を13.0g、水を100mL、及び35%の塩酸5.0mLを混合し、溶液を5℃以下まで冷却した。これに亜硝酸ナトリウム4.2gを添加して1時間撹拌してジアゾ化液を得た。別途、合成例1で製造した前記化合物(12)の粗体10.5gと、メタノール100mLとを混合し、この混合溶液を5℃以下まで冷却した。次いで、この液中に、先に得たジアゾ化液をゆっくりと滴下し、10時間撹拌した。その後、析出した結晶を濾別し、充分な水で洗浄した。得られた結晶を2.0Mの塩酸200mLに分散し、60℃で3時間加熱した。この溶液を冷却し、結晶を濾別した。得られた結晶を500mLの水に分散させ、1.0Mの水酸化ナトリウム水溶液で中和、溶解した。この水溶液を電気透析により脱塩した後、乾燥させることによって化合物(14)の黄色粉末22.5gを得た。得られた化合物について、先に述べた装置及び条件で、NMR分析、質量分析、HPLC分析及びUV/Vis分光分析を行ったところ、その結果は、合成例3で得られたものと一致した。
<合成例5>
合成例5では、下記のようにして、前記一般式(5)において、R1が水素原子、R2がp−メトキシフェニル基、R3がメチル基である化合物(15)の製造を行った。
Figure 0005013745
2,6−ジヒドロキシ−4−メチル−3−ピリジンカルボニトリル10.0gを、臭化p−メトキシフェニルマグネシウム1.0Mのテトラヒドロフラン溶液200mLとともに10時間還流した。この溶液を冷却し、析出した結晶を濾別した。結晶を水200mLに分散させ、1.0Mの水酸化ナトリウム水溶液で中和、溶解した。これを、電気透析により脱塩した後、乾燥させることにより、化合物(15)を白色粉末の粗体として15.4g得た。この粗体は分離せずに、以下の合成例6の工程に使用した。
<合成例6>
(色素化合物(16)の製造)
前記一般式(1)において、R1が水素原子、R2がp−メトキシフェニル基、R3がメチル基、Yがイミノ基、Z1及びZ3が水素原子、Z2が−SO3M、Mがナトリウムである下記の構造を有する色素化合物(16)の製造を行った。
Figure 0005013745
5−スルホアントラニル酸を13.0g、水を100mL、及び35%の塩酸溶液5.0mLを混合し、溶液を5℃以下まで冷却した。これに亜硝酸ナトリウム4.2gを添加して1時間撹拌して、ジアゾ化液を得た。別途、合成例5で製造した化合物(15)の白色粉末15.4gを、メタノール100mLに混合した後、混合溶液を5℃以下まで冷却した。次いで、この溶液中に、先に得たジアゾ化液をゆっくりと滴下し、10時間撹拌した。その後、析出した結晶を濾別し、充分な水で洗浄した。得られた結晶を500mLの水に分散させ、1.0Mの水酸化ナトリウム水溶液で中和、溶解した。この水溶液を電気透析により脱塩した後、乾燥させることにより化合物(16)の黄色粉末23.7gを得た。得られたものが上記化合物(16)の構造を有することは、先に述べた装置及び条件で、NMR分析、質量分析、HPLC分析及びUV/Vis分光分析を行うことで確認した。以下に分析結果を示す。
[化合物(16)についての分析結果]
[1]1H NMR(400MHz、DMSO−d6、室温)の結果:
δ[ppm]=2.10(s、3H)、2.38(s、3H)、7.14(d、2H)、7.84(d、1H)、7.94(d、1H)、8.07(d、2H)、8.24(s、1H)
[2]13C NMR(100MHz、DMSO−d6、室温)の結果:
δ[ppm]=15.0、56.0、113.8、115.0、115.2、115.6、123.9、126.0、128.7、129.7、131.5、132.6、143.3、144.0、149.3、160.7、162.0、165.2、167.4
[3]質量分析(ESI−TOF)の結果:
m/z=507.06(M−Na)-
[4]HPLCの結果:
純度=93.2面積%、保持時間5.79分(0.1mM TFA溶液−MeOH)
[5]UV/Vis分光分析の結果:
λmax=438.0nm、ε=46392M-1cm-1(溶剤:H2O、室温中)
上記した合成例3及び6で得られた色素化合物(14)及び(16)について、それぞれの紫外可視吸収スペクトルを図2に示した。図2より、これらの実施例の色素化合物は、良好なイエロー色の色素であることがわかった。
<その他の合成例>
上記合成例に準じた方法で、前記一般式(1)中の、R1乃至R3、Z1乃至Z3、Y、及びMが、それぞれ表1に示したものとなる構造の新規色素化合物(17)〜(33)を得た。これらの化合物の構造は、前記した色素化合物(14)の場合と同様の装置及び方法で、NMR分析、質量分析、UV/Vis分光分析及びHPLC分析を行って確認した。
Figure 0005013745
[実施例2]
<イエローインクの調製例1>
前記色素化合物(14)を3.5部、アセチレノールEH(川研ファインケミカル(株)製)を1部、エチレングリコールを7.5部、グリセリンを7.5部、及び尿素7.5部を加えた後、全体で100部となるようにイオン交換水を加えた。そして、これらの成分を十分に撹拌して溶解させ、イエローインク(A)を作成した。
<イエローインクの調製例2>
インクの調製例1で使用した色素化合物(14)を色素化合物(16)に変更した以外は同様の操作を行って、イエローインク(B)を調製した。
<イエローインクの調製例3>
インクの調製例1で使用した色素化合物(14)を色素化合物(17)に変更した以外は同様の操作を行って、イエローインク(C)を調製した。
<イエローインクの調製例4>
インクの調製例1で使用した色素化合物(14)を色素化合物(18)に変更した以外は同様の操作を行って、イエローインク(D)を調製した。
<イエローインクの調製例5>
インクの調製例1で使用した色素化合物(14)を色素化合物(20)に変更した以外は同様の操作を行って、イエローインク(E)を調製した。
<イエローインクの調製例6>
インクの調製例1で使用した色素化合物(14)を色素化合物(22)に変更した以外は同様の操作を行って、イエローインク(F)を調製した。
<イエローインクの調製例7>
インクの調製例1で使用した色素化合物(14)を色素化合物(23)に変更した以外は同様の操作を行って、イエローインク(G)を調製した。
<イエローインクの調製例8>
インクの調製例1で使用した色素化合物(14)を色素化合物(27)に変更した以外は同様の操作を行って、イエローインク(H)を調製した。
<イエローインクの調製例9>
インクの調製例1で使用した色素化合物(14)を色素化合物(28)に変更した以外は同様の操作を行って、イエローインク(I)を調製した。
<比較用イエローインクの調製例1>
インクの調製例1で使用した色素化合物(14)を、下記の構造の比較化合物(1)に変更した以外は同様の操作を行って、比較用のイエローインク(J)を調製した。
Figure 0005013745
<比較用イエローインクの調製例2>
インクの調製例1で使用した色素化合物(14)を、下記の構造の比較化合物(2)に変更した以外は同様の操作を行って、比較用のイエローインク(K)を調製した。
Figure 0005013745
<グリーンインクの調製例1>
前記した色素化合物(27)を4.0部、下記の銅フタロシアニン型の色素化合物(34)を1.0部、アセチレノールEH(川研ファインケミカル(株)製)を1部、エチレングリコールを7.5部、グリセリンを7.5部、尿素を7.5部加えた後、全体で100部となるようにイオン交換水を加えた。そして、これらの成分を十分に撹拌して溶解させ、グリーンインク(L)を作成した。
Figure 0005013745
[上記化合物(34)中、l=0乃至2、m=1乃至3、n=1乃至3、但し、l+m+n=3又は4を表わす。]
<グリーンインクの調製例2>
グリーンインクの調製例1で使用した前記色素化合物(34)を、下記の銅フタロシアニン型の色素化合物(35)に変更した以外は同様の操作を行い、グリーンインク(M)を調製した。
Figure 0005013745
<シアンインクの調製例>
イエローインクの調製例1で使用した色素化合物(14)をC.I.Direct Blue199に変更した以外は同様の操作を行い、シアンインク(N)を調製した。
<評価>
上記のイエローインクの調製例1〜9、比較用イエローインクの調製例1、2で得たイエローインク(A)〜(K)、及びグリーンインクの調製例1、2で得たグリーンインク(L)及び(M)について、下記のようにして評価した。これらのインクをそれぞれ、キヤノン(株)製バブルジェット(登録商標)プリンタPIXUS950iのインクカートリッジに充填した。そして、上記インクジェットプリンタにて、キヤノン(株)製写真光沢紙プロフェッショナルフォトペーパー(PR−101紙)に2cm四方のベタ画像を、5%duty〜100%dutyまで5%刻みで印字させて記録物を作成した。そして、得られた記録物を24時間自然乾燥して、評価用の記録物とした。
[彩度]
上記方法で得た写真光沢紙上の各記録物を反射濃度計Spectrolino(GretagMacbeth社製)にてL***表色系における光学濃度及び色度(L*、a*、b*)を測定した。彩度は色特性の測定値に基づき、下記式によって算出した。
彩度(c*)=√{(a*2+(b*2
評価基準は以下の通りである。即ち、イエローインクの場合、c*=100の時のL*の値によって下記の基準で評価し、L*が90以上であれば、高品質な印字物が得られると判断した。
◎:L*≧93
○:93>L*≧90
×:L*<90
又、グリーンインクの場合は、c*=80の時のL*値によって下記の基準で評価した。この場合は、L*が75以上であれば、高品質な印字物が得られると判断した。
◎:L*≧80
○:80>L*≧75
×:L*<75
[耐光性]
得られた記録物をキセノン試験装置(XL−750、スガ試験機(株)製)に投入し、温度24℃、湿度60%の条件下、100klxの雰囲気下に168時間曝露した。そして、記録物の反射濃度を試験前後で測定し、これらの値を用いて下記の方法で評価した。初期のイエロー画像濃度をY0とし、曝露後のイエロー画像濃度をYfとし、これらの値からイエロー濃度残存率({Yf/Y0}×100[%])を算出した。得られたイエロー濃度残存率を用いて、下記の評価基準で評価を行った。即ち、濃度残存率が70%以上であれば、良好な耐光性であると判断した。
◎:イエロー濃度残存率80%以上
○:イエロー濃度残存率70%以上、80%未満
×:イエロー濃度残存率70%未満
[耐ガス性]
得られた記録物をオゾンウェザーメーター(OMS−H、スガ試験機(株)製)にて、オゾン濃度10ppm、温度24℃、相対湿度60%の雰囲気下で記録物を4時間曝露した。そして、記録物の反射濃度を試験前後で測定した。得られた結果は耐光性の場合と同様の基準で判断した。
[湿潤堅牢度]
上記イエローインクの調製例1〜9、比較用イエローインクの調製例1及び2で得たイエローインク(A)〜(K)、及びグリーンインクの調製例1及び2で得たグリーンインク(L)及び(M)を、上記シアンインクの調製例により調製したシアンインク(N)を組み合わせて、各インクの重ね合わせの画像を形成した。具体的には、シアンインクを100%duty、イエローインク又はグリーンインクを100%dutyで記録媒体に付与して、各画像を形成した。尚、記録物の作成をする記録媒体には、キヤノン(株)製バブルジェット(登録商標)プリンタPIXUS950i、及びキヤノン(株)製写真光沢紙プロフェッショナルフォトペーパー(PR−101紙)を用いた。得られた記録物を温度24℃、湿度60%の環境で48時間放置し、その後、温度30℃、湿度80%の環境で168時間放置した。放置した後の記録物について、マイグレーションによる色調変化を目視により確認した。湿潤堅牢度の基準は以下の通りである。評価結果を表2に示す。
◎:マイグレーションによる滲みがない
○:マイグレーションによる問題とならない程度の滲みがある
×:マイグレーションによる問題となる滲みがある
各インクに用いた色素の種類及び、インクの液性と共に表2に示した。
Figure 0005013745
表2より、本発明の色素化合物を用いたインクは、彩度、耐光性、耐ガス性及び湿潤堅牢度が良好であることから、イエローインク用色素化合物として、及びグリーンインク用色素化合物として有用であることが確認された。特に、前記一般式(2)で表わされる化合物は、耐光性、耐ガス性が特に良好であることが確認された。
本発明の活用例としては、本発明の色素化合物は種々の用途に適用可能である。即ち、着色剤としての用途にとどまらず、光記録用色素やカラーフィルター用色素等の電子材料への応用にも十分に適用できる。
本発明の色素化合物(14)のDMSO−d6中、室温、400MHzにおける1H NMRスペクトルを表わす図である。 本発明にかかる色素化合物(14)(破線)、色素化合物(16)(一点鎖線)と、比較化合物(2)(実線)の、水中、室温における紫外可視吸収スペクトル(濃度:2.0×10-5M)を表わす図である。 インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。 インクカートリッジの縦断面図である。 記録ユニットの斜視図である。 液体吐出ヘッドを備えたインクジェットカートリッジの一例を示す概略斜視図である。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表わされることを特徴とする色素化合物。
    Figure 0005013745
    [式(1)中、R1は、水素原子、エチル基、フェニル基の何れかを表わし、R2は、エチル基、水素原子の1つがメトキシ基に置換されたフェニル基、水素原子の1つがメトキシ基に置換され、且つ、水素原子の別の1つがスルホン酸基に置換されたフェニル基の何れかを表わし、R3は、メチル基又はフェニル基を表わし、Z1 は、水素原子を表わし、Z 2 は、水素原子、フッ素原子、スルホン酸基の何れかを表わし、Z 3 は水素原子を表わし、Yは、酸素原子又はイミノ基を表わし、Mはカウンターイオンを表わす。]
  2. 前記一般式(1)中、R 1 は、水素原子を表わし、Z 2 は、スルホン酸基を表わし、且つ、R 2 がエチル基のとき、R 3 はフェニル基である請求項1に記載の色素化合物。
  3. 下記一般式(7)で表わされるイミン型色素化合物又はそのイミニウム塩を得る製造方法において、
    Figure 0005013745
    [式(7)中、R1は、水素原子を表わし、R2は、エチル基又は水素原子のうちの1つがメトキシ基に置換されたフェニル基を表わし、R3は、メチル基を表わし、Z1 は、水素原子を表わし、Z 2 は、スルホン酸基を表わし、Z 3 は、水素原子を表わし、Mはカウンターイオンを表わす。]
    下記一般式(3)で表わされるニトリル化合物を、下記一般式(4)で表わされるGrignard試薬と反応させて下記一般式(5)で表わされるイミン型化合物又はそのイミニウム塩を得る工程と、
    次いで、上記工程で得られたイミン型化合物又はそのイミニウム塩と、下記一般式(6)で表わされるアニリン誘導体のジアゾ成分のカップリング工程とを有することを特徴とするイミン型色素化合物又はそのイミニウム塩の製造方法。
    Figure 0005013745
    [式(3)中、R1 は、水素原子を表わし、3は、メチル基を表わす。]
    Figure 0005013745
    [式(4)中、R2は、エチル基又は水素原子のうちの1つがメトキシ基に置換されたフェニル基を表わし、Xは臭素原子を表わす。]
    Figure 0005013745
    [式(5)中、R1は、水素原子を表わし、R2は、エチル基又は水素原子のうちの1つがメトキシ基に置換されたフェニル基を表わし、R3は、メチル基を表わす。]
    Figure 0005013745
    [式(6)中、Z1 は、水素原子を表わし、Z 2 は、スルホン酸基を表わし、Z 3 は、水素原子を表わし、Mはカウンターイオンを表わす。]
  4. 下記一般式(8)で表わされるカルボニル型色素化合物の製造方法であって、
    Figure 0005013745
    [式(8)中、R1は、水素原子、エチル基、フェニル基、ベンジル基の何れかを表わし、R2は、エチル基、水素原子の1つがメトキシ基に置換され、且つ、水素原子の別の1つがスルホン酸基に置換されたフェニル基、1−プロピニル基、ビニル基、ヘキシル基、水素原子の一つがスルホン酸基に置換され、且つ、水素原子の別の1つがN,N−ジメチルアミノ基に置換されたフェニル基の何れかを表わし、R3は、メチル基、フェニル基、ベンジル基の何れかを表わし、Z1 は、水素原子又はカルボキシル基を表わし、Z 2 は、水素原子、フッ素原子、スルホン酸基の何れかを表わし、Z 3 は、水素原子を表わし、Mはカウンターイオンを表わす。]
    下記一般式(3)で表わされるニトリル化合物を、下記一般式(4)で表わされるGrignard試薬と反応させて下記一般式(5)で表わされるイミン型化合物又はそのイミニウム塩を得る工程と、
    次いで、上記工程で得られたイミン型化合物又はそのイミニウム塩を加水分解して下記一般式(9)で表わされるカルボニル型化合物を得る工程と、
    次いで、上記工程で得られたカルボニル型化合物と、下記一般式(6)で表わされるアニリン誘導体のジアゾ成分のカップリング工程とを有することを特徴とするカルボニル型色素化合物の製造方法。
    Figure 0005013745
    [式(3)中、R1 は、水素原子、エチル基、フェニル基、ベンジル基の何れかを表わし、R 3 は、メチル基、フェニル基、ベンジル基の何れかを表わす。]
    Figure 0005013745
    [式(4)中、R2は、エチル基、水素原子の1つがメトキシ基に置換され、且つ、水素原子の別の1つがスルホン酸基に置換されたフェニル基、1−プロピニル基、ビニル基、ヘキシル基、水素原子の一つがスルホン酸基に置換され、且つ、水素原子の別の1つがN,N−ジメチルアミノ基に置換されたフェニル基の何れかを表わし、Xは臭素原子を表わす。]
    Figure 0005013745
    [式(5)中、R1は、水素原子、エチル基、フェニル基、ベンジル基の何れかを表わし、R2は、エチル基、水素原子の1つがメトキシ基に置換され、且つ、水素原子の別の1つがスルホン酸基に置換されたフェニル基、1−プロピニル基、ビニル基、ヘキシル基、水素原子の一つがスルホン酸基に置換され、且つ、水素原子の別の1つがN,N−ジメチルアミノ基に置換されたフェニル基の何れかを表わし、R3は、メチル基、フェニル基、ベンジル基の何れかを表わす。]
    Figure 0005013745
    [式(9)中、R1は、水素原子、エチル基、フェニル基、ベンジル基の何れかを表わし、R2は、エチル基、水素原子の1つがメトキシ基に置換され、且つ、水素原子の別の1つがスルホン酸基に置換されたフェニル基、1−プロピニル基、ビニル基、ヘキシル基、水素原子の一つがスルホン酸基に置換され、且つ、水素原子の別の1つがN,N−ジメチルアミノ基に置換されたフェニル基の何れかを表わし、R3は、メチル基、フェニル基、ベンジル基の何れかを表わす。]
    Figure 0005013745
    [式(6)中、Z1 は、水素原子又はカルボキシル基を表わし、Z 2 は、水素原子、フッ素原子、スルホン酸基の何れかを表わし、Z 3 は、水素原子を表わし、Mはカウンターイオンを表わす。]
  5. 少なくとも水性媒体及び色素化合物を含有するインクであって、上記色素化合物の少なくとも一つが、請求項1又は2に記載の色素化合物であることを特徴とするインク。
  6. インクジェット記録用である請求項に記載のインク。
  7. 前記色素化合物として、更に銅フタロシアニン型色素化合物を含有する請求項又はに記載のインク。
  8. 前記銅フタロシアニン型色素化合物が、下記一般式(10)又は下記一般式(11)で表わされる請求項に記載のインク。
    Figure 0005013745
    [式(10)中、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、−SO3M及び−COOMの何れかを表し(但し、R4及びR5が同時に水素原子となる場合を除く)、Wは、塩素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基を表わす。フタロシアニン環への置換基の置換位置は、β位であり、Mはカウンターイオンを表わす。lは0乃至2、mは1乃至3、nは1乃至3の整数値を表わし、l+m+n=3又は4の整数値である。]
    Figure 0005013745
    [式(11)中、フタロシアニン環への置換基の置換位置は、β位であり、Mはカウンターイオンを表わす。]
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