JP2012193311A - インクセット、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクセット、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 マゼンタインクとシアンインク又はイエローインクとを併用して記録される2次色画像の発色性、耐ガス性及び耐光性を共に向上することができるインクセットを提供すること。
【解決手段】 マゼンタインク、シアンインク、及び、イエローインクで構成されるインクセットであって、前記マゼンタインクが、特定構造の色材を含有し、前記シアンインクが、フタロシアニン骨格を有する色材を含有し、前記イエローインクが、アゾ構造を有する色材を含有することを特徴とするインクセット。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット用にも好適な、インクセット、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方法では、マゼンタ、シアン及びイエローの基本3原色のインクを単色で用いたり、これらの付与量の比率を変えて混色したりすることでフルカラーの画像を記録する。したがって、これらのインクには、単色だけでなく、混色部分についても画像の発色性を向上し、また、その長期保存を可能にするための耐ガス性及び耐光性の向上も必要とされる。このため、従来、マゼンタ、シアン及びイエローの各インクに使用する色材を工夫することで、混色部分の発色性、耐ガス性及び耐光性を向上することに関する提案がある(特許文献1及び2参照)。
特開平5−194890号公報 特開平11−315230号公報
近年では、インクジェット記録方法により得られる画像について、今まで以上に高いレベルの性能を達成することが要求されている。そこで、本発明者らは、上記で挙げたような従来の技術について、特に混色部分の発色性、耐ガス性及び耐光性の検討を行った結果、近年要求されるレベルの性能に至っていないことがわかった。特に、混色部分の耐ガス性及び耐光性については、その性能は依然として低く、中でも、マゼンタインクとシアンインク又はイエローインクとを併用して記録される2次色画像であるブルー領域及びレッド領域についての改善が必要である。
したがって、本発明の目的は、マゼンタインクとシアンインク又はイエローインクとを併用して記録される2次色画像の発色性、耐ガス性及び耐光性を共に向上することができるインクセットを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクセットを用いたインクカートリッジ、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、マゼンタインク、シアンインク、及び、イエローインクで構成されるインクセットであって、前記マゼンタインクが、下記一般式(1)で表される色材を含有し、前記シアンインクが、フタロシアニン骨格を有する色材を含有し、前記イエローインクが、アゾ構造を有する色材を含有することを特徴とする。
(一般式(1)中、R、R、R及びR10は、それぞれ独立にアルキル基を表す。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基を表す。R、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は下記一般式(2)で表されるアシルアミノ基を表し、R、R、R及びRの少なくともひとつは下記一般式(2)で表されるアシルアミノ基である。Zは、SOH基、SOM基又はスルファモイル基を表し、Mはアンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表し、Zは芳香環の少なくともひとつの水素原子の位置に置換している。R、R、R、R、R及びRの少なくともひとつがイオン性基で置換されている場合にはnは0乃至3の整数を表し、イオン性基で置換されていない場合にはnは1乃至3の整数を表す。)
(一般式(2)中、R11は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルケニル基、又はヘテロ環基を表す。*は前記一般式(1)における芳香環との結合部位を表す。)
本発明によれば、マゼンタインクとシアンインク又はイエローインクとを併用して記録される2次色画像の発色性、耐ガス性及び耐光性を共に向上することができるインクセットを提供することができる。また、本発明の別の実施態様によれば、前記インクセットを用いたインクカートリッジ、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置を提供することができる。
色材(8)のH NMR分析の結果を示すグラフ。 色材(11)のH NMR分析の結果を示すグラフ。 色材(14)のH NMR分析の結果を示すグラフ。 色材(15)のH NMR分析の結果を示すグラフ。 各種の色材のUV/Vis分光分析の結果を示すグラフ。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明者らがマゼンタインクとシアンインク又はイエローインクとを併用して記録される2次色画像、すなわち、ブルー領域及びレッド領域の発色性、耐ガス性及び耐光性について検討した結果、以下のようなことがわかった。先ず、ブルー領域及びレッド領域の発色性の向上に関しては、彩度(C)が与える影響が大きく、彩度を高める(Cの値を大きくする)こと効果的であることがわかった。また、耐ガス性及び耐光性の向上に関しては、オゾンガスや光による色材の劣化によって生じる画像の光学濃度の変化よりも、色変化の方が与える影響が大きいことがわかった。そこで、本発明者らは、2次色画像について、彩度を高め、かつ、色変化を抑制するための検討を行った。具体的には、ブルー領域及びレッド領域の画像の記録に共通して使用するマゼンタインクに着目し、マゼンタインクに含有させる色材についての検討を行った。
従来、C.I.アシッドレッド289に代表されるキサンテン構造を有する色材がマゼンタインクの色材として広く用いられてきたが、この場合、得られる画像の耐ガス性及び耐光性が低く、特に耐光性の低さは重要な課題であるが、発色性は良好である。
そこで、本発明者らは、C.I.アシッドレッド289と同等の発色性を有する画像が得られ、かつ、耐ガス性及び耐光性を向上することができる色材についての検討を行った。特には、C.I.アシッドレッド289の弱点である低い耐光性を改善することができる色材の構造について検討を行った。その結果、後述する一般式(1)で表される色材を見出した。さらに、マゼンタインクの色材としてこの一般式(1)で表される色材を用いることで、2次色画像の発色性、耐ガス性及び耐光性をも向上できることがわかった。
このように、一般式(1)で表される色材を用いることで、C.I.アシッドレッド289と比べて、2次色画像の発色性、耐ガス性及び耐光性を顕著に向上することができる。本発明者らは、近年要求されるレベルを満足するべく、さらなる性能の向上を達成するために、以下の検討を行った。具体的には、一般式(1)で表される色材を含有するマゼンタインクと共に使用する、シアンインク及びイエローインクについての検討を進めた。先ず、シアンインク及びイエローインクのそれぞれに適した色調を有する数多くの色材を用いて、シアンインク及びイエローインクを調製した。これらのインクを、一般式(1)で表される色材を含有するマゼンタインクと組み合わせてインクセットとして、ブルー領域及びレッド領域の画像を記録し、その発色性、耐ガス性及び耐光性の評価を行った。すると、前記マゼンタインクと共に使用するシアンインク及びイエローインクのそれぞれに含有させる色材の主骨格の構造に、発色性、耐ガス性及び耐光性の各性能が依存するという知見を得た。
具体的には、シアンインクの色材として、フタロシアニン骨格を有する色材を用いた場合に、ブルー領域の発色性、耐ガス性及び耐光性が特に優れることがわかった。また、イエローインクの色材として、アゾ構造を有する色材を用いた場合に、レッド領域の発色性、耐ガス性及び耐光性が特に優れることがわかった。このような構成のインクセットとすることで、ブルー領域及びレッド領域の発色性、耐ガス性及び耐光性が特に向上する理由を、本発明者らは以下のように考えている。
例えば、光沢を有する記録媒体(光沢紙)に記録した画像における発色性、耐ガス性及び耐光性は、色材そのものの性能だけでなく、色材が記録媒体のインク受容層中のどのような位置に存在するかによも影響される。そして、同じ色材であっても、インク受容層の表面近傍に存在する場合と比較して、インク受容層の厚さ方向に沈み込んだ位置に存在する場合のほうが、発色性は低くなり、逆に、耐ガス性及び耐光性は高くなる傾向がある。2次色画像の場合、インク受容層中に複数種の色材が混在することになるため、それぞれの色材の存在位置が、発色性、耐ガス性及び耐光性に影響を与える。そして、2次色画像の発色性、耐ガス性及び耐光性をバランスよく向上するためには、各色材がインク受容層の厚さ方向においてできるだけ近い位置に存在することが好ましい。本発明で用いる一般式(1)で表される色材はその化学構造に起因して、インク受容層の表面近傍に存在する傾向があり、また、フタロシアニン骨格を有する色材及びアゾ構造を有する色材も同様にインク受容層の表面近傍に存在する。
発色性に関しては、各色材が相互に近い位置に存在していても、互いの発色性を打ち消しあうことはなく、彩度を高めることが可能となり、2次色画像の発色性が向上する。一方、耐ガス性及び耐光性に関しては、各色材が相互に近い位置に存在することにより、オゾンガスや光によって各色材に対して生じる影響が同程度となり、一方の色材のみが劣化するということがなくなる。このため、オゾンガスや光による色材の劣化によって生じる、2次色画像の色相の変化が抑制され、耐ガス性及び耐光性が向上する。
<インクセット>
本発明のインクセットは、マゼンタインク、シアンインク、及び、イエローインクで構成されてなり、さらに、これら以外のインクを有してもよい。本発明のインクセットは、インクジェット用に特に好適に使用することができる。本発明におけるインクセットの形態は、上記各インクをそれぞれ独立に収容してなる複数のインクカートリッジのセットや、複数のインクをそれぞれ収容してなる複数のインク収容部を組み合わせて一体的に構成されたインクカートリッジの状態、を含むものである。本発明のインクセットは、マゼンタインク、シアンインク、及び、イエローインクを組み合わせて用いることができるように構成されていれば、上記の形態に限られるものではなく、どのような形態であってもよい。以下、本発明のインクセットを構成する各インクに含有させる成分などについて説明する。なお、以下の記載において、一般式(1)で表される色材のことを、一般式(1)の色材と記載することがある。
(マゼンタインクの色材:一般式(1)で表される色材)
本発明のインクセットを構成するマゼンタインクの色材(染料)は、下記一般式(1)の色材であることを要する。本発明の効果が損なわれない限り、下記一般式(1)の色材以外の色材をさらにマゼンタインクに含有させてもよい。マゼンタインク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下、さらには0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
(一般式(1)中、R、R、R及びR10は、それぞれ独立にアルキル基を表す。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基を表す。R、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は下記一般式(2)で表されるアシルアミノ基を表し、R、R、R及びRの少なくともひとつは下記一般式(2)で表されるアシルアミノ基である。Zは、SOH基、SOM基又はスルファモイル基を表し、Mはアンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表し、Zは芳香環の少なくともひとつの水素原子の位置に置換している。R、R、R、R、R及びRの少なくともひとつがイオン性基で置換されている場合にはnは0乃至3の整数を表し、イオン性基で置換されていない場合にはnは1乃至3の整数を表す。)
(一般式(2)中、R11は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルケニル基、又はヘテロ環基を表す。*は前記一般式(1)における芳香環との結合部位を表す。)
一般式(1)中、R、R、R及びR10は、それぞれ独立にアルキル基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。中でも、合成上の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素原子数1乃至3のアルキル基が特に好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、合成上の観点から、例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子などが好ましい。R、R、R及びR10が置換基を有する場合は、発色性、色相、透明性などの分光反射特性、色相、合成上の点で、置換基が全て同一であることが好ましい。
一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基などが挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、3−カルボキシプロポキシ基などが挙げられる。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、o−メトキシフェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフトキシ基などが挙げられる。アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、イオン性基などが挙げられる。イオン性基としては、例えば、トリエチルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基などのカチオン性基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などのアニオン性基が挙げられる。本発明においては、耐光性の点で、R及びRが、メチル基、エチル基、プロピル基であることが好ましい。また、合成上の点で、R及びRが置換基を有する場合は、置換基が全て同一であることが好ましい。
一般式(1)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は上記一般式(2)で表されるアシルアミノ基を表し、R、R、R及びRの少なくともひとつは上記一般式(2)で表されるアシルアミノ基である。C.I.アシッドレッド289と同様に、一般式(1)の色材が高い発色性を有しながらも、高い耐光性及び耐ガス性を有するためには、R、R、R、Rの少なくともひとつが上記一般式(2)で表されるアシルアミノ基であることが必要である。本発明においては、発色性、耐光性の点で、一般式(2)のアシルアミノ基の数が2乃至4であることが好ましい。また、一般式(1)の色材が一般式(2)のアシルアミノ基を複数個有する場合、合成上の点で、それぞれのアシルアミノ基が同一であることが好ましい。さらに、合成上の点で、一般式(1)におけるRとR、RとR、RとR、RとR、RとR10の組み合わせが、それぞれ同一であることが好ましい。
一般式(2)中、R11は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルケニル基、又はヘテロ環基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などが挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基、m−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基などが挙げられる。アリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、2−フェネチル基などが挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−メチルエテニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基などが挙げられる。ヘテロ環基としては、例えば、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ベンゾピラゾリル基、トリアゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアジアゾリル基、ピロリル基、ベンゾピロリル基、インドリル基、イソオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、トリアジニル基などが挙げられる。
11の各基は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シアノ基、アルキルアミノ基、スルホアルキル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニルアミノ基、ハロゲン原子、イオン性基などが挙げられる。イオン性基は、例えば、トリエチルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基などのカチオン性基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などのアニオン性基が挙げられる。本発明においては、発色性の点で、R11が、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基であることが好ましく、合成上の点で、アルキル基、アリール基であることが特に好ましい。中でも、特に優れた耐光性が得られる点で、R11が、直鎖のアルキル基、イオン性基が置換したアリール基であることが好ましい。
一般式(1)中、Zは、SOH基、SOM基又はスルファモイル基を表し、Mはアンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表し、Zは芳香環の少なくともひとつの水素原子の位置に置換している。スルファモイル基としては、例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基などが挙げられる。SOM基におけるMはカウンターイオンであり、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、非置換のアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、n−プロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、n−ブチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、イソブチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウムなどが挙げられる。中でも、水に対する溶解性が良好である点で、Mがリチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオンであることが好ましい。本発明においては、一般式(1)の色材の水性媒体に対する溶解性に優れることから、ZがSOM基であることが好ましい。なお、インク中でSOM基の少なくとも一部はイオン解離を生じてカウンターイオンとなるため、本発明においては「カウンターイオンである」と記載しているが、イオン解離を生じていない場合も勿論本発明に含まれる。
一般式(1)中、R、R、R、R、R及びRの少なくともひとつがイオン性基で置換されている場合にはnは0乃至3の整数を表し、イオン性基で置換されていない場合にはnは1乃至3の整数を表す。水に対する溶解性が良好である点で、nが1乃至2であることが好ましい。
一般式(1)におけるZの置換位置は、一般式(1)におけるその他の置換基の置換位置及びスルホン化又はクロロスルホン化の条件によって決定される。R、R、R、R、R及びRのいずれかが水素原子である場合、そのうちのいずれかの水素原子かキサンテン骨格の水素原子に置換する。R11が芳香環を有し、芳香族性の水素原子が存在する場合、その水素原子に置換してもよい。R、R、R、R、R及びRのいずれもが水素原子ではなく、R11の置換基に芳香族性の水素原子が存在しない場合、キサンテン骨格の水素原子にのみ置換する。
以下、一般式(1)におけるR及びRが一般式(2)で表されるアシルアミノ基である場合(下記一般式(1’)で表される構造)を例に挙げて、代表的なジスルホン化の位置を示す。勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔一般式(1)で表される色材の合成方法〕
一般式(1)の色材は、公知の製造方法に基づいて合成することができる。合成スキームの一例を以下に示す。合成スキーム中の(1)及び(4)〜(7)におけるR〜R10、Z、nは、一般式(1)におけるR〜R10、Z、nと同義である。
上記に例示した合成スキームでは、1段目に示した第1の縮合工程、2段目に示した第2の縮合工程、3段目に示したスルホン化又はスルファモイル化工程を経て、一般式(1)の色材を合成する。ただし、R、R、R、R、R及びRの置換基としてスルホン酸基やカルボキシ基などのイオン性基が存在する場合、3段目に示したスルホン化又はスルファモイル化工程は行わなくてもよい。
先ず、第1の縮合工程では、化合物(3)と化合物(4)とを、有機溶剤や縮合剤の存在下で加熱し、縮合させることにより、化合物(5)を得る。次に、第2の縮合工程では、化合物(6)と第1の縮合工程で得られた化合物(5)とを、加熱し、縮合させることにより、化合物(7)を得る。最後に、第3の縮合工程で、第2の縮合工程で得られた化合物(7)を、スルホン化剤を用いてスルホン化することにより、Zがスルホン酸基である一般式(1)の色材が得られる。また、化合物(7)を後述する方法によりスルファモイル化することにより、Zがスルファモイル基である一般式(1)の色材が得られる。
上記に例示した合成スキームの縮合工程において用いる有機溶媒について説明する。第1の縮合工程では、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどを単独又は混合して使用することが好ましい。第2の縮合工程では、例えば、エチレングリコール、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ニトロベンゼンなどを単独で又は混合して使用することが好ましい。
第1の縮合工程における反応温度は60℃乃至100℃であることが好ましく、さらには70℃以上、また、90℃以下であることがより好ましい。第2の縮合工程における反応温度は、120℃乃至220℃であることが好ましく、さらには180℃以下であることがより好ましい。
一般式(1)中におけるR〜RとR〜R10が同一の基である色材を合成する場合には、上記スキーム中の化合物(4)と(6)とは同一のものを用いることができる。したがって、この場合は、化合物(3)から一段階の縮合工程を行うことにより化合物(7)を得ることができる。その際における反応温度は、120℃乃至220℃であることが好ましく、さらには180℃以下であることがより好ましい。縮合剤としては、例えば、酸化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどを用いることが好ましい。
上記に例示した合成スキームのスルホン化工程において用いるスルホン化剤としては、例えば、「新実験化学講座 第14巻」、丸善出版株式会社、1978年、1776−1784頁に記載されているような、公知のスルホン化剤をいずれも使用することができる。具体的には、例えば、硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、クロロスルホン酸、フルオロスルホン酸、アミド硫酸などが挙げられ、本発明においては、反応性の点やスルホン化剤の取り扱いの容易さから、発煙硫酸を用いることが好ましい。また、上記に例示した合成スキームのスルファモイル化工程としては、スルファモイル化により所望の化合物が得られる方法であればどのように行ってもよい。例えば、クロロスルホン酸などを用いて上記化合物(7)をクロロスルホン化し、対応するアミンでスルファモイル化する方法が挙げられる。また、上述のスルホン化工程により予めスルホン化を行い、さらにハロゲン化チオニルなどでハロゲン化した後、対応するアミンでスルファモイル化する方法などが挙げられる。これらのスルファモイル化工程において用いるアミンとしては、例えば、濃アンモニア水、アルキルアミン、アリールアミンなどが挙げられる。本発明においては、合成の工程数の点で、クロロスルホン化を経る工程を採用することが好ましい。
スルホン化工程やスルファモイル化工程は溶媒を用いることなく行うこともできるが、反応の急激な進行を抑制するためには溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒は反応を阻害しないものであればいずれのものも使用することができる。具体的には、例えば、硫酸、酢酸、無水酢酸などの酸類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素などの脂肪族ハロゲン化物、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼンなどの芳香族ハロゲン化物、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、2−ニトロトルエン、3−ニトロトルエン、4−ニトロトルエン、2−クロロニトロベンゼン、4−フルオロニトロベンゼンなどの芳香族ニトロ化合物、メチルスルホン、エチルスルホン、フェニルスルホン、スルホラン、2,4−ジメチルスルホランなどのスルホン類などが挙げられ、1種類又は2種類以上の溶媒を用いることができる。
スルホン化工程やスルファモイル化工程における反応温度は通常−20℃乃至150℃であることが好ましく、さらには−5℃乃至50℃、特には0℃乃至40℃が好ましい。スルホン化工程やスルファモイル化工程の反応は通常24時間以内に完結する。
上記合成スキームによって得られる最終生成物である色素化合物(染料)は、通常の有機合成反応の後処理方法にしたがって処理した後、精製を行うことで、インクの色材として用いることができる。
〔一般式(1)で表される色材の例示化合物〕
一般式(1)の色材の好適な例示化合物としては、下記表2に示す色材(8)〜(26)が挙げられる。勿論、本発明は、前記一般式(1)の構造及びその定義に包含されるものであれば、下記の色材に限られるものではない。本発明においては、下記の色材の中でも、色材(8)、(11)、(14)及び(15)を用いることが特に好ましい。なお、表2中、「Me」はメチル基、「Et」はエチル基、「n−Pr」はノルマルプロピル基、「i−Pr」はイソプロピル基、「*」は置換基の結合部位を表す。
(シアンインクの色材:フタロシアニン骨格を有する色材)
本発明のインクセットを構成するシアンインクの色材(染料)は、フタロシアニン骨格を有する色材であることを要する。本発明の効果が損なわれない限り、フタロシアニン骨格を有する色材は1種又は2種以上を使用することができ、また、フタロシアニン骨格を有する色材以外の色材をさらにシアンインクに含有させてもよい。シアンインク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下、さらには0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
本発明においては、中心元素が、銅、アルミニウム、亜鉛、鉄、ニッケルなどであるフタロシアニン骨格を有する色材を用いることが好ましい。また、フタロシアニン骨格を有する色材におけるフタロシアニン骨格の最外殻の芳香環の少なくともひとつがヘテロ環、より好適には含窒素芳香環(例えば、ピリジン環、ピラジン環など)であることが特に好ましい。このような構造を有する色材は、シアンインクで記録した画像や2次色の画像の発色性、耐ガス性及び耐光性をバランスよく向上させることができるために特に好ましい。
以下に、本発明のインクセットを構成するシアンインクに含有させることができる、フタロシアニン骨格を有する色材の具体例を挙げる。勿論、本発明は、シアンインクの色材がフタロシアニン骨格を有することが重要であるので、この要件を満たせば、下記に挙げる色材に限られるものではない。
・C.I.ダイレクトブルー:6、22、25、71、78、86、87、90、106、189、199、262、264、276、282、314など
・C.I.アシッドブルー:9、22、40、59、93、102、104、113、117、120、167、185、197、224、228、229、234、242、243、249、254、275、279、283、310、357など。
・下記一般式(27)で表される化合物(特開2004−323605号公報に記載のもの)
(一般式(27)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、スルホン酸基、又はカルボキシ基を表すが、R及びRが同時に水素原子となることはない。Yは、塩素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、又はジアルキルアミノ基を表す。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。l(エル)、m、及びnは、0≦l(エル)≦2.0、1.0≦m≦3.0、1.0≦n≦3.0であり、かつ、l(エル)+m+n=2.0乃至4.0を表す。)
一般式(27)で表される色材の好ましい具体例を遊離酸の形として示すと、下記のシアン色材1が挙げられる。
・下記一般式(28)で表される色材(特許第3851569号公報に記載のもの)
(一般式(28)中、X、X、X、及びXはそれぞれ独立に、−SO−Z、−SO−Z、−SONR、スルホン酸基、−CONR、又は−COである。ここで、Zはそれぞれ独立に、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアラルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換の複素環基であり、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のシクロアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアラルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換の複素環基である。また、Y、Y、Y、Y、Y、Y、Y、及びYはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、シアノ基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、置換若しくは非置換のカルバモイル基、置換若しくは非置換のスルファモイル基、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、又はスルホン酸基であり、a、a、a、及びaはそれぞれ、X、X、X、及びXの置換基の数を示し、それぞれ独立に1又は2の整数である。)
本発明においては、一般式(28)におけるX、X、X、及びXはそれぞれ独立に、−SO−Z、−SO−Z、−SONR、−CONR、又は−COであることが好ましい。また、Y、Y、Y、Y、Y、Y、Y、及びYが水素原子であることが好ましい。このような置換基とすることで、耐ガス性及び耐光性に優れた画像を得ることができる。
一般式(28)で表される構造の好ましい具体例を遊離酸の形として示すと、下記のシアン色材2が挙げられる。
・下記一般式(29)で表される色材(国際公開2007/091631号パンフレットに記載のもの)
(一般式(29)中、A、B、C、及びDはそれぞれ独立に、芳香性を有する6員環を表す。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。Eはアルキレン基を表す。Xは、スルホ置換アニリノ基、カルボキシ置換アニリノ基、又はホスホノ置換アニリノ基であり、該置換アニリノ基はさらに、スルホン酸基、カルボキシ基、ホスホノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、アルキルスルホニル基、及びアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくともひとつの置換基を1乃至4個有してもよい。Yはヒドロキシ基又はアミノ基を表す。l(エル)、m、及びnは、0≦l(エル)≦2.0、0≦m≦3.0、0.1≦n≦3.0であり、かつ、l(エル)+m+n=1.0乃至4.0を表す。)
本発明においては、耐ガス性及び耐光性に優れた画像が得られるため、一般式(29)のAからDのうち少なくともひとつがピリジン環又はピラジン環であることが好ましい。また、一般式(29)において、Eは炭素数2乃至6のアルキレン基、Xはスルホ置換アニリノ基、Yはアミノ基であることが好ましい。さらに、l(エル)=0、m=0.5〜3.0、n=0.1〜1.0であることが好ましい。
一般式(29)で表される色材の好ましい具体例を遊離酸の形として示すと、下記のシアン色材3が挙げられる。なお、下記のシアン色材3において、含窒素芳香環の位置は各構造式に示されるものに限定されず、上記一般式(29)のA〜Dのいずれかの位置にあることを意味し、含窒素芳香環における窒素原子の位置も各構造式に示される位置に限定されない。また、シアン色材3における、l(エル)、m、及びnの値は、混合物における平均値を示す。
(イエローインクの色材:アゾ構造を有する色材)
本発明のインクセットを構成するイエローインクの色材(染料)は、アゾ構造を有する色材であることを要する。本発明の効果が損なわれない限り、アゾ構造を有する色材は1種又は2種以上を使用することができ、また、アゾ構造を有する色材以外の色材をさらにイエローインクに含有させてもよい。イエローインク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下、さらには0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
以下に、本発明のインクセットを構成するイエローインクに含有させることができる、アゾ構造を有する色材の具体例を挙げる。勿論、本発明は、イエローインクの色材がアゾ構造を有することが重要であるので、この要件を満たせば、下記に挙げる色材に限られるものではない。本発明においては、アゾ構造を有する色材が、ジスアゾ構造を有することが好ましい。このような構造を有する色材は、イエローインクで記録した画像や2次色の画像の耐ガス性及び耐光性をバランスよく向上させることができるために特に好ましい。また、本発明においては、アゾ構造を有する色材が、互いに同じ構造を有するふたつのモノアゾユニットが連結基を介して結合してなる、二量体ジスアゾ構造を有することが特に好ましい。このような構造を有する色材は、イエローインクで記録した画像や2次色の画像の発色性、耐ガス性及び耐光性をバランスよく向上させることができるために特に好ましい。
・C.I.ダイレクトイエロー:8、12、27、33、44、50、85、86、88、89、98、100、110、132、173など
・C.I.アシッドイエロー:11、17、23、25、29、36、38、40、42、44、76、98、など。
・一般式(30)で表される色材(特表2002−504613号公報に記載のもの)
(一般式(30)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は、置換若しくは非置換のアリールアルキル基を表す。R及びRはそれぞれ独立に、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、若しくはその塩、又はこれらのいずれかの基で置換されたアルキル基を表す。R及びRはそれぞれ独立に、R及びRに対して定義した以外の基を表す。p及びrはそれぞれ独立に1乃至5の整数、q及びsはそれぞれ独立に0乃至4の整数、かつ、p+q≦5及びr+s≦5である。)
本発明においては、一般式(30)におけるR及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換若しくは非置換のアルキル基であることが好ましい。R、Rが塩である場合、塩を形成するカチオンとしては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオンが挙げられる。
一般式(30)で表される色材の好ましい具体例を遊離酸の形として示すと、下記のイエロー色材1が挙げられる。
・一般式(31)で表される色材(特開2003−321627号公報に記載のもの)
(一般式(31)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルカノイルアミノ基、アルコキシアルコキシ基、スルホン酸基、カルボキシ基、又はウレイド基を表す。m及びnはそれぞれ独立に、1又は2である。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウムイオン、又は有機アンモニウムイオンを表す。)
一般式(31)で表される色材の好ましい具体例を遊離酸の形として示すと、下記のイエロー色材2が挙げられる。
・一般式(32)で表される色材(特開平09−217018号公報に記載のもの)
(一般式(32)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ウレイド基、炭素原子数1乃至3のアルキル基、炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、又は炭素原子数1乃至3のアシルアミノ基を表す。Rは、水素原子、又は炭素原子数1乃至6の脂肪族基を表す。xは1乃至3であり、スルホン酸基の置換位置は、xが1である場合は1位、4位、5位、6位、7位、又は8位であり、xが2又は3である場合は4位及び8位;5位及び7位;6位及び8位;1位及び5位;3位、6位及び8位;及び4位、6位及び8位の組み合わせから選ばれる。y及びzはそれぞれ独立に2乃至6である。)
一般式(32)で表される色材の好ましい具体例を遊離酸の形として示すと、下記のイエロー色材3が挙げられる。
・一般式(33)で表される色材(国際公開2008/053776号パンフレットに記載のもの)
(一般式(33)中、Rは、水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、又はスルホン酸基を表す。nは1又は2の整数、mは1乃至3の整数、xは2乃至4の整数、yは1乃至3の整数を表す。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。)
一般式(33)で表される色材の好ましい具体例を遊離酸の形として示すと、下記のイエロー色材4が挙げられる。
・下記一般式(34)で表される色材(国際公開2006/082669号パンフレットに記載のもの)
(一般式(34)中、R、R、Y、及びYはそれぞれ独立に一価の基であり、X及びXはそれぞれ独立に、ハメットのσp値が0.20以上の電子求引性基であり、Z及びZはそれぞれ独立に、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアルキニル基、置換若しくは非置換のアラルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のヘテロ環基であり、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。)
なお、ハメットのσp値が0.20以上の電子求引性基としては、具体的には、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、σp値が0.20以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、又はセレノシアネート基が挙げられる。
一般式(34)で表される色材の好ましい具体例を遊離酸の形として示すと、下記のイエロー色材5が挙げられる。
(水性媒体)
本発明のインクセットを構成する各インクには、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下、さらには15.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、インクジェット用のインクに一般的に用いることができるものであれば、特に制限はなく、従来公知のいずれのものも用いることができ、また、1種類又は2種類以上の水溶性有機溶剤を組み合わせてインクに含有させることができる。具体的には、1価又は多価のアルコール類、アルキレン基の炭素数が1〜4程度のアルキレングリコール類、平均分子量200〜2,000程度のポリエチレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などを用いることができる。
(その他の添加剤)
本発明のインクセットを構成する各インクには、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体類、糖類及びその誘導体類などの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。さらに、本発明のインクセットを構成する各インクには必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性ポリマーなど、種々の添加剤を含有させてもよい。本発明においては、アセチレングリコール系の界面活性剤を用いることが好ましく、中でも、水性媒体への溶解性に優れるため、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物が特に好適である。
(インクの物性)
本発明のインクセットを構成する各インクの25℃における表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下、さらには20mN/m以上60mN/m以下、特には30mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。本発明のインクセットを構成する各インクは、その表面張力を上記した範囲内とすることで、インクジェット方式に適用した際に吐出口近傍の濡れによる吐出ヨレ(インクの着弾点のズレ)などの発生を有効に抑制することが可能となる。インクの表面張力の調整は、インク中における界面活性剤などの含有量を適宜決定することで行うことができる。また、本発明のインクセットを構成する各インクは、インクジェット記録装置に適用する際に良好な吐出特性が得られるよう、所望のpHに調整することが好ましい。本発明のインクセットを構成する各インクの25℃における粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えてなり、前記インク収容部に、上記で説明した本発明のインクセットを構成するシアンインク、マゼンタインク、及び、イエローインクから選ばれる少なくとも1種が収容されてなるものである。本発明においては、1種のインクを収容するインクカートリッジを、本発明のインクセットを構成する3種のインクに対応するように3つ組み合わせても、また、1のインクカートリッジで、上記3種のインクを収容するものとしてもよい。
インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、液体のインクを収容するインク収容室、及び負圧によりその内部にインクを保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室で構成されるものが挙げられる。または、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容量の全量を負圧発生部材により保持する構成のインク収容部であるインクカートリッジであってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット方式の記録ヘッドにより上記で説明した本発明のインクセットを構成する各インクを吐出して、記録媒体に画像を記録する画像記録工程を有する。そして、画像記録工程に、上記で説明した本発明のインクセットを構成するシアンインク、マゼンタインク、及び、イエローインクを用いることを特徴とする。また、本発明のインクジェット記録装置は、インクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えてなる装置である。そして、前記インク収容部に収容されたインクが、上記で説明した本発明のインクセットを構成するシアンインク、マゼンタインク、及び、イエローインクであることを特徴とする。本発明のインクセットを用いること以外、インクジェット記録方法や記録装置の工程及び構成は、公知のものとすればよい。
本発明のインクセットを構成する各インクを用いて画像を記録する記録媒体としては一般的なインクジェット用に使用可能ないずれのものも用いることができる。このような記録媒体としては、例えば、光沢紙、コート紙、光沢フィルムなどの支持体上に多孔質層を有するインクジェット用の記録媒体や、表面の少なくとも一部に繊維が露出した、いわゆるコピー用紙などの普通紙が挙げられる。本発明においては、記録した画像が高品位なものとなるため、色材を多孔質層に吸着させるタイプの記録媒体(光沢記録媒体など)を用いることが好ましい。
また、本発明のインクセットを構成する各インクには、さらに別のインクを組み合わせてインクジェット記録方法に使用してもよい。このようなインクとしては、例えば、ブラックインクなどのインク(濃インク)が挙げられる。インクセットにさらにブラックインクを併用することで、ブラック画像に要求される高い光学濃度を達成することができ、また、コントラストに優れた画像を得ることができる。また、淡シアンインク、淡マゼンタインク、及び淡イエローインクなどの、本発明のインクセットを構成する各インクとそれぞれ同じ色相を有し、色材の含有量が相対的に低いインク(淡インク)を組み合わせて使用することもできる。淡インクを併用することで、画像の粒状性を低減することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、特に指定のない限り、「%」とあるものは、質量基準である。
<色材の準備>
(一般式(1)の色材の同定)
下記で合成した一般式(1)の色材の同定は、下記の各装置を用いて行った。
[1]H NMR分析:H核磁気共鳴分光分析(ECA−400;日本電子製)
[2]LC/MS分析:LC/TOF MS(LC/MSD TOF;Agilent Technologies製)。なお、LC/TOF MSにおけるイオン化法としては、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)を採用した。
[3]UV/Vis分光分析:UV/Vis分光光度計(UV−36000形分光光度計;島津製作所製)。
(色材(8)の合成)
下記の構造を有する色材(8)を以下の手順で合成した。
3−アセチルアミノ−2,4,6−トリメチルアニリン(7.3g)と、上記合成スキームにおける化合物(3)(7.4g)とを、スルホラン(20mL)中、塩化亜鉛(4.1g)の存在下、150℃で3時間加熱して反応させた。この溶液を冷却した後、2規定の塩酸50mL中に添加して、析出した結晶をろ別、水洗した後、乾燥させた。この乾燥物6gを、氷冷下で発煙硫酸30g中に添加した後、20〜25℃で4時間撹拌した。反応液を氷100g上に排出し、析出したスルホン化物をろ別した後、冷水で洗浄し、析出物を得た。得られた析出物を水50mL中に懸濁させ、2規定の水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0として溶解させた後、アセトンで晶析して、色材(8)を得た。
得られた色材(8)が上記構造を有することを、H NMR分析、LC/TOF MS分析及びUV/Vis分光分析で確認した。分析結果を下記に示す。
[1]H NMR分析(400MHz、DMSO−d、室温)の結果(図1参照):
δ[ppm]=11.26(s、2H)、9.35(d、2H)、7.92(d、1H)、7.57(t、1H)、7.49(t、1H)、7.16(d、1H)、7.11(d、2H)、7.01(m、2H)、6.29(dd、2H)、3.38(s、18H)、2.09(s、6H)
[2]LC/TOF MS分析(溶離液:0.1%酢酸水溶液−メタノール、ESI)の結果:
保持時間 5.0分:純度=23.6面積%、m/z=795.21(n=1、[M−Na]
保持時間 6.4分:純度=75.0面積%、m/z=897.15(n=2、[M−Na])、875.16(n=2、[M−2NaH]
[3]UV/Vis分光分析の結果(図5参照):
λmax=527nm、ε=95594M−1cm−1(溶剤:HO、25℃)。
(色材(11)の合成)
下記の構造を有する色材(11)を以下の手順で合成した。
3−イソブチリルアミノ−2,4,6−トリメチルアニリン(8.4g)と、上記合成スキームにおける化合物(3)(7.4g)とを、スルホラン(20mL)中、塩化亜鉛(4.1g)の存在下、150℃で3時間加熱して反応させた。この溶液を冷却した後、2規定の塩酸50mL中に添加して、析出した結晶をろ別、水洗した後、乾燥させた。この乾燥物6gを、氷冷下で発煙硫酸30g中に添加した後、20〜25℃で4時間撹拌した。反応液を氷100g上に排出し、析出したスルホン化物をろ別した後、冷水で洗浄し、析出物を得た。得られた析出物を水50mL中に懸濁させ、2規定の水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0として溶解させた後、アセトンで晶析して、色材(11)を得た。
得られた色材(11)が上記構造を有することを、H NMR分析、LC/TOF MS分析及びUV/Vis分光分析で確認した。分析結果を下記に示す。
[1]H NMR分析(400MHz、DMSO−d、室温)の結果(図2参照):
δ[ppm]=11.27(s、2H)、9.35(s、1H)、9.25(s、1H)、8.02(d、1H)、7.70(t、1H)、7.61(t、1H)、7.56(s、2H)、7.31(m、1H)、7.13(m、2H)、5.98(s、2H)、2.64(m、2H)、2.15(m、6H)、2.09(m、12H)、1.13(m、12H)
[2]LC/TOF MS分析(溶離液:0.1%酢酸水溶液−メタノール、ESI)の結果:
保持時間 10.2分:純度=97.0面積%、m/z=931.1(n=2、[M−2NaH]
[3]UV/Vis分光分析の結果(図5参照):
λmax=530nm、ε=78967M−1cm−1(溶剤:HO、25℃)。
(色材(14)の合成)
下記の構造を有する色材(14)を以下の手順で合成した。
3,5−ジアセチルアミノ−2,4,6−トリメチルアニリン(6.7g)と、上記合成スキームにおける化合物(3)(7.4g)とを、スルホラン(20mL)中、塩化亜鉛(4.1g)の存在下、150℃で3時間加熱して反応させた。この溶液を冷却した後、2規定の塩酸50mL中に添加して、析出した結晶をろ別、水洗した後、乾燥させた。この乾燥物5gを、氷冷下で濃硫酸30g中に添加した後、25〜30℃で4時間撹拌した。反応液を氷100g上に排出し、析出したスルホン化物をろ別した後、冷水で洗浄し、析出物を得た。得られた析出物を水50mL中に懸濁させ、6規定の水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0として溶解させた後、アセトンで晶析して、色材(14)を得た。
得られた色材(14)が上記構造を有することを、H NMR分析、LC/TOF MS分析及びUV/Vis分光分析で確認した。分析結果を下記に示す。
[1]H NMR分析(400MHz、DMSO−d、室温)の結果(図3参照):
δ[ppm]=10.19(brs、2H)、9.49(m、4H)、8.02(d、1H)、7.67(t、1H)、7.59(t、1H)、7.55(m、1H)、7.29(d、2H)、7.16(m、1H)、5.92(s、1H)、5.80(s、1H)、3.38(s、18H)、2.05(m、12H)
[2]LC/TOF MS分析(溶離液:0.1%酢酸水溶液−メタノール、ESI)の結果:
保持時間 3.8分:純度=86.0面積%、m/z=909.26(n=1、[M−Na]
保持時間 6.4分:純度=8.4面積%、m/z=1011.19(n=2、[M−H]
[3]UV/Vis分光分析の結果(図5参照):
λmax=528nm、ε=85888M−1cm−1(溶剤:HO、25℃)。
(色材(15)の合成)
下記の構造を有する色材(15)を以下の手順で合成した。
上記で得られた色材(8)15.0gを濃塩酸中で30時間還流し冷却した後、冷水200mL中に排出した。この排出液を20〜30℃で、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0とした後、30分撹拌した。その後、結晶をろ別、水洗した後、乾燥させて、色材(8)の脱アセチル化物を得た。得られた色材(8)の脱アセチル化物(2.5g)と、無水フタル酸(1.4g)とを、N,N−ジメチルホルムアミド20mL中で、50〜60℃で6時間反応させた。反応液を冷却した後、2規定の塩酸50mL中に添加して、析出した結晶をろ別した。得られた結晶を水洗し、2規定の水酸化ナトリウム水溶液で溶解させた後、エタノールで晶析して、色材(15)を得た。
得られた色材(15)が上記構造を有することを、H NMR分析、LC/TOF MS分析及びUV/Vis分光分析で確認した。分析結果を下記に示す。
[1]H NMR分析(400MHz、DMSO−d、室温)の結果(図4参照):
δ[ppm]=12.37(brm、2H)、10.04(brs、2H)、8.00(dd、2H)、7.84(brm、2H)、7.62(brm、4H)、7.39(brd、4H)、7.23(d、2H)、7.11(brm、4H)、5.96(s、2H)、2.22(brs、6H)、2.11(brs、6H)、2.00(brs、6H)
[2]LC/TOF MS分析(溶離液:0.1%酢酸水溶液−メタノール、ESI)の結果:
保持時間 19.4分:純度=99.1面積%、m/z=949.24([M−Na])、927.26([M−2NaH]
[3]UV/Vis分光分析の結果(図5参照):
λmax=530nm、ε=111574M−1cm−1(溶剤:HO、25℃)。
<インクの調製>
表3〜5に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌して溶解した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。なお、表3〜5中の色材について括弧内に示してあるのは対イオンの種類である。また、以下の各インクの調製に使用したアセチレノールE100は川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。
<記録物の作製>
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、表6に示す各インクの組み合わせとして、インクセットとした。インクセットを構成する各インクが充填されたインクカートリッジをそれぞれ、インクジェット記録装置(PIXUSiP8600;キヤノン製)を改造したものに搭載した。記録媒体(キヤノン写真用紙・光沢プロ〔プラチナグレード〕;キヤノン製)に、マゼンタインクと、シアンインク又はイエローインクを1:1の比率で付与し、ブルー及びレッドのベタ画像をそれぞれ記録した。この際、各インクの合計の記録デューティは0〜100%の間で5%刻みとして段階的に変化させた。なお、上記記録装置は解像度が600dpi×600dpiであり、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴あたりの吐出量が2.5pLであるインク滴を8滴付与して記録する画像の記録デューティを100%と定義するものである。このようにして得られた記録物は、光学濃度が1.0±10%である、ブルー領域及びレッド領域を含む。得られた記録物を、温度23℃、相対湿度55%の環境に24時間放置して、画像を十分に乾燥させた。以下の画像の評価は、CIE(国際照明委員会)により規定されたL表色系におけるL、a、bを、反射濃度計(Spectrolino;GretagMacbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で測定して行った。
<評価>
上記で得られた記録物について、下記の各項目の評価を行った。本発明においては、下記の各評価項目における評価基準で、Cが許容できないレベル、B以上が許容できるレベルとした。評価結果を表6に示す。
(発色性)
上記で得られた記録物における光学濃度が1.0±10%である、ブルー領域及びレッド領域について、L、a、bの値をそれぞれ測定した。得られたL、a、bの値から、C=(a*2+b*21/2の式に基づいて彩度(C)をそれぞれ求め、ブルー領域及びレッド領域の発色性の評価を行った。ブルー領域及びレッド領域の発色性の評価基準はそれぞれ以下の通りである。
ブルー領域の発色性
A:Cが95以上であった
B:Cが90以上95未満であった
C:Cが90未満であった
レッド領域の発色性
A:Cが105以上であった
B:Cが100以上105未満であった
C:Cが100未満であった。
(耐ガス性)
上記で得られた記録物をオゾン試験装置(OMS−H:スガ試験機製)に投入し、温度を23℃、相対湿度を50%、オゾン濃度を10ppmとして画像を8時間オゾンに暴露した。そして、暴露試験前後のL、a、b、の変化(ΔL、Δa、Δb)から、ΔE=((ΔL+(Δa+(Δb1/2の式に基づいて色変化(ΔE)を求め、ブルー領域及びレッド領域の耐ガス性の評価を行った。ブルー領域及びレッド領域の耐ガス性の評価基準は以下の通りである。
A:ΔEが10未満であった
B:ΔEが10以上30未満であった
C:ΔEが30以上であった。
(耐光性)
上記で得られた記録物をキセノン試験装置(アトラスウェザオメーター Ci4000:東洋精機製作所製)に投入し、温度を24℃、相対湿度を60%、照度を100klxとして画像に40時間キセノン光を照射した。そして、暴露試験前後のL、a、b、の変化(ΔL、Δa、Δb)から、ΔE=((ΔL+(Δa+(Δb1/2の式に基づいて色変化(ΔE)を求め、ブルー領域及びレッド領域の耐光性の評価を行った。ブルー領域及びレッド領域の耐光性の評価基準は以下の通りである。
A:ΔEが40未満であった
B:ΔEが40以上50未満であった
C:ΔEが50以上であった。

Claims (7)

  1. マゼンタインク、シアンインク、及び、イエローインクで構成されるインクセットであって、
    前記マゼンタインクが、下記一般式(1)で表される色材を含有し、
    前記シアンインクが、フタロシアニン骨格を有する色材を含有し、
    前記イエローインクが、アゾ構造を有する色材を含有することを特徴とするインクセット。

    (一般式(1)中、R、R、R及びR10は、それぞれ独立にアルキル基を表す。R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基を表す。R、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は下記一般式(2)で表されるアシルアミノ基を表し、R、R、R及びRの少なくともひとつは下記一般式(2)で表されるアシルアミノ基である。Zは、SOH基、SOM基又はスルファモイル基を表し、Mはアンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表し、Zは芳香環の少なくともひとつの水素原子の位置に置換している。R、R、R、R、R及びRの少なくともひとつがイオン性基で置換されている場合にはnは0乃至3の整数を表し、イオン性基で置換されていない場合にはnは1乃至3の整数を表す。)

    (一般式(2)中、R11は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルケニル基、又はヘテロ環基を表す。*は前記一般式(1)における芳香環との結合部位を表す。)
  2. 前記シアンインク中の前記フタロシアニン骨格を有する色材におけるフタロシアニン骨格の最外殻の芳香環の少なくともひとつが、ヘテロ環である請求項1に記載のインクセット。
  3. 前記イエローインク中の前記アゾ構造を有する色材が、ジスアゾ構造を有する色材である請求項1又は2に記載のインクセット。
  4. 前記イエローインク中の前記アゾ構造を有する色材が、互いに同じ構造を有するふたつのモノアゾユニットが連結基を介して結合してなる、二量体ジスアゾ構造を有する色材である請求項1乃至3のいずれかに1項に記載のインクセット。
  5. インクを収容するインク収容部を有するインクカートリッジであって、前記インク収容部に収容されたインクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクセットを構成するシアンインク、マゼンタインク、及び、イエローインクから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするインクカートリッジ。
  6. インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に画像を記録する画像記録工程を有するインクジェット記録方法であって、前記画像記録工程に、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクセットを構成するシアンインク、マゼンタインク、及び、イエローインクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
  7. インクを収容するインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置であって、前記インク収容部に収容されたインクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクセットを構成するシアンインク、マゼンタインク、及び、イエローインクから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするインクジェット記録装置。
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