JP2014025002A - インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐オゾン性に優れた画像を記録可能なブラック系のインクを提供する。
【解決手段】第1の色材及び第2の色材を含有する、グレー乃至ブラックの色調を有するインクである。第1の色材が、下記一般式(I)(環A、B、C及びDは、それぞれ独立に、ベンゼン環又は複素芳香環を表し、かつ、複素芳香環の個数は平均値で0.0より大きく3.0以下であるとともに残りはベンゼン環である。R1はアルキル基、R2はアルキレン基、Xは1以上のスルホン酸基を有するアニリノ基を表す。mは平均値で0.0より大きく3.9未満、nは平均値で0.1以上4.0未満、m及びnの和は平均値で1.0以上4.0未満である)で表される化合物であり、第2の色材が、ヘテロ環に直接結合しているアゾ結合を含む、複数のアゾ結合を有するブラック色材である。
Figure 2014025002

【選択図】なし

Description

本発明は、インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、インク小滴を普通紙などの記録媒体に付与して画像を形成する記録方法であり、その低価格化、記録速度の向上により、急速に普及が進んでいる。一方、インクジェット記録方法の問題点として、得られた記録物の画像保存性に劣ることが挙げられる。一般に、インクジェット記録方法で得られた記録物は、銀塩写真と比較してその画像保存性が低い。特に、記録物が、光、湿度、熱、空気中に存在するオゾンガスなどの環境ガスに長時間さらされた際に、記録物の色材が劣化し、画像の色調変化や褪色が発生しやすいといった問題がある。
ブラック色材を含有するインクにより記録した画像は、オゾンの影響により色材が劣化すると、色調が変化することが多い。このため、耐オゾン性が向上した画像を記録可能なブラック色材やそれを含有するインクについて多くの提案がなされている。また、ブラック色材を含有する淡インク、すなわちグレーインクについても、高いレベルの耐オゾン性を有する画像を記録可能なものが求められている。
画像の耐オゾン性を高めるためには、オゾンによる劣化が生じにくい色材を使用すればよい。しかし、ブラック色材においては、ニュートラルな色調を保ったまま、オゾンによる分解を抑制するのが難しい。そこで、ブラック系のインクでは、色調はニュートラルではないものの、耐オゾン性に優れたブラック色材を用い、別の色材を併用することで、ニュートラルな色調を有する画像を記録できるインクとすることが行われている。調色インクとしては、主としてブラック色材を用い、微量の適切な色材を併用して調製される場合と、シアン、マゼンタ、イエローなどの複数種のカラー色材を組み合わせてブラックの色調に調整し、必要に応じてブラック色材を併用して調製される場合がある。高いレベルの耐オゾン性を有する画像を記録可能なブラック系インクを前者の調製方法によって得るには、上述の通り耐オゾン性に優れたブラック色材を用いることが必須である。また、後者の調製方法で得られた、耐オゾン性に優れた画像を与えうるグレーインクが提案されている(特許文献1参照)。
特開2009−062515号公報
しかし、特許文献1において提案されたグレーインクであっても、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの各色材のオゾンによる退色のバランスについては向上の余地がある。さらに、本発明者らの検討により、調色されたブラック系インクでは、オゾンによるシアン成分の退色が特に生じやすいことが確認された。
したがって、本発明の目的は、耐オゾン性に優れた画像を記録可能なインクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、第1の色材及び第2の色材を含有し、グレー乃至ブラックの色調を有するインクであって、前記第1の色材が、下記一般式(I)で表される化合物であり、前記第2の色材が、ヘテロ環に直接結合しているアゾ結合を含む、複数のアゾ結合を有するブラック色材であることを特徴とするインクが提供される。
Figure 2014025002
(前記一般式(I)中、破線で表される環A、B、C及びDは、それぞれ独立に、ベンゼン環又は複素芳香環を表し、かつ、前記複素芳香環の個数は平均値で0.0より大きく3.0以下であるとともに残りはベンゼン環である。R1はアルキル基を表し、R2はアルキレン基を表し、Xは1以上のスルホン酸基を有するアニリノ基を表す。Xはカルボキシ基、リン酸基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の置換基をさらに有してもよい。mは平均値で0.0より大きく3.9未満であり、nは平均値で0.1以上4.0未満であり、かつ、m及びnの和は平均値で1.0以上4.0未満である)
本発明によれば、耐オゾン性に優れた画像を記録可能なインクを提供することができる。また、本発明によれば、このインクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。
<インク>
以下、本発明のインクを構成する各成分について詳細に説明する。本発明のインクは、グレー乃至ブラックの色調を有するインクである。本発明における、グレー乃至ブラックの色調とは、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラー(有彩色)ではない色調、すなわち無彩色のことを指し、明度は問わない。つまり、本発明のインクは、ブラックインク(濃インク)やグレーインク(淡インク)、さらには淡グレーインクとすることができる。なお、以下の記載においては、グレー乃至ブラックの色調を有するインクのことを、単に「インク」や「ブラック系のインク」と記載することがある。
(色材)
本発明のインクは、第1の色材及び第2の色材を含有する。そして、第1の色材が一般式(I)で表される化合物であり、第2の色材がヘテロ環に直接結合しているアゾ結合を含む、複数のアゾ結合を有するブラック色材である。上述の通り、従来の調色されたブラック系インクでは、シアン成分がオゾンの影響を受けやすく、特に退色しやすいことが確認されている。本発明者らの検討の結果、一般式(I)で表される化合物である第1の色材は、フタロシアニン骨格の置換基である置換スルファモイル基の末端にアルコキシ基(−OR1)を導入したことにより、色材が極性を有するものとなっている。これにより、色材どうしがより凝集しやすく、オゾンによる劣化が生じにくくなっていることがわかった。このような特性を有する第1の色材とともに、特定のブラック色材を第2の色材として用いることで、シアン成分の退色が緩和され、耐オゾン性に優れた画像を記録可能なインクを得ることができた。
〔第1の色材〕
本発明のインクは、下記一般式(I)で表される化合物を第1の色材として含有する。一般式(I)で表される化合物は後述するように混合物であるが、便宜上、その混合物の代表例の構造として一般式(I)を示しており、また、各環の数や置換基数は平均値として示している。この色材はシアン色を呈する水溶性の染料であり、本発明においては、調色用の色材として用いる。なお、本明細書においては、便宜上、一般式(I)で表される化合物を、まとめて「第1の色材」と簡略化して記載することがある。
Figure 2014025002
(前記一般式(I)中、破線で表される環A、B、C及びDは、それぞれ独立に、ベンゼン環又は複素芳香環を表し、かつ、前記複素芳香環の個数は平均値で0.0より大きく3.0以下であるとともに残りはベンゼン環である。R1はアルキル基を表し、R2はアルキレン基を表し、Xは1以上のスルホン酸基を有するアニリノ基を表す。Xはカルボキシ基、リン酸基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の置換基をさらに有してもよい。mは平均値で0.0より大きく3.9未満であり、nは平均値で0.1以上4.0未満であり、かつ、m及びnの和は平均値で1.0以上4.0未満である)
一般式(I)中、破線で表される環A、B、C及びDで表される複素芳香環の好ましい具体例としては、少なくとも1つの窒素原子を環構成原子として有する複素芳香環、すなわち含窒素複素芳香環を挙げることができる。含窒素複素芳香環に環構成原子として含まれる窒素原子の数は、通常1又は2、好ましくは1である。含窒素複素芳香環の具体例としては、窒素原子が1つのピリジン;窒素原子が2つのピラジン、ピリダジン、ピリミジンを挙げることができる。なかでも、ピリジン環が特に好ましい。
複素芳香環におけるポルフィラジン環との縮環部位は特に限定されない。例えば、環A、B、C及びDの複素芳香環がピリジン環である場合には、窒素原子の位置を1位として、2位及び3位、又は3位及び4位で縮環したものが好ましく、3位及び4位で縮環したものが特に好ましい。環A、B、C及びDのうちの複素芳香環の個数は、平均値で0.0より大きく3.0以下であり、好ましくは0.2以上2.0以下、さらに好ましくは0.5以上1.7以下、特に好ましくは0.7以上1.5以下である。また、環A、B、C及びDのうちの残りはベンゼン環である。環A、B、C及びDのうちのベンゼン環の個数は、平均値で1.0以上4.0未満、好ましくは2.0以上3.8以下、さらに好ましくは2.3以上3.5以下、特に好ましくは2.5以上3.3以下である。
なお、本明細書においては特に断りのない限り、複素芳香環の個数については小数点以下2桁目を四捨五入して1桁目までを記載する。ただし、例えばピリジン環の個数が1.35、ベンゼン環の個数が2.65のとき、両者を四捨五入すると前者が1.4、後者が2.7となり、両者の合計が環の合計の4.0より大きくなってしまう。このような場合には、便宜上、複素芳香環の個数の小数点以下2桁目を切り捨て、ベンゼン環の個数のみ四捨五入することにより、前者を1.3、後者を2.7として記載する。また、一般式(I)中のm及びnについても、原則として小数点以下2桁目を四捨五入して1桁目までを記載する。ただし、両者の合計が理論値を上回る場合においては、mの小数点以下2桁目を切り捨て、nのみ四捨五入して記載する。
一般式(I)中、R2で表されるアルキレン基としては、直鎖、分岐鎖又は環状アルキレン基を挙げることができる。なかでも、直鎖又は環状アルキレン基が好ましく、直鎖アルキレン基がさらに好ましい。アルキレン基の炭素数は、通常2以上12以下であり、好ましくは2以上6以下、さらに好ましくは2以上4以下、特に好ましくは2以上3以下である。アルキレン基の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレンなどの直鎖アルキレン基;2−メチルエチレンなどの分岐鎖アルキレン;シクロプロピレンジイル、1,2−又は1,3−シクロペンチレンジイル、1,2−、1,3−又は1,4−などの各シクロヘキシレンジイルなどの環状アルキレン基などを挙げることができる。
一般式(I)中、R1で表されるアルキル基としては、直鎖、分岐鎖又は環状アルキル基を挙げることができる。なかでも、直鎖又は分岐鎖アルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がさらに好ましい。アルキル基の炭素数は、通常1以上6以下、好ましくは1以上4以下、さらに好ましくは1以上3以下である。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどの直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、イソペンチル、イソヘキシルなどの分岐鎖アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの環状アルキル基などを挙げることができる。これらのなかでも、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基が好ましく、メチル基又はエチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
一般式(I)中、Xで表される1以上のスルホン酸基を有するアニリノ基としては、通常1以上3以下、好ましくは1又は2、さらに好ましくは2つのスルホン酸基を有するアニリノ基を挙げることができる。1以上のスルホン酸基を有するアニリノ基の具体例としては、2−スルホアニリノ、3−スルホアニリノ、4−スルホアニリノなどのスルホン酸基を1つ有するアニリノ基;2,3−ジスルホアニリノ、2,4−ジスルホアニリノ、2,5−ジスルホアニリノ、3,4−ジスルホアニリノ、3,5−ジスルホアニリノなどのスルホン酸基を2つ有するアニリノ基;2,3,4−トリスルホアニリノ、2,3,5−トリスルホアニリノ、2,3,6−トリスルホアニリノ、3,4,5−トリスルホアニリノなどのスルホン酸基を3つ有するアニリノ基などを挙げることができる。これらのなかでも、2,5−ジスルホアニリノ基が特に好ましい。
一般式(I)中、Xで表される1以上のスルホン酸基を有するアニリノ基が、スルホン酸基以外の置換基をさらに有する場合において、このスルホン酸基以外の置換基の数は通常1又は2であり、好ましくは1である。置換基の種類は単一であっても複数であってもよい。スルホン酸基以外の置換基としては、カルボキシ基、リン酸基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、及びハロゲン原子などを挙げることができる。
アルコキシ基としては、直鎖、分岐鎖又は環状アルコキシ基を挙げることができ、直鎖又は分岐鎖アルコキシ基が好ましく、直鎖アルコキシ基がさらに好ましい。アルコキシ基の炭素数は、通常1以上6以下、好ましくは1以上4以下、さらに好ましくは1以上3以下である。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキシロキシなどの直鎖アルコキシ基;イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、イソペンチロキシ、イソヘキシロキシなどの分岐鎖アルコキシ基;シクロプロポキシ、シクロペントキシ、シクロヘキシロキシなどの環状アルコキシ基などを挙げることができる。これらのなかでも、メトキシ基、エトキシ基又はイソプロポキシ基が好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
アルキルカルボニルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖アルキルカルボニルアミノ基を挙げることができ、直鎖アルキルカルボニルアミノ基が好ましい。このアルキルカルボニルアミノ基のアルキル部分の炭素数は、通常1以上6以下、好ましくは1以上4以下、さらに好ましくは1以上3以下である。アルキルカルボニルアミノ基の具体例としては、メチルカルボニルアミノ(アセチルアミノ)、エチルカルボニルアミノ、n−プロピルカルボニルアミノ、n−ブチルカルボニルアミノなどの直鎖アルキルカルボニルアミノ基;イソプロピルカルボニルアミノなどの分岐鎖アルキルカルボニルアミノ基などを挙げることができる。これらのなかでも、アセチルアミノ基が好ましい。
ウレイド基としては、無置換のウレイド基、アルキルウレイド基、アリールウレイド基を挙げることができる。アルキル又はアリールウレイド基の具体例としては、メチルウレイド、エチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N,N−ジブチルウレイドなどのアルキルウレイド基;フェニルウレイドなどのアリールウレイド基などを挙げることができる。これらのなかでも、無置換のウレイド基が特に好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを挙げることができる。これらのなかでも、塩素原子が特に好ましい。
前記一般式(I)中のm、n、並びにm及びnの和は、いずれも平均値である。mは0.0より大きく3.9未満である。nは0.1以上4.0未満である。また、m及びnの和は1.0以上4.0未満である。環A、B、C及びDのうちの複素芳香環の個数が0.2以上2.0以下、ベンゼン環の個数が2.0以上3.8以下である場合には、mは1.8以上3.6以下、nは0.2以上2.0以下、m及びnの和は2.0以上3.8以下であることが好ましい。また、環A、B、C及びDのうちの複素芳香環の個数が0.3以上1.5以下、ベンゼン環の個数が2.5以上3.7以下である場合には、mが2.2以上3.0以下、nが0.3以上1.5以下、m及びnの和が2.5以上3.7以下であることが好ましい。さらに、環A、B、C及びDのうちの複素芳香環の個数が0.5以上1.2以下、ベンゼン環の個数が2.8以上3.5以下である場合には、mが2.1以上3.1以下、nが0.4以上1.4以下、m及びnの和が2.8以上3.5以下であることが好ましい。
mの値が大きくなるにしたがい、記録される画像の耐オゾン性は向上する傾向にある一方で、ブロンズ現象が生じやすくなる傾向にある。このため、記録される画像の耐オゾン性と耐ブロンズ性を考慮しながらm及びnの値を適宜調節し、バランスのよい比率を選択すればよい。なお、m及びnによって置換数がそれぞれ表される非置換スルファモイル基と置換スルファモイル基は、いずれも、環A、B、C及びDのうちのベンゼン環に導入される基である。つまり、非置換スルファモイル基と置換スルファモイル基は、環A、B、C及びDのうちの複素芳香環には導入されない。
一般式(I)で表される化合物は、遊離酸型(H型)であってもよく、また、分子中のスルホン酸基などの酸性基により塩を形成していてもよい。塩を形成する場合のカウンターイオンとしては、アルカリ金属;アンモニア(NH3);有機アンモニウムなどのカチオンを挙げることができる。アルカリ金属の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを挙げることができる。有機アンモニウムの具体例としては、メチルアミン、エチルアミンなどの炭素数1以上3以下のアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの炭素数1以上4以下のモノ、ジ又はトリアルカノールアミン類などの有機アンモニウムを挙げることができる。
前記一般式(I)で表される化合物の塩の好適な具体例としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属との塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの炭素数1以上4以下のモノ、ジ又はトリアルカノールアミンとの塩;アンモニウム(NH4 +)塩などを挙げることができる。
また、一般式(I)で表される化合物が塩型である場合は、塩のカウンターイオンの種類により、溶解性などの物理的な性質や、その塩を色材として含有するインクの性能(特に記録される画像の堅牢性にかかわる性能)などが変化する場合がある。このため、目的とするインクの性能などに応じて塩の種類を選択することも好ましい。なお、化合物を遊離酸型から塩型にするには、上記で挙げたようなカチオンを生成する物質(アルカリ金属の水酸化物など)を添加して、化合物を含む液体のpHをアルカリ領域に調整すればよい。化合物を塩型から遊離酸型にするには、酸を添加して、化合物を含む液体のpHを酸性領域に調整すればよい。また、特定の塩型から他の塩型にするには、イオン交換などを行えばよい。
本発明のインクに含有される色材のより好適な具体例としては、下記一般式(I’)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2014025002
(前記一般式(I’)中、破線で表される環A、B、C及びDは、それぞれ独立に、ベンゼン環又は複素芳香環を表し、かつ、前記複素芳香環の個数は平均値で0.0より大きく3.0以下であるとともに残りはベンゼン環である。Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。mは平均値で0.0より大きく3.9未満であり、nは平均値で0.1以上4.0未満であり、かつ、m及びnの和は平均値で1.0以上4.0未満である)
一般式(I)で表される化合物の好適な具体例を表1に示す。勿論、本発明のインクに第1の色材として用いられる一般式(I)で表される化合物は、一般式(I)の構造及びその定義に包含されるものであれば、表1に示す例示化合物に限定されない。また、当業者であれば周知の通り、一般式(I)で表される化合物などのフタロシアニン系のポルフィラジン化合物は、通常、複数の異性体を含む複雑な混合物の状態で存在し、その状態で用いられても、効果を発揮する。ただし、本明細書においては、便宜上、複数の異性体を区別することなく代表的な一つの構造式を記載する。なお、表1中のm及びnの値については煩雑さを避けるため、小数点以下1桁目を四捨五入して記載した。このため、表1中のmは便宜上「0」と記載しているが、これは計算処理の問題であり、一般式(I)中のmが0.0より大きいことを意味することには変わりはない。
Figure 2014025002
一般式(I)で表される化合物は、例えば、下記一般式(2)で表される化合物と、下記一般式(3)で表される有機アミンとを、アンモニア又はアンモニア発生源の存在下で反応させることで合成することができる。下記一般式(2)で表される化合物は、例えば、下記一般式(1)で表される化合物をクロロスルホニル化すれば得ることができる。
Figure 2014025002
(一般式(1)中、破線で表される環A、B、C及びDは、それぞれ独立に、ベンゼン環又は複素芳香環を表し、かつ、複素芳香環の個数は平均値で0.0より大きく3.0以下であるとともに残りはベンゼン環である)
Figure 2014025002
(一般式(2)中、破線で表される環A、B、C及びDは、前記一般式(1)中の環A、B、C及びDと同義である。nは平均値で1.0以上4.0未満である)
Figure 2014025002
(一般式(3)中、R1はアルキル基を表し、R2はアルキレン基を表し、Xは1以上のスルホン酸基を有するアニリノ基を表す。Xはカルボキシ基、リン酸基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の置換基をさらに有してもよい)
一般式(1)で表される化合物は、いずれも公知の方法又はそれに準ずる方法にしたがって得ることができる。公知の方法としては、例えば国際公開第2007/091631号、国際公開第2007/116933号、及び国際公開第2008/111635号に開示された方法などを挙げることができる。
一般式(1)で表される化合物をクロロスルホニル化する好適な方法としては、一般式(1)で表される化合物をクロロスルホン酸に加えて反応させた後、さらにクロロ化剤を加えて反応させる方法を挙げることができる。一般式(1)で表される化合物とクロロスルホン酸とを反応させると、クロロスルホニル基とスルホン酸基とが混在して置換した化合物が得られてしまい、目的とする一般式(2)で表される化合物を高選択的に得ることが困難である。このため、一般式(1)で表される化合物とクロロスルホン酸とを反応させた後、さらにクロロ化剤を加え、置換されたスルホン酸基をクロロスルホニル基へ変換させることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物をクロロスルホニル化する際には、一般式(1)で表される化合物に対して、クロロスルホン酸を通常3乃至20質量倍、好ましくは5乃至10質量倍用いる。反応温度は、通常100乃至150℃、好ましくは120乃至150℃である。反応時間は、反応温度などの条件により異なるが、通常1乃至10時間である。
クロロ化剤としては、塩化チオニル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リンなどを挙げることができる。これらのクロロ化剤のなかでも塩化チオニルが好ましい。クロロ化剤の添加量は、その種類により異なるが、一般式(1)で表される化合物1モルに対して、通常6乃至40モル、好ましくは9乃至20モルである。反応温度は、通常30乃至100℃、好ましくは50乃至90℃である。反応時間は、反応温度などの条件により異なるが、通常1乃至10時間である。
一般式(3)で表される有機アミンは、以下の方法で合成することができる。先ず、「R1−OH」の一般式で表されるアルコール類5乃至60モルと、2,4,6−トリクロロ−S−トリアジン(シアヌルクロライド)1モルと、炭酸水素ナトリウム0.8乃至1.2モルとを反応させて1次縮合物を含有する反応液を得る。反応温度は、通常5乃至70℃である。また、反応時間は、通常2乃至12時間である。なお、得られた1次縮合物の反応液から塩析などの適当な方法によりウェットケーキなどの固体として単離した1次縮合物を次の反応に用いてもよい。
次いで、Xに対応する1以上のスルホン酸基を有するアニリン0.9乃至1.5モルの水溶液に、得られた1次縮合物の反応液又はウェットケーキ(好ましくは反応液)を加える。そして、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物により反応液のpHを概ね4乃至10に調整して反応させて2次縮合物を得る。反応温度は、通常5乃至80℃、好ましくは5乃至40℃である。また、反応時間は、通常0.5乃至12時間である。
得られた2次縮合物1モルと、「H2N−R2−NH2」の一般式で表されるアルキレンジアミン類1乃至50モルとを反応させることにより、前記一般式(3)で表される有機アミンを得ることができる。反応の際のpHは通常4乃至7である。反応温度は、通常5乃至90℃、好ましくは40乃至90℃である。また、反応時間は、通常0.5乃至8時間である。
各縮合反応の際のpH調整には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などを用いることができる。なお、縮合反応の順序は、シアヌルクロライドと反応させる化合物の反応性に応じて適宜決めればよい。
一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)で表される有機アミンとを、アンモニア又はアンモニア発生源の存在下、例えば水中で反応させることにより、目的とする一般式(I)で表される化合物を得ることができる。反応の際のpHは、通常8乃至10である。反応温度は、通常5乃至70℃、好ましくは5乃至40℃である。また、反応時間は、通常1乃至20時間である。アンモニアとしては、アンモニア水、アンモニアガスを含有する水混和性有機溶剤などを用いることができる。アンモニアガスを含有する水混和性有機溶剤に用いられる水溶性有機溶剤の具体例としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを挙げることができる。アンモニア水やアンモニアガスを含有する水混和性有機溶剤は、水や水混和性有機溶剤にアンモニアガスを吹き込むことなどの公知の方法により調製したものや、市販品として入手したものを用いることができる。
アンモニア発生源としては、中和や分解によりアンモニアを発生する化学物質などを用いることができる。このような化学物質としては、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムなどの中和によりアンモニアを発生するアンモニウム塩;尿素などの熱分解によりアンモニアを発生する物質などを挙げることができる。上記のなかでもアンモニアを用いることが好ましく、アンモニア水として用いることが好ましい。特に、市販品として入手可能な濃アンモニア水(約28質量%アンモニア水として市販されているもの)、又はこの濃アンモニア水を必要に応じて水で希釈したアンモニア水を用いることが好ましい。さらには、濃アンモニア水を用いることが、反応液の液量を少なくできるために好ましい。
一般式(3)で表される有機アミンの使用量は、通常、一般式(2)で表される化合物1モルに対して、理論値(一般式(I)中のnを目的とする値にするのに必要な、一般式(3)で表される有機アミンの計算上のモル数)の1モル当量程度である。ただし、有機アミンの反応性及び反応条件により適宜調整される。通常は、理論値の1乃至3モル当量であり、好ましくは1乃至2モル当量である。
一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)で表される有機アミンとを水中で反応させると、一般式(2)中のクロロスルホニル基の一部がスルホン酸基へと加水分解されることが理論上考えられる。すなわち、一般式(I)中の「−SO2NH2」基の一部がスルホン酸基となった化合物が、目的とする一般式(I)で表される化合物に混入することが理論上考えられる。しかし、フタロシアニン系のポルフィラジン化合物の一般的な分析手段の一つである質量分析によって、「−SO2NH2」基とスルホン酸基とを識別することは通常困難である。このような理由から、本明細書においては一般式(3)で表される有機アミンと反応したもの以外の一般式(2)中のクロロスルホニル基は、全て「−SO2NH2」基へと変換されたものとして記載する。
上記合成方法の最終工程の反応液から一般式(I)で表される化合物を単離する方法としては、酸析(酸の添加により化合物を析出させる方法)、塩析、又はこれらを組み合わせた酸塩析などの方法を挙げることができる。塩析は、酸性〜アルカリ性の範囲で行うことが好ましく、pH1乃至11の範囲で行うことがさらに好ましい。塩析の際の温度は特に限定されないが、通常40乃至80℃、好ましくは40乃至60℃に加熱する。加熱後、塩化ナトリウムなどを加えて塩析することが好ましい。一般式(I)で表される化合物を単離する方法としては、pH1の強酸性下で塩析を行う酸塩析が好ましい。
当業者であれば周知の通り、フタロシアニン系のポルフィラジン化合物は、置換基の置換位置により、α位置換型、β位置換型、及びαβ位混合置換型の3種類のいずれかに分類される。一般式(I)で表される化合物は、環A、B、C及びDとしてベンゼン環を特定の数(平均値)で有する。このため、一般式(I)で表される化合物もフタロシアニン系のポルフィラジン化合物と同様に、ベンゼン環の置換基の位置により3種類の置換型のいずれかに分類することができる。そして、一般式(I)で表される化合物はαβ位混合置換型に分類することができる。
〔第2の色材〕
本発明のインクは、先に説明した第1の色材とともに、ヘテロ環に直接結合しているアゾ結合を含む、複数のアゾ結合を有するブラック色材を第2の色材として含有することを要する。本発明においては、前記第2の色材が、下記一般式(II)で表される化合物、下記一般式(III)で表される化合物、及び下記一般式(IV)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの第2の色材を含有させることにより、記録される画像の耐オゾン性をさらに向上させることができる。
Figure 2014025002
一般式(II)中、R3は、置換されていてもよい芳香族基又は複素環基を表す。一般式(II)中、−R4−は、下記一般式(i)乃至(v)のいずれかの基を表す。一般式(II)中、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。
Figure 2014025002
一般式(i)乃至(v)中、R5乃至R13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、カルボキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、又はスルホン酸基を表す。これらの基はさらに置換されていてもよい。
Figure 2014025002
一般式(III)中、R14は、置換基を有するフェニル基を表す。前記置換基は、カルボキシ基;スルホン酸基;塩素原子;シアノ基;ニトロ基;スルファモイル基;炭素数1乃至4のアルキル基;ヒドロキシ基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、スルホン酸基、又はカルボキシ基で置換されていてもよい炭素数1乃至4のアルコキシ基;及びヒドロキシ基、スルホン酸基、又はカルボキシ基で置換されていてもよい炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種の基である。
一般式(III)中、R15及びR16は、それぞれ独立に、置換基を有するパラフェニレン基を表す。前記置換基は、カルボキシ基;スルホン酸基;炭素数1乃至4のアルキル基;ヒドロキシ基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、スルホン酸基、又はカルボキシ基で置換されていてもよい炭素数1乃至4のアルコキシ基;及びヒドロキシ基、スルホン酸基、又はカルボキシ基で置換されていてもよい炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種の基である。
一般式(III)中、R17は、カルボキシ基で置換されていてもよい炭素数1乃至4のアルキル基、スルホン酸基で置換されていてもよいフェニル基、又はカルボキシ基を表す。一般式(III)中、R18は、シアノ基、カルバモイル基、又はカルボキシ基を表す。一般式(III)中、R19及びR20は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、塩素原子、又はスルホン酸基を表す。
また、一般式(III)において、R14がスルホン酸基又はカルボキシ基を有するフェニル基であることが好ましい。さらに、一般式(III)において、R15及びR16は、それぞれ独立に、下記一般式(vi)で表される基であることが好ましい。
Figure 2014025002
(前記一般式(vi)中、R58は、スルホン酸基又はスルホプロポキシ基を表し、R59は、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、又はエトキシ基を表す)
Figure 2014025002
前記一般式(IV)中、R21は、炭素数1乃至4のアルキル基;カルボキシ基で置換された炭素数1乃至4のアルキル基;フェニル基;スルホン酸基で置換されたフェニル基;又はカルボキシ基を表す。R22は、シアノ基;カルバモイル基;又はカルボキシ基を表す。R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子;炭素数1乃至4のアルキル基;ハロゲン原子;炭素数1乃至4のアルコキシ基;又はスルホン酸基を表す。R25及びR27は、それぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキルチオ基;又はヒドロキシ基、スルホン酸基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換された炭素数1乃至4のアルキルチオ基を表す。R26及びR28は、それぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキルカルボニルアミノ基を表す。R29及びR30は、それぞれ独立に、水素原子;カルボキシ基;スルホン酸基;アセチルアミノ基;ハロゲン原子;炭素数1乃至4のアルキル基;炭素数1乃至4のアルコキシ基;又はヒドロキシ基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、スルホン酸基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換された炭素数1乃至4のアルコキシ基を表す。R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、水素原子;カルボキシ基;スルホン酸基;ヒドロキシ基;アセチルアミノ基;ハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;スルファモイル基;炭素数1乃至4のアルキル基;炭素数1乃至4のアルコキシ基;ヒドロキシ基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、スルホン酸基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換された炭素数1乃至4のアルコキシ基;炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基;又はヒドロキシ基、スルホン酸基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換された炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基を表す。
一般式(IV)で表される化合物には互変異性体が存在する。互変異性体としては、一般式(IV)で表される化合物以外に、下記一般式(IV−1)及び(IV−2)などで表される化合物が考えられる。本発明においては、これらの化合物(互変異性体)や塩も一般式(IV)で表される化合物に含まれるものとする。なお、一般式(IV−1)及び(IV−2)中のR21乃至R33は、前記一般式(IV)中のR21乃至R33と同義である。
Figure 2014025002
Figure 2014025002
一般式(IV)中、R21で表される炭素数1乃至4のアルキル基としては、直鎖又は分岐鎖の無置換アルキル基を挙げることができる。これらのなかでも、直鎖の無置換アルキル基が好ましい。炭素数1乃至4のアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルなどの直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの分岐鎖アルキル基などを挙げることができる。これらのなかでも、メチル基、n−プロピル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。
一般式(IV)中、R21で表されるカルボキシ基で置換された炭素数1乃至4のアルキル基としては、上記の無置換アルキル基のいずれかの炭素原子にカルボキシ基が置換したものを挙げることができる。カルボキシ基の置換位置は、アルキル基の末端であることが好ましい。また、カルボキシ基の置換数は、1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。カルボキシ基で置換された炭素数1乃至4のアルキル基の具体例としては、カルボキシメチル、2−カルボキシエチルなどを挙げることができる。これらのなかでも、カルボキシメチル基が好ましい。
一般式(IV)中、R21で表されるスルホン酸基で置換されたフェニル基としては、1乃至3個、好ましくは1又は2個のスルホン酸基が置換したフェニル基を挙げることができる。スルホン酸基で置換されたフェニル基の具体例としては、3−スルホフェニル、4−スルホフェニル、2,4−ジスルホフェニル、3,5−ジスルホフェニルなどを挙げることができる。これらのなかでも、4−スルホフェニル基が好ましい。
一般式(IV)中のR21は、炭素数1乃至4のアルキル基、カルボキシ基で置換された炭素数1乃至4のアルキル基、フェニル基、又はスルホン酸基で置換されたフェニル基であることが好ましい。R21は、炭素数1乃至4のアルキル基、フェニル基、又はスルホン酸基で置換されたフェニル基であることがさらに好ましく、炭素数1乃至4のアルキル基、又はフェニル基であることがより好ましい。R21は、炭素数1乃至4のアルキル基であることが特に好ましく、メチル基であることが最も好ましい。
一般式(IV)中のR22は、シアノ基又はカルバモイル基であることが好ましく、シアノ基であることがさらに好ましい。
一般式(IV)中、R23及びR24で表される炭素数1乃至4のアルキル基としては、前記R21で表される炭素数1乃至4のアルキル基について例示したものと、好ましいものを含めて同様のものを挙げることができる。
一般式(IV)中、R23及びR24で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を挙げることができ、これらのなかでも、塩素原子が好ましい。
一般式(IV)中、R23及びR24で表される炭素数1乃至4のアルコキシ基としては、直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基を挙げることができる。これらのなかでも、直鎖のアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基は置換基を有していてもよいが、無置換アルコキシ基が好ましい。炭素数1乃至4のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシなどの直鎖アルコキシ基;イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどの分岐鎖アルコキシ基などを挙げることができる。これらのなかでも、メトキシが特に好ましい。
一般式(IV)中のR23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、又はスルホン酸基であることが好ましい。また、R23及びR24の一方が水素原子であり、他方がスルホン酸基である組み合わせがさらに好ましい。R23及びR24の一方が水素原子であり、他方がスルホン酸基である場合において、スルホン酸基の置換位置は、ベンズイミダゾロピロリドン環を構成する、いずれの窒素原子にも隣接しない2つの炭素原子のどちらかであることが好ましい。一般式(IV)で表される化合物は、合成の容易さ及びコストの観点から、R23及びR24の置換位置が相違する、少なくとも2種類の位置異性体を含む混合物であってもよい。
一般式(IV)中のR21乃至R24の好適な組み合わせは以下に示す通りである。
21:炭素数1乃至4のアルキル基、又はフェニル基(好ましくは炭素数1乃至4のアルキル基、さらに好ましくはメチル基)
22:シアノ基又はカルバモイル基(好ましくはシアノ基)
23:水素原子、メチル基、又はメトキシ基(好ましくはメトキシ基)
24:スルホン酸基
一般式(IV)中、R25及びR27で表される炭素数1乃至4のアルキルチオ基としては、アルキルが直鎖又は分岐鎖の無置換アルキルチオ基を挙げることができる。なかでも直鎖の無置換アルキルチオ基が好ましい。炭素数1乃至4のアルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、n−ブチルチオなどの直鎖アルキルチオ基;イソプロピルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオなどの分岐鎖アルキルチオ基などを挙げることができる。
一般式(IV)中、R25及びR27で表される、特定の置換基で置換された炭素数1乃至4のアルキルチオ基としては、炭素数1乃至4のアルキルチオ基を構成する任意の炭素原子に特定の置換基が結合したものを挙げることができる。特定の置換基は、ヒドロキシ基、スルホン酸基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基である。置換基の数は、1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。置換基の位置は、アルキルチオ基を構成する硫黄原子が結合する炭素原子以外の炭素原子であることが好ましい。特定の置換基で置換された炭素数1乃至4のアルキルチオ基の具体例としては、2−ヒドロキシエチルチオ、2−ヒドロキシプロピルチオ、3−ヒドロキシプロピルチオなどのヒドロキシアルキルチオ基;2−スルホエチルチオ、3−スルホプロピルチオなどのスルホアルキルチオ基;2−カルボキシエチルチオ、3−カルボキシプロピルチオ、4−カルボキシブチルチオなどのカルボキシアルキルチオ基を挙げることができる。
一般式(IV)中のR25及びR27は、それぞれ独立に、スルホアルキルチオ基又はカルボキシアルキルチオ基であることが好ましく、スルホアルキルチオ基であることがさらに好ましく、スルホプロピルチオ基であることが特に好ましい。
一般式(IV)中、R26及びR28で表される炭素数1乃至4のアルキルカルボニルアミノ基としては、アルキルが直鎖又は分岐鎖のアルキルカルボニルアミノ基を挙げることができる。これらのなかでも、直鎖のアルキルカルボニルアミノ基が好ましい。アルキルカルボニルアミノ基は置換基を有していてもよいが、無置換アルキルカルボニルアミノ基が好ましい。炭素数1乃至4のアルキルカルボニルアミノ基の具体例としては、アセチルアミノ(メチルカルボニルアミノ)、プロピオニルアミノ(エチルカルボニルアミノ)、n−プロピルカルボニルアミノ、n−ブチルカルボニルアミノなどの直鎖の無置換アルキルカルボニルアミノ基;イソプロピルカルボニルアミノ、イソブチルカルボニルアミノ、sec−ブチルカルボニルアミノ、ピバロイルアミノ(tert−ブチルカルボニルアミノ)などの分岐鎖の無置換アルキルカルボニルアミノ基を挙げることができる。これらのなかでも、直鎖の無置換アルキルカルボニルアミノ基が好ましく、アセチルアミノ基がさらに好ましい。
一般式(IV)中のR25とR26の組み合わせとしては、R25が炭素数1乃至4のスルホアルキルチオ基であるとともに、R26がアセチルアミノ基であることが好ましい。また、R25がスルホプロピルチオ基であるとともに、R26がアセチルアミノ基であることがさらに好ましい。
一般式(IV)中のR27とR28の組み合わせとしては、R27が炭素数1乃至4のスルホアルキルチオ基であるとともに、R28がアセチルアミノ基であることが好ましい。また、R27がスルホプロピルチオ基であるとともに、R28がアセチルアミノ基であることがさらに好ましい。
一般式(IV)中、R29及びR30で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を挙げることができ、これらのなかでも、塩素原子が好ましい。
一般式(IV)中、R29及びR30で表される炭素数1乃至4のアルキル基としては、前記R21で表される炭素数1乃至4のアルキル基について例示したものと、好ましいものを含めて同様のものを挙げることができる。
一般式(IV)中、R29及びR30で表される炭素数1乃至4のアルコキシ基としては、前記R23及びR24で表される炭素数1乃至4のアルコキシ基について例示したものと、好ましいものを含めて同様のものを挙げることができる。
一般式(IV)中、R29及びR30で表される、特定の置換基で置換された炭素数1乃至4のアルコキシ基としては、炭素数1乃至4のアルコキシ基を構成する任意の炭素原子に特定の置換基が結合したものを挙げることができる。特定の置換基は、ヒドロキシ基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、スルホン酸基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基である。置換基の数は、1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。置換基の位置は、アルコキシ基を構成する酸素原子が結合する炭素原子以外の炭素原子であることが好ましい。特定の置換基で置換された炭素数1乃至4のアルコキシ基の具体例としては、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシなどのヒドロキシアルコキシ基;2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシなどのスルホアルコキシ基;2−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ、4−カルボキシブトキシなどのカルボキシアルコキシ基を挙げることができる。
29は、スルホアルコキシ基又はカルボキシアルコキシ基であることが好ましく、スルホアルコキシ基であることがさらに好ましく、スルホプロポキシ基又はスルホブトキシ基であることが特に好ましい。また、R30は、アルキル基、アルコキシ基、スルホアルコキシ基、カルボキシアルコキシ基、又はアセチルアミノ基であることが好ましく、アルキル基であることがさらに好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
一般式(IV)中のR29とR30の組み合わせとしては、R29がスルホアルコキシ基であるとともに、R30がアルキル基であることが好ましい。また、R29がスルホプロポキシ基(特に3−スルホプロポキシ基)又はスルホブトキシ基(特に4−スルホブトキシ基)であるとともに、R30がメチル基であることがさらに好ましい。
一般式(IV)中、R31、R32及びR33で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を挙げることができ、これらのなかでも、塩素原子が好ましい。
一般式(IV)中、R31、R32及びR33で表される炭素数1乃至4のアルキル基としては、前記R21で表される炭素数1乃至4のアルキル基について例示したものと、好ましいものを含めて同様のものを挙げることができる。
一般式(IV)中、R31、R32及びR33で表される炭素数1乃至4のアルコキシ基としては、前記R23及びR24で表される炭素数1乃至4のアルコキシ基について例示したものと、好ましいものを含めて同様のものを挙げることができる。
一般式(IV)中、R31、R32及びR33で表される、特定の置換基で置換された炭素数1乃至4のアルコキシ基としては、前記R29及びR30で表される、特定の置換基で置換された炭素数1乃至4のアルコキシ基について例示したものと同様のものを挙げることができる。また、特定の置換基で置換された炭素数1乃至4のアルコキシ基の好ましい例も、前記R29及びR30において例示したものと同様である。なお、特定の置換基は、ヒドロキシ基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、スルホン酸基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基である。
一般式(IV)中、R31、R32及びR33で表される炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基としては、直鎖又は分岐鎖の無置換アルキルスルホニル基を挙げることができる。これらのなかでも、直鎖の無置換アルキルスルホニル基が好ましい。炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基の具体例としては、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、n−ブチルスルホニルなどの直鎖のアルキルスルホニル基;イソプロピルスルホニル、イソブチルスルホニルなどの分岐鎖のアルキルスルホニル基を挙げることができる。これらのなかでも、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、又はイソプロピルスルホニル基が好ましく、メチルスルホニル基がさらに好ましい。
一般式(IV)中、R31、R32及びR33で表される、特定の置換基で置換された炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基としては、前記炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基を構成する任意の炭素原子に特定の置換基が結合したものを挙げることができる。特定の置換基は、ヒドロキシ基、スルホン酸基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基である。置換基の数は、1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。特定の置換基で置換された炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基の具体例としては、ヒドロキシエチルスルホニル、2−ヒドロキシプロピルスルホニル、2−スルホエチルスルホニル、3−スルホプロピルスルホニル、2−カルボキシエチルスルホニル、3−カルボキシプロピルスルホニルなどを挙げることができる。
31は、水素原子、カルボキシ基、スルホン酸基、塩素原子、ニトロ基、メチル基、メトキシ基、又は炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基であることが好ましい。また、水素原子;電子吸引性基である、カルボキシ基、スルホン酸基、塩素原子、ニトロ基、炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基;メチル基;又はメトキシ基であることがさらに好ましく、水素原子又は塩素原子であることが特に好ましい。
32は、水素原子、カルボキシ基、スルホン酸基、塩素原子、ニトロ基、スルファモイル基、メチル基、メトキシ基、炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基、カルボキシアルキルスルホニル基(アルキルの炭素数は1乃至4)、炭素数1乃至4のスルホアルキルスルホニル基(アルキルの炭素数は1乃至4)であることが好ましい。また、水素原子;電子吸引性基である、カルボキシ基、スルホン酸基、塩素原子、ニトロ基、スルファモイル基、炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基、カルボキシアルキルスルホニル基(アルキルの炭素数は1乃至4)、炭素数1乃至4のスルホアルキルスルホニル基(アルキルの炭素数は1乃至4);メチル基;又はメトキシ基であることがさらに好ましく、スルホン酸基、ニトロ基、スルファモイル基、メチル基、メトキシ基、スルホプロピルスルホニル基、又はカルボキシエチルスルホニル基であることが特に好ましく、スルホン酸基が最も好ましい。
33は、水素原子、カルボキシ基、スルホン酸基、メトキシ基、塩素原子、ニトロ基、炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基であることが好ましい。また、水素原子;電子吸引性基である、カルボキシ基、スルホン酸基、塩素原子、ニトロ基、炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基;又はメトキシ基であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
一般式(IV)中のR31、R32及びR33の好適な組み合わせは以下に示す(a)、(b)及び(c)である。これらのなかでも、(c)の組み合わせが特に好ましい。
(a)R31が水素原子、R32がスルホン酸基、R33が水素原子の組み合わせ
(b)R31が水素原子、R32がスルファモイル基、R33が水素原子の組み合わせ
(c)R31が水素原子、R32が塩素原子、R33がスルホン酸基の組み合わせ
一般式(IV)で表される化合物のなかでも、下記一般式(V)で表される化合物が好ましい。
Figure 2014025002
一般式(V)中のR21乃至R33は、一般式(IV)中のR21乃至R33と同義であり、好ましい基及びその組み合わせも一般式(IV)の場合と同じである。また、一般式(V)中のR31、R32及びR33が置換したベンゼン環において、アゾ基の置換位置を1位とした場合に、R31の置換位置は2位又は3位、R32の置換位置は4位、R33の置換位置は5位又は6位であることが好ましい。一般式(IV)中のR21乃至R33の好適な組み合わせは以下に示す(i)及び(ii)である。(i)の組み合わせよりも(ii)の組み合わせの方がより好ましい。
(i)
21:メチル基
22:シアノ基又はカルバモイル基
23:水素原子、メチル基、又はメトキシ基
24:スルホン酸基
25:炭素数1乃至4のスルホアルキルチオ基
26:炭素数1乃至4のアルキルカルボニルアミノ基
27:炭素数1乃至4のスルホアルキルチオ基
28:アルキルカルボニルアミノ基(アルキルの炭素数は1乃至4)
29:炭素数1乃至4のスルホアルコキシ基
30:炭素数1乃至4のアルキル基又はアセチルアミノ基
31、R32及びR33:それぞれ独立に、水素原子、スルホン酸基、メチル基、メトキシ基、塩素原子、ニトロ基、又はスルファモイル基
(ii)
21:メチル基
22:シアノ基
23:水素原子又はメトキシ基
24:スルホン酸基
25:炭素数1乃至4のスルホアルキルチオ基
26:アセチルアミノ基
27:炭素数1乃至4のスルホアルキルチオ基
28:アセチルアミノ基
29:スルホプロポキシ基又はスルホブトキシ基
30:炭素数1乃至4のアルキル基
31:水素原子又はスルホン酸基
32:スルホン酸基又は塩素原子
33:水素原子又はスルホン酸基
一般式(IV)で表される化合物の好適な具体例としては、表2に示す例示化合物18乃至113を挙げることができる。なお、表2においては、下記一般式(V’)の形式で、遊離酸型(H型)として例示化合物を示す。勿論、本発明においては、一般式(IV)の構造及びその定義に包含されるものであれば、表2に示す例示化合物に限定されない。本発明においては、表2に示す例示化合物のなかでも、例示化合物18〜29、36及び46が好ましく、例示化合物24〜29、36及び46がさらに好ましく、例示化合物24〜29が特に好ましい。
Figure 2014025002
Figure 2014025002
Figure 2014025002
Figure 2014025002
一般式(IV)で表される化合物は、例えば以下に示す方法にしたがって合成することができる。以下、各工程における化合物の構造式は、遊離酸型として表す。なお、下記一般式(4)乃至(11)中のR21乃至R33は、前記一般式(IV)中のR21乃至R33と同義である。
下記一般式(4)で表される化合物を常法にしたがってジアゾ化して得られたジアゾ化合物と、下記一般式(5)で表される化合物とを常法にしたがってカップリング反応させ、下記一般式(6)で表される化合物を得る。
Figure 2014025002
Figure 2014025002
Figure 2014025002
得られた前記一般式(6)で表される化合物を常法にしたがってジアゾ化して得られたジアゾ化合物と、下記一般式(7)で表される化合物とを常法にしたがってカップリング反応させ、下記一般式(8)で表される化合物を得る。
Figure 2014025002
Figure 2014025002
得られた前記一般式(8)で表される化合物を常法にしたがってジアゾ化して得られたジアゾ化合物と、下記一般式(9)で表される化合物とを常法にしたがってカップリング反応させ、下記一般式(10)で表される化合物を得る。
Figure 2014025002
Figure 2014025002
得られた前記一般式(10)で表される化合物を常法にしたがってジアゾ化して得られたジアゾ化合物と、下記一般式(11)で表される化合物とを常法にしたがってカップリング反応させれば、前記一般式(IV)で表される化合物を得ることができる。
Figure 2014025002
一般式(4)で表される化合物のジアゾ化は、公知の方法で実施される。例えば、無機酸媒質中、−5〜30℃、好ましくは0〜15℃で、亜硝酸塩を用いてジアゾ化される。亜硝酸塩としては、亜硝酸ナトリウムなどのアルカリ金属の亜硝酸塩を用いることができる。一般式(4)で表される化合物のジアゾ化物と、一般式(5)で表される化合物とのカップリング反応も、公知の方法で実施される。例えば、水又は水性有機媒体中、−5〜30℃、好ましくは0〜25℃、酸性から中性のpH値、好ましくはpH1〜6でカップリング反応が実施される。ジアゾ化反応液は酸性である。また、カップリング反応が進行するため、反応液はさらに酸性化する。このため、塩基を添加することで、反応液のpHを好ましい値に調整する。塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属の酢酸塩;アンモニア;有機アミンなどを用いることができる。また、一般式(4)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いればよい。
一般式(6)で表される化合物のジアゾ化は、公知の方法で実施される。例えば、無機酸媒質中、−5〜40℃、好ましくは5〜30℃で、亜硝酸塩を用いてジアゾ化される。一般式(6)で表される化合物のジアゾ化物と、一般式(7)で表される化合物とのカップリングも、公知の方法で実施される。水又は水性有機媒体中、−5〜40℃、好ましくは10〜30℃、酸性から中性のpH値、好ましくはpH2〜7でカップリング反応が実施される。ジアゾ化反応液は酸性である。また、カップリング反応が進行するため、反応液はさらに酸性化する。このため、塩基を添加することで、反応液のpHを好ましい値に調整する。塩基としては上記と同じものを用いることができる。また、一般式(6)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いればよい。
一般式(8)で表される化合物のジアゾ化は、公知の方法で実施される。例えば、無機酸媒質中、−5〜50℃、好ましくは5〜40℃で、亜硝酸塩を用いてジアゾ化される。一般式(8)で表される化合物のジアゾ化物と、一般式(9)で表される化合物とのカップリングも、公知の方法で実施される。水又は水性有機媒体中、−5〜50℃、好ましくは10〜40℃、酸性から中性のpH値、好ましくはpH2〜7でカップリング反応が実施される。ジアゾ化反応液は酸性である。また、カップリング反応が進行するため、反応液はさらに酸性化する。このため、塩基を添加することで、反応液のpHを好ましい値に調整する。塩基としては上記と同じものを用いることができる。また、一般式(8)で表される化合物と一般式(9)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いればよい。
一般式(10)で表される化合物のジアゾ化は、公知の方法で実施される。例えば、無機酸媒質中、−5〜50℃、好ましくは10〜40℃で、亜硝酸塩を用いてジアゾ化される。一般式(10)で表される化合物のジアゾ化物と、一般式(11)で表される化合物とのカップリングも、公知の方法で実施される。水又は水性有機媒体中、−5〜50℃、好ましくは10〜40℃、弱酸性からアルカリ性のpH値、好ましくはpH5〜10でカップリング反応が実施される。ジアゾ化反応液は酸性である。また、カップリング反応が進行するため、反応液はさらに酸性化する。このため、塩基を添加することで、反応液のpHを好ましい値に調整する。塩基としては上記と同じものを用いることができる。また、一般式(10)で表される化合物と一般式(11)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いればよい。
一般式(IV)で表される化合物の塩は、一般式(IV)で表される化合物と、無機又は有機陽イオンとの塩である。無機塩の具体例としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩を挙げることができる。これらのなかでも、リチウム、ナトリウム、カリウム及びアンモニウム塩が好ましい。また、有機陽イオンとしては、例えば、下記一般式(12)で表される4級アンモニウムイオンを挙げることができる。また、一般式(IV)で表される化合物は、一般式(IV)で表される化合物の遊離酸、その互変異性体、及びそれらの各種の塩を含有する混合物であってもよい。具体的には、ナトリウム塩とアンモニウム塩の混合物、遊離酸とナトリウム塩の混合物、リチウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩の混合物など、いずれの組み合わせであってもよい。塩の種類によって、溶解性などの物性が異なる場合もある。このため、必要に応じて適宜塩の種類を選択すること、又は複数の塩などを含む場合にはその比率を変化させることにより、目的に適う物性を有する混合物を得ることもできる。
Figure 2014025002
前記一般式(12)中、Z1乃至Z4は、それぞれ独立に、水素原子、無置換アルキル基、ヒドロキシアルキル基、及びヒドロキシアルコキシアルキル基からなる群より選択される基を表す。ただし、Z1乃至Z4の少なくとも1つは水素原子以外の基である。
一般式(12)中、Z1乃至Z4で表される無置換アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素数1乃至4の無置換アルキル基を挙げることができる。ヒドロキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチルなどの炭素数1乃至4のヒドロキシアルキル基を挙げることができる。また、ヒドロキシアルコキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチルなどのヒドロキシアルコキシアルキル基(アルコキシ及びアルキルの炭素数は、それぞれ1乃至4)を挙げることができる。これらのなかでも、ヒドロキシエトキシアルキル基(アルキルの炭素数は1乃至4)が好ましい。
一般式(12)中のZ1乃至Z4は、それぞれ独立に、水素原子(ただし、Z1乃至Z4の少なくとも1つは水素原子以外の基である);メチル;ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチルなどの炭素数1乃至4のヒドロキシアルキル基;ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチルなどのヒドロキシエトキシアルキル基(アルキルの炭素数は1乃至4)であることが好ましい。
一般式(12)で表される4級アンモニウムイオンの好適な具体例としては、表3に示す例示化合物a〜lを挙げることができる。
Figure 2014025002
一般式(IV)で表される化合物の塩を合成する方法としては、例えば、以下に示す(a)及び(b)の方法を挙げることができる。以下に示すような方法により、目的とする一般式(IV)で表される化合物の塩を溶液又は析出固体の状態で得ることができる。
(a)一般式(IV)で表される化合物の合成反応における最終工程の終了後、無機塩又は4級アンモニウム塩を反応液に加えて塩析する。
(b)上記の反応液に塩酸などの鉱酸を加えて単離したアゾ化合物の遊離酸を、必要に応じて水、酸性の水、又は水性有機媒体などで洗浄した後、付着した無機塩などの不純物を除去する。再度、水性の媒体中(好ましくは水中)で、遊離酸に所望の無機塩基又は前記4級アンモニウム塩に対応する有機塩基を加える。
なお、酸性の水とは、例えば、硫酸、塩酸などの鉱酸;酢酸などの有機酸を水に溶解して酸性にしたものをいう。また、水性有機媒体とは、水と混和可能な有機化合物と、水との混和物をいう。「水と混和可能な有機化合物」の具体例としては、後述する水溶性有機溶剤などを挙げることができる。
一般式(IV)で表されるアゾ化合物を所望の塩とする際に用いる無機塩の具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属のハロゲン化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;塩化アンモニウム、臭化アンモニウムなどのハロゲン化アンモニウム;水酸化アンモニウム(アンモニア水)などを挙げることができる。また、有機陽イオンの塩の具体例としては、ジエタノールアミン塩酸塩、トリエタノールアミン塩酸塩などの、前記一般式(12)で表される4級アンモニウムイオンのハロゲン塩などを挙げることができる。
(一般式(IV)で表される化合物の検証方法)
一般式(IV)で表される化合物が各インク中に含まれているか否かを検証するには、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた下記(1)〜(3)の検証方法を適用することができる。
(1)ピークの保持時間
(2)(1)のピークについての極大吸収波長
(3)(1)のピークについてのマススペクトルのM/Z(posi)、M/Z(nega)
高速液体クロマトグラフィーの分析条件は、以下に示す通りである。純水で約1,000倍に希釈した液体(インク)を測定用サンプルとする。そして、下記の条件で高速液体クロマトグラフィーでの分析を行い、ピークの保持時間(retention time)、及びピークの極大吸収波長を測定する。
・カラム:SunFire C18(日本ウォーターズ製)2.1mm×150mm
・カラム温度:40℃
・流速:0.2mL/min
・PDA:200nm〜700nm
・移動相及びグラジエント条件:表4
Figure 2014025002
また、マススペクトルの分析条件は以下に示す通りである。得られたピークについて、下記の条件でマススペクトルを測定し、最も強く検出されたM/Zをposi及びnegaのそれぞれに対して測定する。
・イオン化法:ESI
・キャピラリ電圧:3.5kV
・脱溶媒ガス:300℃
・イオン源温度:120℃
・検出器:
posi;40V 200〜1500amu/0.9sec
nega;40V 200〜1500amu/0.9sec
上記した方法及び条件下で、一般式(IV)で表される化合物の具体例である例示化合物24(化合物D)について測定を行った。その結果、得られた保持時間、極大吸収波長、M/Z(posi)、及びM/Z(nega)の値を表5に示す。未知のインクについて、上記と同様の方法及び条件下で測定を行って、得られた測定値が表5に示す値に該当する場合、一般式(IV)で表される化合物を含有すると判断することができる。
Figure 2014025002
〔第3の色材〕
調色されたブラック系のインクでは、よりニュートラルな色調を表現することも重要な課題の一つである。本発明のインクは、前述の第1の色材及び第2の色材に加えて、アゾ結合を有するイエロー色材を第3の色材として含有することが好ましい。第3の色材のより好ましいものとしては、2つ以上のアゾ結合を有するイエロー色材を挙げることができる。第1の色材及び第2の色材と、第3の色材とを併用することで、耐オゾン性を低下させることなく、ニュートラルな色調を有する画像を記録可能なインクとすることができる。
本発明における好ましいグレー乃至ブラックの色調を有するインクとは、具体的には以下に示すようなインクを意味する。インクを用いて記録デューティを100%から順次記録デューティを落としていって記録した階調性を有する画像について、CIE(国際照明委員会)により規定されたL***表示系におけるa*及びb*を測定する。そして、少なくとも記録デューティが10%である部分におけるa*及びb*の値が、「−7≦a*≦4」又は「−7≦b*≦4」を満たす画像を記録可能なインクを、好ましいグレー乃至ブラックの色調を有するインクであるとしている。さらに、記録デューティが10%である部分におけるa*及びb*の値が「−7≦a*≦4」かつ「−7≦b*≦4」を満たす画像を記録可能なインクを、さらに好ましいグレー乃至ブラックの色調を有するインクであるとしている。なお、前記a*及びb*の値は、例えば、分光光度計を用いて測定することができる。
第3の色材として用いられる好ましいイエロー色材の具体例として、下記一般式(VI)及び(VII)で表される化合物を挙げることができる。勿論、本発明のインクに用いることのできるイエロー色材(第3の色材)は、下記の化合物に限定されるものではない。
Figure 2014025002
一般式(VI)中、R34、R35、R40及びR41は、それぞれ独立に1価の基を表す。R36及びR37は、それぞれ独立に、ハメットのσp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。R38及びR39は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。
Figure 2014025002
一般式(VII)中、R42及びR43は、それぞれ独立に1価の基を表す。R47及びR48は、それぞれ独立に−OR51又は−NHR52を表し、R51及びR52は、それぞれ独立に水素原子又は1価の基を表す。R46は2価の連結基を表し、mは0又は1を表す。R49及びR50は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、又は1価のトリアジン環基を表す。R44及びR45は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価のヘテロ環基を表す。
〔第4の色材〕
ブラック系インクでは、記録される画像に光源演色性の課題が生じやすい。ここで、「光源演色性が良好」とは、光源が違っていても画像の色調が変わらないことを意味する。逆に、光源演色性が劣る場合、同一の画像が、例えば、太陽光下と蛍光灯下とで色調が変わって見えることになる。本発明のインクは、前述の第1の色材及び第2の色材に加えて、アゾ結合を有するマゼンタ色材、及び、アントラピリドン骨格を有するマゼンタ色材の少なくとも一方を第4の色材として含有することが好ましい。具体的には、第1の色材及び第2の色材に追加して第4の色材を含有するインク、及び第1の色材、第2の色材及び第3の色材に追加して第4の色材を含有するインクを挙げることができる。特に、第1の色材、第2の色材及び第3の色材に追加して第4の色材を含有するインクとすることが好ましい。第1の色材、第2の色材及び第3の色材に追加して第4の色材を含有することで、耐オゾン性、色調、及び光源演色性に優れた画像を記録可能なインクとすることができる。
第1の色材及び第2の色材と、必要に応じて加えられる第3の色材とを含有するインクが、さらに第4の色材を含有することで、得られる画像の光源演色性が向上するメカニズムを、本発明者らは以下のように推測している。画像の光源演色性を向上させるためには、インクが可視光領域(380乃至780nmの領域)の全体に渡って吸収を有し、かつ、吸収スペクトルがフラットであることが重要である。第1の色材及び第3の色材の吸収スペクトルはいずれも比較的シャープな形状であるため、極大吸収波長に挟まれた波長領域では、極大吸収波長に比べて吸収強度が小さくなる。ただし、第2の色材は極大吸収波長に挟まれた波長領域に吸収をもつが、吸収スペクトルをフラットにするには吸収強度が不十分である。これに対して、第4の色材は、第1の色材及び第3の色材の極大吸収波長とは異なる領域に吸収を持つ。このため、第1の色材、第2の色材、及び必要に応じて第3の色材を含有するインクが、さらに第4の色材を含有する場合、可視光領域の広い領域において吸収を有し、かつ、吸収スペクトルがフラットになる。このようなメカニズムにより、画像の光源演色性が向上すると考えられる。
第4の色材として用いられる好ましいマゼンタ色材の具体例として、下記一般式(VIII)及び(IX)で表される化合物を挙げることができる。勿論、本発明のインクに用いることのできるマゼンタ色材(第4の色材)は、下記の化合物に限定されるものではない。
Figure 2014025002
一般式(VIII)中、R51、R52、R53、及びR54は、それぞれ独立にアルキル基を表す。Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。
Figure 2014025002
一般式(IX)中、R55及びR56は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロヘキシル基、モノアルキルアミノ基、又はジアルキルアミノアルキル基を表す。R57は、2価の連結基を表し、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。
(色材の含有量)
インク中の各色材の含有量(質量%)は、それぞれ、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の色材の含有量の合計(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上7.0質量%以下であることがさらに好ましい。色材の含有量の合計が1.0質量%未満であると、本発明の効果が高いレベルで十分に得られない場合がある。一方、色材の含有量の合計が10.0質量%を超えると、耐固着性などのインクジェット特性が得られない場合がある。
第1の色材及び第2の色材を含有するインクの場合を想定する。この場合、インク全質量を基準とした、第1の色材の含有量(質量%)が、第2の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、(第1の色材/第2の色材)=0.1倍以上であることが好ましい。さらには、(第1の色材/第2の色材)=0.1倍以上1.0倍以下であることがより好ましく、0.1倍以上0.5倍以下であることが特に好ましい。(第1の色材/第2の色材)の値を上記範囲とすることで、より好ましい色調を有するとともに、耐オゾン性に優れた画像を効果的に記録することができる。
また、第1の色材及び第2の色材に加えて、第3の色材及び第4の色材の少なくとも一方を含有するインクの場合を想定する。この場合、インク全質量を基準とした第1の色材の含有量(質量%)が、第2の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、(第1の色材/第2の色材)=0.1倍以上であることが好ましい。さらには、(第1の色材/第2の色材)=0.1倍以上20.0倍以下であることがより好ましく、0.1倍以上15.0倍以下であることが特に好ましい。(第1の色材/第2の色材)の値を上記範囲とすることで、より好ましい色調を有するとともに、耐オゾン性及び光源演色性に優れた画像を効果的に記録することができる。
(水性媒体)
本発明のインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、5.0質量%以上90.0質量%以下、さらには10.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲より少ないと、インクをインクジェット記録装置に用いる場合に吐出安定性などの信頼性が得られない場合がある。また、水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲より多いと、インクの粘度が上昇して、インクの供給不良が起きる場合がある。
(その他の添加剤)
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
(その他のインク)
また、フルカラーの画像などを形成するために、本発明のインクと、本発明のインクとは別の色相を有するその他のインクとを組み合わせて用いることができる。その他のインクとしては、例えば、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、レッドインク、グリーンインク、及びブルーインクからなる群より選択される少なくとも一種のインクを挙げることができる。また、これらのインクと実質的に同一の色相を有する、いわゆる淡インクをさらに組み合わせて用いることもできる。その他のインクや淡インクに用いられる色材は、公知の染料であっても、新規に合成された染料であってもよい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22,24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
以下、実施例、比較例及び参考例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<色材の準備>
以下に記載する合成方法で得られた一般式(I)で表される化合物は、全て複数の異性体を含む混合物であるが、特に断りのない限り、この複数の異性体を含む混合物のことを「化合物」として記載する。すなわち、「化合物」には、位置異性体;複素芳香環の窒素原子の位置異性体;一般式(I)中の環A、B、C及びDで表されるベンゼン環/複素芳香環の比率が異なる異性体;置換又は無置換スルファモイル基のベンゼン環上のα/β位置異性体などが含まれる。先に述べたように、これらの異性体の混合物から特定の化合物を単離して、構造を決定することは極めて困難である。このため、便宜上、考えられる異性体のうちの一つを代表例とし、その構造式を記載した。
以下に記載する合成方法で得られた一般式(I)で表される化合物について、質量分析、ICP発光分光法、及び吸光度測定を行って構造を確認した。なお、反応や晶析などの各操作は、特に断りのない限り撹拌下で行った。また、合成反応に使用した「レオコール」は、界面活性剤(商品名「レオコールTD−90」、ライオン製)である。また、最大吸収波長(λmax)は、いずれもpH6〜9の水溶液中で測定した測定値であり、pH調整には水酸化ナトリウム水溶液を用いた。なお、1回の合成によっては必要量の目的化合物が得られなかった場合には、目的化合物が必要量得られるまで同様の操作を繰り返し行った。
(質量分析)
合成した各化合物について、以下の条件で質量分析を行った。
・イオン化方法:EI法
・質量分析装置:商品名「SSQ−7000」(サーモクエスト社製)
・イオン源温度:230℃
・真空度:約8mTorr
(ICP発光分光法)
銅を含有する各化合物について、ICP発光分光法により銅の含有量を分析した。具体的には以下のようにして分析を行った。分析試料約0.1gを精秤して、これを純水で溶解した後、100mLのメスフラスコに定容した。ホールピペットを用いて、この液体の1mLを計り取り、50mLのメスフラスコに入れ、さらに内部標準物質としてY(イットリウム)を一定量加えた。純水を用いて50mLに定容した後、ICP発光分光法により銅の含有量を定量した。なお、分析装置にはICP発光分光装置(商品名「SPS3100」、SIIナノテクノロジー製)を使用した。
(吸光度測定)
合成した各化合物について吸光度を測定した。吸光度の測定条件を以下に示す。
・分光光度計:自記分光光度計(商品名「U−3300」、日立製作所製)
・測定セル:1cm 石英セル
・サンプリング間隔:0.1nm
・スキャン速度:30nm/分
・測定回数:5回測定平均
<化合物A>
(a)
スルホラン400部に、無水フタル酸44.4部、シンコメロン酸16.7部、尿素144部、塩化銅(II)13.4部、及びモリブデン酸アンモニウム2.0部を加えて200℃まで昇温し、同温度で5時間反応させた。反応終了後に65℃まで冷却し、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)80部を加え、析出した固体をろ過により分離して得た。得られた固体をDMF220部で洗浄し、ウェットケーキ112.1部を得た。得られたウェットケーキをDMF340部に加えて110℃に昇温し、同温度で1時間撹拌した後、固体をろ過により分離し、水300部で洗浄してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを5%塩酸300部に加え、60℃に昇温し、同温度で1時間撹拌した後、固体をろ過により分離し、水300部で洗浄してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを5%アンモニア水300部に加えて60℃で1時間撹拌した後、固体をろ過により分離し、水300部で洗浄してウェットケーキ138.2部を得た。得られたウェットケーキを80℃で乾燥して、化合物(a−1)46.3部を青色固体として得た。
Figure 2014025002
(b)
室温下、クロロスルホン酸46.2部に、60℃を超えないように前記手順(a)で得た化合物(a−1)5.8部を徐々に加えた後、140℃で4時間反応させて反応液を得た。得られた反応液を70℃まで冷却した後、塩化チオニル17.9部を30分間かけて滴下し、70℃でさらに3時間反応させた。反応液を30℃以下に冷却した後、氷水800部にゆっくりと注ぎ、析出した固体をろ過により分離し、冷水200部で洗浄して、化合物(a−2)のウェットケーキ33.0部を得た。
Figure 2014025002
(c)
メタノール160部に、塩化シアヌル36.8部、レオコール4部、及び炭酸水素ナトリウム16.8部を加え、30℃以下で1時間反応させて一次縮合物を含む反応液を得た。水280部に、2,5−ジスルホアニリン56.1部、及び25%水酸化ナトリウム水溶液32部を加えてpHを3〜5に調整した。この液体に、上記のようにして得た一次縮合物を含む反応液を徐々に加え、さらに25%水酸化ナトリウム水溶液でpH6〜7としながら室温で一晩反応させ、二次縮合物を含有する反応液を得た。得られた反応液に塩酸360部、及び氷水125部を加えて0℃まで冷却した後、さらにエチレンジアミン120部を滴下した。25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5〜6に調整しながら80℃で2.5時間反応させて、3次縮合物を含有する反応液を得た。
得られた反応液に塩酸55部を加えてpH1.0に調整した。このときの液量は1000部であった。得られた液体に塩化ナトリウム200部を加えて30分間撹拌し、析出した固体をろ過により分離してウェットケーキ183部を得た。得られたウェットケーキを水1000部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整して液体を得た。得られた液体に塩酸55部を加えてpH1.0に調整した。このとき液量は1400部であった。この液体に塩化ナトリウム280部を加えて室温で30分間、さらに0℃で30分間撹拌し、析出した固体をろ過により分離してウェットケーキ60部を得た。メタノール224部及び水56部の混合液に、得られたウェットケーキを加えて懸濁液とし、50℃で1時間撹拌した後、固体をろ過により分離してウェットケーキ51.3部を得た。得られたウェットケーキを乾燥して、化合物(a−3)37.0部を白色粉末として得た。
Figure 2014025002
(d)
氷水120部に、前記手順(b)で得た化合物(a−2)のウェットケーキ33.0部を加え、5℃以下で10分間撹拌して懸濁液を得た。一方、前記手順(c)で得た化合物(a−3)の白色粉末2.1部を、28%アンモニア水1部及び水40部の混合液に溶解させて液体を得た。得られた液体を上記の懸濁液に10℃以下に保持しながら加え、28%アンモニア水でpH9.0に保持しながら反応させた。同pHに保持したまま、1時間かけて20℃まで昇温し、同温度でさらに8時間反応させた。なお、反応液の液量は225部であった。この反応液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム33.8部を加えて30分撹拌した後、濃塩酸を加えてpH1.0に20分で調整した。析出した固体をろ過により分離し、10%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄してウェットケーキ62.3部を得た。得られたウェットケーキを水200部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整して液体とした。このときの液量は275部であった。この液体を50℃に昇温し、塩化ナトリウム22.5部を加えて30分撹拌した後、20分かけて濃塩酸にてpH1.0に調整し、析出した固体をろ過により分離した。10%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄してウェットケーキ37.1部を得た。得られたウェットケーキをエタノール160部及び水40部の混合液に加えて懸濁液とし、この液体を50℃で1時間撹拌した後、固体をろ過により分離し、ウェットケーキ32.0部を得た。得られたウェットケーキを乾燥し、下記式(A)で表される化合物Aの遊離酸10.0部を青色粉末として得た。得られた化合物Aのλmaxは605nmであった。また、化合物Aにおける、ベンゼン環の数の平均値は3.0、複素芳香環の数の平均値は1.0であり、m、n、m+nはそれぞれ平均値として、0<m<3.9、0.1≦n<4.0、1.0≦m+n<4.0の範囲内にあった。他の分析結果も合わせると、mの平均値は約2.8、nの平均値は約0.2、m+nの平均値は約3.0という値が合成された化合物A(混合物)に近いと考えられる。得られた化合物Aは、水酸化ナトリウム水溶液を用いて酸性基のカウンターイオンをナトリウムイオンにして、インクの調製に用いた。
Figure 2014025002
<化合物B>
第2の色材である一般式(II)で表される化合物の具体例として、遊離酸型として下記式(B)で表される化合物Bを準備した。水酸化ナトリウム水溶液を用いて化合物Bの酸性基のカウンターイオンをナトリウムイオンにして、インクの調製に用いた。
Figure 2014025002
<化合物C>
第2の色材である一般式(III)で表される化合物の具体例として、遊離酸型として下記式(C)で表される化合物Cを準備した。水酸化ナトリウム水溶液を用いて化合物Cの酸性基のカウンターイオンをナトリウムイオンにして、インクの調製に用いた。
Figure 2014025002
<化合物D>
以下に記載する手順にしたがって合成した一般式(IV)で表される化合物の具体例である化合物Dについて、水を溶媒とした吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)を以下の条件で測定した。
・分光光度計:自記分光光度計(商品名「U−3300」、日立製作所製)
・測定セル:1cm 石英セル
・サンプリング間隔:0.1nm
・スキャン速度:30nm/min
(a)
4−クロロ−3−ニトロアニリン51.8部をN−メチル−2−ピロリドン60.0部に溶解させ、ここに無水酢酸35.2部を約15分かけて滴下した。40〜50℃で2時間反応させた後、反応液を水400.0部に添加した。室温で30分撹拌した後、析出した固体をろ過した。得られた固体を水100.0部で洗浄した後、分取及び乾燥して下記式(d−1)で表される化合物63.0部を得た。
Figure 2014025002
(b)
前記手順(a)で得た式(d−1)で表される化合物42.9部をN−メチル−2−ピロリドン115.0部に溶解させ、ここに3−メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム40.9部及び炭酸カリウム29.0部を添加した。その後、130〜140℃に加熱し、同温度で2時間反応させた。3−メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム3.6部をさらに添加した後、130〜140℃で1時間反応させた。60℃まで冷却した後、反応液を2−プロパノール700.0部に添加し、室温まで冷却し、生成した固体をろ過してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水300.0部に溶解させた後、35%塩酸を添加してpH3.0〜4.0とした。その後、塩化ナトリウムを添加して塩析し、析出した固体をろ過により分取して、下記式(d−2)で表される化合物のウェットケーキ205.3部を得た。
Figure 2014025002
(c)
水150.0部に、前記手順(b)で得た式(d−2)で表される化合物のウェットケーキ102.6部、活性炭1.6部、及び無水塩化鉄(III)0.4部を添加し、60℃に加熱した後、80%ヒドラジンヒドラート15.9部を約30分かけて滴下した。90℃に加熱した後、同温度で1.5時間反応させた。40℃まで冷却した後、不溶物をろ過により除去し、ろ液を室温まで冷却した。50%硫酸を添加してpH1.0〜1.5とした。析出した固体をろ過により分取して、下記式(d−3)で表される化合物のウェットケーキ62.3部を得た。
Figure 2014025002
(d)
水40.0部に下記式(d−4)で表される5−アミノ−2−クロロベンゼンスルホン酸12.6部を添加した後、25%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH4.0〜5.0の水溶液を得た。得られた水溶液に35%塩酸25.0部を添加した後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液12.6部を添加して約30分反応させた。ここにスルファミン酸1.5部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。一方、水200.0部に、前記手順(c)で得た式(d−3)で表される化合物のウェットケーキ32.4部を添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH4.0〜5.0の水溶液を得た。得られた水溶液を前記ジアゾ反応液に約5分かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液を添加してpHを2.0〜2.5に保持しながら3時間反応させた。その後、塩化ナトリウムを添加して塩析し、析出した固体をろ過により分取して、下記式(d−5)で表される化合物のウェットケーキ31.5部を得た。
Figure 2014025002
Figure 2014025002
(e)
水40.0部に、前記手順(d)で得た式(d−5)で表される化合物のウェットケーキ全量を添加した後、25%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH6.0〜7.0の水溶液を得た。35%塩酸24.8部を添加した後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液9.8部を添加して約30分反応させた。ここにスルファミン酸2.0部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。一方、水250.0部に、前記手順(c)で得た式(d−3)で表される化合物のウェットケーキ30.8部を添加した後、25%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH4.0〜5.0の水溶液を得た。この水溶液を前記ジアゾ反応液に約5分かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液を添加してpHを2.0〜2.5に保持しながら3時間反応させた。その後、塩化ナトリウムを添加して塩析し、析出した固体をろ過により分取して、下記式(d−6)で表される化合物のウェットケーキ90.0部を得た。
Figure 2014025002
(f)
水250.0部に、前記手順(e)で得た式(d−6)で表される化合物のウェットケーキ45.0部を添加し、撹拌して溶解させた。35%塩酸16.5部を添加した後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液4.7部を添加して約30分撹拌した。ここにスルファミン酸2.0部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。一方、水60.0部に、下記式(d−7)で表される化合物5.5部を添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH4.5〜5.5の水溶液を得た。得られた水溶液を前記ジアゾ反応液に約5分かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液を添加してpHを2.0〜3.0に保持しながら3時間反応させた。15%炭酸ナトリウム水溶液を添加してpHを4.5とした後、メタノール350.0部を添加した。析出した固体をろ過により分取し、下記式(d−8)で表される化合物のウェットケーキ6.0部を得た。
Figure 2014025002
Figure 2014025002
(g)
メタノール300.0部に2−メチル−6−ニトロアニリン15.2部を溶解させた。得られた溶液をオートクレーブ中に移し、5%Pd/炭素2.0部を加え、20〜30℃で0.2〜0.5MPaの水素雰囲気での加圧下で、水素の吸収がなくなるまで反応させた。同温度で30分間さらに反応させた。触媒(5%Pd/炭素)をろ過により分離して、下記式(d−9)で表される化合物を含む溶液(ろ液)を得た。
Figure 2014025002
(h)
前記手順(g)で得た式(d−9)で表される化合物を含む溶液200.0部に、シアノ酢酸メチル13.0部を加え、30分還流した。メタノールを減圧留去して濃縮した後、水100.0部及び炭酸ナトリウムを加えてpH7.0〜7.5とした。析出した固体をろ過により分離した後、乾燥することにより、下記式(d−10)で表される化合物8.3部を得た。
Figure 2014025002
(i)
エタノール100.0部に、前記手順(h)で得た式(d−10)で表される化合物8.3部、28%ナトリウムメトキシド12.0部、及びアセト酢酸メチル7.2部を加え、30分還流した。エタノールを減圧留去して濃縮した後、水100.0部及び35%塩酸を加えてpH7.0〜7.5とした。析出した固体をろ過により分離した後、乾燥することにより、下記式(d−11)で表される化合物11.1部を得た。得られた下記式(d−11)で表される化合物は、メトキシ基がbに置換した化合物と、cに置換した化合物との混合物であった。
Figure 2014025002
(j)
前記手順(i)で得た式(d−11)で表される化合物5.6部を、8%発煙硫酸77.0部中に5〜10℃でゆっくり添加した後、同温度で1.5時間反応させた。反応液を150部の氷水に約10分かけて滴下し、65〜70℃で30分撹拌した後、析出した固体をろ過により分離することにより、下記式(d−12)で表される化合物のウェットケーキ24.4部を得た。得られた下記式(d−12)で表される化合物は、(i)メトキシ基がbに置換し、スルホン酸基がa、c又はdに置換した化合物と、(ii)メトキシ基がcに置換し、スルホン酸基がa、b又はdに置換した化合物との混合物であった。
Figure 2014025002
(k)
水170.0部に、前記手順(f)で得た式(d−8)で表される化合物のウェットケーキ32.2部を添加し、撹拌して溶解させた。35%塩酸5.2部を添加した後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液1.5部を添加して約30分撹拌した。ここにスルファミン酸1.0部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。一方、水60.0部に、前記手順(j)で得た式(d−12)で表される化合物のウェットケーキ7.2部を添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH7.5〜8.5の水溶液を得た。得られた水溶液を15〜30℃に保ちながら、前記ジアゾ反応液を約30分かけて滴下した。この際、炭酸ナトリウム水溶液を加えて反応液のpHを7.5〜8.5に保持し、同温度及びpHを維持しながら、さらに2時間反応させた。その後、塩化ナトリウムを添加して塩析し、析出した固体をろ過により分離し、ウェットケーキ29.5部を得た。得られたウェットケーキを水100.0部に溶解させ、35%塩酸でpHを7.0〜7.5とした後、メタノール80.0部を添加し、析出した固体をろ過により分取した。得られたウェットケーキを再度水60.0部に溶解した後、メタノール90.0部を添加した。析出した固体をろ過により分離し、乾燥することにより、下記式(D)で表される化合物D6.3部をナトリウム塩として得た。得られた化合物Dは、(i)メトキシ基がbに置換し、スルホン酸基がa、c又はdに置換した化合物と、(ii)メトキシ基がcに置換し、スルホン酸基がa、b又はdに置換した化合物とを含む、2乃至6種の化合物の混合物であった。
Figure 2014025002
(l)
水140.0部に、前記手順(k)で得た化合物D6.3部、及び塩化リチウム14.0部を添加して撹拌した。これに2−プロパノール400.0部を添加し、析出した固体をろ過してウェットケーキを得た。水150.0部に、得られたウェットケーキ、及び塩化リチウム12.5部を添加して撹拌した。これに2−プロパノール350.0部を添加し、析出した固体をろ過してウェットケーキを得た。水80.0部に、得られたウェットケーキを添加し、これに2−プロパノール150.0部を添加し、析出した固体をろ過してウェットケーキを得た。水40.0部に、得られたウェットケーキを添加し、これに2−プロパノール100.0部を添加し、析出した固体をろ過した後、乾燥することにより化合物Dを得た。得られた化合物Dは、遊離酸型として式(D)で表される化合物のリチウム塩とナトリウム塩(80%:20%)の混合物である。また、得られた化合物Dの吸収スペクトルの最大吸収波長 λmaxは592nmであった。
<化合物E>
第3の色材である一般式(VI)で表される化合物の具体例として、遊離酸型として下記式(E)で表される化合物Eを準備した。水酸化ナトリウム水溶液を用いて化合物Eの酸性基のカウンターイオンをナトリウムイオンにして、インクの調製に用いた。
Figure 2014025002
<化合物F>
第3の色材である一般式(VII)で表される化合物の具体例として、遊離酸型として下記式(F)で表される化合物Fを準備した。水酸化ナトリウム水溶液を用いて化合物Fの酸性基のカウンターイオンをナトリウムイオンにして、インクの調製に用いた。
Figure 2014025002
<化合物G>
第4の色材である一般式(VIII)で表される化合物の具体例として、遊離酸型として下記式(G)で表される化合物Gを準備した。水酸化ナトリウム水溶液を用いて化合物Gの酸性基のカウンターイオンをナトリウムイオンにして、インクの調製に用いた。
Figure 2014025002
[化合物H]
第4の色材である一般式(IX)で表される化合物の具体例として、遊離酸型として下記式(H)で表される化合物Hを準備した。水酸化ナトリウム水溶液を用いて化合物Hの酸性基のカウンターイオンをナトリウムイオンにして、インクの調製に用いた。
Figure 2014025002
[比較化合物]
第1の色材の対照例として、遊離酸型として下記式で表される比較化合物を準備した。水酸化ナトリウム水溶液を用いて比較化合物の酸性基のカウンターイオンをナトリウムイオンにして、インクの調製に用いた。なお、下記式中、m=2.4、n=0.6である。
Figure 2014025002
<2種の色材を含有するインクの調製>
表6−1〜6−3の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ0.20μmのフィルターで加圧ろ過して各インクを調製した。なお、表6−1〜6−3中の「アセチレノールE100」はノニオン性界面活性剤(川研ファインケミカル製)の商品名である。また、表6−1〜6−3の下段には、インク中の第1の色材の含有量(%)/第2の色材の含有量(%)の値を「第1/第2の質量比率(倍)」として示した。
Figure 2014025002
Figure 2014025002
Figure 2014025002
<2種の色材を含有するインクの耐オゾン性の評価>
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS Pro9000MarkII」、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に22ngのインクを付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。このインクジェット記録装置を用いて、温度23℃、相対湿度55%の環境で、記録媒体(商品名:光沢プロ[キヤノン写真用紙・プラチナグレード]PT101)、キヤノン製)に記録デューティが50%であるベタ画像を記録した記録物を作製した。得られた記録物は、温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間載置して、十分に乾燥させた後に評価を行った。光学濃度の測定は、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を用い、光源:D50、視野:2°の条件で行った。
記録物におけるベタ画像の光学濃度を測定した(耐オゾン性試験前の光学濃度値)。この記録物をオゾン試験装置(商品名「OMS−H」、スガ試験機製)中に載置し、槽内温度23℃、相対湿度50%、オゾンガス濃度10ppmの条件で40時間、オゾン曝露を行った。その後、記録物におけるベタ画像の光学濃度を測定した(耐オゾン性試験後の光学濃度値)。得られた耐オゾン性試験前の光学濃度値及び耐オゾン性試験後の光学濃度値から、光学濃度の残存率=(耐オゾン性試験後の光学濃度値)/(耐オゾン性試験前の光学濃度値)×100(%)を算出し、以下に示す評価基準にしたがって耐オゾン性を評価した。本発明においては、下記の評価基準で、C及びDを許容できないレベル、A及びBを許容できるレベルとした。評価結果を表7に示す。
A:光学濃度の残存率が81%以上であった。
B:光学濃度の残存率が79%以上81%未満であった。
C:光学濃度の残存率が77%以上79%未満であった。
D:光学濃度の残存率が77%未満であった。
Figure 2014025002
<3種又は4種の色材を含有するインクの調製>
表8の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ0.20μmのフィルターで加圧ろ過して各インクを調製した。なお、表8中の「アセチレノールE100」はノニオン性界面活性剤(川研ファインケミカル製)の商品名である。また、表8の下段には、インク中の第1の色材の含有量(%)/第2の色材の含有量(%)の値を「第1/第2の質量比率(倍)」として示した。
Figure 2014025002
<3種又は4種の色材を含有するインクの評価>
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS Pro9000MarkII」、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に22ngのインクを付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。
このインクジェット記録装置を用いて、温度23℃、相対湿度55%の環境で、記録媒体に記録デューティが10%であるベタ画像と50%であるベタ画像を記録した記録物を作製した。なお、記録媒体としては、商品名:光沢プロ[キヤノン写真用紙・プラチナグレード]PT101(キヤノン製)を用いた。得られた記録物は、温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間載置して、十分に乾燥させた後に評価を行った。画像の測色は、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を用いて行った。すなわち、分光光度計を使用し、光源:D50、視野:2°の条件で、光学濃度、CIE(国際照明委員会)により規定されたL***表示系におけるL*、a*、b*を測定して評価した。
(耐オゾン性)
記録物における、記録デューティが50%であるベタ画像の光学濃度を測定した(耐オゾン性試験前の光学濃度値)。この記録物をオゾン試験装置(商品名「OMS−H」、スガ試験機製)中に載置し、槽内温度23℃、相対湿度50%、オゾンガス濃度10ppmの条件で40時間、オゾン曝露を行った。その後、記録物における、記録デューティが50%であるベタ画像の光学濃度を測定した(耐オゾン性試験後の光学濃度値)。得られた耐オゾン性試験前の光学濃度値及び耐オゾン性試験後の光学濃度値から、光学濃度の残存率=(耐オゾン性試験後の光学濃度値)/(耐オゾン性試験前の光学濃度値)×100(%)を算出し、以下に示す評価基準にしたがって耐オゾン性を評価した。本発明においては、下記の評価基準で、C及びDを許容できないレベル、A及びBを許容できるレベルとした。評価結果を表9に示す。
A:光学濃度の残存率が80%以上であった。
B:光学濃度の残存率が78%以上80%未満であった。
C:光学濃度の残存率が76%以上78%未満であった。
D:光学濃度の残存率が76%未満であった。
(色調)
記録物における、記録デューティが10%のベタ画像のa及びbを測定し、以下に示す評価基準にしたがって色調を評価した。本発明においては、下記の評価基準で、Cを許容できないレベル、A及びBを許容できるレベルとした。評価結果を表9に示す。
A:−7≦a*≦4及び−7≦b*≦4の両方を満たしていた。
B:−7≦a*≦4及び−7≦b*≦4の一方のみを満たしていた。
C:−7≦a*≦4及び−7≦b*≦4の両方を満たさなかった。
(光源演色性)
記録物における、記録デューティが50%であるベタ画像のL1、a1及びb1を測定した(光源D50におけるLab値)。また、光源をD65、A、C、F1〜F12にそれぞれ変更して(合計14種)、同様に記録物における、記録デューティが50%であるベタ画像のL2、a2及びb2を測定した(各光源におけるLab値)。そして、光源がD50である場合におけるLab値を基準として、14種の各光源におけるLab値のずれを、ΔE(色差)={(L1−L22+(a1−a22+(b1−b221/2として算出した。そして、これらの14種の各光源でそれぞれ得られた色差の平均値(ΔEの平均値)から、以下に示す評価基準にしたがって光源演色性を評価した。本発明においては、下記の評価基準で、Cを許容できないレベル、AA、A、及びBを許容できるレベルとした。評価結果を表9に示す。
AA:ΔEの平均値が3.3未満であった。
A:ΔEの平均値が3.3以上8.5未満であった。
B:ΔEの平均値が8.5以上10.0未満であった。
C:ΔEの平均値が10.0以上であった。
Figure 2014025002

Claims (7)

  1. 第1の色材及び第2の色材を含有し、グレー乃至ブラックの色調を有するインクであって、
    前記第1の色材が、下記一般式(I)で表される化合物であり、
    前記第2の色材が、ヘテロ環に直接結合しているアゾ結合を含む、複数のアゾ結合を有するブラック色材であることを特徴とするインク。
    Figure 2014025002
    (前記一般式(I)中、破線で表される環A、B、C及びDは、それぞれ独立に、ベンゼン環又は複素芳香環を表し、かつ、前記複素芳香環の個数は平均値で0.0より大きく3.0以下であるとともに残りはベンゼン環である。R1はアルキル基を表し、R2はアルキレン基を表し、Xは1以上のスルホン酸基を有するアニリノ基を表す。Xはカルボキシ基、リン酸基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、ニトロ基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の置換基をさらに有してもよい。mは平均値で0.0より大きく3.9未満であり、nは平均値で0.1以上4.0未満であり、かつ、m及びnの和は平均値で1.0以上4.0未満である)
  2. 前記第2の色材が、下記一般式(II)で表される化合物、下記一般式(III)で表される化合物、及び下記一般式(IV)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載のインク。
    Figure 2014025002
    (前記一般式(II)中、R3は、置換されていてもよい芳香族基又は複素環基を表し、−R4−は、下記一般式(i)乃至(v)のいずれかの基を表し、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
    Figure 2014025002
    (前記一般式(i)乃至(v)中、R5乃至R13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、カルボキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、又はスルホン酸基を表し、これらの基はさらに置換されていてもよい)
    Figure 2014025002
    (前記一般式(III)中、R14は、置換基を有するフェニル基を表し、前記置換基は、カルボキシ基;スルホン酸基;塩素原子;シアノ基;ニトロ基;スルファモイル基;炭素数1乃至4のアルキル基;ヒドロキシ基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、スルホン酸基、又はカルボキシ基で置換されていてもよい炭素数1乃至4のアルコキシ基;及びヒドロキシ基、スルホン酸基、又はカルボキシ基で置換されていてもよい炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種の基である。R15及びR16は、それぞれ独立に、置換基を有するパラフェニレン基を表し、前記置換基は、カルボキシ基;スルホン酸基;炭素数1乃至4のアルキル基;ヒドロキシ基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、スルホン酸基、又はカルボキシ基で置換されていてもよい炭素数1乃至4のアルコキシ基;及びヒドロキシ基、スルホン酸基、又はカルボキシ基で置換されていてもよい炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種の基である。R17は、カルボキシ基で置換されていてもよい炭素数1乃至4のアルキル基、スルホン酸基で置換されていてもよいフェニル基、又はカルボキシ基を表し、R18は、シアノ基、カルバモイル基、又はカルボキシ基を表し、R19及びR20は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、塩素原子、又はスルホン酸基を表す)
    Figure 2014025002
    (前記一般式(IV)中、R21は、炭素数1乃至4のアルキル基;カルボキシ基で置換された炭素数1乃至4のアルキル基;フェニル基;スルホン酸基で置換されたフェニル基;又はカルボキシ基を表し、R22は、シアノ基;カルバモイル基;又はカルボキシ基を表し、R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子;炭素数1乃至4のアルキル基;ハロゲン原子;炭素数1乃至4のアルコキシ基;又はスルホン酸基を表し、R25及びR27は、それぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキルチオ基;又はヒドロキシ基、スルホン酸基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換された炭素数1乃至4のアルキルチオ基を表し、R26及びR28は、それぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキルカルボニルアミノ基を表し、R29及びR30は、それぞれ独立に、水素原子;カルボキシ基;スルホン酸基;アセチルアミノ基;ハロゲン原子;炭素数1乃至4のアルキル基;炭素数1乃至4のアルコキシ基;又はヒドロキシ基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、スルホン酸基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換された炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、水素原子;カルボキシ基;スルホン酸基;ヒドロキシ基;アセチルアミノ基;ハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;スルファモイル基;炭素数1乃至4のアルキル基;炭素数1乃至4のアルコキシ基;ヒドロキシ基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、スルホン酸基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換された炭素数1乃至4のアルコキシ基;炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基;又はヒドロキシ基、スルホン酸基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基で置換された炭素数1乃至4のアルキルスルホニル基を表す)
  3. インク全質量を基準とした、前記第1の色材の含有量(質量%)が、前記第2の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.1倍以上である請求項1又は2に記載のインク。
  4. さらに、アゾ結合を有するイエロー色材を第3の色材として含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインク。
  5. さらに、アゾ結合を有するマゼンタ色材、及び、アントラピリドン骨格を有するマゼンタ色材の少なくとも一方を第4の色材として含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインク。
  6. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  7. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015147113A1 (ja) * 2014-03-28 2015-10-01 富士フイルム株式会社 着色組成物、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクジェットプリンタカートリッジ、及びインクジェット記録物

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