JP5013683B2 - 表面処理シリカ系酸化物の製造方法、および該表面処理シリカ系酸化物スラリーの製造方法 - Google Patents

表面処理シリカ系酸化物の製造方法、および該表面処理シリカ系酸化物スラリーの製造方法 Download PDF

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本発明は、表面処理シリカ系酸化物、および該酸化物スラリーの新規な製造方法に関する。詳しくは、工程の簡略化ができ、ナノ粒子レベルでシリカ系酸化物を表面処理することが可能であって、かつ、表面処理シリカ系酸化物の重合度の調整が容易である表面処理シリカ系酸化物の製造方法、および該表面処理シリカ系酸化物スラリーの製造方法に関する。
従来より、塗料、印刷インキ、シリコーンゴム等の充填剤、フィルムのアンチブロッキング剤、化粧料、消火薬剤及び各種粉体の流動化剤等として、湿式法により得られるシリカを表面処理した微細なシリカが使用されている。
一般に、前記湿式法は、珪酸ソーダ水溶液と鉱酸とを中性あるいはアルカリ性下で反応させてシリカの沈殿物を得る沈降法と、珪酸ソーダ水溶液と鉱酸とを酸性下で混合し、ゲル状のシリカを得るゲル法とが知られている。このような湿式法により製造されたシリカを有機珪素化合物等により表面処理する方法も多く提案されている。
例えば、湿式シリカを表面処理する方法として、湿式シリカを水溶液に分散し、湿式シリカ水性懸濁液とした後、有機珪素化合物を添加する方法(特許文献1参照)、ゲル法により得られるシリカゲルを破砕しながら表面処理を行う方法(特許文献2参照)等が提案されている。
しかしながら、前記方法等は、一度、湿式シリカやシリカゲルとしたものを表面処理するため、工程が多岐にわたり、しかもナノ粒子レベルでシリカを表面処理することが難しいといった点で改善の余地があった。
一方、湿式シリカを製造するのと同時に、有機珪素化合物を反応させ、シリカを表面処理する方法も提案されている。例えば、珪酸ソーダ水溶液中に、鉱酸と有機珪素化合物の混合溶液を添加して疎水性シリカを得る方法(特許文献3参照)、鉱酸中に、珪酸ソーダ水溶液と有機珪素化合物の混合溶液を添加して、有機珪素化合物を含有するシリカの製造方法(特許文献4参照)等が提案されている。
しかしながら、特許文献3に記載されている方法では、沈降法によりシリカを製造するため、瞬時に沈殿物が生成し、ナノ粒子レベルでシリカを表面処理することは困難であった。また、特許文献4に記載されている方法では、高濃度の珪酸ソーダ水溶液を用いた場合、使用する有機珪素化合物によっては、珪酸ソーダ水溶液中に反応生成物が生じるおそれがあった。
更に、前記方法等は、珪酸ソーダ水溶液、または鉱酸中に有機珪素化合物を存在させ、湿式シリカを製造するのと同時に表面処理を行うため、得られる表面処理シリカの重合度等の調整が、原料の濃度等でしか調整することができず、製造範囲が限定される点で改善の余地があった。
特開平04−202479号公報 特開平09−30810号公報 特開2001−294775号公報 特開昭56−22621号公報
従って、本発明の目的は、表面処理シリカ系酸化物の製造において、高濃度で安定したシリカ系ゾルを製造して、該シリカ系ゾルを表面処理することにより、工程が簡略化でき、かつ、ナノ粒子レベルでシリカ系酸化物を表面処理できる、高度に表面処理が可能な表面処理シリカ系酸化物の製造方法を提供することにある。更に、本発明の目的は、前記シリカ系ゾルの重合度を調整した後、表面処理することにより、得られる表面処理シリカ系酸化物の重合度の調整が容易となる表面処理シリカ系酸化物の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究を続けてきた。その結果、2つの原料供給管が合流し、該合流部にて1つの排出管と連結してなる管型反応器を用いてシリカ系ゾルを製造し、得られたシリカ系ゾルを表面処理することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、2つの原料供給管が合流し、該合流部にて1つの排出管と連結してなる管型反応器を用い、前記原料供給管から、鉱酸および/または硫酸塩の酸性水溶液と、珪酸ソーダ水溶液とを各々供給し、鉱酸および/または硫酸塩の酸性水溶液と珪酸ソーダ水溶液とを衝突混合させてシリカ系ゾルを製造した後、得られたシリカ系ゾルにシリコーンエマルジョンを添加することにより、シリカ系ゾルを表面処理する表面処理工程、及び前記表面処理工程で得られた表面処理物をゲル化させるゲル化工程とを含むことを特徴とする表面処理シリカの製造方法である。
また、本発明は、前記ゲル工程で得られたゲル化物を水洗し、水を加え、粉砕した後、分級してスラリー化するスラリー化工程を含むことを特徴とする表面処理シリカ系酸化物スラリーの製造方法である。
本発明の表面処理シリカ系酸化物の製造方法によれば、生産性がよく、工程が簡略化でき、かつ得られる表面処理シリカ系酸化物は、シリカ系ゾルを表面処理することによってナノ粒子レベルで表面処理することが可能となり、ゲル状物等を表面処理するものよりも、高度に表面処理されたものとなる。また、特に、Y字管型反応器を用いることにより、高濃度のシリカ系ゾルを安定して製造することができ、該シリカ系ゾルが短時間でゲル化することがないため、表面処理が容易に出来る。更に、シリカ系ゾルの重合度を調整して表面処理ができるため、得られる表面処理シリカ系酸化物の製造範囲を広げることが容易に出来る。そのため、本発明により得られる表面処理シリカ系酸化物は、高度に表面処理されており、塗料、印刷インキ、シリコーンゴム等の充填剤、撥水処理に使用するコーティング剤、水処理凝集剤、アクリル樹脂またはポリカーボネート樹脂のようなガラス材料の代替として使用される透明材料部材の充填剤、フィルムのアンチブロッキング剤、化粧料、消火薬剤及び粉体の流動化剤等の用途に好適に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、表面処理シリカ系酸化物を製造する方法であって、珪酸ソーダ水溶液と、鉱酸および/または硫酸塩の酸性水溶液を原料として、2つの原料供給管が合流し、該合流部にて1つの排出管と連結してなる管型反応器を用いてシリカ系ゾルを製造した際に、得られたシリカ系ゾルをシリコーンエマルジョンにより表面処理する工程、次いで、得られた表面処理物をゲル化させる工程とを含むものである。
本発明において、シリカ系ゾルとは、二酸化珪素単独の構造からなるシリカゾル、または、二酸化珪素を主成分とし、一部、他の金属元素が含まれる複合酸化物のゾルを示すものである。また、同様に、表面処理シリカ系酸化物とは、二酸化珪素単独の構造からなるシリカをシリコーンエマルジョンにより表面処理したもの、または、二酸化珪素を主成分とし、一部、他の金属元素が含まれる複合酸化物をシリコーンエマルジョンにより表面処理したものを示すものである。尚、以下、二酸化珪素単独の構造からなる場合、シリカゾル、表面処理シリカと示す場合もある。
本発明において、前記管型反応器は、Y字管型、T字管型の管型反応器を挙げることができるが、中でも、排出等の安定性を考慮すると、Y字管型反応器であることが好ましい。
本発明において、前記管型反応器をY字管型反応器とした場合には、例えば、特開2003−221222号に記載されている反応器を使用することができる。図1に本発明に使用することができるY字管型反応器の例を示す。図1に示すように、このY字管型反応器は、鉱酸および/または硫酸塩の酸性水溶液、珪酸ソーダ水溶液が供給される原料供給管1、1’が合流し、合流部3にて排出管2が連結してなる。また、このY字管型反応器は、原料供給管1、1’において、原料の流速を調整するための絞り部4、4’を設けたものを使用することができる。
本発明において、前記管型反応器の原料供給管から供給する鉱酸は、特に制限されるものではなく、通常の湿式シリカの製造に用いられるものを使用することができる。例えば、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられ、中でも、硫酸を使用することが好ましい。また、使用する鉱酸の濃度も特に制限されるものではないが、中でも、前記Y字管型反応器を使用して、均質なシリカゾルを製造する際に、高濃度で、かつ短時間でゲル化しないシリカゾルを得るためには、鉱酸の濃度は、2〜7N、特に3〜6Nのものを使用することが好ましい。また、鉱酸を供給する流速も特に制限されるものではないが、高濃度で、かつ均質であって短時間でゲル化しないシリカゾルを得るためには、流速が5m/秒以上で供給されることが好ましい。
また、硫酸塩の酸性水溶液を使用する場合、該硫酸塩の酸性水溶液は、珪酸ソーダ水溶液と反応して珪酸塩(シリカ系ゾル)を形成し得るものが何ら制限無く使用される。例えば、硫酸アルミニウム、硫酸クロム、硫酸チタニウム等が挙げられ、中でも、得られる表面処理シリカ系酸化物に様々な機能を持たせるためには、硫酸チタニウムを使用することが好ましい。
本発明において、硫酸塩の酸性水溶液は、特に、前記Y字型反応器を使用して均質なシリカ系ゾルを製造する際に、高濃度で、かつ短時間でゲル化しないシリカゾルを得るためには、塩の濃度が、酸化物換算の濃度(例えば、酸化チタン)で2〜10g/100mlであることが好ましい。また、前記例示した硫酸塩を溶解した水溶液はそのままで酸性を示すが、更に、塩酸や硫酸を添加しても良い。酸性水溶液の酸濃度は2〜5Nであることが好ましい。
また、硫酸塩の酸性水溶液を供給する流速も特に制限されるものではないが、高濃度で、かつ均質であって短時間でゲル化しないシリカ系ゾルを得るためには、流速が5m/秒以上で供給されることが好ましい。
本発明に用いる珪酸ソーダ水溶液は、特に制限されるものではなく、通常の湿式シリカの製造に用いられるものを使用することができる。例えば、一般式SiO/NaOで示される水溶性の珪酸ソーダであって、SiOとNaOのモル比が2.5〜4.0のものを使用することができる。また、使用する珪酸ソーダ水溶液の濃度も特に制限されるものではないが、中でも、前記Y字管型反応器を使用して、均質なシリカ系ゾルを製造する際に、高濃度で、かつ短時間でゲル化しないシリカ系ゾルを得るためには、SiO成分の含有量が100〜350g/L好ましく、特に200〜290g/Lのものが好ましい。また、珪酸ソーダ水溶液が供給される流速も特に制限されるものではないが、高濃度で、かつ均質なシリカ系ゾルを得るためには、流速が5m/秒以上で供給されることが好ましい。
本発明において、前記管型反応器を使用してシリカ系ゾルを製造する際に、鉱酸および/または硫酸塩の酸性水溶液と珪酸ソーダ水溶液とを衝突混合して得られるシリカ系ゾルを排出管から取り出す流速は、鉱酸および/または硫酸塩の酸性水溶液と珪酸ソーダ水溶液の濃度にもよるが、短時間でゲル化しないシリカ系ゾルを得られるように適宜調節すればよい。中でも、前記Y字管型反応器を使用し、均質なシリカ系ゾルを得る場合において、高濃度で、かつ短時間でゲル化しないシリカ系ゾルを得るためには、前記濃度範囲の鉱酸または硫酸塩の酸性水溶液と珪酸ソーダ水溶液を衝突混合させて、シリカ系ゾルを1m/秒以上、好ましくは1.3m/秒以上で排出管から取り出す(流出させる)ことが好ましい。排出管から流出させる速度の上限は、特に制限されるものではないが、工業的な生産においては2.0m/秒以下である。
本発明において、安定したシリカ系ゾルを得るためには、鉱酸および/または硫酸塩の酸性水溶液と珪酸ソーダ水溶液の液温は20〜45℃の範囲で、衝突混合させることが好ましい。
尚、本発明において、前記シリカ系ゾルが短時間でゲル化しない(安定したシリカ系ゾル)とは、後記のシリコーンエマルジョンにより表面処理する際にゲル化しなければよく、通常、20〜40℃の温度で、30分〜3時間、放置してもシリカ系ゾルがゲル化しないことを示す。
本発明において、得られるシリカ系ゾルを含む溶液のpHは、特に制限されるものではないが、高濃度のシリカ系ゾルを得るためには、前記Y字管型反応器を用いた場合、pHが3未満、好ましくは1.0〜2.5であることが好ましい。また、得られるシリカ系ゾルの粒子径も特に制限されるものではないが、3〜10nmであることが、経済的であって、工業的生産をする上で好ましい。
また、本発明において、硫酸塩の酸性水溶液を使用して、前記シリカ系ゾルを生成する場合、シリカ系ゾル中の塩の含有量は、金属元素/Siのモル比(例えば、硫酸チタニウムを使用した場合には、Ti/Siモル比)で0.05〜0.3であることが好ましい。塩の含有量が、上記範囲にあることにより、シリカ系ゾルの製造時、ゲル化物の発生も無く、また、金属元素の酸化物、例えば、酸化チタンと複合することによる性能を十分に発揮できるため好ましい。
本発明において、最大の特徴は、前記管型反応器を用いて得られるシリカ系ゾルに、シリコーンエマルジョンを添加して、該シリカ系ゾルを表面処理する表面処理工程を含むことである。本発明は、特に、前記Y字管型反応器を用いた場合、短時間でゲル化せず、均質なシリカ系ゾルを安定して製造することができる。それにより、得られるシリカ系ゾルをシリコーンエマルジョンで表面処理することが可能となり、高度に表面処理された表面処理シリカ系酸化物を得ることができる。本発明により得られる表面処理シリカ系酸化物は、シリカ系ゾルの状態、つまり、3〜10nmのナノ粒子の状態で表面処理されているものと考えられ、高度に表面処理することができる。
また、特に、前記Y字型反応器を用いた場合、高濃度であって、短時間でゲル化しないシリカ系ゾルを安定して製造することができ、経済的にも有利である。しかも、シリカ系ゾルが安定なため、表面処理を行う前に、シリカ系ゾルを熟成させ、シリカ系ゾルの重合度を調整することも可能である。ゲル化物のないシリカ系ゾルにおいて、重合度の異なるナノ粒子のシリカ系ゾルを表面処理することにより、得られる表面処理シリカ系酸化物の製造範囲を広げることが可能となる。また、重合度の異なるシリカ系ゾルを表面処理しても、それぞれ得られる表面処理シリカ系酸化物は、高度に表面処理されているため、ゲル化させた後の粉砕がしやすくなるものと考えられる。
本発明において、前記シリカ系ゾルの熟成、いわゆるシリカ系ゾルの重合度の調整は、シリカ系ゾルがゲル化しない範囲で重合度を調整してやればよく、通常、20〜40℃、30分〜3時間、攪拌下で放置することにより、調整(熟成)することができる。
本発明において、シリカ系ゾルを表面処理するシリコーンエマルジョンは、特に制限されるものではなく、シリカ系酸化物の表面処理が可能な一般的なものを使用することができる。具体的には、ジメチル系、アミノ系、有機官能性、反応性等のシリコーンエマルジョンが挙げられ、それらの中でも、高粘度のシリコーンエマルジョンが好ましい。又、イオン性についても、ノニオン、カチオン、アニオン性のシリコーンエマルジョンを使用することができ、中でも、アニオン性のシリコーンエマルジョンが好ましい。例えば、Polon MF−33A(商品名:信越化学製)等が市販されており、かかる市販のシリコーンエマルジョンを使用することができる。
本発明において、シリカ系ゾルをシリコーンエマルジョンで表面処理する表面処理工程は、シリカ系ゾルがゲル化しない範囲の温度で、シリコーンエマルジョンを添加してやればよいが、この時の温度は、20〜40℃であることが好ましい。また、前記表面処理工程は、シリカ系ゾルを撹拌しながら、所定量のシリコーンエマルジョンを添加してやればよい。この時、シリコーンエマルジョンは、直接、添加することもできるし、水溶液により分散させて添加することもできる。また、シリコーンエマルジョンは、連続して一定量をシリカ系ゾル中に添加することが好ましい。尚、本発明において、使用するシリコーンエマルジョン中のシリコーンの量は、得られる表面処理シリカの用途に合わせて適宜調整してやればよいが、表面処理するシリカゾル中のSiO濃度に対して、25〜70質量%であることが好ましい。
本発明において、前記表面処理工程により得られる表面処理物は、次いで、ゲル化させる。このゲル化工程は、得られる表面処理物を常温で放置することにより達成することができる。又、ゲル化を促進する為に加温しても良い。
本発明において、前記ゲル化工程で得られるゲル化物は、公知の方法により処理することができる。具体的には、前記ゲル化物を水洗、乾燥、粉砕、分級等の後工程を行うことにより、表面処理シリカ系酸化物を得ることができる。この後工程は、表面処理シリカ系酸化物の使用する用途に応じて、適宜決定してやればよい。例えば、乾燥して粉体とした表面処理シリカ系酸化物は、樹脂等の充填剤およびその他の用途に使用することができる。尚、前記後工程には、熱処理の工程を含むこともでき、熱処理の工程を行うことにより、得られる表面処理シリカ系酸化物の疎水化度を向上させることもできる。また、水洗後に水熱処理を行い、得られる表面処理シリカ系酸化物の構造を制御することも可能である。
また、本発明においては、前記ゲル化物を粉砕、分級等を行い、水を加えて表面処理シリカ系酸化物をスラリー化する工程を含むこともできる。スラリー化する際に、ゲル化物は、水洗した後、粉砕、分級を行うこともできる。また、前記ゲル化物は、乾燥させた後、粉砕することもできるし、ゲル化物を乾燥することなく、水を加えて湿式粉砕することもできる。工程の簡略化を考慮すると、湿式粉砕することが好ましく、具体的には、スラリー化工程は、前記ゲル工程で得られたゲル化物を水洗し、水を加え、粉砕した後、分級してスラリー化する工程であることが好ましい。また、分級した後、必要に応じて水を添加し、スラリーの濃度を調整することもできる。前記スラリー化工程において、前記ゲル化物を粉砕した後、分級する程度、加える水の量等は、得られる表面処理シリカ系酸化物スラリーの用途に応じて適宜決定すればよい。スラリー化工程により得られる表面処理シリカ系酸化物スラリーは、撥水剤等のコーティング剤として有効に使用することができる。
以下、本発明を更に具体的に説明するため実施例を示すが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例に掲載した測定値は、以下の方法によって行ったものである。
(1)ナノ粒子の測定、分子量の測定
シスメックス株式会社製 ゼータ電位・粒子径・分子量測定装置(Nano ZS)を使用して、シリカ系ゾルのSiO濃度を0.1〜2(w/vol%)とし、表面処理前のシリカ系ゾルの粒子径、分子量を測定した。
(2)表面処理度の評価
得られる表面処理シリカ系酸化物を、下記の方法でその疎水性を評価することにより、表面処理シリカ系酸化物の疎水化値(表面処理度)を評価した。
200mlコニカルビーカーに純粋50mlを入れ、得られた表面処理シリカ系酸化物を0.2g前記ビーカーに入れ、水溶液を撹拌する。ビューレットにメタノールを入れ、前記水溶液中に、表面処理シリカが全量懸濁するまでメタノールを滴下する。このメタノール滴下量をL(ml)とした場合に、下記式により疎水化値(以下、M値とする)を求め、M値が高いものほど、疎水性が高く、高度に表面処理されたものとする。
M値=100L/(50+L)
(3)撥水性効果の測定方法
1.テストサンプルの作成
70*70*20mmのセメントブロックまたは107*60*10mmのタイルのテストピースの表面に、表面処理シリカ系酸化物のスラリーを塗布し、150℃、2時間乾燥させたものをテストサンプルとした。
2.測定条件
サンシャイン・ウェザー・メーター(スガ試験機製WEL−SUN−HCH−B・Em)を使用して、ブラックパネル温度63℃、降雨条件として2時間に18分シャワーする条件で、テストサンプル表面に水滴が発生せず、全面が濡れる状態になった時間を目視により観察し、疎水性効果の有無を判断した。尚、表面処理シリカ系酸化物のスラリーを表面に塗布していないセメントブロックでは、直に水が染み込み、撥水性は見られなかった。また、同じく表面に何も塗布していないタイルでは、100時間で表面水垢が発生し、撥水性がなくなった。
実施例1
大きさ45*45mmのY字管型反応装置を使用して、珪酸ソーダ水溶液(SiO:264.3g/L、SiO/NaOモル比:2.96)を絞り部径3.0mmに6.10L/分(流速14.4m/秒)、及び4.5Nの硫酸を絞り部径2.8mmに4.63L/分(流速12.5m/秒)でそれぞれ供給し、排出口径10mm、排出時の流速2.28m/秒にして、15分反応させ、161Lの均質なシリカゾルを得た。この時のSiO濃度は150.2g/L、pHは1.65、液温は33℃であった。この液温で120分間熟成し、液粘度が12mPa・sになった時、液を抜き出した。シリカゾルの平均粒子径は4.4nm、分子量は3970000kDaであった。このサンプルを150ml採取して、液温を33℃に保持しながら撹拌し、シリコーンエマルジョンとして、アニオン性のPolon MF−33A(信越化学製:シリコーンの有効成分30質量%、比重0.935)を52.5ml添加した。このシリコーンの添加量は、シリカゾルのSiO濃度に対して、65質量%である。この混合液をそのまま放置し、ゲル化させた。次に、このゲル化物を約5−20mmの大きさに砕き、籠状の容器に入れ、水洗した後、150℃の熱風乾燥機で乾燥した。この乾燥物を粉砕し、疎水化度を測定した。得られた表面処理シリカの疎水化度M値は48であった。
実施例2
実施例1において、シリカゾルを130分間熟成し、液粘度を16mPa・sにした以外は実施例1と同様にして、シリカゾルを製造した。このシリカゾルの平均粒子径は4.2nm、分子量は4130000kDaであった。このサンプルを150ml採取して撹拌し、シリコーンエマルジョン(信越化学製:Polon MF−33A)を37.5ml添加した以外は実施例1と同様の操作を行った。このシリコーンの添加量は、シリカゾルのSiO濃度に対して、47質量%である。得られた表面処理シリカの疎水化度M値は43であった。
実施例3
実施例1の熟成後のシリカゾルを150ml採取して撹拌し、シリコーンエマルジョン(信越化学製:Polon MF−33A)を22.5ml添加した以外は実施例1と同様の操作を行った。このシリコーンの添加量は、シリカゾルのSiO濃度に対して、28質量%である。得られた表面処理シリカの疎水化度M値は28であった。
比較例1
実施例1のシリカゾルを一昼夜放置してゲル化した後、水洗し、乾燥、粉砕した乾燥物を150g採取し、水へ再分散させ、シリコーンエマルジョン(信越化学製:Polon MF−33A)を37.5ml添加し、20分攪拌混合した。このシリコーンの添加量は、SiO濃度に対して、実施例2と同じく、47質量%である。この混合液を149μmの篩いで、固液分離し、篩い上の固形分を実施例1と同様に水洗、乾燥、粉砕処理した。この表面処理シリカの疎水化度M値は25であった。
比較例2
珪酸ソーダ水溶液(SiO:277.1g/L、モル比:3.03)200mlへシリコーンエマルジョン(信越化学製:Polon MF−33A)を93ml(シリコーンは、珪酸ソーダのSiO2濃度に対して、47質量%である)添加し、攪拌混合すると透明な粘調なものが生成したため、シリカゾルを製造出来なかった。
実施例2と比較例1とを比較すると、シリカ濃度あたり同じ量のシリコーン(有機珪素化合物)で表面処理した場合、実施例2の表面処理シリカは、比較例1の表面処理シリカよりも高い疎水性を示すことから、高度に表面処理されていることが分かった。また、実施例3と比較例1を比較すると、実施例3は少ないシリコーンの量で比較例1よりも高い疎水性を示すことも確認された。更に、実施例2は、実施例1のシリカゾルを熟成して、シリカゾルの重合度を調整したものをシリコーンで表面処理したものであり、得られる表面処理シリカの重合度の調整も容易となることが分かった。
実施例4
実施例1で得られたゲル化物300gを水洗した後、3mmのセラミックビーズを用いて、湿式粉砕し、74μmの篩を使用して篩い分けした。この篩い下のものに、表面処理シリカが10質量%の濃度となるように水を加え、表面処理シリカスラリーを得た。このスラリーにセメントブロックを浸漬し、該スラリーをセメントへ染み込ませた後、150℃、2時間乾燥し、得られたテストサンプルを前記条件のサンシャイン・ウェザー・メーターで撥水性の効果を測定した。撥水性の効果がなくなるまで360時間を要した。
実施例5
大きさ43*43mmのY字管型反応装置を使用して、珪酸ソーダ水溶液(SiO:185.9g/L、SiO/NaOモル比3.06)を絞り部径1.4mmに1.18L/分(流速12.78m/秒)、及び硫酸チタン水溶液(HSO:14.80g/100ml、TiO:3.65g/100ml)を絞り部径1.2mmに0.95L/分(流速14.01m/秒)でそれぞれ供給し、排出口径6mm、排出時の流速1.26m/秒にして5分間反応させ、10.65Lの均質なシリカ−チテニアゾル(シリカ系ゾル)を得た。この時のシリカ系ゾルの組成は、SiO10.3g/100ml、TiO1.63g/100ml、Ti/Siモル比0.20、pH2.32、液温度36℃であった。また、このシリカ系ゾルの平均粒子径は5.2nm、分子量は4250000kDaであった。このシリカ系ゾルを500ml採取し、液温を35℃に保持しながら撹拌し、シリコーンエマルジョンとして、アニオン性のPolon MF−33A(信越化学製:シリコーンの有効成分30質量%、比重0.935)を83ml添加した。このシリコーンの添加量は、シリカ系ゾルのSiO濃度に対して、45質量%である。この混合液をそのまま放置し、ゲル化させた。次に、このゲル化物を約5−20mmの大きさに砕き、籠状の容器に入れ、水洗した後、150℃の熱風乾燥機で乾燥した。この乾燥物を粉砕し、疎水化度を測定した。得られた表面処理シリカ系酸化物の疎水化度M値は42であった。
また、前記ゲル化物300gを水洗した後、3mmのセラミックビーズを用いて、湿式粉砕し、74μmの篩を使用して篩い分けした。この篩い下のものに、表面処理シリカ系酸化物の濃度が10質量%になるように水を加え、表面処理シリカ系酸化物スラリーを得た。このスラリーにセラミックタイルを浸漬し、表面処理シリカ系酸化物を塗布した後、150℃、2時間乾燥し、得られたテストサンプルを前記条件のサンシャイン・ウェザー・メーターで撥水性の効果を測定した。撥水性の効果がなくなるまで840時間を要した。
比較例3
比較例1で得られた表面処理シリカを使用し、シリカ濃度が10質量%となるように水を加え、表面処理シリカスラリーを得た。このスラリーを使用して、実施例4と同様の方法で撥水性効果を確認したところ、撥水性の効果がなくなるまで220時間を要した。
本発明に用いるY字型反応器の代表的な1例を示す概要図である。
符号の説明
1、1’:原料供給管
2:排出管
3:合流部
4、4’:絞り部

Claims (2)

  1. 2つの原料供給管が合流し、該合流部にて1つの排出管と連結してなる管型反応器を用い、前記原料給管から、鉱酸および/または硫酸塩の酸性水溶液と、珪酸ソーダ水溶液とを各々供給し、鉱酸および/または硫酸塩の酸性水溶液と珪酸ソーダ水溶液とを衝突混合させてシリカ系ゾルを製造した後、得られたシリカ系ゾルにシリコーンエマルジョンを添加することにより、シリカ系ゾルを表面処理する表面処理工程、及び前記表面処理工程で得られた表面処理物をゲル化させるゲル化工程とを含むことを特徴とする表面処理シリカ系酸化物の製造方法。
  2. 請求項1に記載のゲル化工程で得られたゲル化物を水洗し、水を加え、粉砕した後、分級してスラリー化するスラリー化工程を含むことを特徴とする表面処理シリカ系酸化物スラリーの製造方法。
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