以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。なお、以下の説明において、上下方向および左右方向とは、原則として、遊技者から見た上下方向および左右方向をいうものとし、表面、裏面および前面、後面についても、原則として、遊技者側を表面および前面というものとする。
図1には、本発明の一実施形態としてのパチンコ機10が示されている。このパチンコ機10は、縦長な方形状に枠組み形成された外枠12を備えている。外枠12には、その一側において開閉自在に軸支された状態で、パチンコ機の主要構成部の略全てが集約して設けられる中枠14が組み付けられている。また、中枠14の表側には、中枠14に対して裏側から取り付けられた遊技盤16を透視保護するためのガラス板を備えたガラス枠18と、上皿20を備えた皿板22がそれぞれ中枠14の一側に開閉自在に軸支された状態で組み付けられている。更にまた、上皿20の下方には、下皿24が設けられており、かかる下皿24の右方には、発射ハンドル26が突設されている。そして、遊技者が発射ハンドル26に対して回動可能に装着された発射レバー28を回動操作することにより、上皿20に貯留された遊技球が球送り機構(図示せず)を介して発射装置(図示せず)に送られた後、遊技盤16に形成された遊技領域30に向けて発射されるようになっている。
遊技盤16は、図2に示すように、表面に合成樹脂製のシートが被着された遊技板31を備えており、かかる遊技板31の表面側に固定されたガイドレール32によって囲まれた略円形の遊技領域30には、その略中央部分において、遊技板31の裏面側から組付けられた図柄表示装置としての液晶表示器の表示画面34が遊技者に視認可能に配設されている。そして、かかる表示画面34の下方において、始動入賞装置36や特別可変入賞装置38等の各種構造物が固定的に設けられている。なお、特に本実施形態においては、図柄表示装置として液晶表示器を用いているが、その他CRTやLEDを用いた表示器や、ドラムユニットなどを用いることも可能である。
このような遊技領域30に向けて発射された遊技球は、遊技領域30を流下せしめられることとなる。そして、遊技球が始動入賞装置36に入賞すると、表示画面34において複数の変動図柄(図示せず)の変動表示が開始され、それら複数の変動図柄の変動表示が所定時間行われる。その後、複数の変動図柄が特定の停止表示態様で停止表示された場合には、所謂大当たり遊技状態が発生し、通常の遊技状態では特別可変入賞装置38の入口を塞いでいる扉40が予め定められた作動条件に従って開閉作動せしめられるようになっている。これにより、特別可変入賞装置38の入口が開放されて、特別可変入賞装置38への遊技球の入賞が可能となり、その結果、遊技者は通常の遊技状態では得ることができない利益(賞球)を得ることが可能となる。
また、表示画面34の周囲には、表示画面34を修飾するためのセンター飾り42が配設されている。センター飾り42は、貫通孔44を有する基板としての取付板部45に、後述する可動部材としての落下部材48、装飾部材としての揺動部材50、および図示しないLEDなどが設けられて構成されている。貫通孔44は、表示画面34に対応する大きさおよび形状をもって取付板部45に貫設されており、貫通孔44を通じて、遊技盤16の裏側に配設された液晶表示器の表示画面34が遊技者から視認可能とされている。そして、遊技板31に対して前述のガイドレール32、始動入賞装置36等が取り付けられると共に、遊技釘(図示せず)が打ち込まれることによって、遊技領域30が構成されている。
また、センター飾り42における上方の部位には、左右方向に延びて前方に突出する庇46が形成されており、遊技球が表示画面34の前面を流下することの無いようにされている。
そして、図3にも示すように、センター飾り42の表側における貫通孔44の右側には、可動部材としての落下部材48が上下方向に移動可能に配設されていると共に、揺動部材50が左右方向に揺動可能に配設されている。これら落下部材48および揺動部材50は、駆動変位せしめられる前の定常位置(図3の位置)において、取付板部45に設けられた装飾部材51から連続する略半円弧形状を形成しており、装飾部材51、落下部材48、揺動部材50を含んで、恰も一体の部材のような外観を呈している。
図4に、落下部材48の背面を示すと共に、図5に、落下部材48の断面をモデル的に示す。落下部材48の背面における略上端部には、上側脚部58a,58bが設けられている一方、略下端部には、下側脚部60a,60bが設けられている。これらの上下側脚部58a,58b,60a,60bは何れも略同様の構造とされており、対向して後方に突出する板形状とされている。そして、これら上側脚部58a,58bおよび下側脚部60a,60bには、水平方向に延びて対向面間に亘るピン62,64が設けられている。なお、水平方向で落下部材48の内側に位置する上側脚部58aおよび下側脚部60bは、鉛直方向で略一直線上に配設されている。また、下側脚部60a,60bの対向面間距離は、上側脚部58a,58bの対向面間距離に比してやや小さくされている。
さらに、落下部材48の背面には、後方に突出する伝動ピンとしての伝達軸56が一体形成されている。伝達軸56は、本実施形態においては略円筒形状とされており、落下部材48の略中央部分、より詳細には、水平方向で上側脚部58a,58bの略中間となる位置で、且つ、鉛直方向で上側脚部58a,58bと下側脚部60a,60bの略中間となる位置に配設されている。かかる伝達軸56には、伝達軸56の軸方向に延びて伝達軸56を貫通するケーブル孔65が形成されており、かかるケーブル孔65によって、落下部材48の内部空間と外部空間が連通せしめられている。
また、落下部材48の内部には、電気部品としての複数のLED67,67を備えたLED基板69が設けられている。そして、LED基板69には、LED67,67に電力を供給する給電ケーブルとしての線ケーブル71の一方の端部が接続されている。一方、線ケーブル71におけるLED基板69と接続された側と反対側の端部は、ケーブル孔65を通じて落下部材48の外部に延び出されていると共に、伝達軸56から外部に露出せしめられた端部には、コネクタ73が設けられている。
このような構造とされた落下部材48は、図6に示すように、上側脚部58a,58bおよび下側脚部60a,60bが、取付板部45に鉛直方向に延びて形成された上脚用溝66a,66bおよび下脚用溝68a,68bによって、鉛直方向に移動可能に取り付けられている。具体的には、図7および図8にモデル的に示すように、取付板部45における貫通孔44の右側には、鉛直方向に延びる一対の取付板上溝70a,70bが貫設されていると共に、これら取付板上溝70a,70bの下方には、鉛直方向に延びる一対の取付板下溝72a,72bが貫設されている。そして、取付板上溝70a,70bおよび取付板下溝72a,72bに対応する大きさおよび形状を有するカバー上溝74a,74bおよびカバー下溝76a,76bが貫設されたカバー部材78が取付板部45の裏面に取り付けられている。これにより、取付板上溝70a,70bとカバー上溝74a,74bが重ね合わされて上脚用溝66a,66bが形成されると共に、取付板下溝72a,72bとカバー下溝76a,76bが重ね合わされることによって下脚用溝68a,68bが形成されている。
そして、上側脚部58a,58bおよび下側脚部60a,60bが取付板部45の前面から取付板上溝70a,70b、取付板下溝72a,72bに挿し通されて、取付板部45の背面に突出せしめられる。そして、上側脚部58a,58bおよび下側脚部60a,60bの突出先端部に対して、それぞれピン62,64が配設される。更に、取付板部45の裏面にカバー部材78が重ね合わされることによって、上側脚部58a,58bの突出端部がカバー上溝74a,74bに突出しない程度に挿し入れられると共に、下側脚部60a,60bの突出端部がカバー下溝76a,76bに突出しない程度に挿し入れられる。これにより、取付板部45とカバー部材78との間に形成された空隙にピン62、64が配設された状態で、落下部材48は、取付板部45に対して抜け出し不能且つ上下脚用溝66,68に沿って鉛直方向に移動可能に取り付けられている。
さらに、取付板部45における取付板上溝70aと70bの間には、鉛直方向に延びる取付板案内溝82が貫設されていると共に、カバー部材78において取付板案内溝82と対応する位置には、取付板案内溝82に対応する大きさおよび形状を有するカバー案内溝84が貫設されており、これら取付板案内溝82およびカバー案内溝84が重ね合わされることによって、取付板部45の表裏方向に貫通して鉛直方向に延びるピン孔86が形成されている。ピン孔86は、伝達軸56の径寸法よりもやや大きな左右方向幅寸法を有すると共に、上脚用溝66a,66bの高さ方向略中間部分から、下脚用溝68a,68bの高さ方向略中間部分に至る程度の上下方向長さ寸法をもって形成されている。そして、落下部材48の取付板部45への組み付け状態において、伝達軸56がコネクタ73と共にピン孔86に挿通されて、コネクタ73および伝達軸56の突出端部がカバー部材78の後方に突出せしめられている。これにより、伝達軸56がピン孔86に挿通配置せしめられており、ケーブル孔65が取付板部45の表裏方向に延び出されている。
一方、揺動部材50は、落下部材48と連続して略円弧形状を形成する湾曲部88の表示画面34側に人形90が一体的に設けられて構成されている。図6に示すように、揺動部材50の裏面には、後方に突出する支持軸92が一体的に形成されており、取付板部45において円弧状に貫設された円弧状溝94に挿し通されている。
また、取付板部45の裏面には、略三角板形状とされた揺動板96が取り付けられている。揺動板96は、頂点にあたる部位の一つが円弧状溝94に重ね合わされるようにして、かかる頂点の下方に位置せしめられた頂点に形成された回動軸98によって、取付板部45に揺動可能に取り付けられている。これにより、円弧状溝94に重ね合わされた頂点の部位が円弧状溝94に沿って揺動可能とされると共に、かかる部位に支持軸92が固定的に取り付けられることによって、揺動部材50が、円弧状溝94に沿って揺動可能とされている。
なお、詳細な図示は省略するが、揺動部材50についても、内部に複数のLEDが設けられている。そして、これらのLEDに電力を供給する給電ケーブルが、取付板部45に貫設された挿通孔100を通じて取付板部45の裏側に引き出されている。そして、揺動板96には、揺動に際して挿通孔100を塞ぐことの無いように、切欠102が形成されている。
さらに、取付板部45の前面には、揺動部材50の右側に、緩衝部材104が設けられている。図9にモデル的に示すように、緩衝部材104の裏面には、後方に突出する一対の挿通板部106a,106bが上下に並んで一体的に形成されており、挿通板部106a,106bが、取付板部45に貫設されて鉛直方向に延びる案内孔108を通じて取付板部45の後方に突出せしめられている。そして、挿通板部106a,106bが、取付板部45の背面において鉛直方向に延びて設けられた案内軸110に外挿されることによって、鉛直方向に変位可能に取り付けられている。なお、案内軸110は、案内孔108のやや下方において後方に突出形成された支持板部113に載置されると共に取付板部45の背面と、取付板部45の背面に取り付けられた固定部材111との間で挟まれることによって取付板部45に取り付けられている。
さらに、案内軸110には、挿通板部106bと案内孔108の下端縁部との間に、コイルスプリング112が圧縮状態で外挿されている。これにより、挿通板部106bに上向きの付勢力が常時及ぼされて、緩衝部材104は、挿通板部106aが案内孔108の上端縁部に係止された状態で維持されるようになっており、かかる位置が定常位置とされている。
そして、取付板部45の背面には、落下部材48および揺動部材50に駆動力を伝達する駆動機構114が設けられている。図10に、駆動機構114を備えた状態の取付板部45を示す。駆動機構114は、駆動源としての電動モータ116と、第一乃至第四の伝達歯車118a乃至118d、および連結部材としての揺動ロッド120を含んで構成されている。
より詳細には、取付板部45の裏面には、揺動板96に重ね合わされるようにして、案内部材122が取り付けられている。そして、案内部材122には、後方に開口して左右方向に延びるスリット124を有する略矩形ブロック形状のスライド部材126が案内部材122によってその両端が案内されて上下動可能に取り付けられている。そして、スライド部材126におけるスリット124が形成された面と反対側の面(前面)には、前方に突出する駆動軸128が形成されている(図6参照)。更に、図面からは必ずしも明かではないが、案内部材122には鉛直方向に延びる貫通孔130が貫設されており、かかる貫通孔130に駆動軸128が挿通されている。そして、駆動軸128における案内部材122からの突出部分が、揺動板96において回動軸98及び支持軸92が形成されていない残りの頂点部分に所定の長さ寸法をもって貫設された軸挿通孔132に挿通されている。
さらに、案内部材122の裏側には、第一の伝達歯車118aが回転可能に配設されている。第一の伝達歯車118aは、電動モータ116の出力軸に直接に取り付けられている。なお、図示は省略するが、取付板部45の背面には、駆動機構114の略全体を覆うカバー部材が取り付けられるようになっており、電動モータ116は、カバー部材の外側に取り付けられて、その出力軸がカバー部材に貫設された貫通孔を通じてカバー部材の内部に突出されるようになっている。そして、カバー部材の内部に突出せしめられた電動モータ116の出力軸に第一の伝達歯車118aが取り付けられるようになっており、第一の伝達歯車118aは、カバー部材によって支持されるようになっている。また、図面からは明かではないが、第一の伝達歯車118aには、前方に突出する棒状の係合突部が形成されており、かかる係合突部が、スライド部材126のスリット124に挿し入れられている。
そして、第一の伝達歯車118aから上方に向けて、第二乃至第四の伝達歯車118b〜118dが順に回転可能に配設されて直列的に噛合せしめられており、電動モータ116の駆動力が第四の伝達歯車118dにまで伝達されるようになっている。ここにおいて、これらの伝達歯車118a乃至118dは、第一の伝達歯車118aが一回転することによって、第四の伝達歯車118dも一回転するギア比に設定されている。なお、本実施形態においては、電動モータ116として、従来公知のDCモータが用いられており、一方向にのみ回転可能とされている。
そして、第四の伝達歯車118dには、前方に突出するカム部136が形成されており、かかるカム部136に、揺動ロッド120の当接部140が当接せしめられるようになっている。
揺動ロッド120は、所定の長さ寸法をもって延びる略ロッド状の部材とされており、一方の端部には、後方に突出するロッド状の当接部140が形成されている一方、他方の端部には、連結部としての嵌合部143が一体的に形成されている。かかる揺動ロッド120は、長手方向略中間部分に貫設された軸孔に対して、取付板部45に取り付けられた支持部材141の軸142が挿し通されることによって、取付板部45に対して軸142を中心に回動可能に取り付けられており、これによって、嵌合部143が、ピン孔86に略沿うように変位せしめられるようになっている。
嵌合部143は、矩形状の挿通孔144が厚さ方向に貫設された略枠体形状とされている。挿通孔144は、長辺が揺動ロッド120の長手方向に延びて形成されており、かかる長辺の寸法は、ピン孔86の幅方向寸法よりもやや大きくされている。一方、挿通孔144の短辺は、伝達軸56の径寸法よりも僅かに大きな寸法をもって形成されている。
そして、揺動ロッド120が取付板部45に取り付けられることによって、カバー部材78の後方に突出せしめられた伝達軸56の後側端部が挿通孔144に挿通せしめられる。ここにおいて、伝達軸56の突出端部に位置せしめられたコネクタ73は、挿通孔144を通じて嵌合部143の裏側に配設されるようになっており、これにより、線ケーブル71は、伝達軸56のケーブル孔65を通して、取付板部45の背面に渡されるようになっている。
そして、嵌合部143の背面に配設されたコネクタ73には、平形ケーブル146の一方の端部に設けられたコネクタ148が接続されるようになっている。平形ケーブル146は、所定の幅寸法を有する帯状のケーブルとされており、コネクタ148が設けられた側と反対側の端部が、取付板部45の裏面に設けられた図示しない電源装置に直接乃至は他の基板等を介して間接的に接続されている。そして、かかる平形ケーブル146と線ケーブル71がコネクタ73、148によって電気的に接続されることによって、落下部材48の内部に配設されたLED67が、電源装置と電気的に接続されるようになっている。
さらに、揺動ロッド120は、第四の伝達歯車118dのカム部136に当接部140が当接せしめられるようになっている。ここにおいて、カム部136は略半円形状とされており、第四の伝達歯車118dが回転(本実施形態においては、図10中、反時計回り)せしめられることによって、カム部136と当接部140の当接状態と非当接状態が交互に発現せしめられるようになっている。
なお、カム部136の回転方向において当接部140に当接せしめられる非円周部分には、カム部136の非形成部に向けて僅かに凸となる湾曲面138が形成されており、カム部136が当接部140に当接せしめられた際には、当接部140に対して下方向の分力を及ぼすことによって当接部140をカム部136の外周部分へ滑らかに案内するようにされている。そして、当接部140がカム部136の外周部分へ案内されつつ下方に案内されることによって、嵌合部143が上方に変位せしめられると共に、第四の伝達歯車118dが停止せしめられて、カム部136の外周部分による当接部140の係止状態が維持されることによって、嵌合部143が上方の移動端位置に維持されるようになっている。
なお、図6に示すように、第一の伝達歯車118aに係合せしめられるスライド部材126は、定常状態において下方の移動端に位置せしめられており、揺動板96の支持軸92が円弧状溝94の外側端部に位置せしめられるようになっている。これにより、揺動部材50は、定常状態において移動方向の右端部(図3の位置)に位置せしめられるようになっている。一方、第四の伝達歯車118dに当接せしめられる揺動ロッド120は、定常状態において当接部140がカム部136に当接せしめられており、嵌合部143が上方の移動端に位置せしめられるようになっている。これにより、落下部材48は、揺動ロッド120に支持されて、定常状態において移動方向の上端部(図3の位置)に位置せしめられるようになっている。
なお、図3からも明らかなように、揺動部材50は、定常位置において落下部材48の下方に隣接して位置せしめられるようになっていることから、落下部材48を案内するピン孔86および上下脚用溝66,68の略全体が、落下部材48および揺動部材50が重ね合わされることによって遊技者から視認困難とされている。これにより、外観上の装飾効果を向上せしめることが出来る。更には、落下部材48の移動方向を遊技者に予測困難にすることが出来て、落下部材48を落下せしめた際に遊技者により大きな驚きを与えることが出来る。
加えて、特に本実施形態においては、揺動部材50が、円弧状溝94の全体を覆うことの出来る程度の大きさをもって形成されていることから、揺動部材50の定常位置において、円弧状溝94についてもその全体を揺動部材50によって遊技者から視認困難とすることが可能とされている。これにより、装飾上の効果および遊技者に対する演出効果の更なる向上が図られるのみならず、落下部材48および揺動部材50をセンター飾り42に対して固定的に設けられた装飾部材のように見せることが出来て、固定的な装飾部材のように見える落下部材48および揺動部材50を駆動せしめることによって、遊技者により大きな驚きを与えることが出来る。
そして、かかる定常位置から、電動モータ116への給電が行なわれて第一の伝達歯車118aが回転せしめられると、第一の伝達歯車118aにおいて前方に突出形成された図示しない係合突部とスリット124、および案内部材122との案内作用によって、スライド部材126が上方へ変位せしめられる。それと共に、スライド部材126に設けられた駆動軸128と軸挿通孔132の案内作用によって、揺動板96が回動軸98を中心に回動せしめられて、支持軸92が円弧状溝94に沿って表示画面34側へ駆動せしめられる。これにより、揺動部材50が、図11に示す移動端位置に位置せしめられる。かかる移動端位置において、揺動部材50は、その一部が表示画面34に重なる程度に、表示画面34側へ変位せしめられている。また、取付板部45の前面における円弧状溝94の上方には人形90の足150が固定されており、揺動部材50が定常位置にある状態では揺動部材50が重ねられて視認困難とされる一方、揺動部材50が移動端位置に変位せしめられることによって視認可能に現出せしめられるようになっている。
一方、第四の伝達歯車118dは、揺動部材50が表示画面34側へ変位せしめられて落下部材48の鉛直下方から外れた時点でカム部136と当接部140の当接状態が解除されるようになっている。そして、カム部136と当接部140の当接状態が解除されて、嵌合部143の下方への変位が許容されることによって、落下部材48は、両脚部58、60が上下両脚用溝66、68に案内されて、ピン孔86に沿って鉛直下方へ自重によって落下するようにされている。
このようにして、自重によって落下せしめられた落下部材48は、上側脚部58a,58bや下側脚部60a,60bが上下脚用溝66、68の下端縁部に係止される前に、下方に配設された緩衝部材104に当接せしめられるようになっている。そして、緩衝部材104が下方へ変位せしめられて、コイルスプリング112が圧縮せしめられる。これにより、コイルスプリング112の付勢力によって、落下部材48の下方への落下が緩衝的に制限されて、落下部材48および緩衝部材104は、図11に示す移動端位置に移動せしめられるようになっている。更に、自重により落下する落下部材48によって緩衝部材104を動かすことが出来て、緩衝部材104を可動部材として簡易な構成をもって実現することが出来る。
なお、前述のように、ピン孔86の下部には、定常位置に位置せしめられた揺動部材50が重ねられている。そして、揺動部材50が変位位置に変位せしめられることによってピン孔86の全体が現出せしめられるようになっており、落下部材48は、揺動部材50が変位することによって形成された領域内に変位せしめられるようになっている。これにより、落下部材48の駆動領域を有利に確保して、優れたスペース効率をもって落下部材48および揺動部材50を配設することが可能とされている。
そして、落下部材48および揺動部材50が移動端位置に変位せしめられた後に、電動モータ116が更に回転せしめられると、カム部136と当接部140が再び当接せしめられて、当接部140が下方へ案内されることによって嵌合部143が上方へ変位せしめられる。これにより、嵌合部143の上方への駆動力が伝達軸56を介して落下部材48に及ぼされて、落下部材48が定常位置に復帰せしめられる。
これと共に、第一の伝達歯車118aが更に回転せしめられると、スライド部材126は上方の移動端に位置せしめられた後に、下方へ変位せしめられる。これにより、揺動板96が円弧状溝94に沿って取付板部45の外側へ回動せしめられて、揺動部材50が定常位置に復帰せしめられる。
ここにおいて、本実施形態においては、落下部材48の内部に配設されたLED67に電力を供給する線ケーブル71が、伝達軸56の内部を通って取付板部45の裏側に延び出されている。これにより、線ケーブル71がピン孔86や嵌合部143などの駆動機構に直接接触することが防止されており、線ケーブル71が駆動機構に巻き込まれるようなことも有効に防止することが出来る。そして、特に本実施形態においては、伝達軸56の内部に線ケーブル71を配設することによって、落下部材48を駆動せしめる駆動機構を配線機構として巧く用いることが可能とされており、優れたスペース効率と簡易な構成をもって、給電ケーブルの駆動機構への巻き込みを有効に防止することが出来るのである。
また、特に本実施形態においては、線ケーブル71が伝達軸56の内部に挿通されていることから、伝達軸56をピン孔86に挿通することによって線ケーブル71を併せてピン孔86に挿通せしめることが可能とされており、組み付けに要する作業が軽減される。更に、本実施形態においては、線ケーブル71の端部にコネクタ73を設けたことによって、線ケーブル71の伝達軸56からの延び出し量を小さく抑えることも可能とされている。これにより、落下部材48の取付板部45への組み付け作業等に際する線ケーブル71の取り回しを容易にすることも可能とされている。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前述の可動部材や伝動ピンの具体的な構造はあくまでも一例であって、図12および図13にモデル的に示すようなラック・ピニオン機構を用いて駆動せしめる等しても良い。なお、以下の説明における上下方向とは図12における上下方向を言い、前後方向とは図13における左右方向を言う。また、前方とは図13における左方向を言う。
本態様においては、可動部材160の後方に、可動部材160とは別体として形成された伝動ピンとしての伝達軸162が差し込まれることによって、伝達軸162が可動部材160と一体的に構成されており、かかる伝達軸162が、長手状に延びて取付板部45を貫通するピン孔164に挿通されて取付板部45の裏側に突出せしめられている。そして、本態様においては、伝達軸162のピン孔164からの突出部位に対して、ピン孔164と略同じ方向に延びるラック166が一体的に設けられており、かかるラック166に対して、図示しない電動モータによって回転せしめられるピニオンギア168が噛合せしめられている。
ここにおいて、伝達軸162は、軸方向に貫通するケーブル孔170が形成された略円筒形状とされている。そして、伝達軸162がピン孔164に挿通されることによって、ケーブル孔170が取付板部45の表裏方向に配設されており、かかるケーブル孔170によって、可動部材160の内部空間と外部空間が連通せしめられている。さらに、可動部材160の内部には、前記実施形態と同様に電気部品としての複数のLED172が設けられたLED基板174が配設されている。そして、LED172に電力を供給する給電ケーブルとしての線ケーブル176がケーブル孔170内に挿通されて、一方の端部がLED基板174に接続されている。そして、線ケーブル176の他方の端部が図示しない電源装置に電気的に接続されることによって、LED172に電力を供給するようにされている。なお、図示は省略するが、本態様においても、前記実施形態と同様に、線ケーブル176の伝達軸162からの延び出し部位にコネクタを設けて、電源装置側から延び出された給電ケーブルとコネクタで接続するなどしても良い。
このようにすれば、LED172に電力を供給する線ケーブル176を、伝達軸162内部のケーブル孔170を通して取付板部45の表側から裏側へ渡すことが出来る。これにより、可動部材160が変位せしめられた場合でも、線ケーブル176をピン孔164と非接触とされた状態で伝達軸162と一体的に変位せしめることが可能となることから、線ケーブル176が可動部材160や伝達軸162とピン孔164の間に挟まれるようなことを有効に防止することが出来る。
本態様から明らかなように、可動部材に駆動力を伝達する伝動ピンは、必ずしも可動部材と一体成形される必要はないのであって、本態様のように、可動部材と別体として形成して可動部材に固定する等しても良い。
また、前述の実施形態におけるケーブル孔65および前記態様におけるケーブル孔170は、何れも略円形の断面形状とされると共に、これらケーブル孔44,170に挿通される線ケーブル71、176は何れも線状のケーブルとされていたが、ケーブル孔や給電ケーブルの具体的な形状は何等限定されない。例えば、給電ケーブルとして、所定の幅寸法を有する帯状のケーブルを用いると共に、ケーブル孔として、かかる帯状のケーブルを挿通可能な幅寸法を有する矩形の断面形状とするなどしても良い。また、ケーブル孔は必ずしも伝動ピンの軸方向端部に開口せしめられている必要はないのであって、例えば、ケーブル孔を伝動ピンの側面に開口せしめる等しても良い。
また、前述の実施形態および前記態様の何れにおいてもピン孔は直線形状をもって形成されていたが、ピン孔の延び出し方向や具体的な形状等は何等限定されることは無く、例えば、延び出し方向としては鉛直方向のみならず水平方向や斜め方向でも良いし、形状としては直線形状のみならず、湾曲形状等も採用可能である。
また、可動部材に設けられる電気部品としては、前述のLEDに限定されるものではない。例えば、その他の電気部品として、スピーカを設けるなどしても良いし、可動部材に更に第二の可動部材を設けて、かかる第二の可動部材を駆動せしめる電動モータを可動部材に設けるなどしても良い。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
10:パチンコ機、45:取付板部、48:落下部材、50:揺動部材、56:伝達軸、65:ケーブル孔、67:LED、71:線ケーブル、86:ピン孔、116:電動モータ、120:揺動ロッド、143:嵌合部、144:挿通孔