以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。なお、以下の説明において、上下方向および左右方向とは、原則として、遊技者から見た上下方向および左右方向をいうものとし、表面、裏面および前面、後面についても、原則として、遊技者側を表面および前面というものとする。
図1には、本発明の一実施形態として、遊技機としてのパチンコ機10が示されている。このパチンコ機10は、縦長な方形状に枠組み形成された外枠12を備えている。外枠12には、その一側において開閉自在に軸支された状態で、パチンコ機の主要構成部の略全てが集約して設けられる中枠14が組み付けられている。また、中枠14の表側には、中枠14に対して裏側から取り付けられた遊技盤16を透視保護するためのガラス板を備えたガラス枠18と、上皿20を備えた皿板22がそれぞれ中枠14の一側に開閉自在に軸支された状態で組み付けられている。更にまた、上皿20の下方には、下皿24が設けられており、かかる下皿24の右方には、発射ハンドル26が突設されている。そして、遊技者が発射ハンドル26に対して回動可能に装着された発射レバー28を回動操作することにより、上皿20に貯留された遊技球が球送り機構(図示せず)を介して発射装置(図示せず)に送られた後、遊技盤16に形成された遊技領域30に向けて発射されるようになっている。
遊技盤16は、図2に示すように、表面に合成樹脂製のシートが被着された表面パネルとしての遊技板31を備えており、かかる遊技板31の表面側に固定されたガイドレール32によって囲まれた略円形の遊技領域30には、その略中央部分において、遊技板31の裏面から組付けられた図柄表示装置としての液晶表示器の表示画面34が遊技者に視認可能に配設されている。そして、かかる表示画面34の下方において、始動入賞装置36や特別可変入賞装置38等の各種構造物が固定的に設けられている。なお、特に本実施形態においては、図柄表示装置として液晶表示器を用いているが、その他CRTやLEDを用いた表示器や、ドラムユニットなどを用いることも可能である。
このような遊技領域30に向けて発射された遊技球は、遊技領域30を流下せしめられることとなる。そして、遊技球が始動入賞装置36に入賞すると、表示画面34において複数の変動図柄(図示せず)の変動表示が開始され、それら複数の変動図柄の変動表示が所定時間行われる。その後、複数の変動図柄が特定の停止表示態様で停止表示された場合には、所謂大当たり遊技状態が発生し、通常の遊技状態では特別可変入賞装置38の入口を塞いでいる扉40が予め定められた作動条件に従って開閉作動せしめられるようになっている。これにより、特別可変入賞装置38の入口が開放されて、特別可変入賞装置38への遊技球の入賞が可能となり、その結果、遊技者は通常の遊技状態では得ることができない利益(賞球)を得ることが可能となる。
また、表示画面34の周囲には、表示画面34を修飾するためのセンター飾り42が配設されている。センター飾り42は、貫通孔44を有する取付板部45に、後述する第一の可動部材としての落下部材48、第二の可動部材としての揺動部材50、および図示しないLEDなどが設けられて構成されている。貫通孔44は、表示画面34に対応する大きさおよび形状をもって取付板部45に貫設されており、貫通孔44を通じて、遊技盤16の裏側に配設された液晶表示器の表示画面34が遊技者から視認可能とされている。そして、遊技板31に対して前述のガイドレール32、始動入賞装置36等が取り付けられると共に、遊技釘(図示せず)が打ち込まれることによって、遊技領域30が構成されている。
また、センター飾り42における上方の部位には、左右方向に延びて前方に突出する庇46が形成されており、遊技球が表示画面34の前面を流下することの無いようにされている。
そして、図3にも示すように、センター飾り42における貫通孔44の右側には、第一の可動部材としての落下部材48が上下方向に移動可能に配設されていると共に、第二の可動部材としての揺動部材50が左右方向に揺動可能に配設されている。これら落下部材48および揺動部材50は、駆動変位せしめられる前の静止位置(図3の位置)において、取付板部45に設けられた装飾部材52から連続する略半円弧形状を形成しており、装飾部材52、落下部材48、揺動部材50を含んで、恰も一体の部材のような外観を呈している。
図4に、落下部材48の裏面を示す。落下部材48の裏面における略上端部には、上側脚部54a,54bが設けられている一方、高さ方向の略中間部には、下側脚部56a,56bが設けられている。これらの上下側脚部54a,54b,56a,56bは何れも略同様の構造とされており、対向して後方に突出する板形状とされている。なお、水平方向で落下部材48の内側に位置する上側脚部54aおよび下側脚部56bは、鉛直方向で略一直線上に配設されている。また、下側脚部56a,56bの対向面間距離は、上側脚部54a,54bの対向面間距離に比してやや小さくされている。そして、これら上側脚部54a,54bおよび下側脚部56a,56bには、水平方向に延びて対向面間に亘るピン58,60が設けられている。
さらに、落下部材48の裏面には、後方に突出する伝達軸62が一体的に形成されている。伝達軸62は、水平方向で上側脚部54a,54bの略中間となる位置で、且つ、鉛直方向で上側脚部54a,54bと下側脚部56a,56bの中間となる位置に配設されている。また、伝達軸62の軸方向寸法は、上下側脚部54、56の後方への突出寸法よりも大きくされている。
このような構造とされた落下部材48は、図5に示すように、上側脚部54a,54bおよび下側脚部56a,56bが、取付板部45に鉛直方向に延びて形成された上脚案内溝66a,66bおよび下脚案内溝68a,68bによって、鉛直方向に移動可能に取り付けられている。具体的には、図6および図7にモデル的に示すように、取付板部45における貫通孔44の右側には、鉛直方向に延びる一対の取付板上溝70a,70bが貫設されていると共に、これら取付板上溝70a,70bの下方には、鉛直方向に延びる一対の取付板下溝72a,72bが貫設されている。そして、取付板上溝70a,70bおよび取付板下溝72a,72bに対応する大きさおよび形状を有するカバー上溝74a,74bおよびカバー下溝76a,76bが貫設されたカバー部材78が取付板部45の裏面に取り付けられている。これにより、取付板上溝70a,70bとカバー上溝74a,74bが重ね合わされて上脚案内溝66a,66bが形成されると共に、取付板下溝72a,72bとカバー下溝76a,76bが重ね合わされることによって下脚案内溝68a,68bが形成されている。
そして、上側脚部54a,54bおよび下側脚部56a,56bが取付板部45の前面から取付板上溝70a,70b、取付板下溝72a,72bに挿し通されて、取付板部45の背面に突出せしめられる。そして、上側脚部54a,54bおよび下側脚部56a,56bの突出先端部に対して、それぞれピン58,60が配設される。更に、取付板部45の裏面にカバー部材78が重ね合わされることによって、上側脚部54a,54bの突出端部がカバー上溝74a,74bに突出しない程度に挿し入れられると共に、下側脚部56a,56bの突出端部がカバー下溝76a,76bに突出しない程度に挿し入れられる。これにより、取付板部45とカバー部材78との間に形成された空隙にピン58、60が配設された状態で、落下部材48は、取付板部45に対して抜け出し不能且つ上下脚案内溝66,68に沿って鉛直方向に移動可能に取り付けられている。
さらに、取付板部45における取付板上溝70aと70bの間には、鉛直方向に延びる取付板案内溝82が貫設されていると共に、カバー部材78において取付板案内溝82と対応する位置には、取付板案内溝82に対応する大きさおよび形状を有するカバー案内溝84が貫設されており、これら取付板案内溝82およびカバー案内溝84が重ね合わされることによって、鉛直方向に延びる軸案内溝86が形成されている。軸案内溝86は、伝達軸62の径寸法よりもやや大きな左右方向幅寸法を有すると共に、上脚案内溝66a,66bの高さ方向略中間部分から、下脚案内溝68a,68bの高さ方向略中間部分に至る程度の上下方向長さ寸法をもって形成されている。そして、落下部材48の取付板部45への組み付け状態において、伝達軸62が軸案内溝86を通じてカバー部材78の後方に突出せしめられている。
このように、本実施形態においては、上下脚案内溝66、68、および軸案内溝86を含んで第一の案内路が構成されており、これらの案内溝66、68、86は何れも、互いに平行な状態で鉛直方向に延びるように形成されている。
一方、揺動部材50は、落下部材48と連続して略円弧形状を形成する湾曲部88の表示画面34側に人形90が一体的に設けられて構成されている。図5に示すように、揺動部材50の裏面には、後方に突出する支持軸92が一体的に形成されており、取付板部45に貫設された第二の案内路としての円弧状溝94に挿通せしめられている。
円弧状溝94は、上方に向けて緩やかに凸となる略円弧形状をもって、取付板部45に貫設されている。ここにおいて、円弧状溝94は、一方の端部が軸案内溝86の略鉛直下方に位置せしめられる一方、他方の端部が軸案内溝86よりも表示画面34側に位置せしめられており、軸案内溝86の鉛直下方から表示画面34に向けて円弧状に伸び出すような形状とされている。これにより、軸案内溝86の延び出し方向と円弧状溝94の延び出し方向が互いに異ならされている。
そして、取付板部45の裏面には、略三角板形状とされた揺動板96が取り付けられている。揺動板96は、頂点にあたる部位の一つが円弧状溝94に重ね合わされるようにして、かかる頂点の下方に位置せしめられた頂点に形成された揺動軸98によって、取付板部45に揺動可能に取り付けられている。これにより、円弧状溝94に重ね合わされた頂点の部位が円弧状溝94に沿って揺動可能とされると共に、かかる部位に支持軸92が固定的に取り付けられることによって、揺動部材50が、円弧状溝94に沿って揺動可能とされている。
なお、詳細な図示は省略するが、揺動部材50には、内部に複数のLEDが設けられている。そして、これらのLEDに電力を供給する給電ケーブルが、取付板部45に貫設された挿通孔100を通じて取付板部45の裏側に引き出されている。そして、揺動板96には、揺動に際して挿通孔100を塞ぐことの無いように、切欠102が形成されている。
さらに、取付板部45の前面には、揺動部材50の右側に、緩衝部材104が設けられている。図8にモデル的に示すように、緩衝部材104の裏面には、後方に突出する一対の挿通板部106a,106bが上下に並んで一体的に形成されており、挿通板部106a,106bが、取付板部45に貫設されて鉛直方向に延びる案内孔108を通じて取付板部45の後方に突出せしめられている。そして、挿通板部106a,106bが、取付板部45の背面において鉛直方向に延びて設けられた案内軸110に外挿されることによって、鉛直方向に変位可能に取り付けられている。なお、案内軸110は、案内孔108のやや下方において後方に突出形成された支持板部112に載置されると共に取付板部45の背面と、取付板部45の背面に取り付けられた固定部材113との間で挟まれることによって取付板部45に取り付けられている。
さらに、案内軸110には、挿通板部106bと案内孔108の下端縁部との間に、コイルスプリング114が圧縮状態で外挿されている。これにより、挿通板部106bに上向きの付勢力が常時及ぼされて、緩衝部材104は、挿通板部106aが案内孔108の上端縁部に係止された状態で維持されるようになっており、かかる位置が静止位置とされている。
そして、取付板部45の背面には、落下部材48および揺動部材50に駆動力を伝達する駆動機構115が設けられている。図9に、駆動機構115を備えた状態の取付板部45を示す。駆動機構115は、駆動源としての電動モータ116と、第一乃至第四の伝達歯車118a乃至118d、および揺動ロッド120を含んで構成されている。
より詳細には、取付板部45の裏面には、揺動板96に重ね合わされるようにして、案内部材122が取り付けられている。そして、案内部材122には、後方に開口して左右方向に延びるスリット124を有する略矩形ブロック形状のスライド部材126が案内部材122によってその両端が案内されて上下動可能に取り付けられている。そして、スライド部材126におけるスリット124が形成された面と反対側の面(前面)には、前方に突出する駆動軸128が形成されている(図5参照)。更に、図面からは必ずしも明かではないが、案内部材122には鉛直方向に延びる貫通孔130が貫設されており、かかる貫通孔130に駆動軸128が挿通されている。そして、駆動軸128における案内部材122からの突出部分が、揺動板96において揺動軸98及び支持軸92が形成されていない残りの頂点部分に所定の長さ寸法をもって貫設された軸挿通孔132に挿通されている。
さらに、案内部材122の裏側には、第一の伝達歯車118aが回転可能に配設されている。第一の伝達歯車118aは、電動モータ116の出力軸に直接に取り付けられている。なお、図示は省略するが、取付板部45の背面には、駆動機構115の略全体を覆うカバー部材が取り付けられるようになっており、電動モータ116は、カバー部材の外側に取り付けられて、その出力軸がカバー部材に貫設された貫通孔を通じてカバー部材の内部に突出されるようになっている。そして、カバー部材の内部に突出せしめられた電動モータ116の出力軸に第一の伝達歯車118aが取り付けられるようになっており、第一の伝達歯車118aは、カバー部材によって支持されるようになっている。また、図面からは明かではないが、第一の伝達歯車118aには、前方に突出する棒状の係合突部が形成されており、かかる係合突部が、スライド部材126のスリット124に挿し入れられている。
そして、第一の伝達歯車118aから上方に向けて、第二乃至第四の伝達歯車118b〜118dが順に回転可能に配設されて直列的に噛合せしめられており、電動モータ116の駆動力が第四の伝達歯車118dにまで伝達されるようになっている。ここにおいて、これらの伝達歯車118a乃至118dは、第一の伝達歯車118aが一回転することによって、第四の伝達歯車118dも一回転するギア比に設定されている。なお、本実施形態においては、電動モータ116として、従来公知のDCモータが用いられており、一方向にのみ回転可能とされている。
そして、第四の伝達歯車118dには、前方に突出するカム部136が形成されており、かかるカム部136に、伝動ロッドとしての揺動ロッド120の当接部140が当接せしめられるようになっている。
揺動ロッド120は、所定の長さ寸法をもって延びる略ロッド状の部材とされており、一方の端部には、後方に突出するロッド状の当接部140が形成されている一方、他方の端部には、矩形枠体形状とされた枠状部142が一体的に形成されている。そして、揺動ロッド120の長手方向中間部分からやや当接部140寄りの部位には軸孔が貫設されており、かかる軸孔に対して、取付板部45に取り付けられた支持部材144の軸146が挿し通されることによって、揺動ロッド120は、軸146を中心に回動可能に取り付けられていると共に、枠状部142が、伝達軸62に外挿されて係合せしめられている。
なお、図示は省略するが、落下部材48の内部には電子部品としての複数のLEDが設けられており、落下部材48の裏面に接続された図示しない平形ケーブルによって電力が供給されるようになっている。そして、かかる平形ケーブルは、伝達軸62の上側から軸案内溝86に挿通配置されて、取付板部45の裏面に延び出されて、遊技板31の裏面に設けられた電源装置に電気的に接続されている。
このような構造とされた揺動ロッド120は、第四の伝達歯車118dのカム部136に当接部140が当接せしめられるようになっている。ここにおいて、カム部136は略半円形状とされており、第四の伝達歯車118dが回転(本実施形態においては、図9中、反時計回り)せしめられることによって、カム部136と当接部140の当接状態と非当接状態が交互に発現せしめられるようになっている。
なお、カム部136の回転方向において当接部140に当接せしめられる非円周部分には、カム部136の非形成部に向けて僅かに凸となる湾曲面138が形成されており、カム部136が当接部140に当接せしめられた際には、当接部140に対して下方向の分力を及ぼすことによって当接部140をカム部136の外周部分へ滑らかに案内するようにされている。そして、当接部140がカム部136の外周部分へ案内されつつ下方に案内されることによって、枠状部142が上方に変位せしめられると共に、第四の伝達歯車118dが停止せしめられて、カム部136の外周部分による当接部140の係止状態が維持されることによって、枠状部142が上方の移動端位置に維持されるようになっている。
なお、図5に示すように、第一の伝達歯車118aに係合せしめられるスライド部材126は、静止状態において下方の移動端に位置せしめられており、揺動板96の支持軸92が円弧状溝94の外側端部に位置せしめられるようになっている。これにより、揺動部材50は、静止状態において移動方向の右端部(図3の位置)に位置せしめられるようになっており、かかる位置が揺動部材50の静止位置とされている。一方、第四の伝達歯車118dに当接せしめられる揺動ロッド120は、静止状態において当接部140がカム部136に当接せしめられており、枠状部142が上方の移動端に位置せしめられるようになっている。これにより、落下部材48は、揺動ロッド120に支持されて、静止状態において移動方向の上端部(図3の位置)に位置せしめられるようになっており、かかる位置が落下部材48の静止位置とされている。
そして、本実施形態においては、図10にモデル的に示すように、落下部材48が静止位置において軸案内溝86および上下脚案内溝66,68の上側部分に重ね合わされて位置せしめられると共に、揺動部材50が静止位置において落下部材48の下方に隣接して、正面視において落下部材48から下方に延び出した軸案内溝86および下脚案内溝68a,68bに重ね合わされて位置せしめられている。これにより、落下部材48の案内路を構成する軸案内溝86および上下脚案内溝66,68の略全体が、落下部材48および揺動部材50によって、遊技者から視認困難に隠されている。
さらに、特に本実施形態においては、揺動部材50は、静止位置において円弧状溝94と重なり合う部位の正面視の大きさが、円弧状溝94よりも大きくされている。これにより、静止位置に位置せしめられた揺動部材50が重ね合わされることによって、円弧状溝94の略全体が遊技者から視認困難に隠されている。
そして、かかる静止位置から、電動モータ116への給電が行なわれて第一の伝達歯車118aが回転せしめられると、第一の伝達歯車118aにおいて前方に突出形成された図示しない係合突部とスリット124、および案内部材122との案内作用によって、スライド部材126が上方へ変位せしめられる。それと共に、スライド部材126に設けられた駆動軸128と軸挿通孔132の案内作用によって、揺動板96が揺動軸98を中心に回動せしめられて、支持軸92が円弧状溝94に沿って表示画面34側へ駆動せしめられる。これにより、揺動部材50が、図11に示す移動端位置に位置せしめられて、揺動部材50が重ね合わされていた軸案内溝86および下脚案内溝68a,68bの下側部分が遊技者から視認可能に現出せしめられる。なお、かかる移動端位置において、揺動部材50は、その一部が表示画面34に重なる程度に、表示画面34側へ変位せしめられていることから、大きな可動範囲を得ることが可能とされている。また、取付板部45の前面における円弧状溝94の上方には人形90の足148が固定されており、揺動部材50が静止位置にある状態では揺動部材50が重ねられて視認困難とされる一方、揺動部材50が移動端位置に変位せしめられることによって視認可能に現出せしめられるようになっている。
一方、第四の伝達歯車118dは、揺動部材50が表示画面34側へ変位せしめられて落下部材48の鉛直下方から外れた時点でカム部136と当接部140の当接状態が解除されるようになっている。そして、カム部136と当接部140の当接状態が解除されて、枠状部142の下方への変位が許容されることによって、落下部材48は、上下側脚部54、56が上下脚案内溝66、68に案内されて、軸案内溝86に沿って鉛直下方へ自重によって落下するようにされている。
このようにして、自重によって落下せしめられた落下部材48は、上側脚部54a,54bや下側脚部56a,56bが上下脚案内溝66、68の下端縁部に係止される前に、下方に配設された緩衝部材104に当接せしめられるようになっている。そして、緩衝部材104が下方へ変位せしめられて、コイルスプリング114が圧縮せしめられる。これにより、コイルスプリング114の付勢力によって、落下部材48の下方への落下が緩衝的に制限されて、落下部材48および緩衝部材104は、図11に示す移動端位置に移動せしめられるようになっている。更に、本実施形態においては、自重により落下する落下部材48によって緩衝部材104を動かすことが出来て、緩衝部材104を可動部材として簡易な構成をもって実現することが可能とされている。
なお、前述のように、軸案内溝86の下側部分には、静止位置に位置せしめられた揺動部材50が重ねられている。そして、揺動部材50が変位位置に変位せしめられることによって軸案内溝86の全体が現出せしめられるようになっており、落下部材48は、揺動部材50が変位することによって形成された領域内に変位せしめられるようになっている。これにより、落下部材48の駆動領域を有利に確保して、優れたスペース効率をもって落下部材48および揺動部材50を配設することが可能とされている。
そして、落下部材48および揺動部材50が移動端位置に変位せしめられた後に、電動モータ116が更に回転せしめられると、カム部136と当接部140が再び当接せしめられて、当接部140が下方へ案内されることによって枠状部142が上方へ変位せしめられる。これにより、落下部材48が上方へ変位せしめられて、静止位置に復帰せしめられる。
これと共に、第一の伝達歯車118aが更に回転せしめられると、スライド部材126は上方の移動端に位置せしめられた後に、下方へ変位せしめられる。これにより、揺動板96が円弧状溝94に沿って取付板部45の外側へ回動せしめられて、揺動部材50が静止位置に復帰せしめられる。
ここにおいて、本実施形態においては、静止位置に位置せしめられた落下部材48および揺動部材50によって、落下部材48を案内する軸案内溝86および上下脚用溝66,68の略全体が遊技者から視認困難とされている。これにより、落下部材48を取付板部45に固定的に設けられた部材のように見せて、落下部材48が移動せしめられる可動部材であること、およびその移動方向を遊技者に予測させ難くすることが出来る。これにより、一見して可動部材とは判別し難い落下部材48が駆動せしめられた際に遊技者に与える驚きをより大きくして、更なる演出効果の向上を図ることが出来る。
そして、特に本実施形態においては、落下部材48から延び出す長さ寸法を有する軸案内溝86、上下脚用溝66、68を遊技者から視認困難にすることが可能とされている。これにより、外観を損なうおそれを可及的に低減しつつ、大きな移動範囲を得ることが出来るのである。また、遊技機に設けられる可動部材は、多くの場合には静止位置に位置せしめられて、特定の遊技状態が生じた場合に移動せしめられるものが多い。そして、本実施形態によれば、落下部材48が静止位置に位置せしめられた状態下で、軸案内溝86、上下脚用溝66,68を隠蔽出来ることから、かかる外観の向上効果をより有効に得ることが出来るのである。
さらに、特に本実施形態においては、揺動部材50を案内する円弧状溝94についても、静止位置に位置せしめられた揺動部材50によって、その略全体が隠蔽されるようになっている。これにより、揺動部材50が移動せしめられる可動部材であること、およびその移動方向を遊技者に予測困難にして、揺動部材50が駆動せしめられた際に遊技者に与える驚きをより大きくすることが出来るのである。
更にまた、本実施形態においては、静止位置に位置せしめられた落下部材48および揺動部材50が、取付板部45に設けられた装飾部材52から連続する形状をもって形成されている。これにより、恰も取付板部45に固定された単一の装飾部材のように見える落下部材48と揺動部材50を互いに分離して、それぞれ異なる方向に移動せしめることによって、遊技者に与える驚きをより大きくすることが出来る。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、落下部材48や揺動部材50を案内する案内路の具体的な形状は何等限定されることはなく、落下部材48を円弧状に移動せしめる等しても良いし、揺動部材50を直線的に移動せしめる等しても良い。また、前述の実施形態においては、第一の案内路が軸案内溝86、上下脚用溝66,68の複数の溝によって構成されていたが、例えば、第一の案内路を一本の溝で構成するなどしても良いし、溝のみならず、案内レールなどを設けて構成するなどしても良い。
また、前述の実施形態においては、落下部材48および揺動部材50が駆動機構115によって直接的に連動せしめられていたが、例えば、落下部材48を駆動せしめる駆動源と揺動部材50を駆動せしめる駆動源をそれぞれ設けると共に、それらの各駆動源をソフトウェアによって電気的に制御する等して、間接的に連動せしめる等しても良い。更に、落下部材48の移動は、必ずしも自由落下に限定されるものではないのであって、例えば、駆動源の駆動力によって下方へ移動せしめる等しても良い。
更にまた、第二の可動部材は、必ずしも一つに限定されることはなく、複数設けるなどしても良い。例えば、前述の実施形態において、軸案内溝86および上下脚用溝66,68を更に上方に延び出すとともに、揺動ロッド120の長さ寸法やカム部136の案内作動を調節するなどして、落下部材48の静止位置を軸案内溝86の中間部分に設定する。そして、前述の揺動部材50に加えて、更に落下部材48の上方に可動部材を配設することによって、静止位置において落下部材48の上方へ延び出す軸案内溝86および上下脚用溝66,68を隠蔽するなどしても良い。
また、前述の実施形態においては、電動モータ116は一方向のみに回転可能とされていたが、例えば、両方向に正逆回転可能な電動モータを用いて、落下部材48を落下させない程度、即ち、カム部136と当接部140との当接状態が解除されない程度で小刻みに正逆回転せしめることによって、揺動部材50を小さく揺動せしめる等しても良い。
また、第一の可動部材および第二の可動部材は、遊技機の表面パネル上に配設されていれば良いのであって、前述の如きパチンコ機のセンター飾り上に限定されない。例えば、パチンコ機であれば、前述の実施形態における遊技領域30上に設けても良いし、更には、遊技板31上のみならず、遊技板31を覆うガラス枠18の枠体部分に設けるなどしても良い。
さらに、本発明は、パチンコ機のみならず、スロットマシン等の遊技機にも広く適用することが可能である。そして、可動部材の配設位置も特に限定されるものではなく、例えばスロットマシンに本発明を適用する場合には、可動部材を配設することが困難なドラムユニット等が配設された部位以外で、遊技者から視認可能な部材の表面パネル上であれば、何等限定されるものではない。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
なお、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
可動部材は支持されつつ移動せしめられることが多く、移動案内のために案内路が設けられることが多い。案内路は、例えばレールや溝、孔などとして形成されるが、予め可動部材の移動方向に沿って配設されている必要がある。そして、大きな移動距離を確保するためには、案内路は可動部材の大きさに比して十分に大きく形成する必要がある。また、可動部材の移動時の姿勢や動きの安定化を図るためには、可動部材を移動方向の両端部分等の複数箇所で支持して案内した方が好ましい。すると、案内路は、可動部材の両端部から移動方向に向けて延び出して形成される必要がある。
ところが、可動部材から延び出した案内路が遊技者に視認されてしまうと、遊技者に対して、それが移動せしめられる部材であることが予測されると共に、案内路の延び出し方向からその移動方向までもが容易に予測されてしまう。それ故、可動部材を移動せしめたとしても遊技者の予測通りの動きを行なうに過ぎず、遊技者に与える演出上の効果に乏しいという問題があった。
さらに、遊技機に設けられる可動部材は、一般的に、特別な遊技状態が生じた場合にのみ移動せしめられるものが多く、通常の遊技状態下では静止状態に維持されることが多い。そして、静止せしめられた可動部材から常に案内路が露出していることは、外観を損なうという問題もあった。
ここにおいて、以下に記載の技術的思想は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、外観を損なうことなく可動部材の移動領域を大きく確保すると共に、遊技の興趣の更なる向上を図り得る、新規な構造の遊技機を提供することにある。
(1)遊技機の表面パネル上に第一の可動部材及び第一の可動部材と連動して異なる方向に移動せしめられる第二の可動部材を設けると共に、第二の可動部材の静止位置を、表面パネル上に設けられて第一の可動部材を案内する第一の案内路に重なる領域に設定することによって、第一の可動部材および第二の可動部材によって、第一の案内路の略全体を遊技者から視認困難に隠すようにしたことを、特徴とする。
このようにすれば、外観を損なうことなく、大きな移動領域を確保することが出来る。また、第一の案内路を隠すことによって、遊技者に対して一見して第一の可動部材が移動せしめられる部材であることを判別困難にすると共に、その移動方向を予測困難にすることが出来て、第一の可動部材が移動せしめられた際に遊技者に与える驚きをより大きくすることが出来る。更に、技術的思想(1)においては、第一の案内路を隠す第二の可動部材を、第一の可動部材とは異なる方向に移動せしめることによって、可動部材の移動態様に幅を持たせて、より優れた演出効果を発揮することが出来る。
なお、技術的思想(1)における可動部材の配設位置は、遊技機の表面パネル上であれば何等限定されることは無い。ここにおいて、表面パネルとは、例えば、パチンコ機であれば、遊技盤に形成されて遊技球が転動せしめられる遊技領域や、遊技領域の中央に設けられた液晶表示画面の周りに設けられた装飾枠体の他、遊技盤上のみならず、遊技領域を覆うガラス枠等の周囲枠体の表面なども含む。また、例えば、スロットマシンであれば、ドラムユニットなど可動部材が配設困難な部位以外で遊技者から視認可能な部材の表面であれば良い。このように、技術的思想(1)における表面パネルとは、遊技者から視認可能な部材の表面を構成するパネルであれば、何等限定されない。
また、技術的思想(1)における第一の案内路とは、可動部材の移動方向に延びて可動部材を案内するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、孔、溝やガイドレールなど、各種の構造が採用可能である。
また、技術的思想(1)に係るパチンコ機においては、表面パネル上に前記第一の案内路とは異なる方向に延びて第二の可動部材を案内する第二の案内路を形成すると共に、第二の可動部材の正面寸法を第二の案内路の正面寸法より大きくすることによって、第二の可動部材が静止位置に位置せしめられた状態下で第二の案内路の略全体を第二の可動部材で隠すようにする態様が、好適に採用され得る。
このようにすれば、第一および第二の可動部材の静止状態において、第一の可動部材を案内する第一の案内路のみならず、第二の可動部材を案内する第二の案内路も隠すことが出来て、外観上の効果をより高めることが出来る。それと共に、第二の可動部材についても前述の第一の可動部材と同様の効果を得ることが出来る。即ち、第二の案内路を隠すことによって、第二の可動部材が移動せしめられる部材であること、およびその移動方向を遊技者に予測させ難くして、第二の可動部材を移動せしめた際に遊技者に与える驚きをより大きくすることが出来る。
なお、技術的思想(1)において、第二の可動部材の正面寸法が第二の案内路の正面寸法よりも大きいとは、静止状態において少なくとも第二の案内路と重なり合う部位が第二の案内路の略全体に重なる大きさとされれば良いのであって、例えば、第二の可動部材の一部を延び出させて第二の案内路の略全体に重なるような大きさに形成する等しても良い。
(2)前記第二の可動部材の裏面から前記表面パネルに向けて突出する回動軸を設けて該回動軸で該第二の可動部材を支持すると共に、該回動軸を回動せしめることによって該第二の可動部材を回動せしめるようにした技術的思想(1)に記載の遊技機。
このようにすれば、第二の可動部材を案内するための長手状の案内路を設けることが不要とされる。これにより、第二の可動部材を駆動せしめる駆動機構を巧く隠蔽することが出来る。例えば、前記実施形態において、揺動部材50を案内する円弧状溝94を設けることなく、支持軸92を取付板部45の前方に突出せしめて、支持軸92で揺動部材50を支持せしめることによって、支持軸92を回動軸として用いることが出来る。
(3)前記第一の可動部材及び前記第二の可動部材が、前記静止位置に位置せしめられた状態下で互いに連続する形状とされている技術的思想(1)又は(2)に記載の遊技機。
このようにすれば、第一の可動部材および第二の可動部材を、恰も一体的且つ表面パネルに固定的に設けられた装飾部材のように見せることが出来る。そして、そのような一体の固定部材に見える部材が複数に分割されて互いに異なる方向に移動せしめられることによって、遊技者により大きな驚きを与えることが出来る。例えば、前記実施形態においては、落下部材48および揺動部材50の湾曲部88が、取付板部45に設けられた装飾部材52から連続して略円弧形状を形成する形状とされている。