以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。なお、以下の説明において、上下方向および左右方向とは、原則として、遊技者から見た上下方向および左右方向をいうものとし、表面、裏面および前面、後面についても、原則として、遊技者側を表面および前面というものとする。
図1には、本発明の第一の実施形態である遊技機としてのパチンコ機10が示されている。このパチンコ機10は、縦長な方形状に枠組み形成された外枠12を備えている。外枠12には、その一側において開閉自在に軸支された状態で、パチンコ機の主要構成部の略全てが集約して設けられる中枠14が組み付けられている。また、中枠14の表側には、中枠14に対して裏側から取り付けられた遊技盤16を透視保護するためのガラス板を備えたガラス枠18と、上皿20を備えた皿板22がそれぞれ中枠14の一側に開閉自在に軸支された状態で組み付けられている。更にまた、上皿20の下方には、下皿24が設けられており、かかる下皿24の右方には、発射ハンドル26が突設されている。そして、遊技者が発射ハンドル26に対して回動可能に装着された発射レバー28を回動操作することにより、上皿20に貯留された遊技球が球送り機構(図示せず)を介して発射装置(図示せず)に送られた後、遊技盤16に形成された遊技領域30に向けて発射されるようになっている。
遊技盤16は、図2に示すように、表面に合成樹脂製のシートが被着された表面パネルとしての遊技板31を備えており、かかる遊技板31の表面側に固定されたガイドレール32によって囲まれた略円形の遊技領域30には、その略中央部分において、遊技板31の裏面から組付けられた図柄表示装置としての液晶表示器の表示画面34が遊技者に視認可能に配設されている。そして、かかる表示画面34の下方において、始動入賞装置36や特別可変入賞装置38等の各種構造物が固定的に設けられている。なお、特に本実施形態においては、図柄表示装置として液晶表示器を用いているが、その他CRTやLEDを用いた表示器や、ドラムユニットなどを用いることも可能である。
このような遊技領域30に向けて発射された遊技球は、遊技領域30を流下せしめられることとなる。そして、遊技球が始動入賞装置36に入賞すると、表示画面34において複数の変動図柄(図示せず)の変動表示が開始され、それら複数の変動図柄の変動表示が所定時間行われる。その後、複数の変動図柄が特定の停止表示態様で停止表示された場合には、所謂大当たり遊技状態が発生し、通常の遊技状態では特別可変入賞装置38の入口を塞いでいる扉40が予め定められた作動条件に従って開閉作動せしめられるようになっている。これにより、特別可変入賞装置38の入口が開放されて、特別可変入賞装置38への遊技球の入賞が可能となり、その結果、遊技者は通常の遊技状態では得ることができない利益(賞球)を得ることが可能となる。
また、表示画面34の周囲には、表示画面34を修飾するためのセンター飾り42が配設されている。センター飾り42は、貫通孔44を有する取付板部45に、後述する第一の可動部材としての落下部材48、揺動部材50、および図示しないLEDなどが設けられて構成されている。貫通孔44は、表示画面34に対応する大きさおよび形状をもって取付板部45に貫設されており、貫通孔44を通じて、遊技盤16の裏側に配設された液晶表示器の表示画面34が遊技者から視認可能とされている。そして、遊技板31に対して前述のガイドレール32、始動入賞装置36等が取り付けられると共に、遊技釘(図示せず)が打ち込まれることによって、遊技領域30が構成されている。
また、センター飾り42における上方の部位には、左右方向に延びて前方に突出する庇46が形成されており、遊技球が表示画面34の前面を流下せしめられることの無いようにされている。
そして、図3にも示すように、センター飾り42における貫通孔44の右側には、第一の可動部材としての落下部材48が上下方向に移動可能に配設されていると共に、落下部材48の下方には、揺動部材50が左右方向に揺動可能に配設されている。これら落下部材48および揺動部材50は、駆動変位せしめられる前の静止位置(図3の位置)において、取付板部45に設けられた装飾部材52から連続する略半円弧形状を形成しており、装飾部材52、落下部材48、揺動部材50を含んで、恰も一体の部材のような外観を呈している。
図4に、落下部材48の裏面を示す。落下部材48の裏面における略上端部には、上側脚部54a,54bが設けられている一方、略下端部には、下側脚部56a,56bが設けられている。これらの上下側脚部54a,54b,56a,56bは何れも略同様の構造とされており、対向して後方に突出する板形状とされている。なお、取付板部45への取付状態で右側に位置せしめられる上側脚部54aと、左側に位置せしめられる下側脚部56bは、鉛直方向で略一直線上に配設されている。また、下側脚部56a,56bの対向面間距離は、上側脚部54a,54bの対向面間距離に比してやや小さくされている。そして、これら上側脚部54a,54bおよび下側脚部56a,56bには、水平方向に延びて対向面間に亘るピン58,60が設けられている。なお、ピン58、60の軸方向寸法は、上側脚部54a,54b、下側脚部56a,56bの対向面間距離よりもやや大きくされており、上下脚部54a,54b、56a,56bへの取り付け状態において、その両端部が上側脚部54a,54b、下側脚部56a,56bの外側にやや突出せしめられている。
さらに、落下部材48の裏面には、後方に突出する伝達軸62が一体的に形成されている。伝達軸62は、水平方向で上側脚部54a,54bの略中間となる位置で、且つ、鉛直方向で上側脚部54a,54bと下側脚部56a,56bの略中間となる位置に配設されている。また、伝達軸62の軸方向寸法は、上下側脚部54、56の後方への突出寸法よりも大きくされている。
このような構造とされた落下部材48は、図5に示すように、上側脚部54a,54bおよび下側脚部56a,56bが、取付板部45に鉛直方向に延びて形成された上脚案内溝66a,66bおよび下脚案内溝68a,68bによって、鉛直方向に移動可能に取り付けられている。具体的には、図6および図7にモデル的に示すように、取付板部45における貫通孔44の右側には、鉛直方向に延びる一対の取付板上溝70a,70bが貫設されていると共に、これら取付板上溝70a,70bの下方には、鉛直方向に延びる一対の取付板下溝72a,72bが貫設されている。そして、取付板上溝70a,70bおよび取付板下溝72a,72bに対応する大きさおよび形状を有するカバー上溝74a,74bおよびカバー下溝76a,76bが貫設されたカバー部材78が取付板部45の裏面に取り付けられている。これにより、取付板上溝70a,70bとカバー上溝74a,74bが重ね合わされて上脚案内溝66a,66bが形成されると共に、取付板下溝72a,72bとカバー下溝76a,76bが重ね合わされることによって下脚案内溝68a,68bが形成されている。
そして、上側脚部54a,54bおよび下側脚部56a,56bが取付板部45の前面から取付板上溝70a,70b、取付板下溝72a,72bに挿し通されて、取付板部45の背面に突出せしめられる。そして、上側脚部54a,54bおよび下側脚部56a,56bの突出先端部に対して、それぞれピン58,60が配設される。更に、取付板部45の裏面にカバー部材78が重ね合わされることによって、上側脚部54a,54bの突出端部がカバー上溝74a,74bに突出しない程度に挿し入れられると共に、下側脚部56a,56bの突出端部がカバー下溝76a,76bに突出しない程度に挿し入れられる。これにより、取付板部45とカバー部材78との間に形成された空隙にピン58、60が配設された状態で、落下部材48は、取付板部45に対して抜け出し不能且つ上下脚案内溝66,68に沿って鉛直方向に移動可能に取り付けられている。
これにより、本実施形態における落下部材48は、上側脚部54a,54bおよび下側脚部56a,56bがそれぞれ上脚案内溝66a,66bおよび下脚案内溝68a,68bの上端部に位置せしめられた位置(図3、図5参照)が上側端位置とされている。また、カバー部材78におけるカバー上下溝74a,74b,76a,76bの下端部の外側には、カバー部材78の周壁から内方に突出して水平方向に広がる係止壁79a,79b,83a,83bが形成されており、かかる係止壁79a,79b,83a,83bにピン58,60の両端部が係止されるようになっている。そして、ピン58,60が係止壁79、83で係止された位置が、落下部材48の下側端位置とされている。
さらに、取付板部45における取付板上溝70aと70bの間には、鉛直方向に延びる取付板案内溝82が貫設されていると共に、カバー部材78において取付板案内溝82と対応する位置には、取付板案内溝82に対応する大きさおよび形状を有するカバー案内溝84が貫設されており、これら取付板案内溝82およびカバー案内溝84が重ね合わされることによって、鉛直方向に延びる軸案内溝86が形成されている。軸案内溝86は、伝達軸62の径寸法よりもやや大きな左右方向幅寸法を有すると共に、上脚案内溝66a,66bの高さ方向略中間部分から、下脚案内溝68a,68bの高さ方向略中間部分に至る程度の上下方向長さ寸法をもって形成されている。そして、落下部材48の取付板部45への組み付け状態において、伝達軸62が軸案内溝86を通じてカバー部材78の後方に突出せしめられている。
このように、本実施形態においては、上下脚案内溝66、68、および軸案内溝86を含んで案内路が構成されており、これらの案内溝66、68、86は何れも、互いに平行な状態で鉛直方向に延びるように形成されている。
一方、揺動部材50は、落下部材48と連続して略円弧形状を形成する湾曲部88の表示画面34側に人形90が一体的に設けられた構造とされている。図5に示すように、揺動部材50の裏面には、後方に突出する支持軸92が一体的に形成されており、取付板部45に貫設された円弧状溝94に挿通せしめられている。
円弧状溝94は、上方に向けて緩やかに凸となる略円弧形状をもって、取付板部45に貫設されている。ここにおいて、円弧状溝94は、一方の端部が軸案内溝86の略鉛直下方に位置せしめられる一方、他方の端部が軸案内溝86よりも表示画面34側に位置せしめられており、軸案内溝86の鉛直下方から表示画面34に向けて円弧状に伸び出すような形状とされている。これにより、軸案内溝86の延び出し方向と円弧状溝94の延び出し方向が互いに異ならされている。
そして、取付板部45の裏面には、略三角板形状とされた揺動板96が取り付けられている。揺動板96は、頂点にあたる部位の一つが円弧状溝94に重ね合わされるようにして、かかる頂点の下方に位置せしめられた頂点に形成された揺動軸98によって、取付板部45に揺動可能に取り付けられている。これにより、円弧状溝94に重ね合わされた頂点の部位が円弧状溝94に沿って揺動可能とされると共に、かかる部位に支持軸92が固定的に取り付けられることによって、揺動部材50が、円弧状溝94に沿って揺動可能とされている。
なお、詳細な図示は省略するが、揺動部材50には、内部に複数のLEDが設けられている。そして、これらのLEDに電力を供給する給電ケーブルが、取付板部45に貫設された挿通孔100を通じて取付板部45の裏側に引き出されている。そして、揺動板96には、揺動に際して挿通孔100を塞ぐことの無いように、切欠102が形成されている。
さらに、図3に示すように、取付板部45の前面には、揺動部材50の下側部分の右側に、装飾部材としての人形104が取り付けられている。そして、人形104の上方には、人形104の手を模した形状を有する第二の可動部材としての当接部材106が配設されている。
図8にモデル的に示すように、当接部材106の裏面には、後方に突出する一対の上挿通板部108aおよび下挿通板部108bが上下に並んで一体的に形成されている。一方、取付板部45における下脚案内溝68aの下方には、鉛直方向に所定寸法をもって延びる案内孔110が貫設されている。そして、案内孔110の裏面には、案内孔110の鉛直方向寸法よりもやや大きな軸方向寸法を有する案内軸112が、案内孔110の延び出し方向と同じ軸方向をもって取り付けられている。なお、案内軸112は、案内孔110のやや下方において後方に突出形成された支持板部114に載置された状態で、その上端部および下端部が、取付板部45と取付板部45の背面に取り付けられた固定部材116の間で挟まれることによって、取付板部45の裏面に取り付けられている。
そして、当接部材106の上挿通板部108aおよび下挿通板部108bが、取付板部45の前方から案内孔110に挿し入れられると共に、これら上下挿通板部108a,108bのそれぞれに貫設された上軸孔118aおよび下軸孔118bが案内軸112に外挿されることによって、当接部材106が、取付板部45に対して、案内孔110に沿って鉛直上下方向に移動可能に取り付けられている。
さらに、案内軸112における下挿通板部108bと案内孔110の下端縁部との間には、付勢手段としてのコイルスプリング120が圧縮状態で外挿されている。これにより、当接部材106には、常時上方へ向かう付勢力が及ぼされており、上挿通板部108aが案内孔110の上端縁部で係止されて、当接部材106の上端部123が下脚案内溝68aの下方で略隣接せしめられた位置が、当接部材106の初期位置とされている。
そして、取付板部45の背面には、駆動源としての電動モータ126の駆動力を落下部材48および揺動部材50に伝達する駆動力伝達機構としての伝達機構124が設けられている。図9に、伝達機構124を備えた状態の取付板部45を示す。伝達機構124は、駆動源としての電動モータ126と、第一乃至第四の伝達歯車128a乃至128d、および揺動ロッド130を含んで構成されている。
より詳細には、取付板部45の裏面には、揺動板96に重ね合わされるようにして、案内部材132が取り付けられている。そして、案内部材132には、後方に開口して左右方向に延びるスリット134を有する略矩形ブロック形状のスライド部材136が案内部材132によってその両端が案内されて上下動可能に取り付けられている。そして、スライド部材136におけるスリット134が形成された面と反対側の面(前面)には、前方に突出する駆動軸138が形成されている(図5参照)。更に、図面からは必ずしも明かではないが、案内部材132には鉛直方向に延びる貫通孔140が貫設されており、かかる貫通孔140に駆動軸138が挿通されている。そして、駆動軸138における案内部材132からの突出部分が、揺動板96において揺動軸98及び支持軸92が形成されていない残りの頂点部分に所定の長さ寸法をもって貫設された軸挿通孔142に挿通されている。
さらに、案内部材132の裏側には、第一の伝達歯車128aが回転可能に配設されている。第一の伝達歯車128aは、電動モータ126の出力軸に直接に取り付けられている。なお、図示は省略するが、取付板部45の背面には、伝達機構124の略全体を覆うカバー部材が取り付けられるようになっており、電動モータ126は、カバー部材の外側に取り付けられて、その出力軸がカバー部材に貫設された貫通孔を通じてカバー部材の内部に突出せしめられるようになっている。そして、カバー部材の内部に突出せしめられた電動モータ126の出力軸に第一の伝達歯車128aが取り付けられるようになっており、第一の伝達歯車128aは、カバー部材によって支持されるようになっている。また、図面からは明かではないが、第一の伝達歯車128aには、前方に突出する棒状の係合突部が形成されており、かかる係合突部が、スライド部材136のスリット134に挿し入れられている。
そして、第一の伝達歯車128aから上方に向けて、第二乃至第四の伝達歯車128b〜128dが順に回転可能に配設されて直列的に噛合せしめられており、電動モータ126の駆動力が第四の伝達歯車128dにまで伝達されるようになっている。ここにおいて、これらの伝達歯車128a乃至128dは、第一の伝達歯車128aが一回転することによって、第四の伝達歯車128dも一回転するギア比に設定されている。なお、本実施形態においては、電動モータ126として、従来公知のDCモータが用いられており、一方向にのみ回転可能とされている。
そして、第四の伝達歯車128dには、前方に突出するカム部144が形成されており、かかるカム部144に、伝動ロッドとしての揺動ロッド130の案内突部146が当接せしめられるようになっている。
揺動ロッド130は、所定の長さ寸法をもって延びる略ロッド状の部材とされており、一方の端部には、後方に突出するロッド状の案内突部146が形成されている一方、他方の端部には、矩形枠体形状とされた枠状部148が一体的に形成されている。そして、揺動ロッド130の長手方向中間部分からやや案内突部146寄りの部位には軸孔が貫設されており、かかる軸孔に対して、取付板部45に取り付けられた支持部材150の軸152が挿し通されることによって、揺動ロッド130は、軸152を中心に回動可能に取り付けられていると共に、枠状部148が、伝達軸62に外挿されて係合せしめられている。
なお、図示は省略するが、落下部材48の内部には電子部品としての複数のLEDが設けられており、落下部材48の裏面に接続された図示しない平形ケーブルによって電力が供給されるようになっている。そして、かかる平形ケーブルは、伝達軸62の上側から軸案内溝86に挿通配置されて、取付板部45の裏面に延び出されると共に、遊技板31の裏面に設けられた電源装置に電気的に接続されている。
このような構造とされた揺動ロッド130は、第四の伝達歯車128dのカム部144に案内突部146が当接せしめられるようになっている。ここにおいて、カム部144は略半円形状とされており、第四の伝達歯車128dが回転(本実施形態においては、図9中、反時計回り)せしめられることによって、カム部144と案内突部146の当接状態と非当接状態が交互に発現せしめられるようになっている。
なお、カム部144の回転方向において案内突部146に当接せしめられる非円周部分には、カム部144の非形成部に向けて僅かに凸となる湾曲面154が形成されており、カム部144が案内突部146に当接せしめられた際には、案内突部146に対して下方向の分力を及ぼすことによって案内突部146をカム部144の外周部分へ滑らかに案内するようにされている。そして、案内突部146がカム部144の外周部分へ案内されつつ下方に案内されることによって、枠状部148が上方に変位せしめられると共に、第四の伝達歯車128dが停止せしめられて、カム部144の外周部分による案内突部146の係止状態が維持されることによって、枠状部148が上方の移動端位置に維持されるようになっている。
なお、図5に示すように、第一の伝達歯車128aに係合せしめられるスライド部材136は、静止状態において下方の移動端に位置せしめられており、揺動板96の支持軸92が円弧状溝94の外側端部に位置せしめられるようになっている。これにより、揺動部材50は、静止状態において移動方向の右端部(図3の位置)に位置せしめられるようになっており、かかる位置が揺動部材50の静止位置とされている。一方、第四の伝達歯車128dに当接せしめられる揺動ロッド130は、静止状態において案内突部146がカム部144に当接せしめられており、枠状部148が上方の移動端に位置せしめられるようになっている。これにより、落下部材48は、揺動ロッド130に支持されて、上側端位置に静止状態で位置せしめられるようになっている。
ここにおいて、本実施形態においては、落下部材48が静止位置において軸案内溝86および上下脚案内溝66,68の上側部分に重ね合わされて位置せしめられると共に、揺動部材50が静止位置において落下部材48の下方に隣接して、正面視において落下部材48から下方に延び出した軸案内溝86および下脚案内溝68a,68bに重ね合わされて位置せしめられている。これにより、落下部材48の案内路を構成する軸案内溝86および上下脚案内溝66,68の略全体が、落下部材48および揺動部材50によって、遊技者から視認困難に隠されている。
さらに、特に本実施形態においては、揺動部材50は、静止位置において円弧状溝94と重なり合う部位の正面視の大きさが、円弧状溝94よりも大きくされている。これにより、静止位置に位置せしめられた揺動部材50が重ね合わされることによって、円弧状溝94の略全体が遊技者から視認困難に隠されている。
そして、特別な遊技状態が発生するなどして、静止位置から電動モータ126への給電が行なわれると、第一の伝達歯車128aが回転せしめられて、第一の伝達歯車128aにおいて前方に突出形成された図示しない係合突部とスリット134、および案内部材132との案内作用によって、スライド部材136が上方へ変位せしめられる。それと共に、スライド部材136に設けられた駆動軸138と軸挿通孔142の案内作用によって、揺動板96が揺動軸98を中心に回動せしめられて、支持軸92が円弧状溝94に沿って表示画面34側へ駆動せしめられる。これにより、揺動部材50が、図10に示す移動端位置に位置せしめられて、揺動部材50が重ね合わされていた軸案内溝86および下脚案内溝68a,68bの下側部分が遊技者から視認可能に現出せしめられる。なお、かかる移動端位置において、揺動部材50は、その一部が表示画面34に重なる程度に、表示画面34側へ変位せしめられていることから、大きな可動範囲を得ることが可能とされている。また、取付板部45の前面における円弧状溝94の上方には人形90の足156が固定されており、揺動部材50が静止位置にある状態では揺動部材50が重ねられて視認困難とされる一方、揺動部材50が移動端位置に変位せしめられることによって視認可能に現出せしめられるようになっている。
一方、第四の伝達歯車128dは、揺動部材50が表示画面34側へ変位せしめられて落下部材48の鉛直下方から外れた時点でカム部144と案内突部146の当接状態が解除されるようになっている。そして、カム部144と案内突部146の当接状態が解除されて、枠状部148の下方への変位が許容されることによって、落下部材48は、上下側脚部54、56が上下脚案内溝66、68に案内されて、落下部材48に及ぼされる重力の作用によって、軸案内溝86に沿って鉛直下方へ略自由落下せしめられるようにされている。
ここにおいて、当接部材106は、初期位置において、上端部123が下脚案内溝68aの下方で略隣接する位置に位置せしめられており、落下部材48のピン58、60が係止壁79,83によって係止される前に、上端部123が落下部材48の下端部158と当接せしめられるようになっている。これにより、軸案内溝86に沿って略自由落下せしめられた落下部材48は、下側端位置に到達する前に、当接部材106の上端部123に当接せしめられるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態においては、落下部材48の下端部158が当接部とされると共に、かかる当接部に当接せしめられる当接部材106の上端部123が当接受部とされている。
そして、落下部材48と当接せしめられた当接部材106は、落下部材48の落下による運動エネルギによって、コイルスプリング120の付勢力に抗して、落下部材48と共に鉛直下方に変位せしめられる。而して、当接部材106は、コイルスプリング120を圧縮変形せしめつつ下方へ変位せしめられて、落下部材48が下側端位置に位置せしめられた状態で停止せしめられる。これにより、落下部材48は、当接部材106を介して、コイルスプリング120の弾性によって、減速せしめられつつ緩衝的に停止せしめられるようになっている。なお、コイルスプリング120の付勢力や落下部材48の重量等を調節して、落下部材48をコイルスプリング120の付勢力のみで停止せしめることによって、落下部材48が当接部材106に当接せしめられた場合に、落下部材48および当接部材106を上下に揺らしながら次第に釣り合い位置に近づけて停止せしめること等も可能である。
ここにおいて、特に本実施形態においては、当接部材106の上下寸法は、案内孔110の上下方向寸法よりも大きくされていると共に、その左右方向寸法は、高さ方向の略全体に亘って案内孔110よりも大きくされている。これにより、案内孔110は、初期位置に位置せしめられた当接部材106が重ね合わされることによって、略全体が遊技者から視認困難に隠されている。更に、当接部材106の上端部123は、上挿通板部108aよりも上方に突出して形成されている。これにより、落下部材48が当接せしめられて当接部材106が下方へ変位せしめられた場合でも、案内孔110の上端部分に上端部123が重ね合わされるようになっている。これにより、当接部材106が初期位置から下端位置へ変位せしめられる全般に亘って、案内孔110を遊技者から視認困難にすることが出来て、外観を向上せしめることが出来る。
また、特に本実施形態においては、静止状態下で落下部材48の下方に隣接して位置せしめられた揺動部材50が変位位置に変位せしめられることによって、軸案内溝86の全体が現出せしめられるようになっており、落下部材48は、揺動部材50が変位せしめられることによって形成された領域内に変位せしめられるようになっている。これにより、落下部材48の駆動領域を有利に確保して、優れたスペース効率をもって落下部材48および揺動部材50を配設することが可能とされている。
そして、落下部材48および揺動部材50が移動端位置に変位せしめられた後に、電動モータ126が更に回転せしめられると、カム部144と案内突部146が再び当接せしめられて、案内突部146が下方へ案内されることによって枠状部148が上方へ変位せしめられる。これにより、落下部材48が上方へ変位せしめられて、静止位置に復帰せしめられると共に、当接部材106がコイルスプリング120の付勢力によって初期位置に復帰せしめられる。
これと共に、第一の伝達歯車128aが更に回転せしめられると、スライド部材136は上方の移動端に位置せしめられた後に、下方へ変位せしめられる。これにより、揺動板96が円弧状溝94に沿って取付板部45の外側へ回動せしめられて、揺動部材50が静止位置に復帰せしめられる。
ここにおいて、本実施形態においては、略自由落下せしめられる落下部材48を当接部材106に当接せしめることによって、落下部材48の運動エネルギを用いて当接部材106を変位せしめることが出来る。このように、本実施形態においては、落下部材48および当接部材106を単一の電動モータ126によって移動せしめることが可能とされており、簡易な駆動機構をもって、複数の可動部材を連動せしめることが可能とされているのである。更に、特に本実施形態においては、伝達機構124によって、揺動部材50も移動せしめることが可能とされており、これら3つの可動部材を、単一の電動モータ126によって連係して移動せしめることが可能とされているのである。
それと共に、本実施形態においては、落下部材48を下方へ変位せしめる場合には、落下部材48に及ぼされる重力を用いて落下せしめることから、落下部材48を上方へ持ち上げる場合にのみ電力が必要とされるようになっている。これにより、消費電力の軽減を図ることも出来る。そして、落下部材48は略自由落下せしめられることから、速度変化を与えることも出来ると共に、上下方向の移動方向の変化を与えることも可能とされている。
さらに、本実施形態においては、当接部材106がコイルスプリング120によって弾性支持されていることによって、落下部材48を緩衝的に停止せしめることが出来る。これにより、略自由落下によって速やかに移動せしめられる落下部材48を減速せしめつつ停止せしめることが出来て、部材の打ち当たりに起因する損傷や破損のおそれを軽減することも出来るのである。なお、打ち当たりの衝撃を更に低減するために、当接部位である下端部158や上端部123にゴム等の緩衝部材を設けるなどしても良い。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、図11に、第二の実施形態としての当接部材170を示す。なお、図11は、前述の第一の実施形態における図8に相当する断面モデル図である。また、以下の説明において、前述の実施形態と実質的に同じ部材および部位については、第一の実施形態と同一の符号を付することによって、詳細な説明を省略する。
本実施形態における当接部材170は、前述の第一の実施形態と同様に、取付板部45の裏面に配設された案内軸112に対して、上下挿通板部108a,108bに貫設された上下軸孔118a,118bが外挿されることによって、案内孔110に沿って鉛直上下方向に変位可能に配設されると共に、コイルスプリング120によって鉛直上方へ向かう付勢力が及ぼされて、上挿通板部108aが案内孔110で係止された初期位置に位置せしめられている。
そして、特に本実施形態における当接部材170の上端部には、落下部材48と当接せしめられる当接受部172の前方において、当接受部172よりも上方に突出する当接受側覆部としての上突出板部174が一体的に形成されている。
一方、落下部材48の下端部には、当接受部172と当接せしめられる当接部176の前方において当接部176よりも下方に突出する当接側覆部としての下突出板部178が一体的に形成されている。更に、当接受部172と下突出板部178の間には、上方に延びる切欠180が形成されている。かかる切欠180は、鉛直方向において上突出板部174と重なる位置において、上突出板部174の突出寸法よりも大きな高さ寸法をもって形成されており、落下部材48と当接部材170との当接状態において、上突出板部174が切欠180内に入り込むことによって、当接受部172と当接部176以外の部位が接触することの無いようにされている。
このように、本実施形態においては、落下部材48における当接部176が、前方に形成された下突出板部178によって遊技者から視認困難に隠蔽されると共に、当接部材170における当接受部172が、前方に形成された上突出板部174によって遊技者から視認困難に隠蔽されている。これにより、落下部材48と当接部材170の打ち当たりが繰り返されることに起因して、当接部176や当接受部172の当接部位が破損したり、塗装が剥がれたとしても、当接部位を遊技者から隠蔽することによって、外観を損なうことを回避することが出来る。
なお、本実施形態においては、落下部材48と当接部材170との当接状態において、下突出板部178が上突出板部174の前方に重ね合わされるようにされていたが、当接側覆部および当接受側覆部の具体的形状はあくまでも例示であって、様々な形状が適宜に採用可能である。例えば、落下部材48と当接部材170の当接部位の形状を本実施形態と逆に形成して、当接部材170側に切欠180を形成すると共に、落下部材48に形成した下突出板部178を当接部材170に形成した切欠180内に入り込ませること等も、勿論可能である。また、上突出板部174や下突出板部178を、落下部材48および当接部材170とは別体として形成して当接部材48および当接部材170に取り付けるなどしても良い。
また、第一の可動部材の移動方向は、必ずしも鉛直方向に限定されるものではなく、例えば、斜め方向などでもよい。また、直線状に限定されることもないのであって、湾曲状に移動せしめるなどしても良い。例えば、図12に、本発明の異なる態様をモデル的に示す。本態様における案内溝190は、上方に向けて凹状に略1/4周の長さをもって延びる円弧状部192と、円弧状部192の下端縁部から略水平方向に延び出す水平部194によって構成されている。そして、円弧状部192の上端部が上側端位置とされる一方、水平部194の円弧状部192と反対側の延び出し端部が下側端位置とされており、第一の可動部材としての落下部材196が、上側端位置から下側端位置に向けて落下せしめられるようになっている。更に、水平部194の延び出し端部の下方には、第二の可動部材としての当接部材198が設けられている。本態様における当接部材198は板形状とされており、軸200によって回転可能に支持されている。更に、当接部材198は、軸200から水平部194側に位置せしめられた部位である当接受部204が、コイルスプリング202によって、落下部材196の落下の際の進行方向(図12中、右方向)と反対方向に常時付勢されており、当接受部204の延び出し方向が水平部194の延び出し方向と略直交する向きが初期位置とされている。
そして、落下部材196が案内溝190の上端部から落下せしめられると、落下部材196は円弧状部192によって円弧状に移動せしめられた後に、慣性によって水平部194に沿って水平方向に移動せしめられる。そして、落下部材196が水平部194の延び出し端部に位置せしめられる前に当接部材198に当接せしめられることによって、落下部材196の運動エネルギによって当接部材198が軸200を中心に落下部材196の移動方向に(図12中、時計回りに)回転せしめられるようになっている。そして、落下部材196が案内溝190の上端部へ向けて復帰せしめられる際に、コイルスプリング202の付勢力によって当接受部204が押し戻されて、当接部材198が初期位置に復帰せしめられるようになっている。
なお、本態様から明らかなように、第二の可動部材の変位方向についても、その当接部位が第一の可動部材の運動方向と同じ方向の成分をもって移動せしめられれば良いのであって、必ずしも鉛直方向のみに限定されない。従って、本態様のように、当接部材198の全体が回転可能に配設されるものであっても、その当接受部204が落下部材196の運動方向と同じ方向の水平方向成分を含んで変位可能に設けられていれば良い。
また、第一の可動部材の変位方向も限定されない。例えば、水平部194の円弧状部192と反対側の端部を更に上方に延び出させることによって、落下部材196を落下の慣性を用いて一旦落下せしめた後に上方向に変位せしめる等しても良い。このような場合には、上方向に変位せしめられた端位置が下側端位置とされると共に、下側端位置に近接した位置に設けられる当接部材198は、当接受部204が下方に向けて付勢されることとなる。更にまた、上方に延び出させた端部を更に下方に延び出させることによって、落下部材196を一旦上方向に変位せしめた後に、再び下方に落下せしめる等しても良い。
なお、第一の可動部材は、必ずしも案内溝や案内レール等の案内機構によって案内される必要も無いのであって、例えば、ワイヤ等で吊り下げ状態に支持して、ワイヤを巻き取ることによって持ち上げるなどしても良い。
また、落下部材48の持ち上げの高さ位置を調節する高さ位置調節手段を設けるなどしても良い。かかる高さ位置調節手段は、例えば、電動モータ126への通電時間を制御したり、電動モータ126としてステッピングモータを用いると共に、落下部材48の持ち上げ時の回転数を複数の回転数の中から適宜に選択可能にすること等によって、容易に実現することが出来る。このようにすれば、落下部材48の高さ位置を異ならせて、落下せしめた際の速度を変化せしめることも出来る。
また、前述の実施形態においては、第一の可動部材および第二の可動部材として、落下部材48および当接部材106のそれぞれ1つずつが設けられていたが、第一の可動部材および第二の可動部材の個数は何等限定されない。例えば、第二の可動部材として複数の可動部材を第一の可動部材の進行方向に沿って直列的に配設すること等も可能である。このようにすれば、例えば、前述の第一の可動部材の高さ位置調節手段と組み合わせて、第一の可動部材の落下高さが小さい場合には1つの第二の可動部材にしか当接しないが、第一の可動部材の落下高さが大きい場合には、2つの第二の可動部材に当接せしめてそれら複数の第二の可動部材を同時に動かすことなども可能となる。
また、第一の可動部材および第二の可動部材は、遊技機の表面パネル上に配設されていれば良いのであって、前述の如きパチンコ機のセンター飾り上に限定されない。例えば、パチンコ機であれば、前述の実施形態における遊技領域30上に設けても良いし、更には、遊技板31上のみならず、遊技板31を覆うガラス枠18の枠体部分に設けるなどしても良い。
さらに、本発明は、パチンコ機のみならず、スロットマシン等の遊技機にも広く適用することが可能である。そして、可動部材の配設位置も特に限定されるものではなく、例えばスロットマシンに本発明を適用する場合には、可動部材を配設することが困難なドラムユニット等が配設された部位以外で、遊技者から視認可能な部材の表面パネル上であれば、何等限定されるものではない。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
なお、上記実施形態から把握できる本発明の技術的思想について以下に記載する。
(1)前記第一の可動部材の前記上側端位置に向かう持ち上げ高さを調節可能とする高さ位置調節手段を設けた請求項1乃至3の何れか一項に記載の遊技機。
このようにすれば、第一の可動部材の落下距離および落下速度を変化させることが出来る。このような高さ位置調節手段は、例えば、前述の実施形態において、第一の可動部材の持ち上げ時の電動モータ126への通電時間を異ならせたり、電動モータ126として従来公知のステッピングモータを用いて持ち上げ時の回転数を異ならせること等によって、容易に実現することが出来る。
10:パチンコ機、30:遊技領域、31:遊技板、42:センター飾り、45:取付板部、48:落下部材、50:揺動部材、52:装飾部材、66:上脚案内溝、68:下脚案内溝、86:軸案内溝、94:円弧状溝、106:当接部材、110:案内孔、112:案内軸、120:コイルスプリング、123:上端部、124:伝達機構、126:電動モータ、158:下端部