JP5013185B2 - モータ制御装置 - Google Patents
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モータには、たとえば、三相DCブラシレスモータが適用される。モータ制御装置は、ロータの電気角に基づいて、ステータの各相に正弦波状に変化する電圧を印加する正弦波駆動を行う。より具体的には、たとえば、モータ制御装置は、トルクセンサによって検出される操舵トルクに基づいて、dq座標における二相電流の指令値、すなわち、d軸電流指令値およびq軸電流指令値を設定する。さらに、モータ制御装置は、モータに実際に流れているd軸電流値およびq軸電流値を検出し、各指令値に対するd軸電流値およびq軸電流値の偏差を求め、それらの偏差に対応したd軸電圧指令値およびq軸電圧指令値を演算する。そして、モータ制御装置は、d軸電圧指令値およびq軸電圧指令値を三相(U相,V相,W相)の電圧値に変換し、これらの値の電圧をモータの各相に印加する。
√(Vd 2+Vq 2)≦Ed√3/2√2 …… (P1)
したがって、d軸電流指令値およびq軸電流指令値によっては、d軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqが前記式(P1)の条件を満たさず、正弦波駆動ができなくなる。そのため、モータに振動が生じ、この振動が舵取り機構を介してステアリングホイールに伝達され、操舵フィーリングの悪化を招く。
i qa_uplim はq軸電流上限値
i qa_downlim はq軸電流下限値
Rはモータの固定子巻線抵抗
φは界磁による固定子鎖交磁束から計算されるdq座標上の磁束
ωはモータの電気角における回転角速度
L d はd軸インダクタンス
L q はq軸インダクタンス
V lim は正弦波駆動が可能なdq座標での制限電圧
なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、d軸電圧およびq軸電圧が正弦波駆動のための条件を満たす範囲で最大のq軸電流指令値が予め求められ、このq軸電流指令値に応じてd軸電流指令値が設定される。これにより、モータの振動を確実に抑制または防止しつつ、モータの出力を最大限に増加させることができる。
ida *はd軸電流指令値
iqa *はq軸電流指令値
この構成によれば、正弦波駆動が可能な範囲でd軸電流指令値を設定することができるので、モータの振動を抑制しつつ、その出力を増加させることができる。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両のステアリングホイールに加えられる操舵トルクを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に操舵補助力を与える電動モータ3と、この電動モータ3を駆動制御するモータ制御装置(ECU:電子制御ユニット)5とを備えている。モータ制御装置5は、トルクセンサ1が検出する操舵トルクと車内LAN(CANバス)を通じて与えられる車速情報とに応じて電動モータ3を駆動することによって、操舵状況に応じた適切な操舵補助を実現する。電動モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスDCモータである。
マイクロコンピュータ6は、電動モータ3のロータの回転角速度ω(電気角における回転角速度)を演算するための角速度演算部25を備えている。この角速度演算部25には、レゾルバアンプ8の出力信号をディジタルデータに変換して取り込むA/D変換ポート13からのデータが与えられている。A/D変換ポート13は、所定のサンプリング周期でレゾルバアンプ8の出力信号をサンプリングしてディジタルデータに変換し、ディジタル化された正弦信号sinθおよび余弦信号cosθを生成する。
ω=Δθ≒sinΔθ=sinθicosθi-1−cosθisinθi-1
ただし、θiは今サンプリング周期でのロータ回転角度、
θi-1は前サンプリング周期でのロータ回転角度
Δθ=θi−θi-1である。
dq軸電流指令値演算部26によって算出されたq軸電流指令値iqa *は、減算部27qに入力されるようになっている。この減算部27qには、U相モータ電流検出回路7UおよびV相モータ電流検出回路7Vがそれぞれ検出するU相電流iuaおよびV相電流ivaを三相交流/dq座標変換して求められるq軸電流iqaが入力されている。U相モータ電流検出回路7UおよびV相モータ電流検出回路7Vの出力信号は、A/D変換ポート14,15によってディジタルデータに変換されてマイクロコンピュータ6に取り込まれ、電流検波部16,17で検波された後、三相交流/dq座標変換部28に入力されるようになっている。三相交流/dq座標変換部28は、下記(1)式に従って、U相電流iuaおよびV相電流ivaをdq座標系の値に変換する。
一方、d軸電流指令値ida *は、減算部27dに入力されるようになっている。そして、減算部27dには、三相交流/dq座標変換部28において前記(1)式に従い、U相電流iuaおよびV相電流ivaを三相交流/dq座標変換して得られるd軸電流idaが入力されている。これにより、減算部27dは、d軸電流指令値ida *に対するd軸電流idaの偏差を出力することになる。
d軸電圧指令値Vda *およびq軸電圧指令値Vqa *は、dq/三相交流座標変換部31に入力されるようになっている。このdq/三相交流座標変換部31にはまた、レゾルバアンプ8からA/D変換ポート13を介して取り込まれた正弦信号sinθおよび余弦信号cosθが入力されている。dq/三相交流座標変換部31は、これらを用い、下記(2)式に従って、d軸電圧指令値Vda *およびq軸電圧指令値Vqa *を三相交流座標系の指令値Vua *,Vva *,Vwa *に変換する。そして、その得られたU相電圧指令値Vua *、V相電圧指令値Vva *およびW相電圧指令値Vwa *を、三相PWM形成部32に入力する。
こうして、q軸電流指令値iqa *に必要に応じた制限を加えた後、dq軸電流指令値演算部26は、前記(5)式に従って、d軸電流指令値ida *を設定する。
√(Vd 2+Vq 2)≦Ed√3/2√2=Vlim …… (6)
一方、定常状態でのq軸電圧Vqおよびd軸電圧Vdは、次のように、表される。
A>0は自明であり、前記(12)式よりC>0であるので、次の(14)式および(15)式のとおりとなる。
図5は、この発明の第2の実施形態を説明するための図であり、前述の図1の構成におけるdq軸電流指令値演算部26が設定するq軸電流指令値iqa *の上限値iqa_uplimおよび下限値iqa_downlimが示されている。
図6は、この発明の第3の実施形態を説明するための図であり、前述の図1の構成におけるdq軸電流指令値演算部26が設定するq軸電流指令値iqa *の上限値iqa_uplimおよび下限値iqa_downlimが示されている。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
Claims (5)
- dq座標上のd軸電流およびq軸電流を制御することによりモータを制御するためのモータ制御装置であって、
q軸電流指令値を設定するq軸電流指令値設定手段と、
q軸電流の上限値および下限値を設定する上限・下限値設定手段と、
前記q軸電流指令値設定手段によって設定されるq軸電流指令値と、前記上限・下限値設定手段によって設定される上限値および下限値とを比較する比較手段と、
この比較手段による比較結果に応じてq軸電流指令値に制限を加えるq軸電流指令値制限手段と、
このq軸電流指令値制限手段による制限後のq軸電流指令値に基づいて、d軸電流指令値を設定するd軸電流指令値設定手段とを含み、
前記上限・下限値設定手段が、モータの回転角速度に応じた上限値および下限値を設定するものであり、前記上限値を下記(A)式を満たすように定め、前記下限値を下記(B)式を満たすように定めるものである、モータ制御装置。
i qa_uplim はq軸電流上限値
i qa_downlim はq軸電流下限値
Rはモータの固定子巻線抵抗
φは界磁による固定子鎖交磁束から計算されるdq座標上の磁束
ωはモータの電気角における回転角速度
L d はd軸インダクタンス
L q はq軸インダクタンス
V lim は正弦波駆動が可能なdq座標での制限電圧 - 前記上限・下限値設定手段が、回転角速度の絶対値が所定値を超える回転角速度域においては、前記上限値を前記(A1)式に従って得られる値よりも小さく定め、前記下限値を前記(B1)式に従って得られる値よりも大きく定めるものである、請求項2記載のモータ制御装置。
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