以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の軸連結装置において、液圧通路の溶接部の破壊が起こりにくい原理を説明する模式図である。
詳しくは、図1は、本発明の軸連結装置において採用される第1部材2および第2部材3の溶接部30,31についての概略を説明する模式図である。また、図2は、従来の軸連結装置において採用されている第1部材602および第2部材603の溶接部についての概略を説明する模式図である。
以下、図1および図2を用いて、本発明の軸連結装置が溶接部の耐破壊性に優れる理由を説明する。尚、説明は、図1に示すように、例として、筒部材1が、第1および第2部材2,3を有する構成に基づいて行うことにする(軸部材が、第1および第2部材を有する構成である場合にも、同様の説明が成立する)。
図1にしめすように、筒部材1は、断面L字状の第1部材2と、断面L字状の第2部材3とを有する。
上記第1部材2は、軸方向に延在する筒状部11と、リング部12とからなる。上記リング部12は、環状であって、筒状部11の軸方向の他端部の内周側から径方向の内方に突出している。上記筒状部11の内周面は、その中央部に環状の凹部23を有する。
上記第2部材3は、軸方向に延在する筒状部21と、リング部22とからなる。上記リング部22は、環状であって、筒状部21の軸方向の一端部の外周側から径方向の外方に突出している。上記筒状部21の外周面は、その中央部に環状の凹部33を有する。
上記第1部材2の軸方向のリング部12側とは反対側の端面は、第2部材3のリング部22の軸方向の端面に当接し、第2部材3の軸方向のリング部22側とは反対側の端面は、第1部材2のリング部12の軸方向の端面に当接している。上記第1部材2の筒状部11の内周面の軸方向の寸法は、第2部材3の筒状部21の外周面の軸方向の寸法と、略一致し、第1部材2の環状凹部23の軸方向の寸法と、第2部材3の環状凹部33の軸方向の寸法とは、略一致している。上記第1部材2の環状凹部23の全体と、第2部材3の環状凹部33の全体とは、径方向に重なっている。上記第1部材2の環状凹部23と、第2部材3の環状凹部33とは、相俟って環状の液圧通路27を構成している。上記液圧通路27は、筒部材1の軸方向に延在している。上記第1部材2の筒状部11の内周面と、第2部材3の筒状部21の外周面とは、液圧通路27の両側で、当接している。
上記第1部材2の軸方向のリング部12側とは反対側の端面と、第2部材3のリング部22の軸方向の端面とは、溶接により結合されている。また、上記第2部材3の軸方向のリング部22側とは反対側の端面と、第1部材2のリング部12の軸方向の端面とは、溶接により結合されている。
図1において、30は、第1部材2の軸方向のリング部12側とは反対側の端面と、第2部材3のリング部22の軸方向の端面との溶接部を示し、31は、第2部材3の軸方向のリング部22側とは反対側の端面と、第1部材2のリング部12の軸方向の端面との溶接部を示している。
上記二つの溶接部30,31の両方において、第1部材2と第2部材3は、軸方向に対向している(軸方向に重なっている)。
一方、図2に示すように、従来の軸連結装置においては、筒部材601は、円筒状の第1部材602と、円筒状の第2部材603とからなっている。上記第1部材602の内周面の中央部には、環状凹部623が形成されている一方、第2部材603の外周面の中央部には、環状凹部633が形成されている。
上記第1部材602の環状凹部623の全体と、第2部材603の環状凹部633の全体とは、径方向に重なっている。上記第1部材602の環状凹部623と、第2部材3の環状凹部633とは、相俟って環状の液圧通路627を構成している。
上記液圧通路627は、筒部材601の軸方向に延在している。上記第1部材602の内周面と、第2部材603の外周面とは、液圧通路627の両側で、当接している。
上記第1部材602の内周面の軸方向の一端部と、第2部材603の外周面の軸方向の一端部とは、溶接により結合され、また、上記第1部材602の内周面の軸方向の他端部と、第2部材603の外周面の軸方向の他端部とは、溶接により結合されている。
図2において、630は、第1部材602の内周面の軸方向の一端部と、第2部材603の外周面の軸方向の一端部との溶接部を示し、631は、上記第1部材602の内周面の軸方向の他端部と、第2部材603の外周面の軸方向の他端部との溶接部を示している。
上記本発明および従来の筒部材1,601の構成において、上記筒部材1では、二つの溶接部30,31が、液圧通路27に、軸方向に重なる箇所に位置していなくて、液圧通路27の延在方向に重なっていなくて、二つの溶接部30,31において、第1部材2と第2部材3が、軸方向に重なっているから、液圧通路27に所定量の液体が封入されて、液圧通路27が、図1に矢印Aで示す方向に拡張し、第2部材3が矢印Aで示す方向に膨らんだ場合において、二つの溶接部30,31が、液圧通路27が径方向に拡張することに起因して生成される径方向の力である股裂き方向の力の影響を大きく受けることがない。
一方、上記従来の筒部材601では、二つの溶接部630,631が、液圧通路627に軸方向に重なる箇所に位置し、液圧通路627の延在方向に重なっていなくて、かつ、溶接部630,631において、第1部材602と第2部材603とが、径方向に対向しているから、液圧通路627に所定の液体が封入されて、液圧通路627が、図2に矢印Bで示す方向に拡張し、第2部材603が矢印Bで示す方向に膨らんだ場合において、二つの溶接部630,631が、液圧通路27が径方向に拡張することに起因して生成される径方向の力である股裂き方向の力の影響を大きく受けて、溶接部630,631が、破壊し易くなるのである。
以下、図3〜図6を用いて、本発明のトルクリミッタの第1乃至第4実施形態8を説明することにする。
(第1実施形態)
図3は、本発明の第1実施形態のトルクリミッタの軸方向の断面図である。
このトルクリミッタは、軸部材101と、筒部材102と、シャーバルブ106と、玉軸受117および玉軸受118とを有する。
上記軸部材101は、周面としての略円筒状の外周面120を有する本体部108と、本体部108の外面から突出する断面略L字形状の係止部109とを有する。上記軸部材101の外周面120は、一つの螺旋形状の油封止防止用の溝135を有している。この螺旋形状の溝135は、軸部材101と筒部材102との摩擦係合部分の軸方向の両側に開口している。上記螺旋形状の溝135のピッチは、軸部材101の軸径(外径)の1/10以上1/5以下になっている。
上記筒部材102は、第1の筒部材110と、第2の筒部材111とからなっている。上記第1の筒部材110は、周面としての略円筒状の内周面121を有している。この内周面121は、動力の伝達時において軸部材101の外周面120に摩擦結合するようになっている。トルク伝達面である軸部材101の外周面(溝135の表面も含む)120と筒部材102の内周面121とは、処理温度が400度以上420度以下の低温窒化処理が施されて硬化されており、軸部材101の外周面120(溝135の表面も含む)を含む表層部は、窒化物層になっており、また、筒部材102の内周面121を含む表層部は、窒化物層になっている。これら二つの窒化物層の層厚は、ともに2μm以上3μm以下になっている。また、これら二つの窒化物層の硬さは、略同じ硬さで、これら二つの窒化物層のビッカース硬さHvは、ともに600Hv以上になっている。
上記軸部材101の外周面120と、筒部材102の内周面121との間には、焼付き防止用の潤滑油であるタービンオイルやトラクションオイルが充填されている。このトラクションオイルとしては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などの脂環族の官能基や、これら官能基の一部を不飽和結合としたものや、上記官能基の一部の炭素原子を、酸素原子、硫黄原子、窒素原子で置き換えた官能基、さらには、これらの官能基を架橋して形成された官能基や、これらの官能基を縮合した縮合環を有する官能基や、または、これらの官能基を用いて形成された多環式の芳香族の官能基、を有するナフテン系合成油やナフテン系鉱油がある。また、上記トラクションオイルの他の例としては、例えば、分岐型アルキルベンゼンやアルキルナフタレンや、または、フェニル基やシクロヘキシル基を含むポリオルガノシロキサンがある。また、上記トラクションオイルの更なる例としては、例えば、α−アルキルスチレン二量体やα−アルキルスチレン二量体の水素化物があり、また、F−(CF(CF3)CF2O)n−C2F5の構造式で表されるパーフルオロポリエーテルやこのパーフルオロポリエーテルの誘導体がある。
また、これらのトラクションオイルを、パラフィン系鉱油、ポリαオレフィン油など炭化水素系合成油、ジエステルやポリオールエステルなどエステル油、ポリアルキルグリコール油、アルキルジフェニルエーテル油、シリコーン油、パーフルオロアルキルポリエーテル油等、公知の潤滑油と混合したものも使用できる。
また、実用性を更に向上する目的で、酸化防止剤、防錆剤、清浄分散剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、極圧剤、耐摩耗添加剤、腐食防止剤、消泡剤、金属不活性化剤、着色剤等の添加剤を適量添加しても良い。
また、これらのトラクションオイルのうちでも、圧力粘度指数が大きいトラクションオイルを使用することが好ましい。本用途では、18GPa−1 (40℃)以上が好ましく、25GPa−1 (40℃)以上が更にこのましく、32GPa−1 (40℃)以上が更に好ましい。このようなトラクションオイルは、軸とスリーブとの間の接触面圧によりガラス化しやすく、駆動力を伝え易い。また、このようなトラクションオイルは、軸とスリーブとの直接接触を減少させ、軸とスリーブの固着を防ぎ、油圧室の油圧が低下し液状になると、トルク開放を容易になすことができる。
上記第2の筒部材111は、第1の筒部材110の略円筒状の外周面123に当接する略円筒状の内周面124を有している。上記第2の筒部材111は、シャーバルブ取付穴130と、環状の油圧通路126を有する。上記油圧通路126は、第2の筒部材111の内部に形成されている。上記油圧通路126は、第2の筒部材111の内周面124の軸方向の所定長さに亘って略軸部材101の軸方向に延在している。
上記第2の筒部材111は、筒状の第1部材170と、筒状の第2部材171とを有する。上記第1部材170と第2部材171とは、油圧通路126を介して径方向に対向している。
上記第1部材170は、軸方向に延在する筒状部180と、リング部181とからなる。上記リング部181は、環状であって、筒状部180の軸方向の他端部の内周側から径方向の内方に突出している。上記筒状部180の内周面は、その中央部に環状の凹部を有する。
上記第2部材171は、断面略L字状の形状を有している。上記第2部材171は、軸方向に延在する筒状部190と、リング部191とからなる。上記リング部191は、環状であって、筒状部190の軸方向の一端部の外周側から径方向の外方に突出している。上記筒状部190の外周面は、その中央部に環状の凹部を有している。
上記第1部材170の軸方向のリング部181側とは反対側の端面184は、第2部材171のリング部191の軸方向の端面185に当接し、第2部材171の軸方向のリング部191側とは反対側の端面186は、第1部材170のリング部181の軸方向の端面187に当接している。
上記第1部材170の筒状部180の内周面の軸方向の寸法は、第2部材171の筒状部190の外周面の軸方向の寸法と略一致し、第1部材170の環状凹部の軸方向の寸法は、第2部材171の環状凹部の軸方向の寸法と略一致している。上記第1部材170の環状凹部の全体と、第2部材171の環状凹部の全体とは、径方向に重なっている。上記第1部材170の環状凹部と、第2部材171の環状凹部とは、相俟って環状の油圧通路126を構成している。
上記油圧通路126は、一方の部材としての筒部材102の軸方向に延在している。上記第1部材170と、第2部材171とは、油圧通路126の一端側において、環状の溶接部によって溶接接合される一方、油圧通路126の他端側において、環状の溶接部によって溶接接合されている。
詳細には、上記第1部材170の軸方向のリング部181側とは反対側の端面184と、第2部材171のリング部191の軸方向の端面185とは、径方向の上方の端部において、溶接により結合されている。また、上記第2部材171の軸方向のリング部191側とは反対側の端面186と、第1部材170のリング部181の軸方向の端面187とは、径方向の下方の端部において、溶接により結合されている。
図3において、198は、第1部材170の軸方向のリング部181側とは反対側の端面184と、第2部材171のリング部191の軸方向の端面185との溶接部(以下、この溶接部を第1溶接部という)を示し、199は、第2部材171の軸方向のリング部191側とは反対側の端面186と、第1部材170のリング部181の軸方向の端面187との溶接部(以下、この溶接部を第2溶接部という)を示している。
上記二つの溶接部198,199の両方において、第1部材170と第2部材171は、略軸方向に対向している。上記二つの溶接部198,199の両方において、第1部材170と第2部材171は、軸方向に重なっている。上記二つの溶接部198,199の両方において、第1部材170において第2部材171に対向している対向面は、略第1部材170の径方向に広がっている。
上記第1溶接部198は、一方の部材としての筒部材102の径方向において、油圧通路126に対して筒部材102の摩擦係合面である内周面121側とは反対側に位置し、第2溶接部199は、径方向において、油圧通路126に対して筒部材102の上記内周面121側に位置している。
上記シャーバルブ106は、シャーバルブ取付穴130に嵌入されている。上記シャーバルブ106がシャーバルブ取付穴130に嵌入されている状態で、シャーバルブ106の一端部は、第2の筒部材111の外周面よりも径方向の外方に突出している。また、上記断面略L字形状の係止部109は、略径方向に延びると共に、第2の筒部材111の端面に軸方向に対向する径方向延在部と、この径方向延在部につながっていると共に、第2の筒部材111の外周面に沿って軸方向に延在する軸方向延在部とを有している。上記シャーバルブ106の上記一端部は、係止部109の軸方向延在部によって、係止されている。
上記シャーバルブ106は、一端のみが開口したチューブ127を有している。このチューブ127は、シャーバルブ106がシャーバルブ取付穴130に嵌入されている状態で、略軸部材101の径方向に延在している。また、シャーバルブ106がシャーバルブ取付穴130に嵌入されている状態でチューブ127の閉鎖側の一端部は、第2の筒部材111の外周面よりも径方向の外方に突出している。また、上記チューブ127の閉鎖側とは反対側の開口は、油圧通路126の一端に連通している。上記油圧通路126のシャーバルブ106側は、密封空間になっている。
上記玉軸受117は、軸部材101の外面に外嵌固定された内輪140と、第2の筒部材111の内面に内嵌固定された外輪141と、内輪140の軌道面と外輪141の軌道面と間に配置された玉142とを有している。また、上記玉軸受118は、軸部材101の外面に外嵌固定された内輪144と、第1の筒部材110の内面に内嵌固定された外輪145と、内輪144の軌道面と外輪145の軌道面と間に配置された玉146とを有している。上記玉軸受117および118は、軸部材101が筒部材102に対して相対回転しているとき、軸部材101を筒部材102に対して回転自在に支持するようになっている。
上記構成において、軸部材101または筒部材102に所定値以下の負荷(トルクの伝達を行う範囲の負荷)がかかっている場合には、図示しないカプラを介して油圧通路126に注入されたのち密封された油圧拡張用の油で、第1の筒部材110の内周面121を縮径して内周面121を軸部材101の外周面120に押し付けて、軸部材101と筒部材102とを摩擦結合して、軸部材101と筒部材102との間でトルクを伝達するようになっている。
一方、軸部材101または筒部材102に所定値以上の負荷(トルクの伝達を行う範囲よりも大きな負荷)がかかって、軸部材101の外周面120が、第1の筒部材110の内周面121に対してスリップして、軸部材101と筒部材102の軸回りの位置が変化した場合、係止部109がシャーバルブ106の上記一端部を切断して、油圧通路126内の油圧拡張用の油を、一端部が切断されたシャーバルブ106を介して外部に排出するようになっている。このようにして、第1の筒部材110の内周面121の軸部材101の外周面120に対する押圧力をなくして、軸部材101と筒部材102の摩擦結合を解いて、トルクの伝達を遮断するようになっている。このようにして、軸部材101または筒部材102に過負荷が生じた場合において、トルクの伝達を遮断して、トルクリミッタ装置に連結されている高価な機械を保護している。
尚、上記油封止防止用の溝135は、軸部材101または第1の筒部材110に過大な負荷がかかっていない通常のトルク伝達時に、油圧通路126に封入された油圧拡張用の油によって発生する第1の筒部材110の内周面121が軸部材101の外周面120を押圧する面圧によって、軸部材101と第1の筒部材110との間に存在する余剰(余分)な焼付き防止用の潤滑油を、その油封止防止用の溝35の開口を介して外部に排出する役割を担っている。
このようにして、軸部材101と第1の筒部材110との間に存在している焼付き防止用の潤滑油が、過剰に軸部材101の外周面120と第1の筒部材110の内周面121との間で滞留、密封されて、第1の筒部材110が軸部材101をクランプする力を所定値(設計値)以下に弱めることを防止し、リリーストルクが所定値より大きく低下することを防止している。
上記第1実施形態のトルクリミッタによれば、上記第1溶接部198において、第1部材170と第2部材171とが、軸方向に重なっているから、従来の構成、すなわち、溶接部において、上記第1部材と第2部材とが、径方向に重なって軸方向に重なっていない構成と比較して、略上記軸方向に延在する油圧通路126の径方向の拡張に基づく径方向の引っ張り応力が、第1溶接部171に作用しにくくて、第1溶接部198に、その引っ張り応力に起因する股裂き力が作用することを低減できる。したがって、上記第1溶接部198の破壊を抑制することができる。また、同様の理由で、第2溶接部199の破壊を抑制することができる。
また、上記第1実施形態のトルクリミッタによれば、上記第1溶接部198において、第1部材170において第2部材171に対向する対向面が、略第1部材170の径方向に広がっているから、軸方向に延在する油圧通路126の径方向の拡張に基づく径方向の引っ張り応力が、第1溶接部198に殆ど作用することがない。したがって、上記第1溶接部198の股裂が原因となる破壊が発生することがない。また、同様の理由により、第2溶接部199の股裂きが原因となる破壊が発生することがない。
また、上記第1実施形態のトルクリミッタによれば、上記第1溶接部198は、径方向において、液圧通路126に対して筒部材102の摩擦係合面である内周面121側とは反対側に位置し、第2溶接部199は、径方向において、液圧通路126に対して筒部材102の内周面121側に位置しているから、第1部材170と第2部材171とを互いに容易に組み付けることができて、溶接を容易に行うことができる。
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態のトルクリミッタの軸方向の断面図である。
第2実施形態のトルクリミッタは、筒部材202の第2の筒部材211の構造のみが、第1実施形態のトルクリミッタと異なる。
第2実施形態のトルクリミッタでは、第1実施形態のトルクリミッタの構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第2実施形態のトルクリミッタでは、第1実施形態のトルクリミッタと共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態のトルクリミッタと異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
第2実施形態において、第2の筒部材211は、筒状の第1部材270と、筒状の第2部材271とを有する。上記第1部材270と第2部材271とは、油圧通路226を介して径方向に対向している。
上記第1部材270は、軸方向に延在する筒状部280と、リング部281とからなる。上記リング部281は、環状であって、筒状部280の軸方向の他端部の内周側から径方向の内方に突出している。上記筒状部280の内周面は、その中央部に環状の凹部を有している。
上記第2部材271は、断面略L字状の形状を有している。上記第2部材271は、軸方向に延在する筒状部290と、リング部291とからなる。上記リング部291は、環状であって、筒状部290の軸方向の一端部の外周側から径方向の外方に突出している。上記筒状部290の外周面は、その中央部に環状の凹部を有している。
上記第1部材270の軸方向のリング部281側とは反対側の端面284は、第2部材271のリング部291の軸方向の端面285に当接し、第2部材271の軸方向のリング部291側とは反対側の端面286は、第1部材270のリング部281の軸方向の端面287に当接している。
上記第1部材270の筒状部280の内周面の軸方向の寸法は、第2部材271の筒状部290の外周面の軸方向の寸法と略一致し、第1部材270の環状凹部の軸方向の寸法は、第2部材271の環状凹部の軸方向の寸法と略一致している。上記第1部材270の環状凹部の全体と、第2部材271の環状凹部の全体とは、径方向に重なっている。上記第2部材270の環状凹部と、第2部材271の環状凹部とは、相俟って環状の油圧通路226を構成している。
上記油圧通路226は、一方の部材としての筒部材202の軸方向に延在している。上記第1部材270と、第2部材271とは、油圧通路226の一端側において、環状の溶接部によって溶接接合される一方、油圧通路226の他端側において、環状の溶接部によって溶接接合されている。
詳細には、上記第1部材270の軸方向のリング部281側とは反対側の端面284と、第2部材271のリング部291の軸方向の端面285とは、溶接により結合されている。また、上記第2部材271の軸方向のリング部291側とは反対側の端面286と、第1部材270のリング部281の軸方向の端面287とは、溶接により結合されている。
図4において、298は、第1部材270の軸方向のリング部281側とは反対側の端面284と、第2部材271のリング部291の軸方向の端面285との溶接部(以下、この溶接部を、第1溶接部という)を示し、299は、第2部材271の軸方向のリング部291側とは反対側の端面286と、第1部材270のリング部281の軸方向の端面287との溶接部(以下、この溶接部を、第2溶接部という)を示している。上記二つの溶接部298,299の両方において、第1部材270と第2部材271は、軸方向に重なっている。
上記第1溶接部298は、一方の部材としての筒部材202の径方向において、油圧通路226に対して筒部材202の摩擦係合面である内周面121側とは反対側に位置し、第2溶接部299は、径方向において、油圧通路226に対して筒部材202の上記内周面121側に位置している。
上記第1部材270の軸方向のリング部281側とは反対側の端面284は、油圧通路226から離れるにしたがって、すなわち、径方向の外方にいくにしたがって、軸方向において、第1部材270のリング部281側(油圧通路の他端側)に傾斜している。また、同様に、上記第2部材271のリング部291の軸方向の端面285は、油圧通路226から離れるにしたがって、すなわち、径方向の外方にいくにしたがって、軸方向において、第1部材270のリング部281側(油圧通路の他端側)に傾斜している。
また、図4に示すように、上記第2部材271の軸方向のリング部291側とは反対側の端面286は、油圧通路226から離れるにしたがって、すなわち、径方向の内方にいくにしたがって、軸方向において、第2部材271のリング部291側(油圧通路の一端側)に傾斜している。また、同様に、上記第1部材270のリング部281の軸方向の端面287は、油圧通路226から離れるにしたがって、すなわち、径方向の内方にいくにしたがって、軸方向において、第2部材271のリング部291側(油圧通路の一端側)に傾斜している。
上記第2実施形態のトルクリミッタによれば、上記第1溶接部298において、第1部材270において第2部材271に対向する対向面(端面284)が、径方向に油圧通路226から離れるにしたがって、軸方向において、第1部材270のリング部281側(液圧通路226の他端側)に傾斜しているから、軸方向に延在する油圧通路226の径方向の拡張に基づく径方向の引っ張り応力が、第1溶接部298に殆ど作用することがない。したがって、上記第1溶接部298の股裂破壊を格段に緩和できる。
また、同様に、上記第2溶接部299において、第2部材271において第1部材270に対向する対向面(端面286)が、径方向に油圧通路226から離れるにしたがって、軸方向において、第2部材271のリング部291側(液圧通路226の一端側)に傾斜しているから、第1溶接部299の股裂破壊を格段に緩和できる。
上記第1実施形態および第2実施形態では、油圧通路126,226を筒部材102,202に形成した。しかしながら、油圧通路は、以下の第3実施形態および第4実施形態のように、軸部材に形成されても良い。
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態のトルクリミッタの軸方向の断面図である。
第3実施形態のトルクリミッタでは、環状の油圧通路326を、軸部材301に形成し、油圧通路326が径方向に拡張することで、軸部材301の外周面323が筒部材302の内周面324に摩擦係合することが第1実施形態のトルクリミッタと異なる。また、軸方向の両側に開口した油封止防止用の溝335を筒部材302に形成した点が、第1実施形態のトルクリミッタと異なる。第2実施形態のトルクリミッタでは、第1実施形態のトルクリミッタと共通の構成、作用効果および変形例については説明を省略することにする。
第3実施形態のトルクリミッタは、軸部材301と、筒部材302と、シャーバルブ306と、玉軸受117および玉軸受118とを有する。
上記軸部材301は、略円筒状の外周面320を有する軸本体361と、第1環状部材310と、第2環状部材311とを有する。第1環状部材310の内周面321は、軸本体361の外周面320と嵌め合わされている。上記第1環状部材310の端面は、ボルト345によって軸本体361の軸方向の端面に係止されて固定されている。上記第2環状部材311の内周面は、第1環状部材310の外周面に当接している。上記第2環状部材311は、周面としての略円筒状の外周面323を有している。
上記第1環状部材310は、筒状の第1部材371と、筒状の第2部材372とを有する。上記第1部材371と第2部材372とは、油圧通路326を介して径方向に対向している。
上記第1部材371は、軸方向に延在する筒状部380と、環状のリング部381とからなる。上記リング部381は、環状であって、筒状部380の軸方向の他端部の外周側から径方向の外方に突出している。上記筒状部380の外周面は、その中央部に環状の凹部を有する。
上記第2部材372は、断面略L字状の形状を有している。上記第2部材372は、軸方向に延在する筒状部390と、リング部391とからなる。上記リング部391は、環状であって、筒状部390の軸方向の一端部の内周側から径方向の内方に突出している。上記筒状部390の内周面は、その中央部に環状の凹部を有している。
上記第1部材371の軸方向のリング部381側とは反対側の端面384は、第2部材372のリング部391の軸方向の端面385に当接し、第2部材372の軸方向のリング部391側とは反対側の端面386は、第1部材371のリング部381の軸方向の端面387に当接している。
上記第1部材371の筒状部380の外周面の軸方向の寸法は、第2部材372の筒状部390の内周面の軸方向の寸法と略一致し、第1部材371の環状凹部の軸方向の寸法は、第2部材372の環状凹部の軸方向の寸法と略一致している。上記第1部材371の環状凹部の全体と、第2部材372の環状凹部の全体とは、径方向に重なっている。上記第1部材371の環状凹部と、第2部材372の環状凹部とは、相俟って環状の油圧通路326を構成している。
上記油圧通路326は、一方の部材としての軸部材301の軸方向に延在している。上記第1部材371と、第2部材372とは、油圧通路326の一端側において、環状の溶接部によって溶接接合される一方、油圧通路326の他端側において、環状の溶接部によって溶接接合されている。
詳細には、上記第1部材371の軸方向のリング部381側とは反対側の端面384と、第2部材372のリング部391の軸方向の端面385とは、溶接により結合されている。また、上記第2部材372の軸方向のリング部391側とは反対側の端面386と、第1部材371のリング部381の軸方向の端面387とは、溶接により結合されている。
図5において、398は、上記第1部材371の軸方向のリング部381側とは反対側の端面384と、第2部材372のリング部391の軸方向の端面385との溶接部(以下、この溶接部を、第1溶接部という)を示し、399は、第2部材372の軸方向のリング部391側とは反対側の端面386と、第1部材371のリング部381の軸方向の端面387との溶接部(以下、この溶接部を、第2溶接部という)を示している。上記二つの溶接部398,399の両方において、第1部材371と第2部材372は、軸方向に重なっている。
上記第1部材371の端面384、第2部材372の端面385、第2部材372の端面386、および、第1部材371の端面387の夫々は、略第1部材の径方向に広がっている。
上記第1溶接部398は、一方の部材としての軸部材301の径方向において、油圧通路326に対して軸部材301の摩擦係合面である外周面323側とは反対側に位置し、第2溶接部399は、径方向において、油圧通路326に対して軸部材302の上記外周面323側に位置している。
上記筒部材302は、上記筒部材302の外面から突出する係止部309を有すると共に、周面としての内周面324を有する。上記筒部材302の内周面324は、螺旋形状の油封止防止用の溝335を有している。この螺旋形状の溝335は、軸部材301と筒部材302との摩擦係合部分の軸方向の両側に開口している。また、上記螺旋形状の溝335のピッチは、軸部材301の軸径(外径)の1/10以上1/5以下になっている。
上記筒部材302の略円筒状の内周面324は、トルクの伝達時において、軸部材301(詳しくは第2環状部材311)の外周面323と摩擦結合するようになっている。上記軸部材301の外周面323と、筒部材302の内周面324との間には、焼付き防止用の潤滑油である、タービンオイル、トラクションオイル、または、トラクションオイルの混合物が塗布されている。
上記第1環状部材310は、シャーバルブ取付穴330と、油圧通路326とを有し、油圧通路326は、第2環状部材311の外周面323の軸方向の所定長さに亘って略軸部材301の軸方向に延在している。
上記シャーバルブ306は、シャーバルブ取付穴330に嵌入されている。上記シャーバルブ306がシャーバルブ取付穴330に嵌入されている状態で、シャーバルブ306の一端部は、第1環状部材310の端面よりも軸方向の外方に突出している。上記係止部309は、第1環状部材310の端面に沿って径方向に延在している。上記シャーバルブ306の上記一端部は、係止部309によって、係止されている。
上記シャーバルブ306は、一端のみが開口したチューブ327を有している。このチューブ327は、シャーバルブ306がシャーバルブ取付穴330に嵌入されている状態で、略軸部材301の軸方向に延在している。上記シャーバルブ306がシャーバルブ取付穴330に嵌入されている状態で、チューブ327の閉鎖側の一端部は、第1環状部材310の端面よりも軸方向の外方に突出している。また、上記チューブ327の閉鎖側とは反対側の開口は、油圧通路326の一端に連通している。上記油圧通路326のシャーバルブ306側は、密封空間になっている。
第3実施形態のトルクリミッタでは、トルク伝達面である第2環状部材311の外周面(溝335の表面も含む)323の表層部と、筒部材302の内周面324の表層部とには、第1実施形態のトルクリミッタと同様の低温窒化処理が施されている。上記第2環状部材310の外周面(溝335の表面も含む)323の表層部と、筒部材302の内周面324の表層部とは、窒化物層になっている。第3実施形態のトルクリミッタの窒化物層の層厚や硬さは、第1実施形態のトルクリミッタの窒化物層と同一である。このトルクリミッタの窒化物層によって、第3実施形態においても、第1実施形態のトルクリミッタの窒化物層と同様の作用効果を獲得できるようになっている。
上記玉軸受117は、軸本体361の外面に外嵌固定された内輪と、筒部材302の内面に内嵌固定された外輪と、内輪の軌道面と外輪の軌道面と間に配置された玉とを有している。また、上記玉軸受118は、第1環状部材310の外面に外嵌固定された内輪と、筒部材302の内面に内嵌固定された外輪と、内輪の軌道面と外輪の軌道面と間に配置された玉とを有している。上記玉軸受117および118は、軸部材301が筒部材302に対して相対回転しているとき、軸部材301を筒部材302に対して回転自在に支持するようになっている。
上記構成において、軸部材301および筒部材302に所定値以下の負荷(トルクの伝達を行う範囲の負荷)がかかっている場合には、図示しないカプラを介して油圧通路326に注入された後、密封された油圧拡張用の油で、第2環状部材311の外周面323を拡径して、外周面323を筒部材302の内周面324に押し付けて、軸部材301と筒部材302とを摩擦結合して、軸部材301と筒部材302との間でトルクを伝達するようになっている。
一方、上記軸部材301または筒部材302に所定値以上の負荷(トルクの伝達を行う範囲よりも大きな負荷)がかかって、軸部材301の外周面323が、筒部材302の内周面324に対してスリップして、軸部材301と筒部材302の軸回りの位置が変化した場合には、係止部309がシャーバルブ306の一端部を切断して、チューブ327の閉鎖側の一端部を破壊して、油圧通路326内の油圧拡張用の油を、この破壊されたチューブ327の側から外部に排出するようになっている。
このようにして、筒部材302の内周面324に対する第2環状部材311の外周面323の押圧力をなくして、軸部材301と筒部材302との摩擦結合を解いて、トルクの伝達を遮断するようになっている。このようにして、軸部材301または筒部材302に過負荷がかかった場合において、トルクの伝達を遮断して、トルクリミッタ装置に連結されている高価な機械を保護している。
上記第3実施形態のトルクリミッタにおいても、第1のトルクリミッタと同様、二つの溶接部398および399において、第1部材371と第2部材372とが軸方向に重なっているから、溶接部398,399の股裂き破壊を抑制できる。
また、特に、第3実施形態のトルクリミッタによれば、二つの溶接部398および399において、第1部材371と第2部材372との当接面が、略径方向に広がっているから、溶接部398,399の破壊抑制効果を格段に大きくすることができて、寿命および信頼性を格段に向上させることができる。
(第4実施形態)
図6は、本発明の第4実施形態のトルクリミッタの軸方向の断面図である。
第4実施形態のトルクリミッタは、筒部材401の第1環状部材410の構造のみが、第3実施形態のトルクリミッタと異なる。
第4実施形態のトルクリミッタでは、第3実施形態のトルクリミッタの構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第4実施形態のトルクリミッタでは、第1および第3実施形態のトルクリミッタと共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1および第3実施形態のトルクリミッタと異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
第4実施形態では、第1環状部410は、筒状の第1部材471と、筒状の第2部材472とを有する。上記第1部材471と第2部材472とは、油圧通路426を介して径方向に対向している。
上記第1部材471は、軸方向に延在する筒状部480と、リング部481とからなる。上記リング部481は、環状であって、筒状部480の軸方向の他端部の外周側から径方向の外方に突出している。上記筒状部480の外周面は、その中央部に環状の凹部を有している。
上記第2部材472は、断面略L字状の形状を有している。上記第2部材472は、軸方向に延在する筒状部490と、リング部491とからなる。上記リング部491は、環状であって、筒状部490の軸方向の一端部の内周側から径方向の内方に突出している。上記筒状部490の内周面は、その中央部に環状の凹部を有している。
上記第1部材471の軸方向のリング部481側とは反対側の端面484は、第2部材472のリング部491の軸方向の端面485に当接し、第2部材472の軸方向のリング部491側とは反対側の端面486は、第1部材471のリング部481の軸方向の端面487に当接している。
上記第1部材471の筒状部480の内周面の軸方向の寸法は、第2部材472の筒状部490の外周面の軸方向の寸法と略一致し、第1部材471の環状凹部の軸方向の寸法は、第2部材472の環状凹部の軸方向の寸法と略一致している。上記第1部材471の環状凹部の全体と、第2部材472の環状凹部の全体とは、径方向に重なっている。上記第1部材471の環状凹部と、第2部材472の環状凹部とは、相俟って環状の油圧通路426を構成している。
上記油圧通路426は、一方の部材としての軸部材401の軸方向に延在している。上記第1部材471と、第2部材472とは、油圧通路426の一端側において、環状の溶接部によって溶接接合される一方、油圧通路426の他端側において、環状の溶接部によって溶接接合されている。
詳細には、上記第1部材471の軸方向のリング部481側とは反対側の端面484と、第2部材472のリング部491の軸方向の端面485とは、径方向の内方の周面において、溶接により結合されている。また、上記第2部材472の軸方向のリング部491側とは反対側の端面486と、第1部材471のリング部481の軸方向の端面487とは、径方向の外方の周面において、溶接により結合されている。
図6において、498は、上記第1部材471の軸方向のリング部481側とは反対側の端面484と、第2部材472のリング部491の軸方向の端面485との溶接部(以下、この溶接部を、第1溶接部という)を示し、499は、上記第2部材472の軸方向のリング部491側とは反対側の端面486と、第1部材471のリング部481の軸方向の端面487との溶接部(以下、この溶接部を、第2溶接部という)を示している。上記二つの溶接部498,499の両方において、第1部材471と第2部材472は、軸方向に重なっている。
上記第1溶接部498は、一方の部材としての軸部材401の径方向において、油圧通路426に対して軸部材201の摩擦係合面である外周面423側とは反対側に位置し、第2溶接部499は、径方向において、油圧通路426に対して軸部材401の上記外周面423側に位置している。
上記第1部材471の軸方向のリング部481側とは反対側の端面484は、油圧通路426から離れるにしたがって、すなわち、径方向の内方にいくにしたがって、軸方向において、第1部材471のリング部481側(油圧通路の他端側)に傾斜している。また、同様に、上記第2部材472のリング部491の軸方向の端面485は、油圧通路426から離れるにしたがって、すなわち、径方向の内方にいくにしたがって、軸方向において、第1部材471のリング部481側(油圧通路の他端側)に傾斜している。
また、図6に示すように、上記第2部材472の軸方向のリング部491側とは反対側の端面486は、油圧通路426から離れるにしたがって、すなわち、径方向の外方にいくにしたがって、軸方向において、第2部材472のリング部491側(油圧通路の一端側)に傾斜している。また、同様に、上記第1部材471のリング部481の軸方向の端面487は、油圧通路426から離れるにしたがって、すなわち、径方向の外方にいくにしたがって、軸方向において、第2部材472のリング部491側(油圧通路の一端側)に傾斜している。
上記第4実施形態のトルクリミッタによれば、上記第1溶接部498において、第1部材471において第2部材472に対向する対向面が、径方向に油圧通路426から離れるにしたがって、軸方向において第1部材471のリング部481側(液圧通路426の他端側)に傾斜しているから、軸方向に延在する油圧通路426の径方向の拡張に基づく径方向の引っ張り応力が、第1溶接部498に殆ど作用することがない。したがって、上記第1溶接部498の股裂破壊を格段に緩和することができる。
また、同様に、上記第2溶接部499において、第2部材472において第1部材471に対向する対向面が、径方向に油圧通路426から離れるにしたがって、軸方向において、第2部材472のリング部491側(液圧通路426の一端側)に傾斜しているから、第1溶接部499の股裂破壊を格段に緩和することができる。
尚、上記第1乃至第4実施形態では、液圧通路が、油圧通路であって、液圧通路を径方向に拡張するのに使用する液体が油であったが、この発明では、液圧通路を径方向に拡張するのに使用する液体は、水等、油以外の如何なる液体であっても良い。
また、上記実施形態では、軸連結装置を、トルクリミッタに使用したが、この発明の軸連結装置は、例えば、液圧通路の径方向の拡張を用いて、二つのフランジ部を摩擦係合する装置等に使用することができる。