JP2008223888A - トルクリミッタ - Google Patents

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健 山本
Akihide Nagayama
彰英 永山
Kenji Ogimoto
健治 荻本
Shinji Matsue
慎二 松榮
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Abstract

【課題】筒部材に対して軸部材が回転しているときの、軸部材と筒部材との動摩擦力を抑制できて、軸部材および筒部材の焼付きを抑制でき、トルクリミッタの使用回数が大きいトルクリミッタを提供すること。
【解決手段】筒部材2の油通路26に径方向に対向する軸部材101の外周面120に、軸方向に互いに間隔をおいて三つの動圧発生溝131,132,133を形成する。また、外周面120に、一端の動圧発生溝131の他端側の端と、中央部の動圧発生溝132の一端側の端に連通する環状溝136と、他端の動圧発生溝133の一端側の端と、中央部の動圧発生溝132の他端側の端に連通する環状溝137を形成する。軸部材101に、環状溝136,137に連通する貫通穴180,181,182,183を形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、トルクリミッタに関する。
従来、例えば鉄鋼用圧延機の原動機と被駆動部分との間に介装されるトルクリミッタとしては、軸部材の外周面に筒部材の内周面を外嵌し、筒部材の油圧通路に圧油を供給し、その油圧通路の圧油で筒部材の内周面を縮径してその内周面を軸部材の外周面に押し付けて、軸部材と筒部材とを摩擦結合してトルクを伝達するようになっており、シャーチューブで油圧通路内の圧油をシールする一方、上記軸部材には、シャーチューブの端部に係止する係止部材を固定しているものがある。
上記軸部材または筒部材に所定値以上の負荷がかかって、筒部材の内周面が軸部材の外周面に対してスリップして、上記軸部材が筒部材に対して軸回りの位置が変化したとき、上記係止部材でシャーチューブの端部が切断されて、油圧通路の圧油が外部に排出されるようになっている。これにより、筒部材の内周面が、軸部材の外周面に押し付けられなくなって、軸部材と筒部材の摩擦結合が解除されて、トルクの伝達が遮断するようになっている。
また、上記軸部材または筒部材に所定値以上の負荷がかかって、筒部材の内周面が、軸部材の外周面に対して摺動している際に、軸部材および筒部材が焼付くことを防止するために、軸部材と筒部材との間には、潤滑油が塗布されている。
ここで、一般的に、トルクリミッタにおいて、軸部材が、筒部材に対して相対回転しているときの、軸部材と筒部材との動摩擦力(軸部材が筒部材に対してすべっているときの摩擦力)を抑制して、軸部材および筒部材の焼付きを抑制し、トルクリミッタの使用回数を増大させることが所望されている。
特開2004−211794号公報
そこで、本発明の課題は、筒部材に対して軸部材が回転しているときの、軸部材と筒部材との動摩擦力を抑制できて、軸部材および筒部材の焼付きを抑制でき、トルクリミッタの使用回数が大きいトルクリミッタを提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明のトルクリミッタは、
軸部材と、
この軸部材に回転可能に外嵌した筒部材と
を備え、
上記筒部材の内部に、上記軸部材の外周面に上記筒部材の内周面を押し付けるための油圧通路を有し、
上記軸部材の上記外周面および上記筒部材の上記内周面のうちの少なくとも一方は、
軸方向に互いに間隔をおいて位置すると共に、上記軸部材が上記筒部材に対して回転している状態で動圧を発生する複数の動圧発生溝と、
上記動圧発生溝に連通すると共に、上記軸部材の中心軸を取り囲むように延在する環状溝と
を有し、
上記軸部材および上記筒部材のうちの少なくとも一方は、上記環状溝に開口する貫通穴を有していることを特徴としている。
この明細書では、上記貫通穴を、筒部材または軸部材に形成され、かつ、筒部材または軸部材の外面(外面全面の意味で、例えば、軸部材の場合、周面および端面の両方を含む)に連通する開口を、少なくても二つ有する穴として、定義する。したがって、穴が分岐箇所を有さず、開口が二つのみの穴が貫通穴に含まれるのは勿論のこと、穴が分岐箇所を有し、開口が三つ以上存在する穴も、貫通穴に含まれる。
本発明によれば、上記軸部材の上記外周面および上記筒部材の上記内周面のうちの少なくとも一方が、上記軸部材が上記筒部材に対して回転している状態で動圧を発生する動圧発生溝を有しているから、軸部材の外周面および筒部材の内周面の両方が動圧発生溝を有していない構成と比較して、上記軸部材が上記筒部材に対して回転している状態で、軸部材と筒部材との間に発生する動圧によって、筒部材を軸部材からより速く浮上させることができて、このことに起因して、油圧通路内から圧油をより速く抜くことができて、筒部材と軸部材との間をより速く非接触な状態にすることができる。したがって、上記軸部材が上記筒部材に対して回転している状態において、軸部材の外周面および筒部材の内周面の摩耗を格段に抑制できて、トルクリミッタの使用回数を大きくすることができる。
また、本発明によれば、軸部材の上記外周面および上記筒部材の上記内周面のうちの少なくとも一方に、軸方向に互いに間隔をおいて複数の動圧発生溝が形成されているから、軸方向において、複数の箇所で動圧を発生させることができる。したがって、軸方向の一箇所で動圧を発生する場合と比較して、動圧の大きさの軸方向の位置による変動を抑制できて、トルクの非伝達時において、油圧通路内の油を迅速に抜くことができて、筒部材と軸部材の係合を迅速に解除することができる。
また、本発明によれば、軸部材の上記外周面および上記筒部材の上記内周面のうちの少なくとも一方に、動圧発生溝に連通すると共に、軸部材の中心軸を取り囲むように延在する環状溝が形成され、更に、軸部材および筒部材の少なくとも一方に、環状溝に開口する貫通穴が形成されているから、貫通穴の環状溝に開口していない開口を、油供給源に連通させておくだけで、トルクの非伝達時において、動圧発生溝の動圧発生部に発生する油の吸引力によって、貫通穴および環状溝を介して動圧発生溝に安定な動圧に必要な量の油を迅速に行き渡らせることができて、動圧発生溝で、安定かつ迅速に動圧を発生させることができる。したがって、この理由からも、筒部材と軸部材の係合を迅速に解除することができる。
また、本発明のトルクリミッタは、
軸部材と、
この軸部材に回転可能に外嵌した筒部材と
を備え、
上記軸部材の内部に、上記筒部材の内周面に上記軸部材の外周面を押し付けるための油圧通路を有し、
上記軸部材の上記外周面および上記筒部材の上記内周面のうちの少なくとも一方は、
軸方向に互いに間隔をおいて位置すると共に、上記軸部材が上記筒部材に対して回転している状態で動圧を発生する複数の動圧発生溝と、
上記動圧発生溝に連通すると共に、上記軸部材の中心軸を取り囲むように延在する環状溝と
を有し、
上記軸部材および上記筒部材のうちの少なくとも一方は、上記環状溝に開口する貫通穴を有していることを特徴としている。
本発明によれば、上記軸部材の上記外周面および上記筒部材の上記内周面のうちの少なくとも一方が、上記軸部材が上記筒部材に対して回転している状態で動圧を発生する動圧発生溝を有しているから、軸部材の外周面および筒部材の内周面の両方が動圧発生溝を有していない構成と比較して、上記軸部材が上記筒部材に対して回転している状態で、軸部材と筒部材との間に発生する動圧によって、筒部材を軸部材からより速く浮上させることができて、このことに起因して、油圧通路内から圧油をより速く抜くことができて、筒部材と軸部材との間をより速く非接触な状態にすることができる。したがって、上記軸部材が上記筒部材に対して回転している状態において、軸部材の外周面および筒部材の内周面の摩耗を格段に抑制できて、トルクリミッタの使用回数を大きくすることができる。
また、本発明によれば、軸部材の上記外周面および上記筒部材の上記内周面のうちの少なくとも一方に、軸方向に互いに間隔をおいて複数の動圧発生溝が形成されているから、軸方向において、複数の箇所で動圧を発生させることができる。したがって、軸方向の一箇所で動圧を発生する場合と比較して、動圧の大きさの軸方向の位置による変動を抑制できて、トルクの非伝達時において、油圧通路内の油を迅速に抜くことができて、筒部材と軸部材の係合を迅速に解除することができる。
また、本発明によれば、軸部材の上記外周面および上記筒部材の上記内周面のうちの少なくとも一方に、動圧発生溝に連通すると共に、軸部材の中心軸を取り囲むように延在する環状溝が形成され、更に、軸部材および筒部材の少なくとも一方に、環状溝に開口する貫通穴が形成されているから、貫通穴の環状溝に開口していない開口を、油供給源に連通させておくだけで、トルクの非伝達時において、動圧発生溝の動圧発生部に発生する油の吸引力によって、貫通穴および環状溝を介して動圧発生溝に安定な動圧に必要な量の油を迅速に行き渡らせることができて、動圧発生溝で、安定かつ迅速に動圧を発生させることができる。したがって、この理由からも、筒部材と軸部材の係合を迅速に解除することができる。
本発明のトルクリミッタによれば、軸部材の外周面および筒部材の内周面のうちの少なくとも一方が、軸部材が筒部材に対して回転している状態で動圧を発生する動圧発生溝を有しているから、軸部材が筒部材に対して回転している状態で、軸部材と筒部材との間に発生する動圧によって、筒部材を軸部材からより速く浮上させることができて、油圧通路内から圧油をより速く抜くことができる。したがって、筒部材と軸部材との間をより速く非接触な状態にすることができて、筒部材および軸部材の焼付きを抑制でき、トルクリミッタの使用回数を大きくすることができる。
また、本発明によれば、軸部材の上記外周面および上記筒部材の上記内周面のうちの少なくとも一方に、軸方向に互いに間隔をおいて複数の動圧発生溝が形成されているから、軸方向において、複数の箇所で動圧を発生させることができて、動圧の大きさの軸方向の位置による変動を抑制できて、筒部材と軸部材の係合を迅速に解除することができる。
また、本発明によれば、軸部材の上記外周面および上記筒部材の上記内周面のうちの少なくとも一方に、動圧発生溝に連通すると共に、軸部材の中心軸を取り囲むように延在する環状溝が形成され、更に、軸部材および筒部材の少なくとも一方に、環状溝に開口する貫通穴が形成されているから、トルクの非伝達時において、動圧発生溝の動圧発生部に発生する油の吸引力によって、貫通穴および環状溝を介して動圧発生溝に安定な動圧に必要な量の油を迅速に行き渡らせることができて、動圧発生溝で、安定かつ迅速に動圧を発生させることができ、筒部材と軸部材の係合を迅速に解除することができる。
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態のトルクリミッタの軸方向の断面図である。なお、軸部材1の一部については外周面を示している。また、図1において、参照番号91,92,93,94は、同じ周方向の位置を示す点線である。
このトルクリミッタは、軸部材1、筒部材2、シャーバルブ6、第1玉軸受17、第2玉軸受18、第1シール部材52および第2シール部材53を備える。
上記軸部材1は、略円筒状の外周面20を有する本体部8と、本体部8の外面から突出する断面略L字形状の係止部9とを有する一方、筒部材2は、第1筒部材10と、第2筒部材11とからなっている。上記第1筒部材10は、略円筒状の内周面21を有し、この内周面21は、後述するように、軸部材1の外周面20に押し付けられるようになっている。
上記第2筒部材11は、第1筒部材10の略円筒状の外周面23に当接する略円筒状の内周面24を有している。また、上記第2筒部材11は、シャーバルブ取付穴30および油圧通路26を有している。油圧通路26は、第2筒部材11の内部に環状に形成され、第2筒部材11の内周面24の軸方向の所定の長さに亘って略軸部材1の軸方向に延在している。
上記シャーバルブ6は、シャーバルブ取付穴30に嵌入されている。上記シャーバルブ6がシャーバルブ取付穴30に嵌入されている状態で、シャーバルブ6の径方向の外方の一端部は、第2筒部材11の外周面よりも径方向の外方に突出している。上記断面略L字形状の係止部9は、径方向延在部50と、軸方向延在部51とを有している。上記径方向延在部50は、略径方向に延びている。また、上記軸方向延在部51は、径方向延在部50につながっていると共に、第2筒部材11の外周面に沿って軸方向に延在している。上記シャーバルブ6の上記径方向の外方の一端部は、係止部9の軸方向延在部51によって係止されている。
上記シャーバルブ6は、一端のみが開口したチューブ27を有している。このチューブ27は、シャーバルブ6がシャーバルブ取付穴30に嵌入されている状態で、略軸部材1の径方向に延在している。また、シャーバルブ6がシャーバルブ取付穴30に嵌入されている状態で、チューブ27の閉鎖側の一端部は、第2筒部材11の外周面よりも径方向の外方に突出している一方、チューブ27の閉鎖側とは反対側の開口は、油圧通路26の一端に連通している。このことから、上記油圧通路26のシャーバルブ6側は、密封空間になっている。
上記第1玉軸受17は、内輪40、外輪41および玉42を有している。上記内輪40は、軸部材1の外周面に外嵌されて固定されている一方、外輪41は、第2筒部材11の内周面に内嵌されて固定されている。上記玉42は、内輪40の軌道溝と、外輪41のアンギュラ型の軌道溝との間に保持器(図示せず)によって保持された状態で、周方向に所定の間隔を隔てられて複数配置されている。
一方、上記第2玉軸受18は、内輪44、外輪45および玉46を有している。上記内輪44は、軸部材1の外周面に外嵌されて固定されている一方、外輪45は、第1筒部材10の内周面に内嵌されて固定されている。上記玉46は、内輪44のアンギャラ型の軌道溝と、外輪45のアンギュラ型の軌道溝との間に保持器(図示せず)によって保持された状態で、周方向に所定の間隔を隔てられて複数配置されている。
上記第1玉軸受17および第2玉軸受18は、軸部材1が筒部材2に対して回転しているとき、軸部材1を筒部材2に対して回転自在に支持するようになっている。
上記第1シール部材52は、外輪41と内輪40との間の空間における油圧通路26側とは反対側の開口を密封している一方、第2シール部材53は、外輪45と内輪44との間の空間における油圧通路26側とは反対側の開口を密封している。
上記外輪41と内輪40との間の空間、外輪45と内輪44との間の空間、および、軸部材1の外周面20と第1筒部材10の内周面21との間は、互いに連通している。上記第1シール部材52および第2シール部材53は、外輪41と内輪40との間の空間、外輪45と内輪44との間の空間、および、軸部材1の外周面20と第1筒部材10の内周面21との間を密封している。
上記第1シール部材52および第2シール部材53によって密封された空間、すなわち、外輪41と内輪40との間の空間、外輪45と内輪44との間の空間、および、軸部材1の外周面20と第1筒部材10の内周面21との間には、第1玉軸受17、第2玉軸受18、軸部材1、および、第1筒部材10の焼付きを防止するために、潤滑油としてのトラクションオイルまたはタービンオイルが充填されている。
ここで、トラクションオイルとしては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などの脂環族の官能基や、これら官能基の一部を不飽和結合としたものや、上記官能基の一部の炭素原子を、酸素原子、硫黄原子、窒素原子で置き換えた官能基、さらには、これらの官能基を架橋して形成された官能基や、これらの官能基を縮合した縮合環を有する官能基や、または、これらの官能基を用いて形成された多環式の芳香族の官能基、を有するナフテン系合成油やナフテン系鉱油がある。
また、上記トラクションオイルの他の例としては、例えば、分岐型アルキルベンゼンやアルキルナフタレンや、または、フェニル基やシクロヘキシル基を含むポリオルガノシロキサンがある。また、上記トラクションオイルの更なる例としては、例えば、α−アルキルスチレン二量体やα−アルキルスチレン二量体の水素化物があり、また、F−(CF(CF)CFO)n−Cの構造式で表されるパーフルオロポリエーテルやこのパーフルオロポリエーテルの誘導体がある。
また、これらのトラクションオイルをパラフィン系鉱油、ポリαオレフィン油など炭化水素系合成油、ジエステルやポリオールエステルなどエステル油、ポリアルキルグリコール油、アルキルジフェニルエーテル油、シリコーン油、パーフルオロアルキルポリエーテル油等公知の潤滑油と混合することもできる。
更には、実用性を更に向上する目的で、酸化防止剤、防錆剤、清浄分散剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、極圧剤、耐摩耗添加剤、腐食防止剤、消泡剤、金属不活性化剤、着色剤等の添加剤を適量添加しても良いことは勿論である。
ここで、これらのトラクションオイルのうちでも、圧力粘度指数が大きいトラクションオイルを使用することが好ましい。本用途では、18GPa−1(40℃)以上が好ましく、25GPa−1(40℃)以上が更に好ましく、32GPa−1(40℃)以上が更に好ましい。このようなトラクションオイルは、軸とスリーブとの間の接触面圧によってガラス化しやすく、駆動力を伝えやすく、また、軸とスリーブとの直接接触を減少させ、軸とスリーブの固着を防ぎ、油圧室の油圧が低下し液状になると、トルク開放を容易になすことができる。
上記軸部材1の外周面20は、三つの動圧発生溝33,34,35と、二つの環状溝36,37とを有し、軸部材1は、複数の貫通穴80,81,82,83を有している。
上記三つの動圧発生溝33,34,35は、略軸部材1の外周面における、第2筒部材11の油圧通路26が延在している部分に径方向に対向している部分に形成されている。上記三つの動圧発生溝33,34,35は、軸方向に略等間隔に形成されている。各動圧発生溝33,34,35は、軸部材1が筒部材2に対して矢印aで示す方向に回転したときに径方向の動圧を発生するようになっている。各動圧発生溝33,34,35は、軸部材1の外周面20に、外周面20の全周に亘って周方向に一定間隔毎に略八字形状に複数形成された溝からなっている。各動圧発生溝33,34,35は、好ましくは周方向に8本以上形成されている。各動圧発生溝33,34,35は、転造(塑性加工)、切削加工、または、エッチングによって形成されている。
各動圧発生溝33,34,35の幅および深さは、軸部材1が、筒部材2に対して回転したとき、安定的に大きな動圧を発生できる深さに設定されている。具体的には、各動圧発生溝33,34,35の周方向の幅は、それら動圧発生溝33,34,35以外の外周面20である丘部のうち、周方向に隣り合った動圧発生溝33,34,35の間の丘部の周方向の幅よりも小さく設定されている。各動圧発生溝33,34,35において、動圧発生溝33,34,35の周方向の幅と、周方向に隣り合った動圧発生溝33,34,35の間の丘部の周方向の幅とは、1:1.5〜1:5に設定されている。ここで、1:1.5より上記丘部の周方向の幅が小さいと筒部材2との接触面積が小さくなる一方、1:5よりも上記丘部の周方向の幅が大きいと動圧の発生能力が悪くなる。
動圧の発生能力を良くするため、各動圧発生溝33,34,35において、動圧発生溝33,34,35の周方向の幅と周方向に隣り合った動圧発生溝33,34,35の間の丘部の周方向の幅とは、1:1.5〜1:3にすることが好ましく、1:2程度にすることが更に好ましい。また、動圧発生溝35の深さは、10μm以下、好ましくは、6μm以下、更に好ましくは、3μm以下に設定されている。動圧発生溝35の深さが、3μm以下の場合に、動圧の発生能力は、特に高くなる。
上記二つの環状溝36,37のうちの一方の環状溝36は、略軸部材1の外周面における、第2筒部材11の油圧通路26が延在している部分に径方向に対向している部分を、軸方向に3分割したときの、一端に位置している部分と、中央部分との境に形成されている。一方、他方の環状溝37は、上記径方向に対向している部分を、軸方向に3分割したときの、他端に位置している部分と、中央部分との境に形成されている。
各環状溝36,37は、軸部材1の周方向に延在している。環状溝36は、一端に位置している動圧発生溝33の中央部側の端に連通していると共に、中央に位置している動圧発生溝34の一端側の端に連通している。一方、環状溝37は、他端に位置している動圧発生溝35の中央部側の端に連通していると共に、中央に位置している動圧発生溝34の他端側の端に連通している。
図2は、環状溝36の延在方向に垂直な方向である径方向の断面図である。尚、環状溝37は、環状溝36と同一形状をしている。環状溝37の形状の説明は、環状溝36の形状の説明をもって省略する。
図2に示すように、環状溝36の延在方向に垂直な断面において、環状溝36が描く線は、環状溝36の両端部で滑らかになっている。図2に示すように、環状溝36の延在方向に垂直な断面において、環状溝36の両端部(エッジ)は、面取りされており(R仕上げされており)、環状溝36の両端部は、曲率半径Rが1.8mm以上2.2mm以下のR形状(曲面形状)を有している。また、環状溝36の両端部の表面粗さRaは1.4〜1.8に設定されている。
環状溝36の延在方向に垂直な断面において、環状溝36の一端部は、環状溝36が形成されている軸部材1の外周面20における環状溝36の一端部側の部分68と滑らかにつながっている。上記断面において、軸部材1の外周面20が描く線は、環状溝36の一端64を含む一端部の全域で微分可能になっている。
また、同様に、上記断面において、環状溝36の他端部は、環状溝36が形成されている軸部材1の外周面20における環状溝36の他端部側の部分69と滑らかにつながっている。上記断面において、軸部材1の外周面20が描く線は、環状溝36の他端65を含む他端部の全域で微分可能になっている。
また、図2に示すように、断面において、環状溝36の輪郭は、円弧状の形状をしている。また、環状溝36の輪郭の曲率の中心点Pは、外周面20における環状溝36の表面以外の部分よりも径方向の外方に位置している。上記断面において、環状溝36が描く線は、環状溝36の輪郭の全域に亘って滑らかな曲線になっていて、図2の断面において、環状溝36が描く線は、環状溝36の輪郭の全域に亘って微分可能な曲線になっている。
環状溝36の輪郭の曲率半径Rは2mm以上6mm以下に設定されている。また、環状溝36の幅wは、円弧状の環状溝36の輪郭の曲率半径Rの1倍以上2.6倍以下の長さに設定されており、環状溝36の深さdは、0.5mm以上1.5mm以下に設定されている。
再び図1を参照して、複数の貫通穴80,81,82,83は、軸部材1に軸部材1の周方向に互いに間隔をおいて配置されている。各貫通穴80,81,82,83は、軸方向に延在する軸方向延在部と、径方向に延在する二つの径方向延在部とを有する。
以下、この構造について、貫通穴80を例にとって説明する。貫通穴80は、軸方向延在部70、第1径方向延在部71、および、第2径方向延在部72からなる。
上記軸方向延在部70は、軸部材1の外周面20から径方向の所定深さの箇所を、軸方向に延在している。上記軸方向延在部70は、軸部材1の第2玉軸受18側の端面に開口し、軸部材1の第2玉軸受18側の端面から所定の長さ延在している。上記軸方向延在部70の第2玉軸受側の開口は、第2玉軸受18における、内輪44と外輪45との間の空間につながっている。このことから、内輪44と外輪45との間に存在するオイルが、上記開口を介して、軸方向延在部70に浸入可能な構造になっている。
一方、上記第1径方向延在部71は、径方向に延在している。上記第1径方向延在部71は、軸方向延在部70および環状溝36に開口している。上記第1径方向延在部71は、軸方向延在部70と環状溝36とを連通している。また、上記第2径方向延在部72は、径方向に延在している。上記第2径方向延在部72は、軸方向延在部70および環状溝37に開口している。上記第2径方向延在部72は、軸方向延在部70と環状溝37とを連通している。このことから、上記貫通穴80は、三つの開口を有している。
上述のように、各動圧発生溝33,34,35は、軸部材1の外周面20に、外周面20の全周に亘って周方向に一定間隔毎に略八字形状に複数形成された溝からなっている。各動圧発生溝33,34,35は、各動圧発生溝33,34,35を構成するそれぞれの溝が、第1シール部材52および第2シール部材53によって密封された空間内に連通していることで、これらの空間に充填された潤滑油(トラクションオイルまたはタービンオイル)を各動圧発生溝33,34,35に供給することが可能になっている。
また、油圧通路26は、第2筒部材11の内周面24の軸方向の所定の長さで略全長に亘って略軸部材1の軸方向に延在している。ここで、上記八字状の複数の溝からなる各動圧発生溝33,34,35は、軸部材1の軸方向に垂直で、かつ、各動圧発生溝33,34,35を二等分する平面上の軸方向の位置で、最も大きな動圧を発生するようになっている。
上記構成において、軸部材1または筒部材2に所定値以下の負荷(トルクの伝達を行う範囲の負荷)がかかっている場合には、図示しないカプラを介して油圧通路26に注入されたのち密封された油圧拡張用の油で、第1筒部材10の内周面21を縮径して、内周面21を軸部材1の外周面20に押し付けて、軸部材1と筒部材2とを摩擦結合して、軸部材1と筒部材2との間でトルクを伝達するようになっている。
一方、軸部材1または筒部材2に所定値以上の負荷(トルクの伝達を行う範囲よりも大きな負荷)がかかって、軸部材1の外周面20が、第1筒部材10の内周面に対してスリップして、軸部材1と第1筒部材10の軸回りの位置が変化した場合、係止部9がシャーバルブ6の上記一端部を切断して、油圧通路26内の油圧拡張用の油を、一端部が切断されたシャーバルブ6を介して外部に排出するようになっている。
このようにして、第1筒部材10の内周面21の軸部材1の外周面20に対する押圧力をなくして、軸部材1と筒部材2の摩擦結合を解いて、トルク(動力)の伝達を遮断するようになっている。このようにして、軸部材1または筒部材2に過負荷が生じた場合において、トルクの伝達を遮断して、トルクリミッタ装置に連結されている高価な機械を保護したり、人身災害を防止したりしている。
また、トルク(動力)の伝達の遮断時に、軸部材1が、第1筒部材10に対して図1にaで示す方向に回転したとき、動圧発生溝33,34,35に入り込んだトラクションオイルまたはタービンオイルによって、径方向の動圧を発生して、この動圧で第1筒部材10を径方向の外方に押圧して、筒部材の内周面および軸部材の外周面の両方に動圧発生溝を有していない構成と比較して、より速い時間で、第1筒部材10と軸部材1とが、非接触な状態になるようにしている。
軸部材1が第1筒部材10に対して相対回転した際、各動圧発生溝33,34,35において、潤滑油(トラクションオイルまたはタービンオイル)を動圧発生部に吸引する力が発生するが、この吸引力で、一端に位置する動圧発生溝33の一端側の開口から、第2玉軸受18の内輪44と外輪45との間に連通する空間内の潤滑油を吸引すると共に、他端に位置する動圧発生溝35の他端側の開口から、第1玉軸受17の内輪40と外輪41との間に連通する空間内の潤滑油を吸引するようになっている。また、上記吸引力で、一端に位置する動圧発生溝33の他端側の開口および中央に位置する動圧発生溝34の一端側の開口から環状溝36および貫通穴80を介して、第2玉軸受18の内輪44と外輪45との間に連通する空間内の潤滑油を吸引するようになっている。また、上記吸引力で、他端に位置する動圧発生溝35の一端側の開口および中央に位置する動圧発生溝34の他端側の開口から環状溝37および貫通穴80を介して、第2玉軸受18の内輪44と外輪45との間に連通する空間内の潤滑油を吸引するようになっている。
このようにして、第1筒部材10および軸部材1の動摩擦に起因する第1筒部材10および軸部材1の焼付きを抑制するようになっている。また、動力非伝達時において、環状溝36,37および貫通穴80,81,82,83を通じて、安定に動圧を発生することができる量の潤滑油を、動圧発生溝33,34,35の両端に位置しない開口に迅速に供給して、軸部材1と筒部材2の係合を迅速に解除するようにしている。
すなわち、動圧発生溝33,34,35を、軸方向に複列配置した場合、動圧発生溝33,34,35の全ての端のうちで、軸方向の両端に位置しない端には(ここで、両端に位置する端とは、第1実施形態の場合、動圧発生溝33の第2玉軸受18側の端と、動圧発生溝35の第1玉軸受17側の端と、をさす)、動圧発生のためのオイルが、円滑に導入されにくくて、オイルがいきわたりにくい。
しかしながら、この発明では、貫通穴80,81,82,83および環状溝36,37があるから、オイルがいきわたりにくい中央側の動圧発生溝の端にも、動圧発生に十分なオイルを行き渡らせることができる。したがって、動圧発生溝33の第2玉軸受18側の端と、動圧発生溝35の第1玉軸受17側の端には、第1または第2玉軸受17,18に連通する空間から直接かつ円滑にオイルを導入できるから、各動圧発生溝33,34,35において、動圧発生溝33,34,35の両端から導入されるオイルの量を、好適にバランスさせることができて、所望の動圧を発生させることができる。
上記第1実施形態のトルクリミッタによれば、軸部材1の外周面20が、軸部材1が筒部材2(正確には、第1筒部材10)に対して回転している状態で動圧を発生する動圧発生溝33,34,35を有しているから、軸部材の外周面および筒部材の内周面の両方が動圧発生溝を有していない構成と比較して、軸部材1が第1筒部材10に対して回転している状態で、軸部材1と第1筒部材10との間に発生する動圧によって、第1筒部材10を軸部材1からより速く浮上させることができて、油圧通路26内から圧油をより速く抜くことができて、第1筒部材10と軸部材1との間をより速く非接触な状態にすることができる。したがって、軸部材1が第1筒部材10に対して回転している状態において、軸部材1の外周面20および第1筒部材10の内周面21の摩耗を抑制できて、トルクリミッタの使用回数を大きくすることができる。
また、上記第1実施形態のトルクリミッタによれば、軸部材1の外周面20に、軸方向に互いに間隔をおいて複数の動圧発生溝33,34,35が形成されているから、軸方向において、複数の箇所で動圧を発生させることができる。したがって、軸方向の一箇所で動圧を発生する場合と比較して、動圧の大きさの軸方向の位置による変動を抑制できて、トルクの非伝達時において、油圧通路26内の油を迅速に抜くことができて、軸部材1と筒部材2の係合を迅速に解除することができる。
また、上記第1実施形態のトルクリミッタによれば、軸部材1の外周面20に、動圧発生溝33,34,35に連通すると共に、軸部材1の中心軸を取り囲むように延在する環状溝36,37が形成され、更に、軸部材1に、環状溝36,37に開口する貫通穴80,81,82,83が形成されているから、トルクの非伝達時において、動圧発生溝の動圧発生部に発生する油の吸引力によって、貫通穴80,81,82,83の環状溝36,37に開口していない第2玉軸受18側の油供給源に連通している開口から、貫通穴80,81,82,83および環状溝36,37を介して動圧発生溝33,34,35の両端以外に位置する開口に安定な動圧の発生に必要な量の油を迅速に行き渡らせることができて、動圧発生溝33,34,35で、安定かつ迅速に動圧を発生させることができる。したがって、この理由からも、筒部材2と軸部材1の係合を迅速に解除することができる。
尚、上記第1実施形態のトルクリミッタでは、動圧発生溝33,34,35および環状溝36,37を、軸部材1の外周面20のみに形成したが、この発明では、動力伝達時に、軸部材の外周面に摩擦結合する筒部材の内周面に、動圧発生溝および環状溝を形成しても良い。また、動力伝達時に、筒部材の内周面に摩擦結合する軸部材の外周面に、動圧発生溝および環状溝を形成すると共に、動力伝達時に、軸部材の外周面に摩擦結合する筒部材の内周面に、動圧発生溝および環状溝を形成しても良い。
また、上記第1実施形態のトルクリミッタでは、動圧発生溝33,34,35が、軸方向に3列に配置されていたが、この発明では、動圧発生溝は、軸方向に2列または4列以上配置されていても良い。
また、上記第1実施形態のトルクリミッタでは、環状溝36,37が、軸方向に2列に配置されていたが、この発明では、環状溝は、軸方向に1列または3列以上配置されていても良い。
また、上記第1実施形態のトルクリミッタでは、環状溝36,37が、径方向に延在し、環状溝36,37の全てが、軸部材1の中心軸に垂直な同一の平面に存在していたが、この発明では、環状溝の全てが、軸部材の中心軸に垂直な同一の平面に存在していなくても良く、環状溝は、軸部材の中心軸を取り囲むように延在していさえすれば良い。
また、上記第1実施形態のトルクリミッタでは、貫通穴80,81,82,83を、周方向に間隔をおいて、複数有していたが、この発明では、貫通穴の数は、一であっても良い。
また、上記第1実施形態のトルクリミッタでは、貫通穴80,81,82,83は、軸部材1の軸方向の上記一端側の端面に開口していたが、この発明では、貫通穴は、軸部材の端面に開口を有していなくても良く、軸部材の外周面のみに開口していても良い。貫通穴の環状溝に開口していない端部は、潤滑油が封入されている空間に連通していれば如何なる箇所に開口しても良い。尚、貫通穴が如何なる形状であっても良く、かつ、貫通穴の開口の数が、2以上の如何なる数であっても良いことは、言うまでもない。
また、上記第1実施形態のトルクリミッタでは、筒部材2を、軸部材1の外周面20と接触する内周面21を有する第1筒部材10と、油圧拡張用の油を封入する油圧通路26を有する第2筒部材11とで構成したが、この発明では、筒部材として、軸部材の外周面と接触する内周面と、油圧拡張用の油を封入する油圧通路とを有する一体型の筒部材を使用しても良い。
また、上記第1実施形態のトルクリミッタでは、貫通穴80,81,82,83の開口の一つを、第2軸受18の内輪44と外輪45との間に連通する空間に開口させて、トルクの非伝達時において、第2玉軸受18の内輪44と外輪45との間に連通する空間から動圧の発生に必要なオイルを、貫通穴80,81,82,83および環状溝36,37に供給するようにした。
しかしながら、この発明では、貫通穴の開口の少なくとも一つを、第1玉軸受の内輪と外輪との間に連通する空間に開口させて、動圧の発生に必要なオイルを、貫通穴および環状溝に供給するようにしても良い。また、貫通穴を、二つ以上の開口を用いて、第1玉軸受の内輪と外輪との間に連通する空間に連通させると共に、第2玉軸受の内輪と外輪との間に連通する空間に連通させるようにしても良い。また、貫通穴の開口を、トルクリミッタの外部にある油供給源に、油通路(油配管)等を介して連通しても良い。また、貫通穴の開口を、油供給装置に連通して、センサが、軸部材と筒部材の相対回転を検出すると、上記油供給装置から、上記貫通穴に油を機械的に供給するようになっていても良い。
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態のトルクリミッタの軸方向の断面図である。なお。軸部材101の一部については外周面を示している。また、図3において、参照番号191,192,193,194は、同じ周方向の位置を示す点線である。
第2実施形態のトルクリミッタは、貫通穴180,181,182,183および環状溝136,137の構造は、第1実施形態と同じである一方、軸部材101の外周面に、その外周面の全周に亘って、周方向に一定間隔毎に複数形成された略V字形状の溝からなる動圧発生溝131,132,133を、軸方向に3列に形成した点が、軸部材1の外周面に、その外周面の全周に亘って、周方向に一定間隔毎に略八字形状に複数形成された溝からなる動圧発生溝33,34,35を、軸方向に3列に形成した第1実施形態のトルクリミッタと異なる。
第2実施形態のトルクリミッタでは、第1実施形態のトルクリミッタの構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第2実施形態のトルクリミッタでは、第1実施形態のトルクリミッタと共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態のトルクリミッタと異なる構成についてのみ説明を行うことにする。尚、第2実施形態において、参照番号108は、略円筒状の外周面120を有する軸部材101の本体部を示し、109は、本体部108の外周面から突出する、軸部材101の断面略L字形状の係止部を示している。また、参照番号150は、係止部109の径方向延在部を示し、151は、係止部109の軸方向延在部を示している。
上述のように、第2実施形態のトルクリミッタでは、軸部材101の外周面に、その外周面の全周に亘って、周方向に一定間隔毎に複数形成された略V字形状の溝からなる動圧発生溝131,132,133を、軸方向に3列に形成している。この三つの動圧発生溝131,132,133は、軸方向に略等間隔に配置されている。動圧発生溝131,132,133の幅および深さは、第1実施形態の動圧発生溝33,34,35の幅および深さと同一である。
各環状溝136,137は、軸部材101の周方向に延在している。環状溝136は、一端に位置している動圧発生溝131の中央部側の端に連通していると共に、中央に位置している動圧発生溝132の一端側の端に連通している。一方、環状溝137は、他端に位置している動圧発生溝133の中央部側の端に連通していると共に、中央に位置している動圧発生溝132の他端側の端に連通している。尚、詳述しないが、貫通穴180,181,182,183および環状溝136,137の構造、および、貫通穴180,181,182,183と、環状溝136,172との連結構造は、第1実施形態と同じである。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、軸方向に複数箇所の動圧発生箇所があるから、軸方向の一箇所で動圧を発生する場合と比較して、動圧の大きさの軸方向の位置による変動を抑制できて、トルクの非伝達時において、油圧通路26内の油を迅速に抜くことができて、軸部材101と筒部材2の係合を迅速に解除することができる。また、貫通穴180,181,182,183および環状溝136,137を介して動圧発生溝131,132,133に安定な動圧に必要な量の油を迅速に行き渡らせることができるから、動圧発生溝131,132,133で、安定かつ迅速に動圧を発生させることができて、この理由からも、軸部材101と筒部材2の係合を迅速に解除することができる。
尚、第2実施形態において、最も大きな動圧が発生される箇所が、三つの動圧発生溝131,132,133における、各動圧発生溝131,132,133のV字状の溝の尖点(屈曲点)が存在する軸方向の位置(3箇所存在)であることは、言うまでもない。
(第3実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態のトルクリミッタの軸方向の断面図である。なお、軸部材201の一部については、外周面を示している。また、図4において、参照番号291,292,293,294は、同じ周方向の位置を示す点線である。
第3実施形態のトルクリミッタは、動力非伝達時において、貫通穴280,281,282,283および環状溝238,239の構造や、軸方向の複数箇所でもっとも大きな動圧を発生できる点が、第1実施形態と同一である一方、軸部材201の第1筒部材10に対する回転方向が、図4にaで示す回転方向であっても、図4にbで示す回転方向であっても、どちらの回転方向であっても、動圧を発生できる点が、第1実施形態のトルクリミッタ、すなわち、軸部材1の第1筒部材10に対する回転方向が、図1にaで示す回転方向であるときだけ、動圧を発生できるトルクリミッタと異なる。
第3実施形態のトルクリミッタでは、第1実施形態のトルクリミッタの構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第3実施形態のトルクリミッタでは、第1実施形態のトルクリミッタと共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態のトルクリミッタと異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。尚、第3実施形態において、参照番号208は、略円筒状の外周面220を有する軸部材201の本体部を示し、209は、本体部208の外周面から突出する、軸部材201の断面略L字形状の係止部を示している。また、参照番号250は、係止部209の径方向延在部を示し、251は、係止部209の軸方向延在部を示している。
第3実施形態のトルクリミッタは軸部材201の外周面における略油圧通路26に径方向に対向する部分(以下、油圧通路対向部という)に、第2玉軸受18側から第1玉軸受17側の方向に、動圧発生溝231、動圧発生溝232、動圧発生溝233、動圧発生溝234、動圧発生溝235、動圧発生溝236を形成している。
動圧発生溝231、動圧発生溝232、動圧発生溝233、動圧発生溝234、動圧発生溝235および動圧発生溝236の形状は、同一であり、各動圧発生溝231,232,233,234,235,236は、螺旋溝の一部からなる溝を、軸部材201の外周面の一部に、軸部材1の全周に亘って周方向に一定間隔毎に形成してなっている。各動圧発生溝231,232,233,234,235,236において、各螺旋溝の一端の軸方向の位置は全て同一であり、各螺旋溝の他端の軸方向の位置は全て同一になっている。
上記軸部材201の外周面は、軸方向において、動圧発生溝231を構成する螺旋溝の一部からなる溝と、動圧発生溝232を構成する螺旋溝の一部からなる溝との間に溝が存在しない部分を有している。また、上記軸部材201の外周面は、軸方向において、動圧発生溝233を構成する螺旋溝の一部からなる溝と、動圧発生溝234を構成する螺旋溝の一部からなる溝との間に溝が存在しない部分を有している。また、上記軸部材201の外周面は、軸方向において、動圧発生溝235を構成する螺旋溝の一部からなる溝と動圧発生溝236を構成する螺旋溝の一部からなる溝との間に、溝が存在しない部分を有している。
動圧発生溝231、動圧発生溝233および動圧発生溝235が、第1筒部材10に対して軸部材201が図4に矢印aで示す方向に回転したときに、各動圧発生溝231,233,235の第1玉軸受17側の端で動圧を発生するようになっている一方、動圧発生溝232、動圧発生溝234および動圧発生溝236は、第1筒部材10に対して軸部材201が図4に矢印bで示す方向に回転したときに、各動圧発生溝232,234,236の第2玉軸受18側の端で動圧を発生するようになっている。
動圧発生溝231の第2玉軸受側の端は、第2玉軸受18の外輪45と内輪44との間の空間に連通し、動圧発生時において、動圧発生溝131には、動圧発生による吸引力(負圧)により、その空間から潤滑油(動圧を発生させる油)が、直接かつ自動的に導入されるようになっている。
動圧発生溝232の第1玉軸受側の端は、環状溝238に開口していると共に、動圧発生溝233の第2玉軸受側の端は、環状溝238に開口している。動圧発生時において、動圧発生溝232の第1玉軸受側の端および動圧発生溝233の第2玉軸受側の端(動圧発生溝232と動圧発生溝233が同時に動圧を発生することはない)には、動圧発生による吸引力(負圧)により、第2玉軸受18の外輪45と内輪44との間の空間から、貫通穴280,281,282,283、環状溝238を介して、潤滑油(動圧を発生させる油)が、自動的に導入されるようになっている。
動圧発生溝234の第1玉軸受側の端は、環状溝239に開口していると共に、動圧発生溝235の第2玉軸受側の端は、環状溝239に開口している。動圧発生時において、動圧発生溝234の第1玉軸受側の端および動圧発生溝235の第2玉軸受側の端(動圧発生溝234と動圧発生溝235が同時に動圧を発生することはない)には、動圧発生による吸引力(負圧)により、第2玉軸受18の外輪45と内輪44との間の空間から、貫通穴280,281,282,283、環状溝239を介して、潤滑油(動圧を発生させる油)が、自動的に導入されるようになっている。
動圧発生溝236の第1玉軸受側の端は、第1玉軸受17の外輪41と内輪40との間の空間に連通し、動圧発生時において、動圧発生溝236には、動圧発生による吸引力(負圧)により、その空間から潤滑油(動圧を発生させる油)が、自動的に導入されるようになっている。
貫通穴280,281,282,283および環状溝238,239を形成することによって、動圧発生溝231,232,233,234,235,236の軸方向の両端に位置しない開口に、円滑にオイルを導入するようにして、動圧発生溝231,232,233,234,235,236の両端から導入されるオイルの量をバランスさせるようにしたのは、第1実施形態と同様である。
上記第3実施形態のトルクリミッタによれば、動力非伝達時において、軸部材201の第1筒部材10に対する回転方向が、図4にaで示す回転方向であっても、図4にbで示す回転方向であっても、どちらの回転方向であっても、動圧を発生させることができる。したがって、動力を伝える側の部材(軸部材または筒部材)が、双方向回転する仕様であっても、動力非伝達時に必ず動圧を発生させることができる。
尚、上記第3実施形態のトルクリミッタでは、第1筒部材10に対して軸部材201が図4に矢印aで示す方向に回転したときに、動圧を発生する動圧発生溝231,233,235が、螺旋の一部からなる複数の溝からなっていると共に、第1筒部材10に対して軸部材201が図4に矢印bで示す方向に回転したときに、動圧を発生する動圧発生溝232,234,236が、螺旋の一部からなる複数の溝からなっている。
しかしながら、この発明では、軸部材の外周面における油圧通路に径方向に対向する油圧通路対向部に、軸方向の一方の側から他方の側に向かって、第1または第2実施形態で説明した八字またはV字状の複数の溝からなる動圧発生溝と、この八字またはV字状の複数の溝との比較において、逆八字または逆V字状の複数の溝からなる動圧発生溝と、を交互に二周期(一周期は、一つの八字またはV字状の複数の溝と、一つの逆八字または逆V字状の複数の溝からなるものとする)以上形成して、動力を伝える側の部分(軸部材または筒部材)が、双方向回転する仕様であっても、動力非伝達時に必ず動圧を発生させるようにしても良い。
尚、動力を伝える側の部材(軸部材または筒部材)が、双方向回転する仕様で、動力非伝達時に必ず動圧を発生させる場合、動圧発生溝の形状は、動力非伝達時に必ず動圧を発生させることができる形状であれば、如何なる形状の溝であっても良いことは言うまでもない。
(第4実施形態)
図5は、本発明の第4実施形態のトルクリミッタの軸方向の断面図である。また、図6は、筒部材302の内周面324と、その内周面324に対する筒部材302の貫通穴380,381の3次元空間における相対位置とを示す図である。なお、図5において、筒部材302の一部について、理解を容易にするために、具体的に内周面324の様子を示すようにした。また、図5および6において、参照番号391,392は、同じ周方向の位置を示す点線である。
第4実施形態のトルクリミッタは、油圧拡張用の油を封入する油圧通路326を軸部材301に設置し、油圧通路326が径方向外方に拡張することで筒部材302に摩擦係合することが、第1実施形態と異なる。また、第4実施形態のトルクリミッタは、動圧発生溝333,334,335、環状溝336,337および貫通穴380,381を、軸部材301でなくて筒部材302に形成した点が、第1実施形態と異なる。
第4実施形態のトルクリミッタは、軸部材301、筒部材302、シャーバブル306、第1玉軸受317、第2玉軸受318、第1シール部材352および第2シール部材353を備える。
上記筒部材302は、略円筒状の内周面324を有するとともに、シャーバルブ306の軸方向の一端部を係止する係止部309を備えている。図5および図6に示すように、上記筒部材302の内周面324は、三つの動圧発生溝333,334,335と、二つの環状溝336,337とを有し、筒部材302は、複数の貫通穴380,381を有している。
上記動圧発生溝333,334,335は、軸部材301が筒部材302に対して図5に矢印aで示す方向に回転したときに、略径方向の動圧を発生するようになっている。上記動圧発生溝333,334,335は、筒部材302の内周面324に、内周面324の全周に亘って周方向に一定間隔毎に略八字形状に複数形成された溝からなっている。上記動圧発生溝333,334,335は、好ましくは周方向に8本以上形成されている。上記動圧発生溝333,334,335の形成方法、動圧発生溝333,334,335の周方向の幅と隣り合う動圧発生溝333,334,335の間の丘部の幅の関係、動圧発生溝333,334,335の幅、および、動圧発生溝333,334,335の深さは第1実施形態と同様である。
上記二つの環状溝336,337のうちの一方の環状溝336は、略筒部材302の内周面324における、軸部材301の油圧通路326が延在している部分に径方向に対向している部分を、軸方向に3分割したときの、一端に位置している部分と、中央部分との境に形成されている。一方、他方の環状溝337は、上記径方向に対向している部分を、軸方向に3分割したときの、他端に位置している部分と、中央部分との境に形成されている。
各環状溝336,337は、筒部材302の周方向に延在している。環状溝336は、一端に位置している動圧発生溝333の中央部側の端に連通していると共に、中央に位置している動圧発生溝334の一端側の端に連通している。一方、環状溝337は、他端に位置している動圧発生溝335の中央部側の端に連通していると共に、中央に位置している動圧発生溝334の他端側の端に連通している。各環状溝336,337の幅、深さ等の形状は、第1実施形態の環状溝336,337の幅、深さ等の形状と同一である。
複数の貫通穴380,381は、筒部材302に筒部材302の周方向に互いに間隔をおいて配置されている。各貫通穴380,381は、軸方向に延在する軸方向延在部と、径方向に延在する二つの径方向延在部とを有する。
以下、この構造について、貫通穴380を例にとって説明する。貫通穴380は、軸方向延在部370、第1径方向延在部371、および、第2径方向延在部372からなる。
上記軸方向延在部370は、筒部材302の内周面324から径方向の所定深さの箇所を、軸方向に延在している。上記軸方向延在部370は、筒部材302の第2玉軸受318側の端面に開口し、筒部材302の第2玉軸受318側の端面から所定の長さ延在している。上記軸方向延在部370の第2玉軸受側の開口は、第2玉軸受318における、内輪と外輪との間の空間につながっている。このことから、内輪と外輪との間に存在するオイルが、上記開口を介して、軸方向延在部370に浸入可能な構造になっている。
一方、上記第1径方向延在部371は、径方向に延在している。上記第1径方向延在部371は、軸方向延在部370および環状溝336に開口している。上記第1径方向延在部371は、軸方向延在部370と環状溝336とを連通している。また、上記第2径方向延在部372は、径方向に延在している。上記第2径方向延在部372は、軸方向延在部370および環状溝337に開口している。上記第2径方向延在部372は、軸方向延在部370と環状溝337とを連通している。このことから、上記貫通穴380は、三つの開口を有している。
上記軸部材301は、軸本体361と、環状部材310とからなっている。環状部材310の内周面321は軸本体361の外周面320と嵌めあわされ、端面をボルト345で係止され固定されている。環状部材310は、略円筒状の外周面323を有し、この外周面323は、後述するように筒部材302の内周面324に押し付けられるようになっている。
上記環状部材310は、シャーバブル取付穴330および油圧通路326を有している。油圧通路326は、環状部材310の内部に環状に形成され、環状部材310の外周面323の軸方向の所定の長さに亘って略軸部材301の軸方向に延在している。
シャーバブル306は第1実施形態と同様に油圧通路326に連通し、油圧通路326とともに密封空間を形成している。
上記第1玉軸受317は、第1実施形態と同様アンギュラ玉軸受からなり、その内輪が軸部材301の軸本体361に外嵌され、その外輪が筒部材302に内嵌されている。また、上記第2玉軸受318は、第1実施形態と同様アンギュラ玉軸受からなり、その内輪は、軸部材301の環状部材310に外嵌され、その外輪が筒部材302に内嵌されている。
そして、第1シール部材352は、第1玉軸受317の油圧通路326とは反対側の軸本体361と筒部材302との間を密封し、第2シール部材353は第2玉軸受318の油圧通路326とは反対側の環状部材310と筒部材302との間を密封している。
上記第1シール部材352および第2シール部材353によって密封された空間は、第1実施形態で述べた潤滑油が充填されている。
上記各動圧発生溝333,334,335は、筒部材302の内周面324に、その内周面324の全周に亘って周方向に一定間隔毎に略八字形状に複数形成された溝からなっている。各動圧発生溝333,334,335は、各動圧発生溝333,334,335を構成するそれぞれの溝が、第1シール部材352および第2シール部材353によって密封された空間内に連通していることで、これらの空間に充填された潤滑油(トラクションオイルまたはタービンオイル)を各動圧発生溝333,334,335に供給することが可能になっている。
また、油圧通路326は、筒部材302の内周面324の軸方向の所定の長さで略全長に亘って略筒部材302の軸方向に延在している。ここで、上記八字状の複数の溝からなる各動圧発生溝333,334,335は、筒部材302の軸方向に垂直で、かつ、各動圧発生溝333,334,335を二等分する平面上の軸方向の位置で、最も大きな動圧を発生するようになっている。
上記構成において、軸部材301または筒部材302に所定値以下の負荷(トルクの伝達を行う範囲の負荷)がかかっている場合には、図示しないカプラを介して油圧通路326に注入されたのち密封された油圧拡張用の油で、環状部材310の外周面323を拡径して、外周面323を筒部材302の内周面324に押し付けて、軸部材301と筒部材302とを摩擦結合して、軸部材301と筒部材302との間でトルクを伝達するようになっている。
一方、軸部材301または筒部材302に所定値以上の負荷(トルクの伝達を行う範囲よりも大きな負荷)がかかって、環状部材310の外周面323が、筒部材302の内周面324に対してスリップして、環状部材310と筒部材302の軸回りの位置が変化した場合、係止部309がシャーバルブ306の一端部を切断して、油圧通路326内の油圧拡張用の油を、一端部が切断されたシャーバルブ306を介して外部に排出するようになっている。
このようにして、環状部材310の外周面323の筒部材302の内周面324に対する押圧力をなくして、軸部材301と筒部材302の摩擦結合を解いて、トルク(動力)の伝達を遮断するようになっている。このようにして、軸部材301または筒部材302に過負荷が生じた場合において、トルクの伝達を遮断して、トルクリミッタ装置に連結されている高価な機械を保護したり、人身災害を防止したりしている。
また、トルク(動力)の伝達の遮断時に、環状部材310が、筒部材302に対して図5にaで示す方向に回転したとき、動圧発生溝333,334,335に入り込んだトラクションオイルまたはタービンオイルによって、径方向の動圧を発生して、この動圧で環状部材310を径方向の内方に押圧して、筒部材の内周面および軸部材の外周面の両方が動圧発生溝を有していない構成と比較して、より速い時間で、環状部材310と筒部材302とが、非接触な状態になるようにしている。このようにして、環状部材310および筒部材302の動摩擦に起因する環状部材310および筒部材302の焼付きを抑制するようになっている。
軸部材301が筒部材302に対して相対回転した際、各動圧発生溝333,334,335において、潤滑油(トラクションオイルまたはタービンオイル)を動圧発生部に吸引する力が発生するが、この吸引力で、一端に位置する動圧発生溝333の一端側の開口から、第2玉軸受318の内輪と外輪との間に連通する空間内の潤滑油を吸引すると共に、他端に位置する動圧発生溝335の他端側の開口から、第1玉軸受317の内輪と外輪との間に連通する空間内の潤滑油を吸引するようになっている。また、上記吸引力で、一端に位置する動圧発生溝333の他端側の開口および中央に位置する動圧発生溝334の一端側の開口から環状溝336および貫通穴380,381を介して、第2玉軸受318の内輪と外輪との間に連通する空間内の潤滑油を吸引するようになっている。また、上記吸引力で、他端に位置する動圧発生溝335の一端側の開口および中央に位置する動圧発生溝334の他端側の開口から環状溝337および貫通穴380,381を介して、第2玉軸受318の内輪と外輪との間に連通する空間内の潤滑油を吸引するようになっている。
このようにして、筒部材302および軸部材301の動摩擦に起因する筒部材302および軸部材301の焼付きを抑制するようになっている。また、動力非伝達時において、環状溝336,337および貫通穴380,381を通じて、安定に動圧を発生することができる量の潤滑油を、動圧発生溝333,334,335の両端に位置しない開口に迅速に供給して、軸部材1と筒部材2の係合を迅速に解除するようにしている。
すなわち、動圧発生溝333,334,335を、軸方向に複列配置した場合、動圧発生溝333,334,335の全ての端のうちで、軸方向の両端に位置しない端には(ここで、両端に位置する端とは、第4実施形態の場合、動圧発生溝333の第2玉軸受18側の端と、動圧発生溝335の第1玉軸受17側の端と、をさす)、動圧発生のためのオイルが、円滑に導入されにくくて、オイルがいきわたりにくい。
しかしながら、この発明では、貫通穴380,381および環状溝336,337があるから、オイルがいきわたりにくい中央側の動圧発生溝の端にも、動圧発生に十分なオイルを行き渡らせることができる。したがって、動圧発生溝333の第2玉軸受318側の端と、動圧発生溝335の第1玉軸受317側の端には、第1または第2玉軸受317,318に連通する空間から直接かつ円滑にオイルを導入できるから、各動圧発生溝333,334,335において、動圧発生溝333,334,335の両端から導入されるオイルの量を、好適にバランスさせることができて、所望の動圧を発生させることができる。
上記第4実施形態のトルクリミッタによれば、筒部材302の内周面324が、軸部材301が筒部材302に対して回転している状態で動圧を発生する動圧発生溝333,334,335を有しているから、軸部材の外周面および筒部材の内周面の両方が動圧発生溝を有していない構成と比較して、軸部材301が筒部材302に対して回転している状態で、軸部材301と筒部材302との間に発生する動圧によって、筒部材302を軸部材301からより速く浮上させることができて、油圧通路326内から圧油をより速く抜くことができて、筒部材302と軸部材301との間をより速く非接触な状態にすることができる。したがって、軸部材301が筒部材302に対して回転している状態において、軸部材301の外周面323および筒部材302の内周面324の摩耗を抑制できて、トルクリミッタの使用回数を大きくすることができる。
また、上記第4実施形態のトルクリミッタによれば、筒部材302の内周面324に、軸方向に互いに間隔をおいて複数の動圧発生溝333,334,335が形成されているから、軸方向において、複数の箇所で動圧を発生させることができる。したがって、軸方向の一箇所で動圧を発生する場合と比較して、動圧の大きさの軸方向の位置による変動を抑制できて、トルクの非伝達時において、油圧通路326内の油を迅速に抜くことができて、軸部材301と筒部材302の係合を迅速に解除することができる。
また、上記第4実施形態のトルクリミッタによれば、筒部材302の内周面324に、動圧発生溝333,334,335に連通すると共に、軸部材301の中心軸を取り囲むように延在する環状溝336,337が形成され、更に、筒部材302に、環状溝336,337に開口する貫通穴380,381が形成されているから、トルクの非伝達時において、動圧発生溝の動圧発生部に発生する油の吸引力によって、貫通穴380,381の環状溝336,337に開口していない第2玉軸受318側の油供給源に連通している開口から、貫通穴380,381および環状溝336,337を介して動圧発生溝333,334,335の両端以外に位置する開口に安定な動圧の発生に必要な量の油を迅速に行き渡らせることができて、動圧発生溝333,334,335で、安定かつ迅速に動圧を発生させることができる。したがって、この理由からも、筒部材302と軸部材301の係合を迅速に解除することができる。
尚、上記第4実施形態のトルクリミッタでは、動圧発生溝333,334,335および環状溝336,337を、筒部材302の内周面324のみに形成したが、この発明では、動力伝達時に、筒部材の内周面に摩擦結合する軸部材の外周面に、動圧発生溝および環状溝を形成しても良い。また、動力伝達時に、軸部材の外周面に摩擦結合する筒部材の内周面に、動圧発生溝および環状溝を形成すると共に、動力伝達時に、筒部材の内周面に摩擦結合する軸部材の外周面に、動圧発生溝および環状溝を形成しても良い。
また、上記第4実施形態のトルクリミッタでは、動圧発生溝333,334,335が、軸方向に3列に配置されていたが、この発明では、動圧発生溝は、軸方向に2列または4列以上配置されていても良い。
また、上記第4実施形態のトルクリミッタでは、環状溝336,337が、軸方向に2列に配置されていたが、この発明では、環状溝は、軸方向に1列または3列以上配置されていても良い。
また、上記第4実施形態のトルクリミッタでは、環状溝336,337が、径方向に延在し、環状溝336,337の全てが、軸部材301の中心軸に垂直な同一の平面に存在していたが、この発明では、環状溝の全てが、軸部材の中心軸に垂直な同一の平面に存在していなくても良く、環状溝は、軸部材の中心軸を取り囲むように延在していさえすれば良い。
また、上記第4実施形態のトルクリミッタでは、貫通穴380,381を、周方向に間隔をおいて、複数有していたが、この発明では、貫通穴の数は、一であっても良い。
また、上記第4実施形態のトルクリミッタでは、貫通穴380,381は、筒部材301の軸方向の第2玉軸受318側の端面に開口していたが、この発明では、貫通穴は、筒部材の端面に開口を有していなくても良く、筒部材の内周面のみに開口していても良い。貫通穴の環状溝に開口していない端部は、潤滑油が封入されている空間に連通していれば如何なる箇所に開口しても良い。尚、貫通穴が如何なる形状であっても良く、かつ、貫通穴の開口の数が、2以上の如何なる数であっても良いことは、言うまでもない。
また、上記第4実施形態のトルクリミッタでは、軸部材301を、軸本体361と、筒部材302の内周面324と接触する外周面323および油圧通路326を有する環状部材310とで構成したが、この発明では、軸部材として、一体型の軸部材を使用しても良い。
また、上記第4実施形態のトルクリミッタでは、貫通穴380,381の開口の一つを、第2軸受318の内輪と外輪との間に連通する空間に開口させて、トルクの非伝達時において、第2玉軸受18の内輪と外輪との間に連通する空間から動圧の発生に必要なオイルを、貫通穴380,381および環状溝336,337に供給するようにした。
しかしながら、この発明では、貫通穴の開口の少なくとも一つを、第1玉軸受の内輪と外輪との間に連通する空間に開口させて、動圧の発生に必要なオイルを、貫通穴および環状溝に供給するようにしても良い。また、貫通穴を、二つ以上の開口を用いて、第1玉軸受の内輪と外輪との間に連通する空間に連通させると共に、第2玉軸受の内輪と外輪との間に連通する空間に連通させるようにしても良い。また、貫通穴の開口を、トルクリミッタの外部にある油供給源に、油通路(油配管)等を介して連通しても良い。また、貫通穴の開口を、油供給装置に連通して、センサが、軸部材と筒部材の相対回転を検出すると、上記油供給装置から、上記貫通穴に油を機械的に供給するようになっていても良い。
(第5実施形態)
図7は、本発明の第5実施形態のトルクリミッタの軸方向の断面図である。また、図8は、筒部材402の内周面424と、その内周面424に対する筒部材402の貫通穴480,481の3次元空間における相対位置とを示す図である。なお、図7において、筒部材402の一部について、理解を容易にするために、具体的に内周面424の様子を示すようにした。また、図7および8において、参照番号491,492は、同じ周方向の位置を示す点線である。
第5実施形態のトルクリミッタは、貫通穴480,481および環状溝436,437の構造は、第4実施形態と同じである一方、筒部材402の内周面424に、その内周面424の全周に亘って、周方向に一定間隔毎に複数形成された略V字形状の溝からなる動圧発生溝431,432,433を、軸方向に3列に形成した点が、筒部材302の内周面324に、その内周面324の全周に亘って、周方向に一定間隔毎に略八字形状に複数形成された溝からなる動圧発生溝333,334,335を、軸方向に3列に形成した第4実施形態のトルクリミッタと異なる。
第5実施形態のトルクリミッタでは、第4実施形態のトルクリミッタの構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第5実施形態のトルクリミッタでは、第4実施形態のトルクリミッタと共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第4実施形態のトルクリミッタと異なる構成についてのみ説明を行うことにする。
上述のように、第5実施形態のトルクリミッタでは、筒部材402の内周面424に、その内周面424の全周に亘って、周方向に一定間隔毎に複数形成された略V字形状の溝からなる動圧発生溝431,432,433を、軸方向に3列に形成している。この三つの動圧発生溝431,432,433は、軸方向に等間隔に配置されている。動圧発生溝431,432,433の幅および深さは、第4実施形態の動圧発生溝333,334,335の幅および深さと同一である。
各環状溝436,437は、筒部材402の周方向に延在している。環状溝436は、一端に位置している動圧発生溝431の中央部側の端に連通していると共に、中央に位置している動圧発生溝432の一端側の端に連通している。一方、環状溝437は、他端に位置している動圧発生溝433の中央部側の端に連通していると共に、中央に位置している動圧発生溝432の他端側の端に連通している。尚、詳述しないが、貫通穴480,481および環状溝436,437の構造、および、貫通穴480,481と、環状溝436,437との連結構造は、第4実施形態と同じである。
第5実施形態においても、第4実施形態と同様に、軸方向に複数箇所の動圧発生箇所があるから、軸方向の一箇所で動圧を発生する場合と比較して、動圧の大きさの軸方向の位置による変動を抑制できて、トルクの非伝達時において、油圧通路326内の油を迅速に抜くことができて、軸部材301と筒部材402の係合を迅速に解除することができる。また、貫通穴480,481および環状溝436,437を介して動圧発生溝431,432,433に安定な動圧に必要な量の油を迅速に行き渡らせることができるから、動圧発生溝431,432,433で、安定かつ迅速に動圧を発生させることができて、この理由からも、軸部材301と筒部材402の係合を迅速に解除することができる。
尚、第5実施形態において、最も大きな動圧が発生される箇所が、三つの動圧発生溝431,432,433における、各動圧発生溝431,432,433のV字状の溝の尖点(屈曲点)が存在する軸方向の位置(3箇所存在)であることは、言うまでもない。
(第6実施形態)
図9は、本発明の第6実施形態のトルクリミッタの軸方向の断面図である。また、図10は、筒部材502の内周面524と、その内周面524に対する筒部材502の貫通穴580,581の3次元空間における相対位置とを示す図である。なお、図9において、筒部材502の一部について、理解を容易にするために、具体的に内周面524の様子を示すようにした。また、図9および10において、参照番号591,592は、同じ周方向の位置を示す点線である。
第6実施形態のトルクリミッタは、動力非伝達時において、貫通穴580,581および環状溝538,539の構造や、軸方向の複数箇所でもっとも大きな動圧を発生できる点が、第4実施形態と同一である一方、筒部材502の軸部材301に対する回転方向が、図9にaで示す回転方向であっても、図9にbで示す回転方向であっても、どちらの回転方向であっても、動圧を発生できる点が、第4実施形態のトルクリミッタ、すなわち、軸部材301の筒部材302に対する回転方向が、図5にaで示す回転方向であるときだけ、動圧を発生できるトルクリミッタと異なる。
第6実施形態のトルクリミッタでは、第4実施形態のトルクリミッタの構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第6実施形態のトルクリミッタでは、第4実施形態のトルクリミッタと共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第4実施形態のトルクリミッタと異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
第6実施形態のトルクリミッタは筒部材502の内周面524における略油圧通路326に径方向に対向する部分(以下、油圧通路対向部という)に、第2玉軸受318側から第1玉軸受317側の方向に、動圧発生溝531、動圧発生溝532、動圧発生溝533、動圧発生溝534、動圧発生溝535、動圧発生溝536を形成している。
動圧発生溝531、動圧発生溝532、動圧発生溝533、動圧発生溝534、動圧発生溝535および動圧発生溝536の形状は、同一であり、各動圧発生溝531,532,533,534,535,536は、螺旋溝の一部からなる溝を、筒部材502の内周面524の一部に、筒部材502の全周に亘って周方向に一定間隔毎に形成してなっている。各動圧発生溝531,532,533,534,535,536において、各螺旋溝の一端の軸方向の位置は全て同一であり、各螺旋溝の他端の軸方向の位置は全て同一になっている。
上記筒部材502の内周面524は、軸方向において、動圧発生溝531を構成する螺旋溝の一部からなる溝と、動圧発生溝532を構成する螺旋溝の一部からなる溝との間に溝が存在しない部分を有している。また、上記筒部材502の内周面524は、軸方向において、動圧発生溝533を構成する螺旋溝の一部からなる溝と、動圧発生溝534を構成する螺旋溝の一部からなる溝との間に溝が存在しない部分を有している。また、上記筒部材502の内周面524は、軸方向において、動圧発生溝535を構成する螺旋溝の一部からなる溝と動圧発生溝536を構成する螺旋溝の一部からなる溝との間に、溝が存在しない部分を有している。
動圧発生溝531、動圧発生溝533および動圧発生溝535が、筒部材502に対して軸部材301が図9に矢印aで示す方向に回転したときに、各動圧発生溝531,533,535の第1玉軸受317側の端で動圧を発生するようになっている一方、動圧発生溝532、動圧発生溝534および動圧発生溝536は、筒部材502に対して軸部材301が図9に矢印bで示す方向に回転したときに、各動圧発生溝532,534,536の第2玉軸受318側の端で動圧を発生するようになっている。
動圧発生溝531の第2玉軸受側の端は、第2玉軸受318の外輪と内輪との間の空間に連通し、動圧発生時において、動圧発生溝531には、動圧発生による吸引力(負圧)により、その空間から潤滑油(動圧を発生させる油)が、直接かつ自動的に導入されるようになっている。
動圧発生溝532の第1玉軸受側の端は、環状溝538に開口していると共に、動圧発生溝533の第2玉軸受側の端は、環状溝538に開口している。動圧発生時において、動圧発生溝532の第1玉軸受側の端および動圧発生溝533の第2玉軸受側の端(動圧発生溝532と動圧発生溝533が同時に動圧を発生することはない)には、動圧発生による吸引力(負圧)により、第2玉軸受318の外輪と内輪との間の空間から、貫通穴580,581、環状溝538を介して、潤滑油(動圧を発生させる油)が、自動的に導入されるようになっている。
動圧発生溝534の第1玉軸受側の端は、環状溝539に開口していると共に、動圧発生溝535の第2玉軸受側の端は、環状溝539に開口している。動圧発生時において、動圧発生溝534の第1玉軸受側の端および動圧発生溝535の第2玉軸受側の端(動圧発生溝534と動圧発生溝535が同時に動圧を発生することはない)には、動圧発生による吸引力(負圧)により、第2玉軸受18の外輪と内輪との間の空間から、貫通穴580,581、環状溝539を介して、潤滑油(動圧を発生させる油)が、自動的に導入されるようになっている。
動圧発生溝536の第1玉軸受側の端は、第1玉軸受317の外輪と内輪との間の空間に連通し、動圧発生時において、動圧発生溝536には、動圧発生による吸引力(負圧)により、その空間から潤滑油(動圧を発生させる油)が、自動的に導入されるようになっている。
貫通穴580,581、および、環状溝538,539を形成することによって、動圧発生溝531,532,533,534,535,536の軸方向の両端に位置しない開口に、円滑にオイルを導入するようにして、各動圧発生溝531,532,533,534,535,536において、各動圧発生溝531,532,533,534,535,536の両端から導入されるオイルの量をバランスさせるようにしたのは、第4実施形態と同様である。
上記第6実施形態のトルクリミッタによれば、動力非伝達時において、軸部材301の筒部材502に対する回転方向が、図9にaで示す回転方向であっても、図9にbで示す回転方向であっても、どちらの回転方向であっても、動圧を発生させることができる。したがって、動力を伝える側の部材(軸部材または筒部材)が、双方向回転する仕様であっても、動力非伝達時に必ず動圧を発生させることができる。
尚、上記第6実施形態のトルクリミッタでは、筒部材502に対して軸部材301が図9に矢印aで示す方向に回転したときに、動圧を発生する動圧発生溝531,533,535が、螺旋の一部からなる複数の溝からなっていると共に、筒部材502に対して軸部材301が図9に矢印bで示す方向に回転したときに、動圧を発生する動圧発生溝532,534,536が、螺旋の一部からなる複数の溝からなっている。
しかしながら、この発明では、筒部材の内周面における油圧通路に径方向に対向する油圧通路対向部に、軸方向の一方の側から他方の側に向かって、第4または第5実施形態で説明した八字またはV字状の複数の溝からなる動圧発生溝と、この八字またはV字状の複数の溝との比較において、逆八字または逆V字状の複数の溝からなる動圧発生溝と、を交互に二周期(一周期は、一つの八字またはV字状の複数の溝と、一つの逆八字または逆V字状の複数の溝からなるものとする)以上形成して、動力を伝える側の部分(軸部材または筒部材)が、双方向回転する仕様であっても、動力非伝達時に必ず動圧を発生させるようにしても良い。
尚、動力を伝える側の部材(軸部材または筒部材)が、双方向回転する仕様で、動力非伝達時に必ず動圧を発生させる場合、動圧発生溝の形状は、動力非伝達時に必ず動圧を発生させることができる形状であれば、如何なる形状の溝であっても良いことは言うまでもない。
尚、上記第1乃至6実施形態では、摩擦結合する、軸部材の外周面または筒部材の内周面に、略八字状の複数の溝、略V字状の複数の溝、または、螺旋溝の一部からなる複数の溝からなる動圧発生溝を形成して、軸方向の複数箇所において、径方向に最も大きな動圧を発生させるようにした。しかしながら、この発明では、軸部材の外周面および筒部材の内周面のうちの少なくとも一方に、軸方向の複数箇所において、径方向に最も大きな動圧を発生させるように形成される動圧発生溝の形状は、径方向に動圧を発生できる形状であれば、如何なる形状であっても良いことも、言うまでもない。
本発明の第1実施形態のトルクリミッタを表す断面図である。 第1実施形態において、環状溝の延在方向の断面図である。 本発明の第2実施形態のトルクリミッタを示す断面図である。 本発明の第3実施形態のトルクリミッタを示す断面図である。 本発明の第4実施形態のトルクリミッタを表す断面図である。 第4実施形態において、筒部材の内周面と、その内周面に対する筒部材の貫通穴の3次元空間における相対位置とを示す図である。 本発明の第5実施形態のトルクリミッタを表す断面図である。 第5実施形態において、筒部材の内周面と、その内周面に対する筒部材の貫通穴の3次元空間における相対位置とを示す図である。 本発明の第6実施形態のトルクリミッタを表す断面図である。 第6実施形態において、筒部材の内周面と、その内周面に対する筒部材の貫通穴の3次元空間における相対位置とを示す図である。
符号の説明
1,101,201,301 軸部材
2,302,402,502 筒部材
10 第1筒部材
11 第2筒部材
20,120,220 軸部材の外周面
21 第1筒部材の内周面
26,326 油圧通路
33,34,35,131,132,133,231,232,233,234,235,236,333,334,335,431,432,433,531,532,533,534,535,536 動圧発生溝
36,37,136,137,238,239,336,337,436,437,538,539 環状溝
80,81,82,83,180,181,182,183,280,281,282,283,380,381,480,481,580,581 貫通穴
310 環状部材
323 環状部材の外周面
324,424,524 筒部材の内周面
361 軸本体

Claims (2)

  1. 軸部材と、
    この軸部材に回転可能に外嵌した筒部材と
    を備え、
    上記筒部材の内部に、上記軸部材の外周面に上記筒部材の内周面を押し付けるための油圧通路を有し、
    上記軸部材の上記外周面および上記筒部材の上記内周面のうちの少なくとも一方は、
    軸方向に互いに間隔をおいて位置すると共に、上記軸部材が上記筒部材に対して回転している状態で動圧を発生する複数の動圧発生溝と、
    上記動圧発生溝に連通すると共に、上記軸部材の中心軸を取り囲むように延在する環状溝と
    を有し、
    上記軸部材および上記筒部材のうちの少なくとも一方は、上記環状溝に開口する貫通穴を有していることを特徴とするトルクリミッタ。
  2. 軸部材と、
    この軸部材に回転可能に外嵌した筒部材と
    を備え、
    上記軸部材の内部に、上記筒部材の内周面に上記軸部材の外周面を押し付けるための油圧通路を有し、
    上記軸部材の上記外周面および上記筒部材の上記内周面のうちの少なくとも一方は、
    軸方向に互いに間隔をおいて位置すると共に、上記軸部材が上記筒部材に対して回転している状態で動圧を発生する複数の動圧発生溝と、
    上記動圧発生溝に連通すると共に、上記軸部材の中心軸を取り囲むように延在する環状溝と
    を有し、
    上記軸部材および上記筒部材のうちの少なくとも一方は、上記環状溝に開口する貫通穴を有していることを特徴とするトルクリミッタ。
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