JP5011829B2 - 塗膜形成用樹脂組成物とこれを含有する塗膜および塗膜形成方法 - Google Patents
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Description
これらの膜は、一般的に、分散媒に、無機微粒子と、バインダー成分である樹脂とを混合して調製した塗料を基材に塗布し、この塗料を乾燥し、場合によっては、更に塗料を加熱、あるいは紫外光に代表される活性エネルギー線を照射することにより形成される。
溶剤を含まない塗料としては、例えば、表面処理した微粒子を、紫外線硬化樹脂あるいは電子線硬化樹脂に直接分散してなるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、溶剤を含まない塗料では、樹脂に微粒子を直接分散することは非常に難しいため、樹脂中において、微粒子が粗大な凝集体を形成することがあった。この微粒子の粗大な凝集体は、塗膜の諸特性に悪影響を及ぼす。例えば、樹脂に導電性微粒子を直接分散してなる塗料によって形成した透明導電膜の場合、この透明導電膜の透明性と電気導電性が著しく損なわれるという問題があった。加えて、微粒子が凝集した状態で塗膜を形成した場合、塗膜に曇りが生じることが多く、微粒子を使用することの特徴である塗膜の透明性が著しく損なわれるという問題があった。
また、本発明の塗膜形成用樹脂組成物は、分散媒と、無機微粒子と、前記分散媒中にてエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂とを含み、前記分散媒の含有率が7重量%以下であり、前記無機微粒子が前記活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子の表面に付着していることを特徴とする。
本発明の塗膜形成用樹脂組成物は、モノマーあるいはオリゴマーを添加してなることが好ましい。
本発明の塗膜形成用樹脂組成物は、前記無機微粒子が、金属を含有する微粒子であることが好ましい。
本発明の塗膜形成用樹脂組成物は、前記金属を含有する微粒子が、金、白金、銀、銅、錫、ニッケル、鉄、鉛、亜鉛、ルテニウム、パラジウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン、インジウムの群から選択された1種または2種以上を含有することが好ましい。
また、本発明の塗膜形成方法は、分散媒に、無機微粒子と、活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合して、前記活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子を生成し、次いで、前記分散媒を散逸させて前記分散媒の含有率が7重量%以下であり、前記無機微粒子が前記活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子の表面に付着している塗膜形成用樹脂組成物を調製し、前記塗膜形成用樹脂組成物を基材上に塗布し、この塗布した塗膜形成用樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して塗膜を形成することを特徴とする。
また、本発明の塗膜形成用樹脂組成物によれば、分散媒と、無機微粒子と、前記分散媒中にてエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂とを含み、前記分散媒の含有率が7重量%以下であり、前記無機微粒子が前記活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子の表面に付着しているので、分散媒の含有率が極めて低くても、活性エネルギー線硬化型樹脂中における無機微粒子の分散状態を良好に保つことができる。したがって、この塗膜形成用樹脂組成物により形成した塗膜において、マトリックスとなる活性エネルギー線硬化型樹脂中における無機微粒子の含有率が非常に低い場合でも、幅広い塗布環境条件下で、透明性、導電性、機械的強度などに優れた塗膜を再現性よく作製することが可能となる。また、本発明の塗膜形成用樹脂組成物は、分散媒の含有率が極めて低いため、例えば、有機溶媒が環境を汚染する問題、キャスト法で作製されるアクリル樹脂の製造工程に適用した場合に製品の中に溶媒が残留する問題、吸湿性樹脂からなる基材に塗布した場合に基材が曲がる問題などを解決することができる。
また、本発明の塗膜形成方法によれば、分散媒に、無機微粒子と、活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合して、前記活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子を生成し、次いで、前記分散媒を散逸させて前記分散媒の含有率が7重量%以下であり、前記無機微粒子が前記活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子の表面に付着している塗膜形成用樹脂組成物を調製し、前記塗膜形成用樹脂組成物を基材上に塗布し、この塗布した塗膜形成用樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して塗膜を形成するので、可視光線に対する平均透過率が高く、ヘーズ値が低く、導電性に優れた、透明な塗膜を形成することができる。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
この塗膜形成用樹脂組成物における分散媒の含有率は7重量%以下であり、3重量%以下が好ましく、1重量%以下がより好ましく、0.1重量%以下がさらに好ましい。
この塗膜形成用樹脂組成物における分散媒の含有率を7重量%以下とした理由は、分散媒が環境を汚染することなく、この塗膜形成用樹脂組成物を用いてキャスト法により塗膜を形成した場合、塗膜に分散媒が残留することなく、この塗膜形成用樹脂組成物を吸湿性樹脂からなる基材などに塗布した場合、基材が曲がることがないからである。
導電性の塗膜を作製する場合、無機微粒子としては、金属を含有する微粒子が用いられる。この金属を含有する微粒子としては、金属微粒子、金属酸化物微粒子、金属硫化物微粒子などが挙げられる。
金属微粒子としては、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、銅(Cu)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、アンチモン(Sb)、インジウム(In)の群から選択された1種または2種以上を含有するものが挙げられる。
複合金属酸化物としては、アンチモン添加酸化スズ(ATO)、スズ添加酸化インジウム(ITO)、アルミニウム添加酸化亜鉛(AZO)、ジルコン(ZrSiO4)などが挙げられる。
これらの金属酸化物微粒子のうち、例えば、錫、アンチモンまたはインジウムのいずれか1種を含有する金属酸化物微粒子である、アンチモン添加酸化スズ(ATO)、スズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズのようにバンドギャップが3.0eV以上である半導体金属酸化物は、可視光線の透過性と導電性を併せ持つ金属酸化物であり、透明導電膜を形成するうえで好適である。
そして、半導体金属酸化物の微粒子は、活性エネルギー線硬化型樹脂と共に分散媒に分散させた場合、ある一定の固形分濃度範囲において、異種の微粒子が凝集した凝集体(ヘテロ凝集体)を形成しないものであることが好ましい。
この表面電荷は、例えば、電気泳動、レーザードップラー型ゼータ電位計を用いて測定される。
無機微粒子の平均一次粒子径が3nm未満では、この塗膜形成用樹脂組成物中における分散性が悪くなり、また、粒子間の接触抵抗により導電性が劣化する。一方、無機微粒子の平均一次粒子径が100nmを超えると、無機微粒子が光の散乱を引き起こし、この塗膜形成用樹脂組成物により塗膜を形成した場合、その透明性が損なわれる。
なお、本発明において、無機微粒子の平均一次粒子径とは、粉末X線回折測定から得られる平均結晶粒子径のことである。
無機微粒子の含有率が1.0重量%未満では、微粒子間のつながりが悪くなるため、十分な導電性が発現しない。一方、無機微粒子の含有率が10重量%を超えると、微粒子の分散不良を招き、最終的に塗膜の曇り度(ヘーズ)に悪影響を及ぼす。
このような活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えば、UV硬化型アクリル樹脂、マレイミド基を含有するアクリル樹脂、ウレタン結合を有するアクリル樹脂などが挙げられる。
O/W型のエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂としては、水酸基やカルボキシル基などの極性基を有する水溶性あるいは水分散性樹脂の前駆体であることが好ましい。具体的に、O/W型のエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂としては、水系の紫外線硬化型アクリルエマルション樹脂、自己分散型エマルション樹脂、マレイミド基をアクリルエマルションなどが挙げられる。このようなO/W型のエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂は、表面が親水性の無機微粒子と組み合わせることにより、良好な分散状態が得られる。
W/O型のエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
なお、エマルション粒子や無機微粒子の表面電荷は、例えば、電気泳動、レーザードップラー型ゼータ電位計を用いて測定される。
エマルション粒子の平均粒子径が10nm以上であることが好ましい理由は、無機微粒子の平均一次粒子径とエマルション粒子の平均粒子径の比率が一定値以上の場合、無機微粒子の含有率が低い塗膜形成用樹脂組成物において、無機微粒子とエマルション粒子とが接触あるいは近接していても、無機微粒子は分散性に優れるからである。これは、無機微粒子の平均一次粒子径とエマルション粒子の平均粒子径の比率が一定値以上の場合、無機微粒子の比率が高い相と低い相が分離した微細な構造体を形成することによるものと推定される。一方、エマルション粒子の大きさが100μm以下であることが好ましい理由は、無機微粒子とエマルション粒子を混合、分散した際、安定な分散体が得られないからである。これは、エマルション粒子の表面の表面張力、および、エマルション粒子の熱運動に起因するものと推定される。
活性エネルギー線硬化型樹脂の含有率が90重量%未満では、微粒子の分散不良を招き、最終的に塗膜の曇り度(ヘーズ)に悪影響を及ぼす。一方、活性エネルギー線硬化型樹脂の含有率が99重量%を超えると、微粒子間のつながりが悪くなるため、十分な導電性が発現しない。
例えば、塗膜形成用樹脂組成物に、活性エネルギー線硬化型樹脂とは異なる樹脂の前駆体であるモノマーあるいはオリゴマーを添加することにより、この塗膜形成用樹脂組成物により形成した塗膜の導電性を向上することができる理由は、この塗膜中において、上記の無機微粒子の比率が高い相と、樹脂成分の比率が高い相とを形成することによって、有効な導電路が形成される効果、あるいは、所謂ダブルパーコレーション効果などによるものと推定される。
また、塗膜形成用樹脂組成物に添加する樹脂の前駆体であるオリゴマーとしては、上記モノマー骨格からなるオリゴマーなどが挙げられる。
このように、塗膜形成用樹脂組成物の粘度を調整する目的で、塗膜形成用樹脂組成物に添加する樹脂の前駆体であるモノマーあるいはオリゴマーとしては、塗膜形成用樹脂組成物を希釈するために用いられるn−ビニルピロリドンなどの水溶性のアクリル系モノマー、低粘度のアクリル系オリゴマーなどが挙げられる。
また、これらのモノマーやオリゴマーが重合したポリマーも同様に用いることができる。また、本発明の塗膜形成用樹脂組成物は、流動性の調整のために加熱して使用することもできる。さらに、加熱温度は適宜選択されるが、40℃以上が好ましい。
光重合開始剤としては、1,2α−ヒドロキシアルキルフェノン類、1,3α−アミノアルキルキフェノン類、4,2−オキシフェニル酢酸エステル類などが挙げられる。
重合開始剤の添加量は、活性エネルギー線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上かつ10重量部以下であることが好ましい。
先ず、上記の無機微粒子のうち金属酸化物微粒子を、水熱合成法を用いて、反応前駆体に含まれるアルカリ成分および塩成分の含有率を調整し、加熱温度を150℃以上かつ400℃以下とすることにより作製する。
例えば、酸化スズ微粒子を作製する場合、加熱温度を150℃以上かつ400℃以下とすることが好ましい。
また、アンチモンの含有率が0.01重量%以上かつ15重量%以下のアンチモン添加酸化スズ(ATO)を作製する場合、加熱温度を250℃以上かつ400℃以下とすることが好ましい。この加熱温度の範囲が好ましい理由は、加熱温度を250℃以下とした場合、異種元素を均一に含有し、結晶性の高いアンチモン添加酸化スズ(ATO)が得られ難い。一方、加熱温度を400℃以上とした場合、アンチモン添加酸化スズ(ATO)の生産性が低下する。
上記の分散液から分散媒を散逸させるには、ロータリーエバポレーターなどを用いて分散液から分散媒を揮発させる方法、あるいは、減圧濾過法により、所定の含有率になるように分散液から分散媒を除去する方法が用いられる。
これらのモノマーあるいはオリゴマーは、活性エネルギー線硬化型樹脂と共に添加されるか、あるいは、上記の分散液から分散媒を所定の濃度に散逸させた後、塗膜形成用樹脂組成物に添加される。
あるいは、上記の分散液から分散媒を散逸させるに伴って、無機微粒子が、活性エネルギー線硬化型樹脂の網目状の間隙に生じる分散媒層に移動することにより、活性エネルギー線硬化型樹脂中に無機微粒子が均一に分散した塗膜形成用樹脂組成物が得られる。
いずれにしても、分散媒中にてエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂を用いることにより、分散媒を散逸させるに伴って、活性エネルギー線硬化型樹脂の網目状の間隙に分散媒が残留するようになる。したがって、この塗膜形成用樹脂組成物は、分散媒の含有率が極めて少ないにもかかわらず、塗工することが可能となる。
基材上に塗膜形成用樹脂組成物を塗布するには、特に限定されないが、例えば、スピンコート法、ディップコート法、フローコート法、キャップコート法、スリットコート法、スプレーコート法、グラビアコート法など、通常のコーティング法を適用することができる。
また、活性エネルギー線としては、例えば、強度500mJ/cm2の紫外線が用いられる。
なお、演色性を改良した光源とは、例えば、3波長型蛍光灯である。本発明の効果を確認する方法としては、30cm程度の距離を隔てて、塗膜に30W程度の3波長型蛍光灯の光を照射し、塗膜の曇りを肉眼で識別する方法が用いられる。
以下に本発明の塗膜形成用樹脂組成物の調製およびこれを用いた塗膜形成の実施例を具体的に述べる。しかし、ここに挙げる実施例はあくまで一例でありこれらの方法に限定されることはない。
純水に、平均一次粒子径が8nmのアンチモン添加酸化スズ微粒子(ATO、住友大阪セメント製)を攪拌しながら加え、アンチモン添加酸化スズの20重量%の水分散液スラリーを調製した。
次いで、この水分散液スラリー3gと、ウレタンアクリレート系樹脂エマルション(UV−W−101、日本合成化学社製)100gとを混合した後、ロータリーエバポレーターを用いて水分を除去し、アンチモン添加酸化スズとウレタンアクリレート系樹脂エマルションの混合物を調製した。なお、ウレタンアクリレート系樹脂エマルションの平均粒子径は200nmであった。
次いで、この混合物70gを、n−ビニルピロリドン30gにより希釈した後、さらに光重合開始剤(イルガキュア500、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を、ウレタンアクリレート系樹脂エマルション100重量部に対して5重量部添加して、塗膜形成用樹脂組成物を得た。
得られた塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率を、カールフィッシャー水分測定装置(三菱化学社製)を用いて測定したところ、この塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、バーコーター(14番)により、アクリル板(アクリルライトL、三菱レイヨン社製)上に、この塗膜形成用樹脂組成物を塗布した後、この塗膜形成用樹脂組成物に強度500mJ/cm2の紫外線を照射して、この塗膜形成用樹脂組成物を硬化させ、塗膜を形成した。
平均一次粒子径が20nmのアルミニウム添加酸化亜鉛微粒子(AZO、住友大阪セメント製)を用いた以外は実施例1と同様にして、塗膜形成用樹脂組成物を得た。この塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、実施例1と同様にして、アクリル板上に、この塗膜形成用樹脂組成物を塗布して、この塗膜形成用樹脂組成物からなる塗膜を形成した。
平均一次粒子径が70nmのスズ添加酸化インジウム微粒子(ITO、住友大阪セメント製)を用いた以外は実施例1と同様にして、塗膜形成用樹脂組成物を得た。この塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、実施例1と同様にして、アクリル板上に、この塗膜形成用樹脂組成物を塗布して、この塗膜形成用樹脂組成物からなる塗膜を形成した。
平均一次粒子径が20nmの酸化スズ微粒子(SnO2、住友大阪セメント製)を用いた以外は実施例1と同様にして、塗膜形成用樹脂組成物を得た。この塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、実施例1と同様にして、アクリル板上に、この塗膜形成用樹脂組成物を塗布して、この塗膜形成用樹脂組成物からなる塗膜を形成した。
平均一次粒子径が5nmの銀微粒子(Ag、住友大阪セメント製)を用いた以外は実施例1と同様にして、塗膜形成用樹脂組成物を得た。この塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、実施例1と同様にして、アクリル板上に、この塗膜形成用樹脂組成物を塗布して、この塗膜形成用樹脂組成物からなる塗膜を形成した。
平均一次粒子径が2nmのアンチモン添加酸化スズ微粒子(ATO、住友大阪セメント製)を用いた以外は実施例1と同様にして、塗膜形成用樹脂組成物を得た。この塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、実施例1と同様にして、アクリル板上に、この塗膜形成用樹脂組成物を塗布して、この塗膜形成用樹脂組成物からなる塗膜を形成した。
平均粒子径が1500nmのウレタンアクリレート系樹脂エマルション(UV−W−101、日本合成化学社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、塗膜形成用樹脂組成物を得た。この塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、実施例1と同様にして、アクリル板上に、この塗膜形成用樹脂組成物を塗布して、この塗膜形成用樹脂組成物からなる塗膜を形成した。
純水に、平均一次粒子径が8nmのアンチモン添加酸化スズ微粒子(ATO、住友大阪セメント製)を攪拌しながら加え、アンチモン添加酸化スズの20重量%の水分散液スラリーを調製した。
次いで、この水分散液スラリー3gと、ウレタンアクリレート系樹脂エマルション(UV−W−101、日本合成化学社製)100gとを混合した後、ロータリーエバポレーターを用いて水分を除去し、アンチモン添加酸化スズとウレタンアクリレート系樹脂エマルションの混合物を調製した。なお、ウレタンアクリレート系樹脂エマルションの平均粒子径は200nmであった。
次いで、この混合物70gに、光重合開始剤(イルガキュア500、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を、ウレタンアクリレート系樹脂エマルション100重量部に対して5重量部添加して、塗膜形成用樹脂組成物を得た。
得られた塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率を、カールフィッシャー水分測定装置(三菱化学社製)を用いて測定したところ、この塗膜形成用樹脂組成物の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、この塗膜形成用樹脂組成物を40℃に加熱し、バーコーター(14番)により、アクリル板(アクリルライトL、三菱レイヨン社製)上に塗布した後、この塗膜形成用樹脂組成物に強度500mJ/cm2の紫外線を照射して、この塗膜形成用樹脂組成物を硬化させ、塗膜を形成した。
平均一次粒子径が8nmのアンチモン添加酸化スズ微粒子(ATO、住友大阪セメント製)0.2g、メチルエチルケトン(関東化学社製)17g、シクロヘキサノン(関東化学社製)2g、および、バインダー樹脂として、ポリエステル樹脂(エリーテル、ユニチカ社製)0.8gを混合した後、超音波分散機を用いて、アンチモン添加酸化スズ微粒子を分散させ塗料を調製した。
得られた塗料の水分含有率を、カールフィッシャー水分測定装置(三菱化学社製)を用いて測定したところ、この塗料の水分含有率は0.5重量%以下であった。
次いで、バーコーター(14番)により、アクリル板(アクリルライトL、三菱レイヨン社製)上に、この塗料を塗布した後、この塗料を100℃にて1分間加熱して硬化させ、塗膜を形成した。
実施例1〜8および比較例それぞれの塗膜について、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、耐摩耗性および鉛筆硬度の5点について、下記の装置または方法により評価を行った。
(1)表面抵抗
三菱化学(株)社製「ロレスタAP」(4端子法)を用いて測定した。
(2)全光線透過率
東京電色社製「Automatic Haze Meter HIII DP」を用いて測定した。
(3)ヘーズ
東京電色社製「Automatic Haze Meter HIII DP」を用いて測定した。
(4)耐摩耗性
#0000のスチールウールに750g/cm2の荷重を付加しつつ、塗膜の表面上を10回往復させ、その後、塗膜の表面に発生した傷の本数を目視にて測定した。
(5)鉛筆硬度
日本工業規格:JIS K 5600−5−4「引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠し、鉛筆硬度を測定した。
以上の評価結果を表1に示す。
一方、比較例の塗膜では、ヘーズ、耐摩耗性および鉛筆硬度が実施例1〜8と比べて劣っていた。
Claims (8)
- 分散媒と、無機微粒子と、前記分散媒中にてエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂とを含み、前記分散媒の含有率が7重量%以下であり、
前記無機微粒子が前記活性エネルギー線硬化型樹脂の網目状の間隙の前記分散媒中に分散していることを特徴とする塗膜形成用樹脂組成物。 - 分散媒と、無機微粒子と、前記分散媒中にてエマルション粒子を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂とを含み、前記分散媒の含有率が7重量%以下であり、
前記無機微粒子が前記活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子の表面に付着していることを特徴とする塗膜形成用樹脂組成物。 - モノマーあるいはオリゴマーを添加してなることを特徴とする請求項1または2に記載の塗膜形成用樹脂組成物。
- 前記無機微粒子は、金属を含有する微粒子であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の塗膜形成用樹脂組成物。
- 前記金属を含有する微粒子は、金、白金、銀、銅、錫、ニッケル、鉄、鉛、亜鉛、ルテニウム、パラジウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン、インジウムの群から選択された1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項4に記載の塗膜形成用樹脂組成物。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の塗膜形成用樹脂組成物を含有してなることを特徴とする塗膜。
- 分散媒に、無機微粒子と、活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合して、前記活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子を生成し、次いで、前記分散媒を散逸させて前記分散媒の含有率が7重量%以下であり、前記無機微粒子が前記活性エネルギー線硬化型樹脂の網目状の間隙の前記分散媒中に分散している塗膜形成用樹脂組成物を調製し、前記塗膜形成用樹脂組成物を基材上に塗布し、この塗布した塗膜形成用樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して塗膜を形成することを特徴とする塗膜形成方法。
- 分散媒に、無機微粒子と、活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合して、前記活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子を生成し、次いで、前記分散媒を散逸させて前記分散媒の含有率が7重量%以下であり、前記無機微粒子が前記活性エネルギー線硬化型樹脂のエマルション粒子の表面に付着している塗膜形成用樹脂組成物を調製し、前記塗膜形成用樹脂組成物を基材上に塗布し、この塗布した塗膜形成用樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して塗膜を形成することを特徴とする塗膜形成方法。
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