本発明の第1実施形態の棒金収納装置を図1〜図9を参照して以下に説明する。図1に示すように、第1実施形態の棒金収納装置10は、硬貨入出金機11に付設されて用いられるものである。
まず、硬貨入出金機11について説明する。
硬貨入出金機11は、図2に概略的に示すように、バラ硬貨が投入される入金口15と、入金口15に投入されたバラ硬貨を一枚ずつに分離して繰り出す分離繰出部16と、分離繰出部16から繰り出されたバラ硬貨を搬送する入金搬送部17と、入金搬送部17で搬送中の硬貨を鑑別しつつ金種別に計数する入金鑑別部18と、入金鑑別部18の鑑別結果から真以外のバラ硬貨を入金搬送部17から排除するリジェクト部19と、リジェクト部19で入金搬送部17から排除されたバラ硬貨を案内するリジェクト搬送部20と、リジェクト搬送部20で案内されたバラ硬貨が機外に取り出し可能に放出されるリジェクト口21とを有している。
また、硬貨入出金機11は、入金鑑別部18で真と鑑別され入金搬送部17でさらに下流に搬送されるバラ硬貨を金種別に選別する金種別選別部22と、金種別選別部22で金種別に選別されたバラ硬貨を金種別に一時貯留させる金種別一時貯留部23と、金種別一時貯留部23に一時貯留されたバラ硬貨を返却のため案内する返却搬送部24と、返却搬送部24で案内されたバラ硬貨が機外に取り出し可能に放出される返却出金口25とを有している。
また、硬貨入出金機11は、金種別一時貯留部23に一時貯留されたバラ硬貨を金種別に収納するとともに収納しているバラ硬貨を計数しつつ出金可能な金種別収納出金部27と、金種別収納出金部27から出金されたバラ硬貨を返却出金口25に案内する出金搬送部28と、金種別収納出金部27から出金されたバラ硬貨を第1実施形態の棒金収納装置10に向けて搬送する棒金作成搬送部29とを有している。硬貨入出金機11は、棒金収納装置10と共用の操作部30、制御部31および表示部32を有している。
ここで、上記した硬貨入出金機11は、入金のためのバラ硬貨が入金口15に投入されて、操作部30にスタート操作が入力されると、制御部31が、入金口15内のバラ硬貨を分離繰出部16で一枚ずつ入金搬送部17に繰り出させて入金搬送部17で搬送する。制御部31は、入金搬送部17で搬送中に入金鑑別部18で真以外と鑑別された硬貨をリジェクト搬送部20でリジェクト口21に送り、真と鑑別された硬貨を計数しつつ金種別選別部22で選別して金種別一時貯留部23に一時貯留させる。そして、入金口15に投入されたバラ硬貨がすべてリジェクト口21あるいは金種別一時貯留部23に送られると、制御部31は、表示部32に鑑別結果を出力する。この鑑別結果を見て操作者が操作部30にキャンセル操作を入力すると、制御部31は、金種別一時貯留部23に一時貯留させていた硬貨を返却搬送部24を介して返却出金口25に返却する。他方、鑑別結果を見て操作者が操作部30に承認操作を入力すると、制御部31は、金種別一時貯留部23に一時貯留させていた硬貨を金種別収納出金部27に収納させる。
また、出金操作が操作部30に入力されると、制御部31が、金種別出金収納部27から入力に応じた金種および数のバラ硬貨を出金搬送路28に繰り出させて、出金搬送路28で返却出金口25に出金させる。
さらに、金種別出金収納部27に収納中の硬貨を包装するために、適宜のタイミングで、制御部31が、金種別出金収納部27からバラ硬貨を棒金作成搬送部29により棒金収納装置10に搬送する。
図1に示す第1実施形態の棒金収納装置10は、金種別出金収納部27から棒金作成搬送部29によって搬送されてきたバラ硬貨を受け入れて一旦貯留させる貯留部35と、貯留部35から一枚ずつ分離して繰り出された硬貨を所定枚数ずつ集積して包装紙を巻き回し包装紙の両端部を加締めて棒金Bとする包装部36とを有している。
また、棒金収納装置10は、図3にも示すように、機体中間位置で左右に延在するように配置され、包装部36から送り出された棒金Bを振り分けのため機体左右方向に搬送する横型ベルトコンベア式の振分搬送部37と、振分搬送部37で一端側に向け搬送される棒金Bを中間位置で機体前面側に振り分ける中間振分部38と、この中間振分部38で機体前面側に振り分けられた棒金Bを収納するローカル時クリアボックス39と、中間振分部38では機体前面側に振り分けられずに振分搬送部37で一端側にさらに搬送される棒金Bを振分搬送部37の一端部で機体前面側および後面側に選択的に振り分ける端末振分部40と、この端末振分部40で機体前面側に振り分けられた棒金Bを収納する機内クリアボックス41と、端末振分部40で機体後面側に振り分けられた棒金Bを機体後面に向けて搬送する横型ベルトコンベア式の後方搬送部42と、振分搬送部37で他端側に向け搬送される棒金Bを機体前面側に案内する前方案内部43とを有している。
加えて、棒金収納装置10は、後方搬送部42で機体後面側に搬送されてきた棒金Bを受け入れて機体左右方向逆側に向け搬送する横型ベルトコンベア式の横搬送部45と、横搬送部45の棒金Bを上流位置で機体後面側に振り分ける上流振分部46と、上流振分部46で振り分けられずに横搬送部45で搬送されてきた棒金Bを端末位置で機体後面側に案内する端末案内部47と、上流振分部46および端末案内部47で機体後面側に案内された棒金Bを上昇搬送する図4に示すエレベータ49を有する左右一対の上昇搬送部48とを有している。
そして、各上昇搬送部48の前側に、図4に示すように、上下方向に複数段並べられたカセット50がそれぞれ設けられている。各エレベータ49のカセット50とは反対側には、エレベータ49で搬送されてきた棒金Bを複数段のカセット50のいずれか選択された一つに向けてプッシャ51aで押し出す収納振分部51が設けられている。すべてのカセット50は、収納振分部51で上昇搬送部48から押し出された棒金Bを機体後面側の後端部から受け入れることになり、機体前面側の前端側が機体後面側の後端側に対して低く傾斜していて、収納した棒金Bを自重により先端側に移動させる。二列のカセット50の機体前面側には、図5に示すように、進退可能な持上部材52によって各列のカセット50の先端部から棒金Bを選択的に持ち上げて取り出す棒金取出部(棒金取出手段)53がそれぞれ設けられており、各棒金取出部53の機体前面側には、棒金取出部53によってカセット50から取り出された棒金Bを搬送する縦型ベルトコンベア式の棒金搬送部55が設けられている。ここで、各カセット50は金種別となっており、同一のカセット50には同一金種の棒金Bのみが収納される。
ここで、各棒金搬送部55は、移動方向に対して傾斜形成された載置片56を等間隔で外側に有する縦型ベルトコンベア57と、この縦型ベルトコンベア57の外側を覆うように設けられた搬送空間形成部58とを有している。そして、棒金取出部53のカセット50側に前進状態の持上部材52で持ち上げられることによって持上部材52の傾斜で転動しつつ移動する棒金Bを、搬送空間形成部58に形成された開口部58aを介して縦型ベルトコンベア57と搬送空間形成部58とで形成される搬送空間に受け入れて、搬送空間内の載置片56に載置させる。載置片56を移動させることで載置片56に載置された棒金Bを昇降させる。なお、棒金取出部53の持上部材52は、下降するときはカセット50から後退した状態で下降する。
ここで、棒金搬送部55の一方は、図6に示すように、その下部が、上記した振分搬送部37で搬送され前方案内部43で機体前面側に案内された棒金Bを受け入れて搬送し、シュート61を介して機体前面に設けられた放出口59に案内することになり、放出口59から放出された棒金Bは、その前に載置される別体の図1に示す受入ボックス60に収納される。つまり、前方案内部43で機体前面側に案内された棒金Bを、搬送空間形成部58に形成された開口部58bを介して縦型ベルトコンベア57と搬送空間形成部58とで形成される搬送空間に受け入れて、搬送空間内の載置片56に載置させる。載置片56を下方から前方、さらには上方に移動させることで棒金Bを収納空間内で同様に移動させ、搬送空間形成部58に形成された開口部58cおよびシュート61を介して放出口59に案内する。
各棒金搬送部55の機体前面側には、図5に示すように、搬送空間形成部58に形成された開口部58dを搬送空間形成部58に沿って開閉する開閉部材62と、この開口部58dを介して棒金Bを収納する棒金出金部63が設けられている。すなわち、開閉部材62が開口部58dを開放しているとき、棒金搬送部55の載置片56で下降搬送中の棒金Bが開口部58dに達すると、棒金Bは、載置片56の傾斜で、開口部58dから棒金出金部63に向けて移動することになる。なお、前記開閉部材62に加えて、棒金搬送部55側に進退可能に受取部材62’を設けて、前記開閉部材62の開放に合わせて、この受取部材62’を棒金搬送部55側に前進させることで搬送空間形成部58に形成された開口部58dから搬送空間内に入り込ませて、棒金搬送部55の載置片56で下降搬送中の棒金Bを受取部材62’で載置片56から受け取り、この受取部材62’の傾斜で移動させて前記棒金出金部63に確実に収納させるようにしても良い。また、各棒金出金部63の下側には、搬送空間形成部58に開口部58eを形成し、この開口部58eを介して棒金Bを収納する棒金一括収納部65が設けられている。すなわち、棒金搬送部55の載置片56で下降搬送中の棒金Bが開口部58eに達すると、棒金Bは、載置片56の傾斜で、開口部58eから棒金一括収納部65に向けて移動することになる。なお、前記開口部58eの形成に加えて、棒金搬送部55側に受取部材64を有し、この受取部材64を搬送空間形成部58に形成された開口部58eから搬送空間内に常時入り込ませていて、棒金搬送部55の載置片56で下降搬送中の棒金Bを受取部材64で載置片56から受け取り、この受取部材64の傾斜で移動させて棒金一括収納部65に確実に収納させるようにしても良い。棒金出金部63および棒金一括収納部65は機体から着脱可能な箱状をなしている。
以上の構成の棒金収納装置10は、適宜のタイミングで金種別収納出金部27のいずれか一つから棒金作成搬送部29によって搬送されてきた同一金種のバラ硬貨を貯留部35に一旦受け入れると、制御部31が貯留部35から一枚ずつバラ硬貨を繰り出させて包装部36に送り、包装部36で所定枚数集積して包装紙を巻き回し包装紙の両端部を加締めて棒金Bとする。棒金Bが作成されると、制御部31は、この棒金Bを振分搬送部37で搬送し振り分ける。
例えば、棒金Bを振分搬送部37で前方案内部43側に搬送し前方案内部43で棒金搬送部55に案内して、棒金搬送部55の下部で搬送する。つまり、図6に示すように、棒金Bを縦型ベルトコンベア57の載置片56で下方に案内した後、機体前面側で上方に案内する。載置片56に載置された棒金Bが放出口59に対応した開口部58cの位置まで移動すると載置片56の傾斜で放出口59に案内され、放出口59から放出される。
また、例えば、端末振分部40で後方搬送部42に振り分けられた棒金Bが、後方搬送部42で搬送され横搬送部45を介して上昇搬送部48で搬送され収納振分部51で上昇搬送部48から押し出されて対応するカセット50に収納されることになる。
また、例えば、制御部31は、棒金Bの出金指令を受けると、棒金取出部53で対応する棒金Bをカセット50から取り出し棒金搬送部55の中間部および上部で搬送して棒金出金部63に出金する。つまり、図5に示すように、棒金Bを縦型ベルトコンベア57の載置片56で上方に案内した後、機体前面側で下方に案内すると、載置片56に載置された棒金Bが棒金出金部63に対応した開口部58dの位置に至ることになり、棒金Bは棒金出金部63に案内される。このとき、受取部材62’を突出させるようにしても良い。あるいは、制御部31は、カセット50が満杯となると、棒金取出部53で対応する棒金Bをカセット50から取り出し棒金搬送部55の中間部および上部で搬送して棒金一括収納部65に収納する。つまり、棒金Bを縦型ベルトコンベア57の載置片56で上方に案内した後、機体前面側で下方に案内すると、載置片56に載置された棒金Bが棒金出金部63に対応した開口部58dの位置に至ることになり、このとき開閉部材62によって開口部58dを閉じておくことで、さらには受取部材62’を突出させないことで、棒金Bは棒金出金部63に対応した開口部58dの位置をそのまま通過し、棒金一括収納部65に対応した開口部58eの位置に至ると、常時突出する受取部材64で棒金出金部63に案内される。
次に、第1実施形態の棒金収納装置10の要部について説明する。
図7および図8に示すカセット50は、長さ方向を機体前後方向に向けて配置されており、長さ方向の先端側(機体前面側)が後端側(機体後面側)より低く、且つ幅方向を横方向(機体左右方向)に沿わせて配置されている。
より具体的に、カセット50は、長さ方向の先端側が後端側より低く、且つ幅方向を水平方向に沿わせて配置された長方形状の底板部70と、底板部70の幅方向の両側縁部から垂直に立ち上がる一対の側板部71と、底板部70の先端縁部から垂直に立ち上がる先板部72とを有している。そして、底板部70には、幅方向の位置は一定で、長さ方向に予め定められた一定の間隔をおいて複数の長方形状の開口穴74が形成されており、このような複数の開口穴74の列が、底板部70の幅方向に間隔をあけて二列形成されている。ここで、各列の開口穴74は、先端側からの順番が同じものは底板部70の長さ方向の位置を合わせている。また、底板部70の先端側から先板部72にかけて幅方向の中間位置に、図5に示す棒金取出部53の持上部材52を通過させるための切欠部75が形成されている。
なお、カセット50は、上昇搬送部48から収納振分部51で押し出された棒金Bを、その長さ方向(軸線方向)をカセット50の幅方向に沿わせた姿勢で、後端側から両側板部71の内側に設けられた両ガイド71aの間、且つ底板部70の底面70a上に受け入れる。また、棒金取出部53は、持上部材52を前進状態とし切欠部75内において下から上に移動させることで、カセット50に収納された棒金Bのうち先板部72に当接する先端の棒金Bを持ち上げてその傾斜により棒金搬送部55に搬送し、持上部材52を後退状態としカセット50から離れた位置で上から下に移動させ、再び持上部材52を前進状態として下から上に移動させることを繰り返す結果、カセット50に収納されている棒金Bを先端側のものから一本ずつ順に取り出すことになる。
各カセット50の下側には、カセット50の底面70aからカセット50内に各開口穴74を介して突出可能、且つカセット50内から退避可能に設けられることで、開口穴74と同様にカセット50の長さ方向に沿って予め定められた間隔をおいて配置された複数の規制部材80と、これら規制部材80を駆動してその突出および退避を切り替える駆動機構(駆動手段)81とがそれぞれ設けられている。
駆動機構81は、カセット50の直下においてカセット50の長さ方向に平行に配置される回転軸82を、カセット50の幅方向に離間して一対、開口穴74の各列の下側に有している。駆動機構81は、各回転軸82の後端側に固定される一対のギヤ83と、これらギヤ83のうちの一方に噛み合うギヤ84と、一対のギヤ33のうちの他方とギヤ84とに噛み合うギヤ85と、ギヤ85が駆動軸に固定されたモータ(駆動源)86とを有している。そして、モータ86が制御部31の制御で回転すると、一対の回転軸82は同期して逆回転する。
複数の規制部材80は、すべて同一形状をなしており、回転軸82に固定されている。規制部材80は、回転軸82の軸線方向から見た場合、円の一部を直線状に切り欠いた形状をなしている。そして、各規制部材80は、それぞれ、円弧状部分の中央部が、回転軸82の回転位置によってカセット50側に配置されると図8(b)に示すようにカセット50の底面70aからカセット50内に突出する突出部90となっており、切り欠かれた部分は、回転軸82の回転位置によってカセット50側に配置されると図8(a)に示すようにカセット50の開口穴74内で底面70aと面一となる平面状の退避部91となっている。ここで、突出部90には、その軸線方向両側に、退避部91と平行な中心線を中心とした円筒面状に凹む凹部92が形成されている。以上により、各規制部材80は、突出部90と退避部91とが180度位相が異なる位置に形成されている。
そして、複数の規制部材80は、互いに突出部90の位相を合わせ且つ退避部91の位相を合わせて同一の回転軸82に一つおきで配置される第1の組101を構成するものと、互いに突出部90の位相を合わせ且つ退避部91の位相を合わせ、しかも第1の組101とは位相を異ならせて同一の回転軸82に残りの一つおきで配置される第2の組102を構成するものとに分けられている。具体的に、複数の規制部材80は、回転軸82の軸線方向において隣り合うもの同士が突出部90の位相(言い換えれば退避部91の位相)を互いに180度異ならせて配置されており、その結果、同一の回転軸82に一つおきで配置される第1の組101と、残りの一つおきで配置される第2の組102とが、互いに規制部材80の突出部90の位相を180度異ならせている。ここでは、後端の規制部材80を含む組を第1の組101とし、先端の規制部材80を含む組を第2の組102とする。
ここで、カセット50の幅方向に離間して設けられた互いに逆回転する一対の回転軸82には、同様に規制部材80が固定されており、これら回転軸82が、互いに第1の組101の規制部材80の位相を鏡面対称とし、第2の組102の規制部材80の位相を鏡面対称としている。つまり、例えば、図8(a)に示すように、一方の回転軸82の第2の組102の規制部材80が退避部91を最もカセット50側に位置させることでカセット50から退避する退避状態にあるとき、他方の回転軸82の第2の組102の規制部材80も同じ退避状態となり、図8(b)に示すように、一方の回転軸82の第2の組102の規制部材80が突出部90を最もカセット50側に位置させることでカセット50内に突出する突出状態にあるとき、他方の回転軸82の第2の組102の規制部材80も同じ突出状態となる。同様に、両回転軸82の第1の組101の規制部材80は、同期して退避状態となり、同期して突出状態となる。
そして、各カセット50において、図7に示すように、後端の規制部材80を含む第1の組101の規制部材80が突出状態となり、その一つ前側の規制部材80を含む第2の組102の規制部材80が退避状態になる位置で各回転軸82を停止させた状態が待機状態となっている。各カセット50は、棒金Bを補充する必要があるときは、この待機状態で、上昇搬送部48から収納振分部51で押し出された棒金Bを受け入れる。すると、棒金Bは、カセット50の幅方向に沿う姿勢で、後端側から両ガイド71a間且つ底板部70の底面70a上に投入され、カセット50の傾斜で転動しつつ若干移動して、後端の第1の組101の両規制部材80で係止される。この係止により棒金Bはカセット50の幅方向に沿う姿勢に矯正される。
次に、制御部31がモータ86を一方向に駆動して両側の回転軸82を反対方向に180度回転させてモータ86を一旦停止させる。すると、後端の規制部材80を含む第1の組101の規制部材80が退避状態となり、その一つ前側の規制部材80を含む第2の組102の規制部材80が突出状態になる。これにより、後端の両規制部材80により停止させられていた棒金Bが、後端の規制部材80の退避部91およびカセット50の傾斜でこの退避部91およびカセット50の底面70a上を転動しつつ移動して、その一つ前側の突出状態にある両規制部材80で係止される。この係止により棒金Bは、再びカセット50の幅方向に沿う姿勢に矯正される。
次に、制御部31が、モータ86を同じ一方向にさらに駆動して回転軸82を180度回転させてから一旦停止させると、後端から一つ前の規制部材80を含む第2の組102の規制部材80が退避状態となり、その一つ前側の規制部材80を含む第1の組101の規制部材80が突出状態になる。すると、後端から一つ前側の両規制部材80により停止させられていた棒金Bが、後端から一つ前側の両規制部材80の退避部91およびカセット50の傾斜でこの退避部91およびカセット50の底面70a上を転動しつつ移動して、その一つ前側の両規制部材80で係止される。この係止により棒金Bは、再びカセット50の幅方向に沿う姿勢に矯正される。
以上のような回転および停止を繰り返すことで、駆動機構81は、複数の規制部材80を後端側のものから順に回転軸82の軸線方向に一箇所ずつ突出状態から退避状態に切り替わるように駆動することになり、これにより、棒金Bが後端の規制部材80から一箇所ずつ順に当接しながら先端側に向けて断続的に移動して、先板部72に当接する位置あるいは既に収納されている棒金Bに当接する位置で停止して収納される。
よって、制御部31は、例えば棒金Bを収納する際には、後端側から受け入れた棒金Bが先板部72に当接する位置に移動するまでの回転数だけ回転軸82を回転させた後の最初の待機状態でモータ86を停止させる。あるいは棒金Bの収納量を計数しておき、新たに収納する棒金Bをすでに収納されている棒金Bに当接させるのに必要な回転数だけ回転軸82を回転させた後の最初の待機状態でモータ86を停止させる。このようにして棒金Bを収納して待機状態になると、例えば、図7に示すように、先板部72とカセット50内に突出する第1の組101の先端の規制部材80の突出部90との間に二本の棒金Bが収納され、この規制部材80の突出部90と第1の組101の次の規制部材80の突出部90との間に二本の棒金Bが収納されるというように、棒金Bが二本ずつ先板部72と第1の組101の先端の規制部材80の突出部90との間、あるいは第1の組101の隣り合う規制部材80の突出部90同士の間に配置される。
ここで、すべての規制部材80は、回転軸82の軸線方向において隣り合うもの同士の間隔が、棒金Bの収納金種に対応した一定値とされており、具体的には収納金種の棒金Bの直径と同等あるいはそれより若干大きい値とされている。また、突出状態における規制部材80の突出部90の底面70aからの高さは、棒金Bの半径よりも小さくされており、棒金Bが先板部72あるいは前側の棒金Bに当接して移動できない状態において規制部材80が突出状態となった場合に棒金Bに干渉せず、且つ当接時には棒金Bを確実に係止可能な高さに設定されている。
また、棒金取出部53で棒金Bを取り出す際には、棒金取出部53は、持上部材52が突出状態で下から上に移動することで、カセット50に収納されていた棒金Bを先端側のものから一本ずつ順に取り出すことになり、図7に示す待機状態から、先端の棒金Bが取り出されると、図9(a)に示すように、次の棒金Bは、第2の組102の先端の規制部材80の退避部91およびカセット50の底面70aの傾斜でそのまま先板部72に当接する状態となってカセット50の幅方向に沿う姿勢に矯正される。このとき、この棒金Bよりも後側の棒金Bは、突出状態にある第1の組101の規制部材80の突出部90によってそのままの状態が維持される。よって、制御部31が、棒金取出部53による棒金Bの取り出しに連動して、棒金Bの取り出し直後のタイミングでモータ86を駆動して、先端から二番目の規制部材80を含む第1の組101の規制部材80をカセット50内に突出させる待機状態としていた両側の回転軸82を180度回転させて停止させる。すると、図9(b)に示すように、先端から二番目の規制部材80を含む第1の組101の規制部材80が退避状態となり、先端の規制部材80を含む第2の組102の規制部材80が突出状態となる。これにより、第1の組101の先端の規制部材80で停止させられていた棒金Bが転動しつつ移動して先板部72で係止されている棒金Bに係止されてカセット50の幅方向に沿う姿勢に矯正される。
次に、制御部31は、モータ86を駆動して、両側の回転軸82を180度回転させて停止させる。すると、図9(c)に示すように、先端から三番目の規制部材80を含む第2の組102の規制部材80が退避状態となる。これにより、先端から三番目の規制部材80で停止させられていた棒金Bが転動しつつ移動して既に係止されている棒金Bに係止されてカセット50の幅方向に沿う姿勢に矯正される。
次に、制御部31は、モータ86を駆動して、両側の回転軸82を180度回転させて停止させる。すると、図9(d)に示すように、先端から四番目の規制部材80を含む第1の組101の規制部材80が退避状態となる。これにより、先端から四番目の規制部材80で停止させられていた棒金Bが転動しつつ移動して既に係止されている棒金Bに係止されてカセット50の幅方向に沿う姿勢に矯正される。このようなモータ86の駆動による回転軸82の回転および停止を適宜繰り返して、収納されているすべての棒金Bを前側にずらした後、第1の組101の規制部材80が突出する待機状態になるとモータ86を停止させる。このとき、制御部31は、例えば、待機状態で第1の組101の後端の規制部材80で係止されていた棒金Bが前にずれるのに必要な回転数だけ回転軸82を回転させた後の最初の待機状態でモータ86を停止させる。あるいは棒金Bの収納量を計数しておき、収納されているすべての棒金Bが一つずつ前にずれるのに必要な回転数だけ回転軸82を回転させた後の最初の待機状態でモータ86を停止させる。
制御部31は、一つ棒金Bが取り出されると即座に駆動機構81を駆動して回転軸82を上記と同様に断続回転させて、残された棒金Bをすべて前側に一つ分ずつずらし、次の棒金Bが取り出されると、再び回転軸82を断続回転させて、残された棒金Bをすべて前側に一つ分ずつずらすという動作を繰り返すことになる。このとき、制御部31は、複数金種の棒金Bを取り出す場合等、複数のカセット50から棒金Bを取り出す場合には、棒金取出部53と連動して複数段のカセット50の駆動機構81を選択的に駆動する。つまり、制御部31は、棒金取出部53で棒金Bの取り出しが行われるカセット50の駆動機構81を駆動して、取り出された棒金Bの数だけ残された棒金Bを先端側にずらすのである。
なお、上記のようなカセット50の先端側からの棒金Bの取り出し時に、カセット50への後端側から棒金Bを上昇搬送部48によって追加することもできる。この場合、制御部31は、棒金Bの取り出しのための回転軸82の回転制御を優先し、棒金Bの取り出しのための回転軸82の回転時に、可能な限りの棒金Bを追加する。そして、棒金Bの取り出しが完了した後に、棒金Bの収納時と同様に、棒金Bの最も先端側のものが先板部72に当接し、残りの棒金Bが隣り合うもの同士が順次当接する位置に移動するまで、必要な回転数だけ回転軸82を回転させた後、最初の待機状態でモータ86を停止させる。
以上に述べた第1実施形態の棒金収納装置10によれば、長さ方向の先端側が後端側より低く且つ幅方向を横方向に沿わせて配置されたカセット50の後端側に、幅方向に沿う姿勢で棒金Bを受け入れると、カセット50の長さ方向に沿って予め定められた間隔をおいて配置された複数の規制部材80が、駆動機構81の駆動によって、後端側のものから順に突出状態から退避状態に切り替わる。すると、カセット50の傾斜で転動する棒金Bがカセット50の底面70aから突出する規制部材80によって所定の間隔毎に係止されて姿勢が矯正されながら先端側へと移動する。したがって、長さ方向の先端側が後端側より低く且つ幅方向を横方向に沿わせて配置されたカセット50に対して、高さの高い後端側から幅方向に沿う姿勢で棒金Bを受け入れ、高さの低い先端側に寄せて収納してこの先端側から取り出し可能とする場合に、棒金Bをカセット50に確実に整列状態で収納することができる。
また、カセット50の底面70aから規制部材80を突出させるため、駆動機構81をカセット50の下側に配置でき、棒金取出部53でカセット50から上側に取り出すようにした場合に棒金Bの取り出し時に駆動機構81が邪魔にならない。また、カセット50の底面70aから規制部材80を突出させるため、規制部材80の突出量を金種によらずに一定にできる。したがって、構造の簡素化および低コスト化が図れる。
さらに、モータ86で回転軸82を回転させると、互いに突出部90の位相を合わせ且つ退避部91の位相を合わせて回転軸82に一つおきで配置される第1の組101の規制部材80と、互いに突出部90の位相を合わせ且つ退避部91の位相を合わせ、しかも第1の組101とは位相を異ならせて回転軸82に残りの一つおきで配置される第2の組102の規制部材80とを、交互にカセット50の底面70aから突出させ、言い換えれば、交互にカセット50の底面70aから退避させることになって、これにより、複数の規制部材80を、後端側のものから順に突出状態から退避状態に切り替えることになる。したがって、簡素な構成で、複数の規制部材80を、後端側のものから順に突出状態から退避状態に切り替わるように作動させることができる。
また、規制部材80は突出部90と退避部91とが180度位相が異なる位置に形成されており、第1の組101の規制部材80と第2の組102の規制部材80とが突出部90の位相を互いに180度異ならせているため、モータ86で回転軸82を180度ずつ正回転、あるいは180度ずつ正逆交互に回転させることで、第1の組101の規制部材80と第2の組102の規制部材80とを、交互にカセット50の底面70aから突出させることができる。しかも、モータ86の回転方向を一定方向にして回転および停止のみを行うことでも良いため、制御が簡単になる。
さらに、カセット50が先端側の水平方向の位置を合わせ後端側の水平方向の位置を合わせて鉛直方向に複数段配置されている構造に対して、棒金取出部53がこれらカセット50の先端側から棒金Bを選択的に取り出すことになり、制御部31が、このような棒金取出部53の取り出しと連動して複数段のカセット50の駆動機構81を選択的に駆動することになるため、各カセット50から所望本数の棒金Bを取り出すことができる。
加えて、複数の規制部材80が設けられた回転軸82が、カセット50の幅方向に離間して一対設けられており、言い換えれば、カセット50の長さ方向に沿って配置された複数の規制部材80の列が、カセット50の幅方向に離間して複数設けられているため、カセット50の幅方向に離間した一対の規制部材80で、カセット50の幅方向に沿う姿勢の棒金Bを係止することができ、棒金Bの姿勢を確実に矯正することができる。
また、一対の回転軸82が逆方向に回転するため、棒金Bに同時に接触する一対の規制部材80が退避時に逆方向に回転し、棒金Bに及ぼす摩擦力を相殺する。したがって、棒金Bが軸方向にずれて一方のガイド71aに押し付けられることがなく、棒金Bから規制部材80を良好に退避させることができる。
さらに、複数の規制部材80の回転軸82の軸線方向において隣り合うもの同士の間隔が、棒金Bの収納金種に合わせた一定値とされているため、例えば、対応する金種の棒金Bと同一径ないしはこの径よりも僅かに大きい一定値とすれば、棒金Bを可能な限り多く収納できる。
次に、本発明の第2実施形態の棒金収納装置を主に図10および図11を参照して第1実施形態との相違部分を中心に説明する。第2実施形態の硬貨収納装置10は、第1実施形態に対して、複数の規制部材80Aが相違している。これら規制部材80Aも、第1実施形態と同様に、カセット50の下側位置にあって、カセット50の底面70aからカセット50内に各開口穴74を介して突出可能、且つカセット50内から退避可能に設けられ、カセット50の長さ方向に沿って予め定められた間隔をおいて配置されている。
第2実施形態における複数の規制部材80Aは、図10に示すように、回転軸82の軸線方向から見た場合、円の一部を二箇所直線状に切り欠いた形状をなしている。そして、各規制部材80Aは、それぞれ、円弧状部分が、回転軸82の回転位置によってカセット50側に配置されるとカセット50の底面70aからカセット50内に突出する突出部90Aとなっており、切り欠いた部分は、一箇所が回転軸82の回転位置によってカセット50側に配置されるとカセット50の開口穴74内で底面70aと面一となる平面状の退避部91Aとなっていて、もう一箇所が回転軸82の回転位置によってカセット50側に配置されるとカセット50の底面70aと開口穴74内で面一となる平面状の退避合致部105となっている。ここで、突出部90Aには、第1実施形態と同様の凹部92が形成されている。そして、各規制部材80Aは、具体的には突出部90Aと退避部91Aとが120度位相が異なる位置に形成されるとともにこれら突出部90Aおよび退避部91Aと120度位相が異なる位置に退避合致部105が形成されている。
そして、複数の規制部材80Aは、図11に示すように、互いに突出部90Aの位相を合わせ且つ退避部91Aの位相を合わせて同一の回転軸82に一つおきで配置される第1の組101Aを構成するものと、互いに突出部90Aの位相を合わせ且つ退避部91Aの位相を合わせ、しかも第1の組101Aとは位相を異ならせて同一の回転軸82に残りの一つおきで配置される第2の組102Aを構成するものとに分けられており、第1の組101Aの規制部材80Aと第2の組102Aの規制部材80Aとが退避合致部105の位相を互いに合わせている。具体的に、複数の規制部材80Aは、回転軸82の軸線方向において順番に突出部90Aの位相(言い換えれば退避部91Aの位相)を隣り合うもの同士で120度異ならせながら千鳥状に配置されており、その結果、同一の回転軸82に一つおきで配置される第1の組101Aと、残りの一つおきで配置される第2の組102Aとが、互いに規制部材80Aの突出部90Aの位相(言い換えれば退避部91Aの位相)を120度異ならせている。ここでも、カセット50の後端の規制部材80Aを含む組を第1の組101Aとし、先端の規制部材80Aを含む組を第2の組102Aとする。
ここで、カセット50の幅方向に離間して設けられた互いに逆回転する一対の回転軸82には、鏡面対象に規制部材80Aが固定されている。つまり、図10(a)に示すように、一方の回転軸82の第1の組101Aの規制部材80Aが突出部90Aを最もカセット50側に位置させることで最もカセット50内に突出する突出状態にあるとき、他方の回転軸82の第1の組101Aの規制部材80Aも同じ突出状態となり、図10(b)に示すように、一方の回転軸82の第1の組101Aの規制部材80Aが退避部91Aをカセット50側に位置させることでカセット50から退避する退避状態にあるとき、他方の回転軸82の第1の組101Aの規制部材80Aも同じ退避状態となり、図10(c)に示すように、一方の回転軸82の第1の組101Aおよび第2の組102Aの規制部材80Aが退避合致部105をカセット50側に位置させることで両方がカセット50から退避する退避合致状態にあるとき、他方の回転軸82の第1の組101Aおよび第2の組102Aの規制部材80Aも同じ退避合致状態となる。
そして、各カセット50において、図10(a)に示すように、後端の規制部材80Aを含む第1の組101Aの規制部材80Aが突出状態となり、その一つ前側の規制部材80Aを含む第2の組102Aの規制部材80Aが退避状態になる位置で各回転軸82を停止させた状態が待機状態となっており、この待機状態で、上昇搬送部48から収納振分部51で押し出された棒金Bを受け入れる、すると、棒金Bは、カセット50の幅方向に沿う姿勢で、カセット50の後端側から両ガイド71a間の底板部70の底面70a上に投入され、カセット50の傾斜で転動しつつ若干移動して、後端の両規制部材80Aで係止される。この係止により棒金Bはカセット50の幅方向に沿う姿勢に矯正される。
次に、制御部31がモータ86を正方向に駆動して両側の回転軸82を120度回転させてモータ86を一旦停止させる。すると、図10(b)に示すように、後端の規制部材80Aを含む第1の組101Aの規制部材80Aが退避状態となり、その一つ前側の規制部材80Aを含む第2の組102Aの規制部材80Aが突出状態になる。これにより、後端の両規制部材80Aにより停止させられていた棒金Bが、後端の規制部材80Aの退避部91Aおよびカセット50の傾斜でこの退避部91Aおよびカセット50の底面70a上を転動しつつ移動して、その一つ前側の突出状態にある両規制部材80Aで係止される。この係止により棒金Bは、再びカセット50の幅方向に沿う姿勢に矯正される。
次に、制御部31が、モータ86を逆方向に駆動して回転軸82を120度回転させてから一旦停止させると、後端から一つ前の規制部材80Aを含む第2の組102Aの規制部材80Aが退避状態となり、その一つ前側の規制部材80Aを含む第1の組101Aの規制部材80Aが突出状態になる。すると、後端から一つ前側の両規制部材80Aにより停止させられていた棒金Bが、退避部91Aおよびカセット50の傾斜でこの退避部91Aおよびカセット50の底面70a上を転動しつつ移動して、その一つ前側の両規制部材80Aで係止される。この係止により棒金Bは、再びカセット50の幅方向に沿う姿勢に矯正される。
以上のようなモータ86の正方向回転、停止、逆方向回転、停止、正方向回転を適宜繰り返すことで、駆動機構81は、複数の規制部材80Aを後端側のものから順に回転軸82の軸線方向に沿って一箇所ずつ突出状態から退避状態に切り替わるように駆動することになり、これにより、棒金Bが規制部材80Aに順次当接しながら先端側に向けて移動して、先板部72に当接する位置あるいは既に収納されている棒金Bに当接する位置で停止して収納される。
よって、制御部31は、例えば棒金Bを収納する際には、後端側から受け入れた棒金Bが先板部72に当接する位置に移動するまでに必要な回数だけ回転軸82を正逆回転させた後の最初の待機状態でモータ86を停止させる。あるいは棒金Bの収納量を計数しておき、新たに収納する棒金Bをすでに収納されている棒金Bに当接させるのに必要な回数だけ回転軸82を正逆回転させた後の最初の待機状態でモータ86を停止させる。このようにして棒金Bを収納して待機状態になると、先板部72とカセット50内に突出する第1の組101Aの先端の突出部90Aとの間に二本の棒金Bが収納され、この突出部90Aと第1の組101Aの次の突出部90Aとの間に二本の棒金Bが収納されるというように、棒金Bが二本ずつ先板部72と第1の組101Aの先端の突出部90Aとの間、あるいは第1の組101Aの隣り合う突出部90A同士の間に配置される。
第2実施形態においても、すべての規制部材80Aは、回転軸82の軸線方向において隣り合うもの同士の間隔が、棒金Bの収納金種に対応した一定値とされており、具体的には収納金種の棒金Bの直径と同等あるいはそれより若干大きい値とされている。また、突出状態における規制部材80Aの突出部90Aの底面70aからの高さは、棒金Bの半径よりも小さくされており、棒金Bが先板部72あるいは前側の棒金Bに当接して移動できない状態で規制部材80Aが突出状態となった場合に棒金Bに干渉せず、且つ当接時には棒金Bを確実に係止可能な高さに設定されている。
また、棒金取出部53で棒金Bを取り出す際には、制御部31が、取り出し前に取り出し対象のカセット50のモータ86で回転軸82を120度逆方向に回転させて停止させる。すると、図10(c)および図11に示すように、待機状態にあった第1の組101Aの規制部材80Aおよび第2の組102Aの規制部材80Aが、いずれも退避合致部105をカセット50側に位置させる退避合致状態となって、カセット50から退避する状態となる。その後、棒金取出部53が、持上部材52を切欠部75を下から上に移動させることで、カセット50に収納されていた棒金Bを先端側のものから一本ずつ順に取り出すことになり、先端の棒金Bが取り出されると、残りの棒金Bは、カセット50の底面70aの傾斜でそのまま転動しつつ移動して、次に先端となる棒金Bを先板部72に当接させる状態で停止することになり、各棒金Bは、直前の先板部72または棒金Bで係止されてカセット50の幅方向に沿う姿勢に矯正される。そして、棒金Bの取り出しの都度、残された棒金Bが前側に棒金Bの一本分の距離移動することになる。
なお、上記のようなカセット50の先端側からの棒金Bの取り出し中に、カセット50への後端側から棒金Bを上昇搬送部48によって追加することもできる。この場合、制御部31は、棒金Bの取り出しを優先し、棒金Bの取り出しの合間あるいは取り出しが行われていないカセット50に対して、棒金Bを上記のように規制部材80で順次係止しつつ先端側に移動させて収納する。
以上に述べた第2実施形態の棒金収納装置10によれば、第1実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。
加えて、第1の組101Aの規制部材80Aと第2の組102Aの規制部材80Aとが、カセット50から退避する、退避部91Aとは別の退避合致部105の位相を互いに合わせているため、棒金Bの取り出しの際に、制御部31が、取り出し対象のカセット50のモータ86で回転軸82を回転させて、第1の組101Aの規制部材80Aの退避合致部105と第2の組102Aの規制部材80Aの退避合致部105の両方をカセット50の底面70a側に位置させて第1の組101Aおよび第2の組102Aの規制部材80Aをすべてカセット50から退避させた退避合致状態とすれば、モータ86で回転軸82を回転させることなく、棒金Bが自重で先端側に移動可能な状態になる。したがって、棒金Bの移動距離が短く姿勢を矯正する必要のない取り出し時に、上記退避合致状態とすることで、棒金Bが取り出される度に残りの棒金Bが自重で先端側に移動することになり、モータ86で回転軸82を回転させる必要がなくなる。なお、棒金Bの収納が完了した直後に、上記退避合致状態としても良く、この場合、新たな棒金Bを収納する際に、上記待機状態に切り替えれば良い。
また、規制部材80Aは突出部90Aと退避部91Aと退避合致部105とが120度位相が異なる位置に形成されており、第1の組101Aの規制部材80Aと第2の組102Aの規制部材80Aとが突出部90Aの位相を互いに120度異ならせているため、モータ86で回転軸82を120度正逆交互に回転させることで、第1の組101Aの規制部材80Aと第2の組102Aの規制部材80Aとを、交互にカセット50の底面70aから突出させることができる。また、モータ86で回転軸82を上記した120度の正回転後あるいは逆回転後にそのままさらに120度回転させることで、第1の組101Aの規制部材80Aと第2の組102Aの規制部材80Aとを、ともにカセット50から退避させることができる。
なお、第1および第2実施形態で、規制部材80,80Aに設けられた凹部92は必ずしも必要ではないが、凹部92を形成した方が収納時に棒金B同士を当接させることができるため、棒金Bの収納量を多くできる。また、棒金搬送部55は縦型ベルトコンベア式ではなくエレベータ式であっても良い。さらに、規制部材80,80Aの回転軸82の軸線方向における配置間隔を棒金Bの一本分とするのではなく、二本分等の複数本分としても良い。